説明

皮膚洗浄剤組成物

【課題】起泡性や泡質に優れ、特に、すすぎ時のストップフィーリング性が良好で、タオルドライ後にさっぱりした感触が得られる皮膚洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、
(B)ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、
(C)(C1)カチオン電荷密度が4.5meq/g以上のカチオン基含有ポリマー、又は(C2)カチオン基含有ビニルピロリドン共重合体
を含有する皮膚洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
顔や全身を清浄にするための皮膚洗浄剤に求められる諸性能の中で、使用する際のすすぎ時の感触として、摩擦抵抗のある感触(ストップフィーリング)があることが重要である。すすぎ時にこのストップフィーリングを感じるまでの時間が早く、且つその強度が強い方がさっぱりとした洗浄感を与えるので好ましい。
【0003】
従来、この分野で汎用の界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を主剤とした皮膚洗浄剤組成物は、泡立ちが良好であるものの、すすぎ時にいつまでもヌルヌルした感触が続くという問題があった。特許文献1及び2では、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等の水溶性界面活性剤を主剤としたパーソナルクレンジング組成物において、ポリイソブテン、シリコーン油等の水不溶性オイルを添加することにより、すすぎ時に改善されたリンスフィールを与えることが記載されている。しかしながら、このように皮膚洗浄剤組成物に油性成分を添加すると、特に、全身を洗浄するために使用する場合、すすぎ時のストップフィーリングが十分でなかったり、洗い流し後に皮膚への残留感や油性感が強いため、べたつきがあり、さっぱりした感触が得られないなどの問題があった。
【0004】
特許文献3及び特許文献4には、特定の界面活性剤とカチオン性ポリマーを含有する洗浄剤組成物が記載されている。このようなカチオン性ポリマーは、毛髪洗浄剤においては、きしみ感を低減するためのコンディショニング剤として用いられ、すすぎ時の指通りを改善している。また、皮膚洗浄剤においても、肌をしっとりさせるコンディショニング剤として用いられている。しかしながら、これらの洗浄剤組成物は、皮膚洗浄用途において、すすぎ時のストップフィーリング性の観点からは十分満足できるものではなかった。
【特許文献1】特表2001−513539号公報
【特許文献2】特表2001−513538号公報
【特許文献3】特開平2−42013号公報
【特許文献4】特開平9−165598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、起泡性や泡質に優れ、特に、すすぎ時のストップフィーリング性が良好で、タオルドライ後にさっぱりした感触が得られる皮膚洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩と、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩及び特定のカチオン基含有ポリマーを組み合わせて用いれば、上記課題を解決した皮膚洗浄剤組成物が得られることを見出した。
【0007】
本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、
(B)ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、
(C)(C1)カチオン電荷密度が4.5meq/g以上のカチオン基含有ポリマー、又は
(C2)カチオン基含有ビニルピロリドン共重合体
を含有する皮膚洗浄剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、泡立ちが速く、泡量、泡質ともに優れ、すすぎ時のストップフィーリング性が良好であり、タオルドライ後にさっぱりした感触が得られる。また、ポリビニルピロリドンを含有することにより、パール外観がより向上する。さらに、高級脂肪酸又は高級アルコールを含有することにより、使用したボディタオルをすすぐときや、洗い流し時の排水溝における泡消えが良好なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で用いる成分(A)のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、次式で表されるものが好ましい。
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、Rは炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは平均で0.5〜5の数を示し、Xは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
【0012】
式中、Rとしては、特に炭素数12〜14のアルキル基が好ましい。また、エチレンオキシドの平均付加モル数は、0.5〜5であるが、特に1〜4であるのが好ましい。
また、Xとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;アンモニウム;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン由来のアンモニウム;アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸由来のカチオンなどが挙げられる。
【0013】
成分(A)は、1種以上を用いることができ、全組成中に1〜20質量%、特に3〜13質量%含有するのが、泡立ちの速さ・泡量及びすすぎ時のストップフィーリング性に優れるので好ましい。
【0014】
成分(B)のポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩としては、次式で表されるものが好ましい。
【0015】
【化2】

【0016】
(式中、Rは炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは平均で0.5〜10の数を示し、Xは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
【0017】
式中、Rとしては、特に炭素数12〜16のアルキル基が好ましい。また、エチレンオキシドの平均付加モル数は、0.5〜10であるが、特に1〜6であるのが好ましい。
また、Xとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;アンモニウム;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン由来のアンモニウム;アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸由来のカチオンなどが挙げられる。
【0018】
成分(B)は、1種以上を用いることができ、全組成中に1〜20質量%、特に1.5〜10質量%含有するのが、泡量・泡質及びすすぎ時のストップフィーリング性に優れるので好ましい。
【0019】
本発明においては、成分(A)及び(B)の質量割合が、(A):(B)=85:15〜25:75、特に75:25〜35:65であるのが、泡立ち・泡量・泡質及びすすぎ時のストップフィーリング性に優れるので好ましい。
また、全組成中における、成分(A)及び(B)の合計含有量が5〜25質量%、特に7.5〜20質量%であるのが、泡立ち・泡量・泡質に優れるので好ましい。
【0020】
本発明においては、前記成分(A)及び(B)とともに、成分(C)として、(C1)カチオン電荷密度が4.5meq/g以上のカチオン基含有ポリマー、又は(C2)カチオン基含有ビニルピロリドン共重合体を組み合わせて用いる。
ここで、カチオン電荷密度とは、ポリマーを構成するモノマーユニット中のカチオン電荷の当量数(meq/g)をいう。
【0021】
これらのうち、(C1)カチオン電荷密度が4.5meq/g以上のカチオン基含有ポリマーとしては、例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドのホモポリマー;ジメチルジアリルアンモニウムクロリドと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド等、他のモノマーとの共重合体;ポリ塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
【0022】
より具体的には、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドのホモポリマー(マーコート100;オンデオナルコ社製:電荷密度6.2meq/g)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドとアクリル酸の共重合体(マーコート295;オンデオナルコ社製:電荷密度6.0meq/g)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドとアクリル酸の共重合体(マーコート280;オンデオナルコ社製:電荷密度5.0meq/g)、ポリ塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(花王社製:電荷密度4.8meq/g)等が挙げられる。
【0023】
カチオン基含有ポリマーのカチオン電荷密度は、4.5meq/g以上、特に4.5〜7、好ましくは5〜7、特に好ましくは5.5〜6.5である。この範囲の高いカチオン電荷密度を有するものであれば、洗浄剤組成物のすすぎ時のストップフィーリング性が良好である。とりわけ、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドとアクリル酸の重量比が97:3である共重合体(前記マーコート295;オンデオナルコ社製:電荷密度6.0meq/g)が、すすぎ時のストップフィーリングの面で好ましい。
【0024】
一方、成分(C)のうち、(C2)カチオン基含有ビニルピロリドン共重合体としては、ビニルピロリドンと、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸(四級化物)、メチルビニルイミダゾリウム等のカチオン基含有モノマーとの共重合体が挙げられる。
【0025】
より具体的には、ビニルピロリドンとN,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸との共重合体(ガフカット755N;BASF社製:電荷密度0.3〜0.4meq/g)、ビニルピロリドンと塩化メチルビニルイミダゾリウムの共重合体(ルビカット エクセレンス:共重合比5:95、電荷密度6.1meq/g、ルビカットFC370:共重合比30:70、電荷密度2.0meq/g;BASF社製)等が挙げられる。
かかるカチオン基含有ビニルピロリドン共重合体のカチオン電荷密度は、2.5〜7meq/gが、すすぎ時のストップフィーリングの面で好ましい。
【0026】
成分(C)のポリマーとしては、特に、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドのホモポリマー、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドとアクリル酸の共重合体が、製造設備の耐腐食性の面からも好ましい。
【0027】
成分(C)は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.05〜1質量%、特に0.075〜1質量%含有するのが、すすぎ時のストップフィーリング性に優れるので好ましい。
【0028】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、更に(D)ポリビニルピロリドンを含有することができる。これにより、すすぎ時のストップフィーリング性をより強めることができるとともに、パール光沢付与剤を添加したときに、液外観に優れたきれいなパール外観を与えるので好ましい。
【0029】
ポリビニルピロリドンとしては、K値が10〜100、特に15〜90のものが、すすぎ時のストップフィーリング性により優れるので好ましい。ここで、K値は、ポリビニルピロリドン溶液の粘度を濃度の関数として表すFikentscherの式から導かれる固有粘度と呼ばれる値である。ポリビニルピロリドンの品種はこのK値で表示されており、分子量の目安となる。
【0030】
成分(D)は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.01〜1質量%、特に0.1〜0.8質量%含有するのが、すすぎ時のストップフィーリング性および液外観の良好さの点で好ましい。
【0031】
成分(C)及び(D)を併用する場合、それらの質量割合は、(C):(D)=90:10〜20:80、特に80:20〜25:75であるのが、すすぎ時のストップフィーリング性及び液外観が良好であるので好ましい。
また、全組成中における、成分(C)及び(D)の合計含有量は、0.06〜3質量%、特に0.1〜1質量%であるのが、すすぎ時のストップフィーリング性および液外観が良好であるので好ましい。
【0032】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、更に、(E)無機塩又は炭素数6以下の有機酸塩を含有することができる。無機塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属と、ハロゲン、硫酸、亜硫酸、燐酸等との塩が挙げられ、具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、燐酸2水素ナトリウム、燐酸水素2ナトリウム等が挙げられる。また、有機酸塩としては、酢酸のほか、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、コハク酸等のヒドロキシ酸、多価酸とアルカリ金属等の塩などが挙げられる。これらのうち、塩化ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウムが好ましい。
【0033】
成分(E)は、本発明の効果である起泡性や泡質を妨げない範囲で、1種以上を用いることができ、全組成中に0.5〜10質量%、更に0.5〜6質量%含有するのが、成分(A)、(B)及び(C)((C)は、(C1)のカチオンポリマー、又は(C2)のカチオンポリマーを示す)の3成分により形成するコンプレックスが溶解しやすく、ストップフィーリング性が向上し、液外観(透明性)も向上するので好ましい。
【0034】
本発明においては、成分(A)及び(B)の質量割合が、(A):(B)=85:15〜25:75であるのが好ましいが、この場合において、成分(A)、(B)及び(C)の3成分により形成するコンプレックスが溶解しやすくなり、(C)/((A)+(B))の値が、0.025〜0.08である場合に、コンプレックスがより溶解しやすくなる。
【0035】
更に、(D)無機塩又は炭素数6以下の有機酸塩を含むことにより、成分(A)、(B)及び(C)の3成分により形成するコンプレックスが、更に溶解しやすくなる。(D)/((A)+(B)+(C))の値が、0.19〜0.34であるのが、溶解性が高まり、安定性や、パールの光沢が発現しやすくなるので、より好ましい。コンプレックスは、希釈過程で析出し、皮膚に吸着するため、ぬるつきが素早く消失し、ストップフィーリングも更に向上するので好ましい。
【0036】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、更に(F)高級脂肪酸及び/又は高級アルコールを含有することができる。ここに、高級脂肪酸及び高級アルコールは、それぞれ直鎖又は分岐鎖の炭素数10〜18のもの、特に炭素数12〜15のものが好ましい。
これらの成分を含有することにより、通常、身体洗浄を行う希釈倍率領域よりも高い希釈倍率領域で、泡の量を抑制できるため、使用したボディタオルに残った泡の消えやすさ(泡切れ)、また、身体から洗い流した後の排水口に残る泡の消えやすさ(泡切れ)が良好なものとなる。
【0037】
また、後述のように、本発明の皮膚洗浄剤組成物は、弱酸性〜中性領域のpHを示すものが好ましい。かかる組成物において、高級脂肪酸は、塩としての脂肪酸石鹸ではなく、脂質(遊離脂肪酸)として組成物中に含有され、通常、身体洗浄を行う希釈倍率領域においては、泡性能の向上に寄与すると考えられる。
【0038】
成分(F)は、1種以上を用いることができ、高級脂肪酸と高級アルコールを組み合わせて用いることもできる。特に、ラウリン酸とミリスチルアルコールを組み合わせて用いるのが、泡性能を高めながら且つ泡消えの効果も良好であるという点で好ましい。
成分(F)は、全組成中に0.3〜3質量%、特に0.5〜2質量%含有するのが好ましい。
【0039】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、更に(G)パール光沢付与剤を含有することができる。
パール光沢付与剤としては、炭素数16〜22の脂肪酸とエチレングリコールとの(モノ、ジ)エステル、炭素数16〜22の脂肪酸とポリオキシエチレン(1〜7)単位を有するポリエチレングリコールとのエステル等が挙げられる。特に、炭素数16〜18の脂肪酸の(モノ、ジ)エチレングリコールエステルが好ましい。
【0040】
より具体的には、例えば、エチレングリコールモノステアリン酸エステル、エチレングリコールモノベヘニン酸エステル等のエチレングリコールモノ脂肪酸エステル;エチレングリコールジステアリン酸エステル、エチレングリコールジベヘニン酸エステル等のエチレングリコールジ脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0041】
パール光沢付与剤は、1種以上を用いることができ、全組成中に1〜3質量%、特に1.5〜2.5質量%含有するのが、パールの光沢感が良好であるので好ましい。
【0042】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、前記の成分以外に、通常の洗浄剤組成物に用いられる他の界面活性剤を、本発明の効果を妨げない範囲で含有することもできる。具体的には、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、アシル化アミノ酸塩、モノアルキルリン酸エステル塩、アシル−L−グルタミン酸塩等のアニオン界面活性剤;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルグルコシド、脂肪酸モノ又はジアルカノールアミド、ポリオキシアルキレン型ブロックポリマー、グリセリン脂肪酸エステル、アルキルグリセリルエーテル等の非イオン界面活性剤;第4級アンモニウム塩等のカチオン界面活性剤;カルボベタイン系、スルホベタイン系、イミダゾリニウムベタイン系、ヒドロキシベタイン系、脂肪酸アミドベタイン系等の両性界面活性剤などが挙げられる。
【0043】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、さらに必要に応じて、通常洗浄剤組成物に用いられる各種成分を含有することができる。具体的には、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の保湿剤;水、エタノール等の溶剤;メチルセルロース等の粘度調整剤;トリクロサン、トリクロロカルバン等の殺菌剤;グリチルリチン酸カリウム、酢酸トコフェロール等の抗炎症剤;メチルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール、安息香酸塩等の防腐剤;その他、色素、香料、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を適宜含有することができる。
【0044】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、通常の方法により、配合成分を秤量し、水又は水を主体としアルコール等の他の水溶性溶剤を含む水性媒体に、任意の順序で混合することにより製造することができる。ボディシャンプー、洗顔料、メイク落とし等として適用することができる。
【0045】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、弱酸性に調整されるのが、皮膚への刺激が少なく、優れた洗浄力が損なわれることなく洗浄時の泡立ちが良好となり、すすぎ時のストップフィーリング性、使用感に優れるので好ましい。
弱酸性とは、pHが4.5〜7、好ましくはpH4.5〜6.5をいい、本発明においてpHは、イオン交換水で20質量倍に希釈したときの25℃における値を示す。
【実施例】
【0046】
実施例1〜17、比較例1〜13
表1〜表6に示す組成の皮膚洗浄剤組成物を製造し、すすぎ時のストップフィーリングを感じるまでの早さ、すすぎ終わり時のストップフィーリングの強さ、タオルドライ後のさっぱり感及び泡のボリュームを評価した。また、一部の実験例では、パール外観、泡切れ、液外観についても評価した。結果をそれぞれ表1〜表6に併せて示す。
なお、実施例において、各表中に記載のポリマー配合量は、ポリマー固形分としての値を示す。
【0047】
(製造方法)
表に示す成分を秤量してイオン交換水中に添加し、50℃で十分攪拌して、皮膚洗浄剤組成物を得た。水酸化ナトリウム又はリンゴ酸を適量添加して、20倍希釈液のpHが弱酸性になるように調整した。ここでpHは、組成物をイオン交換水で20倍希釈して5質量%水溶液を得た後、pHメーター(堀場製作所製、型番F−22)を用いて測定した。
【0048】
(評価方法)
(1)すすぎ時のストップフィーリングを感じるまでの早さ(前腕洗浄評価):
各洗浄剤組成物1.0gを片方の手に取り、水道水を用いて希釈して泡立てた後、両腕(肘から先)を洗浄し、水道水にてすすいだ。その際に、両前腕を擦り合わしながらすすぎを行い、ストップフィーリングを感じるまでの擦り合わせた回数を測定した。測定結果を以下の評価基準に従ってランク分けを行った。
5;擦り合わせ回数が3回未満。
4;擦り合わせ回数が3回以上6回未満。
3;擦り合わせ回数が6回以上9回未満。
2;擦り合わせ回数が9回以上12回未満。
1;擦り合わせ回数が12回以上。
【0049】
(2)すすぎ終わり時のストップフィーリングの強さ(全身洗浄評価):
上記(1)の評価試験において、専門評価者10名が、各洗浄剤組成物を用いて1日1回、全身を洗浄した。これを3日間連続して行い、すすぎ終わり時のストップフィーリングの強さについて評価した結果を下記基準で示した。
◎;すすぎ終わり時のストップフィーリングが強いと答えた人が8人以上。
○;すすぎ終わり時のストップフィーリングが強いと答えた人が5〜7人。
△;すすぎ終わり時のストップフィーリングが強いと答えた人が2〜4人。
×;すすぎ終わり時のストップフィーリングが強いと答えた人が0または1人。
【0050】
(3)タオルドライ後のさっぱり感(全身洗浄評価):
上記(1)の評価試験において、専門評価者10名が、各洗浄剤組成物を用いて1日1回、全身を洗浄した。これを3日間連続して行い、タオルドライ後のさっぱり感について評価した結果を下記基準で示した。
◎;タオルドライ後さっぱりすると答えた人が8人以上。
○;タオルドライ後さっぱりすると答えた人が5〜7人。
△;タオルドライ後さっぱりすると答えた人が2〜4人。
×;タオルドライ後さっぱりすると答えた人が0または1人。
【0051】
(4)泡のボリューム:
各実施例及び比較例にて調製した洗浄剤組成物を、4度硬水で150倍(身体洗浄時の条件に相当する)に希釈してサンプル水溶液とした。50mLの活栓つきの目盛り付きガラス円筒管(35mm×78mm)に、サンプル水溶液7.5mLを加えて栓をし、シェーカー(イワキ産業株式会社製、型番万能シェーカーV-SX)を用いて、300ストローク/分の速度で30秒間振とうし、振とう終了直後の泡量を読み取った。
【0052】
(5)パール外観:
洗浄剤組成物をガラス瓶に入れたときの外観、特にパールの光沢感を目視にて評価した。評価結果を以下の基準に従ってランク分けした。
A:パールの光沢がある。
B:パールの光沢がやや弱い。
C:パールの光沢がない。
【0053】
(6)泡切れ:
各実施例及び比較例にて調製した洗浄剤組成物を、4度硬水で、すすぎ後の泡切れを想定した高倍率(400倍)に希釈してサンプル水溶液とした。50mLの活栓つきの目盛り付きガラス円筒管に、サンプル水溶液7.5mLを加えて栓をし、シェーカー(イワキ産業株式会社製、型番万能シェーカーV-SX)を用いて、300(ストローク/分)の速度で30秒間振とうし、振とう直後の泡量(cm)を読み取った。
【0054】
(7)液外観:
洗浄剤組成物をガラス瓶に入れたときの外観(透明感)を目視にて評価した。評価結果を以下の基準に従ってランク分けした。
A:透明感がある。
B:透明感がやや無い。
C:透明感が無い。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
【表3】

【0058】
【表4】

【0059】
【表5】

【0060】
【表6】

【0061】
実施例18
以下に示す組成のボディシャンプーを、実施例1〜17と同様にして製造した。
【0062】
【表7】

【0063】
実施例19
以下に示す組成のボディシャンプーを、実施例1〜17と同様にして製造した。
【0064】
【表8】

【0065】
実施例20
以下に示す組成のボディシャンプーを、実施例1〜17と同様にして製造した。
【0066】
【表9】

【0067】
実施例21
以下に示す組成のボディシャンプーを、実施例1〜17と同様にして製造した。
【0068】
【表10】

【0069】
実施例18〜21で得られたボディシャンプーはいずれも、起泡性及び泡質に優れ、すすぎ時のストップフィーリング性、タオルドライ後のさっぱりした感触が良好である。また、パール外観も良好である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、
(B)ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、
(C)(C1)カチオン電荷密度が4.5meq/g以上のカチオン基含有ポリマー、又は(C2)カチオン基含有ビニルピロリドン共重合体
を含有する皮膚洗浄剤組成物。
【請求項2】
成分(A)及び(B)の質量割合が、(A):(B)=85:15〜25:75であり、全組成中における、成分(A)及び(B)の合計含有量が5〜25質量%であり、成分(C1)又は(C2)の含有量が0.05〜1質量%である請求項1記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項3】
成分(C1)のカチオン基含有ポリマーが、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドのホモポリマー又はジメチルジアリルアンモニウムクロリドとアクリル酸の共重合体である請求項1又は2記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項4】
更に、(D)ポリビニルピロリドンを含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項5】
更に、(E)無機塩又は炭素数6以下の有機酸塩を含有する請求項1〜4のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項6】
更に、(F)高級脂肪酸または高級アルコールを含有する請求項1〜5のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項7】
更に、(G)パール光沢付与剤を含有する請求項1〜6のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項8】
イオン交換水で20質量倍に希釈したときのpHが4.5〜7である請求項1〜7のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2008−285479(P2008−285479A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−108484(P2008−108484)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】