説明

睫用化粧料

【課題】 ボリューム効果、化粧膜の均一性、カールキープ効果、化粧膜の柔軟性に優れ、重ねづけの際なめらかな使用感を与え、重ねづけすることによってさらに効果が上がり、しかも速乾性があり、睫が束づかず毛量が増加したかのように見える睫用化粧料に関するものである。
【解決手段】 デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を全脂肪酸に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を全脂肪酸に対して0mol%以上50mol%未満を含有し、グルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステルと、油性成分とを配合することを特徴とする睫用化粧料に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なデキストリン脂肪酸エステルを配合する睫用化粧料に関し、特に、使用性および化粧効果に優れる睫用化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
睫用化粧料は、睫を太く(ボリューム効果)、上方向に連続的な曲線を描きながらカールさせること(カール効果)で、目元を際立たせる化粧効果を付与するものである。最近では、目元をさらに強調するために何度も重ね付けすることが多く、多量のマスカラ液を睫に塗布した際にも、化粧膜が均一で美しい仕上がりであること(化粧膜の均一性)や、マスカラ液の重みによってカールが下がらずに塗布直後のカール形状を長時間維持できること(カールキープ効果)、また化粧膜が柔軟で負担感の少ない使用感であること(化粧膜の柔軟性)が重要とされている。
通常睫用化粧料は、ワックス等の固形状油性成分、樹脂や合成高分子等の皮膜形成剤、粉体を中心として構成されおり、消費者の要求に合わせた機能性を持たせるために各種成分の配合検討が行われてきた。睫用化粧料では、皮膜形成剤は、睫に付着しやすく十分なボリューム効果を与えることと、カールキープ効果に優れることが求められており、べたつきが強く、形成した皮膜が硬いものが用いられてきた。また、塗布部に特徴があるため、化粧料の粘度を睫につけやすくたれ落ちない程度に保つことも重要であり、油性ゲル化剤等の粘度調整剤を用いて使用性の向上をはかってきた。
一方、油性化粧料において、デキストリン脂肪酸エステルは油ゲル化剤として開発され(例えば、特許文献1参照)、睫用化粧料においても、樹脂と組み合わせて、付着性や使用性、経時安定性の向上を得ている技術がある(例えば、特許文献1、2参照)。このようにデキストリン脂肪酸エステルは油ゲル化剤として利用されてきたため、皮膜形成剤として開発検討されることはなかった。
【0003】
【特許文献1】特許3019191号公報
【特許文献2】特開2008−255014号公報
【特許文献3】特開2009−114099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の皮膜形成剤を用いると、化粧効果を高めるために重ねづけしていくと、べたつきが強すぎるために塗布部と睫のひっかかりが生じて使用感が悪く、形成した化粧膜は硬く、束付きが多くて均一性に乏しい化粧膜になるという欠点があった。
そこで、新規な皮膜形成剤の開発と、重ねづけしても、ボリューム効果、化粧膜の均一性、カールキープ効果、化粧膜の柔軟性に優れる睫用化粧料の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる実情において、本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、
新規なデキストリン脂肪酸エステルと油性成分を配合することにより、ボリューム効果、化粧膜の均一性、カールキープ効果、化粧膜の柔軟性に優れ、重ねづけしていく際も塗布体と睫がひっかかることなくなめらかな使用感を与え、重ねづけすることによってさらに効果が上がり、しかも速乾性があり、睫が束づかず毛量が増加したかのように見える効果が得られ、睫用化粧料の樹脂として用いると非常に有用性が高いことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を全脂肪酸に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を全脂肪酸に対して0mol%以上50mol%未満を含有し、グルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステルと、油性成分とを配合することを特徴とする睫用化粧料に関するものである。
【0007】
また、本発明は、
(2)デキトスリンの水酸基に、全脂肪酸誘導体に対して、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を0mol%以上50mol%未満を含有する脂肪酸誘導体を反応させて得たデキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、グルコース単位当りの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステルと、油性成分とを配合することを特徴とする睫用化粧料に関するものである。
【0008】
さらに、本発明は、
(3)デキトスリンの水酸基に、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上とを反応させ、次いで、その生成物と炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を反応させて得たデキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、全脂肪酸誘導体に対して、該炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、該炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、該炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び該炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を0mol%以上50mol%未満反応させたものであり、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、グルコース単位当りの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステルと、油性成分とを配合することを特徴とする睫用化粧料に関するものである。
【0009】
そして、本発明は、
(4)前記デキストリン脂肪酸エステルを構成する分岐飽和脂肪酸が、炭素数12〜22の分岐飽和脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の睫用化粧料、
(5)前記デキストリン脂肪酸エステルが、ASTM D445測定方法による40℃における動粘度が8mm/sである流動パラフィンをゲル化しないことを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の睫用化粧料、
(6)前記デキストリン脂肪酸エステルを40質量%含有する軽質流動イソパラフィン溶液をガラス板に400μm厚のアプリケーターで成膜し、乾燥させた皮膜に、テクスチャーアナライザーを用いて100gの荷重をかけ、10秒保持後に0.5mm/秒で離したときの接触点にかかる荷重変化(最大応力値)が30〜1000gであるデキストリン脂肪酸エステルであること特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の睫用化粧料、
(7)前記油性成分が揮発性油であること特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の睫用化粧料、
(8)前記油性成分が固形油であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の睫用化粧料、
(9)前記油性成分が油溶性樹脂であることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の睫用化粧料、
(10)前記油溶性樹脂がロジンとモノ−、ジ−、トリのいずれかのグリセリンのエステルであって、該ロジンが不均化及び/又は水添されているロジンエステル化合物であることを特徴とする上記(9)に記載の睫用化粧料に関するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の睫用化粧料は、ボリューム効果、化粧膜の均一性、カールキープ効果、化粧膜の柔軟性に優れ、重ねづけしていく際も塗布体と睫がひっかかることなくなめらかな使用感を与え、重ねづけすることによってさらに効果が上がる睫用化粧料に関するものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の睫用化粧料に使用されるデキストリン脂肪酸エステルは、デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が全脂肪酸に対して炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸を50mol%より多く含有するグルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0である新規な物質で、睫に塗布した際に皮膜を形成することができるものである。(以下、単に「新規なデキストリン脂肪酸エステル」ということもある。)
【0012】
本発明に用いられる新規なデキストリン脂肪酸エステルは、次の特性を有する。
(1)新規なデキストリン脂肪酸エステルを液状油に混合したときに液状油がゲル化しない。
「液状油がゲル化しない」とは、ASTM D445測定方法による40℃における動粘度が8mm/sである流動パラフィンを液状油とする場合、デキストリン脂肪酸エステルを5質量%(以下単に「%」で示す。)含有する該流動パラフィンを100℃で溶解し、24時間後25℃で粘度を測定したとき、粘度が、Yamco DIGITAL VISCOMATE粘度計VM−100A(振動式)(山一電機社製)の検出限界以下であることを意味する。なお、ゲル化する場合には、粘度が検出されることで確認できる。
【0013】
(2)新規なデキストリン脂肪酸エステルが形成する皮膜が特定範囲のタック性を有する。
「タック性」を、支持体に該デキストリン脂肪酸エステルを塗布し、もうひとつの支持体を相互に離れた状態から面接触させた後に、後退させて別離させ、後退を開始してから完全に別離するまでの接触点にかかる荷重変化(最大応力値)で表す場合、該デキストリン脂肪酸エステルを40質量%含有する軽質流動イソパラフィン溶液をガラス板に400μm厚のアプリケーターで成膜し、乾燥させた皮膜に、テクスチャーアナライザー、たとえば、テクスチャーアナライザーTA.XTplus(Stable Micro Systems社製)を用いて、プローブとして直径12.5mm円柱状のポリアセタール樹脂(Delrin(登録商標)デュポン社製)製プローブを使用し、100gの荷重をかけ10秒保持後に0.5mm/秒で離したときの荷重変化、すなわちタック性が30〜1,000gである。
【0014】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられるデキストリンは、グルコース平均重合度3〜150、特に10〜100のデキストリンが好ましい。グルコース平均重合度が2以下では、得られたデキストリン脂肪酸エステルがワックス様となって油剤への溶解性が低下する。また、グルコース平均重合度が150を超えると、デキストリン脂肪酸エステルの油剤への溶解温度が高くなる、又は溶解性が悪くなる等の問題を生ずることがある。デキストリンの糖鎖は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
【0015】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸は、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を必須とし、さらに炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸、及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上(以下、これら炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸以外の脂肪酸をまとめて表すときは「その他の脂肪酸」という)を含有してもよいものである。
【0016】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸の組成割合は、全脂肪酸に対して、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上が50mol%より多く100mol%以下、好ましくは55mol%以上100mol%以下であり、その他の脂肪酸は、0mol%以上50mol%未満、好ましくは、0mol%以上45mol%以下である。
該炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸としては、例えば、イソ酪酸、イソ吉草酸、2−エチル酪酸、エチルメチル酢酸、イソヘプタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキン酸、イソヘキサコサン酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜選択又は組み合わせて使用することができる。これらのうち、炭素数12〜22のものが好ましく、特にイソステアリン酸が好ましく、構造の違い等の限定は特にない。
本発明において、イソステアリン酸とは、分岐したステアリン酸の1種、又は2種以上の混合物を意味する。例えば5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)−オクタン酸は、イソブチレン2量体のオキソ反応により炭素数9の分岐アルデヒドとし、次いでこのアルデヒドのアルドール縮合により炭素数18の分岐不飽和アルデヒドとし、次いで水素添加、酸化することにより製造することができ(以下、「アルドール縮合型」と略す)、これは例えば日産化学工業社より市販されている。2−ヘプチルウンデカン酸はノニルアルコールをガーベット反応(Guerbet反応、ゲルベ反応ともいう)により二量化し、酸化することにより製造することができ、これは例えば三菱化学社より市販されており、分岐位置の若干異なる類似混合物として、日産化学工業社より市販され、さらに出発アルコールが直鎖飽和ではない2箇所メチル分岐したタイプも同様に日産化学工業社より市販されている(以下総じて「ガーベット反応型」と略す)。また、メチル分岐イソステアリン酸は、例えばオレイン酸のダイマー製造時の副産物として得られるもので〔例えばJ.Amer.Oil Chem.Soc.,51,522(1974)に記載〕、例えば米国エメリー社などから市販されていたものがあげられる(以下「エメリー型」と略す)。エメリー型イソステアリン酸の出発物質であるダイマー酸のさらに出発物質は、オレイン酸だけでなく、リノール酸、リノレン酸等も含まれる場合がある。本発明においては特にこのエメリー型がより好ましい。
【0017】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸のうち炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸としては、例えば、酢酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜、選択又は組み合わせて使用することができる。これらの中でも、炭素数8〜22のものが好ましく、特に炭素数12〜22のものが好ましい。
【0018】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸のうち炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸としては、例えば、モノエン不飽和脂肪酸としては、シス−4−デセン(オブツシル)酸、9−デセン(カプロレイン)酸、シス−4−ドデセン(リンデル)酸、シス−4−テトラデセン(ツズ)酸、シス−5−テトラデセン(フィセテリン)酸、シス−9−テトラデセン(ミリストレイン)酸、シス−6−ヘキサデセン酸、シス−9−ヘキサデセン(パルミトレイン)酸、シス−9−オクタデセン(オレイン)酸、トランス−9−オクタデセン酸(エライジン酸)、シス−11−オクタデセン(アスクレピン)酸、シス−11−エイコセン(ゴンドレイン)酸、シス−17−ヘキサコセン(キシメン)酸、シス−21−トリアコンテン(ルメクエン)酸等が挙げられ、ポリエン不飽和脂肪酸としては、ソルビン酸、リノール酸、ヒラゴ酸、プニカ酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、モロクチ酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、イワシ酸、ドコサヘキサエン酸、ニシン酸、ステアロール酸、クレペニン酸、キシメニン酸等が挙げられる。
【0019】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸のうち炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸は、環状構造を基本骨格の少なくとも一部に有する炭素数6〜30の飽和又は不飽和脂肪酸を意味し、例えば9,10−メチレン−9−オクタデセン酸;アレプリル酸、アレプリン酸、ゴルリン酸、α−シクロペンチル酸、α−シクロヘキシル酸、α−シクロペンチルエチル酸、α−シクロヘキシルメチル酸、ω−シクロヘキシル酸、5(6)−カルボキシ−4−ヘキシル−2−シクロヘキセン−1−オクタン酸、マルバリン酸、ステルクリン酸、ヒドノカルピン酸、ショールムーグリン酸などが挙げられる。
【0020】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸として分岐飽和脂肪酸単独の場合のデキストリン脂肪酸エステルとしては、例えば以下のもの等が挙げられる。
デキストリンイソ酪酸エステル
デキストリンエチルメチル酢酸エステル
デキストリンイソヘプタン酸エステル
デキストリン2−エチルヘキサン酸エステル
デキストリンイソノナン酸エステル
デキストリンイソデカン酸エステル
デキストリンイソパルミチン酸エステル
デキストリンイソステアリン酸エステル
デキストリンイソアラキン酸エステル
デキストリンイソヘキサコサン酸エステル
デキストリン(イソ吉草酸/イソステアリン酸)エステル
【0021】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸として分岐飽和脂肪酸とその他の脂肪酸との混合脂肪酸を用いた場合のデキストリン脂肪酸エステルとしては、例えば以下のもの等が挙げられる。
デキストリン(イソ酪酸/カプリル酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/カプリル酸)エステル
デキストリン(イソアラキン酸/カプリル酸)エステル
デキストリン(イソパルミチン酸/カプリル酸)エステル
デキストリン(エチルメチル酢酸/ラウリン酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/ラウリン酸)エステル
デキストリン(イソヘプタン酸/ラウリン酸/ベヘン酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/ミリスチン酸)エステル
デキストリン(イソヘキサコサン酸/ミリスチン酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/パルミチン酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/パルミチン酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/イソ吉草酸/パルミチン酸)エステル
デキストリン(イソノナン酸/パルミチン酸/カプロン酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/パルミチン酸/ステアリン酸)エステル
デキストリン(イソデカン酸/パルミチン酸)エステル
デキストリン(イソパルミチン酸/ステアリン酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/アラキン酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/アラキン酸)エステル
デキストリン(2−エチル酪酸/ベヘン酸)エステル
デキストリン(イソノナン酸/リノール酸)エステル
デキストリン(イソパルミチン酸/アラキドン酸)エステル
デキストリン(イソパルミチン酸/カプリル酸/リノール酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/ステアリン酸/オレイン酸)エステル
デキストリン(イソアラキン酸/パルミチン酸/ショールムーグリン酸)エステル
【0022】
新規なデキストリン脂肪酸エステルのデキストリンへの脂肪酸の置換度は、グルコース単位当たり1.0〜3.0であり、好ましくは1.2〜2.8である。この置換度が1.0未満であると液状油等への溶解温度が100℃以上と高くなり、着色や特異な臭いが生じ、好ましくない。
【0023】
(デキストリン脂肪酸エステルの製造方法)
次に、本発明に用いられる新規なデキストリン脂肪酸エステルの製造方法について説明する。
製造方法としては、特に限定されず、公知の製法を採用することができるが、たとえば以下のようにして製造することができる。
【0024】
(1)グルコースの平均重合度が3〜150であるデキストリンと、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を全脂肪酸誘導体に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上(以下、これらの脂肪酸誘導体をまとめて表すときは「その他の脂肪酸誘導体」という)を全脂肪酸誘導体に対して0mol%以上50mol%未満を含有する脂肪酸誘導体とを反応させる。
【0025】
(2)グルコースの平均重合度が3〜150であるデキストリンと、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上とを反応させ、次いで、その生成物とその他の脂肪酸誘導体とを反応させる。
その場合、全脂肪酸誘導体に対して炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、その他の脂肪酸誘導体を全脂肪酸誘導体に対して0mol%以上50mol%未満使用する。
【0026】
本発明において、上記デキストリンとのエステル化反応に使用される脂肪酸誘導体としては、例えば、上記脂肪酸のハロゲン化物、酸無水物等が用いられる。
(1)及び(2)のいずれの場合も、まず、デキストリンを反応溶媒に分散し、必要に応じて触媒を添加する。これに、上記脂肪酸のハロゲン化物、酸無水物等を添加して反応させる。(1)の製造法の場合は、これらの酸を混合して同時に添加反応させ、(2)の製造法の場合は、まず反応性の低い分岐飽和脂肪酸誘導体を反応させた後、次いでその他の脂肪酸誘導体を添加反応させる。
【0027】
製造にあたり、これらのうちの好ましい方法を採用することができる。反応溶媒にはジメチルホルムアミド、ホルムアミド等のホルムアミド系;アセトアミド系;ケトン系;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物系;ジオキサン等の溶剤を適宜使用することができる。反応触媒としてはピリジン、ピコリン等の3級アミノ化合物などを用いることができる。反応温度は原料脂肪酸等により適宜選択されるが、0℃〜100℃の温度が好ましい。
【0028】
本発明に用いられる新規なデキストリン脂肪酸エステルの配合量は、特に限定されないが、0.5〜15%が好ましく1〜10%が特に好ましい。この範囲であれば、ボリューム効果、化粧膜の均一性、カールキープ効果、化粧膜の柔軟性に優れ、重ねづけしていく際も塗布体と睫がひっかかることなくなめらかな使用感を与え、重ねづけすることによってさらに効果が上がり、しかも速乾性があり、睫が束づかず毛量が増加したかのように見える効果を得ることができる。
【0029】
本発明の睫用化粧料に使用される成分、油性成分としては、新規なデキストリン脂肪酸エステル以外で化粧料に使用できるものであれば特に制限されず、動物油、植物油、合成油等の起源、及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。
具体的には、エチレン・プロピレンコポリマー、セレシン、パラフィンワックス、モンタンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、水添マイクロクリスタリン、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、軽質流動イソパラフィン、イソドデカン等の炭化水素類、水添アビエチン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリスリット等のテルペン系樹脂、アクリル−シリコーングラフト共重合体、トリメチルシロキシケイ酸、アクリル酸アルキルジメチコン共重合体等のシリコーン系樹脂、キャンデリラレジン等のワックス樹脂分、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂等の油溶性樹脂類、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、オレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルトリメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、架橋型オルガノポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類等が挙げられる。これらの油性成分は必要に応じて1種又は2種以上用いることができる。
これらの中でも、揮発性油、固形油、油溶性樹脂が、好ましく用いられる。
【0030】
揮発性油としては、化粧料に使用できるものであれば、特に制限されないが、例えば、軽質流動イソパラフィン、イソドデカン等の炭化水素油、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルトリメチコン、低重合度ジメチルポリシロキサン等のシリコーン類が挙げられ、これらを必要に応じて1種又は2種以上用いることができる。中でも軽質流動イソパラフィン、環状シリコーンが、睫用化粧料の乾燥速度を高め、揮発により強固な化粧膜を形成するため、カールキープ効果に優れる点で好ましい。市販品としては、例えば、IPソルベント(出光興産社製)、シェルソル(シェル化学社製)、シリコンKF994、KF995、KF96A(5CS)(何れも、信越化学工業社製)等が挙げられる。尚、該油性成分は新規なデキストリン脂肪酸エステルを溶解する溶媒として用いることや油性睫用化粧料の場合の基材として用いることもできる。
本発明において揮発性油の配合量は、特に限定されないが、油性、油中水型では10〜70%が好ましく、20〜60%が更に好ましい。また、水中油型では、配合しない場合もあるが、0.5〜30%が好ましく、1〜20%が更に好ましい。この範囲であると、塗布時はなめらかな使用感でありながらも、乾燥速度が適切であることから均一かつ強度にも優れる化粧膜を形成し、カールキープ効果に優れる点で好ましい。
【0031】
固形油としては、本発明においてボリューム効果とカールキープ効果を与えるものであり、化粧料に通常使用できるものであれば、特に制限されず、必要に応じ1種又は2種以上用いることができる。例えば、エチレン・プロピレンコポリマー、ポリエチレンワックス、セレシンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、水添マイクロクリスタリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ミツロウ等が挙げられる。市販品としては、EPSワックス(日本ナチュラルプロダクツ社製)、PERFORMALENE 655、PERFORMALENE 500(ニューフェーズテクノロジー社製)、PM−WAX82(日興リカ社製)、OZOKERITE WAX SP−273P(STRAHL & PITSCH社製)、ムルチワックスW−445(SONNEBORN社製)、NC−1630キャンデリラワックス(セラリカ野田社製)、精製キャンデリラワックスSR−3、高融点キャンデリラワックスFR100、精製キャンデリラワックスMD−21、精製カルナウバワックス1号(日本ナチュラルプロダクツ社製)、WHITE BEES WAX(三木化学社製)、BEES WAX S(クローダ社製)等が挙げられる。
本発明において固形油の配合量は、特に限定されないが、油性、油中水、水中油型において5〜40%が好ましく、10〜30%が更に好ましい。この範囲であるとボリューム効果およびカールキープ効果が飛躍的に向上する。
【0032】
油溶性樹脂としては、本発明においてボリューム効果とカールキープ効果を与えるものであり、化粧料に通常使用されるものであれば、特に制限されず必要に応じ1種又は2種以上を用いることができる。例えば、キャンデリラレジン、水添ロジン酸ペンタエリスリチル、水添アビエチン酸グリセリル等のテルペン系樹脂、トリメチルシロキシケイ酸、アクリル−シリコーングラフト共重合体、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリイソブチレン等が挙げられる。中でも、水添アビエチン酸グリセリルが、重ねづけしたときの高いボリューム効果や重ねづけしたときのカールキープ効果、さらに重ねづけしたときの化粧膜の柔軟性の点で好ましい。市販品としては、パインクリスタル KE−311(荒川化学工業社製)が挙げられる。
本発明において油溶性樹脂の配合量は、特に限定されないが、固形分濃度として油性、油中水型において0.5〜25%が好ましく、1〜15%が更に好ましい。また、水中油型では0.1〜10%が好ましく、0.5〜5%が更に好ましい。この範囲であるとボリューム効果およびカールキープ効果が飛躍的に向上するとともに、均一性の高い化粧膜が得られる。
【0033】
本発明に用いられる油性成分の配合量は、特に限定されないが、前記揮発性油、固形油、油溶性樹脂やその他の油性成分の合計で、油性、油中水型においては15〜90%が好ましく、30〜80%が更に好ましい。また、水中油型では5〜70%が好ましく、10〜50%が更に好ましい。この範囲であれば、前述のデキストリン脂肪酸エステルの効果を最大に引き出し、更にボリューム効果とカールキープ効果を向上することができる。
【0034】
本発明の睫用化粧料に使用する新規なデキストリン脂肪酸エステルは特定比率からなる分岐飽和脂肪酸と、直鎖飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、環状の飽和又は不飽和脂肪酸との混合物、あるいは、分岐飽和脂肪酸単独でデキストリンをエステル化させたデキストリン脂肪酸エステルであるが、該デキストリン脂肪酸エステルは、従来のデキストリン脂肪酸エステルと異なり、液状油のゲル化能を有せず、タック性に優れるものである。該デキストリン脂肪酸エステルは、油性成分と組み合わせて睫に塗布すると、塗布時は付着性に優れ、重ねづけがしやすいものであるためボリューム効果を得ることができ、重ねづけしても速乾性に優れるため睫上で皮膜を形成すると、タック性がなくなり睫が束づかず毛量が増加したかのように見える効果が得られた。またその皮膜は、しなやかで柔軟性に優れていながら十分な強度があり、睫の動きに追従することができることから、重ね付けしてマスカラ液の重みが大きくなっても高いカールキープ効果を発揮することができる。また配合量が増えていってもマスカラ液の粘度を増大させることなく、粘度が低いままでなめらかに塗布できることから、重ねづけしたときの化粧膜の均一性にも優れるものである。更に、油性成分の中でも固形油や油溶性樹脂と組み合わせることで睫の付着性や形成した皮膜の強度をさらに向上することができ、特に、ボリューム効果、化粧膜の均一性、カールキープ効果、化粧膜の柔軟性に優れ、重ねづけしていく際も塗布体と睫がひっかかることなくなめらかな使用感を与え、重ねづけすることによってさらに効果が上がる睫用化粧料を得ることができる。
【0035】
本発明の睫用化粧料は、上記の必須成分の他に、通常化粧料に使用される成分、例えば皮膜形成性ポリマーエマルション、粉体成分、繊維、界面活性剤、水性成分、紫外線吸収剤、保湿剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料などを本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0036】
水性成分は、水及び水に可溶な成分であれば何れでもよく、保湿成分として用いられたり、特に水は水中油型化粧料の場合の基材として用いられる。例えば、エチルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。水溶性高分子としては、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成系のものを挙げることができる。タンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等の他の保湿剤を含有する事もできる。
【0037】
界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であればいずれのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、水中油型化粧料の場合は水を分散させる乳化剤として用いられ、油中水型化粧料の場合は油を分散させる乳化剤として用いられ、油性化粧料の場合は粉体の分散性向上を目的として用いられる。
非イオン界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ラノリンのアルキレングリコール付加物、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸のような脂肪酸の無機及び有機塩、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩、N−アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−アルキルアミノ酸塩、ο−アルキル置換リンゴ酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノールアミン脂肪酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩、環式四級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アミノ酸タイプやベタインタイプのカルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものがあり、人体に対して安全とされるものが使用できる。例えば、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシルメチルアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキルアミノアルキレンカルボン酸、N,N,N−トリアルキル−N−スルフォアルキレンアンモニウムベタイン、N,N−ジアルキル−N,N−ビス(ポリオキシエチレン硫酸)アンモニウムベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、レシチン等が挙げられる。これらの界面活性剤は、必要に応じ、1種又は2種以上を使用することができる。
【0038】
皮膜形成性ポリマーエマルションとしては、水性の溶媒中に高分子の微粒子が安定に分散した系で、界面活性剤で乳化させたモノマーを重合することによって得られる液や自然界に存在する乳状の樹液を含むもので、通常化粧料に使用されるものであれば特に制限されず、いずれのものも使用することができ、水中油、油中水型化粧料において主に用いられる。
例えば、アクリル酸アルキル共重合体エマルション、アクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルション、ポリ酢酸ビニルエマルション、ビニルピロリドン・スチレン共重合体エマルション等が挙げられ、市販品としては、YODOSOL32A707、YODOSOL GH810F、YODOSOL GH800F(アクゾノーベル社製)、プレキシトール B−500(ROHM GMBH社製)、リカボンドET−F527(中央理科工業社製)、ビニブラン1080、ビニブラン1128C,ビニブラン1080M,ビニブラン1080T、ビニブランGV−5651、ビニブラン1108S/W(日信化学工業社製)、ANTARA430(ISP社製)が挙げられる。これらのポリマーエマルションは、必要に応じ、1種又は2種以上を使用することができる。
【0039】
粉体成分としては、板状、紡錘状、針状等の形状、粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類、等が挙げられる。具体的には、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、無水ケイ酸被覆雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、酸化チタン被覆ガラス末、酸化チタン・酸化鉄被覆ガラス末、酸化チタン・無水ケイ酸被覆ガラス末、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン、ナイロン等の有機粉体類、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。
また、これら粉体は1種又は2種以上の複合化したものを用いても良く、フッ素化合物、シリコーン系油剤、金属石ケン、ロウ、界面活性剤、油脂、炭化水素等を用いて公知の方法により表面処理を施したものであっても良い。
【0040】
繊維としては、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成繊維、レーヨン等の人造繊維、セルロース等の天然繊維、アセテート人絹等の半合成繊維等が挙げられ、これらは特に限定されるものではなく、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。これらの繊維は、ポリエチレンテレフタレートとナイロンを層状に重ねた複合繊維のように、1種又は2種以上の複合化したものを用いても良く、また、本発明の効果を妨げない範囲で、一般油剤、シリコーン油、フッ素化合物、界面活性剤等で処理したものも使用することができる。本発明品は繊維を配合しなくても、優れたロングラッシュ効果を発揮するものであるが、さらにロングラッシュ効果を得たい場合は上記繊維を配合し、具現化することができる。
長さは特に制限されないが、一般的には、0.1〜10mmが好ましく、0.3〜7mmが更に好ましく用いられる。太さは一般的には0.1〜20テックス(以下、単に「T」と示す。)が好ましく、更に好ましくは0.3〜15Tである。これらの繊維は材質、太さ、長さの異なる1種又は2種以上を用いることができる。
繊維の断面の形状は特に限定されないが、円状、楕円状、多角形、井形、T型、Y型等いずれのものも使用することができる。
更に、これらの繊維は、必要に応じて着色剤で着色したり、表面処理を施したりして使用される。表面処理剤の種類としてはフッ素化合物、シリコーン油、粉体、油剤、ゲル化剤、エマルションポリマー、界面活性剤等があり、1種又は2種以上を用いることができる。
【0041】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、グリコール類等が挙げられる。
【0042】
本発明の睫用化粧料としては、油性、油中水、水中油型のマスカラ、マスカラオーバーコート、マスカラ下地等が挙げられ、水中油型では付着性の良さがより顕著に現れ、化粧効果の持続性につながり、油性型ではカールキープ効果を発揮する点がより顕著に現れるため好ましい。形状としてはゲル状、乳液状、クリーム状等が挙げられる。
【実施例】
【0043】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0044】
《新規なデキストリン脂肪酸エステルの参考製造例》
以下に本発明に用いる新規なデキストリン脂肪酸エステルの参考製造例を示す。また、下記方法で置換度、構成脂肪酸のmol%、粘度、タック性を測定した。
【0045】
(置換度、構成脂肪酸のmol%の測定方法)
参考製造例のデキストリン脂肪酸エステルのIRスペクトルを測定し、アルカリ分解後の脂肪酸量とガスクロマトグラフィーから、置換度と、構成脂肪酸のmol%を求めた。
【0046】
(粘度の測定方法)
各試料(参考製造例のデキストリン脂肪酸エステル)を5質量%含有する流動パラフィンを100℃で溶解し、室温(25℃)まで冷却する。25℃の恒温槽で24時間保温し、以下の測定機器を用いて粘度を測定した。
尚、流動パラフィンはASTM D445測定方法による40℃の動粘度が8mm/sのものを使用した。
[測定機器]Yamco DIGITAL VISCOMATE MODEL VM−100A(山一電機社製)
【0047】
(タック性の測定方法)
各試料(参考製造例のデキストリン脂肪酸エステル)をIPクリーンLX(軽質流動イソパラフィン)に40%溶解した溶液を、ガラス板に400μm厚のアプリケーターで塗布し、その皮膜を室温24時間乾燥後、70℃で12時間保存後、室温25℃において、乾燥したもののタック性を、以下に示す機器および条件で評価した。
[測定機器]テクスチャーアナライザーTA.XTplus(Stable Micro Systems社製)
[プローブ]1/2 Cyl.Delrin(ポリアセタール樹脂(POM))P/0.5)、直径12.5mm円柱状
[測定条件]Test Speed:0.5mm/sec, Applied Force:100g, Contact Time:10sec
【0048】
[参考製造例1:デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステル]
平均グルコース重合度30のデキストリン21.41g(0.132mol)をジメチルホルムアミド71g、3−メチルピリジン62g(0.666mol)とからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)120g(0.396mol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質107gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
尚、エメリー型の出発原料はコグニス社製のEMARSOL873を用いた。本原料の脂肪酸組成は分岐飽和脂肪酸が60mol%、その他の脂肪酸が40mol%(パルミチン酸10mol%を含む)のものを用いた。(以下同様)
置換度は2.2、分岐飽和脂肪酸60mol%、その他の脂肪酸40mol%(内パルミチン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は161gであった。
【0049】
[参考製造例2〜4:デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステル]
参考製造例1記載の原料・方法に準じ、
参考製造例2は、平均グルコース重合度30のデキストリン0.132molに対し、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)を0.172mol用い、デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステルを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
置換度1.0、分岐飽和脂肪酸60mol%、その他の脂肪酸40mol%(内パルミチン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は35gであった。
参考製造例3は、平均グルコース重合度30のデキストリン0.132molに対し、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)を0.224mol用い、デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステルを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
置換度1.4、分岐飽和脂肪酸60mol%、その他の脂肪酸40mol%(内パルミチン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は45gであった。
参考製造例4は平均グルコース重合度30のデキストリン0.132molに対し、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)を0.502mol用い、デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステルを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
置換度2.6、分岐飽和脂肪酸60mol%、その他の脂肪酸40mol%(内パルミチン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は750gであった。
【0050】
[参考製造例5:デキストリンイソステアリン酸エステル]
イソステアリン酸クロライド(エメリー型)の代わりにイソステアリン酸クロライド(ガーベット反応型)を用いた以外は参考製造例1と同様に作成し、淡黄色の樹脂状物質80gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸100mol%)
尚、ガーベット反応型の出発原料は日産化学工業社製のファインオキソコール イソステアリン酸−Nを用いた。
置換度は1.8、イソステアリン酸100mol%、粘度は0mPa・s、タック性は173gであった。
【0051】
[参考製造例6:デキストリンイソステアリン酸エステル]
イソステアリン酸クロライド(エメリー型)の代わりにイソステアリン酸クロライド(アルドール縮合型)を用いた以外は参考製造例1と同様に作成し、淡黄色の樹脂状物質60gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸100mol%)
尚、アルドール縮合型の出発原料は日産化学工業社製のファインオキソコール イソステアリン酸を用いた。
置換度は1.2、イソステアリン酸100mol%、粘度は0mPa・s、タック性は61gであった。
【0052】
[参考製造例7:デキストリンイソアラキン酸/パルミチン酸エステル]
平均グルコース重合度150のデキストリン51.28gをジメチルホルムアミド150g、ピリジン60gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソアラキン酸クロライド132gとパルミチン酸クロライド12gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質145gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸90mol%)
置換度は1.1、イソアラキン酸85mol%、パルミチン酸15mol%、粘度は0mPa・s、タック性は45gであった。
【0053】
[参考製造例8:デキストリンイソ酪酸/カプリン酸エステル]
平均グルコース重合度5のデキストリン34.19gを3−メチルピリジン215gに70℃で分散させ、イソ酪酸クロライド50g及びカプリン酸クロライド60gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をエタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質98gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
置換度は2.9、イソ酪酸63mol%、カプリン酸37mol%、粘度は0mPa・s、タック性は255gであった。
【0054】
[参考製造例9:デキストリンイソパルミチン酸エステル]
平均グルコース重合度100のデキストリン23.62gをジメチルホルムアミド71g、3−メチルピリジン62gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソパルミチン酸クロライド100gを30分間滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質90gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸100mol%)
置換度は2.0、イソパルミチン酸100mol%、粘度は0mPa・s、タック性は204gであった。
【0055】
[参考製造例10:デキストリンイソノナン酸/ステアリン酸エステル]
平均グルコース重合度20のデキストリン36.34gをジメチルホルムアミド120g、3−メチルピリジン62gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソノナン酸クロライド41g及びステアリン酸クロライド58gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質95gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸55mol%)
置換度は1.6、イソノナン酸51mol%、ステアリン酸49mol%、粘度は0mPa・s、タック性は64gであった。
【0056】
[参考製造例11:デキストリン2−エチルヘキサン酸/ベヘン酸エステル]
平均グルコース重合度20のデキストリン54.56gをジメチルホルムアミド150g、3−メチルピリジン130gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、2−エチルヘキサン酸クロライド147g、次いでベヘン酸クロライド36gを計30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質95gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸90mol%)
置換度は2.3、2−エチルヘキサン酸95mol%、ベヘン酸5mol%、粘度は0mPa・s、タック性は138gであった。
【0057】
[参考製造例12:デキストリンイソパルミチン酸/酢酸エステル]
平均グルコース重合度20のデキストリン22.56gをジメチルホルムアミド71g、3−メチルピリジン70gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソパルミチン酸クロライド110g及び無水酢酸10gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質96gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸80mol%)
置換度は2.8、イソパルミチン酸79mol%、酢酸21mol%、粘度は0mPa・s、タック性は430gであった。
【0058】
[参考製造例13:デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)/オレイン酸エステル]
平均グルコース重合度40のデキストリン19.99gをジメチルホルムアミド71g、3−メチルピリジン62gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)108gとオレイン酸クロライド12gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質88gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸54mol%)
置換度は2.2、分岐飽和脂肪酸54mol%、その他の脂肪酸46mol%(内オレイン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は350gであった。
【0059】
実施例1〜6及び比較例1〜3:油性マスカラ(ゲル状)
表1に示す処方の油性マスカラを下記製法に従って調製し、a.ボリューム効果、b.化粧膜の均一性、c.カールキープ効果、d.化粧膜の柔軟性を下記の評価方法により評価した。その結果も併せて表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
*1:参考製造例1で得たデキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステル
*2:IPソルベント 1620MU(出光興産社製)
*3:レオパール TT2(千葉製粉社製)
*4:パインクリスタル KE−311(荒川化学工業社製)
*5:キャンデリラ樹脂E―1(日本ナチュラルプロダクツ社製)
*6:KF7312J(信越化学工業社製)(固形分50%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)
*7:BENTONE 27V(ELEMENTIS社製)
*8:AEROSIL 200(日本アエロジル社製)
*9:ジメチルポリシロキサン5%処理
【0062】
(製法)
A.成分(1)〜(8)を約110℃に加熱し、均一に混合する。
B.Aに(9)〜(12)を添加し、均一に混合する。
C.Bを室温まで冷却し、塗布具付き容器に充填して油性マスカラを得た。
【0063】
(評価方法)
a〜dの項目について、各試料について専門パネル20名による使用テストを行った。各試料を20回睫に塗布し(重ねづけ)、パネル各人が下記絶対評価にて6段階に評価し、評点をつけ、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
尚、評価項目a.b.d.は塗布直後を評価し、評価項目cについては、試料を睫に塗布し、パネルに通常の生活をしてもらい、8時間後の化粧効果について評価した。
<評価項目>
a.ボリューム効果
b.化粧膜の均一性
c.カールキープ効果
d.化粧膜の柔軟性
<6段階絶対評価>
(評点):(評価)
5:非常に良い
4:良い
3:やや良い
2:普通
1:やや悪い
0:悪い
<4段階判定基準>
◎:4点以上 :非常に良好
○:3点以上で4点未満 :良好
△:1.5点以上で3点未満 :やや不良
×:1.5点未満 :不良
【0064】
表1の結果から明らかな如く、本発明の実施例1〜6の油性マスカラは、比較例1〜3の油性マスカラに比べ塗布時の付着性に優れるため、1回塗布しただけでも十分なボリューム効果が得られ、さらに化粧膜の均一性、カールキープ効果、化粧膜の柔軟性にも優れていた。さらなる化粧効果を得るために重ねづけしていく際も、マスカラ液の粘度が低くなめらかであることから、塗布体と睫がひっかかることなく使用感と化粧膜の均一性に優れ、重ねづけしても速乾性に優れるため睫上で皮膜を形成すると、タック性がなくなり睫が束づかず毛量が増加したかのように見える効果が得られた。またその皮膜は、しなやかで柔軟性に優れていながら十分な強度があり、睫の動きに追従することができることから、重ね付けしてマスカラ液の重みが大きくなっても高いカールキープ効果が得られた。
これに対して、油性成分のみを配合して、新規なデキストリン脂肪酸エステルを配合しない比較例1では、睫に対する付着性と化粧膜の強度が弱いために、重ね付けしてもボリューム効果とカールキープ効果が著しく低下するとともに、マスカラ液が睫に均一かつ密に付着していかないため化粧膜の均一性にも欠けていた。
新規なデキストリン脂肪酸エステルの代わりに、従来の皮膜形成樹脂を配合した比較例2では、べとつきが大きいため重ね付けしたときの均一性が損なわれるとともに、化粧膜の柔軟性にも欠けていた。
新規なデキストリン脂肪酸エステルの代わりに、従来のデキストリン脂肪酸エステルを配合した比較例3では、睫に対する付着性と化粧膜の強度が弱いために、重ね付けしてもボリューム効果とカールキープ効果が著しく低下するとともに、マスカラ液が睫に均一かつ密に付着していかないため化粧膜の均一性にも欠けていた。
【0065】
更に、実施例1の成分(1)デキストリンイソステアリン酸エステル(エメリー型)に代えて、参考製造例2〜13のデキストリン脂肪酸エステルを用いて得た油性マスカラについて実施例1と同じ評価方法を用いて評価したところ、1回塗布しただけでもボリューム効果、化粧膜の均一性、カールキープ効果、化粧膜の柔軟性に優れているが、さらなる化粧効果を得るために重ねづけしていく際も塗布体と睫がひっかかることなくなめらかに塗布できることから使用感がよく、重ねづけすることによってさらに効果が上がり、しかも速乾性があり、睫が束づかず毛量が増加したかのように見える効果が得られるものあった。
【0066】
実施例7〜12及び比較例4〜6:水中油型マスカラ(クリーム状)
表2に示す処方の水中油型マスカラを下記製法に従って調製し、a.ボリューム効果、b.化粧膜の均一性、c.カールキープ効果、d.化粧膜の柔軟性を実施例1〜6及び比較例1〜3の評価方法を用いて評価した。その結果も併せて表2に示す。
【0067】
【表2】

【0068】
*10:KP545(固形分30%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)(信越化学工業社製)
*11:ビニブラン1080(固形分42〜48%)(ポリマーラテックス社製)
*12:YODOSOL GH810F(固形分50%)(アクゾノーベル社製)
*13:AEROSIL300(日本アエロジル社製)
【0069】
(製法)
A.成分(1)〜(8)を80℃で均一に加熱溶解する。
B.成分(9)〜(17)を均一に混合し80℃に加熱する。
C.BにAを加え乳化する。
D.Cを室温まで冷却し、塗布具付き容器に充填し水中油型マスカラを得た。
【0070】
表2の結果から明らかな如く、本発明の実施例7〜12の水中油型マスカラは、比較例4〜6の水中油型マスカラに比べ、塗布時の付着性に優れるため、1回塗布しただけでも十分なボリューム効果が得られ、さらに化粧膜の均一性、カールキープ効果、化粧膜の柔軟性にも優れていた。さらなる化粧効果を得るために重ねづけしていく際も、マスカラ液の粘度が低くなめらかであることから、塗布体と睫がひっかかることなく使用感と化粧膜の均一性に優れ、重ねづけしても速乾性に優れるため睫上で皮膜を形成すると、タック性がなくなり睫が束づかず毛量が増加したかのように見える効果が得られた。またその皮膜は、しなやかで柔軟性に優れていながら十分な強度があり、睫の動きに追従することができることから、重ね付けしてマスカラ液の重みが大きくなっても高いカールキープ効果が得られた。
これに対して、油性成分のみを配合して新規なデキストリン脂肪酸エステルを含有しない比較例4では、睫に対する付着性と化粧膜の強度が弱いために、重ね付けしてもボリューム効果とカールキープ効果が著しく低下するとともに、マスカラ液が睫に均一かつ密に付着していかないため化粧膜の均一性にも欠けていた。
新規なデキストリン脂肪酸エステルの代わりに、従来の皮膜形成樹脂を配合した比較例5では、睫に対する付着性が弱いために重ね付けしても十分なボリューム効果が得られず、マスカラ液が睫に均一かつ密に付着していかないため化粧膜の均一性にも欠けており、化粧膜は剛直で柔軟性に乏しいものであった。
新規なデキストリン脂肪酸エステルの代わりに、従来のデキストリン脂肪酸エステルを配合した比較例6では、睫に対する付着性と化粧膜の強度が弱いために、重ね付けしてもボリューム効果とカールキープ効果が著しく低下するとともに、マスカラ液が睫に均一かつ密に付着していかないため化粧膜の均一性にも欠けていた。
【0071】
更に、実施例7の成分(1)デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステルに代えて、参考製造例2〜13のデキストリン脂肪酸エステルを用いて得た水中油型マスカラについて実施例1と同じ評価方法を用いて評価したところ、1回塗布しただけでもボリューム効果、化粧膜の均一性、カールキープ効果、化粧膜の柔軟性に優れているが、さらなる化粧効果を得るために重ねづけしていく際も塗布体と睫がひっかかることなくなめらかに塗布できることから使用感がよく、重ねづけすることによってさらに効果が上がり、しかも速乾性があり、睫が束づかず毛量が増加したかのように見える効果が得られるものもあった。
【0072】
以下、実施例13〜17についても、実施例1と同様の評価方法を用いて評価した。
実施例13:油性マスカラ(ロングタイプ、ゲル状)
(成分) (%)
(1)デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステル *14 0.5
(2)トリメチルシロキシケイ酸溶液 *6 5
(3)水添アビエチン酸グリセリル *4 5
(4)カルナウバワックス 10
(5)マイクロクリスタリンワックス *15 5
(6)水添ポリデセン *16 2
(7)軽質流動イソパラフィン *2 残量
(8)有機変性ベントナイト *7 3
(9)タルク 10
(10)ポリプロピレン繊維 *17 2
(11)ポリエチレンテレフタレート・ナイロン−66混合繊維 *18 1
(12)パラオキシ安息香酸メチルエステル 0.1
(13)フェノキシエタノール 0.1
(14)香料 0.2
*14:参考製造例3で得たデキストリンイソステアリン酸エステル
*15:MULTIWAX W−835 MYCROCRYSTALLINEWAX(SONNEBORN社製)
*16:Silkflo 364NF Polydecene(Lipo Chemicals社製)
*17:10T、3mm
*18:15T、0.5mm
(製法)
A.成分(1)〜(7)を約110℃で加熱混合し均一にする。
B.成分(8)〜(14)をAに加え均一に混合する。
C.Bを容器に充填し、油性マスカラを得た。
以上のようにして得られた油性マスカラ(ロングタイプ、ゲル状)は、1回塗布しただけでもボリューム効果、化粧膜の均一性、カールキープ効果、化粧膜の柔軟性に優れているが、さらなる化粧効果を得るために重ねづけしていく際も塗布体と睫がひっかかることなくなめらかに塗布できることから使用感がよく、重ねづけすることによってさらに効果が上がり、しかも速乾性があり、睫が束づかず毛量が増加したかのように見える効果が得られた。
【0073】
実施例14:油中水型マスカラ(クリーム状)
(成分) (%)
(1)デキストリンイソ酪酸/カプリン酸エステル *19 3
(2)ロジン酸ペンタエリスリトール 10
(3)キャンデリラレジン *5 1
(4)ポリビニルピロリドン 0.1
(5)軽質流動イソパラフィン *2 残量
(6)デキストリン脂肪酸エステル *20 2
(7)煙霧状無水ケイ酸 *21 8
(8)有機変性ベントナイト *7 2
(9)チタン・酸化チタン焼結物 *22 5
(10)マイカ 5
(11)1,3−ブチレングリコール 8
(12)精製水 3
(13)香料 0.1
*19:製造例8で得たデキストリンイソ酪酸/カプリン酸エステル
*20:レオパールTL2(千葉製粉社製)
*21:AEROSIL R974(日本アエロジル社製)
*22:TILACK D(赤穂化成社製)
(製法)
A.成分(1)〜(10)を100℃に加熱溶解し、常温になるまで冷却する。その後、成分(11)〜(13)を加えて乳化する。
B.Aを容器に充填して製品とする。
以上のようにして得られた油中水型マスカラ(クリーム状)は、1回塗布しただけでもボリューム効果、化粧膜の均一性、カールキープ効果、化粧膜の柔軟性に優れているが、さらなる化粧効果を得るために重ねづけしていく際も塗布体と睫がひっかかることなくなめらかに塗布できることから使用感がよく、重ねづけすることによってさらに効果が上がり、しかも速乾性があり、睫が束づかず毛量が増加したかのように見える効果が得られた。
【0074】
実施例15:水中油型マスカラ(ロングタイプ、クリーム状)
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 2
(2)ミリスチン酸 1
(3)カルナウバワックス 5
(4)デキストリン2−エチルヘキサン酸/ベヘン酸エステル *23 10
(5)キャンデリラワックス *24 5
(6)モノステアリン酸グリセリル 1
(7)セトステアリルアルコール 0.5
(8)ショ糖脂肪酸エステル 2
(9)モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O) 1.5
(10)セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
(11)黒酸化鉄 5
(12)無水ケイ酸 0.1
(13)トリエタノールアミン 1.2
(14)1,2−ペンタンジオール 5
(15)パラオキシ安息香酸エステル 0.2
(16)アクリル酸アルキルコポリマーエマルション *25 10
(17)酢酸ビニル重合体エマルション *11 0.5
(18)シャクヤクエキス 0.03
(19)ナイロンファイバー *26 1
(20)ポリエチレンテレフタレート・ナイロン−66混合繊維 *27 3
(21)精製水 残量
*23:参考製造例11で得たデキストリン2−エチルヘキサン酸/ベヘン酸エステル
*24:高融点キャンデリラワックスFR100(日本ナチュラルプロダクツ社製)
*25:YODOSOLGH800F(固形分45%)(アクゾノーベル社製)
*26:3T、2mm
*27:15T、0.5mm
(製法)
A.成分(1)〜(12)を110℃に加熱溶解し、均一に混合する。
B.成分(13)〜(21)を均一に混合する。
C.AにBを加え、80℃で乳化する。
以上のようにして得られた水中油型マスカラ(ロングタイプ、クリーム状)は1回塗布しただけでもボリューム効果、化粧膜の均一性、カールキープ効果、化粧膜の柔軟性に優れているが、さらなる化粧効果を得るために重ねづけしていく際も塗布体と睫がひっかかることなくなめらかに塗布できることから使用感がよく、重ねづけすることによってさらに効果が上がり、しかも速乾性があり、睫が束づかず毛量が増加したかのように見える効果が得られた。
【0075】
実施例16:マスカラオーバーコート(ゲル状)
(成分) (%)
(1)デキストリンイソステアリン酸エステル *28 15
(2)不均化ロジングリセリンエステル *29 5
(3)トリメチルシロキシケイ酸溶液 *6 3
(4)アクリル−シリコーングラフト共重合体 *10 3
(5)パルミチン酸デキストリン *30 10
(6)デカメチルシクロペンタシロキサン 残量
(7)有機変性ベントナイト *31 7
(8)ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・
エポキシ積層末 *32 5
(9)ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート
積層フィルム末 *33 3
(10)酸化チタン被覆ガラス末 *34 10
(11)雲母チタン *35 3
(12)パラオキシ安息香酸メチルエステル 0.1
*28:参考製造例5で得たデキストリンイソステアリン酸エステル
*29:スーパーエステルA−75(荒川化学工業社製)
*30:レオパールKL2(千葉製粉社製)
*31:BENTONE 38V BC(ELEMENTIS社製)
*32:DCグリッターシルバーC(ダイヤケムコ社製)
*33:オーロラフレーク レッド(角八魚燐箔社製)
*34:メタシャイン1080RC−S(日本板硝子社製)
*35:HELIOS R100S(トピー工業社製)
(製法)
A.成分(1)〜(6)を約110℃で加熱混合し均一にする。
B.成分(7)〜(12)とAを合わせ均一に混合する。
C.Bを容器に充填し、マスカラオーバーコート(ゲル状)を得た。
以上のようにして得られたマスカラオーバーコート(ゲル状)は、市販のマスカラを1回塗布した後、本マスカラオーバーコートを1回塗布しただけでもボリューム効果、カールキープ効果が得られ、化粧膜の均一性、化粧膜の柔軟性に優れているが、さらなる化粧効果を得るために重ねづけしていく際も塗布体と睫がひっかかることなくなめらかに塗布できることから使用感がよく、重ねづけすることによってさらに効果が上がり、しかも速乾性があり、睫が束づかず毛量が増加したかのように見える効果が得られた。
【0076】
実施例17:マスカラ下地(クリーム状)
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 2
(2)ミツロウ 10
(3)デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)/
オレイン酸エステル *36 5
(4)ビニルピロリドン・スチレン共重合体エマルション *37 20
(5)酢酸ビニル重合体エマルション *11 3
(6)水酸化ナトリウム 0.1
(7)酸化チタン 0.5
(8)1,3−ブチレングリコール 10
(9)シリコーン樹脂粉末 *38 15
(10)精製水 残量
*36:参考製造例13で得たデキストリンイソステアリン酸(エメリー型)/オレイン酸エステル
*37:ANTARA430(固形分40%)(ISP社製)
*38:トスパール2000B(GE東芝シリコーン社製)
(製法)
A.成分(1)〜(3)を110℃に加熱溶解し、均一に混合する。
B.成分(4)〜(10)を均一に混合する。
C.AにBを加え、80℃で乳化する。
以上のようにして得られたマスカラ下地(クリーム状)は、1回塗布しただけでもボリューム効果、化粧膜の均一性、カールキープ効果、化粧膜の柔軟性に優れているが、さらなる化粧効果を得るために重ねづけしていく際も塗布体と睫がひっかかることなくなめらかに塗布できることから使用感がよく、重ねづけすることによってさらに効果が上がり、しかも速乾性があり、睫が束づかず毛量が増加したかのように見える効果が得られた。本マスカラ下地を塗布後、市販のマスカラを1回塗布したところボリューム効果、化粧膜の均一性、カールキープ効果、化粧膜の柔軟性に優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を全脂肪酸に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を全脂肪酸に対して0mol%以上50mol%未満を含有し、グルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステルと、油性成分とを配合することを特徴とする睫用化粧料。
【請求項2】
デキトスリンの水酸基に、全脂肪酸誘導体に対して、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を0mol%以上50mol%未満を含有する脂肪酸誘導体を反応させて得たデキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、グルコース単位当りの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステルと、油性成分とを配合することを特徴とする睫用化粧料。
【請求項3】
デキトスリンの水酸基に、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上とを反応させ、次いで、その生成物と炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を反応させて得たデキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、全脂肪酸誘導体に対して、該炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、該炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、該炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び該炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を0mol%以上50mol%未満反応させたものであり、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、グルコース単位当りの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステルと、油性成分とを配合することを特徴とする睫用化粧料。
【請求項4】
前記デキストリン脂肪酸エステルを構成する分岐飽和脂肪酸が、炭素数12〜22の分岐飽和脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の睫用化粧料。
【請求項5】
前記デキストリン脂肪酸エステルが、ASTM D445測定方法による40℃における動粘度が8mm/sである流動パラフィンをゲル化しないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の睫用化粧料。
【請求項6】
前記デキストリン脂肪酸エステルを40質量%含有する軽質流動イソパラフィン溶液をガラス板に400μm厚のアプリケーターで成膜し、乾燥させた皮膜に、テクスチャーアナライザーを用いて100gの荷重をかけ、10秒保持後に0.5mm/秒で離したときの接触点にかかる荷重変化(最大応力値)が30〜1000gであるデキストリン脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の睫用化粧料。
【請求項7】
前記油性成分が揮発性油であること特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の睫用化粧料。
【請求項8】
前記油性成分が固形油であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の睫用化粧料
【請求項9】
前記油性成分が油溶性樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の睫用化粧料。
【請求項10】
前記油溶性樹脂がロジンとモノ−、ジ−、トリのいずれかのグリセリンのエステルであって、該ロジンが不均化及び/又は水添されているロジンエステル化合物であることを特徴とする請求項9に記載の睫用化粧料。

【公開番号】特開2011−213645(P2011−213645A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82686(P2010−82686)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】