説明

盗難防止用節水弁

【課題】流量制御弁の弁構造を簡易化して、製造上の省力化を達成するとともに、使用時の盗難防止が図られる節水弁を提供する。
【解決手段】節水弁Aは、水栓の口端に接合される接合金具1の通水室に制水駒が内蔵され、制水駒は蝶羽根を設けた制水盤と、中心に点対称状で所要数の通水孔が開口された通水盤とが流量調節自在に重畳接合され、接合金具1の下端に泡沫発生体5が螺設され、制水駒の通水盤が通水室の段差部に圧入内嵌され、泡沫発生体5がその上端に、接合金具1の周部下端とで所要の間隙6を設けた節水弁Aや、間隙6に円筒状の筒本体8aの内周に周設した座盤8bを遊嵌して接合金具1と泡沫発生体5とから成る節水弁Aを盗難防止筒8に収納した盗難防止用節水弁B。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓の口端に接合されて吐水量を調節する流量制御弁の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、水道水の流量制御技術に関する先行技術として特許第4100693号(特許文献1)に流量制御弁を提案しているが、該流量制御弁では流量制御を図る制水駒がブッシュに内嵌され、該ブッシュを内設する接合金具を、その上端において水栓の口端に接合するものであり、ブッシュと接合金具との機能分析に基づき、その構造を簡易化して製造上の省力化を図るに至ったものである。
さらに、水栓の口端に接合された状態では、接合金具の脱却の点で無防備であり、盗難の危険にさらされている状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4100693号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、特許第4100693号の流量制御弁の弁構造を簡易化して製造上の省力化を達成するとともに、使用時の盗難防止が図られる節水弁を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載した節水弁は、上端が水栓の口端に接合される接合金具に形成された通水室に制水駒が内蔵され、該制水駒が、その中心を通る直径上に対称に蝶羽根を設けて成る制水盤と、該制水盤に重畳されて前記蝶羽根間に露出される盤面内でその中心に点対称状に所要形状で所要数の通水孔を開口して成る通水盤とが、その中心で流量調節自在に螺合されて成り、前記接合金具の下端に泡沫発生体が螺設されて成る節水弁において、
前記制水駒の通水盤が通水室の上部に圧入内嵌されて成る。
本発明の請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した節水弁において、
前記泡沫発生体が、その上端に接合金具の周部とで所要の間隙を形成して螺合されるとともに、その下端に回動手段が配設されて成る。
請求項3に記載した盗難防止用節水弁は、請求項2に記載した節水弁と、円筒状の筒本体の丈方向所要位置の内周に所要厚の座盤を周設して成る盗難防止筒とから成り、前記節水弁の間隙に前記座盤を遊嵌して該盗難防止筒に節水弁を収蔵して成る。
【発明の効果】
【0006】
以上のように本発明の節水弁によれば、制水駒を内蔵するブッシュが接合金具となって直接水栓の口端に接合されるから、従来のブッシュが省かれて製造コストの大幅な削減が達成されるものであり、その上制水駒の通水盤が通水室に単に内嵌されるのではなく、圧入内嵌されるものであるから、接合金具の組立完了時の移動で制水駒が通水室から脱落することがなく、保守管理がし易くなり、盗難防止用節水弁では盗難防止筒が空転するのみで、接合金具を水栓の口端から脱却できないので、節水弁の盗難防止が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の節水弁Aの説明図で、(a)はその分解状態の斜視図、(b)は(a)の接合金具1のA−A矢視断面図。
【図2】本発明の盗難防止用節水弁Bの説明図で、(a)はその盗難防止筒8を縦断した状態の正面図、(b)は(a)の底面図、(c)は盗難防止用節水弁Bの組み立てに用いる鍵9の要部を破断した説明図。
【図3】本発明の盗難防止用節水弁Bの使用状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の節水弁における接合金具や盗難防止用節水弁における盗難防止筒は、金属製は勿論のこと、PC材による射出成形品としても提供され、接合金具をPC材による射出成形品とする場合には、通水盤をも一体として成形するも良しとされ、さらに、制水駒の制水盤や通水盤も金属打抜き成形のほか、PC材による射出成形品としても提供され得る。
なお、水栓の口端に接合された接合金具への泡沫発生体の接合時には、泡沫発生体の底面に設けられる凹溝は手探り状態で確認されるものであるから、盗難防止筒の外周に外嵌する円筒部を鍵に設けた方が、鍵に設けた突起を前記凹溝に嵌入し易く接合操作が楽になる。
【実施例】
【0009】
本発明の節水弁Aを一実施例により説明すると、図1に示すように、円筒状の接合金具1の上部に形成される凹部2の上部には雌ネジ2aが内設され、凹部2の底面には柔軟材からなるパッキング2bが着座され、凹部2の中央から下端に向けて通水室3が形成され、通水室3の高さ方向中間には僅かに小径の段差部3aが設けられ、段差部3aには図1(b)の仮想線で示すように、制水駒4の通水盤4aが圧入内嵌され、確実な固定状態の通水盤4aに制水盤4bが重畳されて通水盤4aの中心に螺設したネジ孔4aaに制水盤4bのネジ挿通孔4baから差し込まれた六角穴付きの小ネジ4cを螺合し、通水盤4aの中心に対して点対称状に所要数(片側6個)開口された丸孔からなる通水孔4abを、その上面に重畳された蝶羽根4bbからなる制水盤4bでその露出個数を選択することで吐水量が調節される。
そして、接合金具1の下端部の小径部には雄ネジ1aが螺設され、雄ネジ1aには外径が接合金具1の外径と同径で、内部に網目状の泡沫発生部5aが内設された泡沫発生体5が、パッキング5bを介してその上端部に内設された雌ネジ5cを螺合することにより水密的に接合されて成る。
その際に、すなわち接合金具1の下端部の雄ネジ1aに泡沫発生体5の雌ネジ5cを螺合する際に節水弁Aには接合金具1の周部下端と泡沫発生体5の上端間に所要の間隙6が形成される。
節水弁Aは、図2に示すように、横形自在水栓11の吐水口部10の口端7に螺設された雄ネジ(図外)に接合金具1の雌ネジ2aを螺合して取り付け使用される。
その場合に、節水弁Aを逆に旋回して取り外し持ち去る、すなわち盗難のおそれがある。そこで盗難防止用節水弁Bを提供するものである。
【0010】
盗難防止用節水弁Bを説明すると、図2に示すように、水栓の口端7に螺設された雄ネジ(図外)に接合金具1の雌ネジ2aを螺合して接合金具1を口端7に取り付け、その状態で円筒状の筒本体8aの内周で、丈方向でその上端から接合金具1の周部をすっぽり収納できる位置に、前記間隙6より狭い肉厚で、内径が接合金具1の下端部の雄ネジ1aの外径より僅かに大径の座盤8bを周設して成る盗難防止筒8が接合金具1の外周に外嵌され、その下端から泡沫発生体5が挿入され、盗難防止筒8の下端から鍵9の円筒部9aが外嵌され、押し込みながら鍵9を盗難防止筒8の周方向へ回動すると、鍵9の内部底面に均等分割点で立設した3個の突起9bが泡沫発生体5の底面に前記均等分割点と同位相で凹設した回動手段としての3個の凹溝5dに嵌着し、鍵9を回動することによって泡沫発生体5の上端部の雌ネジ5cが接合金具1の雄ネジ1aに螺着され、前記座盤8bが接合金具1の周部下端と泡沫発生体5の上端間に形成される間隙6に僅かの遊びをもって遊嵌される。泡沫発生体5を締め付け後、鍵9は然るべき方法で適宜に保管される。
以上の如くして図3に示すように、吐水口を下側に向けた吐水口部10を水平方向に首振り自在とした横形自在水栓11の口端7に螺着された盗難防止用節水弁Bは、接合金具1と泡沫発生体5が全体すっぽりと盗難防止筒8に収納されるから、口端7から接合金具1を取り外そうとしても盗難防止筒8のみが空転するのみで、口端7から盗難防止用節水弁Bは取り外しできない。取り外しには鍵9が必要であり、これ以外の手段で取り外しするには手間がかかり、不審な挙動が伴うことで盗難が防止されることとなる。
このようにして成る盗難防止用節水弁Bは、使用される個所での吐水量に応じて制水駒4でその節水が図られるとともに、泡沫発生体5で水はねが防止され、取付け状態では盗難防止が図られるので安心である。
なお、節水弁Aはその取付け場所によって盗難の心配がない状況下では、それ用として接合金具1の周部下端と泡沫発生体5の上端間に間隙6のないものも提供される。また、鍵9はその下方に2面幅としてのスパナ掛け9cが設けられるほか、手回しに都合の良いように円筒部9aの外周にローレット加工(図外)が施されることもある。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明は、製造上では接合金具の組立時の制水駒の紛失もなく、能率向上とともに、構造簡易化による省力化で市場価格の低廉化に対応でき、使用上では衛生設備や厨房などの水栓に広く使用されて節水効果を達成するから、医療機関や学校給食、飲食業界等広く水を扱う業界に貢献できる上、盗難防止が図られて安心して使用できるなどで、その需要は益々増大するものである。
【符号の説明】
【0012】
1:接合金具
1a:雄ネジ
2:凹部
2a:雌ネジ
2b:パッキング
3:通水室
3a:段差部
4:制水駒
4a:通水盤
4aa:ネジ孔
4ab:通水孔
4b:制水盤
4ba:ネジ挿通孔
4bb:蝶羽根
5:泡沫発生体
5a:泡沫発生部
5b:パッキング
5c:雌ネジ
5d:凹溝
6:間隙
7:口端
8:盗難防止筒
8a:筒本体
8b:座盤
9:鍵
9a:円筒部
9b:突起
9c:スパナ掛け
10:吐水口部
11:横形自在水栓
A:節水弁
B:盗難防止用節水弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端が水栓の口端に接合される接合金具に形成された通水室に制水駒が内蔵され、該制水駒が、その中心を通る直径上に対称に蝶羽根を設けて成る制水盤と、該制水盤に重畳されて前記蝶羽根間に露出される盤面内でその中心に点対称状に所要形状で所要数の通水孔を開口して成る通水盤とが、その中心で流量調節自在に螺合されて成り、前記接合金具の下端に泡沫発生体が螺設されて成る節水弁おいて、
前記制水駒の通水盤が通水室の上部に圧入内嵌されて成る節水弁。
【請求項2】
前記泡沫発生体が、その上端に接合金具の周部とで所要の間隙を形成して螺合されるとともに、その下端に回動手段が配設されて成る請求項1記載の節水弁。
【請求項3】
請求項2記載の節水弁と、円筒状の筒本体の丈方向所要位置の内周に所要厚の座盤を周設して成る盗難防止筒とから成り、前記節水弁の間隙に前記座盤を遊嵌して該盗難防止筒に節水弁を収蔵して成る盗難防止用節水弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−174234(P2011−174234A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37193(P2010−37193)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【特許番号】特許第4691609号(P4691609)
【特許公報発行日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(308016426)エコライン株式会社 (3)
【Fターム(参考)】