説明

研磨装置および研磨方法

【課題】基板毎に膜厚分布の形状が異なる場合でも、基板毎に最適のパッドコンディションを行うための研磨装置および研磨方法を提供する。
【解決手段】研磨パッド12内の位置に応じて、パッドコンディショニング条件を変化させるコンディショニングコントローラ19と、複数のパッドコンディショニング条件を記憶したデータベース21と、基板膜厚分布測定手段18と、パッド表面検出手段17と、研磨パッドなど消耗品のパッドコンディショニング性能のばらつきと基板の研磨量や研磨形状との相関関係情報を記憶するばらつき相関関係情報記憶手段30等から、コンディショニングコントローラは、基板膜厚分布情報に基づき、データベースから最適のパッドコンディショニング条件を選択して研磨パッドのパッドプロファイルを作成する手段22を有すると共に、パッドコンディショニング性能のばらつきを反映してパッドコンディショニング条件を自動的に作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は研磨装置および研磨方法に関するものであり、特に、化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)において基板を均一に研磨するためにパッドコンディショニングを自動制御する研磨装置および研磨方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体の高性能化に伴って半導体回路の微細化が進み、リソグラフィ工程において、ステッパの焦点深度はますます浅くなる傾向にある。また、これと同時に多層配線化が進んで、基板表面の凹凸は大きくなる傾向にある。
【0003】
このような状況から、基板表面を平坦にする必要性があり、CMP工程では基板を均一に研磨する要求が一層厳しくなっている。CMP工程で平坦にする対象の基板は製膜装置によって膜付けされるが、装置毎、ロット毎、チャンバ毎に、それぞれの基板内の膜厚分布が異なるのが実状である。これまでは、膜厚分布の異なるそれぞれの基板をCMP工程で研磨して、どの基板も同じ膜厚に仕上げる装置は存在しなかった。
【0004】
従来、基板を均一に研磨するための自動制御としては、研磨パッドの形状(パッドプロファイル)を維持するために、パッドコンディショニング(パッドドレッシング)条件を変更する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、データベースとして記憶したパッドプロファイルと、研磨された膜厚分布の形状の近似式に研磨後の膜厚を代入し、パッドコンディショニング条件にフィードバックする技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−129754号公報
【特許文献2】特開2005−347568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および特許文献2では、基板毎に異なる膜厚面内の不均一な変動に対して、最適なパッドコンディショニングがなされないという問題があり、研磨後の膜厚面内の形状は、研磨前の膜厚分布の形状を残したまま、基板内全面で研磨されるという問題があった。
【0007】
また、研磨加工中に膜厚の変化を監視できないため、研磨後に膜厚を測定してパッドコンディショニング条件にフィードバックしても、フィードバックされるまでに研磨した基板については、自動制御の効果を受けられないという問題があった。さらに、研磨パッドやパッドコンディショナなど消耗品の使用時間による経時変化や性能のばらつきによって、基板の研磨量や研磨形状を一定にすることができなかった。
【0008】
そこで、基板毎に膜厚分布の形状が異なる場合でも、基板毎に最適のパッドコンディションを行うとともに、研磨パッドやパッドコンディショナなど消耗品の経時変化や性能のばらつきによる基板の研磨量や研磨形状の変動をなくすために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、研磨ヘッドに保持された基板を、回転するプラテン上の研磨パッドに押圧するとともに、研磨パッドにスラリを供給して該基板を研磨する研磨装置であって、前記研磨パッドの中央部から周辺部までの範囲に亘って目立てを行うパッドコンディショニング手段を有し、前記研磨パッド内の位置に応じて、パッドコンディショニング条件を変化させるコンディショニングコントローラを備えた研磨装置において、予め設定された複数のパッドコンディショニング条件を記憶したデータベースと、基板の膜厚分布の形状を測定する基板膜圧分布測定手段と、研磨パッドの表面の状態を検出するパッド表面検出手段と、研磨パッドなど消耗品のパッドコンディショニング性能のばらつきと基板の研磨量や研磨形状との相関関係情報を記憶するばらつき相関関係情報記憶手段とが設けられ、前記コンディショニングコントローラは、前記基板膜圧分布測定手段で作成された基板膜厚分布情報に基づき前記データベースから最適のパッドコンディショニング条件を選択して研磨パッドのパッドプロファイルを作成する手段を有するとともに、前記ばらつき相関関係情報記憶手段に記憶されているパッドコンディショニング性能のばらつきを反映してパッドコンディショニング条件を自動的に作成する手段を有していることを特徴とする研磨装置を提供する。
【0010】
この構成によれば、例えば研磨パッド内の各位置におけるパッドコンディショニング圧力やパッドコンディショニングを行う時間などのパッドコンディショニング条件を、予め複数種類設定してデータベースに記憶しておく。そして、基板の膜厚分布の形状を測定して基板膜厚分布情報を作成し、該基板膜厚分布情報に基づき前記データベースから最適のパッドコンディショニング条件を選択して研磨パッドのパッドプロファイルを作成する。また、研磨パッドなど消耗品のパッドコンディショニング性能のばらつきと基板の研磨量や研磨形状との相関関係情報を反映してパッドコンディショニング条件を作成し、ばらつき相関関係情報を反映したパッドコンディショニング条件にて基板を研磨する。
【0011】
請求項2記載の発明は、上記コンディショニングコントローラは、基板研磨中または研磨後の基板膜厚分布情報に基づき、上記ばらつき相関関係情報を自動で変更する手段を有していることを特徴とする請求項1記載の研磨装置を提供する。
【0012】
この構成によれば、基板研磨中または研磨後に基板膜圧分布測定手段で作成された基板膜厚分布情報に基づき、上記コンディショニングコントローラは、上記パッドコンディショニング性能のばらつき相関関係情報を変更して、新たなパッドコンディショニング条件にて基板を研磨する。
【0013】
請求項3記載の発明は、研磨ヘッドに保持された基板を、回転するプラテン上の研磨パッドに押圧するとともに、研磨パッドにスラリを供給して該基板を研磨する研磨方法であって、前記研磨パッドの中央部から周辺部までの範囲に亘って目立てを行うパッドコンディショニングを実行するステップを有し、前記研磨パッド内の位置に応じて、パッドコンディショニング条件を変化させるようにした研磨方法において、予め複数のパッドコンディショニング条件を設定してデータベースに記憶しておき、基板の膜厚分布の形状を測定して基板膜厚分布情報を作成し、該基板膜厚分布情報に基づき前記データベースから最適のパッドコンディショニング条件を選択して研磨パッドのパッドプロファイルを作成するとともに、研磨パッドなど消耗品のパッドコンディショニング性能のばらつきと基板の研磨量や研磨形状との相関関係情報を反映してパッドコンディショニング条件を作成し、さらに、基板研磨中または研磨後の基板膜厚分布情報から、上記パッドコンディショニング性能のばらつき相関関係情報を自動で変更するように自動制御することを特徴とする研磨方法を提供する。
【0014】
この構成によれば、例えば研磨パッド内の各位置におけるパッドコンディショニング圧力やパッドコンディショニングを行う時間などのパッドコンディショニング条件を、予め複数種類設定してデータベースに記憶しておく。そして、基板の膜厚分布の形状を測定して基板膜厚分布情報を作成し、該基板膜厚分布情報に基づき前記データベースから最適のパッドコンディショニング条件を選択して研磨パッドのパッドプロファイルを作成するとともに、研磨パッドなど消耗品のパッドコンディショニング性能のばらつきと基板の研磨量や研磨形状との相関関係情報を反映してパッドコンディショニング条件を作成する。このパッドコンディショニング条件にて基板を研磨し、さらに、基板研磨中または研磨後の基板膜厚分布情報から、上記パッドコンディショニング性能のばらつき相関関係情報を自動で変更する。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、予め設定された複数のパッドコンディショニング条件を記憶したデータベースと、基板の膜厚分布の形状を測定する基板膜厚分布測定手段と、研磨パッドの表面の状態を検出するパッド表面検出手段と、研磨パッドなど消耗品のパッドコンディショニング性能のばらつきと基板の研磨量や研磨形状との相関関係情報を記憶するばらつき相関関係情報記憶手段とが設けられ、コンディショニングコントローラは、前記基板膜厚分布測定手段で作成された基板膜厚分布情報に基づき前記データベースから最適のパッドコンディショニング条件を選択して研磨パッドのパッドプロファイルを作成するとともに、前記ばらつき相関関係情報記憶手段に記憶されているパッドコンディショニング性能のばらつきを反映してパッドコンディショニング条件を自動的に作成するように構成したので、基板毎に膜厚分布の形状が異なる場合でも、基板毎に最適のパッドコンディションを行うことができる。
【0016】
また、研磨パッドなど消耗品のパッドコンディショニング性能のばらつきと基板の研磨量や研磨形状との相関関係情報を反映してパッドコンディショニング条件を作成するので、研磨パッドやパッドコンディショナなど消耗品の経時変化や性能のばらつきによる基板の研磨量や研磨形状の変動をなくし、常に一定の研磨性能を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る研磨装置および研磨方法について、好適な実施例をあげて説明する。基板毎に膜厚分布の形状が異なる場合でも、基板毎に最適のパッドコンディションを行うとともに、研磨パッドやパッドコンディショナなど消耗品の経時変化や性能のばらつきによる基板の研磨量や研磨形状の変動をなくすという目的を達成するために、
本発明は、研磨ヘッドに保持された基板を、回転するプラテン上の研磨パッドに押圧するとともに、研磨パッドにスラリを供給して該基板を研磨する研磨装置であって、前記研磨パッドの中央部から周辺部までの範囲に亘って目立てを行うパッドコンディショニング手段を有し、前記研磨パッド内の位置に応じて、パッドコンディショニング条件を変化させるコンディショニングコントローラを備えた研磨装置において、
【0018】
予め設定された複数のパッドコンディショニング条件を記憶したデータベースと、基板の膜厚分布の形状を測定する基板膜圧分布測定手段と、研磨パッドの表面の状態を検出するパッド表面検出手段と、研磨パッドなど消耗品のパッドコンディショニング性能のばらつきと基板の研磨量や研磨形状との相関関係情報を記憶するばらつき相関関係情報記憶手段とが設けられ、
前記コンディショニングコントローラは、前記基板膜圧分布測定手段で作成された基板膜厚分布情報に基づき前記データベースから最適のパッドコンディショニング条件を選択して研磨パッドのパッドプロファイルを作成する手段を有するとともに、前記ばらつき相関関係情報記憶手段に記憶されているパッドコンディショニング性能のばらつきを反映してパッドコンディショニング条件を自動的に作成する手段を有することにより実現した。
【実施例1】
【0019】
図1は本発明に係る基板研磨装置の一例としてウェーハ研磨装置の説明図である。研磨台10は、図示しないモータで回転駆動される円盤状のプラテン11の上面(図中紙面の手前側)に、同一形状の研磨パッド12が貼着されて、図中矢印A方向へ前記プラテン11と研磨パッド12が一体回転するように形成されている。
【0020】
前記プラテン11の上方位置に設けられている研磨ヘッド13は、前記プラテン11よりも小径の円盤状に形成され、該研磨ヘッド13の下面(図中紙面の奥側)に、本発明に係る基板14が吸着保持されて、図示しないモータで図中矢印B方向へ回転駆動される。なお、本実施例では基板14の一例としてウェーハの研磨について説明するが、ウェーハに限らず磁気ヘッドなど他の部材の研磨においても適用できる。
【0021】
また、研磨パッド12の上面にスラリなどの液体を供給するためのノズル15と、研磨パッド12の中央部から周辺部までの範囲に亘って目立てを行うパッドコンディショニング手段16が設けられている。パッドコンディショニング手段16は、回転軸16aを中心に図中矢印C−C方向に旋回可能なアーム16bを有しており、該アームの先端に設けられ、回転と押圧力が付与されたパッドコンディショナ(パッドドレッサ)16cによって、前記研磨パッド12がコンディショニング(ドレッシング)される。
【0022】
前記パッドコンディショナ16cの旋回速度は、研磨パッド12の位置に応じてコンディショニングコントローラ19の制御で自由に設定され、研磨パッド12上の各位置における旋回中のパッドコンディショナ16cの滞在時間を変化できるように形成されている。また、パッドコンディショナ16cに付与される押圧力も、前記コンディショニングコントローラ19の制御で、研磨パッド12上の各位置において変化させるように形成されている。
【0023】
このように、パッドコンディショナ16cの滞在時間の制御あるいはパッドコンディショナ16cに付与される押圧力の制御などにより、研磨パッド12のパッドコンディショニング条件が自由に設定される。なお、研磨パッド12の表面状態はパッド表面検出手段17によって検出される。
【0024】
なお、図中符号18は基板膜厚分布測定手段であり、該基板膜厚分布測定手段18は光学式あるいは電磁式の測定器からなり、前記プラテン11に設けられている。研磨対象膜が酸化膜の場合は光学式測定器を用い、研磨対象膜がそれ以外の場合は電磁式測定器を用い、後述するように、基板の複数個所で測定した膜厚波形を比較して基板膜厚分布情報を作成する基板膜厚分布情報作成手段20を有している。
【0025】
また、符号30はばらつき相関関係情報記憶手段であり、該ばらつき相関関係情報記憶手段30は例えば半導体メモリやハードディスクドライブなどの記憶装置からなり、研磨装置に内蔵もしくは研磨装置の外部に備えられている。該ばらつき相関関係情報記憶手段30は、後述するように、研磨パッドなど消耗品のパッドコンディショニング性能のばらつきと基板の研磨量や研磨形状との相関関係情報を記憶する。
【0026】
前記コンディショニングコントローラ19には、前記ばらつき相関関係情報記憶手段30に記憶されているパッドコンディショニング性能のばらつきを反映してパッドコンディショニング条件を自動的に作成するための、パッドコンディショニング条件自動作成手段31を有している。
【0027】
図2〜図4は研磨パッド12の表面状態の形状と基板14の研磨形状との相関図である。各図で、図(a)は研磨パッド12のパッドプロファイルを示し、横軸は研磨パッド12上の位置、縦軸は各位置における研磨パッド12の凹凸の状態を表している。また、図(b)は図(a)のパッドプロファイルを有する研磨パッド12にて基板14を研磨したときの結果を示し、横軸は基板14上の位置、縦軸は各位置における基板14の研磨量を表している。
【0028】
例えば、研磨前に測定された基板膜厚分布情報から、当該基板14の中央部の膜厚が大であり、基板14を均一にするために中央部の研磨量を増やしたいときは、図2(a)に示すようなパッドプロファイルに研磨パッド12の表面を形成すれば、基板14の研磨結果は、図2(b)に示すように基板14の中央部の研磨量が増大することになる。
【0029】
一方、基板14の周辺部の研磨量を増やしたいときは、図4(a)に示すようなパッドプロファイルに研磨パッド12の表面を形成すれば、基板14の研磨結果は、図4(b)に示すように基板14の周辺部の研磨量が増大する。また、図3(a)に示すようなパッドプロファイルに研磨パッド12の表面を形成すれば、基板14の研磨結果は、図3(b)に示すように基板14の周辺部から中央部に亘ってほぼ同一の研磨量が得られる。
【0030】
前記パッドプロファイルは、基板の種類や膜厚分布、研磨パッドの種類などにより、予め複数のパッドコンディショニング条件を想定して設定され、これら複数のパッドコンディショニング条件をデータベース21に記憶しておき、後述するように、基板の研磨前や研磨中に、コンディショニングコントローラ19の制御でデータベース21から読み出される。
【0031】
図5は基板14における膜厚測定箇所の説明図、図6は膜厚測定器による検出波形の説明図である。図5に示すように、光学式あるいは電磁式の測定器からなる前記基板膜厚分布測定手段18により、例えば、基板14の中央部A点、周辺部C点、A点とC点の中間部B点の3箇所での膜厚を測定する。そして、図6(a)〜図6(c)に示すように、前記測定器による検出波形(符号Sが測定対象部分)が、A点、B点、C点の3箇所で同一もしくは近似するように、A点、B点、C点に対応する研磨パッド12の位置におけるパッドコンディショニングを変更することにより、基板14内の全面に亘って均一な膜厚に研磨することができる。したがって、前記測定箇所が多いほど、膜厚の管理がより一層確実に行えることになる。
【0032】
図7は本発明に係る研磨方法の手順を示すフローチャートである。予めパッド表面特性と研磨量分布の相関情報の初期値がデータベース21に記憶される(ステップ100)。また、装置使用者が研磨パッド12やパッドコンディショナ16cなどの消耗品を交換したときは、消耗品の個体毎の性能のばらつき情報がデータベース21に入力される(ステップ101)。後述するように、データベース21には、研磨後の基板膜厚分布情報および研磨量分布情報から、最新の環境情報を反映させて、最新のパッドコンディショニング条件が記憶されている(ステップ102)。
【0033】
基板を研磨する際は、先ず基板膜厚分布測定手段18により研磨前の基板14の膜厚を測定し(ステップ200)、基板膜厚分布情報作成手段20により基板14の膜厚分布情報を作成する(ステップ201)。また、データベース21に予め記憶されている複数のパッドコンディショニング条件の中から、前記基板膜厚分布情報に基づき最適のパッド表面特性と研磨量分布の相関情報を選択して読み込み(ステップ202)、最適なパラメータを設定してパッドコンディショニング条件を決定する(ステップ203)。このパッドコンディショニング条件は、消耗品の個体毎の性能のばらつきを反映した条件になっている。
【0034】
そして、決定したパッドコンディショニング条件により、コンディショニングコントローラ19に設けられているパッドプロファイル作成手段22が、研磨パッド12のパッドプロファイルを作成し、パッド表面検出手段17で研磨パッド12の表面状態をモニタリングしながら(ステップ204)、研磨パッド12の表面状態が、最適なパッドプロファイルに一致するように、パッドコンディショニングを実行し(ステップ205)、基板14の研磨前のパッドコンディショニングが完了する(ステップ206)。
【0035】
続いて、基板14の研磨を開始するのであるが(ステップ207)、研磨中の基板膜厚分布状態をリアルタイムでモニタリングするとともに(ステップ208)、研磨中に研磨パッドの表面状態をモニタリングし(ステップ209)、研磨中の基板膜厚分布状態が均一となっているかどうかを検出し、もし基板膜厚状態が均一でない場合は、当初のパッドコンディショニング条件を補正して新たなパッドコンディショニング条件を決定し(ステップ210)、パッドコンディショニングを実行する(ステップ211)。
【0036】
基板14の研磨が終了したら当該基板14の膜厚を測定し(ステップ212)、研磨後の基板膜厚分布情報を作成するとともに(ステップ213)、研磨量分布情報を作成する(ステップ214)。そして、研磨後の基板膜厚分布情報および研磨量分布情報と、予想された目的の研磨量または研磨形状とを比較して両者のずれ分を検出し、消耗品の性能のばらつきと基板の研磨量や研磨形状との相関関係情報をばらつき相関関係情報記憶手段30に記憶する。
【0037】
コンディショニングコントローラ19は、パッドコンディショニング条件自動作成手段31によって前記ばらつき相関関係情報記憶手段30に記憶されているパッドコンディショニング性能のばらつきを反映して、最新の環境情報を反映したパッドコンディショニング条件として前記データベース21を更新する(ステップ215→ステップ102)。
【0038】
このように、基板14の研磨前に作成した基板膜厚分布情報に基づいて、最適なパッドコンディショニング条件を決定し、研磨パッド12のパッドプロファイルを作成してパッドコンディショニングを実行するとともに、研磨後は消耗品の性能のばらつきを反映して補正した情報にて基板14の研磨を行うので、基板毎に膜厚分布の形状が異なる場合でも、それぞれの基板毎に随時制御を行うことができ、どの基板も同じように基板内全面で均一な膜厚に形成することができる。
【0039】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る基板研磨装置の構成例を示す説明図。
【図2】研磨パッドの表面状態の形状と基板の研磨形状との相関図。
【図3】研磨パッドの表面状態の形状と基板の研磨形状との相関図。
【図4】研磨パッドの表面状態の形状と基板の研磨形状との相関図。
【図5】基板における膜厚測定箇所の説明図。
【図6】膜厚測定器による検出波形の説明図。
【図7】研磨方法の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0041】
10 研磨台
11 プラテン
12 研磨パッド
13 研磨ヘッド
14 基板
15 ノズル
16 パッドコンディショニング手段
16a 回転軸
16b アーム
16c パッドコンディショナ
17 パッド表面検出手段
18 基板膜厚分布測定手段
19 コンディショニングコントローラ
20 基板膜厚分布情報作成手段
21 データベース
22 パッドプロファイル作成手段
30 ばらつき相関関係情報記憶手段
31 パッドコンディショニング条件自動作成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨ヘッドに保持された基板を、回転するプラテン上の研磨パッドに押圧するとともに、研磨パッドにスラリを供給して該基板を研磨する研磨装置であって、前記研磨パッドの中央部から周辺部までの範囲に亘って目立てを行うパッドコンディショニング手段を有し、前記研磨パッド内の位置に応じて、パッドコンディショニング条件を変化させるコンディショニングコントローラを備えた研磨装置において、
予め設定された複数のパッドコンディショニング条件を記憶したデータベースと、基板の膜厚分布の形状を測定する基板膜圧分布測定手段と、研磨パッドの表面の状態を検出するパッド表面検出手段と、研磨パッドなど消耗品のパッドコンディショニング性能のばらつきと基板の研磨量や研磨形状との相関関係情報を記憶するばらつき相関関係情報記憶手段とが設けられ、
前記コンディショニングコントローラは、前記基板膜圧分布測定手段で作成された基板膜厚分布情報に基づき前記データベースから最適のパッドコンディショニング条件を選択して研磨パッドのパッドプロファイルを作成する手段を有するとともに、前記ばらつき相関関係情報記憶手段に記憶されているパッドコンディショニング性能のばらつきを反映してパッドコンディショニング条件を自動的に作成する手段を有していることを特徴とする研磨装置。
【請求項2】
上記コンディショニングコントローラは、基板研磨中または研磨後の基板膜厚分布情報に基づき、上記ばらつき相関関係情報を自動で変更する手段を有していることを特徴とする請求項1記載の研磨装置。
【請求項3】
研磨ヘッドに保持された基板を、回転するプラテン上の研磨パッドに押圧するとともに、研磨パッドにスラリを供給して該基板を研磨する研磨方法であって、前記研磨パッドの中央部から周辺部までの範囲に亘って目立てを行うパッドコンディショニングを実行するステップを有し、前記研磨パッド内の位置に応じて、パッドコンディショニング条件を変化させるようにした研磨方法において、
予め複数のパッドコンディショニング条件を設定してデータベースに記憶しておき、基板の膜厚分布の形状を測定して基板膜厚分布情報を作成し、
該基板膜厚分布情報に基づき前記データベースから最適のパッドコンディショニング条件を選択して研磨パッドのパッドプロファイルを作成するとともに、研磨パッドなど消耗品のパッドコンディショニング性能のばらつきと基板の研磨量や研磨形状とのばらつき相関関係情報を反映してパッドコンディショニング条件を作成し、
さらに、基板研磨中または研磨後の基板膜厚分布情報から、上記ばらつき相関関係情報を自動で変更するように自動制御することを特徴とする研磨方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−284668(P2008−284668A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−134712(P2007−134712)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(000151494)株式会社東京精密 (592)
【Fターム(参考)】