説明

知能化離床・離床予測センサシステム

【課題】介護者等が患者の離床時や離床予測を定量的な手法で遠隔から認識が可能である装置やプログラムを提供する。
【解決手段】頭部の重心移動を認識するための加速度センサ、胴体部の動きを認識するためのピエゾフイルム又は加速度センサを用いた生体センサ、上半身の加重を認識するためのピエゾケ−ブルセンサ、患者の全体重による加重を認識する為のピエゾケ−ブルセンサから構成されたセンサユニットとこれらの各々の出力情報を知能的に判断し、警報を発するためのマイコンユニット、情報の伝達に用いるLANユニット、電力ユニットから構成されている。携帯電話または、無線・有線LANのシステムを使用して遠隔から複数のベッドや患者のモニタリングを同時に実施することを可能にしている。緊急に助けを求めたい時は、IT知能枕を決められた方向に決められた回数を振る動作を繰り返すことにより、管理者や屋外の人に救助を求めることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,老人介護や医療施設等における介護の負担を軽減するための福祉・医療機器に関する発明であり、介護者等が患者の離床時や離床予測を定量的な手法で遠隔から認識が可能である装置やプログラムを提供するための技術分野を対象とする。また、生体認識センサや緊急通信システムとしての機能も有している。
【背景技術】
【0002】
医療や福祉関係の分野において、患者が勝手にベッドや布団から起きあがり徘徊したりする事は、筋力の衰えた患者や認知症の老人には転倒・転落等の事故が発生し大きな社会問題となっている。また、多忙を極める看護士や介護者にとって多数の患者の行動を監視することは極めて困難である。また、在宅の独居老人等においては、福祉担当者や医療関係者が多数の健康状況及び生活状況を遠隔地から確認する事は難しい。
【0003】
現状の病院においては、一般的な手法としてベッドの降り口にフット式のスイッチを用いたマットを敷いて患者がこれを足で踏むことにより警報を発したり、遠隔のナ−スステ−ション等に通報する方式がとられている。
しかし、この方式では、患者が既に独自で立ち上がり危険な状態が発生している場合があるので、介護者が駆けつけたとしても手遅れになる場合がある。
【0004】
また、他の方式としてベッドのマット及び敷き布団の下に加重認識センサのマットを敷いて設置されたセンサ位置から患者の体重移動を認識して離床の予測や離床の確認を実施している。しかし、この方式では、患者の寝返りや睡眠中の体位から誤作動が発生し、さらにマット内部の電気配線等が折り曲げの繰り返しによる塑性変形から断線や接触不良を頻発する欠点が生じている。
【0005】
一方、ベッド回りの手すりに圧力式のタッチセンサや赤外線または超音波を用いた生体感知センサを用いた場合、患者自身に離床の意志が無くてもセンサに触れてしまう誤作動及び看護師や医師の回診時におけるセンサ認識による警報作動等の問題点が累積している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−076178号公報
【特許文献2】特開平10−094525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
マット型の加重認識センサを使用した場合、寝返り等による誤作動及び繰り返し使用する塑性変形から生じる断線・接触不良による使用時の信頼性低下を解決することが求められるが、コスト面の問題や使用頻度の問題は解決が難しい。また、患者が寝ている時使用されるセンサマットの不快感や電源コ−ド等のわずらわしさを除くためのQOLを向上するように求められるが、現状での計測方法では困難である。
【0008】

離床センサにおいて、介護者は患者の離床後の通報よりも離床予測時における通報を強く求められるから、複数のセンサやマイコン等を使用するためにシステムが複雑になりコスト面で高額化する傾向にある。
【0009】

赤外線や超音波による生体認識センサ認識センサを用いた場合、患者の周辺にいる人体や介護にあたる介護者等の存在を認識して通報される。この誤作動を解決するためにセンサの設置位を変更したり、タッチセンサ等との協調認識技術を用いても問題を解決することが困難である。
【0010】

そこで本発明においては、従来技術と比較して患者のQOLを向上する事と誤作動の防止を目的とした低価格の「離床」及び「離床予測」システムを提供する。更に、遠隔地に居住する独居老人等の生活モニタリングセンサと緊急通信機能を有するシステムを提供する事が可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従来技術の問題を解決するために本発明においては、枕センサと3種類の異なるセンサを用いてマイコンによる「離床」及び「離床予測」を判断することにより問題を解決するものである。
第1のセンサは頭部の重心移動を認識するための加速度センサ、第2のセンサは胴体部の動きを認識するためのピエゾフイルム又は加速度センサを用いた生体センサ、第3(1)のセンサは上半身の加重を認識するためのピエゾケ−ブルセンサ、第3(2)のセンサは患者の全体重による加重を認識する為のピエゾケ−ブルセンサから構成されたセンサユニットとこれらの各々の出力情報を知能的に判断するためのマイコンユニット、情報の伝達に用いるLANユニット、システムの電力を供給する電力ユニットから構成されている。
【0012】

マイコンの離床判断基準に関しては、例えば第1のセンサである枕センサの判定を主として他の第2,第3(1)、第3(2)からなる3種類のセンサを使用した場合、その内2種類のセンサ出力が離床レベルに設定された数値内に有れば離床したと判断する。
【0013】

マイコンの離床予測判断基準に関しては、枕に挿入された頭部計測センサからの出力が離床レベルに有り、かつ上半身加重センサからの出力も離床レベルに有ることが情報伝達の必修条件であると共に患者の加重認識センサからの出力が離床レベルに達していない設定条件が確定された場合はマイコンにより離床予測の警報を発する。
【0014】
本発明のシステムは、マイコンによる「離床」又は「離床予測」の判断をプログラムのロジックにより、複数センサからの情報を知能的な判断により警報を発しているので誤作動が少ない。
【0015】
本発明においては「離床」又は「離床予測」の判断のためにベッドの手すりに装着するタッチセンサやベッドの降り口に設置するフットスイッチ型マット、または赤外線や超音波等を使用した生体認識センサを従来のように使用していないので、患者以外の介護者や面会者等を認識して発生する警報の誤作動を防止する。
【0016】
本発明においては、患者のQOL向上または認知症患者のために従来のセンサのように目に見えるところに設置はせず、枕内部や掛け布団のカバ−等に違和感無く取り付けられているのでセンサ本体が目立つことなく患者に与える不快感も少なく、電源コ−ド類や電源等も極力不快感を持たないように設計されている。
【0017】
携帯電話または、無線・有線LANのシステムを使用しているので遠隔から複数のベッドや患者のモニタリングを同時に実施することを可能にしている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数のセンサを同時に使用して各センサの位置づけ及び優先順位を決めたロジックによるマイコンと制御プログラムを用いた知能化技術により、ベッドや寝具上にいる患者の離床予測や離床状況をリアルタイムにかつ正確に介護者や看護師等に通報することが可能である。
【0019】
本離床センサシステムの利用による安静状態を必要とする患者の離床予測と離床状況を看護師や介護者が認識することにより、転倒・転落防止や徘徊等の防止に寄与することが可能である。
【0020】

本発明を独居老人等のモニタリングセンサに使用した場合リアルタイムに入手された情報をシステム内のマイコンがプログラムにより選別されて設定された情報のみを管理者や介護者等へ通達される。
【0021】
遠方に在住する独居老人等が緊急に助けを必要とした場合IT知能枕を定められた方向に定められた回数大きく振ると緊急通報として管理者や介護者の元へ通達され、同時に近所の住人にも事態が掌握可能な様に屋外の散光式警光灯等の表示により助けを呼ぶことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】IT知能枕
【図2】上掛けセンサ
【図3】加重認識センサ
【図4】人体加重分布図
【図5】システム構成図
【図6】マイコンにおける加速度センサ入力の判断方法
【図7】枕センサのマイコンブロック図
【図8】統括マイコンにおけるセンサ入力の判定方法
【図9】統括マイコンの判定ブロック図
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1(1)はIT知能枕センサの詳細図で有る。2の制御カプセルは4の固定ワイヤで6枕本体の金具に固定されているために患者が枕を使用した際は振動や加重により2の制御カプセルが大きく振動する。この時、6枕本体の中心材料はウレタンを使用し内部を空洞化することで2の制御カプセルを動きを可能にする。その他の枕部分の材料は従来の様に適宜、羽毛やそば殻、綿、プラスチック材料等自由に使用が可能である。図1(2)は2の制御カプセル内部の断面図である。7の加速度計ユニット基盤は1軸用及び2軸用、3軸用の使用が可能でその性能に応じた測定が可能である。計測による出力電圧は8のマイコンに接続され、設定値以上の電圧が出力される場合は、8のマイコン制御プログラムにより患者の使用確認がされる。しかし、7の加速度計の出力電圧が設定値以下の場合は患者の使用がされていないと判断されて9の送信ユニットに信号が送られ、28の統括マイコンに情報が送信される。
【0024】
図2は上掛けセンサの詳細図である。約25cm×45cm×0.3cmの長方形をしたフレキシブルなフイルム状の布センサである。四隅に11の面ファスナーやファスナ−等の取り付け具が布団カバ−や毛布カバ−に装着できるようになっている。センサ内部は15の短冊状のピエゾフイルムを布折りのような状態にして各短冊形ピエゾフイルムはリ−ド線で結合され、患者の動きによるセンサの塑性変形から0.5V程度の電圧が生じる。また、15ピエゾフイルムの損傷を防ぐために16の薄い布の上に15のピエゾフイルムをさせ、更にポリエチレン等の14保護フイルムにより覆われている。13上掛けセンサの出力は、患者の使用状態によるX、Y方向の動きに関して15のピエゾフイルムから発生させる電圧値をリアルタイムに10のマイコンコネクタを介して28の統括マイコンに送信される。
【0025】
図3は加重認識センサの詳細図である。図3の(1)は中心部を縦割りにした内部状況図である。20のフレキシブルバ−の材料はポリエチレン、塩化ビニ−ル等の柔軟性のある中空各パイプを使用している。長手方向の長さはベッドの横幅の長さに対応している。この内部に17のテンション調整金具を各々2個両サイドに固定する。22の調整ナットと対で使用し、テンション金具はネジ加工されているので22の調整ナットを締め付けると19のワイヤの張力が張られる仕組みになっている。これによりワイヤの弛みを調整する。18のピエゾケ−ブルは、図3(2)吊り金具詳細に示されるように27の取り付け金具に上端を通してル−プ状にしてから26のかしめ金具で抜けないように締め付ける。24の固定ナットは17のテンション調整金具に固定され25のフレキシブルジョイントは18ピエゾケ−ブルのねじれを防止する役目をしている。19のワイヤと18のピエゾケ−ブルの固定は27の取り付け金具の時と同じように互いをル−プにして26のかしめ金具で固定する。(締結詳細図を参照)
使用時には、この加重センサを2本用いて1本はベッド上部背中部に設置し、他の一本はベッド中央部の腰部にベッドフレ−ムと直角になるように設置する。
患者がベッド上にいる場合は20のフレキシブルバ−の塑性変形により21のマイコンコネクタを介して28の統括マイコンに出力電圧が入力される。
【0026】
図4(1)は人体が寝具に横になった時の状況である。加重分布を計測すると図4(2)のメッシュ図のように人体の体重分布が寝ている体位と同様に寝具にも加重されていることが証明されている。この結果を基に図3の加重認識センサを図4の(3)の様にベッド上部、ベッド中央部、ベッド下部の3カ所に設置する事で患者が起きている時と座っている時では、体重移動による加重の変化が生じる。この結果、28の統括マイコンにおけるセンサ入力の離床時レベルにおける設定値及びセンサ入力位置から患者の状況を推測することが可能となる。
【0027】
図5は本発明のシステム構成図である。図5の(1)は複数のベッドや病床を管理する場合を想定したシステム構成図である。枕のみに7加速度計ユニット、8マイコン、9送信ユニットで構成されている理由は通常、枕の使用状況は相当乱雑に使用されることが予想され、かつ患者の頭部が置かれていない場合も想定すると、患者の僅かな接触による動きにも離床の予測や離床の判断が可能なように枕を知能化して判断を実施している。また、これらの情報は、有線による使用の疎外感や様々なトラブルを予測して無線による情報伝達を直接サ−バに転送することも可能している。同様の理由から使用電源も100V家電コンセントからの供給と同時に充電機能も有している。他の加重認識センサや13の上掛けセンサからの出力は、直接28統括マイコンに入力されマイコン内のCPUで演算処理をされてメインプログラムに書き込まれた設定電圧と常に比較されながら離床レベルと判断されれば、他のセンサとの出力状況とも比較して、離床または離床予測と認定する。この結果は、45の送信ユニット(2)における無線及び有線のLANシステムを経由して31の受信機に送信される。これらのデ−タはリアルタイムに30のハブを経由し29の表示モニタ(サ−バ)に送信される。ただし、システム整理の構成時にIT知能枕センサのみを使用して計測する場合は28の統括マイコンを使用しないで直接31の受信機及び30のハブを経由して29表示モニタ(サ−バ)に送信することが可能である。
図5の(2)は広域ネットワ−クを使用したシステム構成図である。主に在宅の障害者や独居老人等の個別住宅管理を目的としている。上記と同様に29の統括マイコン及び枕センサからのデ−タ送信は45の送信ユニット(2)における32のル−タを介して33のインタ−ネット経由し、更に39のル−タ(2)を介して29の表示モニタ(サ−バ)に表示される。ただし、システムの構成時にIT知能枕のセンサのみを使用して計測する場合は28の統括マイコンを使用しないで直接32のル−タ、33のインタ−ネットを経由して39のル−タ(2)、29表示モニタ(サ−バ)に送信することが可能である。更に患者が緊急の呼出を実施したい場合は、定められた方向に決められた回数振幅を加えることにより緊急信号の伝達装置としての機能も有している。
【0028】
図6は マイコンにおける7加速度計ユニット入力の判断方法である。図7に示すIT知能枕センサの動作、すなわち本発明に係る離床及び離床予測の検出方法について説明する。尚、37の記憶部にあらかじめ7加速度計ユニット入力電圧を設定値(SA)及びその応答周波数(SHz)を記憶させておく。35比較部は7加速度計ユニットからの入力電圧及び応答周波数を設定値(SA)と(SHz)を比較した各々の結果を電圧(V1)、応答周波数(Hz1)とする。次に入力電圧(V1)が設定値(SA)より大きい時は患者がベッド上にいるので問題無しとして再度測定する。
しかしV1がSAよりも小さい時は対象となる患者がベッド上に存在しない可能性がある。ここで「離床警報1を送信する。」次に応答周波数(Hz1)が設定値(S Hz)も小さい時は「離床」と判断して警報1のまま終了する。しかし、入力電圧(V1)が設定値(SA)より大きく、かつ応答周波数(Hz1)が設定値(S Hz)も大きい時は患者の動きがベッド上で活発化していると予測され「離床予想」として警報2を送信することで訂正して終了する。警報1と警報2の違いは例えば、サ−バの表示板等に点滅表示や点灯表示の違いにより区別を実施する。他方、表示する色別に区別したり、音声による警告も可能である。
【0029】
図7はIT知能枕センサに使用されている38の枕マイコンにおける加速度センサ入力の離床及び離床予測の判定方法を示すブロック図である。電池または充電電源により作動する38の枕マイコンは34の入力ch、37の記憶部、35の比較部、36の出力部を有している。なお、34入力ch、35比較部、36出力部はCPUとその制御プログラムから構成されている。7加速度計ユニットは、34入力chの一つに接続されており、センサから出力される電圧をリアルタイムに測定している。また、36出力部には9の送信ユニットが接続されている。他方、35の比較部には、7加速度計ユニットの入力値とあらかじめ37の記憶部に患者がベッド上にある時の一定時間における電圧値を設定値Sとして記憶させ、この設定値Sとの比較により一定時間における計測電圧が設定値より小さい時は警告1の送信を実施する。尚患者がベッド上にいない時は出力電圧が極めて0に近い値となり、1分間当たりの周波数応答が小さい場合は離床と判断する。また、7加速度計ユニットからの入力電圧(V1)が小さく、1分間に周波数応答(Hz1)が大きく変動している場合「離床予測」と判断して警報を2に切り替える。36の出力部は29表示モニタ(サ−バ)の管理者にリセットされるまで9の送信ユニットの動作を保持する。本発明において、「離床予測」と「離床」の判断区別が可能なことから、1人で病床を複数管理し、同時に異常事態が発生した場合でも介護者や看護士は、患者の処へ急行する優先順位を決めることが可能である。
【0030】
図8は、統括マイコンにおける各センサ入力の判断方法である。図9に示す統括マイコンの判断ブロック図の動作、すなわち本発明に係る離床及び離床予測の検出方法について説明する。尚、41の記憶部(2)にあらかじめ7加速度計ユニット入力電圧を設定値(SV)及びその応答周波数(SHz)を記憶させておく。また46加重認識センサ(1)、47加重認識センサ(2)、48上掛けセンサ(2)、49その他センサの各々のセンサ入力にも設定値(SB)、(SC)、(SD)、(SE)を同様に41記憶部(2)に記憶させておく。42比較部(2)は7加速度計ユニットからの判断結果を第1優先入力とし、他のセンサ入力V1〜V4での電圧をそれぞれの設定値と比較して2種類以上のセンサ応答が、マイコンのCPUプログラムのロジックと適合している場合は、50警報送信ユニットから警報1を発令する。この条件が各センサ毎に満たされない場合は、再度、出力電圧V1〜V4計測を実施する。しかし、この電圧計測において2種類以上のセンサが設定値Sよりも小さい場合は、応答周波数(AHz)の設定値と計測結果(BHz)〜(EHz)の比較を42比較部(2)において実施する。この結果が2種類以上のセンサにおいて設定値(Hz2)〜(Hz5)よりも小さい場合は、7加速度計ユニットの情報を第1優先として他のセンサ比較結果を考慮して50警報送信ユニットから警報2を発令する。最終結果の評価及び誤り訂正は、以下のロジックにより判断する。各センサの入力電圧が設定値(SV)より大きい時は患者がベッド上にいるので問題無しとして再度測定する。しかし、各センサの入力電圧Vが設定値よりも小さい時は対象となる患者がベッド上に存在しない可能性がある。ここで「離床警報1を送信する。」次に応答周波数(Hz)が設定値(SHz)も小さい時は「離床」と判断して警報1のまま終了する。しかし、入力電圧(V1)が設定値(SV)より大きく、かつ応答周波数(Hz)が設定値(SHz)も大きい時は患者の動きがベッド上で活発化していると予測され「離床予想」として警報2を送信することで自律的に訂正して終了する。
警報1と警報2の違いはサ−バの表示板等に点滅表示や点灯表示の違いにより区別を実施する。他方、表示する色別に区別したり、音声による警告も可能にする事が出来る。
【0031】
図9は、図1から図3に示した複数センサによる離床及び離床予測システムを示すブロック図である。7加速度計ユニットは、42比較部(2)に直接接続されており、38枕マイコンから出力される判断結果を第1優先情報として入力している。また、40入力CH(2)には、46加重認識センサ(1)、47加重認識センサ(2)、48上掛けセンサ(2)及び49その他センサの出力の電圧入力が可能である。図のように28統括マイコンは電池及び家電用電源から作動する。40入力CH(2)、41記憶部(2)、42比較部(2)、43終了判定部はCPUとその制御プログラムから構成されている。40入力CH(2)には、46、47、48、49の各センサから測定状況に応じた電圧がV1、V2、V3、V4として入力される。なお、図8で説明されているように入力電圧V1〜V4が設定値S以上である時は44出力部(2)から送信しないで再度、他のセンサ入力を設定値と比較する。しかし、入力電圧V1〜V4が設定値Sが同じまたはそれ以下である時は、結果を記憶部に収納して他のセンサの設定値Sが同じまたはそれ以下であるセンサ入力の結果を待つ。この4種類のセンサ入力結果に優先順位を付け2つ以上のセンサ結果が設定値Sと同等、またはそれ以下である場合には、直ちにプログラムのロジックによる7加速時計センサの判定結果と比較して結果に応じた警報を50警報送信ユニットから警報を発令する。この設定値Sと各センサからの出力電圧V1〜V4の比較において42比較部(2)では、以上と判断されたセンサが2種類以上の場合、計測電圧が設定値Sより小さい時は警告1の送信を実施する。尚患者がベッド上にいない時は出力電圧が極めて0に近い値となり、1分間当たりの周波数応答が小さい場合は離床と判断する。また、7加速度計ユニットからの入力電圧(V1)が設定値(SV)より小さく、1分間に周波数応答(Hz1)が大きく変動している場合「離床予測」と判断して警報を2に切り替える。44出力部(2)は29表示モニタ(サ−バ)の管理者にリセットされるまで50警報送信ユニットの動作を保持する。本発明において、多くのセンサを用いた比較方式による判定のため、「離床予測」と「離床」の判断区別がより正確に判定可能なことから、1人で病床を複数管理し、同時に異常事態が発生した場合でも介護者や看護士は、患者の処へ急行する優先順位を決めることが可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 電源コネクタ
2 制御カプセル
3 充電ユニット
4 固定ワイヤ
5 締結金具
6 枕本体
7 加速度計ユニット
8 マイコン
9 送信ユニット
10 マイコンコネクタ
11 面ファスナー
12 リ−ド線
13 上掛けセンサ
14 保護フイルム
15
ピエゾフイルム
16 薄い布
17 テンション調整金具
18 ピエゾケ−ブル
19 ワイヤ
20 フレキシブルバ−
21 マイコンコネクタ
22 調整ナット
23 吊り金具
24 固定ナット
25 フレキシブルジョイント
26 かしめ金具
27 取り付け金具
28 統括マイコン
29 表示モニタ(サーバ)
30 ハブ
31 受信機
32 ル−タ
33 インタ−ネット
34 入力CH
35 比較部
36 出力部
37 記憶部
38 枕マイコン
39 ル−タ(2)
40 入力CH(2)
41 記憶部(2)
42 比較部(2)
43 終了判定部
44 出力部(2)
45 送信ユニット(2)
46 加重認識センサ(1)
47 加重認識センサ(2)
48 上掛けセンサ(2)
49 その他センサ
50 警報送信ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド及び敷き布団等の寝具を使用した睡眠又は安静状態において、枕内部に取り付けられた加速度センサと、上掛けに取り付けられたピエゾフイルム又は加速度センサと敷き布団又はベッドフレ−ムに装着されたピエゾケ−ブルセンサを用いた加重認識センサと上記センサの出力から離床又は離床予測を判断して信号を出力する。また、前記のマイコン出力を遠隔地に伝送可能な伝搬手段を有する離床及び離床予測システム。
【請求項2】
前記、マイコンはプログラムにより複数センサ出力の内2種類又は3種類のセンサ出力が設定値と比較した値を感知しない場合のみ、離床又は離床予測を知らせるプログラムとロジックから構成される請求項1の離床及び離床予測システム。
【請求項3】
前記マイコンは各センサ出力における数値情報から離床の可能性を示す数値(以後離床レベルと呼ぶ)に設定しておき、それ以外の数値情報は自動的にキャンセルし、離床予測に関しては、複数のセンサの離床レベルにより統括マイコンが制御して判断する請求項記載の離床及び離床予測システム。
【請求項4】
上記システムの電源は家庭用電源、リチュウム電池等のバッテリ−や光発電システムを用いることを特徴とする。システムは、汎用の無線・有線LAN等の使用が可能で有り、離床の通報に関しては現状のナ−スコ−ルを用いた外部出力への数値設定も可能である。
【請求項5】
上記システムは、多数の病床や家庭等における患者及び健常者を同時に24時間もしくは任意の時間に限定した離床状況やベッド上の安静状態を遠隔からモニタリングして自律的な判断による必要とされる情報提供と誤作動の防止を可能にする。
【請求項6】
ハブ及びLANサ−バを用いて遠隔から同時に同時に複数のベッド状況や患者の離床状態をモニタリングすることを可能にする。また、遠隔の在宅介護時にはル−タとインタ−ネットの使用や携帯電話の端末等を使用することも可能とするシステム。
【請求項7】
上記システムは、得られた情報を表示する機能と蓄積する機能を有し、また蓄積情報を外部に出力する手段を有する請求項1から請求項6記載の離床予測及び離床認識システム。
【請求項8】
本システムの利用者が緊急に助けを必要とする場合、IT知能枕センサは3軸加速度計を使用しているため、指定された方向に決められた回数を大きく振り、更に、一定間隔の時間を空けて繰り返し同じ動作を実施する。(つまりモ−ルス信号のような手法により管理者及び他人に助けを必要としていることが伝えられる。)
【請求項9】
上記の通信手段を用いた場合は、屋外の目立つ場所等に散光式警光灯等の表示灯等に表示して緊急状態あることを他人や近所の住人に伝えることが可能である。また、このシステム電源は太陽光発電からの蓄電方式や電池及び家庭電源からの供給も可能である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−183199(P2012−183199A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48370(P2011−48370)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(306024148)公立大学法人秋田県立大学 (74)
【Fターム(参考)】