説明

短チャネルトレンチMOSFETの形成法およびデバイス

短チャネルトレンチMOSFETの形成方法。本方法は、トレンチMOSFETのボディに形成されたトレンチの底部に第1のインプラントを形成するステップと、その向きが傾いており、かつトレンチMOSFETのボディに形成されたトレンチに対して垂直に方向付けられた第2の角度付きインプラントを形成するステップとを含む。第2のインプラントは、トレンチの底部に達しないように調整される。一実施形態では、角度付きインプラントはn型材料である。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2006年2月23日に出願された同時係属の米国プロヴィショナル出願第60/776,771号、および2007年2月23日に出願された米国特許出願第XX/XXX,XXX号の利益を請求するものであり、これらは全体を参照して本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
ここに説明されている実施形態は短チャネルトレンチMOSFETの形成方法に関する。
【背景技術】
【0003】
金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)はデジタルおよびアナログ回路で使用される一般的なトランジスタである。MOSFETは、そこを通って電流が流れるn型またはp型の半導体材料のチャネルを含んでいる。n型半導体材料のチャネルを含むように製造されたMOSFETはNMOSFETと称され、p型半導体材料のチャネルを含むように製造されたMOSFETはPMOSFETと称される。MOSFETの種類には、プレーナMOSFET、トレンチMOSFETが含まれる。トレンチMOSFETは、プレーナMOSFETと比較して小さいセルピッチゆえに達成可能な回路密度の増加を容易にしている。
【0004】
MOSFETを流れる電流、例えばドレインからソースへの(またはこの逆の)チャネルを流れる電流は、MOSFETの物理的設計を含む要因に影響されるであろう。より具体的には、MOSFETチャネル長などの物理的設計の特徴は、MOSFETチャネルのコンダクタンスおよび抵抗などの電流関連パラメータを決定するのに役立つ(MOSFETの抵抗は、MOSFETがオン後にチャネルによって制御される)。重要なことには、これらのパラメータが、デバイスの動作速度および電力散逸によって測定されるようなMOSFETの性能にとって極めて重要である。低チャネル抵抗(より短いチャネル長で提供されるような)は電力散逸を削減し、デバイス効率を増加させることが認識される。
【0005】
MOSFET性能を改良するための従来のアプローチは、MOSFETチャネルの長さを短縮するという努力を含んでいる。MOSFETのチャネル寸法は、デバイスボディへの不純物の拡散によって確立されるであろう接合(例えば、n型領域とp型領域間の境界面)によって定義されてもよい。拡散深度などの拡散特徴は、チャネル長を確立するのに役立つ。事実、幾つかの従来のプロセスでは、拡散深度のみがチャネル長を決定してもよい。他の従来のプロセスでは、MOSFETトレンチの深度はチャネル長を決定する際の1つの要因であってもよい。
【0006】
幾つかの場合では、拡散深度、したがってMOSFETチャネル長は、インプラントエネルギーおよび温度の適切な管理によって制御されることが認識される。しかしながら、材料変動が拡散特徴に対して大きな影響を有する場合には、小さい距離で問題が生じることがある。また、拡散特徴の管理がより困難になると、拡散の制御によるチャネル長の確立がより困難になる。
【0007】
他の従来のアプローチでは、拡散によってのみ達成可能な長さを超えるチャネル長を小さくする試みがなされてきた。このようなアプローチの1つでは、MOSFETトレンチ深度は、極めて短いチャネル長を達成するために使用されてきた。しかしながら、このような場合、(例えば、コンタクトインプラント、コンタクト−クランピングインプラントおよびボディインプラントなどの)MOSFET構造のボディに形成されるp型領域の深さに対するMOSFETトレンチの深さの関係は慎重に管理される必要がある。重要なことは、トレンチ底部がより浅いか、MOSFETボディに形成されているp型領域と同等の深さである場合、重大なピンチングが生じることがある。
【0008】
図1Aは従来のトレンチMOSFET100を示している。MOSFET100のゲート103−ソース101電圧(例えば、Vgs)が閾値電圧より大きい場合、電流はMOSFET100内をドレイン105からソース101に流れる。より短いチャネル長およびより浅いトレンチ深度にデバイスをスケーリングするために、n型ドーパント(nチャネルデバイスについて)が、p型ボディインプラントを補償し、かつチャネル底部を定めるようにトレンチ底部にインプラントされているトレンチ底部インプラントは、極めて短いチャネル長を提供することが分かっている。このインプラントはトレンチ底部に自己整列されているため、チャネル長はトレンチ深度によって決定される。
【0009】
p型ボディインプラント107は、図1Bに示されているようにトレンチ103の底部を覆うように移動するであろうことが認識される(破線参照)。トレンチ103の底部のこのような覆い(covering)、つまり「ピンチング(pinching)」は、MOSFET100のチャネルの抵抗(例えば、rdson)を実質的に増加させるであろうし、またMOSFET性能をかなり低下させるであろう。言い換えると、トレンチ底部が、コンタクトインプラントおよびコンタクト−クランピングインプラントによって定められたp型領域の深さと同程度に浅くなって、高rdsonをもたらすようにかなりのピンチングがトレンチ深度で生じる。トレンチの使用によって規定される短チャネル長の達成を容易にする従来の技術は、極めて短いトレンチ深度で生じうるこのようなピンチングに効果的に対処する手段を含んでいない。
【発明の開示】
【0010】
少なくとも、本明細書は短チャネルトレンチMOSFETの形成プロセスを開示している。このプロセスは、トレンチMOSFETのボディに形成されたトレンチの底部に第1のインプラントを形成することと、その向き(orientation)が傾いており、かつトレンチMOSFETのボディに形成されたトレンチに対して垂直に仕向けられた第2の、すなわち、角度付きインプラントを形成すること、を含むことができる。第2のインプラントは、それがトレンチの底部に達しないように調整可能である。一実施形態では、角度付きインプラントはn型材料であってもよい。
【0011】
従って、チャネル長がMOSFETトレンチ深度によって定められる短チャネル長でのピンチングを防止する有効な手段のニーズがある。本発明の実施形態は上記必要性を達成するプロセスを提供する。
【0012】
例えば、一実施形態では、ピンチング防止インプラントとトレンチ底部インプラントの組み合わせが、チャネルを通る電流に対して相応に低い抵抗を特徴とする短MOSFETチャネル長を容易にするために使用されてもよい。一実施形態では、ピンチング防止インプラントはピンチオフを防止し、トレンチ底部インプラントはMOSFETチャネルの底部を定める。従って、ピンチング防止インプラントとトレンチ底部インプラントの組み合わせは、極めて短いMOSFETトレンチ深さおよびチャネル長で、ピンチオフのないトランジスタ動作を可能にする。
【0013】
一実施形態では、短チャネルトレンチMOSFETを形成するプロセスが、トレンチMOSFETのボディに形成されたトレンチの底部に第1のインプラントを実行するステップと、その向きが傾いており、例えば角度付けされており、かつ、トレンチMOSFETのボディに形成されたトレンチに直交して仕向けられた第2のインプラントを実行するステップとを含んでいる。第2のインプラントは、トレンチの底部に達しないように調整される。一実施形態では、第2のインプラントはn型の角度付きインプラントである。一実施形態では、角度付きインプラントはコンタクトウィンドウを介して仕向けられる。他の実施形態では、結果として得られるMOSFETは厚い底部酸化膜の短チャネルを有しており、また低ドープトエピタキシャル層を有してもよい。他の実施形態では、得られるMOSFETは厚い底部酸化膜の短チャネルを有しており、また低ドープトエピタキシャル層を有してもよい。
【0014】
本発明のこれらおよび他の利点は、図面に示されている好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことで、当業者に明らかになる。
本明細書に組み込まれており、かつこの明細書の一部を形成している添付の図面は本発明の実施形態を図示しており、また説明に伴って本発明の原理を説明している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の好ましい実施形態、幾つかの例が添付の図面に図示されている、について詳細に言及する。本発明は好ましい実施形態と関連して説明されるが、本発明をこれらの実施形態に限定することは意図していない点が理解される。反対に、本発明は代替例、修正および均等物を含むことを意図しており、これらは、添付の特許請求の範囲によって定められるように本発明の趣旨および範囲に含まれる。さらに、本発明に関する以下の詳細な説明において、本発明に関する徹底した理解を提供するために多数の具体的詳細が説明されている。しかしながら、本発明はこれらの具体的詳細なしでも実施可能であることが当業者には明らかである。また、他の幾つかの場合には、周知の方法、手順、構成部品および回路は、本発明の態様を不必要に分かりにくくしないように、詳細には説明されていない。
【0016】
本明細書において、用語rdsonの使用は、ドレイン−ソース「オン」抵抗を示しており、Qgはゲート電荷を示すものであり、Qgdはゲート−ドレイン電荷を示すものであることが理解されるはずである。加えて、本発明の実施形態はNMOSFET構造を参照して説明されるが、本明細書に開示されている原理はPMOSFETデバイスにも等しく適用可能である。
【0017】
本発明の一実施形態に従った短チャネルトレンチMOSFET
【0018】
図2Aは、本発明の一実施形態に従った短チャネルトレンチMOSFETデバイス200の要素を示している。一実施形態では、角度付けられたピンチング防止インプラント207とトレンチ底部インプラント205の組み合わせは、電流に対して相応に低い抵抗(rdson)を特徴とする短MOSFETチャネル長の確立を容易にするために使用される。一実施形態では、ピンチング防止インプラント207はピンチオフを防止し、トレンチ底部インプラント205はMOSFETチャネルの底部を定める。
【0019】
従って、ピンチング防止インプラント207とトレンチ底部インプラント205の組み合わせは、極めて短いMOSFETトレンチ深度およびチャネル長でのピンチオフのないMOSFET動作を可能にする。図2Aの実施形態において、短チャネルトレンチMOSFET200は、基板201と、トレンチ203と、トレンチ底部インプラント205と、p型ボディインプラント206と、ピンチング防止インプラント207と、チャネル208と、コンタクト209と、コンタクトウィンドウ210と、p型コンタクトインプラント211と、p型コンタクト−クランピングインプラント213と、を含んでいる。
【0020】
図2Aを参照すると、トレンチ203は基板201のボディ内に延びている。一実施形態では、トレンチ底部インプラント(例えば、205)はトレンチ203の底部に形成される。一実施形態では、トレンチ底部インプラント205は、チャネル208を定め、また基板201のボディに形成されるp型ボディインプラント206を補償するように作用する。一実施形態では、n型ドーパントがトレンチ底部インプラント205を形成するために使用されてもよい。一実施形態では、トレンチ底部インプラント205はトレンチ203の底部に自己整列(self-aligned)されてもよい。一実施形態では、トレンチ底部インプラント205の形成は、傾斜されてもされなくてもよく、トレンチ203のエッチングの等方性段階の前後いずれで実行されてもよい。
【0021】
一実施形態では、角度付きピンチング防止インプラント207は、その向き(orientation)が傾いており、またトレンチ203の底部に達しないように調整されたn型ドーパントを使用して、コンタクトウィンドウ210を通した基板201へのインプラントによって形成されるであろう。一実施形態では、これは、ピンチング防止インプラント207のドース量およびエネルギーを調整することによって達成可能である。一実施形態では、ピンチング防止インプラント207はトレンチ203に対して垂直に配置される。図2Bは、本発明の一実施形態に従ったピンチング防止インプラント207の例示的な向きを図示している。より具体的には、図2Bは、本発明の一実施形態に従った、ピンチング防止インプラント207が傾斜しており、かつトレンチ203に対して垂直に配置される様式を示している。
【0022】
図2Aを再度参照すると、一実施形態では、ピンチング防止インプラント207は、コンタクトインプラント211およびコンタクト−クランピングインプラント213によって形成されたp型領域を、これらの領域が浅いままであるように、閉じ込めるように動作することが認識されるはずである。コンタクト211およびコンタクト−クランピングインプラント213の閉じ込めは、トレンチ203の底部付近に生じ、コンタクトインプラント211およびコンタクト−クランピングインプラント213と関連し得るピンチングを防止することが認識されるはずである。ピンチング防止インプラント207の閉じ込め作用なしでは、コンタクトインプラント211およびコンタクト−クランピングインプラント213は、トレンチ203の底部よりも深くMOSFETのボディ内に延び(例えば、トレンチ底部を覆い)、それは、チャネル208の抵抗(rdson)の相当な増加をもたらすであろう。
【0023】
一実施形態では、ピンチング防止インプラント207はコンタクトエッチングが実行された後に形成されてもよい。一実施形態では、ピンチング防止インプラント207はトレンチ203の底部に達しないように形成されているため、トレンチ203の底部付近のn型ドーパントの蓄積と関連するであろうQgdの増加が回避できる。
【0024】
一実施形態では、ピンチング防止インプラント207は、トレンチ底部インプラント205を形成するのに使用されるインプラントドース量の低減を可能にする。これはまた、(トレンチ203の底部付近のn型ドーパントの蓄積を最小化するため)Qgdのさらなる低減をもたらす。一実施形態では、トレンチ底部インプラント205とピンチング防止インプラント207の組み合わせは、従来の300Mセルプロセスと比較して、rdson2*Qgdおよびrdson2*Qgにおける25%を超える改良を提供するであろう。
【0025】
一実施形態では、ピンチング防止インプラント207は、14〜18度の傾斜、およびトレンチ203に対して垂直の2つのツイスト角度で4e13 20Kevリンを使用して形成されてもよい。一実施形態では、トレンチ底部インプラント205は、9e11 40Kevヒ素を使用して形成されてもよい。
【0026】
図2Cはピンチング防止インプラント207の使用の結果を図示している(トレンチ底部インプラントは図2Cには示されていない)。図2Cにおいて、MOSFET動作中のp型領域の様相が示されている。図示のように、MOSFET動作中、p−ボディ、コンタクトおよびコンタクト−クランピングインプラントによって形成されたp型領域が、トレンチ203の底部を覆うことが防止される。破線は、ピンチング防止インプラント207が用いられない場合にp型領域が動作中に現れるであろう様子を示している。
【0027】
本発明の例示的な実施形態は、(1)トレンチ底部インプラントの使用、(2)傾斜され、かつ、トレンチに対して垂直に配置されるピンチング防止インプラントの使用、(3)低いエネルギーの使用によるボディ206、ソースインプラント209、コンタクトインプラント211、コンタクト−クランピングインプラント213の形成、を特徴とする。
【0028】
図3A〜図3Eは、本発明の一実施形態に従った短チャネルトレンチMOSFET(例えば、図2Aの200)の製造工程を図示している。図3Aは、基板301と、エピ1(epi1)303と、エピ2(epi2)305と、を示している。一実施形態では、これらの構造は、短チャネルトレンチMOSFET(例えば、図2Aの200)の製造の初期段階で形成される。一実施形態では、本明細書に開示されているトレンチ底部インプラント(例えば、図2Aの205、および以下の図3Cの309)は有効なエピ厚さを低減するため、一般的に使用されるより高い電圧のエピスタック308が、所望のブレークダウン電圧を達成するために用いられてもよい。
【0029】
図3Bは、図3Aを参照して説明された構造に加えて、トレンチ307を示している。一実施形態では、トレンチ307は少なくとも部分的に等方エッチングによって形成されてもよい。図3A〜図3Eの実施形態では、結果として得られるMOSFETのチャネル長は、トレンチ深さ(トレンチエッチングの深さによって決定される)によって定められてもよい。一実施形態では、トレンチは、およそ0.6μmの深さにエッチングされてもよい。代替の実施形態では、他のトレンチ深さが用いられてもよい。一実施形態では、トレンチ307の幅は、Qgd/Qgsを改良する手段として減縮されてもよい。
【0030】
短トレンチ深さは、著しいピンチングに対して影響を受けやすくなることをもたらす一方、より大きなトレンチ深さは、より高いQgdをもたらすことに認識するべきである。例示的な実施形態では、本明細書に説明されているピンチング防止インプラント(例えば、図2Aの207)は、ピンチングを防止し、Qgdの低下を助けることによってこれらの問題に対処する。
【0031】
一実施形態では、等方性犠牲ゲート酸化膜エッチングの深さは、トレンチ底部コーナー付近の電界を低減するために0.075μmに選択されてもよい。他の実施形態では、他の等方性犠牲ゲート酸化膜エッチングの深さが、トレンチ底部コーナー付近の電界を低減する手段として用いられてもよい。
【0032】
図3Cは、図3Bを参照して説明された構造に加えて、トレンチ底部インプラント309を示している。一実施形態では、トレンチ底部インプラント309は、トレンチエッチングの等方性部分に続いて、かつ犠牲酸化操作の前に形成されてもよい。一実施形態では、トレンチ底部インプラント309は、MOSFETチャネルを定め、かつ基板301のボディに形成されるであろうp型ボディインプラント(例えば、図2Aの206、および以下の図3Dの315)を補償するように作用する。一実施形態では、n型ドーパントが、トレンチ底部インプラント309を形成するのに使用されてもよい。一実施形態では、トレンチ底部インプラント309はトレンチ307の底部に自己整列(self-aligned)されてもよい。
【0033】
一実施形態では、トレンチ底部インプラント309は、およそ9e11、40KeVの低ドース量かつ低エネルギーのヒ素インプラントであってもよい。他の実施形態では、他のインプラントドーパント、ドース量およびエネルギーが使用されてもよい。
【0034】
図3Dは、図3A〜図3Cを参照して説明された構造のすべてに加えて、ゲート酸化膜311と、ポリシリコン(poly)313と、p型ボディインプラント315と、ソースインプラント317と、ボロン・リン添加シリケートガラス(BPSG)319とを示している。一実施形態では、ゲート酸化膜311は300A以下の厚さの厚い底部酸化膜であってもよい。他の実施形態では、ゲート酸化膜311は他の厚さの厚い底部酸化膜であってもよい。
【0035】
図3Eは、図3A〜図3Dを参照して説明された構造のすべてに加えて、ピンチング防止インプラント321と、コンタクトインプラント323と、コンタクト−クランピングインプラント325と、コンタクトウィンドウ327および329と、を示している。一実施形態では、ピンチング防止インプラント321は基板301に形成され、また、その向きが傾斜しており、かつ、トレンチ307の底部に達しないように調整される。一実施形態では、ピンチング防止インプラント321は、トレンチ307に対して垂直に配置されているn型ドーパントとして実現される。一実施形態では、ピンチング防止インプラント321は、コンタクトインプラント323およびコンタクト−クランピングインプラント325によって形成されたp型領域を閉じ込めるように作用する。結果として、p型インプラント領域は浅いままであり、トレンチの底部付近のピンチングが避けられる(図2Cと関連した上記説明を参照)。
【0036】
一実施形態では、ピンチング防止インプラント321を実現するためにリンが用いられてもよい。ピンチング防止インプラント321は、Qgdの低減に寄与する低ドース量のトレンチ底部インプラント309の使用を容易にすることが認識されるはずである。
【0037】
一実施形態では、ピンチング防止インプラント321はコンタクトウィンドウ327および329を通してインプラントされてもよい。一実施形態では、Qgdは4μmのコンタクト深さで最適化されてもよい。他の実施形態では、Qgdは他のコンタクト深さで最適化されてもよい。一実施形態では、4μmのコンタクト深さによって、Qgdを増加させないで、したがってrdsonを低減させないで、より高いドース量のピンチング防止インプラントの使用が可能になる。他の実施形態では、他のコンタクト深さによって、Qgdを増加させないで、したがってrdsonを低減させないで、より高いドース量のピンチング防止インプラントの使用が可能になる。
【0038】
一実施形態では、使用されるであろう最大傾斜角度は、シャドーイング(shadowing)を回避するためには18度である。別の実施形態では、他の傾斜角度(14度など)がシャドーイングを回避するために使用されてもよい。一実施形態では、名目インプラント(nominal implant)は、18度の傾斜および2つのツイスト角度(トレンチに対して垂直)で4ev13/120Kev(リン)であってもよい。他の実施形態では、名目インプラントは異なる傾斜およびツイスト角度を伴うことがある。一実施形態では、2つのツイスト角度での2つのピンチング防止インプラント321は、ストリップセルアプリケーションに用いられてもよい点が認識されるはずである。
【0039】
一実施形態では、コンタクトクランプインプラント325は、ピンチングを回避または低減するために最適化されてもよい。一実施形態では、1e13のホウ素ドース量および40KeVエネルギーが、ピンチングを回避または低減するためにコンタクト−クランピングインプラント325を最適化するのに用いられてもよい。他の実施形態では、ピンチングを回避または低減するためにコンタクト−クランピングインプラント325を最適化するのに他のドース量が用いられてもよい。一実施形態では、低エネルギーコンタクトインプラント323は、わずかにエネルギーにおいて低減される。
【0040】
本発明の実施形態に従った例示的プロセス
【0041】
図4は、本発明の一実施形態に従った短チャネルトレンチMOSFETの形成プロセスで実行されるステップのフローチャート400である。具体的なステップがフローチャート400に開示されているが、このようなステップは例示にすぎない。つまり、本発明は、種々の他のステップや、図4に示されているステップの変形を実行するのに十分適している。
【0042】
ステップ401において基板が形成されて、ステップ403においてトレンチがこの基板に形成される。続いて、ステップ405において、第1のインプラントが、作製されたトレンチMOSFET(例えば、図2Aの200)の底部(図2Aの203)に形成される。一実施形態では、第1のインプラントはトレンチ底部インプラント(例えば、図2Aの205)である。一実施形態では、トレンチ底部インプラント(例えば、図2Aの205)は、MOSFETチャネル(例えば、図2Aの208)を定め、かつ基板(例えば、図2Aの201)のボディに形成されるであろうp型ボディインプラント(例えば、図2Aの206)を補償するように作用する。
【0043】
ステップ407において、その向きが傾いており、かつMOSFETトレンチに対して垂直に仕向けられる第2のインプラントが形成される。第2のインプラントは、MOSFETトレンチの底部に達しないように調整される。一実施形態では、第2のインプラントはピンチング防止インプラント(例えば、図2Aの207)である。一実施形態では、ピンチング防止インプラント(例えば、図2Aの207)はコンタクトインプラント(例えば、図2Aの211)およびコンタクト−クランピングインプラント(例えば、図2Aの213)によって形成されるp型領域を閉じ込めるのに使用できることが認識される。コンタクト(例えば、図2Aの211)およびコンタクト−クランピングインプラント(例えば、図2Aの213)の閉じ込めは、MOSFETトレンチ(例えば、図2Aの203)の底部付近に生じ、かつコンタクトインプラント(例えば、図2Aの211)およびコンタクト−クランピングインプラント(例えば、図2Aの213)と関連し得るピンチングを防止することが認識されるはずである。
【0044】
一実施形態では、例示的な実施形態のドーピングプロファイルは、基板レベルにまで上昇する前のブレークダウンにおいて空乏層の端縁で最小であってもよいドーピングレベルを含んでもよい。他の実施形態では、他のドーピングプロファイルが使用されてもよい。一実施形態では、n型埋め込み層インプラントが、Qgdを増加させずにエピ抵抗をさらに低減するために、基板とアンドープト・エピ層との間の界面で追加マスクを使用して組み込まれることが可能である。
【0045】
例示的な実施形態を参照して上述されているように、本発明は短チャネルトレンチMOSFETの形成プロセスを提供する。この方法は、トレンチMOSFETのボディに形成されたトレンチの底部に第1のインプラントを形成するステップと、その向きが傾いており、かつトレンチMOSFETのボディに形成されたトレンチに対して垂直に方向付けされる第2のインプラントを形成するステップとを含んでいる。第2のインプラントは、トレンチの底部に達しないように調整される。
【0046】
表1は、標準G4プロセスと本発明の一実施形態に従った例示的短チャネルトレンチMOSFETプロセスの性能の相違点の概要である。
【表1】

【0047】
本発明の具体的な実施形態に関する上記説明は、例証のためになされたものである。これらは、包括的であること、つまり本発明を開示されている正確な形態に限定することを意図してはおらず、当然多数の修正および変形例が上記教示に照らして可能である。これらの実施形態は、本発明の原理およびこの実施の用途をよく説明するために選択および説明されており、これによって当業者は、想定されている具体的な使用に適している種々の修正によって本発明および種々の実施形態を利用することができる。本発明の範囲は以下の添付の請求項およびこれらの均等物によって定義されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1A】従来のトレンチMOSFETデバイスを示している。
【図1B】p−ボディを備えたトレンチの底部のピンチングすなわち覆いによって、rdsonが増加することを示している。
【図2A】本発明の一実施形態に従った短チャネルトレンチMOSFETの要素を示している。
【図2B】本発明の一実施形態に従ったピンチング防止インプラントの例示的な向きを図示している。
【図2C】本発明の一実施形態に従ったピンチング防止インプラントを用いることの効果を示している。
【図3A】本発明の一実施形態に従った短チャネルトレンチMOSFETの形成ステップを示している。
【図3B】本発明の一実施形態に従った短チャネルトレンチMOSFETの形成ステップを示している。
【図3C】本発明の一実施形態に従った短チャネルトレンチMOSFETの形成ステップを示している。
【図3D】本発明の一実施形態に従った短チャネルトレンチMOSFETの形成ステップを示している。
【図3E】本発明の一実施形態に従った短チャネルトレンチMOSFETの形成ステップを示している。
【図4】本発明の一実施形態に従った短チャネルトレンチMOSFETの形成プロセスで実行されるステップのフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
短チャネルトレンチMOSFETを形成するための方法であって、
前記トレンチMOSFETのトレンチの底部に第1のインプラントを形成することと、
その向きが傾いており、かつ前記トレンチに対して垂直に方向付けられた第2のインプラントを形成することと、を備え、前記第2のインプラントが、前記トレンチの底部に達しないように調整される、方法。
【請求項2】
前記第1のインプラントが前記トレンチ底部に自己整列されており、かつ前記チャネル底部を定める、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のインプラントがピンチング防止インプラントである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記トレンチが、前記トレンチMOSFETのチャネル長を決定する深さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のインプラントが、前記トレンチMOSFETのコンタクトおよびコンタクト−クランピングインプラントの形成前に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のインプラントが2つのツイスト角度で形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のインプラントがn型ドーパントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のインプラントがn型ドーパントを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のインプラントが前記トレンチMOSFETのコンタクトウィンドウを介して実行される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
短チャネルトレンチMOSFETを形成するための方法であって、
基板を形成することと、
前記基板にトレンチを形成することと、
前記トレンチの底部にトレンチ底部インプラントを形成することと、
その向きが傾いており、かつ前記トレンチに対して垂直に方向付けられた第2のインプラントを形成することと、を備え、前記第2のインプラントが前記トレンチの前記底部に達しない、方法。
【請求項11】
前記トレンチ底部インプラントが前記トレンチ底部に自己整列され、かつチャネル底部を定める、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のインプラントがピンチング防止インプラントである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記トレンチが、チャネル長を決定する深さを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記第2のインプラントが、コンタクトおよびコンタクト−クランピングインプラントの形成前に形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のインプラントが2つのツイスト角度で形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記トレンチ底部インプラントがn型ドーパントを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のインプラントがn型ドーパントを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のインプラントが前記トレンチMOSFETのコンタクトウィンドウを介して実行される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
基板と、
前記基板に形成されたトレンチと、
前記トレンチの底部に形成された第1のインプラントと、
その向きが傾いており、かつ前記トレンチの前記底部に達しないように調整された、前記基板に形成された第2のインプラントと、を備える、短チャネルトレンチMOSFET。
【請求項20】
前記第1のインプラントが前記トレンチ底部に自己整列され、かつチャネル底部を定める、請求項19に記載の短チャネルトレンチMOSFET。
【請求項21】
前記第2のインプラントがピンチング防止インプラントである、請求項19に記載の短チャネルトレンチMOSFET。
【請求項22】
前記トレンチが、チャネル長を決定する深さを有する、請求項19に記載の短チャネルトレンチMOSFET。
【請求項23】
前記第2のインプラントが、コンタクトインプラントおよびコンタクト−クランピングインプラントの形成前に形成される、請求項19に記載の短チャネルトレンチMOSFET。
【請求項24】
前記第2のインプラントが2つのツイスト角度で形成される、請求項19に記載の短チャネルトレンチMOSFET。
【請求項25】
前記第1のインプラントがn型ドーパントを含む、請求項19に記載の短チャネルトレンチMOSFET。
【請求項26】
前記第2のインプラントがn型ドーパントを含む、請求項20に記載の短チャネルトレンチMOSFET。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−541973(P2009−541973A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556471(P2008−556471)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/005033
【国際公開番号】WO2007/100803
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(508247899)
【出願人】(508247888)
【Fターム(参考)】