説明

省エネルギー支援システム

【課題】省エネルギー支援システムにおいて、電力の使用場所が多い大規模事業者が、利用者がリアルタイムで電力の使用量を知り、電力使用を抑える対応をとることができ、効率的に、電力管理をおこなう。
【解決手段】電機機器の消費電力量を測定する電力計測モニター(子機)と、温度、湿度を測定する温湿度センサー(子機)を、電力を消費する各サイトに設置し、電力管理端末(親機)が、それらから測定データを無線により受信し、保持する。そして、電力管理端末は、測定データを表示端末に無線により送信し、表示端末は、各サイトでの消費電力量や温度、湿度の状況をリアルタイムに表示する。電力管理端末は、一定期間における消費電力量を積算して、警告する上限の消費電力量に達したときに、表示端末に、警告画面を表示するように指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省エネルギー支援システムに係り、特に、大企業やフランチャイズ業態のような大規模な経済活動をおこなう企業体で、効果的に省エネルギー支援を行うのに好適な省エネルギー支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境問題、特に温室効果ガスの削減が論じられており、各企業でも省エネルギー対策をとることが必要となっている。
【0003】
これを受けて、平成20年改正、平成22年4月より施行された「エネルギー使用の合理化に関する法律」では、これまでの工場、事業場単位のエネルギー管理から、事業者単位(企業単位)でエネルギー管理をするように規制体系が変更され、ある一定以上の店舗やオフィスを所有する法人にも、店舗やオフィスを含む企業全体での消費電力の把握と報告が義務付けられている。そして、事業者に「中長期的に見て年平均1%以上のエネルギー消費原単位の低減」という努力目標が課されることになった。
【0004】
このように企業として省エネルギーに取り組むために、コンピュータシステムによりエネルギー管理を行うシステムが提案されている。
【0005】
特許文献1には、負荷運用・調整履歴データベースに蓄積された履歴データに基づいて設置機器のエネルギーの負荷調整幅を予測結果として出力するエネルギー管理システムが開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、過去の使用エネルギーの実績値の統計情報を表示し、将来の使用エネルギーの計画値を時間帯別に設定することのできる使用エネルギー管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−204833号公報
【特許文献2】特開2011−10470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の「エネルギー使用の合理化に関する法律」で規制される特定事業者、特定連鎖事業者(フランチャイズチェーン事業等の本部とその加盟店)は、事業者全体でエネルギー使用量が合計して、年間原油換算1500kl以上の大規模事業者である。
【0009】
このような大規模事業者にあっては、電力使用をおこなう工場、事業所、店舗(以下、このような、事業者が電力使用をおこなう場所を「サイト」ということにする)が多いため、各サイトでの電力使用を測定し、一元的に管理するためには、測定データをサーバにアップロードする必要がある。
【0010】
また、電力会社と大口の電力需要者との電力使用の契約である高圧受電契約、特別高圧契約においては、例えば、30分ごとの電力使用のピークとなる使用量を、その後の13ヶ月の基本料金の計算のベースとするなどのいわゆる「デマンド契約」がなされることが多い。
【0011】
そのため、電力使用料金を抑えるために、利用者がリアルタイムで電力の使用量を知り、電力使用を抑える対応をとる必要がある。特許文献1や特許文献2に示されたシステムでは、過去の電力使用量を表示したり、今後の電力予測はできるが、利用者がリアルタイムで、電力の使用を抑えるための対策をとることについては、考慮されていない。
【0012】
また、利用者がリアルタイムで電力の使用量を知り管理するために、従来より各サイトでの測定を短期間でおこなう必要があるが、電力の使用場所の多い大規模事業者にあっては、各サイトでの膨大な測定データを、無秩序にサーバに送信すると、通信の輻輳やサーバの過負荷に陥るという問題点があった。
【0013】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、電力の使用場所が多い大規模事業者が、利用者がリアルタイムで電力の使用量を知り、電力使用を抑える対応をとることができ、効率的に、電力管理をおこなうことのできる省エネルギー支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の省エネルギー支援システムにおいては、電力を消費する各サイトに設置され、電機機器の消費電力量を測定する電力計測モニターと、各サイトでの温度、湿度を測定する温湿度センサーと、電力計測モニターおよび温湿度センサーから、各々設置されたサイトにおける測定データを無線により受信し、保持する電力管理端末を有している。ここで、電力計測モニターと温湿度センサーが無線通信における子機であり、電力管理端末が親機に該当する。
【0015】
そして、管理者は、電力管理端末から各サイトにおける測定データを無線により受信し、その値を表示する表示端末により、各サイトでの消費電力事情や温度、湿度の状況をリアルタイムに知ることができる。
【0016】
また、この省エネルギー支援システムは、電力管理端末とインターネットなどのネットワークにより接続され、各サイトの管理情報を保持するサーバを有している。
【0017】
そして、電力管理端末は、サーバから各サイトでの警告する上限の消費電力量を受信して、保持し、一定期間における消費電力量を積算して、警告する上限の消費電力量に達したときに、表示端末に、警告画面を表示するように指示する。
【0018】
このときに、警告画面には、各サイトごとに固有のメッセージデータが表示され、対応が指示される。管理者は、その対応を実行したことを入力すると省エネルギーの対応をおこなったことが、サーバに履歴として残される。
【0019】
また、電力管理端末は、決められたアップロード時刻に、前記サーバに各サイトにおける測定データをアップロードし、サーバが、通信回線の輻輳やサーバの過負荷を検知したときに、電力管理端末に、アップロード時刻の変更を指示する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電力の使用場所が多い大規模事業者が、利用者がリアルタイムで電力の使用量を知り、電力使用を抑える対応をとることができ、効率的に、電力管理をおこなうことのできる省エネルギー支援システムを提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る省エネルギー支援システムのシステム構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電力管理端末の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る表示端末の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態で採り上げる事業者の店舗での様子を説明する図である。
【図5】電力管理端末100に保持される測定データテーブルを示す図である。
【図6】電力管理端末100から表示端末200に送信される測定データを示す図である。
【図7】サーバ20に保持されるサイト管理テーブルを示す図である。
【図8】サーバ20に保持される電力管理端末管理テーブルを示す図である。
【図9A】本発明の一実施形態に係る省エネルギー支援システムの各部の処理とやりとりされる情報を示すタイミングチャートである(その一)。
【図9B】本発明の一実施形態に係る省エネルギー支援システムの各部の処理とやりとりされる情報を示すタイミングチャートである(その二)。
【図10】省エネルギー支援システムのメイン画面を示す図である。
【図11】サイトにおける消費電力量のグラフを表示した画面を示す図である。
【図12】サイトにおける消費電力量、温度、湿度の一覧表を表示した画面を示す図である。
【図13】消費電力量の警告画面を示す図である。
【図14】集計画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る一実施形態を、図1ないし図14を用いて説明する。
【0023】
先ず、図1ないし図3を用いて、本発明の一実施形態に係る省エネルギー支援システムの構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る省エネルギー支援システムのシステム構成図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る電力管理端末の構成を示すブロック図である。
図3は、本発明の一実施形態に係る表示端末の構成を示すブロック図である。
【0024】
本実施形態にかかる省エネルギー支援システムは、図1に示されるように、電力管理端末100(親機)、電力計測モニター(子機)10a,10b、温湿度センサー10c(子機)、表示端末200、パルス検出器70、電力量センサー90、ルータ40、クライアント端末30、サーバ20からなる。
【0025】
電力管理端末100は、子機にあたる電力計測モニター10a,10bから、設備で一定時間消費する電力や温湿度センサー10cからの温度、湿度を測定データと受信し記憶し、ルータ40を介して、インターネットによりサーバ20に測定データをアップロードする。また、一定時間ごとの測定データを、表示端末200に送信する。さらに、測定データを積算して、表示端末200に警告を送ることもある。電力計測モニター10a,10b、湿温度センサー10cから、測定データを受信する間隔、および、電力量の測定間隔は、本実施形態では、1分とする。また、サーバ20に測定データをアップロードする期間は、本実施形態では、12時間とする。電力管理端末100の詳細な構成と動作は、後に、詳細に説明する。
【0026】
電力計測モニター10a,10bは、1分ごとに、電力量を計測した測定データを親機である電力管理端末100に送信する。電力計測モニター10aは、例えば、電力計60に設置されたパルス検出機70に接続され、電力量を計測するタイプのモニターであり、電力計測モニター10bは、例えば、分電盤80に設置された電力量センサー90に接続され、電力量を計測するタイプのモニターである。
【0027】
温湿度センサー10cは、1分ごとに、設置場所において、測定した温度、湿度を親機である電力管理端末100に送信する。
【0028】
表示端末200は、例えば、汎用のタブレットPCであり、電力管理端末100から送られてきた測定データに基づいて、各サイトでの消費電力量、湿度、温度の情報を表示する。また、時間ごと、日ごと、月ごとの各サイトでの消費電力量、湿度、温度の情報を、グラフ形式で表示する。さらに、各サイトでの消費電力量が、目標値を超えるおそれがあるときには、電力管理端末100から送られてくる情報に基づき、警告画面を表示する。
【0029】
ルータ40は、電力管理端末100をネットワークに接続する装置である。電力管理端末100は、ルータ40によりインターネットに接続され、サーバ20に測定データを送ったり、サーバ20の管理情報を受信する。
【0030】
サーバ20は、サイトの測定データを蓄積し、各サイトの管理情報を保持する。
【0031】
クライアント端末30は、サーバ20の測定データやそれに基づく、レポート情報を参照するための装置であり、例えば、ネットワークに接続できる汎用のパーソナルコンピュータ(以下、PCと称す)である。
【0032】
次に、電力管理端末100のハードウェア構成について詳細に説明する。
【0033】
電力管理端末100は、図2に示されるように、MPU110、RAM120、ROM130、ネットワークIF140、USBIF150、カードスロット160、無線IF170、アンテナ180からなる。
【0034】
MPU(Micro Processor Unit)110は、制御部であり、プログラムの実行、各種の演算をおこない、各部に入出力指令をおこなう。
【0035】
RAM(Random Access Memory)120は、半導体による主記憶装置であり、MPU110により実行するプログラムや演算のためのワークデータが保持される。
【0036】
ROM(Read Only Memory)130は、実行するプログラムを保持するメモリである。このROM130には、電力管理プログラムが装置の製造時に書き込まれる。電力管理プログラムは、子機からの測定データを受信し、SD/MicroSDカードに蓄える機能、各サイトでの測定データの消費電力量を積算し、テーブルとして保持する機能、定期的にサーバ20に測定データをまとめて送信する機能、サーバ20からのサイトの管理情報を受信し、参照する機能、各サイトからの測定データを表示端末200に送信する機能、測定データから各サイトでの消費電力量を積算して、目標の消費電力量に近づくと、表示端末200に警告を送る機能を有する。
【0037】
なお、電力管理プログラムは、サーバ20から定期的に書き換え、最新のものに更新するようにしてもよい。
【0038】
ネットワークIF140は、有線ネットワークのためのインターフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)により、ルータ40に接続される。電力管理端末100は、このネットワークIF140を介して、表示端末200に各サイトからの測定データを送信し、サーバ20に測定データをまとめて送信する。また、このネットワークIF140を介して、サーバ20からサイトの管理情報を受信する。
【0039】
USBIF150は、USB(Universal Serial Bus)機器を接続させるためのインターフェースである。USBは、汎用のシリアルインターフェースであり、本実施形態の電力管理端末100では、例えば、サーバ20のアドレスを書き込むなどのメインテナンス用に用いられる。
【0040】
カードスロット160は、SD/MicroSDメモリカードを差し込むためのスロットである。SD/MicroSDメモリカードは、フラッシュメモリを記憶媒体とした規格化されたメモリカードである。本実施形態の電力管理端末100は、このカードスロット160に差し込まれたSD/MicroSDメモリカードを補助記憶として用い、各サイトからの測定データや必要なテーブル類は、SD/MicroSDメモリカードに保持される。
【0041】
無線IF170は、アンテナ180から電波を送受信し、無線通信をおこなうためのインターフェースである。無線通信としては、例えば、周波数帯域2.4GHzのIEEE802.11b、Bluetoothなどの規格による通信を用いることができる。本実施形態の電力管理端末100は、この無線IF170を介して、各サイトに設置された子機から測定データを収集し、表示端末200に測定データや必要な情報を送信する。
【0042】
次に、表示端末200のハードウェア構成について詳細に説明する。
【0043】
電力管理端末100は、図3に示されるように、プロセッサ210、RAM212、フラッシュメモリ214、ディスプレイIF220、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)222、タッチパネルIF230、タッチパネル232、オーディオIF240、スピーカ242、カードスロット250、USBIF260、無線IF270、アンテナ272からなる。
【0044】
プロセッサ210は、制御部であり、プログラムの実行、各種の演算をおこない、各部に入出力指令をおこなう。
【0045】
RAM(Random Access Memory)212は、半導体による主記憶装置であり、プロセッサ210により実行するプログラムや演算のためのワークデータが保持される。
【0046】
フラッシュメモリ214は、実行するプログラムやデータを保持するメモリである。このフラッシュメモリ214には、例えば、USBIF230を介して電力管理プログラムがインストールされて保持される。電力管理プログラムは、電力管理端末100からの測定データを受信し、フラッシュメモリ214に保持し、それを画面に表示する機能、各サイトでの測定データの消費電力量を積算し、グラフとして表示する機能、無線IF270を介して、インターネットに接続されたサーバと通信し、天気予報情報などを受信し、表示する機能、各サイトでの消費電力量が、目標の消費電力量に近づいたときに、電力管理端末100から警告を受け取り、表示する機能を有する。
【0047】
ディスプレイIF220は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)222を接続するためのインターフェースである。
【0048】
タッチパネルIF230は、タッチパネル232を接続するためのインターフェースである。タブレットPCでは、表示部分と一体になったパネルを指などで触れて、コマンドや文字などを入力することができる。
【0049】
オーディオIF240は、音を出すために、スピーカ242や図示していないがヘッドフォンなどを接続するインターフェースである。後に説明するが、サイトでの目標電力に近づいたときに、警告画面を音と共に出すときに使用することができる。
【0050】
カードスロット250は、SDメモリカードを差し込むためのスロットである。本実施形態の表示端末220では、データ取込み用として、また、フラッシュメモリ214の容量が足りなくなったときのメモリとして使用することができる。
【0051】
USBIF260は、USB(Universal Serial Bus)機器を接続させるためのインターフェースである。USBは、汎用のシリアルインターフェースであり、本実施形態の表示端末200では、例えば、別のPCと接続し、プログラムや外部のデータを取り込んだり、周辺機器を接続するときに用いられる。
【0052】
無線IF270は、アンテナ272から電波を送受信し、無線通信をおこなうためのインターフェースである。本実施形態の表示端末200は、電力管理端末100から測定データや必要な情報を受信する。
【0053】
次に、図4を用いて本実施形態の省エネルギー支援システムと、事業者の電力消費モデルとの関連について説明する。
図4は、本発明の一実施形態で採り上げる事業者の店舗での様子を説明する図である。
【0054】
本発明の一実施形態で採り上げる事業者は、図4に示されるように、大規模小売店1000で、同じフロア上に、AV売り場1100、家具売り場1200、食品売り場1300、レジ1400、事務所1500が配置されているものとする。
【0055】
AV売り場1100には、電力消費設備として、エアーコンデショナ1110(以下、「エアコン」という)、照明が設置されていて、エアコン用の電力計測モニター1120、照明用の電力計測モニター1122、温湿度センサー1130が取り付けられている。
【0056】
家具売り場1200には、電力消費設備として、エアコン1210、照明が設置されていて、エアコン用の電力計測モニター1220、照明用の電力計測モニター1222、温湿度センサー1230が取り付けられている。
【0057】
食品売り場1300には、電力消費設備として、エアコン1310、照明、冷蔵ケース1340、冷凍ケース1342が設置されていて、エアコン用の電力計測モニター1320、照明用の電力計測モニター1322、冷蔵ケース・冷凍ケース用の電力計測モニター1324、温湿度センサー1330が取り付けられている。
【0058】
レジ1400には、電力消費設備として、照明が設置されていて、照明用の電力計測モニター1422が取り付けられている。
【0059】
そして、事務所1500には、分電盤1550が設置されていて、これに、電力を系統別に測定できる電力計測モニター1526が取り付けられている。そして、各子機と通信する電力管理端末1560が事務所1500内に置かれている。さらに、この事業者のエネルギーの管理者は、勤務時に事務所におり、表示端末1570により、店舗内の消費電力量を監視しているものとする。
【0060】
次に、図5ないし図8を用いて本発明の一実施形態に係る省エネルギー支援システムで使われるデータ構造について説明する。
図5は、電力管理端末100に保持される測定データテーブルを示す図である。
図6は、電力管理端末100から表示端末200に送信される測定データを示す図である。
図7は、サーバ20に保持されるサイト管理テーブルを示す図である。
図8は、サーバ20に保持される電力管理端末管理テーブルを示す図である。
【0061】
測定データテーブルは、電力計測モニター・温湿度センサーで計測された消費電力量、温度、湿度を保持するテーブルであり、図2に示した電力管理端末100のSD/MicroSDカードに保持される。測定データテーブルは、図5に示されるように、サイトID、時刻、時間種別、モニター種別、消費電力量、温度、湿度の各フィールドからなる。
【0062】
サイトIDは、各サイトを識別するための一意的な識別子が格納される。時刻は、電力計測モニター・温湿度センサーで計測された時刻である。時間種別は、測定値の時間的な幅を表し、「1分」と記載されたときには、各々の測定値は、時刻のフィールドに記載された時刻からさかのぼって、そのサイトでの1分間の消費電力量、そのサイトでの1分間の間に計測された平均温度、そのサイトでの1分間の間に計測された平均湿度を表す。モニター種別は、消費電力量、温度、湿度のどれを測定したかの種別を表す識別子である。消費電力量のフィールドは、電力計測モニターで測定される消費電力量[kWh]、温度のフィールドは、温湿度センサーで測定される温度[℃]、湿度のフィールドは、温湿度センサーで測定される湿度[%RH]を表している。なお、湿度の単位は、相対湿度をパーセントで表したものである。
【0063】
そして、電力管理端末100から表示端末200に、図6に示される測定データが送信される。図では、サイトIDが「AV売り場」、時刻が「2011年6月24日、12時3分」、時間種別が「1分」であり、モニター種別が「電力」であり、12時2分〜12時3分での消費電力量が、「23kWh」であることを示している。
【0064】
サイト管理テーブルは、各サイトの情報を保持するテーブルであり、サーバ20に保持され、定期的に最新のテーブルの情報が電力管理端末100に送信される。
【0065】
サイト管理テーブルは、図7に示されるように、サイトID、目標値消費電力量、警告上限電力量、メッセージデータ、管理者メールアドレスの各フィールドからなる。
【0066】
サイトIDは、管理する各サイトを識別するための一意的な識別子が格納される。目標値消費電力量は、一定時間(例えば、30分間)での各サイトで決められた目標となる消費電力量の値である。この目標値消費電力量も、電力管理端末100から表示端末200に送信され、画面に表示される。警告上限電力量は、一定時間でこの値に達したときに、管理者に注意を促す警告画面を表示するときの上限となる値である。同じサイトでも、この値を複数設けると、軽度な警告メッセージから重大な警告メッセージに至るまで、表示端末200に表示される警告画面を使いわけることができる。メッセージデータは、後に説明する警告画面に表示されるメッセージのテキストである。管理者メールアドレスは、警告上限電力量に達したときに、警告の電子メールを送るための登録アドレスである。この管理者メールアドレスは、インターネットが接続できる環境であれば、一般のPCや携帯電話の電子メールのアドレスでよい。
【0067】
電力管理端末管理テーブルは、電力管理端末100の情報を保持するテーブルであり、サーバ20に保持される。電力管理端末管理テーブルは、図8に示されるように、端末ID、IPアドレス、アップロード時刻の各フィールドからなる。
【0068】
端末IDは、電力管理端末100を一意的に識別するための識別子が格納される。IPアドレスは、電力管理端末100の論理アドレスであるIPアドレスが格納される。アップロード時刻は、測定データの内容をサーバ20にアップロードするスケジュールの時刻である。図8の例では、全ての電力管理端末100が、一日に2回、6時0分と、18時0分にアップロードすることにしている。
【0069】
次に、図9Aないし図14を用いて本発明の一実施形態に係る省エネルギー支援システムの処理と、表示端末200上でのユーザインターフェースについて説明する。
図9A、図9Bは、本発明の一実施形態に係る省エネルギー支援システムの各部の処理とやりとりされる情報を示すタイミングチャートである。
図10は、省エネルギー支援システムのメイン画面を示す図である。
図11は、サイトにおける消費電力量のグラフを表示した画面を示す図である。
図12は、サイトにおける消費電力量、温度、湿度の一覧表を表示した画面を示す図である。
図13は、消費電力量の警告画面を示す図である。
図14は、集計画面を示す図である。
【0070】
先ず、図1に示される電力計測モニター10a,10bが、電力管理端末100に電力に関する測定データを送信する(A01)。
【0071】
それと同時に、温湿度センサー10cは、電力管理端末100に温度・湿度に関する測定データを送信する(A02)。
【0072】
これらの送信は、共に1分ごとにおこなわれる。
【0073】
また、サーバから定期的に一定時間ごとに、図7に示したサイト管理テーブルのデータが送信される。
【0074】
電力管理端末100は、電力計測モニター10a,10b、温湿度センサー10cから受信した測定データを、SD/MicroSDカードに測定データテーブルとして格納する(S01)。
【0075】
次に、電力管理端末100は、1分ごとに、図6に示された形式で測定データを送信する(A04)。
【0076】
また、電力管理端末100は、定期的に、表示端末200に、目標値消費電力量、温度基準値などを送信する(A05)。目標値消費電力量、温度基準値の送信は、画面に表示するときに、表示端末200に最新のものが表示されていることが必要である。
【0077】
表示端末200では、画面に受信した測定データから消費電力量、温度、湿度を表示する(S20)。
【0078】
表示端末200で表示する画面は、例えば、図10に示されるメイン画面、図11に示されるサイトにおける消費電力量のグラフを表示した画面、図12に示されるサイトにおける消費電力量、温度、湿度の一覧表を表示した画面である。
【0079】
メイン画面は、測定データ表示アイテム401、日時表示アイテム402、天気予報表示アイテム403、フリーエリア404からなる。そして、メイン画面のフリーエリア404には、地球温暖化表示410が示されている。
【0080】
測定データ表示アイテム401には、電力管理端末100から受信した測定データによる最新の消費電力量、温度と、消費電力の目標値、温度の基準値が表示される。
【0081】
日時表示アイテム402は、内蔵時計、カレンダによる日時を表示する。日時表示アイテム402は、電力管理端末100がサーバ20から取得した日時と同期する形態でもよい。
【0082】
天気予報表示アイテム403は、この表示端末200が外部のサーバから受信した天気予報の情報が表示される。外部のサーバは、図1に示したファイルサーバであるサーバ20でもよいし、インターネットに接続された別のサーバでもよい。
【0083】
地球温暖化表示410は、一定期間の消費電力量をCO換算して表示する。図10では、月換算で、1.2kgのCO削減効果があったことを表示している。また、CO削減効果が悪くなったときには、自然環境が悪くなったことを示す画像、例えば、木が枯れて緑地が砂漠化するような画像を表示して、見ているものに注意を喚起するようにしてもよい。
【0084】
また、ユーザはフリーエリア404のタッチパネルをスライド操作することにより、図11に示したようなグラフ430を表示することもできる。このグラフは、スケールバー436により、グラフのスケールを変えることができる。図11では、AV売り場のサイトに関して、1日のスケールで1時間ごとの消費電力量の棒グラフ432と温度の折れ線グラフ434が表示されている。
【0085】
また、測定データ表示アイテム401をタッチすることにより、情報を表示するサイトを切り換えることができる。図12では、この店舗の全体の測定データの表示を表している。さらに、ユーザはフリーエリア404のタッチパネルをスライド操作することにより、一覧表形式によるサイトにおける消費電力量、温度、湿度を示すことができる。
【0086】
図12では、図4のモデルに示した「AV売り場」、「家具売り場」、「食品売り場」、「レジ」、「事務所」の消費電力量、消費電力量のトレンド、温度の基準値、温度、湿度が最新の測定データに基づいて表示される。ここで、消費電力量のトレンドとは、消費電力量の変化の傾向を示すものであり、下降傾向、横ばい、上昇傾向を示す三種の矢印のアイコンで示される。上昇傾向を示す上向きのアイコンは、警告のために赤色表示にしてもよい。
【0087】
次に、電力管理端末100では、測定データの消費電力を積算して(S02)、図7に示された警告上限電力量に達したときに(S03)、電力管理端末100は、表示端末200に警告画面を表示するように指示し、該当するメッセージデータを送信する(A06)。
【0088】
そして、表示端末200は、フリーエリア404に図13に示されるような警告画面を表示する(S21)。
【0089】
図13(a)は、AV売り場のサイトの消費電力量が、警告上限電力量である22KWhに達したために、「AV売り場の消費電力量が増えました」と言うメッセージを表示している。
【0090】
また、図13(b)は、食品売り場のサイトの消費電力量が、警告上限電力量である32KWhを超えたために、「食品売り場の消費電力量が目標値を超えました」と言うメッセージを表示している。
【0091】
同時に、図7に示された管理者メールアドレスに、メールサーバ経由で警告の電子メールを送信する(A07)。管理者は、クライアント端末30の電子メールソフトウェアにより、その警告の電子メールを確認することができる。
【0092】
このように、本実施形態に係る省エネルギー支援システムでは、サイトごとに電力計測モニタを設置しているために、サイトごとのきめの細かな電力管理をおこなうことができ、図13(a)、(b)に示されるように、サイトの個性に合わせて対応のメッセージも変更して、省エネルギーの管理者が対応をとりやすくすることができる。
【0093】
なお、本実施形態の説明では、消費電力による警告画面の表示を説明したが、温度についても同様に、夏場で冷房をおこなっているときに、図7の温度基準値より下がったときに、警告を出すようにしてもよい。
【0094】
そして、実行ボタン452をタッチすると、電力管理端末100にそれが送信され(A08a)、電力管理端末100は、その結果を、サーバ20に報告し(A08b)、省エネルギー対策がおこなったことが、メッセージ種別、対応日時の履歴として、サーバ20に保存される(S30)。
【0095】
このように、本実施形態に係る省エネルギー支援システムは、一分という短い時間間隔で、サイトの電力と温度・湿度を電力計測モニター10a,10bと温湿度センサー10cにより、測定し、電力管理端末100に集約し、管理者は、表示端末200により、サイトの状況をほぼリアルタイムで確認することができる。そして、決められた消費電力値を超えるときには、表示端末200に、上のように警告画面が表示され、消費電力を抑えるような対応策をとるように誘導される。そのため、高圧受電契約、特別高圧契約など電力会社と「デマンド契約」などをおこなっている事業者の場合でも、ピークの消費電力量を増やすことがないので、電量料金を抑えることができるという効果がある。
【0096】
次に、電力管理端末100は、サーバ20のアップロード時刻が来たときには(S04)、サーバ20に測定データテーブルに格納されている測定データをアップロードする(A09)。このアップロードする時刻は、図8に示されたアップロード時刻に従っておこなう。
【0097】
そして、サーバ20は、アップロードされた測定データを保存する(S31)。
【0098】
また、図1では電力管理端末100は、一つしか図示されていないが、大規模事業者の場合には、営業所、店舗、工場などの活動拠点が多くあり、一斉にサーバ20に測定データをアップロードすると、通信回線の輻輳、サーバ20が過負荷に陥る場合がある。そのような場合に、サーバ20は、通信量や負荷をモニタし、通信回線の輻輳、サーバ20が過負荷に陥ったときには(S32)、例えば、半分の数の電力管理端末100に対して、のアップロード時刻の変更を指示する(A10)。図8に示した例では、6時0分のアップロード時刻で、サーバ20が過負荷になったときに、電力管理端末管理テーブルの中の例えば、C店とD店の1回目のアップロード時刻を、共に、6時30分に書き換えて、C店とD店の電力管理端末100のアップロード時刻を、6時30分に変更するように電力管理端末100に対して指示する。
【0099】
このように電力管理端末100のアップロード時刻のスケジュール調整をおこなうことにより、電力管理端末100が多くあり、測定時刻の間隔が1分と短い場合であっても、通信回線の輻輳、サーバ20が過負荷に陥ることなく、サーバ20に大量の測定データをアップロードすることができる。
【0100】
次に、クライアント端末30から、集計画面を表示の指示をしたときには(S10)、クライアント端末30は、必要な集計データを要求し(A12)、サーバ20は、要求された集計データを送信する(A13)。そして、クライアント端末30の表示画面に図14に示される集計画面500を表示する。
【0101】
図14に示される集計画面500は、集計対象選択コンボボックス510に表示されている「A店全体」の消費電力量として、1年間の実績を消費電力量の棒グラフ520と、消費電力量の表530として表している。
【0102】
また、目標達成表示エリア540には、1年の消費電力量の総計が目標の消費電力量に対して、109%の目標達成率であったことを示している。
【符号の説明】
【0103】
10a,10b…電力計測モニター(子機)、10c(子機)…温湿度センサー、20…サーバ、30…クライアント端末、40…ルータ、70…パルス検出器、90…電力量センサー、100…電力管理端末(親機)、200…表示端末、
110…MPU、120…RAM、130…ROM、140…ネットワークIF、150…USBIF、160…カードスロット、170…無線IF、180…アンテナ、
210…プロセッサ、212…RAM、214…フラッシュメモリ、220…ディスプレイIF、222…液晶ディスプレイ、230…タッチパネルIF、232…タッチパネル、240…オーディオIF、242…スピーカ、250…カードスロット、260…USBIF、270…無線IF、272…アンテナ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を消費する各サイトに設置され、電機機器の消費電力量を測定する電力計測モニターと、
各サイトでの温度、湿度を測定する温湿度センサーと、
前記電力計測モニターおよび前記温湿度センサーから、各々設置されたサイトにおける測定データを無線により受信し、保持する電力管理端末と、
前記電力管理端末から各サイトにおける測定データを無線により受信し、その値を表示する表示端末と、
前記電力管理端末とネットワークにより接続され、各サイトの管理情報を保持するサーバとを有する省エネルギー支援システムにおいて、
前記電力管理端末は、前記サーバから各サイトでの警告する上限の消費電力量を受信して、保持し、
前記電力管理端末は、一定期間における消費電力量を積算して、前記警告する上限の消費電力量に達したときに、または、上限の消費電力量に到達すると予測したときに、前記表示端末に、警告画面を表示するように指示することを特徴とする省エネルギー支援システム。
【請求項2】
前記電力管理端末は、前記サーバから各サイトごとの警告画面のメッセージデータを受信して、保持し、
前記電力管理端末は、前記表示端末に前記警告画面のメッセージデータを送信し、
前記表示端末は、前記警告画面に前記メッセージデータを表示することを特徴とする請求項1記載の省エネルギー支援システム。
【請求項3】
前記表示端末に表示される前記警告画面に、前記メッセージデータが指示する対応をおこなったか否かを問い合わせる入力手段を有し、
前記表示端末は、ユーザの入力結果を前記電力管理端末に送信し、
前記電力管理端末は、前記サーバに入力結果を送信し、
前記サーバは、受信した入力結果を履歴として保持することを特徴とする請求項1記載の省エネルギー支援システム。
【請求項4】
電力を消費する各サイトに設置され、電機機器の消費電力量を測定する電力計測モニターと、
各サイトでの温度、湿度を測定する温湿度センサーと、
前記電力計測モニターおよび前記温湿度センサーから、各々設置されたサイトにおける測定データを無線により受信し、保持する電力管理端末と、
前記電力管理端末から各サイトにおける測定データを無線により受信し、その値を表示する表示端末と、
前記電力管理端末とネットワークにより接続され、各サイトの管理情報を保持するサーバとを有する省エネルギー支援システムにおいて、
前記電力管理端末は、決められたアップロード時刻に、前記サーバに各サイトにおける測定データをアップロードし、
前記サーバが、通信回線の輻輳やサーバの過負荷を検知したときに、前記電力管理端末に、前記アップロード時刻の変更を指示することを特徴とする省エネルギー支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−15883(P2013−15883A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146288(P2011−146288)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】