説明

石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収方法及び石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収システム

【課題】
本発明で解決しようとする課題は、従来の石炭ボイラの設計を大きく変更することなく、低いランニングコストで二酸化炭素回収率50%以上を達成可能である。
【解決手段】
本発明は、石炭を燃料とする石炭ボイラの排ガスを脱塵装置に導き、該脱塵装置で前記排ガスから分離された石炭灰をゼオライト製造装置に導いてゼオライトを製造し、前記脱塵装置から排出された排ガスがガスガス熱交換器に供給され、該ガスガス熱交換器から排出された排ガスが前記ゼオライト製造装置で製造されたゼオライトを充填した二酸化炭素回収装置に導かれ、前記排ガスから二酸化炭素を回収することを特徴とする。
【効果】
本発明によれば、従来の石炭ボイラの設計を大きく変更することなく、低いランニングコストで二酸化炭素回収率50%以上を達成可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収方法及び石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
石炭は、石油や天然ガスと比べて埋蔵量が多く、低価格であることから、発電用の燃料や水蒸気製造用の燃料として広く使われている。石炭で発電する方法は、石炭を微粉砕し、石炭ボイラで空気を用いて燃焼させ、この発熱を水蒸気として回収し、蒸気タービンを用いて発電する方法が一般的である。しかし、石炭の燃焼で生成する二酸化炭素は、地球温暖化の原因物質であるため、二酸化炭素排出量を削減することが望まれている。
【0003】
石炭ボイラからの二酸化炭素の排出量を削減する方法は、石炭ボイラの効率を向上する方法と、石炭ボイラの排ガスから二酸化炭素を回収する方法がある。このうち、石炭ボイラの排ガスから二酸化炭素を回収する方法は、各種方式が開示されている。
【0004】
例えば特許文献1では、石炭ボイラの排ガスをアミン水溶液に接触させ、化学吸収を用いて排ガスから二酸化炭素を回収する方式が開示されている。
【0005】
特許文献2では、石炭ボイラの排ガスをゼオライトに接触させ、ゼオライトの分子篩効果で二酸化炭素を吸着する性質を用いて、排ガスから二酸化炭素を回収する方式が開示されている。
【0006】
特許文献3では、石炭ボイラの排ガスをリチウムシリケートに接触させ、リチウムシリケートにより二酸化炭素を吸収し、排ガスから二酸化炭素を回収する方式が開示されている。
【0007】
一方、これら開示された技術に示されている吸収液あるいは吸着剤は高価であり、これらを低コストで製造する技術も開示されている。例えば特許文献4,特許文献5,特許文献6は、石炭灰を原料として、ゼオライトを低コストで製造する技術が開示されている。
【0008】
また、特許文献7には石炭灰をスラリー化してそのまま二酸化炭素吸収液として用いる技術が開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開平8−155262号公報
【特許文献2】特開2004−344703号公報
【特許文献3】特開2005−75683号公報
【特許文献4】特開2004−149370号公報
【特許文献5】特開2004−300005号公報
【特許文献6】特開2007−137716号公報
【特許文献7】特開2004−261658号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のように、石炭ボイラの排ガスから二酸化炭素を回収する技術が複数開示されているが、それぞれ課題を持つ。
【0011】
まず、メチルエタノールアミンやメチルジエタノールアミンなどのアミン水溶液を吸収液として用いる方法は、二酸化炭素を吸収する温度が40℃レベル、二酸化炭素を脱離する温度が120℃レベルで扱いやすい。但し、石炭排ガス中に含まれる酸素や微量成分により劣化されやすく、頻繁に液交換が必要であることから、ランニングコストが高いという課題があった。
【0012】
また、ゼオライトを用いる方法は、アミン水溶液を用いる方法と同程度の温度管理でプロセスが構築できる。但し、物理吸着であるために単位質量あたりの吸着量が少なく、頻繁に吸収と脱離の切り替えをする必要があった。また、頻繁に吸収と脱離を切り替えることでゼオライトが劣化し、ゼオライトの交換も頻繁に実施する必要が生じ、ランニングコストが高いという課題があった。
【0013】
リチウムシリケートを用いる方法は、単位質量当たりのリチウムシリケートが二酸化炭素を吸収する量が、アミン水溶液やゼオライトより多いため、コンパクトな機器構成で設備を構成することが可能である。但し、吸収に適する温度が350〜650℃、再生に適する温度が800℃以上であることから、リチウムシリケートを収容する容器に800℃以上の温度に耐える金属の採用が必要であり、また、二酸化炭素を回収しない場合の石炭ボイラの熱設計を、大きく変更しなければいけないという課題があった。
【0014】
石炭灰をスラリーとして用いる方法は、石炭灰中のカルシウムと二酸化炭素の反応で二酸化炭素を固定する方法である。しかし、石炭灰スラリーの単位質量あたりに吸収できる二酸化炭素量は小さい。そのため、自プラントで発生した石炭灰だけを用いた場合、石炭ボイラ排ガス中の二酸化炭素の回収率は、10%にも満たないという課題があった。
【0015】
本発明で解決しようとする課題は、従来の石炭ボイラの設計を大きく変更することなく、低いランニングコストで二酸化炭素回収率50%以上を達成可能な石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収方法及び石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、石炭を燃料とする石炭ボイラの排ガスを脱塵装置に導き、該脱塵装置で前記排ガスから分離された石炭灰をゼオライト製造装置に導いてゼオライトを製造し、前記脱塵装置から排出された排ガスがガスガス熱交換器に供給され、該ガスガス熱交換器から排出された排ガスが前記ゼオライト製造装置で製造されたゼオライトを充填した二酸化炭素回収装置に導かれ、前記排ガスから二酸化炭素を回収することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、従来の石炭ボイラの設計を大きく変更することなく、低いランニングコストで二酸化炭素回収率50%以上を達成可能な石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収方法及び石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を適用した実施例について説明する。
【実施例1】
【0019】
本実施例では図1及び図2を用い、本発明の石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収方法を示す。
【0020】
図1,図2には、石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収システム101を示す。石炭を燃料とする石炭ボイラ20の排ガスを脱塵装置21に導き、この脱塵装置21で排ガスから分離された石炭灰100をゼオライト製造装置31に導く。ゼオライト製造装置31にはアルカリ水溶液2が供給されており、ゼオライト3が製造される。製造したゼオライトは二酸化炭素回収装置32a,32bに充填する。
【0021】
脱塵後の排ガス11は、ファン22によって圧送され、二酸化炭素回収装置を加熱するゼオライト加熱用ガス12及び脱硫塔24に供給する排ガスに分岐される。脱硫塔24に供給する排ガスは、供給前にガスガス熱交換器23で熱交換させている。脱硫塔24から排出された排ガス13は二系統の二酸化炭素回収装置32a,32bに供給可能なように配管が構成されており、脱硫塔24と二酸化炭素回収装置32a,32bとの間の排ガス配管は途中で分岐されている。このため、脱硫塔24から二酸化炭素回収装置への配管に設置されているバルブのうち、一方41aは開とし、もう一方41bは閉とすることで、二酸化炭素回収装置32aのみに排ガスを供給する。なお、図において開く弁は白抜きで表し、閉じる弁は黒色で塗りつぶして示す。
【0022】
また、二酸化炭素回収装置32a,32bからガスガス熱交換器23までの配管は途中で合流しており、二酸化炭素回収装置32a,32bにおいて二酸化炭素を回収した後の排ガスをガスガス熱交換器23に供給する配管のバルブも一方44aは開とし、もう一方44bは閉とする。二酸化炭素回収装置では、ゼオライトにより排ガス中の二酸化炭素が吸着される。このように、二酸化炭素回収装置32aは「回収モード」として運転される。二酸化炭素が回収された後の排ガス14はガスガス熱交換器23に供給され、加熱されて煙突26から大気に放出される。
【0023】
本実施例では、上流側の石炭ボイラの設計を大きく変更せずに、脱塵装置で排ガスから分離された石炭灰によってゼオライトを製造することにより、アミン水溶液を用いる方法と同程度の温度管理でプロセスが構築できる。また、排ガスから分離された石炭灰によって製造されたゼオライトを二酸化炭素回収装置に供給することで、外部からゼオライトを購入する必要がなくなり、低いランニングコストで二酸化炭素回収率50%以上を達成可能である。
【0024】
それぞれの二酸化炭素回収装置32a,32bには、ゼオライトを加熱するために、ガスガス熱交換器上流側の配管から分岐した排ガスを供給する配管が設けられている。また、ゼオライト加熱後の排ガスは、脱硫塔上流側に戻す配管が設けられている。2つ備える二酸化炭素回収装置のうち、もう一方の二酸化炭素回収装置32bは「脱離モード」として運転する。具体的には、ゼオライト加熱用ガス12がバルブ42bを通って供給される。ここで、バルブ42aは閉となっており、ゼオライト加熱用ガスは「回収モード」の二酸化炭素回収装置32aには供給されない。ゼオライト加熱用ガスは二酸化炭素回収装置の内部に形成された伝熱管を流れることで、伝熱管周囲のゼオライトに熱を供給し、ゼオライトを昇温する。ゼオライトを昇温させることで二酸化炭素が脱離する。脱離した二酸化炭素を外部に回収するため、二酸化炭素回収装置32a,32bからガスガス熱交換器23までの配管に、二酸化炭素回収系統102を設けている。脱離した二酸化炭素は、ファン34により吸引され、開となっているバルブ43bを通って回収される。ここでファン34につながるもう一方のバルブ43aは閉となっており、二酸化炭素回収装置32aとは絶縁されている。
【0025】
ゼオライト加熱後ガス15は、開となっているバルブ45bを通って、ガスガス熱交換器23と脱硫塔24との間の配管に戻される。ここで、バルブ45aは閉となっており、二酸化炭素回収装置32aからはゼオライト加熱後ガスが流れない。ゼオライト加熱後ガスを脱硫塔前に戻すことにより、ゼオライトの加熱に用いた排ガスに含まれる硫黄分及び二酸化炭素もそれぞれ脱硫塔24と二酸化炭素回収装置32aで回収することが出来る。
【0026】
図1の状態では、二酸化炭素回収装置32aが石炭ボイラ排ガスから二酸化炭素を吸収している状態であり、もう一方の二酸化炭素回収装置32bは吸収した二酸化炭素を放出している状態である。この状態を切り替えて図2の状態、すなわち二酸化炭素回収装置32aは吸収した二酸化炭素を放出している状態、もう一方の二酸化炭素回収装置32bは石炭ボイラ排ガスから二酸化炭素を吸収している状態とする切り替え方法を次に示す。
【0027】
二酸化炭素回収装置32a,32bで二酸化炭素を回収した排ガスをガスガス熱交換器23に供給する配管に、ガスサンプリングラインを設置し、二酸化炭素濃度分析計33に通ガスする。二酸化炭素濃度分析計33で測定した二酸化炭素濃度が規定値より高くなった時点でバルブ41〜45を操作し、図1の状態と図2の状態を切り替える。これは、二酸化炭素濃度が規定値より高くなった状態は、ゼオライトによる二酸化炭素吸着能力を使いきった状態であり、二酸化炭素を脱離させて再生しなければ、新たに二酸化炭素を吸着させることができないからである。
【実施例2】
【0028】
この例では、ゼオライトが二酸化炭素だけでなく、二酸化硫黄も吸着する特性を用い、ゼオライトで二酸化炭素と二酸化硫黄の両方を吸着させる。このため、実施例1では必要であった脱硫塔が不要となる。ただし、二酸化炭素回収装置からファン34で吸引される気体は、二酸化炭素と二酸化硫黄を含む。そのため、二酸化炭素と二酸化硫黄を同時に処分することができる場合に有効な方法である。
【0029】
この実施例について図3を用いて示す。ガスガス熱交換器23を通過したガスは、開となっているバルブ41aを通って二酸化炭素回収装置32aに供給される。二酸化炭素回収装置32aでは、ガス中に含まれる二酸化炭素と二酸化硫黄がゼオライトに吸着される。
【0030】
もう一方の二酸化炭素回収装置32bでは、ガスガス熱交換器の上流側で分岐された系統から供給されるゼオライト加熱用ガス12が、開となっているバルブ42bを通って供給されている。この加熱用ガスによりゼオライトが昇温され、ゼオライトが吸着していた二酸化炭素と二酸化硫黄が脱離される。脱離された二酸化炭素と二酸化硫黄は、ファン34により吸引され、開となっているバルブ43bを通って回収される。ゼオライト加熱後ガス15は二酸化炭素回収装置32a,32b前の配管に戻される。ゼオライト加熱後ガス15を二酸化炭素回収装置32a,32b前の配管に戻すことで、ゼオライト加熱に用いた排ガス中に含まれる二酸化炭素と二酸化硫黄も回収することが可能となる。
【0031】
実施例1と同様に、バルブ41〜45の切り替えは、二酸化炭素回収装置32a,32bからガスガス熱交換器23に至る配管に、ガスサンプリングラインを設置する。ガスサンプリングラインに設置された二酸化炭素及び二酸化硫黄濃度分析計33に通ガスし、二酸化炭素濃度と二酸化硫黄濃度を分析し、どちらかの濃度が規定値より高くなった時点で実施する。
【実施例3】
【0032】
本実施例では、二酸化炭素回収装置の具体的な装置構造について図4を用いて示す。
【0033】
二酸化炭素回収装置32a,32bは、それぞれ流動層型二酸化炭素吸収装置61a,61bを用いる。流動層内には、ゼオライト加熱用ガス12を流通させるための伝熱管103を設置する。
【0034】
ゼオライト製造装置31で製造したゼオライト3は、排ガスから二酸化炭素を回収する「回収モード」の流動層型二酸化炭素吸収装置61aに連続的に供給される。流動層高さが一定となるように、充填されたゼオライトの一部は下部から抜き出す。
【0035】
排ガス13は、流動層型二酸化炭素吸収装置61aの下部から供給される。ゼオライトは排ガス13によって流動化しており、効率的に排ガスと接触するので、従来のゼオライトを用いる石炭ボイラ排ガスからの二酸化炭素回収方法よりも、小さな反応容器とすることが可能である。なお、伝熱管103へのゼオライト加熱用ガス12の供給は停止している。
【0036】
流動層型二酸化炭素吸収装置の下流にはサイクロン62a,62bが設置されており、ガスに同伴して飛散したゼオライトを回収する。回収されたゼオライトは流動層に戻しても良いし、系外に抜き出しても良い。
【0037】
一方、排ガスの供給を止めている「脱離モード」の流動層型二酸化炭素吸収装置61bには、ゼオライト加熱用ガス12が供給され、ゼオライトから二酸化炭素が脱離される。ゼオライトから脱離した二酸化炭素はファン34により吸引される。この二酸化炭素にゼオライトが同伴して飛散するが、このゼオライトはサイクロン62bにて回収され、流動層に戻すことが出来る。
【0038】
流動層型は、粉体のゼオライトを使用する。この場合、ペレットを充填する固定層型と比べ、固体と気体の接触効率が高い。このため、吸収装置を小型化し、設備費を低減することが可能となる。また、ゼオライトの再生に必要な熱量も低減することが可能となる。
【0039】
また、本発明では、石炭ボイラの下流側に設けたゼオライト製造装置31において石炭灰からゼオライトを製造するため、ゼオライトのランニングコストはアルカリ水溶液だけで良い。このため、ゼオライト同士が接触、あるいは伝熱管や壁面と衝突することにより、ペレットタイプより劣化速度が速い流動層型を採用でき、外部からゼオライトを購入せずに、二酸化炭素の回収が可能となる。また、ランニングコストだけでなく、設備費の低減や、ゼオライトの再生に必要な熱量も低減することができる。
【実施例4】
【0040】
本実施例では、実施例3とは別の二酸化炭素吸収装置の具体的な装置構造を図5を用いて示す。
【0041】
本実施例では、固定層型二酸化炭素吸収装置71a,71bを用いる。固定層型を採用する場合、ゼオライト製造装置31では、ペレット状のゼオライトを製造し、ゼオライトの交換作業をするまで貯蔵する。ゼオライトの交換作業は、「回収モード」と「脱離モード」との操作切り替えの時間間隔が規定値以下となった時点で、ゼオライト再生のための操作を停止する。そして、二酸化炭素吸収装置の上流及び下流における排ガス配管のバルブを閉止した状態で、使用済のゼオライトを全量抜き出し、その後、ゼオライト製造装置31で製造されたゼオライトを充填する。
【0042】
固定層内には、ゼオライト加熱用ガス12を流通させるための伝熱管103を設置する。充填するゼオライトがペレット状なので、伝熱管はペレット状のゼオライトの抜き出し、充填に支障がない配置とする必要がある。
【0043】
その他の運用については、前述の実施例と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例及びバルブ開閉状態を示した図である。
【図2】本発明の実施例及びバルブ開閉状態を示した図である。
【図3】本発明の実施例及びバルブ開閉状態を示した図である。
【図4】本発明の二酸化炭素回収装置の一例を示した図である。
【図5】本発明の二酸化炭素吸収装置の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0045】
1 石炭・空気
2 アルカリ水溶液
3 ゼオライト
5 二酸化炭素
11 排ガス
12 ゼオライト加熱用ガス
13,14 排ガス
15 ゼオライト加熱後ガス
20 石炭ボイラ
22,34 ファン
23 ガスガス熱交換器
24 脱硫塔
26 煙突
31 ゼオライト製造装置
32 二酸化酸素回収装置
41〜45 バルブ
61 流動層型二酸化炭素吸収装置
62 サイクロン
71 固定層型二酸化炭素吸収装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭を燃料とする石炭ボイラの排ガスを脱塵装置に導き、該脱塵装置で前記排ガスから分離された石炭灰をゼオライト製造装置に導いてゼオライトを製造し、前記脱塵装置から排出された排ガスがガスガス熱交換器に供給され、該ガスガス熱交換器から排出された排ガスが前記ゼオライト製造装置で製造されたゼオライトを充填した二酸化炭素回収装置に導かれ、前記排ガスから二酸化炭素を回収することを特徴とする石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収方法。
【請求項2】
請求項1の石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収方法において、
前記二酸化炭素回収装置が2系列設置され、第1の二酸化炭素回収装置において前記ガスガス熱交換器から排出された排ガスをゼオライトに接触させて二酸化炭素を回収するとともに、第2の二酸化炭素回収装置において前記ガスガス熱交換器の上流側で分岐された排ガスをゼオライトと熱交換させてゼオライトを昇温し、該ゼオライトが吸着していた二酸化炭素を脱離させることを特徴とする石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収方法。
【請求項3】
請求項1の石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収方法において、
前記二酸化炭素回収装置で前記排ガスから二酸化炭素及び二酸化硫黄を回収することを特徴とする石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収方法。
【請求項4】
請求項3の石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収方法において、
前記二酸化炭素回収装置が2系列設置され、第1の二酸化炭素回収装置において前記ガスガス熱交換器から排出された排ガスをゼオライトに接触させて二酸化炭素及び二酸化硫黄を回収するとともに、第2の二酸化炭素回収装置において前記ガスガス熱交換器の上流側で分岐された排ガスをゼオライトと熱交換させてゼオライトを昇温し、該ゼオライトが吸着していた二酸化炭素及び二酸化硫黄を脱離させることを特徴とする石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4の石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収方法において、
前記二酸化炭素回収装置として流動層を用い、前記ゼオライト製造装置で製造したゼオライトを連続的に前記二酸化炭素回収装置に供給するとともに、流動層高さが一定となるように前記二酸化炭素回収装置に充填されたゼオライトの一部を抜き出すことを特徴とする石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収方法。
【請求項6】
請求項5の石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収方法において、
前記流動層の出口にサイクロンを設け、前記二酸化炭素回収装置から排出された排ガスに同伴したゼオライトを分離し、分離したゼオライトを前記二酸化炭素回収装置に戻す、あるいは系外に抜き出すことを特徴とする石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収方法。
【請求項7】
請求項5の石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収方法において、
ゼオライトを昇温させる伝熱管を前記流動層内に設置したことを特徴とする石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収方法。
【請求項8】
請求項1から請求項4の石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収方法において、
前記ゼオライト製造装置でペレット状のゼオライトを製造し、前記二酸化炭素回収装置に充填されたゼオライトによる二酸化炭素の吸着性能が低下した際に、使用済のゼオライトを全量抜き出し、前記ゼオライト製造装置で製造されたペレット状ゼオライトを前記二酸化炭素回収装置に充填することを特徴とする石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収方法。
【請求項9】
請求項2の石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収方法において、
前記二酸化炭素回収装置から排出された排ガスの二酸化炭素濃度を二酸化炭素濃度分析計で計測し、計測された二酸化炭素濃度に応じて、前記ガスガス熱交換器から排出された排ガスを供給する2つの前記二酸化炭素回収装置を切り替えることを特徴とする石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収方法。
【請求項10】
請求項4の石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収方法において、
前記二酸化炭素回収装置から排出された排ガスの二酸化炭素濃度及び二酸化硫黄濃度を二酸化炭素濃度分析計及び二酸化硫黄濃度分析計で計測し、計測された二酸化炭素濃度及び二酸化硫黄濃度に応じて、前記ガスガス熱交換器から排出された排ガスを供給する2つの前記二酸化炭素回収装置を切り替えることを特徴とする石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収方法。
【請求項11】
石炭を燃料とする石炭ボイラと、該石炭ボイラから排出された排ガスから石炭灰を分離する脱塵装置と、該脱塵装置で分離された石炭灰からゼオライトを製造するゼオライト製造装置と、前記脱塵装置で石炭灰を分離した後の排ガスをガスガス熱交換器で熱交換させた後に、前記ゼオライト製造装置で製造されたゼオライトと前記排ガスとを接触させ、前記排ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置とを備えたことを特徴とする石炭ボイラ排ガスの二酸化炭素回収システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−262086(P2009−262086A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−116567(P2008−116567)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】