説明

着色防止剤

【課題】重合抑制剤または酸化防止剤に起因する重合性単量体の着色を防止することで、良好な透明性を有する、電子材料、車両用透明部材、透明シート用部材、粘着剤、接着剤、高吸水性樹脂、インク、塗料、繊維、または塗料、樹脂、繊維の改質剤などの原材料などに適する、より適用範囲の広い単量体、または重合体の提供。
【解決手段】重合性単量体またはその部分重合体と酸化防止剤又は重合抑制剤とからなる配合物に対して、酸化防止剤又は重合抑制剤100質量部に対して外配でアリールホスフィン化合物及びシラザン化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物を3〜100質量部添加することによって達成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合性単量体またはその部分重合体、特に、アクリル系重合性単量体またはその部分重合体に添加して使用される重合抑制剤、特にフェノール系重合抑制剤、アミン系重合抑制剤または酸化防止剤に起因する着色を防止する着色防止剤および着色防止方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
着色防止剤としては、例えばメルカプタン系の化合物を重合調整剤として使用してメタクリル酸の重合の際に起こる着色を防止するためにトリフェニルホスフィンが有効であることが開示されている(特許文献1)。しかし、この文献には、ハイドロキノン、メトキシフェノール、ターシャリーブチルカテコール、メチルハイドロキノンなどのフェノール系化合物、アミン系化合物を重合抑制剤として用いることについての開示はなく、重合性単量体としてアクリル酸を使用することについては、教示も開示もない。
【0003】
また、電気、機械、自動車および医療分野で幅広く使用されているポリカーボネート樹脂の組成物の帯電防止剤としては、通常熱安定性に優れるホスホニウム塩が用いられている。ポリカーボネート樹脂は、表面固有抵抗が大きく、接触や摩擦などで誘起された静電気が消失し難いという性質を有する。ポリカーボネートの帯電防止剤としては、熱安定性や色相安定性が求められているが、しかし、ホスホニウム塩の場合には、着色するという問題があった。この問題を解決したものとして、熱安定性に優れた特定のアンモニウム塩の使用を提案している。その提案の中でトリフェニルホスフィンを安定剤として使用している(特許文献2)。
【0004】
また、芳香族ポリエステル組成物の製造において、機械的性質及び加熱時着色を防止する耐熱剤としてトリフェニルホスフィンの使用を開示されている(特許文献3)。なお、光沢、顔料分散性、粘度、印刷適正、効果速度などに優れた紫外線硬化型インキとして使用される多官能性オリゴマーの製造法において、重合抑制剤としてメトキシフェノールが、重合触媒としてトリフェニルホスフィンが、還元、酸化防止、着色防止などの諸機能を有する有機リン系化合物の具体例としてホスファイトが挙げられている(特許文献4)。
【0005】
しかしながら、これらの何れの文献も、アクリル系重合性単量体またはその部分重合体に添加して使用される重合抑制剤または酸化防止剤に起因する着色の防止については教示も開示もない。
【0006】
ところで、酸化防止剤、重合抑制剤としてハイドロキノン、メトキシフェノール、ターシャリーブチルカテコール、メチルハイドロキノン等のフェノール系化合物、アミン系化合物が広く用いられる。しかし、これらの添加物はその効果を発現する際に発色を伴う場合が多く、この発色が添加した基材の着色をしばしば引き起こす。また、高温下での使用、日光の紫外線による劣化、排気ガス等による変質等により、最終製品としての使用環境によって着色を帯びてくることがあり、用途によっては支障をきたすことがある。具体的には、車両用透明部材、透明シート用部材では、光が通過した場合着色されると好ましくなく、光学機器部材であるレンズ、プリズム、光ディスク、シートは色相安定性を要する。同様に半導体用部材、電子材料、粘着剤、接着剤、高吸水性樹脂、インク、塗料、繊維、または塗料、樹脂、繊維の改質剤などの原材料についてもその使途によっては透明あるいは白色であることを必要とすることもある。
【0007】
従って、重合性単量体、特に重合性単量体の保存安定性を目的として添加される酸化防止剤又は重合抑制剤に起因する最終製品での着色を防止することができる着色防止剤、及びその防止方法が要望されていた。
【0008】
【特許文献1】特開平8−109211号公報
【特許文献2】特開2006−63212号公報
【特許文献3】特開平2−51524号公報
【特許文献4】特開平4−85315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
酸化防止剤又は重合抑制剤に起因する重合性単量体の着色を防止し、かつ高温環境下、太陽光による劣化に対して耐久性を呈することで使用後であっても良好な透明性を保持することが可能であるため、電子材料、車両用透明部材、透明シート用部材、粘着剤、接着剤、高吸水性樹脂、インク、塗料、繊維、または塗料、樹脂、繊維の改質剤などの原材料などのより適用範囲の広い分野で使用可能な重合性単量体またはその部分重合体、特に、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステルなどの重合性単量体またはその部分重合体に添加して使用される重合抑制剤、特にフェノール系重合抑制剤、アミン系重合抑制剤または酸化防止剤に起因する着色を防止する着色防止剤および着色防止方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、種々検討の結果、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステルなどの重合性単量体またはその部分重合体と酸化防止剤又は重合抑制剤とからなる配合物に対して、酸化防止剤又は重合抑制剤100質量部に対してアリールホスフィン化合物及びシラザン化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物を外配で3〜100質量部添加して使用することで上記の課題を解決できることを見出して、本発明を完成したものである。
【0011】
なお、上記着色防止剤は、フェノール系重合抑制剤、アミン系重合抑制剤とともに併用すること、特に、ハイドロキノン、メトキシフェノール、ターシャリーブチルカテコール、メチルハイドロキノン等の重合抑制剤に起因する着色を防止するものであって、上記アリールホスフィン化合物及びシラザン化合物のうち、特にトリフェニルホスフィン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,1,1,3,3,3−へキサメチルジシラザン等が優れた効果を示すことを見出した。
【0012】
なお、上記アリールホスフィン化合物及びシラザン化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物を着色防止に使用する場合には、重合性単量体またはその部分重合体に添加される酸化防止剤又は重合抑制剤とからなる配合物に対して、酸化防止剤又は重合抑制剤100質量部に対して外配で3〜100質量部、好ましくは、外配で10〜100質量部添加して使用することにより、着色防止が図れる。なお、対重合性単量体またはその部分重合体との関係では、その添加量は、通常、重合性単量体またはその部分重合体100質量部に対して、0.001〜1質量部程度の添加で十分な効果を発揮する。なお、本発明の着色防止剤は、重合抑制効果を阻害しないため、重合抑制剤とともに使用されてもその効果を充分発揮することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る着色防止剤であるアリールホスフィン化合物及びシラザン化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物を重合性単量体またはその部分重合体に添加することにより、実質的に酸化防止剤又は重合抑制剤に起因する着色を有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、重合性単量体またはその部分重合体と、酸化防止剤、または、重合抑制剤とからなる配合物に添加し使用する、アリールホスフィン化合物およびジシラザン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物の着色防止剤としての使用に関する。添加量は、酸化防止剤又は重合抑制剤100質量部に対して外配で3〜100質量部、好ましくは、外配で10〜100質量部である。添加方法は、特に制限はなく、一般的には重合抑制剤と同時に添加すればよい。添加の形態についても特に制限はなく、着色防止剤をそのまま添加すればよい。さらに、酸化防止剤、重合抑制剤、着色防止剤以外に用途によって必要があれば、重合開始剤、可塑剤、改質剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤等その他の安定剤等を添加しても、所望の効果を得ることができる。
【0015】
重合性単量体またはその部分重合体、特に、アクリル系重合性単量体またはその部分重合体には、予め酸化防止剤や重合抑制剤が添加されている。このような酸化防止剤や重合抑制剤には、フェノール系化合物、アミン系化合物が含まれる。例えば、フェノール系化合物としては、ハイドロキノン、メトキシフェノール、ターシャリーブチルカテコール、メチルハイドロキノン等が挙げられる。アミン系重合抑制剤としては、フェノチアジン、ジフェニルアミンなどなどが挙げられる。また、酸化防止剤としては、ノンフレックスMBP、ノンフレックスEBP、ノンフレックスCBP、ノンフレックス アルバ、BHTスワノックス、TBH(以上製品名。精工化学(製))が挙げられる。
【0016】
本発明に係るアリールホスフィン化合物としては、トリフェニルホスフィンが、また、本発明に係るシラザン化合物としては、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、または1,1,1,3,3,3−へキサメチルジシラザンなどが挙げられる。
【0017】
重合性単量体またはその部分重合体としては、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一つであって、アクリル酸エステルの具体例にはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸エステルの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル等が挙げられる。好ましくはアクリル酸又はアクリル酸エステルであり、特に好ましくはアクリル酸2−エチルヘキシル等である。
【実施例】
【0018】
以下、試験例を用いて、本発明の効果を具体的に説明するが、本発明は以下の試験例に限定されるものではなく、本発明の主旨に逸脱しない限り、適宜変更・修正を加え使用することができることは、言うまでもない。
【0019】
(着色防止性能試験1)
本発明に係る着色防止剤の性能を試験するために、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドを用いてNOxによる着色試験に供した。結果を表1に示す。NOx処理前とNOx処理後の色数を求めた。まず、重合抑制剤および着色防止剤を所定量、溶媒である15gのN,N−ジメチルアセトアミドに添加、溶解させた。完全に溶解させたサンプル液をバイアル瓶(30ml)に10gはかりとり、密栓した。JIS L0855(酸化窒素ガスに対する染色堅ろう度試験方法)に準じ、酸化窒素ガス発生装置でNOxガスを発生させ、発生させたNOxガスをシリンジを使って2.0ml測り取り、サンプル液を入れたバイアルびんに注入し、よく振ってNOxガスとサンプル液を混ぜ、再び密封した。このものを室温にて1時間放置後、ガードナー比色計で標準液と比較し色数を求めた。なお、この試験例で用いたガードナー比色計による色数は、JIS K−0071−2に準じた。
【0020】
【表1】

【0021】
一般的に用いられる着色防止剤として使用されているフェニルヒドラジン、ベンゾフェニルヒドラゾン、ジアセチルヒドラジン等のヒドラジン化合物を重合抑制剤であるメトキシフェノールと併用して、使用した比較例1〜比較例4では着色防止剤を用いない参考例1と比較し、同程度か、あるいはそれよりも濃い着色が認められた。これに対し、トリフェニルホスフィン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、及び1,1,1,3,3,3−へキサメチルジシラザンを着色防止剤として、重合抑制剤メトキシフェノールと併用した試験例1〜7においては、着色防止剤を用いない参考例1の色数10と比較して色数の増加は抑えられている。また、重合抑制剤としてハイドロキノンを本発明に係る着色防止剤と併用した試験例4と参考例2、及びターシャリーブチルカテコールと本発明に係る着色防止剤を併用した試験例5と参考例3を比較すると、トリフェニルホスフィンを添加することによりNOx処理後の色数の増加は抑えられている。
【0022】
これにより、トリフェニルホスフィン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、及び1,1,1,3,3,3−へキサメチルジシラザン、中でも特にトリフェニルホスフィンは、MQ(4−ヒドロキシアニソール)、HQ(ハイドロキノン)、TBC(t−ブチルカテコール)等のフェノール系重合抑制剤の着色を本発明に係る着色防止剤は防止する効果があることが確認された。
【0023】
(着色防止性能試験2)
上記の結果を受けて、本発明に係る着色防止剤の重合性単量体の共存下における性能を試験するために、上記試験で特に効果が顕著であったメトキシフェノールをNOxによる着色試験に供した。NOx処理前とNOx処理後の色数を求めることで、着色防止効果について知ることができる。まず、市販されている重合性単量体であるアクリル酸2−エチルヘキシルから、重合抑制剤を抽出除去して、改めて、重合抑制剤をアクリル酸2−エチルヘキシルに対して1質量%添加し、このものにこの重合抑制剤100質量部に対して、10質量部から100質量部の範囲で本発明に係る着色防止剤を添加、溶解させた。次に完全に溶解させたサンプル液をバイアル瓶(30ml)に10gはかりとり、密栓した。JIS L0855(酸化窒素ガスに対する染色堅ろう度試験方法)に準じて、酸化窒素ガス発生装置でNOxガスを発生させ、発生させたNOxガスをシリンジを使って0.1ml測り取り、サンプル液を入れたバイアル瓶に注入し、よく振ってNOxガスとサンプル液を混ぜ、再び密封した。このものを室温にて1時間放置後、ガードナー比色計で標準液と比較し、色数を求めた。その結果を以下の表2に示す。なお、この試験例で用いたガードナー比色計による色数は、JIS K−0071−2に準じた。
【0024】
【表2】

【0025】
着色防止剤を外配で10〜100質量部の割合で添加したものが着色防止効果を示した。ただし、トリフェニルホスフィンの場合、この試験では10質量部添加した試験例4でも色数4で淡黄色であり、着色防止効果としては必ずしも充分ではなかった。しかし、100質量部添加した試験例4においては色数2となり、実用的には充分な着色防止効果が得られた。また、(着色防止性能試験1)において溶媒を用いた試験でも色数4との良好な結果が得られていたテトラメチルジシラザンを着色防止剤として10質量部用いた試験例6で色数は2であり、100質量部用いた試験例3で色数は1と、最も良好な効果が得られた。全ての試験例1〜6において、肉眼ではほとんど着色は認められなかった。ほとんどの例についてNOx処理後には色数は2〜3の値が得られたが、3以下であれば、実用上問題のない範囲である。全く着色防止剤を用いない試験例7の場合は、色数4で淡黄色に着色していた。
【0026】
また、いずれの着色防止剤も10質量部よりは100質量部において着色防止効果が高かった。さらに、着色防止性能試験1の試験例4及び5において良好な着色防止効果を示したハイドロキノン、ターシャリーブチルカテコールを重合性単量体を用いたNOxによる着色試験に供したところ、着色防止剤として同様の効果が認められた。
【0027】
(重合抑制剤への影響に関する試験)
市販のアクリル酸エステルに含まれるMQを10%NaOH水溶液30mlで3回洗浄して抽出し、イオン交換水で3回洗浄してpHが中性になるのを確認する。無水硫酸マグネシウムを加え良く混ぜ濾過し、MQを含まないアクリル酸エステル調整液とする。重合抑制剤を10mg、着色防止剤を5mg量り、10mlメスフラスコに入れ調整液でメスアップする。この溶液0.1mlをマイクロピペットで量り10mlメスフラスコに入れ調整液でメスアップし、アクリル酸エステルの重合抑制剤10ppm、着色防止剤5ppm試験溶液とする。なお、比較のために、メトキシフェノールを10ppm含むが、本発明に係る着色防止剤を含まないアクリル酸エステルの試料(試料番号4)と重合抑制剤も本発明に係る着色防止剤も含まない試料(試料番号5)も用意して、試験に供した。
【0028】
本発明に係る着色防止剤による重合抑制剤の重合防止効果への影響を試験した。評価には明に係る着色防止剤を添加していないものとの誘導時間と比較して判断した。
【0029】
(TG−DTA装置による測定)
装置内の所定の場所に被験材料を保持し、装置を操作標準に従い稼動させ、雰囲気温度の上昇(下降)によるサンプルの重量変化を、時間(温度)に対して記録したものをTG曲線とする。サンプルホルダーに設けられた熱電対の起電力により、リファレンスとサンプルとの温度差を検出し、DTA曲線とする。TG/DTAでは、加熱時におけるサンプルの重量変化と吸熱・発熱反応を同時に観測できるため、幅広く物質の評価が可能となる。この試験においては、アクリル酸エステルの重合が開始した時点で、発熱反応がおきるため、発熱のピークが立ち現れる。即ち、重合開始時点を、DTAのピークの立ち上がりの時と見なすことができる。
【0030】
(評価方法)
TG−DTA装置測定器(リガク社 TG 8120)を用いた。上記のように調製した各試験溶液をTG−DTA装置測定用試料容器に入れ、試験開始時点では、試験温度135℃の場合には試料温度120℃、試験温度160℃の場合は試料温度145℃とし、空気雰囲気で10℃/分の速度で昇温させた。そして、DTAの発熱ピークの立ち上がりまでを誘導時間とする。誘導時間が長いほど、重合抑制剤への影響が少ないことを示す。
【0031】
(測定結果)
測定結果を以下の表3に示す。この結果から、本発明に係る着色防止剤を添加した試料番号1ないし3の試料は、メトキシフェノールを10ppm含むが、本発明に係る着色防止剤を含まない比較試料、試料番号4と比較しても、誘導時間に遜色はなく、実質的に重合抑制剤の性能に悪影響を与えるものではないことが判る。即ち、本発明に係る着色防止剤は重合抑制剤と併用可能であることが証明された。なお、重合抑制剤も本発明に係る着色防止剤も含まない比較試料、試料番号5では、誘導時間が試料番号4の誘導時間と比較すると、その2倍強の速さであった。
【0032】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0033】
重合抑制剤または酸化防止剤に起因する重合性単量体の着色を防止することで、良好な透明性および耐久性を有する、電子材料、車両用透明部材、透明シート用部材、粘着剤、接着剤、高吸水性樹脂、インク、塗料、繊維、または塗料、樹脂、繊維の改質剤などの原材料などに適する、より適用範囲の広い製品を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性単量体またはその部分重合体と酸化防止剤又は重合抑制剤とからなる配合物に対して、酸化防止剤又は重合抑制剤100質量部に対して外配で3〜100質量部添加して使用する、アリールホスフィン化合物及びシラザン化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物よりなる着色防止剤。
【請求項2】
当該アリールホスフィン化合物及びシラザン化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物を外配で10〜100質量部添加し、使用する請求項1に記載の着色防止剤。
【請求項3】
当該アリールホスフィン化合物及びシラザン化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物がトリフェニルホスフィン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、または1,1,1,3,3,3−へキサメチルジシラザンのいずれかである請求項1に記載の着色防止剤。
【請求項4】
当該重合抑制剤がフェノール系重合抑制剤、又は、アミン系重合抑制剤である請求項1に記載の着色防止剤。
【請求項5】
当該フェノール系重合抑制剤がハイドロキノン、メトキシフェノール、ターシャリーブチルカテコール、またはメチルハイドロキノンのいずれかである請求項4に記載の着色防止剤。
【請求項6】
当該重合性単量体がアクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載の着色防止剤。
【請求項7】
重合性単量体またはその部分重合体と酸化防止剤又は重合抑制剤とからなる配合物に対して、酸化防止剤又は重合抑制剤100質量部に対して、アリールホスフィン化合物及びシラザン化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物を外配で3〜100質量部添加して使用する、着色防止方法。
【請求項8】
当該アリールホスフィン化合物及びシラザン化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物を外配で10〜100質量部添加して使用する、請求項7に記載の着色防止方法。
【請求項9】
当該アリールホスフィン化合物及びシラザン化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種の化合物がトリフェニルホスフィン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、または1,1,1,3,3,3−へキサメチルジシラザンのいずれかである請求項7に記載の着色防止方法。
【請求項10】
当該重合抑制剤がフェノール系重合抑制剤、又は、アミン系重合抑制剤である請求項7又は8に記載の着色防止方法。

【公開番号】特開2009−249308(P2009−249308A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96873(P2008−96873)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000195616)精工化学株式会社 (28)
【Fターム(参考)】