説明

着座検知装置

【課題】着座検知装置において、荷重検知装置の検出部の厚みや検出面積を変更すること
なく、検出感度を調整する。
【解決手段】着座検知装置30は、車両用シートのクッション部20のクッション部材2
1の下方に配置され荷重情報を検出する1つ以上の検出部41aと、該検出部41aと接
続され検出された荷重情報を出力する出力部と、を有するとともにシート状のメンブレン
スイッチから構成された荷重検知装置40と、クッション部材21を支承する支承部材(
Sばね18)に支持されるとともに検出部41aの下方に配置され該検出部41aを少な
くとも介してクッション部材21からの圧力を受ける受圧部51cを少なくとも有するホ
ルダ50と、検出部41aと受圧部51cとの間に介装されたスペーサ60と、を備えて
いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
着座検知装置の一形式として、特許文献1に示されているものが知られている。特許文
献1の図2,5に示されているように、着座検知装置においては、感圧スイッチ3(荷重
検知装置の検出部)は、フィルム状に形成されており、シートクッション5の着座面5a
の略全域に渡る程の大きさである。感圧スイッチ3が着座面5aのパッド51と表皮53
との間に配設されている。
【0003】
この特許文献1に記載の着座検知装置においては、検出部の形状はシートの意匠に依存
するため、シート毎(車種毎)に異なる形状の検出部となるので、検出部の共通化が図れ
ないという問題があった。
【0004】
これに対して、特許文献2に示されているように、着座検知装置をクッション部材14
の下面に設けたものが知られている。特許文献2の図3,4に示されているように、着座
検知装置においては、検出体13(荷重検知装置の検出部)は、袋状に形成されており、
シートクッション1の着座面の少なくとも3分の一から全域といった広範囲に亘る程の大
きさである。検出体13はフレーム12とクッション部材14との間に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−315199号公報
【特許文献2】特開2005−257296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載の着座検知装置によれば、クッション部材14の下に設けた荷重検知
装置により着座を検知することはできる。しかし、到達した荷重は弱くなっているので、
荷重検知装置の検出部の感度を、検出部の形状を変更することなく、調整したいなどの要
請もあり、荷重検知装置をクッション部材の下に配設するためにはさらなる改善が必要で
ある。
【0007】
本発明は、上述した問題を解消するためになされたもので、着座検知装置において、荷
重検知装置の検出部の厚みや検出面積を変更することなく、検出感度を調整することを目
的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、車両用シートのク
ッション部のクッション部材の下方に配置され荷重情報を検出する1つ以上の検出部と、
該検出部と接続され検出された荷重情報を出力する出力部と、を有するとともにシート状
のメンブレンスイッチから構成された荷重検知装置と、クッション部材を支承する支承部
材に支持されるとともに検出部の下方に配置され該検出部を少なくとも介してクッション
部材からの圧力を受ける受圧部を少なくとも有するホルダと、検出部と受圧部との間に介
装されたスペーサと、を備えたことである。
【0009】
また請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、スペーサは、弾性材で
薄い板状に形成されたことである。
【0010】
また請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1または請求項2において、スペー
サを、クッション部材に対して予め設定された所定範囲の硬度差を有する材料で形成した
ことである。
【0011】
また請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項3の何れか一項におい
て、検出部は、クッション部材の下方に配置されるとともに第1接点が形成された可撓性
を有する第1フィルムと、第1フィルムの下方に対向するとともにスペーサ上に配置され
、第1接点と対向する第2接点が形成された可撓性を有する第2フィルムと、それら第1
フィルムと第2フィルムとの間に介在され、第1フィルムと第2フィルムとを離隔保持す
る離隔保持部とを備え、クッション部材への荷重入力に伴う第1フィルムおよび第2フィ
ルムの弾性変形により第1接点と第2接点とが接触することによって荷重情報を検出する
構造をなし、スペーサにおける第2フィルムと当接する当接面を、断面凹状に形成したこ
とである。
【0012】
また請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項3の何れか一項におい
て、検出部は、クッション部材の下方に配置されるとともに第1接点が形成された可撓性
を有する第1フィルムと、第1フィルムの下方に対向するとともにスペーサ上に配置され
、第1接点と対向する第2接点が形成された可撓性を有する第2フィルムと、それら第1
フィルムと第2フィルムとの間に介在され、第1フィルムと第2フィルムとを離隔保持す
る離隔保持部とを備え、クッション部材への荷重入力に伴う第1フィルムおよび第2フィ
ルムの弾性変形により第1接点と第2接点とが接触することによって荷重情報を検出する
構造をなし、スペーサにおける第2フィルムと当接する当接面の少なくとも第2接点の形
成部位と対応する部位を、断面凸状に形成したことである。
【0013】
また請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項5の何れか一項におい
て、ホルダは、支承部材に取り付けられる1つ以上の取付部を有し、受圧部は取付部を介
して支承部材に支持されることである。
【0014】
また請求項7に係る発明の構成上の特徴は、請求項6において、ホルダは、受圧部と取
付部が一体的に形成された一体構造体であることである。
【0015】
また請求項8に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項7の何れか一項におい
て、ホルダは、荷重検知装置の出力部が固定される固定部をさらに備えたことである。
【0016】
また請求項9に係る発明の構成上の特徴は、請求項8において、出力部は固定部に脱着
可能に固定されることである。
【0017】
また請求項10に係る発明の構成上の特徴は、請求項8または請求項9において、ホル
ダは、受圧部と固定部を連結する連結部を備え、連結部は弾性変形可能な屈曲部を備えて
いることである。
【発明の効果】
【0018】
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、クッション部材を支承する支承
部材に支持されるホルダの受圧部は、荷重検知装置の検出部の下方に配置され該検出部を
少なくとも介してクッション部材からの圧力を受ける。これによれば、車両シートのクッ
ション部に乗員が着座した際に、その荷重はクッション部材を下方に向かって伝わり、支
承部材に支持されているホルダで受けることとなる。このとき、荷重検知装置の検出部は
、支承部材に対して相対的に位置決めされたホルダの受圧部で支持されており、その受圧
部と荷重が加えられているクッション部材との間で押圧されているので、検出部に伝わっ
ている荷重に係る情報(荷重情報)を検知することができる。さらに、検出部は、クッシ
ョン部材とスペーサとの間に挟まれているので、スペーサの材質、形状を変更することで
、検出部の感度を調整することができる。すなわち、荷重検知装置の検出部の厚みや検出
面積を変更することなく、検出感度を調整することができる。
【0019】
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、請求項1において、スペーサは
、弾性材で薄い板状に形成された。これにより、弾性材の硬度を変更することで感度を調
整することができ、簡単な構成で適切な感度調整をすることができる。
【0020】
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、請求項1または請求項2におい
て、スペーサを、クッション部材に対して予め設定された所定範囲の硬度差を有する材料
で形成した。これにより、クッション部材(硬度)に応じてスペーサを変更(交換)する
だけで感度をより適切に調整することができる。
【0021】
上記のように構成した請求項4に係る発明においては、請求項1乃至請求項3の何れか
一項において、検出部は、クッション部材の下方に配置されるとともに第1接点が形成さ
れた可撓性を有する第1フィルムと、第1フィルムの下方に対向するとともにスペーサ上
に配置され、第1接点と対向する第2接点が形成された可撓性を有する第2フィルムと、
それら第1フィルムと第2フィルムとの間に介在され、第1フィルムと第2フィルムとを
離隔保持する離隔保持部とを備え、クッション部材への荷重入力に伴う第1フィルムおよ
び第2フィルムの弾性変形により第1接点と第2接点とが接触することによって荷重情報
を検出する構造をなし、スペーサにおける第2フィルムと当接する当接面を、断面凹状に
形成した。これにより、検出部とスペーサとの間に空間が構成され、クッション部材への
荷重入力時において第2フィルムがスペーサからの反力を受けにくくなり、入力荷重に対
して第2フィルムが第1フィルム側に撓みにくくなるため、検出部の感度を下げることが
できる。ひいては、荷重検知装置の検出部の厚みや検出面積を変更することなく、検出感
度を調整することができる。
【0022】
上記のように構成した請求項5に係る発明においては、請求項1乃至請求項3の何れか
一項において、検出部は、クッション部材の下方に配置されるとともに第1接点が形成さ
れた可撓性を有する第1フィルムと、第1フィルムの下方に対向するとともにスペーサ上
に配置され、第1接点と対向する第2接点が形成された可撓性を有する第2フィルムと、
それら第1フィルムと第2フィルムとの間に介在され、第1フィルムと第2フィルムとを
離隔保持する離隔保持部とを備え、クッション部材への荷重入力に伴う第1フィルムおよ
び第2フィルムの弾性変形により第1接点と第2接点とが接触することによって荷重情報
を検出する構造をなし、スペーサにおける第2フィルムと当接する当接面の少なくとも第
2接点の形成部位と対応する部位を、断面凸状に形成した。これにより、クッション部材
への荷重入力時において第2フィルムの第2接点形成部位がスペーサからの反力を受けや
すくなり、入力荷重に対して第2フィルムが第1フィルム側に撓みやすくなるため、検出
部の感度を上げることができる。ひいては、荷重検知装置の検出部の厚みや検出面積を変
更することなく、検出感度を調整することができる。
【0023】
上記のように構成した請求項6に係る発明においては、請求項1乃至請求項5の何れか
一項において、ホルダは、支承部材に取り付けられる1つ以上の取付部を有し、受圧部は
取付部を介して支承部材に支持される。これにより、ホルダの受圧部は取付部を介して確
実に支承部材に支持される。
【0024】
上記のように構成した請求項7に係る発明においては、請求項6において、ホルダは、
受圧部と取付部が一体的に形成された一体構造体である。これにより、部品点数の低減が
できコスト低減をすることができる。また、荷重検知装置の形状を変更することなく、一
体構造体であるホルダの形状を変更するだけで、多種類のシートに取付可能となる。
【0025】
上記のように構成した請求項8に係る発明においては、請求項1乃至請求項7の何れか
一項において、ホルダは、荷重検知装置の出力部が固定される固定部をさらに備えた。こ
れにより、荷重検知装置の出力部を確実にホルダに固定することができるので、組立性を
向上させることができる。
【0026】
上記のように構成した請求項9に係る発明においては、請求項8において、出力部は固
定部に脱着可能に固定される。これにより、荷重検知装置の検出部の形状、数を容易に変
更することができ、着座検知装置の感度などの仕様を容易に変更することが可能となる。
【0027】
上記のように構成した請求項10に係る発明においては、請求項8または請求項9にお
いて、ホルダは、受圧部と固定部を連結する連結部を備え、連結部は弾性変形可能な屈曲
部を備えている。これにより、メンブレンスイッチの出力部を固定部に取り付ける際に、
屈曲部を屈曲させて受圧部が邪魔にならないようにし、取り付け後に、屈曲部の屈曲を解
除してメンブレンスイッチの検出部を受圧部に当接させる。したがって、メンブレンスイ
ッチをホルダに容易かつ確実に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による着座検知装置を適用した車両用シートの全体構成を示す斜視図である。
【図2】(a)は、図1に示した車両用シートの着座検知装置を含む部分の拡大断面図であり、(b)は、オフ状態の検出部周辺の拡大断面図であり、(c)は、オン状態の検出部周辺の拡大断面図である。
【図3】図1に示した車両用シートに取り付けられた着座検知装置を示す斜視図である。
【図4】図1に示した着座検知装置を示す斜視図である。
【図5】図3、図4に示した荷重検知装置を示す斜視図である。
【図6】(a)は、図3、図4に示したホルダを斜め上方から見た斜視図であり、(b)は、図3、図4に示したホルダを斜め下方から見た斜視図である。
【図7】スペーサの他の変形例を示す断面図であり、(a)は、断面凸状に形成されたスペーサを示し、(b)は、そのスペーサを使用した場合の検出部のオン状態を示す。
【図8】スペーサの他の変形例を示す断面図であり、(a)は、断面凹状に形成されたスペーサを示し、(b)は、そのスペーサを使用した場合の検出部のオン状態を示す。
【図9】スペーサの他の変形例を示す断面図であり、(a)は、断面凹状で中央凸状に形成されたスペーサを示し、(b)は、そのスペーサを使用した場合の検出部のオン状態を示す。
【図10】着座検知装置の組み立て工程を示す図であり、(a)は、伸張状態のホルダ単体を示し、(b)は屈曲させたホルダ単体を示し、(c)は、屈曲状態のホルダに荷重検知装置を組み付けた状態を示し、(d)は、伸張状態の着座検知装置を示す。
【図11】荷重が加わった際、荷重がクッション部材を伝播する説明に使用する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明による着座検知装置を車両用シートに適用した一実施形態について図面を
参照して説明する。図1はその車両用シート10の全体構成を示す斜視図であり、図2は
着座検知装置30(特に荷重検知装置40の検出部41a)を含む部分の拡大断面図であ
り、図3は車両用シートに取り付けられた着座検知装置30を示す斜視図であり、図4は
着座検知装置30を示す斜視図である。
【0030】
車両用シート10は、第1及び第2のシートトラック機構11,12、第1及び第2の
ロアアーム13,14、バックフレーム16、前方クッションフレーム17、Sばね18
(18a,18b)、連結シャフト19、およびクッション部材21を備えている。
【0031】
第1のシートトラック機構11は、シートのアウタ側に配置され、フロア側に設けられ
る第1のロアレール11aと、この第1のロアレール11aに摺動可能に係合する第1の
アッパレール11bとからなる。同様に、第2のシートトラック機構12は、シートのイ
ンナ側に配置され、フロア側に設けられる第2のロアレール12aと、この第2のロアレ
ール12aに摺動可能に係合する第2のアッパレール12bとからなる。
【0032】
第1及び第2のアッパレール11b,12b上には、サイドフレームとしての第1及び
第2のロアアーム13,14が平行リンクを用いたリフト機構を介して設けられている。
リフト機構の操作ハンドル15は、第1及び第2のロアアーム13,14の昇降を禁止さ
れているロック状態を、第1及び第2のロアアーム13,14の昇降を許可するアンロッ
ク状態に移行させるものである。
【0033】
第1及び第2のロアアーム13,14の後部間には、バックフレーム16が傾動可能に
取り付けられている。バックフレーム16の傾斜角を調節するリクライニング装置の操作
ハンドル16aは、バックフレーム16の傾動が禁止されているロック状態を、バックフ
レーム16の傾動を許可するアンロック状態に移行させるためのものである。
【0034】
第1及び第2のロアアーム13,14の前部には、フロントチルト機構により、ピン1
7aを中心に揺動される前方クッションフレーム17が設けられている。ブレーキ機構を
介して設けられたフロントチルト機構の操作ハンドル17bは、回転させることにより、
前方クッションフレーム17をピン17aを中心に上下方向に揺動させるものである。
【0035】
そして、複数のSばね18(18a,18b)が、第1のシートトラック機構11側の
リフト機構の動きを第2のシートトラック機構12側のリフト機構へ伝達する連結シャフ
ト19と前方クッションフレーム17との間に掛止されている。Sばね18は、クッショ
ン部材21を下方から支承する支承部材である。
【0036】
そして、図1、図2に示すように、クッション部20のクッション部材21の下方には
、着座検知装置30がSばね18に取付支持されている。なお、クッション部材21の表
面は、皮革や繊維やモケット等の表皮22で覆われている。
【0037】
着座検知装置30は、図3、図4に示すように、荷重検知装置40とホルダ50を備え
ている。
荷重検知装置40は、主として図5に示すように、フィルム状(シート状)に形成され
たメンブレンスイッチ41とコネクタ42を備えている。メンブレンスイッチ41は、検
出部41aと出力部41bを備えている。検出部41aは、車両用シート10のクッショ
ン部20のクッション部材21の下方に配置され荷重情報を検出するものである。
【0038】
検出部41aは、図2(b)に示すように、上部フィルム41a1、下部フィルム41
a2、および離隔保持部41a3を備えている。上部フィルム41a1は、上面(外面)
がクッション部材21の下面に当接し、内面中央に接点41a4が設けられている。下部
フィルム41a2は、下面(外面)がスペーサ60の上面に当接し、内面中央に接点41
a5が設けられている。離隔保持部41a3は、上部フィルム41a1および下部フィル
ム41a2の間に外周縁に沿って介装されている。離隔保持部41a3の硬度は、クッシ
ョン部材21やスペーサ60の硬度より大きい値に設定されている。これら部材は、弾性
材で形成されている。接点41a4と接点41a5は空間をおいて対向するように配設さ
れている。
【0039】
このように構成された検出部41aにおいて、クッション部材21に荷重が加わると、
クッション部材21とスペーサ60の硬度が等しい場合には、図2(c)に示すように、
上部フィルム41a1はクッション部材21からの荷重により下方に撓み、下部フィルム
41a2はスペーサ60からの反力により上方に撓んで、接点41a4と接点41a5が
当接する。これにより、検出部41aがオンするので荷重情報を検出することができる。
このとき、上部および下部フィルム41a1,41a2の撓み量は同量となる。また、荷
重は上部フィルム41a1に集中するため、感度は下がる。
【0040】
なお、クッション部材21の硬度がスペーサ60の硬度より大きい場合には、下部フィ
ルム41a2の撓み量が上部フィルム41a1の撓み量より大きくなる。また、クッショ
ン部材21の硬度がスペーサ60の硬度より小さい場合には、下部フィルム41a2の撓
み量が上部フィルム41a1の撓み量より小さくなる。
【0041】
このように、本実施形態では、荷重情報は、絶対的な荷重値でなく、所定荷重より小さ
い荷重がかかっている場合にはその状態すなわちオフ状態を示し一方大きい荷重がかかっ
ている場合にはその状態すなわちオン状態を示すものである。検出部41aは1つ以上形
成されるのが好ましい。本実施形態では、検出部41aは1つだけ形成されている。
【0042】
出力部41bは可撓性のある導通部41cを介して検出部41aと接続されている。出
力部41bは、検出部41aで検出された荷重情報を出力するものである。すなわち、出
力部41bには出力電極が形成されている。コネクタ42は出力部41bに接続されてい
る。本実施形態では、出力部41bとコネクタ42で特許請求の範囲に記載の「出力部」
が構成されている。なお、コネクタ42を設けない場合もある。この場合、出力部41b
のみから特許請求の範囲に記載の「出力部」が構成されている。また、コネクタ42は、
後述する固定部52cに脱着可能に取り付けられるようになっている。すなわち、コネク
タ42は、固定部52cに係脱可能に係合する固定部用係合部42aが設けられている。
コネクタ42は、外部のワイヤハーネスが脱着可能に接続される接続部42bを備えられ
ている。
【0043】
ホルダ50は、図3、図4、図6に示すように、荷重検知装置40を支承部材であるS
ばね18(18a,18b)に支持させるものであり、ロ字状に形成された板状部材であ
る。ホルダ50は、互いに対向して並設された第1および第2板状部材51,52、およ
び第1および第2板状部材51,52を連結する第1および第2連結部材53,54を備
えている。
【0044】
第1板状部材51は、細長い板状に形成された部材であり、その両端がSばね18aの
対向する2つの部分18a1,18a2の上部に装架されるようになっている。部分18
a1は前側の部分であり、部分18a2は後側の部分である。
【0045】
第1板状部材51の一端(前端)には、Sばね18aの前側部分18a1に脱着可能に
係止される第1係止部51aが形成されている。第1係止部51aは、下向きの開口を有
しており、その内径はSばね18aより若干小径に形成されている。第1係止部51aは
、Sばね18aに外嵌されているので、Sばね18aの前側部分18a1に対して径方向
(車両の前後方向)に相対移動が規制されるものの、Sばね18aの前側部分18a1の
軸方向(車両の左右方向)に相対移動が可能である。
【0046】
第1板状部材51の他端(後端)には、Sばね18aの後側部分18a2に脱着可能に
係合される第1係合部51bが形成されている。第1係合部51bは、前側向きの開口(
水平方向に開口する)を有する断面細長い溝状に形成されており、その内径はSばね18
aより若干大径またはほぼ同径に形成されている。第1係合部51bは、Sばね18aの
後側部分18a2に対して径方向(車両の前後方向)に相対移動が可能であり、かつSば
ね18aの後側部分18a2の軸方向(車両の左右方向)に相対移動が可能である。
なお、第1係止部51aおよび第1係合部51bは、クッション部材21を支承するS
ばね18(18a)に取り付けられる取付部である。
【0047】
このように構成された第1板状部材51によれば、乗員が着座した際に、Sばね18a
が伸びて前側部分18a1と後側部分18a2との間が拡張しても、その拡張を妨げるこ
とはなく、かつ、Sばね18a上に第1板状部材51を確実に支持することができる。
【0048】
また、第1板状部材51には、受圧部51cが形成されている。受圧部51cは、第1
係止部51aおよび第1係合部51bを介してSばね18(18a、18b)に支持され
るとともに荷重検出装置40の検出部41aの下方に配置され該検出部41aを少なくと
も介してクッション部材21からの圧力を受けるものである。受圧部51cは、第1板状
部材51の両端の間に凹状に形成されている。
【0049】
この受圧部51cには、スペーサ60が設けられている。スペーサ60は、接着剤、両
面テープなどにより受圧部51cの上面に接着されている。スペーサ60は、荷重検出装
置40の検出部41aと受圧部51cとの間に介装されることになっている。スペーサ6
0は、クッション材、ゴム材、布材(不識布材、フェルトなど)などの弾性材で形成され
た薄い平板状部材である。本実施形態では、スペーサ60は方形状に形成され、受圧部5
1cの凹部に収納されかつ検出部41aより広くなるようになっている。
【0050】
スペーサ60は、弾性材の硬度を変更することで、荷重検出装置40の検出部41aの
感度を変更することができる。すなわち、検出部41aを硬度(弾性率)が異なる2つの
弾性体で挟んで保持することにより、硬度の違いから2つの弾性体が接触する面すなわち
境界面付近の応力が大きくなる。よって、検出部41aをその境界面付近に配設すること
で、クッション部20への荷重を効率的に検知することができる。
【0051】
硬度を変更することで、感度を変更する場合、感度はクッション部材21とスペーサ6
0との相対的な硬度差に依存する。具体的には、相対的な硬度差が大きいほど感度は上が
り、硬度差が低いほど感度は下がる傾向にある。詳しくは、クッション部材21とスペー
サ60との相対的な硬度差を設定することにより、硬度が低い方の部材における検出部4
1a対応箇所に荷重または反力が集中しやすくなるため、該箇所の撓み量が大きくなって
接点41a4と接点41a5が接触しやすくなる。よって、クッション部材21とスペー
サ60との相対的な硬度差が高いほど、検出部41aの感度は高くなる。ただし、硬度差
が大きくても、スペーサ硬度が著しく高い場合や、スペーサ硬度が著しく低い場合には感
度は下がる(例えば、ホルダ50と変わらない硬度の場合(著しく高い場合)や、スペー
サ60における検出部41aのフィルム部対応領域に凹部を設けた場合(著しく低い場合
)など)。
【0052】
本実施形態では、スペーサ60を、クッション部材21に対して予め設定された所定範
囲の硬度差を有する材料で形成するのが好ましい。所定範囲の硬度差は、実験やシミュレ
ーション等により求められ、目的とする感度に応じて適宜設定される。これにより、クッ
ション部材21(その硬度)に応じてスペーサ60を変更(交換)するだけで感度をより
適切に調整することができる。
【0053】
スペーサ60は、突起を設けたり凹部を設けたりして形状を変更したり、材料を変更す
るなどして硬度を変更したりすることで検出部41aの感度を変更することができる。具
体的には、図7に示すように、スペーサ61は、検出部41aと当接する当接面(上面)
を断面凸状に形成するようにすればよい。図7では、スペーサ61は中央を頂点に円錐形
状に形成されている。
【0054】
このように構成されたスペーサ61によれば、検出部41aにおいて、クッション部材
21に荷重が加わると、クッション部材21とスペーサ61の硬度が等しい場合には、図
2(c)に示した場合と同様に、上部フィルム41a1はクッション部材21からの荷重
により下方に撓む。同時に、下部フィルム41a2の両側が押されて下方に移動するが、
このとき、下部フィルム41a2の中央部はスペーサ61の先端に当接しているので、下
部フィルム41a2は上方に撓む。さらに、下部フィルム41a2の両側が押されてスペ
ーサ61の側部に当接すると、それ以降では、下部フィルム41a2はスペーサ61から
の反力により上方に撓む。そして、接点41a4と接点41a5が当接する。このように
、スペーサ60に突起を設ければ検出部41aの感度は上がる。
【0055】
また、図8に示すように、スペーサ62は、検出部41aと当接する当接面(上面)を
断面凹状に形成するようにすればよい。図8では、スペーサ62は周縁部に凸部62aが
形成され中央部に凹部62bが形成されている。この場合、スペーサ62周縁部の凸部6
2aと離隔保持部41a3がオーバーラップすることが条件である。
【0056】
このように構成されたスペーサ62によれば、検出部41aにおいて、クッション部材
21に荷重が加わると、クッション部材21とスペーサ62の硬度が等しい場合には、図
2(c)に示した場合と同様に、上部フィルム41a1はクッション部材21からの荷重
により下方に撓む。同時に、下部フィルム41a2の両側が押されて下方に移動するが、
このとき、下部フィルム41a2の中央部は、凹部62bの空間があるためスペーサ62
の凹部62bの底面には当接しない。さらに、下部フィルム41a2の両側が押されて周
縁部の凸部62aが圧縮され、さらに撓んだ上部フィルム41a1が下部フィルム41a
2と当接する。その当接した状態で上部フィルム41a1がさらに撓むと、下部フィルム
41a2がスペーサ62の凹部62bの底面に当接して、接点41a4と接点41a5が
当接する。このように凹部62bを設ければ感度は下がる。
【0057】
また、図9に示すように、スペーサ63は、図8に示すスペーサ62と同様に断面凹状
に形成された凹部63b中央に凸部63cを設けるようにしてもよい。
【0058】
このように構成されたスペーサ63によれば、検出部41aにおいて、クッション部材
21に荷重が加わると、クッション部材21とスペーサ63の硬度が等しい場合には、図
2(c)に示した場合と同様に、上部フィルム41a1はクッション部材21からの荷重
により下方に撓む。同時に、下部フィルム41a2の両側が押されて下方に移動するが、
このとき、下部フィルム41a2の中央部は、凸部63cに当接しているので、下部フィ
ルム41a2は上方に撓む。さらに、下部フィルム41a2の両側が押されて周縁部の凸
部63aが圧縮され、それ以降では、下部フィルム41a2はスペーサ63からの反力に
より上方に撓む。そして、接点41a4と接点41a5が当接する。この場合の感度は、
図7のものと図8のものの間の感度である。
【0059】
第2板状部材52は、図3、図4、図6に示すように、細長い板状に形成された部材で
あり、第1板状部材51と同じ長さに設定されている。第2板状部材52の両端は、Sば
ね18b(Sばね18aに隣り合うSばねである。)の対向する2つの部分18b1,1
8b2の上部に装架されるようになっている。部分18b1は前側の部分であり、部分1
8b2は後側の部分である。
【0060】
第2板状部材52の一端(前端)には、Sばね18bの前側部分18b1に脱着可能に
係止される第2係止部52aが形成されている。第2係止部52aは、第1係止部51a
と同様に形成されている。第2板状部材52の他端(後端)には、Sばね18bの後側部
分18b2に脱着可能に係合される第2係合部52bが形成されている。第2係合部52
bは、第1係合部51bと同様に形成されている。なお、第2係止部52aおよび第2係
合部52bは、クッション部材21を支承するSばね18(18b)に取り付けられる取
付部である。
【0061】
このように構成された第2板状部材52によれば、乗員が着座した際に、Sばね18b
が伸びて前側部分18b1と後側部分18b2との間が拡張しても、その拡張を妨げるこ
とはなく、かつ、Sばね18b上に第2板状部材52を確実に支持することができる。
【0062】
また、第2板状部材52には、荷重検知装置40の出力部41bが接続されているコネ
クタ42が固定される固定部52cが形成されている。固定部52cは、第2板状部材5
2の両端の間であってその下面に形成されている。固定部52cはコネクタ42の固定部
用係合部42aが係脱可能に取り付けられるようになっている。なお、固定部52cを設
けないように構成するようにしてもよい。
【0063】
第1連結部材53は、第1板状部材51の前側端部と第2板状部材52の前側端部を連
結する板状部材である。第1連結部材53は、弾性変形可能な屈曲部53aを備えている
。第2連結部材54は、第1板状部材51の後側端部と第2板状部材52の後側端部を連
結する板状部材である。第2連結部材54は、弾性変形可能な屈曲部54aを備えている
。屈曲部53a,54aは、屈曲状態(図10(b)参照)と伸張状態(図10(a)参
照)に位置決め固定されるように構成するのが好ましい。
【0064】
次に、このように構成された着座検知装置30の組立について図10を参照して説明す
る。最初に、スペーサ60が受圧部51cの上面に取付けられたホルダ50を用意する。
このとき、ホルダ50は伸張状態に位置決めされている(図10(a)参照)。
【0065】
次に、ホルダ50を屈曲部53a,54aで屈曲させて屈曲状態に位置決めする(図1
0(b)参照)。これにより、固定部52cにほぼ直線状に位置していた受圧部51cを
ずらす事ができるので、次の荷重検知装置40の取付時に受圧部51cが邪魔になること
なく、荷重検知装置40を容易に取り付けることができる。
【0066】
そして、この屈曲状態のホルダ50の固定部52cに荷重検知装置40の固定部用係合
部42aを係合させることで、荷重検知装置40のコネクタ42をホルダ50の固定部5
2cに固定させる。よって、荷重検知装置40がホルダ50に固定される。
【0067】
そして、荷重検知装置40が固定されたホルダ50を屈曲状態から伸張状態に変形させ
て伸張状態に位置決めする(図10(d)参照)。このとき、荷重検知装置40の検出部
41aがスペーサ60の上面に位置するようになっている。
【0068】
さらに、このように組み立てられた着座検知装置30のSばね18への組付について説
明する。最初に第1および第2係合部51b,52bをSばね18a,18b(18a2
,18b2)にそれぞれ係合させる。このとき、第1および第2係合部51b,52bは
、Sばね18a,18bに係合しているものの、ホルダ50はSばね18a,18bを軸
に回動可能であり、外れない範囲でSばね18a,18bをガイドピンとして摺動可能で
ある。
【0069】
次に、ホルダ50を回動または摺動させて第1および第2係止部51a,52aをSば
ね18a,18b(18a1,18b1)に係止させる。
【0070】
さらに、クッション部材21での荷重伝播について図11を参照して説明する。クッシ
ョン部20の着座面20aに物体Aが載置されて荷重が加わった場合、その荷重は物体A
が接触する接触範囲S1より拡開してクッション部材21内をほぼ真下に伝播する(図1
1にて破線で示す範囲内を伝播する)。このとき、荷重は接触範囲S1より広い範囲S2
でクッション部材21の下面に伝播する。この伝播範囲S2内に荷重検知装置40の検出
部41aが設置されていれば、荷重を検出することができる。なお、本実施形態では、荷
重検知装置40としてメンブレンスイッチ41が使用されている。この場合、メンブレン
スイッチ41がオンする荷重(上記所定荷重)以上の荷重が加えられている場合に限り、
荷重がかかっていることを検出することができる。このように、検出部41aをクッショ
ン部材21の下面に設けるようにしても、着座面に荷重が加わった時の荷重状態を確実に
検出することができる。
【0071】
また、局所荷重が加わる場合には、表層部にのみ伝播し、クッション部材21の下面ま
では伝播しない。このため、荷物の角部によって加えられる荷重を誤検知するのを抑制す
ることができる。
【0072】
上述した説明から明らかなように、本実施形態に係る着座検知装置においては、クッシ
ョン部材21を支承する支承部材(Sばね18)に支持されるホルダ50の受圧部51c
は、荷重検知装置40の検出部41aの下方に配置され該検出部41aを少なくとも介し
てクッション部材21からの圧力を受ける。これによれば、車両シートのクッション部2
0に乗員が着座した際に、その荷重はクッション部材21を下方に向かって伝わり、支承
部材(Sばね18)に支持されているホルダ50で受けることとなる。このとき、荷重検
知装置40の検出部41aは、支承部材(Sばね18)に対して相対的に位置決めされた
ホルダ50の受圧部51cで支持されており、その受圧部51cと荷重が加えられている
クッション部材21との間で押圧されているので、検出部41aに伝わっている荷重に係
る情報(荷重情報)を検知することができる。さらに、検出部41aは、クッション部材
21とスペーサ60との間に挟まれているので、スペーサ60の材質、形状を変更するこ
とで、検出部41aの感度を調整することができる。すなわち、荷重検知装置40の検出
部41aの厚みや検出面積を変更することなく、検出感度を調整することができる。
【0073】
さらに、シートの意匠に依存しないで検出部41aの形状を決定できるので、荷重検知
装置40の検出部41aの共通化を達成することができる。
【0074】
さらに、クッション部20の着座面より離れたクッション部材21の下面に、荷重検知
装置40の検出部41aを配置することができるため、座った際の異物感を招くことなく
乗り心地を向上させることができる。
【0075】
さらに、荷重検知装置40の検出部41aの配置の制約を受けることがないので、シー
トの意匠の自由度を向上させることができる。また、表皮材質、表皮の張り具合、ヒータ
や空調の影響を抑制することができ安定した検出性能を発揮することができる。
【0076】
さらに、検出部をシート着座面に設ける場合には検出範囲において着座面の比較的広範
囲に配置する必要があるので、着座検知装置の大型化を招きひいては高コスト化を招く。
しかし、本実施形態では、クッション部材21の下面に伝播する荷重の伝播範囲S2すな
わち検知可能範囲が広がるため、着座面に設ける場合と比較して検知可能範囲が広がるの
で、必要とする検出部41aの数を少なく抑制することができ、ひいては装置の小型化、
コスト低減をすることができる。
【0077】
また、スペーサ60は、弾性材で薄い板状に形成された。これにより、弾性材の硬度を
変更することで感度を調整することができ、簡単な構成で適切な感度調整をすることがで
きる。
【0078】
また、スペーサ60を、クッション部材21に対して予め設定された所定範囲の硬度差
を有する材料で形成した。これにより、クッション部材21(硬度)に応じてスペーサ6
0を変更(交換)するだけで感度をより適切に調整することができる。
【0079】
また、検出部41aは、クッション部材21の下方に配置されるとともに第1接点41
a4が形成された可撓性を有する第1フィルム41a1と、第1フィルム41a1の下方
に対向するとともにスペーサ60上に配置され、第1接点41a4と対向する第2接点4
1a5が形成された可撓性を有する第2フィルム41a2と、それら第1フィルム41a
1と第2フィルム41a2との間に介在され、第1フィルム41a1と第2フィルム41
a2とを離隔保持する離隔保持部41a3とを備え、クッション部材21への荷重入力に
伴う第1フィルム41a1および第2フィルム41a2の弾性変形により第1接点41a
4と第2接点41a5とが接触することによって荷重情報を検出する構造をなし、スペー
サ60(62)における第2フィルム41a2と当接する当接面を、断面凹状に形成した
。これにより、検出部41aとスペーサ60との間に空間が構成され、クッション部材2
1への荷重入力時において第2フィルム41a2がスペーサ60からの反力を受けにくく
なり、入力荷重に対して第2フィルム41a2が第1フィルム41a1側に撓みにくくな
るため、検出部41aの感度を下げることができる。ひいては、荷重検知装置40の検出
部41aの厚みや検出面積を変更することなく、検出感度を調整することができる。
【0080】
また、検出部41aは、クッション部材21の下方に配置されるとともに第1接点41
a4が形成された可撓性を有する第1フィルム41a1と、第1フィルム41a1の下方
に対向するとともにスペーサ60上に配置され、第1接点41a4と対向する第2接点4
1a5が形成された可撓性を有する第2フィルム41a2と、それら第1フィルム41a
1と第2フィルム41a2との間に介在され、第1フィルム41a1と第2フィルム41
a2とを離隔保持する離隔保持部41a3とを備え、クッション部材21への荷重入力に
伴う第1フィルム41a1および第2フィルム41a2の弾性変形により第1接点41a
4と第2接点41a5とが接触することによって荷重情報を検出する構造をなし、スペー
サ60(61,63)における第2フィルム41a2と当接する当接面の少なくとも第2
接点41a5の形成部位と対応する部位を、断面凸状に形成した。これにより、クッショ
ン部材21への荷重入力時において第2フィルム41a2の第2接点41a5形成部位が
スペーサ60からの反力を受けやすくなり、入力荷重に対して第2フィルム41a2が第
1フィルム41a1側に撓みやすくなるため、検出部41aの感度を上げることができる
。ひいては、荷重検知装置40の検出部41aの厚みや検出面積を変更することなく、検
出感度を調整することができる。また、検出部41aの小型化を図ることができる。
【0081】
また、ホルダ50は、支承部材(Sばね18)に取り付けられる1つ以上の取付部(第
1および第2係止部51a,52a、第1および第2係合部51b,52b)を有し、受
圧部51cは取付部(第1および第2係止部51a,52a、第1および第2係合部51
b,52b)を介して支承部材(Sばね18)に支持される。これにより、ホルダ50の
受圧部51cは取付部(第1および第2係止部51a,52a、第1および第2係合部5
1b,52b)を介して確実に支承部材(Sばね18)に支持される。
【0082】
また、ホルダ50は、受圧部51cと取付部(第1および第2係止部51a,52a、
第1および第2係合部51b,52b)が一体的に形成された一体構造体である。これに
より、部品点数の低減ができコスト低減をすることができる。また、荷重検知装置40の
形状を変更することなく、一体構造体であるホルダ50の形状を変更するだけで、多種類
のシートに取付可能となる。
【0083】
また、ホルダ50は、荷重検知装置40のコネクタ42(または出力部41b)が固定
される固定部52cをさらに備えた。これにより、荷重検知装置40のコネクタ42(ま
たは出力部41b)を確実にホルダ50に固定することができるので、組立性を向上させ
ることができる。
【0084】
また、荷重検知装置40のコネクタ42(または出力部41b)は固定部52cに脱着
可能に固定される。これにより、荷重検知装置40の検出部41aの形状、数を容易に変
更することができ、着座検知装置30の感度などの仕様を容易に変更することが可能とな
る。
【0085】
また、ホルダ50は、受圧部51cと固定部52cを連結する連結部(第1および第2
連結部材53,54)を備え、連結部(第1および第2連結部材53,54)は弾性変形
可能な屈曲部53a,54aを備えている。これにより、メンブレンスイッチ41の出力
部41bを固定部52cに取り付ける際に、屈曲部53a,54aを屈曲させて受圧部5
1cが邪魔にならないようにし、取り付け後に、屈曲部53a,54aの屈曲を解除して
メンブレンスイッチ41の検出部41aを受圧部51cに当接させる。したがって、メン
ブレンスイッチ41をホルダ50に容易かつ確実に取り付けることができる。
【0086】
なお、上述した各実施形態においては、ホルダ50は第1板状部材51に受圧部51c
を設けるとともに第2板状部材52に固定部52cを設けるようにしたが、第1板状部材
51に受圧部51cと固定部52cを設け、第2板状部材52、第1および第2連結部材
53,54を削除するようにしてもよい。この場合、固定部52cは受圧部51cの下面
に設けるようにすればよい。
【0087】
また、上述した各実施形態においては、ホルダ50から第1および第2連結部材53,
54を削除するようにしてもよい。さらに、第1および第2連結部材53,54の一方を
削除してもよく(例えば形状としては略コ字状)、第1および第2連結部材53,54の
一方を削除しかつ他方を第1板状部材51および第2板状部材52の中央近傍部位にオフ
セットさせるようにしてもよい(例えば形状としては略H字状)。すなわち、ホルダ50
の形状は略ロ字状に限定されない。
【0088】
さらに、上述した各実施形態においては、第1板状部材51に設けた取付部を削除する
ようにしてもよい。
【0089】
また、上述した各実施形態では、支承部材としてSばね18を使用するようにしたが、
皿状(トレイ状)に形成されたクッションパンを使用するようにしてもよい。この場合、
取付部を係合ピン(または係合孔)で構成し、クッションパンには係合ピン(または係合
孔)に係合する係合孔(または係合ピン)を形成するようにすればよい。なお、荷重検知
装置40のコネクタ42用の開口を設けるのが好ましい。コネクタ42にワイヤハーネス
を接続するためである。
【符号の説明】
【0090】
10…車両用シート、11,12…第1及び第2のシートトラック機構、13,14…
第1及び第2のロアアーム、16…バックフレーム、17…前方クッションフレーム、1
8…Sばね(支承部材)、20…クッション部、21…クッション部材、30…着座検知
装置、40…荷重検知装置、41…メンブレンスイッチ、41a…検出部、41b…出力
部、42…コネクタ、50…ホルダ、51,52…第1および第2板状部材、51a…第
1係止部(取付部)、51b…第1係合部(取付部)、51c…受圧部、52a…第2係
止部(取付部)、52b…第2係合部(取付部)、52c…固定部、53,54…第1お
よび第2連結部材、53a,54a…屈曲部、60,61,62,63…スペーサ。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートのクッション部のクッション部材の下方に配置され荷重情報を検出する1
つ以上の検出部と、該検出部と接続され検出された前記荷重情報を出力する出力部と、を
有するとともにシート状のメンブレンスイッチから構成された荷重検知装置と、
前記クッション部材を支承する支承部材に支持されるとともに前記検出部の下方に配置
され該検出部を少なくとも介して前記クッション部材からの圧力を受ける受圧部を少なく
とも有するホルダと、
前記検出部と前記受圧部との間に介装されたスペーサと、
を備えたことを特徴とする着座検知装置。
【請求項2】
請求項1において、前記スペーサは、弾性材で薄い平板状に形成されたことを特徴とす
る着座検知装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記スペーサを、前記クッション部材に対して予め
設定された所定範囲の硬度差を有する材料で形成したことを特徴とする着座検知装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一項において、前記検出部は、前記クッション部材の下
方に配置されるとともに第1接点が形成された可撓性を有する第1フィルムと、前記第1
フィルムの下方に対向するとともに前記スペーサ上に配置され、前記第1接点と対向する
第2接点が形成された可撓性を有する第2フィルムと、それら第1フィルムと第2フィル
ムとの間に介在され、前記第1フィルムと前記第2フィルムとを離隔保持する離隔保持部
とを備え、前記クッション部材への荷重入力に伴う前記第1フィルムおよび第2フィルム
の弾性変形により前記第1接点と前記第2接点とが接触することによって前記荷重情報を
検出する構造をなし、
前記スペーサにおける前記第2フィルムと当接する当接面を、断面凹状に形成したこと
を特徴とする着座検知装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3の何れか一項において、前記検出部は、前記クッション部材の下
方に配置されるとともに第1接点が形成された可撓性を有する第1フィルムと、前記第1
フィルムの下方に対向するとともに前記スペーサ上に配置され、前記第1接点と対向する
第2接点が形成された可撓性を有する第2フィルムと、それら第1フィルムと第2フィル
ムとの間に介在され、前記第1フィルムと前記第2フィルムとを離隔保持する離隔保持部
とを備え、前記クッション部材への荷重入力に伴う前記第1フィルムおよび第2フィルム
の弾性変形により前記第1接点と前記第2接点とが接触することによって前記荷重情報を
検出する構造をなし、
前記スペーサにおける前記第2フィルムと当接する当接面の少なくとも前記第2接点の
形成部位と対応する部位を、断面凸状に形成したことを特徴とする着座検知装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか一項において、前記ホルダは、前記支承部材に取り付け
られる1つ以上の取付部を有し、前記受圧部は前記取付部を介して前記支承部材に支持さ
れることを特徴とする着座検知装置。
【請求項7】
請求項6において、前記ホルダは、前記受圧部と前記取付部が一体的に形成された一体
構造体であることを特徴とする着座検知装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れか一項において、前記ホルダは、前記荷重検知装置の前記
出力部が固定される固定部をさらに備えたことを特徴とする着座検知装置。
【請求項9】
請求項8において、前記出力部は前記固定部に脱着可能に固定されることを特徴とする
着座検知装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9において、前記ホルダは、前記受圧部と固定部を連結する連結
部を備え、前記連結部は弾性変形可能な屈曲部を備えていることを特徴とする着座検知装
置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−105278(P2011−105278A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265663(P2009−265663)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】