説明

破断予定線付きカートン

【課題】 カートンの破断予定線開封にあたり、使用者による個人差や、カートンの保持状態の変化による開封方向の変化にあっても、所定の開封が可能な形状を有する破断予定線付きカートンを提供する。
【解決手段】 板紙製のカートンの所定部位に断続して配設された切目列で構成される破断予定線を設け、破断予定線の引き裂きによりカートンの所定領域を開封するカートンであって、それぞれ密接もしくは近接して並行する直線状基部切目と、該並行する直線状基部切目の同じ側の一端部からそれぞれ対称に相反する側へ直線的に延設される斜線状枝部切目とからなり、略Y字形状に形成される切目部が、前記並行する直線部の延長上に断続して配設された切目列からなり、所定の破断予定線どおりの開封が可能であることを特徴とする破断予定線付きカートン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スナック菓子や食品を収納する紙箱に係り、詳しくは一枚のブランク板から直方体状に形成され、開封に際し用いられる破断予定線付カートンに関し、詳しくは新規な破断予定線構造を有するカートンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙器構造のうち、特にカートンと呼ばれる折り畳み式筒状構成を有する紙箱で、しかも筒状胴部の両端を糊着して閉塞した、いわゆるシールエンドカートンにおいて、前記両端閉塞部や筒状胴部の開封にあたっては、紙箱の所定部位に予め断続する切刃構造部分を穿設することにより破断予定部位とし、使用にあたって前記破断予定部位を破断して、開封することが行われており、前記切刃構造部分として、断続する切刃によるミシン目線構造や、先端を鉤状に折り曲げた切刃を断続して設ける破断予定線構造によるジッパー帯開封構造が多く用いられており、例えば、図6は従来形のジッパー帯開封構造を有するカートンの説明図で、カートンHを形成する筒状胴部の正面板102の上部を平行して横断する断続した鉤状切目列J、J’間に形成されるジッパー帯部114と該ジッパー帯部114の上辺両側端から胴部左右両側面板101、103(図に表れない)をそれぞれ斜めに横断して穿設される破断ミシン目N、Nとからなり、ジッパー帯部114の開封後、前記破断ミシン目N、Nの開封により形成されるカートン蓋部が、前記破断ミシン目N、Nの両端を結んで背面板に設けられた折線によるヒンジ部を支点として仰開型に開閉する構造のカートンを示しており、該カートンHにおいて正面板102を平行して横断するジッパー帯部114を構成する鉤状切目列J、J’は、平行する直線状基部切刃と、該直線状基部切刃それぞれの開封始端側の端部が平行線の内側向きに鉤状に曲げられた斜線状枝部切刃とから構成されている。
カートンの打ち抜き型は、通常、カートンブランク図面に倣って、あるいはカートンブランク図形のデジタルデータに従って出力されるレーザー光で18mm厚の台板(積層した合板)に溝を彫刻し、カートンの切線や折線を形成するよう一側端を加工された、0.7mm厚、23.6mm幅の帯状の鋼板を所定の寸法に切断、折り曲げ加工したものを埋め込んで製造される。
カートンの打ち抜きは、打ち抜き型と、これに対向する面板(金属プレート上にプレスボード等を貼り込んで、打ち抜き型に対する雌型としたもの)とを打抜機に取り付け、両者間に板紙等を挿入した後、瞬間的圧力加工を施して打ち抜き加工(型抜きと同時にハーフカット、罫押し等の加工も行われる)するものである。打抜機には、一般に平圧式と輪転式とがあり、輪転式は打ち抜き型、雌型ともシリンダー状に加工されたものが使用され、型の寿命が長く、打ち抜き精度が高いという特徴を持つが、極めてコスト高となることから、ロングランの限定された生産に使用される。これに対し、平圧式は、汎用的に用いられている。
【0003】
図6に示したカートンHのジッパー帯部114すなわち平行な鉤状切目列J、J’間に形成された帯状部の開封操作は、カートンの角部に設けられた摘まみ部を摘まんで、ジッパーライン(開封予定方向)、すなわち正面板102を横断する鉤状切目列J、J’の直線状基部切刃の延長方向に移動させれば、直線状基部切刃の開封後にジッパー帯部の引き上げ操作により、移動方向への力と平行する直線部終端からそれぞれジッパー帯部内向きの力とで、それぞれの直線部から内向きの方向への引き裂き破断が発生し、次に配設されているそれぞれの鉤状切刃の斜線状枝部切刃に到達する。この操作の連続によりジッパー帯部を形成する鉤状切刃部の繋ぎ部が破断され開封操作が行われるものである。しかしながら、カートンの保持等の状態や、操作方法の個人差により、開封する方向が偏向した場合、上記操作によるジッパーラインの破断の連続が正しく行われず、直線部終端から斜線部への引き裂き部分でジッパーラインから外れてしまい、破断予定箇所以外に破断が進み、例えば層間剥離を起こしてジッパー帯部周辺の印刷部分を剥がして美観を損ったり、必要な表示部分を損うことにより使用に支障を来たしたり、ジッパー帯部が千切れてしまうという惧れがあった。
また、ジッパーラインがカートンの紙目方向(カートンに使用される板紙例えばコートボール紙等を抄造の際に形成される紙繊維の流れ方向を示すもので、板紙等の用紙は紙目方向に裂け易い構造を持っている。)に対して、斜めに傾斜している場合や、曲線を描いている場合には、使用する板紙の裂け易い紙目方向へ破断が進む傾向があり、特に問題が発生しやすかった。尚、通常カートンに使用される坪量が160g/m2以上のコートボール等では、板紙の抄造時に5〜6層の抄き合わせがなされているので、引き裂きがジッパーラインを外れた箇所からの層間剥離が広がり易い。
【0004】
上記問題に対し、破断予定線の切刃形状をY字状に形成して、開封領域をジッパーラインどおりに開封できるカートンが提案されている(例えば、特許文献1)。すなわち、特許文献1で示されたものでは、従来、ジッパーラインの直線部からの引き裂きによる破断を配設された鉤状切刃部の斜線部で受けていた形状を、直線部の延長線上に対し対称に開いて略V字形状をなす両斜線部で受けることにより、開封する方向が偏向しても略V字形状をなす両斜線部のいずれかで受けることができ、V字形状をなす両斜線部に連続する直線部に破断が継続されるものである。
【特許文献1】特開平10−218167号公報
【0005】
前記特許文献1に記載された発明に係るカートンにおいて、Y字状の破断予定線の打ち抜き型は、従来の鉤状の破断予定線と同様に鉤状切刃を片側に有する連続した帯状の打ち抜き刃と、Y字状の一方の斜線部に相当する短い切刃を片側に有する連続した帯状の打ち抜き刃の両者を、帯状部分を平行とし、且つ所定の間隔をもって、両打ち抜き刃の切刃部分によるY字状を形成するよう台板に埋め込んで打ち抜き型に仕上げたものである。
上記打ち抜き型のうち、Y字状の一方の斜線部に相当する短い切刃を形成するものは、従来のように斜線部のみの切刃を埋め込むものに対して耐久性があり、台板からの抜け落ちを防ぐことができるが、短い切刃部分のみを残し、それ以外の切刃部分が飛び出さないようにする為に削除して段差部を形成するという加工を施す為に加工時間を要し、コストが上昇する点で、経済性に問題がある。さらに、打ち抜き型によって形成される短い斜線部切刃は、もう一方の打ち抜き型によって形成される切刃の直線部に一体に連続するものではないので、打ち抜き加工の連続により、経時的に切刃の曲がりなどによって部分的移動を起こし易いので、ジッパーラインへの破断が連続しない惧れがあり、且つ部分的移動等を調整する時間を要する不具合がある。
以上から、加工性に優れていることにより加工時間や調整時間が短縮できる打ち抜き型からなり、しかも、ジッパーラインへの連続した破断が損われることの無い破断予定線付きカートンが望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記問題を解決するためになしたものであって、カートンの破断予定線開封にあたって、使用者による個人差や、カートンの保持状態の変化によって生じるジッパーラインを外れた開封方向の変化によっても、所定の破断予定線どおりの開封が可能な形状を有する破断予定線付きカートンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、カートンの所定部位に断続して配設される切目列で形成した破断予定線を穿設し、該破断予定線の引き裂き破断によりカートンの所定領域を開封するカートンであって、それぞれ密接もしくは近接して並行する直線状基部切目と、該並行する直線状基部切目の同じ側の一端部からそれぞれ対称に相反する側へ直線的に折れ曲がって延設される斜線状枝部切目とで形成される略Y字形状の切目部が、前記並行する直線状基部切目の延長上に断続して配設された切目列であることを特徴とする破断予定線付きカートンである。このように構成することによって、従来、打ち抜き刃及び打ち抜き型製作にあたって、加工時間や調整時間を要し、経済性に問題のあったY字形状の破断予定線を、加工性を良好なものとすることができ、加工時間や調整時間の短縮により、コストダウンを図り、カートンへの適用にあたっては、切目列の終端からの切り破りを受け止めた斜線状枝部切目は連続して直線状基部切目に継続し、不連続部分での逸れによる層間剥離などの不具合を発生することがなく、所定の破断予定線での開封を可能とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、カートンの所定部位に、前記切目部の前記斜線状枝部切目を開封方向の始端側に配列し、前記直線状基部切目を開封方向の終端側に配列して、前記切目列が設けられたことを特徴とする請求項1記載の破断予定線付きカートンで、加工性を良好なものとした略Y字形状の切目列からなる破断予定線を、上記の構成とすることにより、開封部分から、より開封性に優れた破断予定線の形状とすることができる。
【0009】
請求項3記載の発明は、カートンの所定部位に、前記切目部を直線状に配列し、前記切目列が直線状に設けられたことを特徴とする請求項2記載の破断予定線付きカートンで、このように構成することにより、直線状開封部位において連続した破断により容易に開封することができる。
【0010】
請求項4記載の発明は、カートンの所定部位に、前記切目部を曲線状に配列し、前記切目列が曲線状に設けられたことを特徴とする請求項2記載の破断予定線付きカートンで、このように構成することにより、曲線状開封部位において連続した破断により容易に開封することができる。
【0011】
請求項5記載の発明は、直線状基部切目と該直線状基部切目の一端部から直線的に延設される斜線状枝部切目とによって形成される角度が、95°〜165°であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の破断予定線付きカートンで、並列する直線状基部切目と該並行する直線状基部切目の同じ側の一端部からそれぞれ相反する側へ延設される斜線状枝部切目とにより、少なくとも略Y字形状が形成され、直線状基部切目の他方の一端部からの連続する破断を受けることができる。
【0012】
請求項6記載の発明は、前記切目列が所定の間隔を隔てて平行する2条からなる帯状に構成されたジッパー帯部であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の破断予定線付きカートンで、このように構成することにより、ジッパー帯部による開封方向への帯状の連続破断を起こり易くすることができる。
【0013】
請求項7記載の発明は、前記略Y字形状の切目部を形成する打ち抜き刃がそれぞれ片切刃の打ち抜き刃からなり、且つ前記並行する直線状基部切目部分において前記片切刃の刃先の無い面同士を密着させた構成としたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の破断予定線付きカートンで、このように構成することにより、切目列の終端からの切り破りを受け止めた斜線状枝部切目は連続して直線状基部切目に継続し、不連続部分での逸れによる層間剥離などの不具合を発生することがなく、所定の破断予定線での開封を可能とするものであり、密接する直線状基部切刃間の空隙による層間剥離等の発生がなく、見栄えを損うことがない。
【発明の効果】
【0014】
本発明の破断予定線付きカートンは、破断予定線を、近接して並行する直線状基部切目と、該並行する直線状基部切目の同じ側の端部からそれぞれ対称に相反する側へ直線的に延設される斜線状枝部切目とからなり、略Y字形状を形成することによって、開封起端側からの破断開封をY字形状の斜線状枝部切目で受けるとともに、次に配設される略Y字形状の切目部への開封を容易に伝播させることができるとともに、従来形のY字形打ち抜き刃の製造にあたって必要であった段差部形成の為の加工が不要となるので、打ち抜き刃及び打ち抜き型の製造加工が容易となり、加工時間や調整時間の短縮によるコストダウンなど経済的な効果がある。
【0015】
略Y字形状に形成される、並行する直線状基部切目と、該直線状基部切目の一端部から直線的に延設された斜線状枝部切目とは、それぞれ一体に形成されるので、従来のY字形状から形成される切目列からなる破断予定線の一方の斜線状枝部切目が、直線状基部切目に対して一体に形成されていないものであるのに対し、より耐久性に優れるとともに、従来のY字形切目列から形成される破断予定線のように、大量の打ち抜き加工により、打ち抜き型の斜線状基部切刃が経時的に切刃部の曲がりなどによる部分的移動や脱落等により直線状基部切刃に連続せず破断が不連続となるようなことが発生しないという効果がある。
【0016】
また、略Y字形状の切目列を構成する打ち抜き刃を、それぞれ片切刃の打ち抜き刃を用い、且つ直線状基部切刃部分において、片切刃の刃先の無い面同士を密着させて構成することにより、密接する直線状基部切刃間の空隙での層間剥離等の発生がなく、見栄えを損うことがないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
上記本発明につき、図面等を用いて以下に詳述する。図1は本発明に係る破断予定線付きカートンの実施例のブランク状態を示す展開平面図。図2(a)は同じく実施例の組立状態を示す説明用斜視図。図2(b)は同じく実施例の開封後展示状態を示す説明用斜視図。図3(a)は従来のY字形打ち抜き刃の構成を示す説明用平面図。図3(b)は同じく従来のY字形打ち抜き刃の構成を示す説明用斜視図。図4(a)は本発明に係る略Y字形打ち抜き刃の構成を示す説明用平面図。図4(b)は同じく本発明に係る略Y字形打ち抜き刃の構成を示す説明用斜視図。図4(c)は同じく本発明に係る略Y字形打ち抜き刃により形成される切目の説明用平面図。図5(a)は本発明に係る破断予定線付きカートンの、他の実施例の説明用斜視図。(b)は同じく他の実施例の説明用斜視図。(c)は同じく他の実施例の説明用斜視図。図6は従来の鉤状切目列からなる破断予定線によるジッパー帯部を用いたカートンの説明用斜視図。図7(a)は打ち抜き刃の代表的種類と形状を示す説明用部分側面図。(b)は本発明に係る略Y字形状切目列に片切刃を用いた構成を示す説明用斜視図である。
【0018】
図1は本発明に係る破断予定線付きカートンの実施例のブランク状態を示す展開平面図であって、板紙等シート材を打抜き加工して形成されるブランクPは、折線L1、L2、L3、L4を介して貼着板5、左側面板1、正面板2、右側面板3、背面板4を順に連設し、前記左側面板1の上部延長上には折線L5、L6を介して天面板6、差込板7が順に連設され、前記正面板2、背面板4の上部延長上にはそれぞれ折線L7、L8を介してそれぞれ耳片8、9が延設されており、前記左側面板1、正面板2、右側面板3、背面板4の下部延長上には折線L9、L10、L11、L12を介してそれぞれ底部構成板10、11、12、13が延設されている。前記正面板2の下端辺から所定の距離を隔てて平行に、2条の鉤状切目列J、J’からなる破断予定線によるジッパー帯部14が中央からそれぞれ左右両側面板に向けて刻設され、さらに前記ジッパー帯部14を形成する鉤状切目列J、J’は前記左右両側面板1、3に至って、角部からそれぞれ斜め上方へ傾斜する近接して並行する直線状基部切刃と該並行する直線状基部切刃の一端部からそれぞれ相反する側へ延設される斜線状枝部切刃とからなる略Y字形切目列K、K’に連続し、該略Y字形切目列K、K’間で前記斜線状枝部切刃を始端側として形成される傾斜ジッパー帯部15、15がそれぞれ前記左側面板1及び右側面板3の上端辺略中央部まで刻設されている。尚、左側面板1の上辺の折線L5は、前記切目列K、K’との交点間で切目線M、さらに左端折線L1との間を破断ミシン目線Nとし、また、前記底部構成板10、12のそれぞれ右端角部には折線L13、L14を介して貼着片10’、12’が延設されている。また、後述する開封後の展示に際して、背面板4の上部に延設される耳片9を、折線L8を破断ミシン目線として切除してもよい。
【0019】
図2(a)は本発明に係る破断予定線付きカートンの実施例の組立状態を示す説明用斜視図で、予め底部構成板10、11、12、13が折線L9、L10、L11、L12を用いて折り込まれると共に、折線L13、L14を折り曲げて貼着片10’、12’が前記底部構成板11、13に貼着された後、折線L2及びL4を折り畳み背面板4と貼着板5とが貼着され扁平に折り畳まれたカートンを、起立させ、内容物を充填後、天面板6を被せると共に、差込板7を差し込んで、組み立て完了した状態を示している。ちなみにカートンQは、通常、菓子や雑貨等が収納される小型のカートンや袋を、小売に対応した複数個(例えばダース単位や10個単位)で集合包装すると共に、小口での搬送・輸送に用いられ、店頭において開封され、内容物を展示可能とした展示兼用搬送カートンである。
【0020】
カートンQの開封にあたっては、先ず正面板2の下端辺から所定距離を隔てて上部に刻設され、中央から開封される従来型の鉤状切目列J、J’からなる破断予定線によるジッパー帯部14を左右方向に引き破り、連続して、本願発明に係る略Y字形状の切目列K、K’間に形成される傾斜ジッパー帯部15、15をそれぞれ左右側面板1及び3の上端辺まで引き破り、次いで、左側面板1の上端辺に刻設された切目線M及び破断ミシン目線N並びに破断ミシン目線L8を切り破ることにより、正面板2の上部及び左右両側面板1、3の前部、天面板6並びに耳片9を除去して、図2(b)では、内容物たる包装物品が正面から大きく可視状態で露出した略トレー状の展示可能状態に開封するものである。
【0021】
前記左右側面板1及び3に刻設された帯状の傾斜ジッパー帯部15、15は、それぞれ所定の間隔を隔てて配設される略Y字形状の切目列K、K’間に形成され、開封方向すなわち前記正面板に刻設された従来型の鉤状切目列J、J’からなるジッパー帯部14、14から連続し、前記左右側面板1及び3のそれぞれ下端近傍から斜め上方へ傾斜し、上端辺略中央部まで刻設されている。開封方向は前記左側面板1においては、角部下端近傍から左斜め上方へ、前記右側面板3においては、角部下端近傍から右斜め上方への方向となるが、通常この種のカートンにおいて、使用される板紙の紙目方向は、カートン胴部を形成する縦の折線すなわち実施例においては折線L1、L2、L3、L4に対し直交するので、カートンQの載置状態にあっては水平の流れとなっている。この為、傾斜ジッパー帯部15、15の開封に際しても、開封方向に対し比較的水平方向へ向いやすい傾向があり、切目列の構成要素に関しては後述するが、例えば左側面板1に刻設された傾斜ジッパー帯部15をその間に形成する略Y字形状の切目列K及びK’において、上辺の切目列Kでは、直線状基部切目の終端に作用する剪断応力の方向が水平方向となっても、ジッパー帯部内側の鉤状切目の斜線状枝部切目が受け止める位置に存在するため、剪断は次の切目に伝播することとなる。同じく下辺の切目列K’では、直線状基部切目の終端に作用する剪断応力の方向が水平方向となっても、ジッパー帯部外側の鉤状切目の斜線状枝部切目が受け止める位置に存在するため、剪断は次の切目に伝播することとなる。この作用は、右側面板3においても同様であり、ジッパー帯部中間部からの紙剥けやジッパー帯部のちぎれ等の不具合は生じない。
尚、本実施例のカートンでは、胴部を構成する両側面板を上向きに略45度の傾斜で横断するジッパー帯部が刻設されたカートンとしたが、ジッパー帯部の傾斜する角度は、これに限定されるものではなく、例えば、胴部を構成する側面板を横切るような緩やかな傾斜角度からなるジッパー帯部とすることもできる。また、同じく本実施例のカートンでは、カートンの正面板から両側へのジッパー帯部による開封方法としたが、これに限定されるものではなく、例えば、胴部の全周囲に渉るジッパー帯部を配設し、胴部構成板のいずれかから一方向での、全周のジッパー帯部の開封方法とすることもできる。
【0022】
図3(a)は従来のY字形打ち抜き刃の構成を示す説明用平面図。図3(b)は同じく従来のY字形打ち抜き刃の構成を示す説明用斜視図であって、長尺の打ち抜き刃B−1及び同じく長尺の打ち抜き刃B−2とから構成される。
長尺の打ち抜き刃B−1は、図3(b)の斜視図下段に示すように、長尺の打ち抜き刃に、打ち抜き刃の長手方向と同一方向に形成された直線状基部切刃C−1と、該直線状基部切刃に連接すると共に打ち抜き刃の長手方向に対し所定の方向に打ち抜き刃の上部を折曲部Fで折り曲げて形成された斜線状枝部切刃C−2とから構成された鉤状切刃部を、所定のピッチで打ち抜き刃の側縁に設けたもので、他方の側縁は打ち抜き型に埋設される埋め込み部D−1となっている。図3(a)の平面図において、直線状基部切刃C−1の上端の折曲部から左側に略45度の角度で折り曲げられ斜線状枝部切刃C−2とした状態が示されている。
長尺の打ち抜き刃B−2は、図3(b)の斜視図上段に示すように、長尺の打ち抜き刃に、打ち抜き刃の長手方向と同一方向に形成され前記長尺の打ち抜き刃B−1の直線状基部切刃C−1と略等しい長さで切刃部を除いた段差部E−1の一端で打ち抜き刃の長手方向に対し所定の方向に打ち抜き刃の上部を折曲部Fで折り曲げて形成される斜線状枝部切刃C−3が、前記長尺の打ち抜き刃B−1の斜線状枝部切刃C−2と等しい長さで、且つ同様のピッチで打ち抜き刃の側縁に設けたもので、他方の側縁は打ち抜き型に埋設される埋め込み部D−2となっている。図3(a)の平面図に示すように、長尺の打ち抜き刃B−2は前記長尺の打ち抜き刃B−1に並行し、且つ段差部E−1の下端の折曲部から左側に略45度の角度で折り曲げられ形成される斜線状枝部切刃C−3の先端が前記長尺の打ち抜き刃B−1の直線状基部切刃C−1上端の折曲部に接する位置に配設されることにより、長尺の打ち抜き刃B−1から形成される鉤状切刃を構成する直線状基部切刃C−1と連接する斜線状枝部切刃C−2と、長尺の打ち抜き刃B−2から形成される斜線状枝部切刃C−3とからなるY字状の切刃部を形成する。
上記の如く、長尺の打ち抜き刃B−2の製造にあたっては、斜線状枝部切刃C−3の形成のため、打抜き工程において切刃部がブランクに当接しないよう段差部E−1を設ける必要があり、加工前の打ち抜き刃に存在する切刃部を除く加工工程と加工時間を要する。
【0023】
上記、従来のY字形状打ち抜き刃の構成に対し、図4(a)及び(b)は、本発明に係る略Y字形状の切目列の打ち抜き刃の構成を示す説明用平面図及び説明用斜視図で、長尺の打ち抜き刃B−1と同じく長尺の打ち抜き刃B−4とから構成される。
長尺の打ち抜き刃B−1の構成は、前述の図3にて説明した通りであるが、長尺の打ち抜き刃に、打ち抜き刃の長手方向と同一方向に形成された直線状基部切刃C−1と、直線状基部切刃に連接すると共に打ち抜き刃の長手方向に対し所定の方向に打ち抜き刃の上部を折曲部Fで折り曲げて形成された斜線状枝部切刃C−2とから構成された鉤状切刃部を、所定のピッチで打ち抜き刃の片側に設けたもので、他方の側は打ち抜き型に埋設される埋め込み部D−1となっている。平面図において、直線状基部切刃C−1の上端の折曲部から左側に略45度の角度で折り曲げられ斜線状枝部切刃C−2とした状態が示されている。
長尺の打ち抜き刃B−4の構成は、図4(b)の斜視図上段に示すように、長尺の打ち抜き刃に、打ち抜き刃の長手方向と同一方向に形成された直線状基部切刃C−5と、該直線状基部切刃に連接すると共に打ち抜き刃の長手方向に対し前記長尺の打ち抜き刃B−1の斜線状枝部切刃C−2と逆の方向に打ち抜き刃の上部を折曲部Fで折り曲げて形成された斜線状枝部切刃C−6とから構成された鉤状切刃を、前記長尺の打ち抜き刃B−1と同一のピッチで打ち抜き刃の側縁に設けたもので、他方の側縁は打ち抜き型に埋設される埋め込み部D−4となっている。図4(a)の平面図に示すように、長尺の打ち抜き刃B−1と長尺の打ち抜き刃B−4とは密接もしくは極めて近接して並行に配設され、同一のピッチにて両者がそれぞれ直線状基部切刃C−1と斜線状枝部切刃C−2、直線状基部切刃C−5と斜線状枝部切刃C−6で形成する背中合わせ状態の鉤状切刃部による略Y字形状の打ち抜き刃を形成する。
上記の如く、本発明に係るカートン用の略Y字形状の切目列からなる打ち抜き刃の構成は、用いられる打ち抜き刃がいずれも長尺の打ち抜き刃の加工により形成されるので、打ち抜き型への埋め込み部が大きく、大量の打ち抜き加工によっても、打ち抜き刃の固定が安定しており、脱落等の支障が発生しない。また、破断予定線の直線状基部切目の終端に作用する剪断応力の方向が水平方向となっても、ジッパー帯部両側の斜線状枝部切目が受け止める位置に存在するため、剪断は次の切目に伝播することとなり、次に配設される切目部への開封を容易に伝播させることができる。
【0024】
図4(c)は、本発明に係る略Y字形状の切目列の説明用平面図で、略Y字形状に形成された切目は、前項で説明のように、直線状基部切刃C−1と斜線状枝部切刃C−2、直線状基部切刃C−5と斜線状枝部切刃C−6で形成する背中合わせ状態の鉤状切刃部による略Y字形状の打ち抜き刃により形成されており、一方の鉤状切目部すなわち直線状基部切目と該直線状基部切目の一端部から直線的に延設された斜線状枝部切目とにより形成される角度αは、95°〜165°の範囲にあることが好ましく、望ましくは135°〜150°である。また、直線状基部切目の終端Gから次の斜線状枝部切目までの最短距離βに対して、直線状基部切目の長さγは1〜4倍の範囲にあることが好ましく、望ましくは2〜3倍である。
前記角度αが小さ過ぎ或いは前記最短距離βが大き過ぎると、直線状基部切目の終端Gからの剪断を次の斜線状枝部切目が受けにくくなって引き裂きが継続しない、また、前記角度αが大き過ぎ或いは前記最短距離βが小さ過ぎると、引き裂き抵抗が少なくなり開封し易くなるが、切目を設けられた部分でカートンの構成板自体の面を弱くする欠点があるので、上記の範囲内での、構成板面の強度と引き裂き抵抗のバランスの良い組み合わせによる破断予定線の設計が必要となる。
【0025】
図5(a)は本発明に係る破断予定線付きカートンの、他の実施例の組立状態を示す説明用斜視図。図5(b)は同じく本発明に係る破断予定線付きカートンの別展開例の組立状態を示す説明用斜視図。図5(c)は本発明に係る破断予定線付きカートンのさらに別展開例の組立状態を示す説明用斜視図で、
図5(a)に示すカートンRは、図1に示した展示兼用搬送カートンの、傾斜ジッパー帯部が変更されたカートンで、各面板の構成は、先に述べた図1のカートンQとほぼ同様であり省略するが、破断予定線部分は、正面板2の下端辺から所定の距離を隔てて平行に、2条の鉤状切目列J、J’からなるジッパー帯部14、14が中央からそれぞれ左右両側面板との角部に至り、前記鉤状切目列J、Jは角部からそれぞれ斜め上方へ傾斜すると共に、前記鉤状切目列J’、J’は角部で、近接して並行する直線状基部切刃と該並行する直線状基部切刃の一端部からそれぞれ相反する側へ延設される斜線状枝部切刃とからなる鉤状切目列とで略Y字形状に形成され前記斜線状枝部切刃を始端側とする切目列K’、K’に連続してそれぞれ斜め上方へ傾斜し、前記鉤状切目列J、Jと前記Y字形切目列K’、K’からなる傾斜ジッパー帯部15’、15’がそれぞれ左側面板1及び右側面板3の上端辺略中央部まで刻設されている。
【0026】
上記構成のカートンRの開封にあたっては、図1に示したカートンと同様に、正面板2の下端辺から所定距離を隔てて刻設され、中央から開封される従来型の鉤状切目列J、J’からなるジッパー帯部14、14を左右水平方向に引き破りそれぞれ両側辺に至り、連続して、上辺をそれぞれ鉤状切目列J、Jとし、下辺をそれぞれ略Y字形状の切目列K’、K’で形成される傾斜ジッパー帯部15’、15’で、それぞれ左右側面板1及び3の上端辺まで引き破り、次いで、図には表れないが、左側面板1の上端辺に刻設された切目M及び破断ミシン目N並びに破断ミシン目L8を切り破ることにより、正面板2の上部、左右両側面板1、3の前部、天面板6並びに耳片9を除去して、正面板及び背面板と左右両側面板で胴部構成し底部閉塞した半トレー状での展示可能状態に開封するものである。
従来例の説明でも述べたが、図1及び図6に示すような、カートンの胴部を斜めに横断するジッパー帯部で開封方向が斜め上向きの場合、ジッパー帯部を構成する各切目の終端での剪断応力の方向は、使用する人による個人的差異もあるが、比較的、紙目方向へ偏る傾向にあり、ジッパー帯部下辺の切目列の破断においては、次の切目に伝播せず、連続する開封が不能となり、例えばジッパー帯部中間部からの紙剥けやジッパー帯部の千切れ等の不都合が発生する。逆に、ジッパー帯部上辺の切目列の破断においては、ジッパー帯部を構成する各切目の終端からの剪断応力の方向が紙目方向へと偏っても、次の切目に伝播し易い傾向にあることから、上記、図5(a)に示す展開例の傾斜ジッパー帯部15’、15’のように、ジッパー帯部上辺の切目列を鉤状切目列とし、ジッパー帯部下辺の切目列を略Y字形状の切目列としたジッパー帯部を用いても、各切目終端での引き裂きが次の切目に伝播し、開封方向に沿った開封が可能となるものである。この構成により、打ち抜き型に使用する長尺の打ち抜き刃を一部省略できるので、打ち抜き型のコストを抑えることが可能となる。すなわち、傾斜ジッパー帯部のみで比較した場合、切目列を形成する打ち抜き刃の1/4を省略することが可能であり、打ち抜き刃の原材料並びに加工工程を少なくすることにより、コストを低減することが可能となる。
【0027】
図5(b)に示すカートンVは、角筒状に起立させ左右両側端部をそれぞれ糊着して直方体形状に形成される所謂シールエンドカートンにおいて、平置き状態における天面板に大きな開口部を形成する取り出し口付きカートンで、通常、チョコレート菓子やスナック菓子類が直接或は個装された個袋状態で複数個収納され、卓上に載置された状態での使用に供されるカートンである。展開平面図は省略したが、正面板20の下端中央部に穿設された平行な垂直線で形成される摘み片の両側上端より連続し、正面板20に折線を介して連設された天面板60に渉る開封領域の両側辺に、左右対称でそれぞれ外向きの湾曲線状に、開封方向を正面板から天面板方向とした略Y字形状切目列よりなる破断予定線を配設したカートンで、前記正面板20下端の摘み片からの持ち上げ開封操作により、正面板20から天面板60に渉る略楕円形状の領域を開封するものである。本実施例の如く、カートン胴部に曲線状に切目列が配設され開封される場合は、開封方向が配設されるそれぞれの位置の切目において変化するため、紙目方向や使用する人の個人的差異、カートンの保持状態等、様々な条件変化により、ジッパーラインを外れることがあるが、開封部の湾曲線に、本発明に係る打ち抜き刃からなる略Y字形状の切目列を用いることにより、安定的且つ整然とした開封方向に沿った開封が可能となるものである。尚、本展開例では開封部を湾曲線状としたが、例えば、開封方向が配設されるそれぞれの位置の切目において変化するものとして、多角形状の開口部を形成するカートンにおいても、同様の効果を得ることができる。
また、上記の説明では、左右両側端部が糊着されるシールエンドカートンとしたが、これに限定されるものではなく、左右両側端部が差し込み付き蓋で閉塞される所謂タックインカートン形式のカートンでも上記開封形態を施すことが可能であり、また、胴部周囲を構成する筒状で底部を閉塞する構造からなり、天面を閉塞構成する天面板に上記開封形態を施すことも可能である。さらに、ティッシュペーパー等薄葉紙の集積包装箱の天面板開口部の開封に用いることも出来る。
【0028】
図5(c)に示すカートンWは、角筒状に起立させ上下両端部をそれぞれ糊着して直方体形状に形成される所謂シールエンドカートンにおいて、カートン上端に形成される蓋部が仰開する、いわゆるヒンジリッドカートンであって、通常、棒状のチョコレート菓子等が直接或は個装された個袋状態で複数個収納され、保持した状態で使用に供されるハンディタイプのスナック菓子用のカートンで、展開平面図は省略したが、カートン胴部を構成する正面板200を水平に横断する略Y字形状の切目列からなる破断予定線よりなるジッパー帯部を引き裂いた後、ジッパー帯部の両側上端から左右両側面板100、300(図には表れない)を斜めに横断する破断ミシン目線を切り離し、該破断ミシン目線の両端間を結んで背面板400(図には表れない)を横断するヒンジ用折線で折り曲げることにより、カートン上端の蓋部が仰開する。このようにジッパー帯部がカートン胴部を水平に横断する場合は、破断予定線を構成する各切目の終端からの剪断応力の方向が、一般的には紙目に沿って水平に、或いはジッパー帯部の引き上げ操作により両端から内向きに働き、従来の鉤状切目列からなる破断予定線よりなるジッパー帯部による引き裂きが可能であるが、逆に使用する人の個人的差異や、カートンの保持状態により、却ってジッパーラインを外れることがあり、図のように、上下辺に本発明に係る打ち抜き刃構造を用いた略Y字形状の切目列による破断予定線よりなるジッパー帯部を用いれば、開封方向に沿った開封が可能となるものである。
上記展開例のカートンでは、正面板にジッパー帯部を設け、ジッパー帯部開封の後、上端の蓋部構造により開口される形式としたが、これに限定されるものではなく、筒状カートンの四周の面板に亘るジッパー帯部を設け、四周を分断する形式のカートンに使用することもできるし、上下両端部の糊着閉塞部の一方にジッパー帯部を設けて、端部を開口する形式としても良いし、例えばラップフィルム用カートン等に用いられる被せ蓋部の糊着部分のような長尺に渉る開封部分に用いることもできる。
【0029】
図7(a)は打ち抜き刃の代表的種類と形状を示す説明用部分側面図。図7(b)は本発明に係る略Y字形状切目列に片切刃を用いた構成を示す説明用斜視図であるが、打ち抜きに用いる打ち抜き刃は、カートン製造に用いられる紙質や紙厚、或いは製造ロット数などにより、図7(a)に示す打ち抜き刃形状から使用する種類が選択されるものであって、図3、図4に示したように、両刃のものが一般に使用される。本発明に係るカートン用打ち抜き刃の略Y字形状の切目列は、図4に示したように両刃の打ち抜き刃を使用して直線状基部切刃を密接させた場合、それぞれの切刃の先端間は0.7mmの空隙が生じ、図1、図2(a)及び図5(a)(b)(c)の展開平面図や斜視図に現われるように、2条の切目が打ち抜き形成される。先述のように、略Y字形状の切目列の働きにより、開封方向への連続した切り破りが可能となるが、前記2条の並行する切目により、まれに一部分で2条の切目間での層間剥離が発生し、見栄えを悪くする場合がある。
図7(b)に示す、片切刃を用いた略Y字形状の打ち抜き刃の構成(符号は省略)は、それぞれ長尺の片切刃の打ち抜き刃を用い、直線状基部切刃部分を片切刃の刃先の無い面同士で背中合わせに密接もしくは密着させて構成し、それぞれ同じ側の一端を相反する方向へ折り曲げて斜線状枝部切刃を形成して、Y字形状の切目部を構成するものであり、これを直線状基部切刃の直線の延長方向に連続して切目列を構成する打ち抜き刃の構造であって、密接もしくは密着した直線状基部切刃部分の切刃の先端間は、設計上は0.2mmの空隙を生じるものであるが、実作業の打ち抜き工程においては、1条の切目に打ち抜かれ、該1条の切目の一端からそれぞれ連続する斜線状枝部切目が形成されることとなり、、打ち抜きによりカートン表面上には折り曲げ部に不連続部分の無いY字形状切目が形成されることとなる。
上記構成により、切目列の終端からの切り破りを受け止めた斜線状枝部切目は連続して直線状基部切目に継続し、不連続部分による破断の不連続という不具合を発生することがない。また、両刃の打ち抜き刃による略Y字形状の打ち抜き刃の構成のように、密接する直線状基部切刃間の空隙での層間剥離の発生がなく、見栄えを損うことが無い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る破断予定線付きカートンの実施例のブランク状態を示す展開平面図。
【図2】(a)同じく実施例の組立状態を示す説明用斜視図。 (b)同じく実施例の開封後展示状態を示す説明用斜視図。
【図3】(a)従来のY字形打ち抜き刃の構成を示す説明用平面図。 (b)同じく従来のY字形打ち抜き刃の構成を示す説明用斜視図。
【図4】(a)本発明に係る破断予定線付きカートンを構成する略Y字形状打ち抜き刃の構成を示す説明用平面図。 (b)同じく略Y字形状の打ち抜き刃の構成を示す説明用斜視図。 (c)同じく略Y字形状の切目列の説明用平面図。
【図5】(a)本発明に係る破断予定線付きカートンの、他の実施例の組立状態を示す説明用斜視図。 (b)本発明に係る破断予定線付きカートンの別展開例の組立状態を示す説明用斜視図。 (c)本発明に係る破断予定線付きカートンのさらに別展開例の組立状態を示す説明用斜視図。
【図6】従来の鉤状切目列からなる破断予定線によるジッパー帯部を用いたカートンの説明用斜視図。
【図7】(a)打ち抜き刃の代表的種類と形状を示す説明用部分側面図。 (b)本発明に係る略Y字形状切目列に片切刃を用いた構成を示す説明用斜視図。
【符号の説明】
【0031】
P ブランク
Q カートン
1、(31) 左側面板
2、(22)、(32) 正面板
3、(23) 右側面板
4、 背面板
5 貼着板
6、(26)、(36) 天面板
7 差込板
8、9 耳片
10、11、12、13 底部構成板
14 ジッパー帯部
15、15’ 傾斜ジッパー帯部
J、J’ 鉤状切目列
K、K’ 略Y字形状切目列
L1〜L7、L9〜Ll4 折線
L8 破断ミシン目線
M 切目線
N 破断ミシン目線
B−1、B−2、B−4 長尺の打ち抜き刃
C−1、C−5 直線状基部切刃
C−2、C−3、C−6 斜線状枝部切刃
D−1、D−2、D−4 埋め込み部
E−1 段差部
F 折曲部
G 直線状基部切目の終端
α 直線状基部切目と斜線状枝部切目との角度
β 直線状基部切目終端と斜線状枝部切目の最短距離
γ 直線状基部切目の長さ
H 従来例のカートン
R、V、W 展開例のカートン
X 内容物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートンの所定部位に断続して配設される切目列で形成した破断予定線を穿設し、該破断予定線の引き裂き破断によりカートンの所定領域を開封するカートンであって、それぞれ密接もしくは近接して並行する直線状基部切目と、該並行する直線状基部切目の同じ側の一端部からそれぞれ対称に相反する側へ直線的に折れ曲がって延設される斜線状枝部切目とで形成される略Y字形状の切目部が、前記並行する直線状基部切目の延長上に断続して配設された切目列であることを特徴とする破断予定線付きカートン。
【請求項2】
カートンの所定部位に、前記切目部の前記斜線状枝部切目を開封方向の始端側に配列し、前記直線状基部切目を開封方向の終端側に配列して、前記切目列が設けられたことを特徴とする請求項1記載の破断予定線付きカートン。
【請求項3】
カートンの所定部位に、前記切目部を直線状に配列し、前記切目列が直線状に設けられたことを特徴とする請求項2記載の破断予定線付きカートン。
【請求項4】
カートンの所定部位に、前記切目部を曲線状に配列し、前記切目列が曲線状に設けられたことを特徴とする請求項2記載の破断予定線付きカートン。
【請求項5】
直線状基部切目と該直線状基部切目の一端部から直線的に延設される斜線状枝部切目とによって形成される角度が、95°〜165°であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の破断予定線付きカートン。
【請求項6】
前記切目列が所定の間隔を隔てて平行する2条からなる帯状に構成されたジッパー帯部であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の破断予定線付きカートン。
【請求項7】
前記略Y字形状の切目部を形成する打ち抜き刃がそれぞれ片切刃の打ち抜き刃からなり、且つ前記並行する直線状基部切目部分において前記片切刃の刃先の無い面同士を密着させた構成としたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の破断予定線付きカートン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−30628(P2010−30628A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−194304(P2008−194304)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】