説明

監視装置

【課題】本発明によれば、正しい中央側パソコンからの制御指令に基づいた制御を実行する監視装置を提供する。
【解決手段】ネットワーク200と通信するコネクタと、監視制御対象304の状態を表す接点信号を入力する入力端子と、監視制御対象304へ制御信号を出力するための出力端子と、メモリと、CPUとからなり、監視制御対象304の設置される現場機装置側に設置され、遠隔制御指令を発信する中央側パソコン100と通信し、中央側パソコン100から送信される遠隔制御指令を受信したときに、遠隔制御指令のデータの中に含まれる中央側パソコン100のID番号を基に、アドレスを取得し、取得したアドレスに対して通信を行い、通信する相手の状態データを受け取り、受け取った状態データが遠隔制御指令送信中であるかを判定し、判定結果が正しければ、受信した遠隔制御指令に従って実行する機能を有する監視装置300。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関し装置に関し、特に上下水道の給水、配水設備や、産業用の生産設備、販売データ収集設備等を監視する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の監視システムにおいて、通信回線に常時接続と多重通信が可能なネットワークを利用する場合、現場機装置側に設置される監視装置は、複数箇所に設置されたパソコン等の通信機器と通信が可能となる(特許文献1参照)。このため、複数のパソコンから遠隔制御の信号を送信されることが可能になっていた。このため、複数のパソコンからの監視が可能となって、便利さが向上したが、不特定多数から重要な装置の遠隔制御が可能となり、セキュリティ上の問題が生じた。すなわち、悪意を持つ侵入者から重要な設備を遠隔制御されるリスクが発生するとともに、設備に対する知識が少ないものがパソコンを操作している間に、誤って遠隔制御操作をしてしまうリスクが発生した。
【特許文献1】特開平10−327259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明では、常時接続と多重通信が可能なネットワークを利用する場合に、監視制御対象設備の遠隔監視をできる対象者は増やすが、遠隔制御を実行できる対象者を限定して、監視対象設備の不適切な運転のリスクを減らそうとするものである。このために、遠隔制御指令を出力できるパソコンを限定して、特定の場所でないと遠隔制御ができないようにする。ネットワークから侵入して遠隔制御をする手段をなくすために、遠隔制御をするパソコンを特定する手段を提供する。また、緊急の遠隔操作が確実にできるように、遠隔制御指令出力ができるパソコンを複数台設定できるようにするものである。
さらに、パソコンによって、すべての遠隔制御の操作ができるパソコンと一部の遠隔制御の操作しかできないパソコンとに設定する仕組みを提供し、遠隔監視制御システムの運用方式を構築しやすくする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題点を踏まえ、本発明は、ネットワーク又はネットワークに接続するモデムと通信するコネクタと、監視制御対象の状態を表す接点信号を入力する入力端子と、前記監視制御対象へ制御信号を出力するための出力端子と、メモリと、CPUとからなり、前記監視制御対象の設置される現場機装置側に設置され、遠隔制御指令を発信する中央側パソコンと通信し、前記中央側パソコンから送信される遠隔制御指令を受信したときに、前記遠隔制御指令のデータの中に含まれる中央側パソコンのID番号を基に、中央側パソコンのアドレスを取得し、取得したアドレスに対して通信を行い、通信する相手の状態データを受け取り、受け取った状態データが遠隔制御指令送信中であるかを判定し、判定結果が正しければ、受信した遠隔制御指令に従って実行する機能を有する監視装置である。
【0005】
また、本発明は、前記判定結果が正しいとき、前記判定結果を前記中央側パソコンに送信し、前記中央側パソコンからの実施可指令を受信してから、前記遠隔制御指令にしたがって実行する監視装置である。
【0006】
そして、本発明は、前記中央側パソコンに対し、前記監視制御対象へ出力する制御信号の種類に応じて実行可又は不可とする監視装置である。
【0007】
更に、本発明は、ネットワーク又はネットワークに接続するモデムと通信するコネクタと、監視制御対象の状態を表す接点信号を入力する入力端子と、監視制御対象へ制御信号を出力するための出力端子と、メモリと、CPUとからなり、前記監視制御対象の設置される現場機装置側に設置され、遠隔制御指令を発信する中央側監視装置と通信し、前記中央側監視装置から送信される遠隔制御指令を受信したとき、前記遠隔制御指令のデータの中に含まれる中央側監視装置のID番号を基に、中央側監視装置のアドレスを取得し、取得したアドレスに対して通信し、通信相手から遠隔制御データを読み出し、その読み出した遠隔制御データが最初に受信した遠隔制御指令と同一であるか判定し、同一であれば、遠隔制御指令に従って実行する機能を有する監視装置である。
【0008】
また、本発明は、中央側監視装置に対し、前記監視制御対象へ出力する制御信号の種類に応じて実行可又は実行不可とする監視装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、正しい中央側パソコンからの制御指令に基づいた制御を実行する監視装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。
以下、本発明の監視装置の実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例】
【0011】
実施例を説明する。図1に本実施例の監視装置を適用した監視システム全体の構成を示す。監視装置300〜303は監視制御対象304〜307の運転状況をそれぞれ監視し、制御出力を行う。また、監視装置300〜303は、ネットワーク200を介して、あるいは更にインターネット210により、中央側のパソコン100、101、151、152と接続し、データの送受信を行う。監視装置300は、図示していないが、ネットワーク200と通信するコネクタ、監視制御対象304の状態を表す接点信号を入力する入力端子、監視制御対象304へ制御信号を出力するための出力端子、メモリ、CPUを備えており、コンピュータ機能を有している。メモリには、後述する機能を行うプログラムを格納している。
【0012】
中央側のパソコンは、監視装置の遠隔制御が可能なパソコン100、101と、制御不可のパソコン151、152とがある。
【0013】
実施例におけるネットワーク構成について、図2を用いて説明する。監視制御対象及び監視装置を監視し制御する作業者がいる中央監視室には、制御可能なパソコンと制御不可のパソコン、及び中央側監視装置180が設置される。中央監視室外に設置され、ネットワークに接続されるパソコンは、通常、制御不可である。中央側監視装置180は、制御可のパソコン100と同様に、監視装置100に制御指令を出すことができる。
【0014】
実施例において、制御可能なパソコン100からの制御処理の一例について、図3を用いて説明する。パソコン100は、遠隔制御指令として、中央側IDと「制御データ」送信とからなる信号401を監視装置300に送信する。監視装置300は、信号401を受信し、子局側IDと「制御状態問合せ」送信とからなる信号402をパソコン100へ返信する。パソコン100は、問合せの信号402を受信し、中央側IDと「制御状態」送信とからなる信号403を監視装置300に送信する。監視装置300は、受信した信号403を基にして、パソコン100が「制御状態」送信であることがわかるので、正しいパソコンであると判定し、子局側IDと「制御データ」返信とからなる信号404をパソコン100へ返信する。パソコン100は、信号404を受信し、中央側IDと「制御開始」送信とからなる信号405を監視装置300に送信し、監視装置300は、信号405を受信し、制御内容に対応した制御動作実行の指示501を監視制御対象500に送信する。そして、監視装置300は、子局側IDと「制御結果」送信とからなる信号406をパソコン100へ返信する。このようにして、正しいパソコンからの指示があったとき、確認動作をして、実行することができる。
【0015】
実施例において、制御不可のパソコン150からの制御指示がなされたときの処理の一例について、図4を用いて説明する。パソコン150は、遠隔制御指令として、中央側IDと「制御データ」送信とからなる信号451を監視装置300に送信する。監視装置300は、信号451を受信し、子局側IDと「制御状態問合せ」送信からなる信号452をパソコン150へ返信する。パソコン150は、問合せの信号452を受信し、中央側IDと「非制御中」送信とからなる信号453を監視装置300に送信する。監視装置300は、受信した信号453を基にして、パソコン150が「非制御中」送信であることがわかるので、制御不可のパソコンであると判定し、子局IDと「制御失敗」返信とからなる信号454をパソコン150へ返信する。制御不可のパソコン150からの指示であるので、監視装置300は、制御動作なし503となる。このようにして、制御不可のパソコン150からの指示があっても、確認動作をすることにより、実行されることはない。
【0016】
実施例において、パソコンごとに制御可能範囲を規定するテーブルを設けて、実行可と実行不可を区別することができる。テーブルの一例を図5に示す。この例では、ID1のパソコンは、ポンプ運転、ポンプ停止、電源ON、電源OFFの全ての制御が可である。ID2のパソコンは、ポンプ運転、ポンプ停止の制御が可であるが、電源ON、電源OFFの制御が不可である。ID3のパソコンは、ポンプ運転、ポンプ停止、電源ON、電源OFFの全ての制御が不可である。このようなテーブルを監視装置が有することにより、中央側パソコンごとに制御可能範囲を制限し、監視制御対象へ出力する制御信号の種類に応じて実行可又は実行不可とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例の監視装置が適用されるシステム全体の構成の説明図。
【図2】実施例の監視装置が適用されるシステムと中央監視室の説明図。
【図3】実施例における制御可能パソコンからの制御の説明図。
【図4】実施例における制御不可パソコンからの制御の説明図。
【図5】実施例におけるパソコンごとの制御可能範囲を規定するテーブルの説明図。
【符号の説明】
【0018】
100 パソコン(制御可能)
151 パソコン(制御不可)
200 ネットワーク
210 インターネット
300 監視装置
304 監視制御対象
310 制御出力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク又はネットワークに接続するモデムと通信するコネクタと、監視制御対象の状態を表す接点信号を入力する入力端子と、前記監視制御対象へ制御信号を出力するための出力端子と、メモリと、CPUとからなり、
前記監視制御対象の設置される現場機装置側に設置され、遠隔制御指令を発信する中央側パソコンと通信し、前記中央側パソコンから送信される遠隔制御指令を受信したときに、前記遠隔制御指令のデータの中に含まれる中央側パソコンのID番号を基に、中央側パソコンのアドレスを取得し、取得したアドレスに対して通信を行い、通信する相手の状態データを受け取り、受け取った状態データが遠隔制御指令送信中であるかを判定し、判定結果が正しければ、受信した遠隔制御指令に従って実行する機能を有することを特徴とする監視装置。
【請求項2】
請求項1記載の監視装置において、
前記判定結果が正しいとき、前記判定結果を前記中央側パソコンに送信し、前記中央側パソコンからの実施可指令を受信してから、前記遠隔制御指令にしたがって実行することを特徴とする監視装置。
【請求項3】
請求項1記載の監視装置において、
前記中央側パソコンに対し、前記監視制御対象へ出力する制御信号の種類に応じて実行可又は不可とすることを特徴とする監視装置。
【請求項4】
ネットワーク又はネットワークに接続するモデムと通信するコネクタと、監視制御対象の状態を表す接点信号を入力する入力端子と、監視制御対象へ制御信号を出力するための出力端子と、メモリと、CPUとからなり、
前記監視制御対象の設置される現場機装置側に設置され、遠隔制御指令を発信する中央側監視装置と通信し、前記中央側監視装置から送信される遠隔制御指令を受信したとき、前記遠隔制御指令のデータの中に含まれる中央側監視装置のID番号を基に、中央側監視装置のアドレスを取得し、取得したアドレスに対して通信し、通信相手から遠隔制御データを読み出し、その読み出した遠隔制御データが最初に受信した遠隔制御指令と同一であるか判定し、同一であれば、遠隔制御指令に従って実行する機能を有することを特徴とする監視装置。
【請求項5】
請求項4記載の監視装置において、
中央側監視装置に対し、前記監視制御対象へ出力する制御信号の種類に応じて実行可又は実行不可とすることを特徴とする監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−17087(P2009−17087A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−175004(P2007−175004)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
【Fターム(参考)】