説明

真空を用いたノンコンタクト搬送システム

【課題】保持力の大きいノンコンタクト搬送システムを提供すること。
【解決手段】負圧吸引によりワーク9を保持するとともに、ワーク9との非接触を確保するために、ロードセル3または近接センサ2などのセンサ信号をもとに、ワーク9と吸引パッド1間の距離制御を行い、非接触の吊上げ搬送を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置や液晶製造装置に搭載されて、ウエハや液晶ガラスなどのワークを非接触で吊上げ搬送する搬送機器に関するものである。
【従来技術】
【0002】
従来、半導体製造装置や液晶製造装置など、コンタミネーション(汚染)を極度に嫌う分野では、図4に示すように、エジェクタ効果を用いて非接触で吊上げ搬送を行なうノンコンタクト搬送パッドが使用されている。正圧を用いているため、吊上げ力が小さいなど多くの欠点を有していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のノンコンタクト搬送では圧縮空気(正圧)を用い、次の欠点を有している。
○ 吸着力が非常に小さい。
○ 消費空気流量が多い(→容量の大きなコンプレッサが必要)。
○ 圧縮空気を用いるためエネルギー効率が悪い(搬送の仕事/電気)
○ 放出される圧縮空気によりクリーンルーム内の空気の流れが乱される(→クリーン度の低下)。
○ 放出される空気の質(パーティクル、湿度)を管理する必要がある。
○ 多量な空気流により静電気を発生する。
【0004】
そこで、この発明は、吸着力が弱いなどの課題を解決するノンコンタクト搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
図1を用いて説明する。近接センサ2とロードセル3でそれぞれワーク――パッドの距離および吊上げ力を測定し、制御アルゴリズム8で操作量(バルブ4、ACサーボモータ4)が計算され出力される。
これにより、ワーク9とパッド1の間に空隙を維持しながら吊上げ搬送が行なえる。
【0006】
図1のロードセル3は、搬送時は、パッド1及び吊上げているワークの重量を示すことになる。
【0007】
図1のバルブ4は、真空ポンプ6につながる開度を調整し、吊上げの用いる真空圧力を調整している。
【0008】
制御アルゴリズムを図2および図3に示す。図2は基本的な制御アルゴリズムである。図3のようにロードセルの信号をもとに力に関するマイナーフィードバックループを形成するとより制御性が向上する。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、この発明によれば、高吊上げ力のノンコンタクト搬送システムが実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1を用いて本発明の実施例を説明する。近接センサ2とロードセル3でそれぞれワーク――パッドの距離および吊上げ力を測定し、制御アルゴリズム8で操作量(バルブ4、ACサーボモータ4)が計算され出力される。制御アルゴリズムは、図2および図3に示す。
これにより、ワーク9とパッド1の間に空隙を維持しながら吊上げ搬送が行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例のシステム構成を示す
【図2】実施例の制御アルゴリズム
【図3】実施例の制御アルゴリズム
【図4】従来のノンコンタクト搬送パッドの断面図である。
【符号の説明】
【0012】
1 パッド
2 近接センサ
3 ロードセル
4 バルブ
5 ACサーボモータ
6 真空ポンプ
7 ロボット先端
8 制御アルゴリズム
9 ワーク
10 圧縮空気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを非接触で吊上げ搬送するノンコンタクト搬送パッドにおいて、負圧を用いて非接触の吊上げ搬送を行なうことを特徴とするノンコンタクト搬送システム。
【請求項2】
ロードセルまたは近接センサなどのセンサ信号をもとに、真空系のバルブまたはサーボモータなどアクチュエータを用いて、非接触搬送の制御を行なうことを特徴とする請求項1に記載のノンコンタクト搬送システム。
【請求項3】
制御アルゴリズムのなかに微分動作を含めたことを特徴とする請求項1または2に記載のノンコンタクト搬送システム。
【請求項4】
制御アルゴリズムのなかに、力を検出して力に関するマイナーフィードバックループを入れたことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載のノンコンタクト搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−284670(P2008−284670A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153324(P2007−153324)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(507190499)
【Fターム(参考)】