説明

目標検出装置及び目標検出方法

【課題】目標検出の誤警報の低減を図り得るレーダ装置の目標検出装置を提供する。
【解決手段】目標検出部において、事前に受信ビデオ信号からクラッタの分布を形状パラメータ及びスレッショルド算出処理部162にて推定し、さらに擬似的な目標を示すテストセルを含めた形状ペラメータに対応するスレッショルドをレーダの1スキャンごとにスレッショルドメモリ163に記憶しておき、検出判定部165により、このスレッショルドメモリ163に記憶されたスレッショルドを利用して、ワイブルCFAR処理部164による処理から目標を検出するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダ装置の目標検出装置及び目標検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ミサイル誘導用のレーダ装置において、従来はクラッタ分布がレイリー分布であるとしたセルアベレージCFAR(constant false alarm rate)(例えば、非特許文献1)が実施されてきた。また、レイリー以外のクラッタ分布に対応するワイブルCFARの使用も提案されている。レイリー、ワイブル、指数等の分布推定にはAIC(赤池情報量規定)(例えば、非特許文献2)やTIC(竹内情報量規定)(例えば、非特許文献3)を使用することで可能となる。しかし、ワイブルCFARで提案されているように形状パラメータを平均値から推定することも可能となる。
【0003】
ワイブルCFARはクラッタ分布に応じて形状パラメータを可変させることにより適切なスレッショルドを求め目標検出する処理であるが、テストセル以外のデータ平均値を使用することからテストセルにインパルス的な信号が入った場合は平均値が下がり形状パラメータを誤ってしまう。また、テストセルを含めた平均値による分布推定は誤警報低減に多大な効果があるが、目標も検出しなくなるという致命的な問題を生じさせる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】関根松夫,”レーダ信号処理技術”,(社)電子情報通信学会,pp113-119.
【非特許文献2】坂本慶行、石黒真木夫、北川源四郎,”情報量統計学”,共立出版,pp42-64.
【非特許文献3】小西貞則, 北川源四郎, “シリーズ予測と発見の科学情報量規準”, 朝倉書店,pp46〜54.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上、述べたように従来のセルアベレージCFARはレイリー分布以外の分布に対し適切なスレシュルドにならず、ワイブルCFARでは部分的に形状パラメータ推定を誤るという問題が生じる。
【0006】
クラッタからの反射の中には、目標に似た分布(指数分布)のものがある。これはあるレンジのみ振幅が高く、他のレンジの振幅は小さい、つまりインパルス的な分布を示す。このとき、ワイブルCFARを通すと目標と見分けが付かなくなり誤警報となる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、目標検出の誤警報の低減を図り得るレーダ装置の目標検出装置及び目標検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明に係る目標検出装置は、レーダ波を放射して目標が存在すると推定される空間をスキャンし、レーダ波の反射波を受信するアンテナ部を有するレーダ装置に用いられ、アンテナ部で得られる受信ビデオ信号から目標以外のクラッタの分布を推定するクラッタ分布推定部と、このクラッタ分布推定部で得られかつ擬似的な目標を示すテストセルを含めた分布情報を1スキャンごとに記憶する記憶部と、アンテナ部で得られる受信ビデオ信号と記憶部に記憶された分布情報との照合に基づいて、目標を検出する検出部とを備えるようにしたものである。
【0009】
この構成によれば、事前にアンテナ部で得られる受信ビデオ信号からクラッタの分布を推定し、さらに擬似的な目標を示すテストセルを含めた分布情報を1スキャンごとに記憶部に記憶しておき、この記憶部に記憶された分布情報を利用して、実際にアンテナ部で得られる受信ビデオ信号から目標を検出するようにしている。このため、アンテナ部で得られる受信ビデオ信号中にインパルス信号が入る場合であっても、目標の検出を安定して行うことができる。また、目標に似たクラッタ反射分布も検出し難く、誤警報の低減を図ることができる。
【0010】
さらに、アンテナ部で得られた受信ビデオ信号の一部の平均値から形状パラメータ及びスレッショルドを求める処理部を備え、クラッタ分布推定部は、受信ビデオ信号からクラッタの形状パラメータを基にしたスレッショルドを方位、レンジに対して求め、記憶部は、クラッタ分布推定部で求められたスレッショルドを1スキャンごとに記憶し、検出部は、処理部の出力形状パラメータに対応するスレッショルドと記憶部に記憶された形状パラメータに対応するスレッショルドとの照合に基づいて、目標を検出するようにしたものである。
【0011】
この構成によれば、アンテナ部で得られた受信ビデオ信号の一部の平均値から形状パラメータを求めるとともに、事前に求められ記憶部に記憶された形状パラメータを基にしたスレッショルド、例えばテストセルを含む形状パラメータを基にしたスレッショルドと比較照合することで目標検出を行うようにしたことにより、従来のワイブルCFARに対し、特にクラッタが厳しい環境や、諸事情でクラッタ抑圧が十分でない場合であっても、誤警報の低減を図ることができる。
【0012】
上記検出部は、処理部の出力形状パラメータを基にしたスレッショルドと記憶部に記憶された複数スキャンの形状パラメータを基にしたスレッショルドとを比較し、この比較結果に基づいて、複数スキャンのうち任意のスキャンのスレッショルドを選択する選択手段と、この選択されたスレッショルドに基づいて処理部の出力形状パラメータの推定誤りを補償するパラメータ補償手段とを備えるようにしたものである。
【0013】
この構成によれば、実時間処理においてはワイブルCFARを実施するが、事前に記憶してあるスレッショルドとワイブルCFARで得られたスレッショルドとを比較し、複数スキャンのうち任意のスキャンのスレッショルドを選択し、目標検出を行うようにしている。このため、テストセルにインパルス信号が入る場合のワイブルCFARの形状パラメータ推定誤りを補償するとともに適切な形状パラメータをスレッショルドとして与えることができる。
【0014】
さらに、記憶部に記憶され複数スキャンの形状パラメータから求められたスレッショルドの平均値を演算する平均値演算部を備え、検出部は、処理部の出力形状パラメータに対応するスレッショルドと平均値演算部で求められた平均値との照合に基づいて、目標を検出するようにしたものである。
【0015】
この構成によれば、記憶部に記憶された複数スキャンの形状パラメータを基にしたスレッショルドの平均値を求めて、この平均値とワイブルCFARで得られたスレッショルドとを比較照合して、目標検出を行うようにしているので、目標検出に対して複数スキャンの期待値を反映することができる。
【0016】
さらに、記憶部の記憶内容を目標の速度に応じて更新する更新部を備えるようにしたものである。
【0017】
この構成によれば、目標の移動速度に合わせて目標検出を行うことが可能となる。
【0018】
上記クラッタ分布推定部は、MTI(moving target indication)及びパルスドップラ処理を実行する場合に、事前にMTI後の消え残りマップから形状パラメータを算出するものである。
【0019】
この構成によれば、MTI後の消え残りマップの過去形状パラメータを基にしたスレッショルドのみ記憶部に記憶させるだけでよく、これにより記憶部の記憶容量を低減できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、目標検出の誤警報の低減を図り得るレーダ装置の目標検出装置及び目標検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る目標検出装置が用いられるレーダ装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る目標検出部の構成を示すブロック図。
【図3】受信ビデオ信号の信号特性を示す図。
【図4】上記図2に示した受信ビデオ生成部、形状パラメータ及びスレッショルド算出処理部、スレッショルドメモリ、ワイブルCFAR処理部、検出判定部それぞれの具体的構成を示す処理回路。
【図5】形状パラメータの信号特性を示す図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る目標検出部の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る目標検出装置が用いられるレーダ装置の構成を示すブロック図である。図1において、アンテナ11は、アンテナ走査部12によって高低(AZ)方向及び方位(EL)方向に電子走査される。また、レーダ装置の送信系統を構成するレーダ送信部111から出力されるレーダパルスは、アンテナ11にて所定方向に向けてレーダ波として照射される。このアンテナ11は、例えばフェーズドアレイアンテナで、一定範囲でレーダ波を照射して空間をスキャンすることが可能となっている。
【0023】
上記レーダ送信部111から出力されるレーダパルスは、変調器13により、基準信号発生器14で生成される基準信号に基づいてパルス変調される。
【0024】
上記アンテナ11で受信されたレーダ波の反射波は、受信処理部15に供給される。受信処理部15は、変調器13から出力される基準信号に基づいてレーダパルスに与えた変調成分を相関抽出(パルス圧縮等)し、クラッタ抑圧処理(MTI、パルスドップラ等)を行い、所定の受信処理結果を目標検出部16に出力する。
【0025】
目標検出部16は、検出確率設定を基にスレッショルド(しきい値)を求め、比較することで目標を検出するもので、その検出結果は目標レポート管理部17でターゲットレポートとしてデータベース化された後、目標相関・追随処理部18に送られる。目標相関・追随処理部18は、上記目標検出部16で検出された目標情報に基づいて追跡信号を生成する。この追跡信号は、アンテナ走査部12の走査制御と共に、アンテナ11を目標中心に位置させる追跡制御に供される。
【0026】
図2は、本発明に係る上記目標検出部16の構成を示すブロック図である。この目標検出部16は、受信ビデオ生成部161と、形状パラメータ及びスレッショルド算出処理部162と、スレッショルドメモリ163と、ワイブルCFAR処理部164と、検出判定部165とを備えている。
【0027】
受信ビデオ生成部161は、レーダが動作開始した時点で、上記受信処理部15からの受信処理結果を入力とし、これを処理して図3に示すような受信ビデオ信号を生成する。この受信ビデオ信号は、ワイブルCFAR処理部164に出力されるとともに、形状パラメータ及びスレッショルド算出処理部162に出力される。
【0028】
ワイブルCFAR処理部164は、入力された受信ビデオ信号に対しワイブルCFAR処理を実行する。同時に、形状パラメータ及びスレッショルド算出処理部162は、受信ビデオ信号から形状パラメータに則したスレッショルドを求める。そして、求めたスレッショルドをスキャン毎にスレッショルドメモリ163に記憶する。
【0029】
検出判定部165は、J+1スキャン時からワイブルCFAR処理部164による実時間形状パラメータから求めたスレッショルドと、1スキャン目の形状パラメータから求めたスレッショルドを比較し、より大きいスレッショルドを選択し信号検出を行う。同様にJ+2スキャン時は2スキャン目の形状パラメータから求めたスレッショルド、・・・・、J+Mスキャン時はMスキャン目の形状パラメータから求めたスレッショルドを比較し、ワイブルCFARのスレッショルドと比べより大きいスレッショルドを選択し信号検出を行う。
【0030】
次に、上記構成における動作について説明する。
図4は、上記受信ビデオ生成部161、形状パラメータ及びスレッショルド算出処理部162、スレッショルドメモリ163、ワイブルCFAR処理部164、検出判定部165それぞれの具体的構成を示す処理回路である。ここでは、ワイブルCFAR処理部164は、図5(a)に示すように、擬似目標となるテストセルとガードセル(図4ではブランクセル)を除く32レンジの平均値から形状パラメータを求めスレッショルドを算出する。
【0031】
一方、形状パラメータ及びスレッショルド算出処理部162は、図5(b)に示すように、分布推定スレッショルドの計算にはテストセル、ガードセルを含めた35レンジの平均値を使用する。
【0032】
平均値と形状パラメータの関係は式1及び式2に示すようになる。
【数1】

【0033】
分散は、式3に示すようになる。
【数2】

【0034】
ここで、式1と式2の比をとると、式4に示すようになり、βのみの関数となる。
【数3】

【0035】
つまり、xの平均と2乗平均を計算することにより、形状パラメータβの値を決定できる。
【0036】
次に形状パラメータ(β)とスレッショルド(T)の関係を式5で示す。
【数4】

【0037】
Nはサンプルデータ数(ワイブルCFARでは32,分布推定スレッショルド計算では35)、Γはガンマ関数、pfaは誤警報確率である。
【0038】
以上の処理は、ワイブルCFAR処理部164の積分器1641〜1644と、加算器1645〜1647と、割算器1648と、スレッショルド算出部1649とにより実行される。また、形状パラメータ及びスレッショルド算出処理部162の積分器1621,1622と、割算器1623と、スレッショルド算出部1624とにより実行される。
【0039】
このとき、例えばクラッタ抑圧処理として、MTIとパルスドップラ処理を実施していたなら、スレッショルドメモリ163に全バンクの過去形状パラメータを記憶することは容量が膨大となるので、MTI後の消え残りマップの過去形状パラメータのみ記憶させ、全バンクに適用後、同一レンジについては最大値をとる。
【0040】
上記検出判定部165は、スレッショルド選択手段としてのスレッショルド比較器1651と、パラメータ補償手段としての乗算器1652とを備えている。スレッショルド比較器1651は、ワイブルCFAR処理部164のスレッショルド算出部1624により求められたスレッショルドと、スレッショルドメモリ163に記憶された複数スキャンの形状パラメータを基にしたスレッショルドとを比較し、この比較結果に基づいて、複数スキャンのうち最大のスレッショルドを選択する。乗算器1652は、この選択された最大のスレッショルドを、加算器1646の出力に乗算することでワイブルCFAR処理部164の出力形状パラメータの推定誤りを補償するものである。
【0041】
また、検出判定部165におけるJを決める為の考え方を示す。目標の移動が1スキャンでどの程度動くかによりJは換える必要がある。探知したい目標の最小速度に合わせてNを選択する。すなわち、式6に従って、Jを決めることになる。
【数5】

【0042】
例えば1スキャン2秒で、最小目標速度を50m/sとする。そして1レンジ分解能を50mとするならJは2以上となる。
【0043】
以上のように上記第1の実施形態では、目標検出部16において、事前に受信ビデオ信号からクラッタの分布を形状パラメータ及びスレッショルド算出処理部162にて推定し、さらに擬似的な目標を示すテストセルを含めた形状ペラメータから求めたスレッショルドをレーダの1スキャンごとにスレッショルドメモリ163に記憶しておき、検出判定部165により、このスレッショルドメモリ163に記憶されたスレッショルドを利用して、ワイブルCFAR処理部164による処理から目標を検出するようにしている。このため、受信ビデオ信号中にインパルス信号が入る場合であっても、目標の検出を安定して行うことができる。また、目標に似たクラッタ反射分布も検出し難く、誤警報の低減を図ることができる。
【0044】
また、上記第1の実施形態では、ワイブルCFAR処理部164にて受信ビデオ信号の一部の平均値から形状パラメータを求め、スレッショルドを求めるとともに、形状パラメータ算出処理部162により事前に求められスレッショルドメモリ163に記憶された形状パラメータ、例えばテストセルを含む形状パラメータから求められたスレッショルドと比較照合することで目標検出を行うようにしたことにより、従来のワイブルCFARに対し、特にクラッタが厳しい環境や、諸事情でクラッタ抑圧が十分でない場合であっても、誤警報の低減を図ることができる。
【0045】
また、上記第1の実施形態では、実時間処理においてはワイブルCFARを実施するが、事前に記憶してあるスレッショルドとワイブルCFARで得られた形状パラメータを基にしたスレッショルドとを比較し、複数スキャンのうち任意のスキャンのスレッショルドを選択し、目標検出を行うようにしている。このため、テストセルにインパルス信号が入る場合のワイブルCFARの形状パラメータ推定誤りを補償するとともに適切な形状パラメータをスレッショルドとして与えることができる。
【0046】
さらに、上記第1の実施形態では、スレッショルドメモリ163の記憶内容を目標の速度に応じて更新する機能も備えることもできるので、目標の移動速度に合わせて目標検出を行うことが可能となる。
【0047】
また、上記第1の実施形態では、MTI後の消え残りマップの過去形状パラメータを基にしたスレッショルドのみスレッショルドメモリ163に記憶させるだけでよく、これによりスレッショルドメモリ163の記憶容量を低減できる。
【0048】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係る目標検出部16の構成を示すブロック図である。図6において、上記図2と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0049】
ここでは、スレッショルド平均処理部166を備えている。スレッショルド平均処理部166は、スレッショルドメモリ163に記憶されたJスキャンまでの形状パラメータを基にしたスレッショルドの平均値を演算する。
【0050】
上記検出判定部165は、ワイブルCFAR処理部164により実時間形状パラメータから求めたスレッショルドと、1スキャン〜Jスキャン迄の平均のスレッショルドから計算したスレッショルドを比較し、より大きいスレッショルドを選択し信号検出を行う。同様に、J+2のときは2スキャン目からJ+1スキャン目のスレッショルドの平均から求めたスレッショルド、・・・、J+MのときはMスキャン目からM+Jスキャン目のスレッショルドの平均から求めたスレッショルドを比較し、ワイブルCFARのスレッショルドと比べより大きい方を選択し信号検出を行う。
【0051】
以上のように上記第2の実施形態では、上記第1の実施形態と同様な作用効果が得られるとともに、スレッショルドメモリ163に記憶されたJスキャンまでのスレッショルドの平均値を求めて、この平均値とワイブルCFAR処理部164で得られた形状パラメータとを比較照合して、目標検出を行うようにしているので、目標検出に対し複数スキャンの期待値を使用できる。
【0052】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、上記目標検出部16をクラッタの抑圧機能を持たないレーダ装置に用いるようにしてもよい。この場合、クラッタが厳しい環境や、諸事情でクラッタ抑圧が十分でない場合であっても、誤警報の低減を図ることができる。
【0053】
また、上記各実施形態で説明した目標検出部16の個々の処理は、コンピュータプログラムによってソフトウェア処理することが可能である。
【0054】
その他、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0055】
11…アンテナ、12…アンテナ走査部、13…変調器、15…受信処理部、16…目標検出部、17…目標レポート管理部、18…目標相関・追随処理部、161…受信ビデオ生成部、162…形状パラメータ及びスレッショルド算出処理部、163…スレッショルドメモリ、164…ワイブルCFAR処理部、165…検出判定部、166…スレッショルド平均処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダ波を放射して目標が存在すると推定される空間をスキャンし、前記レーダ波の反射波を受信するアンテナ部を有するレーダ装置に用いられ、
前記アンテナ部で得られる受信ビデオ信号から前記目標以外のクラッタの分布を推定するクラッタ分布推定部と、
このクラッタ分布推定部で得られかつ擬似的な目標を示すテストセルを含めた分布情報を1スキャンごとに記憶する記憶部と、
前記アンテナ部で得られる受信ビデオ信号と前記記憶部に記憶された分布情報との照合に基づいて、前記目標を検出する検出部とを具備したことを特徴とする目標検出装置。
【請求項2】
さらに、前記アンテナ部で得られた受信ビデオ信号の一部の平均値から形状パラメータ及びスレッショルドを求める処理部を備え、
前記クラッタ分布推定部は、前記受信ビデオ信号から前記クラッタ及び前記テストセルを含めた形状パラメータを基にしたスレッショルドを方位、レンジに対して求め、
前記記憶部は、前記クラッタ分布推定部で求められたスレッショルドを1スキャンごとに記憶し、
前記検出部は、前記処理部の出力形状パラメータを基にしたスレッショルドと前記記憶部に記憶されたスレッショルドとの照合に基づいて、前記目標を検出することを特徴とする請求項1記載の目標検出装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記処理部の出力形状パラメータを基にしたスレッショルドと前記記憶部に記憶され複数スキャンの形状パラメータを基にしたスレッショルドとを比較し、この比較結果に基づいて、複数スキャンのうち任意のスキャンのスレッショルドを選択する選択手段と、この選択されたスレッショルドに基づいて前記処理部の出力形状パラメータの推定誤りを補償するパラメータ補償手段とを備えたことを特徴とする請求項2記載の目標検出装置。
【請求項4】
さらに、前記記憶部に記憶され複数スキャンの形状パラメータから求められたスレッショルドの平均値を演算する平均値演算部を備え、
前記検出部は、前記処理部の出力形状パラメータを基にしたスレッショルドと前記平均値演算部で求められた平均値との照合に基づいて、前記目標を検出することを特徴とする請求項2記載の目標検出装置。
【請求項5】
さらに、前記記憶部の記憶内容を前記目標の速度に応じて更新する更新部を備えたことを特徴とする請求項1記載の目標検出装置。
【請求項6】
前記クラッタ分布推定部は、MTI及びパルスドップラ処理を実行する場合に、事前にMTI後の消え残りマップから形状パラメータを算出することを特徴とする請求項2記載の目標検出装置。
【請求項7】
前記レーダ装置は、前記クラッタの抑圧機能を持たないレーダ装置であることを特徴とする請求項1記載の目標検出装置。
【請求項8】
レーダ波を放射して目標が存在すると推定される空間をスキャンし、前記レーダ波の反射波を受信するアンテナ部で得られる受信ビデオ信号から前記目標以外のクラッタの分布を推定し、
推定されかつ擬似的な目標を示すテストセルを含めた分布情報を1スキャンごとにメモリに記憶し、
前記アンテナ部で得られる受信ビデオ信号と前記メモリに記憶された分布情報との照合に基づいて、前記目標を検出するようにしたことを特徴とする目標検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−203214(P2011−203214A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73343(P2010−73343)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】