説明

皮膚状態復元促進剤

【課題】皮膚外用剤の成分として好適な、植物精油成分を有効成分とする皮膚状態復元促進剤を提供する。
【解決手段】シソ科に属する植物より選択される1種若しくは2種以上の植物より得られる、アセチルコリンエステラ−ゼ阻害及びマトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)mRNA発現亢進抑制活性を共に有する植物精油を有効成分として含有する、シワ又は創傷などの皮膚形態的変化を改善するための皮膚状態復元促進用の皮膚外用剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シソ科(Labiatae)マネンロウ属(Rosmarinus)、ハナハッカ属(Oreganum)の植物より得られる精油を有効成分とする皮膚状態復元促進剤及びこれらを含有してなる化粧料等の皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
事故や手術などにより生じる創傷は、創傷治癒過程における瘢痕化が美容上の欠点になることに加え、精神的に大きな負担を与えるため、患者にとっては切実な問題である。かかる瘢痕は、皮膚立体形状に肉眼で可視的な変化を有するが故に、視覚的な違和感を生じ、前記の不都合の原因となる。この様な皮膚立体形態における肉眼で識別可能な変化としては、瘢痕以外にシワ、たるみの形成が存する。この様な、シワ、たるみなどは、加齢、ストレス、紫外線暴露などの要因により引き起こされ、多くの中高年齢者に見ることができる皮膚変化である。前記の皮膚立体的変化は、皮膚外観の質的な低下として、自分自身及び第三者によって認識される。皮膚外観の質的な低下には、基底膜の多重化、断裂などの構造的な変化のみならず、細胞ならびに組織の形態学的な変化が非常に重要な意味を持っている。この様な皮膚における構造的及び形態学的な両面に着目し、皮膚ダメ−ジから肌の美観を美しく保つための様々な手段には高い関心が寄せられ、数多くの研究がなされている。
【0003】
創傷後の治癒、並びに、皮膚老化進行過程では、皮膚組織構成細胞におけるアポト−シス若しくはアポト−シス様細胞死(例えば、非特許文献1を参照)、更には、メタロプロテア−ゼの発現亢進による主要な細胞外マトリックス成分のコラ−ゲン、プロテオグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、エラスチンなどの過剰な加水分解(例えば、非特許文献2を参照)などが起こっている。また、前記の皮膚組織構成細胞における変化以外にも、様々な因子を介した多様な変化が起こっていることが示唆されている。また、これら因子は独立に働くのではなく、複雑に影響を及ぼし合いながら皮膚状態復元に向かっていると考えられている。かかる複雑な相互関係により生じる皮膚変化を人為的に制御することは、望まれているにもかかわらず、困難な技術であると認識されている。特に、シワなどの皮膚立体形状の変化に於いては、コラ−ゲンやゼラチンなどの加水分解が、皮膚変化の主要な要因(例えば、特許文献1を参照)であると考えられているため、マトリックスメタロプロテア−ゼに代表される、コラゲナ−ゼ、ゼラチナ−ゼ等のプロテア−ゼ活性を低下させたり、酵素のmRNA発現を抑制することは、皮膚立体形状の維持にとっては好ましいことであり、皮膚立体形状の改善に対する標的分子として注目されている。
【0004】
創傷治癒又は皮膚老化改善に代表される皮膚状態の復元には、レチノイン酸及びその誘導体が改善促進効果を示すことが知られている(例えば、非特許文献3を参照)。レチノイン酸は、米国においては、シワ・にきびの治療医薬品として認可され、皮膚の若返り薬として非常に多くの患者に使用されている。一方、日本国内では、ケロイド・瘢痕などの皮膚症状の改善を期待し治験が進められているが、皮膚への刺激といった安全性面に問題が存するため認可されるに至っていない。更に、かかる成分の作用機序としては、角層を重層化させると共に、平坦化させ、かかる平坦化により、立体的な差異を不明瞭にしており、皮膚立体構造の復元とは全く異なったアプロ−チとなっている。このほか、皮膚状態の復元を目指しコラ−ゲン、ヒアルロン酸を配合した皮膚外用剤、食品などの使用が試みられている。これは、修復そのものは生体の再生能力に依存し、その生体における修復のための原料が不足しない様にして、自己再生能力を最大限利用する方法である。従って、かかる技術の限度は自己再生能力の限度に依存する。また、これらとは別に、植物抽出物等を有効成分とする皮膚状態の復元促進剤に関する研究(例えば、特許文献2を参照)も盛んになされている。しかしながら、これらの化合物又は植物抽出物、さらには、これらを有効成分とする皮膚外用剤等においては、皮膚状態の復元促進効果が充分に得られない、皮膚状態復元促進効果が発現する濃度においては、望まない薬効が発現してしまう、安全性又は安定性に関する課題が存するなどの理由により、充分満足のいく状況には至っておらず、新たな皮膚状態復復元促進作用を有する素材の登場が強く望まれている。尚、かかる技術が、自己再生能力を超える修復を目指すところに困難性が存するとも言える。
【0005】
また、アセチルコリンと皮膚状態復元作用、特に、シワ改善作用との関係に付いては、アセチルコリン放出抑制作用を有するリモノイドを用い神経接合部におけるアセチルコリン濃度を低下させ、筋肉組織の収縮を阻害し、皮膚老化現象に対し抑制効果を示すこと(例えば、特許文献3を参照)が、既に知られている。かかる技術に於けるシワ改善の作用機序は、皮膚状態の復元ではなく、従来からの角層の保湿、重層化によるものであると考えられる。この様な従来技術においては、アセチルコリン分解酵素を阻害するなどしてアセチルコリン濃度を高めることにより皮膚状態の復元が促進されること、更には、アセチルコリンエステラ−ゼ阻害活性を有する精油などが皮膚状態の復元を促進することは全く知られていなかった。さらに、アセチルコリンエステラ−ゼ酵素を阻害することにより上昇する局所のアセチルコリン濃度が、アセチルコリンが一旦崩れた皮膚立体構造に対して作用し、生体が本来備えている、皮膚構造の自己再生能力を超えて、元の立体構造に再編成する作用を有することも全く知られていない。
【0006】
この様な状況下、本発明者等は、皮膚状態復元促進作用を有する新規素材の探索を行ったところ、マンネンロウ属、ハナハッカ属の植物から得られる精油が皮膚状態の復元促進効果に優れ、その作用機序がアセチルコリンエステラ−ゼ阻害とマトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)mRNA発現亢進抑制作用によるものであることを見出し、発明を完成させるに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−117592号公報
【特許文献2】特開平10−251133号公報
【特許文献3】特表2006−514657号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】大戸 信明、フラグランスジャ−ナル(FREGRANCE JOURNAL)、2002年、第7巻、P57-61
【非特許文献2】The New England Journal of Medicine、 337(20)、1419(1997)
【非特許文献3】老化防止・美白・保湿化粧料の開発技術、シ−エムシ−出版、鈴木正人 監修
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の様な状況を鑑みてなされたものであり、皮膚外用剤の成分として好適な、皮膚状態復元促進剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、皮膚状態復元促進作用を有する植物精油を求めて鋭意努力を重ねた結果、シソ科(Labiatae)に属する植物より選択される1種若しくは2種以上の植物より得られる精油、更には、これらを有効成分として含有する皮膚外用剤が、優れた皮膚状態復元促進作用を示すことを見出し、発明を完成させるに至った。
【0011】
言い換えれば、シソ科に属する植物より選択される1種若しくは2種以上の植物より得られる植物精油を有効成分として含有する皮膚状態復元促進用の皮膚外用剤を提供することにより、上記課題は解決される。即ち、本発明は、次に示す通りである。
<1> シソ科(Labiatae)に属する植物より得られる精油を有効成分とする皮膚状態復元剤。
<2> シソ科(Labiatae)の植物が、マンネンロウ属又はハナハッカ属の植物であることを特徴とする、<1>に記載の皮膚状態復元促進剤。
<3> 前記マンネンロウ属又はハナハッカ属の植物は、ロ−ズマリ−(Rosmainus officinalis)、マジョラム(Origanum majorana)、スイ−トマジョラム(Majorana hortens Moench)及びオレガノ(Orriganum vulgare L)から選択されるものであることを特徴とする、<1>又は<2>に記載の皮膚状態復元促進剤。
<4> 前記皮膚状態復元促進剤は、アセチルコリンエステラ−ゼ阻害活性とマトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)mRNA発現亢進抑制活性を共に有していることを特徴とする<1>〜<3>の何れか一項に記載の皮膚状態復元促進剤。
<5> 前記マトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)は、マトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)9であることを特徴とする、<1>〜<4>の何れか一項に記載の皮膚状態復元促進剤。
<6> <1>〜<5>の何れか一項に記載の皮膚状態復元促進剤を配合した皮膚外用剤。
<7> 化粧料(但し、医薬部外品を含む)であることを特徴とする、<6>に記載の皮膚外用剤。
<8> 皮膚ダメ−ジ予防又は改善用の皮膚外用剤であることを特徴とする、<6>又は<7>に記載の皮膚外用剤。
<9> ダメ−ジによって生じた皮膚形態的変化を、ダメ−ジ前の形態に近づける作用を有することを特徴とする、<6>〜<8>の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
<10> ダメ−ジによって生じた皮膚形態的変化が、シワ又は創傷であることを特徴とする、<9>に記載の皮膚外用剤。
<11> シソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−の地上部を水蒸気蒸留し精油を得、これのアセチルコリンエステラ−ゼ阻害作用を計測し、アセチルコリンエステラ−ゼ阻害作用の存在することを確認し、しかる後にマトッリックスメタロプロテア−ゼのmRNA発現に対する影響を調べ、マトリックスメタロプロテア−ゼのmRNA発現抑制作用が存することを確認した上で、該精油を化粧料に配合することを特徴とする、皮膚状態復元促進能を有する化粧料の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、新たな皮膚状態復元促進剤、さらには、当該成分を含有する皮膚状態復元促進剤を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明における植物精油のアセチルコリンエステラ−ゼの阻害作用を示す図である。
【図2】本発明における植物精油のマトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)9のmRNA発現亢進抑制作用を示す図である。
【図3】本発明における植物精油の皮膚ダメ−ジの修復促進作用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1) 本発明の皮膚状態復元促進剤の有効成分である植物精油
本発明の皮膚状態復元促進剤の必須成分である植物精油は、シソ科に属する植物より選択される1種若しくは2種以上の植物より得られる精油であることを特徴とする。また、前記植物より得られる精油は、アセチルコリンエステラ−ゼ阻害活性とマトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)mRNA発現亢進抑制活性を共に有することを特徴とする。
本発明における「精油」とは、シソ科に属する植物の植物体に含まれる揮発成分であって、水に不溶乃至は難溶の成分であり、シソ科に属する植物の植物体の一部又は全部を用い、水蒸気蒸留、ノルマルへキサンなどの非極性溶媒を用いた薬剤抽出又は圧搾などにより得られる、特有の芳香を有する揮発成分を含む留出物の非水溶性成分又はその画分精製物などの総称を言う。通常、精油は、多種類の化合物の混合物であり、モノテルペン、セスキテルペンなどの炭化水素化合物類、アルコ−ル化合物類、酸化合物類、カルボニル化合物類、フェノ−ル化合物類、ラクトン化合物類、エステル化合物類から構成され、一般に、水に不溶で、アルコ−ルなどに可溶である。本発明で使用する精油は、シソ科に属する植物から前記方法に従って得られる精油を用いることも出来るし、ロベルテ社から市販されている市販品、又は、日本薬局法に記載のシソ科に属する植物より得られる精油を用いても良い。各精油に付いては、後述する。尚、化粧料に含有させる際には、予め精油に於けるアセチルコリンエステラ−ゼ阻害活性及びマトリックスメタロプロテア−ゼ発現抑制作用の有無を調べ、これらの作用が存することを確認した上で含有させることが好ましい。
【0015】
本発明における「アセチルコリンエステラ−ゼ阻害活性を有する精油」とは、後記のアセチルコリンエステラ−ゼ阻害活性測定試験において、コントロ−ルが示すアセチルコリンエステラ−ゼ活性の10%以下のレベルまでアセチルコリンエステラ−ゼ活性を抑制する作用を有する精油を意味する。
【0016】
また、本発明における「マトリックスメタロプロテア−ゼmRNA発現亢進抑制活性を有する精油」とは、後記のマトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)発現亢進抑制活性測定試験において、コントロ−ルが示すマトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)9のmRNA発現量の40%以下のレベルまでマトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)9の発現量を抑制する作用を有する精油を意味する。
【0017】
また、本発明における「皮膚状態復元促進剤」とは、肉眼で識別可能な皮膚形態的変化であって、皮膚全体の印象に対して違和感を生じさせる皮膚形態変化を、元の形状に復元し、違和感を消失せしめる作用を有する成分を意味し、切創、裂創、刺傷、咬創、銃創、挫創、挫傷、擦過傷などの創傷、熱傷、褥瘡などにより形成される外傷の創傷治癒過程において問題となるケロイド状の瘢痕等において傷口を塞ぐなどの物理的に皮膚損傷を修復する現象を促進のみならず、シワなどの老化に伴う皮膚形態変化現象も包含する。かかる皮膚形態変化現象は、患者ならびに高齢者にとって大きな悩みとなる皮膚状態の構造的、機能的又は形態的な変化のひとつであり、シワ、たるみ、きめ等の皮膚老化現象、かさつき、ごわつき等のバリア機能回復遅延、水分保持機能の低下、細胞密度の減少等による傷口の顕著化、皮膚萎縮変化等による色調変化などがこの現象として挙げられる。
【0018】
本発明の皮膚状態復元促進剤の必須成分である植物精油を得るための植物体としては、シソ科に属する植物が好適に例示出来る。前記シソ科に属する植物としては、マンネンロウ属若しくはハナハッカ属に属する植物が好ましく、特に好ましくは、シソ科マンネンロウ属のロ−ズマリ−、シソ科ハナハッカ属のスイ−トマジョラムなどが例示出来る。ここで、植物精油を精製するために使用される植物部分としては、植物体の全部、又は、花、葉、木部、果皮、樹皮、根、種など一部であれば、特段の限定なく使用することが出来、特に好ましくは、シソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−の葉と花、シソ科ハナハッカ属スイ−トマジョラムの葉などが好適に例示出来る。
【0019】
(2) 本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、シソ科に属する植物より選択される1種若しくは2種以上の植物より得られる精油を皮膚状態復元促進剤(有効成分)として含有し、皮膚状態復元促進用の皮膚外用剤に適応するのが好ましい。かかる皮膚状態復元促進作用は、前記精油のアセチルコリンエステラ−ゼ阻害活性が誘引する、局所に於けるアセチルコリンの濃度上昇、並びに、マトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)mRNA発現亢進抑制作用による主要な細胞外マトリックス成分のコラ−ゲン、ゼラチン、プロテオグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、エラスチン等の過剰な加水分解を抑制することに起因する。特に、マトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)9のmRNA発現亢進を阻害することは、ゼラチン成分の分解を抑制するのみならず、IV型コラ−ゲンに分類される各種コラ−ゲン、エラスチン、フィブロネクチン等の細胞外マトリックスの過剰な加水分解を抑制し、更には、腫瘍成長因子(TGF−β)や腫瘍壊死因子(TNF−α)の活性を抑制する。また、本発明の皮膚外用剤は、前述の薬理作用の他に、保湿作用又は肌キメ状態の改善作用を有する。これらの作用は、形態的な皮膚状態の復元を促進することに加え、より自然な外観への皮膚状態復元に寄与する。
【0020】
本発明の皮膚外用剤は、創傷治癒過程ならびに皮膚老化現象における皮膚の物理的、構造的、機能的及び形態的変化の復元を促進するための皮膚外用剤として好適である。かかる効果を奏するためには、前記シソ科に属する植物の精油は、総量で皮膚外用剤全量に対し、0.0001質量%〜10質量%含有されることが好ましく、より好ましくは、0.001質量%〜5質量%である。尚、前記シソ科の植物であって、アセチルコリンエステラ−ゼ阻害及びマトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)mRNA発現亢進抑制作用を共に有する精油成分を含有する皮膚外用剤であって、瘢痕、シワの改善に用いるものも本発明の技術範囲に属する。即ち、本発明の皮膚外用剤に於いては、シソ科の精油はアセチルコリンエステラ−ゼ阻害及びマトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)mRNA発現亢進抑制作用を共に有することを認識した上で含有させることが好ましい。ここで、「アセチルコリンエステラ−ゼ阻害作用がある」とは、後記アセチルコリンエステラ−ゼ阻害活性試験に於いて、コントロ−ルが示すアセチルコリンエステラ−ゼ活性の10%以下のレベルまでアセチルコリンエステラ−ゼ活性を抑制する作用を有する精油を意味し、「マトリックスメタロプロテア−ゼmRNA発現亢進抑制活性を有する精油」とは、後記のマトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)発現亢進抑制活性測定試験において、コントロ−ルが示すマトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)9のmRNA発現量の40%以下のレベルまでマトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)9の発現量を抑制する作用を有する精油を意味する。これは、アセチルコリンエステラ−ゼ阻害活性及びマトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)mRNA発現亢進抑制活性が低い植物精油を配合した場合には、期待される皮膚状態復元促進作用が現れないためである。
【0021】
本発明の皮膚外用剤は、シソ科に属する植物より選択される1種若しくは2種以上の植物より得られる精油を有効成分として含有することを特徴とする。本発明において、シソ科に属する植物より選択される1種若しくは2種以上の植物より選択される精油は、シソ科に属する植物の植物体の一部又は全部を用い、水蒸気蒸留、薬剤抽出又は圧搾などにより得られ、留出物の非水溶成分、精油又は精油成分の分画精製物として含有されていてもよい。この様な粗精製物を皮膚外用剤に含有させることは、処方の自由度が大きくなる点でより好ましい。また、精油はその含有量が季節ごとに変化する場合が存するので、シソ科に属する植物の精油に付いて、後記実施例に示す方法で、精油に於ける皮膚立体形状復元促進作用の程度を鑑別し、この様な作用が明確に認められた場合にのみ、該精油を立体形状復元促進剤として採用し、皮膚外用剤に含有せしめることも、その効果の安定性を保証する点で好ましい。
【0022】
本発明の皮膚外用剤においては、前記必須成分以外に、通常化粧料や皮膚外用医薬で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリ−ブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワ−油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パ−ム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコ−ル、ステアリルアルコ−ル、イソステアリルアルコ−ル、ベヘニルアルコ−ル、オクチルドデカノ−ル、ミリスチルアルコ−ル、セトステアリルアルコ−ル等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコ−ル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコ−ル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロ−ルプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロ−ルプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコ−ン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノ−ルアミンエ−テル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレ−ト、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコ−ル脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコ−ル等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエ−テル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエ−ト、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレ−ト等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレ−ト等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコ−ルモノオレ−ト、POEジステアレ−ト等)、POEアルキルエ−テル類(POE2−オクチルドデシルエ−テル等)、POEアルキルフェニルエ−テル類(POEノニルフェニルエ−テル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエ−テル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエ−テル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコ−ル、グリセリン、1,3−ブチレングリコ−ル、エリスリト−ル、ソルビト−ル、キシリト−ル、マルチト−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、ジグリセリン、イソプレングリコ−ル、1,2−ペンタンジオ−ル、2,4−ヘキサンジオ−ル、1,2−ヘキサンジオ−ル、1,2−オクタンジオ−ル等の多価アルコ−ル類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパ−ル剤類;レ−キ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマ−等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノ−ル等の低級アルコ−ル類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテ−ト、ビタミンB6ジオクタノエ−ト、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロ−ル、β−トコフェロ−ル、γ−トコフェロ−ル、ビタミンEアセテ−ト等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノ−ル等の抗菌剤などが好ましく例示できる。
【0023】
これらの必須成分、任意成分を常法に従って処理し、ロ−ション、乳液、エッセンス、クリ−ム、パック化粧料、洗浄料などに加工することにより、本発明の皮膚外用剤は製造できる。皮膚に適応させることの出来る剤型であれば、いずれの剤型でも可能であるが、有効成分が皮膚に浸透して効果を発揮することから、皮膚への馴染みの良い、ロ−ション、乳液、クリ−ム、エッセンスなどの剤型がより好ましい。
【0024】
尚、本発明のシソ科に属する植物から選択される1種若しくは2種以上の植物より得られる精油を含有する皮膚外用剤としては、一般的に広く使用される、化粧料や医薬部外品に適用するのが好ましい。本発明の皮膚外用剤としては、皮膚に外用で適用されるものであれば特段の限定はなく応用でき、例えば、医薬部外品を含む化粧料、皮膚外用医薬、皮膚外用雑貨等が好ましく例示できる。これは本発明の植物精油及び植物精油を含有した皮膚外用剤の安全性が高いため、連続的に使用することが可能であるためである。
【0025】
以下に、本発明について、実施例を挙げて更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ、限定されないことは言うまでもない。
【0026】

本発明のシソ科に属する植物より得られた植物精油>
シソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−の地上部を水蒸気蒸留し、精油成分を水相から分離し、ロ−ズマリ−精油を得た。また、シソ科ハナハッカ属スイ−トマジョラムの地上部を水蒸気蒸留し、精油成分を水相から分離し、スイ−トマジョラム精油を得た。以下の実験には、これらの精油を用いたが、市販の精油を購入し、利用することも可能である。
【実施例1】
【0027】
<本発明における植物精油のアセチルコリンエステラ−ゼ阻害活性>
前記シソ科に属する植物のロ−ズマリ−及びスイ−トマジョラムより得られた精油を用い、アセチルコリンエステラ−ゼ阻害活性を測定した。試験には、Acetylcholinesterase Detection Kit, Fluorescent(フナコシ)を使用した。
最終濃度10(mU)になる様に調整したアセチルコリンエステラ−ゼ及び最終濃度5(μL/mL)になる様に調整した植物精油を、室温にて5分間インキュベ−トした後、アセチルコリン及び反応試薬を添加し、10分後に蛍光強度を測定した。対照には、植物精油を添加しない最終濃度10(mU)に調整したアセチルコリンエステラ−ゼを用い、同様の操作を行った後、蛍光強度を測定した。また、バックグランドとして、前記アセチルコリンエステラ−ゼを添加せず、植物精油のみを添加し、同様の操作を行った後、蛍光測定した。コントロ−ル及び植物精油添加サンプルに関し、反応開始10分後の蛍光強度からバックグランドの蛍光強度を引いた値を算出した。各植物精油のアセチルコリンエステラ−ゼ阻害活性は、前記の方法により得られる各植物精油の算出値をコントロ−ルの算出値で割った値として表示した。
【0028】
この様にして評価された「本発明のシソ科に属する植物マンネンロウ属のロ−ズマリ−より得られた精油」及び「本発明のシソ科ハナハッカ属のスイ−トマジョラムより得られた精油」のアセチルコリンエステラ−ゼ阻害活性を後記図1に示す。図1より、「本発明のシソ科に属する植物マンネンロウ属のロ−ズマリ−より得られた精油」及び「本発明のシソ科ハナハッカ属のスイ−トマジョラムより得られた精油」は共に、優れたアセチルコリンエステラ−ゼ阻害作用を有することが判る。
【実施例2】
【0029】
<本発明における植物精油のマトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)9のmRNNA発現亢進抑制活性>
前記シソ科に属する植物のロ−ズマリ−及びスイ−トマジョラムより得られた精油を用い、マトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)9のmRNA発現亢進抑制活性を測定した。
ケラチノサイト基本培地(Humedia-KG2、倉敷紡績株式会社製)を用い、2.5×10−4細胞のヒト由来正常ケラチノサイト培養細胞を24ウェルプレ−トに播種し、5%二酸化炭素雰囲気下、37℃にて培養した。増殖因子を含まないケラチノサイト用培地(Humedia-KB2、倉敷紡績株式会社製)に、最終濃度0.01×10−3(v/v%)になる様に植物精油を添加した培地を作製した。植物精油の希釈、調製にはジメチルホルムアミド(和光純薬工業株式会社製)を用いた。また、比較対照には、植物精油に換わりジメチルホルムアミドのみを添加した培地を作製した。培養した細胞をPBS(和光純薬工業株式会社製)にて洗浄した後、前記の植物精油及びジメチルスルホキシドを含む培地に置換し、5%二酸化炭素雰囲気下、37℃にて16時間培養した。PBSを用い、各培地を用い培養した後の細胞を洗浄後、紫外線ランプを用いて50(mJ/cm2)の紫外線を照射した。紫外線照射後の細胞を、前記の植物精油及びジメチルスルホキシドを含む培地を用い再度5%二酸化炭素雰囲気下、37℃にて24時間培養した。培養後の細胞について、RNeasy Mini Kit(QIAGEN社製)を用いてRNA抽出を行った。その後、得られたRNAからQuantitect Reverse transcription Kit(QIAGEN)を用いてcDNAを調製した。得られたcDNAに関し、Quantitect SYBR Green RT-PCR Kit(QIAGEN)およびマトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)9プライマ−(Quantitect Primer Assay(QIAGEN))を用いてリアルタイムPCRを行い、マトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)9のmRNA発現量を定量した。また、前記ジメチルスルホキシド添加培地にて培養した後、紫外線照射することなく、ジメチルスルホキシドを添加した培地にて再度培養したベヒクル群(DMSO non−UV群)を設定し、そのマトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)9のmRNA発現量を同様の方法にて定量した。
各植物精油のマトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)9の発現亢進抑制作用は、以下に示す式から評価した。

精油、UV(+)群のMMP-9 mRNA量 − UV非照射(-)群のMMP-9 mRNA量
DMSO、UV(+)群のMMP-9 mRNA量 − UV非照射(-)群のMMP-9 mRNA量

すなわち、細胞をジメチルスルホキシド添加培地にて培養した後、紫外線を照射し、再度、ジメチルスルホキシド添加培地で培養したコントロ−ル群(DMSO UV群)において、UV照射により発現が亢進したマトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)9のmRNA量を100%とし、精油を添加し紫外線を照射した場合(精油 UV群)のmRNA発現亢進量をコントロ−ルのマトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)9のmRNA発現亢進量に対する比率として表した。
【0030】
この様に評価された本発明のシソ科に属する植物マンネンロウ属のロ−ズマリ−、シソ科ハナハッカ属のスイ−トマジョラムより得られた精油のマトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)9のmRNA発現亢進抑制活性を後記の図2に示す。図2の結果より、紫外線照射によるマトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)9mRNA発現が亢進していることが確認された。また、本発明のシソ科に属する植物より得られた精油は、紫外線照射により亢進されたマトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)9mRNA発現に対し、優れた抑制効果を有することが判る。
【実施例3】
【0031】
<本発明における植物精油の皮膚状態復元促進作用>
前記シソ科に属する植物のロ−ズマリ−及びスイ−トマジョラムより得られた精油を用い、皮膚状態復元促進作用を評価した。試験には、ヒト由来正常ケラチノサイト培養細胞を使用した。
ケラチノサイト基本培地(Humedia-KG2、倉敷紡績株式会社製)を用い、3.0×10−4細胞のヒト由来正常ケラチノサイト培養細胞を24ウェルプレ−トに播種し、5%二酸化炭素雰囲気下、37℃にて培養した。増殖した細胞をPBSにて洗浄後、増殖因子を含まないケラチノサイト用培地(Humedia-KG2、倉敷紡績株式会社製)にて16時間培養した。各ウェルをスパチュラ−でスクラッチし、中央部の細胞をライン状にかきとった。前記のケラチノサイト用培地(Humedia-KB2、倉敷紡績株式会社製)に、ロ−ズマリ−より得られた精油の最終濃度が、0.01×10−3(v/v%)、マジョラムより得られた植物精油の最終濃度が、0.1×10−3(v/v%)になる様に植物精油を添加した培地を作製した。植物精油の希釈、調製にはジメチルホルムアミド(和光純薬工業株式会社製)を用いた。また、対照には、植物精油に代わりジメチルホルムアミドのみを添加した培地を作製した。スクラッチ後の細胞についてPBSにて洗浄し、植物精油又はジメチルスルホキシドを含む培地にて5%二酸化炭素雰囲気下、37℃にて24時間培養し、顕微鏡下、スクラッチ部の復元促進効果を観察した。
【0032】
この様に評価された本発明のシソ科に属する植物マンネンロウ属のロ−ズマリ−、シソ科ハナハッカ属のスイ−トマジョラムより得られた精油の皮膚状態復元促進作用を後記図3に示す。図3に示す通り、精油を添加した場合には、スクラッチにより細胞がかきとられた損傷部位に細胞が増殖し、損傷部の復元が促進されていることがわかる。図3の結果より、本発明のシソ科に属する植物より得られた精油は、優れた皮膚状態復元促進作用を有することが判る。
【実施例4】
【0033】
<本発明における植物精油を含有する皮膚外用剤の製造方法>
前記の本発明における植物精油であるシソ科マネンロウ属ロ−ズマリ−より得られた植物精油を配合した皮膚外用剤(化粧料1)を、下記の表1に記載した処方に従い作製した。
【0034】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、皮膚状態復元促進用の化粧料などの皮膚外用剤に応用出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シソ科(Labiatae)に属する植物より得られる精油を有効成分とする皮膚状態復元剤。
【請求項2】
シソ科(Labiatae)の植物が、マンネンロウ属又はハナハッカ属の植物であることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚状態復元促進剤。
【請求項3】
前記マンネンロウ属又はハナハッカ属の植物は、ロ−ズマリ−(Rosmainus officinalis)、マジョラム(Origanum majorana)、スイ−トマジョラム(Majorana hortens Moench)及びオレガノ(Orriganum vulgare L)から選択されるものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚状態復元促進剤。
【請求項4】
前記皮膚状態復元促進剤は、アセチルコリンエステラ−ゼ阻害活性とマトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)mRNA発現亢進抑制活性を共に有していることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の皮膚状態復元促進剤。
【請求項5】
前記マトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)は、マトリックスメタロプロテア−ゼ(MMP)9であることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の皮膚状態復元促進剤。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の皮膚状態復元促進剤を配合した皮膚外用剤。
【請求項7】
化粧料(但し、医薬部外品を含む)であることを特徴とする、請求項6に記載の皮膚外用剤。
【請求項8】
皮膚ダメ−ジ予防又は改善用の皮膚外用剤であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の皮膚外用剤。
【請求項9】
ダメ−ジによって生じた皮膚形態的変化を、ダメ−ジ前の形態に近づける作用を有することを特徴とする、請求項6〜8の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項10】
ダメ−ジによって生じた皮膚形態的変化が、シワ又は創傷であることを特徴とする、請求項9に記載の皮膚外用剤。
【請求項11】
シソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−の地上部を水蒸気蒸留し精油を得、これのアセチルコリンエステラ−ゼ阻害作用を計測し、アセチルコリンエステラ−ゼ阻害作用の存在することを確認し、しかる後にマトッリックスメタロプロテア−ゼのmRNA発現に対する影響を調べ、マトリックスメタロプロテア−ゼのmRNA発現抑制作用が存することを確認した上で、該精油を化粧料に配合することを特徴とする、皮膚状態復元促進能を有する化粧料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−195724(P2010−195724A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43506(P2009−43506)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】