説明

硬化性樹脂組成物及びその用途

【課題】光半導体封止材および光半導体接着剤として用いられる熱硬化性樹脂組成物の提供。
【解決手段】イソシアヌル環に結合したジアルキルシロキサンオリゴマーを繰り返し単位とする重量平均分子量が1,000〜1,000,000のイソシアヌル環含有重合体、SiーH結合を含有したポリシロキサンおよび遷移金属を有する硬化触媒からなる、熱硬化性樹脂組成物。さらに該熱硬化性樹脂組成物を封止剤もしくは接着剤として用いた光半導体素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは透明性、UV耐久性、耐熱性に優れた新規なイソシアヌル環含有重合体を含む硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光半導体封止用樹脂としては、ビスフェノールAグリシジルエーテルを主剤とするエポキシ化合物が一般に用いられていたが、このようなエポキシ化合物は芳香環を有するため、青色もしくは紫外光を発光する光半導体の封止に使用するには、紫外線に対する耐久性すなわちUV耐久性が不十分であった。
そこで、光半導体封止用樹脂のUV耐久性を改良するため、脂環式エポキシ化合物を用いることが提案されているが(特許文献1参照)、依然としてUV耐久性は十分なものとはいえなかった。
一方、シロキサン骨格を有する樹脂は耐候性に優れていることが知られており、近年ではポリジメチルシロキサンを主骨格とする樹脂を光半導体封止材に用いる検討がさかんに行われている。しかしこの樹脂の場合、硬化物の硬度が不十分で、タック性を有するため埃が付着しやすかったり、配線に使用される金のワイヤーが振動により切れたり、また基板との密着性が不足して剥がれやすいなどの欠点が指摘されている。
【特許文献1】特開2003−82062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、光半導体用封止材および光半導体用接着剤などに好適に用いられるイソシアヌル環含有重合体を含む硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【0004】
本発明の他の目的は、上記イソシアヌル環含有重合体組成物を用いた光半導体用封止材または光半導体用接着剤として用いた光半導体素子を提供することにある。
【0005】
本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は第1に、
(A)下記式(1)
【0007】
【化1】

【0008】
ここで、Rは水素原子又は1価の有機基であり、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、1価の有機基であり、Rは酸素原子、メチレン基、フェニレン基または直接結合であり、そしてnは0〜20の整数である、
で表される繰り返し単位を有しそして重量平均分子量が1,000〜1,000,000のイソシアヌル環含有重合体、
(B)下記式(2)
【0009】
【化2】

【0010】
ここで、R,RおよびRは同一でも異なってもよく、水素原子または1価の有機基であり、RおよびRは1価の有機基であり、そしてp、qは、1≦p≦100、0≦q≦99を満足する数である、
で表されるポリシロキサン、および
(C)遷移金属を有する硬化触媒からなることを特徴とする硬化性樹脂組成物により達成される。
【0011】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第2に、
本発明の上記硬化性樹脂組成物を封止材または接着剤として用いてなる光半導体素子により達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光半導体の封止材または接着剤に好適に用いられ、その他にも種々の成形品、塗料等にも用いられる熱硬化性樹脂組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0014】
(A)成分
イソシアヌル環含有重合体
本発明のイソシアヌル環含有重合体は、上記式(1)で表される繰り返し単位を有しそして重量平均分子量が1,000〜1,000,000である。
上記(1)中、Rは水素原子又は1価の有機基であり、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、1価の有機基であり、Rは酸素原子、メチレン基、フェニレン基または直接結合であり、そしてnは0〜20の整数である。
としては、例えば水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基またはエポキシ基を含む1価の有機基が好ましい。
炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基が好ましい。炭素数6〜20のアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基が好ましい。エポキシ基を含む1価の有機基としては式(3)で表わされるグリシジル基が好ましい。
【0015】
【化3】

【0016】
およびRとしては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基またはグリシジル基が好ましく、これらのうち、メチル基、エチル基、フェニル基、グリシジル基が好ましい。
としては酸素原子が好ましい。
イソシアヌル環含有重合体の重量平均分子量は1,000〜1,000,000であり、好ましくは1,000〜100,000である。
イソシアヌル環含有重合体は、例えば下記式(4)で表わされるN,N’,N’’−トリ置換イソシアヌル酸および下記式(5)で表わされるシロキサン化合物とをヒドロシリル化反応せしめることにより得ることができる。
【0017】
【化4】

【0018】
式(4)中のRの定義および式(5)中のR、R、Rおよびnの定義は上記に同じである。反応には、式(4)の化合物1当量に対し、式(5)の化合物を0.2〜1.0当量、好ましくは0.5〜0.99当量用いることができる。式(4)のN,N’,N’’−トリ置換イソシアヌル酸を多く仕込むことで末端にアリル基を多く含むイソシアヌル環重合体を作ることができる。末端にアリル基が残っているほど(B)成分とのヒドロシリル化反応による架橋密度を上げることができる。
【0019】
重合触媒として、例えば白金、ロジウムまたはパラジウムを含む化合物を用いることができる。中でも白金を含む化合物が好ましい。具体的にはヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物、白金カルボニルビニルメチル錯体、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体、白金−オクチルアルデヒド/オクタノール錯体を用いることができる。また、活性炭に担持された白金を用いることもできる。触媒の量は、金属として式(5)の化合物に対し、好ましくは0.01〜10,000ppm、より好ましくは0.1〜100ppm用いることができる。
【0020】
溶剤は必要に応じて加えることができる。かかる溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、メシチレン、ジエチルベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、ジフェニルエーテルなどを用いることができる。
反応温度は、例えば室温〜250℃であり、好ましくは50〜180℃である。反応時間は、例えば0.1〜120時間、好ましくは1〜10時間である。
得られるイソシアヌル環含有重合体は、後述する各光半導体封止用組成物や光半導体用接着剤における主体成分として極めて好適に使用することができるほか、例えば、成型品、フィルム、ラミネート材、塗料、保護膜等としても有用である。
【0021】
(B)成分
下記式(2)で表されるポリシロキサン
【0022】
【化5】

【0023】
ただし、R,RおよびRは同一でも異なってもよく、水素原子または1価の有機基であり、RおよびRは1価の有機基であり、p、qは繰り返し単位の比率を表し、1≦p≦100、0≦q≦99を満足する数である。
、R,Rとしては、例えば水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、特にメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、フェニル基、トリル基が好ましい。さらに好ましくは水素原子、メチル基、フェニル基である。
,Rとしては、例えば炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基またはエポキシ基が好ましく、特にメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、フェニル基、トリル基が好ましい。さらに好ましくはメチル基、フェニル基である。
1≦p≦100、0≦q≦99であるが、好ましくは10≦p≦100、0≦q≦90である。式(2)のポリシロキサンの重量平均分子量は、好ましくは500〜100,000、より好ましくは、1000〜10,000である。
【0024】
(C)成分
遷移金属を有する硬化触媒としては、例えば白金、ロジウムまたはパラジウムを含む化合物を好ましく用いることができる。中でも白金を含む化合物が特に好ましい。具体的にはヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物、白金カルボニルビニルメチル錯体、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体、白金−オクチルアルデヒド/オクタノール錯体を挙げることができる。なお、(A)成分のイソシアヌル環含有重合体の中に含まれる残留触媒も硬化触媒として十分作用するため、(A)成分が(C)成分と同じ硬化触媒を含有するときには、(C)成分は必ずしも後から添加する必要はない。
(A)、(B)および(C)成分の好ましい組成比は(A)成分100重量部に対し、(B)成分が5〜200重量部でありそして(C)成分は(A)成分に対して0.1〜100ppmであることが好ましい。
【0025】
−他の添加剤−
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物には、リードフレームとの密着性を上げる目的で密着助剤をさらに添加することもできる。密着助剤としては、例えばβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ドデカンジチオール、式(6)および(7)のそれぞれで表される化合物。
【0026】
【化6】

【0027】
また、式(8)および(9)のそれぞれで表されるようなチタネート系密着助剤を使用することもできる。
【0028】
【化7】

【0029】
これらの中でもβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ドデカンジチオール、式(6)および(7)のそれぞれで表される化合物が好ましい。
【0030】
密着助剤の添加量は、(A)成分100重量部に対し、好ましくは0.01〜30重量部、より好ましくは0.1〜20重量部である。
さらに、クラックやリードフレームとの剥離を防ぐ目的で応力緩和剤を添加することもできる。応力緩和剤としては、例えばエポキシ変性シリコーン、カルボキシル基変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、両末端カルボキシ変性水添ポリブタジエンおよび両末端ヒドロキシ変性ポリブタジエンを挙げることができる。
【0031】
エポキシ変性シリコーンとして例えばKF−105,X−22−163A,X−22−163B,X−22−163C、KF−1001、KF−101、X−22−2000、X−22−169AS、X−22−169B、KF−102(以上信越化学工業(株)製)、SF8421(東レダウ(株)製)、カルボキシル基変性シリコーンとしてX−22−162C、X−22−3701E、X−22−3710(以上信越化学工業(株)製)、メルカプト変性シリコーンとしては、例えばX−22−167B、KF−2001、KF−2004(以上信越化学工業(株)製)、両末端カルボキシ変性水添ポリブタジエンとしてCI1000(日本曹達(株)製)、両末端ヒドロキシ変性ポリブタジエンとしてGI2000、GI3000(以上、日本曹達(株)製)を挙げることができる。
【0032】
また、樹脂の表面張力を調節する目的で界面活性剤を添加することもできる。
具体的にはF−474、F−479(以上、大日本インキ工業(株)製)、FC−4430、FC−4432(以上、住友スリーエム(株)製)、KP323、KP341(以上、信越化学工業(株)製)、PAINTAD32、PAINTAD54、DK8−8011(東レダウ(株)製)、エマルゲン104P、エマルゲン109P、エマルゲン123、レオドール8P(以上、花王(株)製)を挙げることができる。
【0033】
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、UV耐久性をさらに向上させ、また粘度の調整等の目的で、必要に応じて、無機酸化物粒子を配合することもできる。
前記無機酸化物粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、Si、Al、Zr、Ti、Zn、Ge、In、Sn、SbおよびCeの群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する酸化物からなる粒子を挙げることができる。より具体的には、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウム−スズ酸化物(ITO)、酸化アンチモン、アンチモン−スズ酸化物(ATO)、酸化セリウム等の粒子を挙げることができる。
【0034】
これらの無機酸化物粒子のうち、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化アンチモン等の微粒子が好ましい。
また、前記無機酸化物粒子は、アルキル化、ポリシロキシル化、(メタ)アクリロキシアルキル化、グリコキシアルキル化、アミノアルキル化等の表面処理を適宜施して使用することもできる。
前記無機酸化物粒子は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
無機酸化物粒子の一次平均粒径は、好ましくは100nm以下、より好ましくは1〜80nmである。無機酸化物粒子の一次平均粒径が100nmを超えると、得られる硬化物の透明性が損なわれるおそれがある。
無機酸化物粒子の使用量は、(A)ポリオルガノシロキサン100重量部に対して、好ましくは90重量部以下、さらに好ましくは80重量部以下である。無機酸化物粒子の使用量が90重量部を超えると、組成物が増粘して、加工が困難になるおそれがある。
前記無機酸化物粒子は、場合により、適当な溶媒に分散した分散液として使用することもできる。
【0035】
前記溶媒としては、熱硬化性樹脂組成物を構成する各成分および硬化反応に対して不活性で、適度の揮発性を有する限り特に限定されるものではない。例えば、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−ブタノール、n−オクタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピルグリコールモノメチルエーテル、プロピルグリコールモノエチルエーテル等のアルコール;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;
酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステルまたはラクトン;
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミドまたはラクタム
等を挙げることができる。
【0036】
これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
無機酸化物粒子の分散液の固形分濃度は、好ましくは1〜60重量%、より好ましくは5〜50重量%である。
さらに必要に応じて、無機酸化物粒子と共に、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、高分子分散剤等の分散剤を1種以上併用することができる。
無機酸化物粒子やその分散液は市販されており、これらの市販品を使用することもできる。
【0037】
無機酸化物粒子やその分散液の市販品(商品名)としては、例えば、シリカ粒子の分散液として、メタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−C、ST−N、ST−O、ST−OL、ST−20、ST−40、ST−50(以上、日産化学工業(株)製);オルガノゾルPL−2PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液、扶桑化学工業(株)製)等を、シリカ粒子として、アエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50(以上、日本アエロジル(株)製);シルデックスH31、シルデックスH32、シルデックスH51、シルデックスH52、シルデックスH121、シルデックスH122(以上、旭硝子(株)製);E220A、E220(以上、日本シリカ工業(株)製);SYLYSIA470(富士シリシア(株)製)、SGフレーク(日本板硝子(株)製)等を、アルミナ粒子の分散液として、アルミナゾル−100、アルミナゾル−200、アルミナゾル−520(以上、いずれも水分散液、日産化学工業(株)製);AS−1501(i−プロパノール分散液、住友大阪セメント(株)製);AS−150T(トルエン分散液、住友大阪セメント(株)製)等を、ジルコニア粒子の分散液として、HXU−110JC(トルエン分散液、住友大阪セメント(株)製)等を、アンチモン酸亜鉛粒子の分散液として、セルナックス(水分散液、日産化学工業(株)製)等を、酸化セリウム粒子の分散液として、ニードラール(水分散液、多木化学(株)製)等を、それぞれ挙げることができる。
また、熱硬化性樹脂組成物には、硬化物の着色を抑えるために、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤や紫外線吸収剤を配合することもできる。
【0038】
前記酸化防止剤としては、商品名で、例えば、SumilizerBHT、SumilizerGM、SumilizerGS、SumilizerMDP−S、SumilizerBBM−S、SumilizerWX−R、SumilizerGA−80、SumilizerTPL−R、SumilizerTPM、SumilizerTPS、SumilizerTP−D(以上、住友化学工業(株)製);Irganox1076、Irganox565、Irganox1520、Irganox245、Irganox1010、Irganox1098、Irganox1330、Irganox1425、Irganox3114、IrganoxMD−1024(以上、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製);Cyanox1790(Cytec社製);TNP(四日市合成(株)製);Weston618(Vorg Warner社製);Irgafos168(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製);AdekastabPEP−36、AdekastabHP−10(以上、旭電化工業(株)製)や、SandstabP−EPQ、Ultranox626等を挙げることができる。
【0039】
前記光安定剤としては、商品名で、例えば、Viosorb04(共同薬品(株)製);Tinuvin622、Tinuvin765(以上、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製);CyasorbUV−3346(Cytec社製);AdekastabLA−57(旭電化工業(株)製)や、Chimassorb119、Chimassorb944等を挙げることができる。
前記紫外線吸収剤としては、商品名で、例えば、Viosorb80、Viosorb110、Viosorb130、Viosorb520、Viosorb583、Viosorb590(以上、共同薬品(株)製);TinuvinP、Tinuvin213、Tinuvin234、Tinuvin320、Tinuvin326、Tinuvin328(以上、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製);AdekastabLA−31(旭電化工業(株)製)等を挙げることができる。
【0040】
さらに、熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の所期の効果を損なわない範囲で、エチレングリコールやプロピレングリコール等の脂肪族ポリオール、脂肪族または芳香族のカルボン酸、フェノール化合物等の炭酸ガス発生防止剤;ポリアルキレングリコール、ポリジメチルシロキサン誘導体等の応力緩和剤;各種のゴムや有機ポリマービーズ等の耐衝撃性改良剤のほか、可塑剤、滑剤、他のシランカップリング剤、難燃剤、帯電防止剤、レベリング剤、イオントラップ剤、摺動性改良剤、遥変性付与剤、表面張力低下剤、消泡剤、沈降防止剤、抗酸化剤、離型剤、蛍光剤、着色剤、導電性充填剤等の前記以外の添加剤を配合してもよい。
【0041】
粘度を調節する目的で有機溶剤を添加してもよい。例えばメタノール、エタノール、i−プロパノール、n−ブタノール、n−オクタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピルグリコールモノメチルエーテル、プロピルグリコールモノエチルエーテル等のアルコール;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン等のケトン;
酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステルまたはラクトン;
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミドまたはラクタム
等を挙げることができる。
熱硬化性樹脂組成物の調製方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法により各成分を混合して調製することができる。
【0042】
光半導体封止材
本発明の熱硬化性樹脂組成物は光半導体用封止材として用いることができる。
光半導体封止材を形成する際には、光半導体層を有する基板の所定箇所に、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、例えば、塗布、ポッティング、含浸等により施工したのち、加熱して硬化させる。
組成物のより具体的な施工方法としては、例えば、ディスペンサーによる塗布またはポッティング、真空下または常圧下におけるスクリーン印刷による塗布、反応射出成型等の公知の方法を採用することができる。
また、施工後の各光半導体封止用組成物を硬化させる方法としては、例えば、密閉式硬化炉、連続硬化が可能なトンネル炉等の従来公知の硬化装置を用いることができる。
【0043】
硬化させるための加熱方法としては、例えば、熱風循環式加熱、赤外線加熱、高周波加熱等の従来公知の方法を採用することができる。
硬化条件は、例えば、80〜250℃で30秒〜15時間程度が好ましい。硬化に際して、硬化物の内部応力を低減させることを目的とする場合は、例えば80〜120℃で0.5〜5時間程度の条件で予備硬化させたのち、例えば120〜180℃で0.1〜15時間程度の条件で後硬化させることが好ましく、また短時間硬化を目的とする場合は、例えば150〜250℃で30秒〜30分程度の条件で硬化させることが好ましい。
【0044】
光半導体用接着剤
本発明の熱硬化性樹脂組成物は光半導体用接着剤として用いることができる。
【0045】
リードフレームに本発明の光半導体封止用接着剤をスタンピングなどの方法で塗布し、LEDチップをのせて50〜250℃のオーブンで30分〜4時間加熱して接着させることができる。
【実施例】
【0046】
以下に実施例を示して、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0047】
Mwの測定方法:カラム:東ソー製TSKgelGRCXLH、溶剤:テトラヒドロフラン、温度:40℃、圧力:68kgf/cm
光半導体封止用組成物の成型治具と硬化条件、並びに硬化物の外観、UV耐久性および硬度の評価要領は、下記のとおりである。
【0048】
成型治具:
ポリエチレンテレフタレートフィルムを表面に貼り付けたガラス板2枚を対向させ、ガラス板の端部に直径2mmのシリコンゴムロッドをU字状にして挟み込んで、成型治具とした。
【0049】
硬化条件:
ガラス基板に光半導体封止用組成物を流延し、170℃のオーブンで1.5時間加熱して硬化させて膜厚約1mmの硬化物を得た。
【0050】
透明性の評価要領:
硬化物を分光光度計にて測定した。

○・・・(470nmでの光線透過率)≧90%
×・・・(470nmでの光線透過率)<90%
【0051】
UV耐久性の評価要領:
硬化物に対して、紫外線ロングライフフェードメーター(スガ試験機(株)製)を用い、紫外線(UV)を63℃で2週間連続照射して、照射前後における波長470nmでの透過率を分光光度計にて測定した。

○・・・(照射後の透過率)/(初期透過率)≧0.9
×・・・(照射後の透過率)/(初期透過率)<0.9
【0052】
耐熱性:
硬化物の初期および150℃のオーブンに120時間放置した後の470nmでの透過率を測定した。

○・・・(照射後の透過率)/(初期透過率)≧0.9
×・・・(照射後の透過率)/(初期透過率)<0.9
【0053】
クラック・剥離の評価要領:
半導体封止用組成物をリードフレームに注入し、170℃で1.5時間硬化させたサンプルを10個作成した。このサンプルを−50〜100℃のヒートサイクル200回繰り返した後に顕微鏡にてクラック・剥離を観察した。
クラック・剥離があるサンプルが10個中0個 ・・・◎
クラック・剥離があるサンプルが10個中1〜5個・・・○
クラック・剥離があるサンプルが10個中6個以上・・・×
【0054】
接着性:
リードフレームに光半導体封止用接着剤を塗布し、サファイアのチップを乗せて170℃のオーブンで1.5時間加熱し接着試験サンプルとし20個作成した。次に接着試験サンプルを150℃のホットプレート上に置き、ピンセットでつついたときの剥がれを生じた接着試験サンプルの数を数えた。
◎・・・剥がれた接着試験サンプル=0個
○・・・剥がれた接着試験サンプル1個または2個
×・・・剥がれた接着試験サンプル≧3個
【0055】
合成例1
温度計、冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた1Lの三口フラスコに、ジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸50.0g、2%白金−ジビニルテトラメチルジシロキサンキシレン溶液10μLおよび末端水素ジメチルシロキサンオリゴマー(DMS−H03としてゲレスト社より入手)94.2gを加えて150℃で5時間反応させて透明粘調液を得た。GPCにて測定した重量平均分子量は32,000であった。
【0056】
【化8】

【0057】
実施例1(光半導体封止材評価および接着剤評価)
合成例1で得たイソシアヌル環重合体100重量部に対しSi−H含有シリコーンオリゴマー(HMS−501としてゲレスト社より入手)14重量部を添加し、均一に混ぜ、脱泡後、硬化を行いUV耐久性、耐熱性、クラック・剥離評価を行った。結果を表1に示す。
HMS−501はSi−H含量50〜55mol%、分子量900〜1,200である。
【0058】
比較例1
YX8000 90重量部、CE2021 10重量部、MH700 90重量部を均一に混ぜ、脱泡後、硬化を行いUV耐久性、耐熱性、クラック・剥離評価を行った。結果を表1に示す。
【0059】
比較例2
YX8000 90重量部、CE2021 10重量部、式(10)の熱酸発生剤0.2重量部を添加し、均一に混ぜ、脱泡後、硬化を行いUV耐久性、耐熱性、クラック・剥離評価を行った。結果を表1に示す。
YX8000(商品名、ジャパンエポキシレジン(株)製):
CE2021(商品名、ダイセル化学工業(株)製):
【0060】
【化9】

【0061】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記式(1)
【化1】

ここで、Rは水素原子又は1価の有機基であり、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、1価の有機基であり、Rは酸素原子、メチレン基、フェニレン基または直接結合であり、そしてnは0〜20の整数である、
で表される繰り返し単位を有しそして重量平均分子量が1,000〜1,000,000のイソシアヌル環含有重合体、
(B)下記式(2)
【化2】

ここで、R,RおよびRは同一でも異なってもよく、水素原子または1価の有機基であり、RおよびRは1価の有機基であり、そしてp、qは、1≦p≦100、0≦q≦99を満足する数である、
で表されるポリシロキサン、および
(C)遷移金属を有する硬化触媒からなることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
上記式(1)においてRが水素原子、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基またはグリシジル基であり、RおよびRは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基またはグリシジル基であり、Rが酸素原子である請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物を封止材として用いてなる光半導体素子。
【請求項4】
請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物を接着剤として用いてなる光半導体素子。

【公開番号】特開2008−150506(P2008−150506A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340296(P2006−340296)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】