説明

硬化性着色組成物、カラーフィルタ及びその製造方法、液晶表示装置、固体撮像素子、並びに、色素化合物

【課題】耐熱性に優れ、マゼンタ領域の光を透過しシアン領域の光を吸収する硬化性着色組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式で表される色素化合物を含有する硬化性着色組成物。


[Zは窒素原子または−C(R1)−;R1はアリール基、アルキル基、シアノ基、水素原子等:Q1は窒素原子または−C(R14)−;Q2は窒素原子または−C(R24)−;Yは、アニオンを構成する原子または原子団を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性着色組成物、該硬化性着色組成物を用いたカラーフィルタ及びその製造方法、該硬化性着色組成物を用いた液晶表示装置と固体撮像素子、並びに、該硬化性着色組成物に用いる色素化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラーフィルタは、有機顔料や無機顔料を分散させた顔料分散組成物と、多官能モノマー、重合開始剤、アルカリ可溶性樹脂、及び必要に応じその他の成分とを含有することにより着色組成物とし、これを用いてフォトリソグラフィ法、インクジェット法などによって着色パターンを形成することで製造されている。
【0003】
近年、カラーフィルタは、液晶表示素子(LCD)用途においてモニターのみならずテレビ(TV)へと用途が拡大する傾向にある。この用途拡大の傾向に伴い、カラーフィルタには、色度、コントラストなどにおいて高度の色特性が要求されるに至っている。また、イメージセンサ(固体撮像素子)用途のカラーフィルタにおいても、同様に色ムラの低減、色分解能の向上など色特性の更なる向上が求められるようになっている。
【0004】
ところが、従来の顔料分散系では、顔料の粗大粒子による散乱の発生、分散安定性不良による粘度上昇等の問題が起きやすく、コントラスト、輝度をさらに向上させることは困難であることが多い。
【0005】
そこで、従来から着色材としては、顔料だけでなく、染料を用いることが検討されている(例えば、特許文献1参照)。着色剤として染料を使用すると、染料自体の色純度やその色相の鮮やかさにより、画像表示させたときの表示画像の色相や輝度を高めることができ、かつ粗大粒子がなくなるためコントラストを向上させられる点で有用とされている。
【0006】
染料の例としては、アリールメタン系色素、ジピロメテン系染料、ピリミジンアゾ系染料、ピラゾールアゾ系染料、キサンテン系染料など、多種多様な色素母体を持つ化合物が知られている(例えば、特許文献2〜4参照)。アリールメタン系染料については、青色カラーフィルタへの応用例が知られている(例えば、特許文献5〜8参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−75375号公報
【特許文献2】特開2008−292970号公報
【特許文献3】特開2007−039478号公報
【特許文献4】特許第3387541号
【特許文献5】特開2008−304766号公報
【特許文献6】特開2010−204132号公報
【特許文献7】特開2010−83912号公報
【特許文献8】特開2010−256598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来提供されているアリールメタン染料は、緑色カラーフィルタとしての用途を想定した場合、シアン色素としては吸収が短波長であり、利用性が大幅に制限されるという課題があった。また、アリールメタン染料は、耐熱性が劣るものが多く、染料を用いて製品を製造する際の加熱工程に制約を受けたり、染料を用いた製品の耐久性に問題が生じたりするという課題があった。
本発明は、このような従来技術がかかえる課題に鑑みなされたものであり、耐熱性があって、マゼンタ領域の光を透過しシアン領域の光を吸収する着色組成物並びにカラーフィルタ及びその製造方法、表示画像の彩色が鮮やかで高いコントラストを示す液晶表示装置及び固体撮像素子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討を進めた結果、特定の構造を有する色素化合物を用いれば、アリールメタン構造を有していながら耐熱性に優れ、また、マゼンタ領域の光を透過しシアン領域の光を吸収するという好ましい吸収波長特性を有する硬化性着色組成物を提供しうることを見出し、本発明を提供するに至った。すなわち、前記課題を達成するための具体的手段として、以下の本発明を提供する。なお、以下に記載される一般式中に存在する破線は、環状構造を形成していても良いことを意味するものである。
【0010】
<1> 下記一般式(A)で表される色素化合物を含有することを特徴とする硬化性着色組成物。
【化1】

[一般式(A)において、Zは、窒素原子、または−C(R1)−を表す。R1は、置換基を有していても良いアリール基、ハロゲン原子が置換していても良いアルキル基、シアノ基、水素原子、または置換基を有していてもよい芳香族環を表す。Q1は、窒素原子、または−C(R14)−を表す。Q2は、窒素原子、または−C(R24)−を表す。R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R11、R13、R14、R21、R22、R23およびR24は、それぞれ独立に置換基を表す。R2、R3、R4およびR5は、それぞれR12、R13、R22、R23と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。Yは、アニオンを構成する原子または原子団を表す。また、一般式(A)は下記の(1)〜(7)のいずれか1つの条件を満たす。
【0011】
(1)Zは、−C(R1)−を表す。R1は、置換基を有していても良いアリール基、ハロゲン原子が置換していても良いアルキル基、シアノ基、または水素原子を表す。Q1は、−C(R14)−を表す。Q2は、−C(R24)−を表す。R2はR12と一緒になって、置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を表す。R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R3、R4およびR5は、それぞれR13、R22、R23と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。
【0012】
(2)Zは、−C(R1)−を表す。R1は、置換基を有していても良いアリール基、ハロゲン原子が置換していても良いアルキル基、シアノ基、または水素原子を表す。Q1は、−C(R14)−を表す。Q2は、−C(R24)−を表す。R14とR24は一緒になって、置換基を有していても良いメチレン基、−O−、−SO2−、または置換基を有していても良いシリレン基を表す。R2はR12と一緒になって、置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を表す。R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R3、R4およびR5は、それぞれR13、R22、R23と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。
【0013】
(3)Zは、−C(R1)−を表す。R1は、置換基を有していても良いアリール基、ハロゲン原子が置換していても良いアルキル基、シアノ基、または水素原子を表す。Q1は、−C(R14)−を表す。Q2は、−C(R24)−を表す。R14とR24は一緒になって、−SO2−を表す。R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R2、R3、R4およびR5は、それぞれR12、R13、R22、R23と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。
【0014】
(4)Zは、窒素原子を表す。Q1は、−C(R14)−を表す。Q2は、−C(R24)−を表す。R14とR24は一緒になって、置換基を有していても良いメチレン基、−O−、−SO2−、または置換基を有していても良いシリレン基を表す。R2は置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を表す。R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R3、R4およびR5は、それぞれR13、R22、R23と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。
【0015】
(5)Zは、−C(R1)−を表す。R1は、置換基を有していても良いアリール基、ハロゲン原子が置換していても良いアルキル基、シアノ基、または水素原子を表す。Q1およびQ2は、窒素原子を表す。R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R2、R3、R4およびR5は、それぞれR12、R13、R22、R23と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。
【0016】
(6)Zは、−C(R1)−を表す。R1は、置換基を有していても良いアリール基、ハロゲン原子が置換していても良いアルキル基、シアノ基、または水素原子を表す。Q1およびQ2は、窒素原子を表し、これらの窒素原子は>M−[L]nで表される原子団と結合している。Mは、金属原子を表す。Lは、配位子を表す。nは、1〜4のいずれかの自然数を表す。R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R2、R3、R4およびR5は、それぞれR12、R13、R22、R23と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。
【0017】
(7)Zは、−C(R1)−を表す。R1は、−N(R31)(R32)で置換されている芳香族環を表す。Q1は、−C(R14)−を表す。Q2は、−C(R24)−を表す。R11とR12、R12とR2、R12とR3、R3とR13、およびR13とR14のうちの少なくとも1つの組み合わせは、一緒になって芳香族環を形成するのに必要な原子団を表す。R21とR22、R22とR4、R4とR5、R5とR23、およびR23とR24のうちの少なくとも1つの組み合わせは、一緒になって芳香族環を形成するのに必要な原子団を表す。R2、R3、R4、R5、R31およびR32は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。]
【0018】
<2>
下記一般式(1)〜(7)のいずれかで表される色素化合物を含有することを特徴とする硬化性着色組成物。
【化2】

[一般式(1)において、R101は、置換基を有していても良いアリール基、ハロゲン原子が置換していても良いアルキル基、シアノ基、または水素原子を表す。R102は、置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を表す。R103、R104およびR105は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R111、R113、R114、R121、R122、R123およびR124は、それぞれ独立に置換基を表す。R103、R104およびR105は、それぞれR113、R122、R123と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。Yは、アニオンを構成する原子または原子団を表す。]
【0019】
【化3】

[一般式(2)において、X201は、置換基を有していても良いメチレン基、−O−、−SO2−、または置換基を有していても良いシリレン基を表す。R201は、置換基を有していても良いアリール基、ハロゲンが置換基を有していても良いアルキル基、シアノ基、または水素原子を表す。R202は、置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を表す。R203、R204およびR205は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R211、R213、R221、R222およびR223は、それぞれ独立に置換基を表す。R203、R204およびR205は、それぞれR213、R222、R223と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。Yは、アニオンを構成する原子または原子団を表す。]
【0020】
【化4】

[一般式(3)において、R301は置換基を有していても良いアリール基、ハロゲン原子が置換していても良いアルキル基、シアノ基、または水素原子を表す。R302、R303、R304およびR305は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R311、R312、R313、R321、R322およびR323は、それぞれ独立に置換基を表す。R302、R303、R304およびR305は、それぞれR312、R313、R322、R323と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。Yは、アニオンを構成する原子または原子団を表す。]
【0021】
【化5】

[一般式(4)において、X401は置換基を有していても良いメチレン基、−O−、−SO2−、または置換基を有していても良いシリレン基を表す。R402は置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を表す。R403、R404およびR405は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R411、R413、R421、R422およびR423は、それぞれ独立に置換基を表す。R403、R404およびR405は、それぞれR413、R422、R423と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。Yは、アニオンを構成する原子または原子団を表す。]
【0022】
【化6】

[一般式(5)において、R501は、置換基を有していても良いアリール基、ハロゲン原子が置換していても良いアルキル基、シアノ基、または水素原子を表す。R502、R503、R504およびR505は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R511、R512、R513、R521、R522およびR523は、それぞれ独立に置換基を表す。R502、R503、R504およびR505は、それぞれR512、R513、R522、R523と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。Yは、アニオンを構成する原子または原子団を表す。]
【0023】
【化7】

[一般式(6)において、R601は置換基を有していても良いアリール基、ハロゲン原子が置換していても良いアルキル基、シアノ基、または水素原子を表す。R602、R603、R604およびR605は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R611、R612、R613、R621、R622およびR623は、それぞれ独立に置換基を表す。R602、R603、R604およびR605は、それぞれR612、R613、R622、R623と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。Mは、金属原子を表す。Lは、配位子を表す。nは、1〜4のいずれかの自然数を表す。Yは、アニオンを構成する原子または原子団を表す。]
【0024】
【化8】

[一般式(7)において、Ar701およびAr702は、それぞれ独立に、置換基を有していても良い2以上の環が縮環した芳香族環を表す。Ar703は、置換基を有していても良い芳香族環を表す。R701、R702、R703、R704、R705およびR706は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。Yは、アニオンを構成する原子または原子団を表す。]
【0025】
<3> 硬化性着色組成物が、黄色色素化合物を含むことを特徴とする、前記<1>または前記<2>で示された硬化性着色組成物。
<4> モノマーと重合開始剤とを含有することを特徴とする、前記<1>〜前記<3>のいずれか1つで示された硬化性着色組成物。
<5> 前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載の硬化性着色組成物を用いた着色層を形成して作製されたカラーフィルタ。
<6> 前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載の硬化性着色組成物を支持体上に塗布し、着色層を形成する工程と、形成された前記着色層をパターン状に露光する工程を有するカラーフィルタの製造方法。
<7> 前記<5>に記載のカラーフィルタ、又は前記<6>に記載のカラーフィルタの製造方法により作製されたカラーフィルタを備えた液晶表示装置。
<8> 前記<5>に記載のカラーフィルタ、又は前記<6>に記載のカラーフィルタの製造方法により作製されたカラーフィルタを備えた固体撮像素子。
<9> 前記一般式(5)で表される構造をもつ化合物。
<10> 前記一般式(6)で表される構造をもつ化合物。
【発明の効果】
【0026】
本発明の硬化性着色組成物は、耐熱性があって、マゼンタ領域の光を透過しシアン領域の光を吸収する好ましい吸収特性を有する。また、黄色色素化合物を添加する等により、グリーン用途として特に効果が高い硬化性着色組成物を提供することができる。本発明によれば、色純度が高く、薄層で高い吸光係数が得られ、堅牢性(特に耐熱性及び耐光性)及び電圧保持率に優れる硬化性着色組成物並びにカラーフィルタ及びその製造方法を提供することが可能である。また本発明によれば、表示画像の彩色が鮮やかで高いコントラストを示す液晶表示装置及び固体撮像素子を提供することが可能である。さらに本発明を用いれば、表示画像の彩色が鮮やかで高いコントラストを示す液晶表示装置及び固体撮像素子を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の硬化性着色組成物、本発明の硬化性着色組成物を用いたカラーフィルタ及びその製造方法、本発明の硬化性着色組成物を用いた液晶表示装置及び固体撮像素子、並びに、本発明の色素化合物について詳細に説明する。本発明の色素化合物は、前記硬化性着色組成物の着色成分としての使用が可能である。
【0028】
本発明の硬化性着色組成物に含まれる色素化合物
本発明の硬化性着色組成物に含まれる色素化合物について説明する。
本発明の硬化性着色組成物には、一般式(A)で表される色素化合物が含まれる。一般式(A)は、本願明細書中では下記の上側の構造式で表記するが、下側の構造式でも表しうるものである。一般式(A)で表される色素化合物は、アリールメタン色素化合物またはその閉環化合物であり、カチオン部分とアニオン部分が対になった色素化合物である。一般式(A)は、1価のカチオン部分と1価のアニオン部分が対になった構造を示しているが、カチオン部分とアニオン部分の電価は1価のみに限定されるものではない。一般式(A)で表される構造を有していて2価以上のカチオン部分と2価以上のアニオン部分から構成される色素化合物も一般式(A)に包含される。一般式(A)のカチオン部分の電価をm、アニオン部分の電価をnとすると、カチオン部分とアニオン部分はn:mの比で存在する。
【0029】
【化9】

【0030】
Zは、窒素原子、または−C(R1)−を表す。R1は、置換基を有していても良いアリール基、ハロゲン原子が置換していても良いアルキル基、シアノ基、水素原子、または置換基を有していてもよい芳香族環を表す。
アリール基としては、環を構成する炭素数が1〜10であるものが好ましい。例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられる。また、ヘテロ原子を含むヘテロアリール環であってもよい。環を構成するヘテロ原子は特に限定されないが、窒素原子、硫黄原子または酸素原子であることが好ましい。ヘテロアリール環の具体例としては、ピリジン環、インドール環、オキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ピロール環、キノリン環等が挙げられる。アリール環上に有していても良い置換基は、特に限定されないが、例えば後述の置換基群Aが挙げられる。なかでも、ハロゲン原子、アミノ基、アルキル基、スルホニル基、スルホンアミド基であることが好ましい。
ハロゲン原子が置換しても良いアルキル基は、直鎖状であっても、分枝状であっても、環状であってもよく、炭素数が1〜30であるものが好ましく、1〜20であるものがより好ましく、1〜6であるものが特に好ましい。置換するハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。
置換基を有していても良い芳香族環を構成するアリール基は、環を構成する炭素数が1〜10であるものが好ましい。例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられる。芳香族環は、−N(R31)(R32)で置換されているものであることが好ましく、ここで、R31およびR32は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表すことが好ましい。
【0031】
1は、窒素原子、または−C(R14)−を表す。Q2は、窒素原子、または−C(R24)−を表す。R14およびR24は、それぞれ独立に置換基を表す。置換基の種類は特に限定されないが、例えば後述の置換基群Aが挙げられる。なかでもハロゲン原子、アミノ基、アルキル基、スルホニル基、スルホンアミド基が好ましい。
【0032】
2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。アリール基は、R1におけるアリール基と同義であり、好ましい範囲も同じである。アルキル基は、直鎖状であっても、分枝状であっても、環状であってもよく、炭素数1〜20であるものが好ましく、炭素数1〜10であるものがより好ましく、炭素数1〜8であるものが特に好ましい。
【0033】
11、R12、R13、R14、R21、R22、R23およびR24は、それぞれ独立に置換基を表す。置換基の種類は特に限定されないが、例えば後述の置換基群Aが挙げられる。なかでもハロゲン原子、アミノ基、アルキル基、スルホニル基、スルホンアミド基が好ましい。
【0034】
2、R3、R4およびR5は、それぞれR12、R13、R22、R23と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。
アルキレン基の炭素数は2もしくは3であることが好ましい。アルキレン基、ビニレン基、プロペニレン基が有していても良い置換基としては、特に限定されないが、例えば後述の置換基群Aが挙げられる。なかでも、ハロゲン原子、アルキル基が好ましい。
【0035】
Yは、アニオンを構成する原子または原子団を表す。
アニオンとしては特に制限は無いが、例えば、酢酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、テトラキスペンタフルオロフェニルホウ酸イオン、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドイオン、トリストリフルオロメタンスルホニルメチドイオン、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、過塩素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、硝酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、硫酸水素イオン等を表す。これらのなかでも、有機溶剤に対する溶解性向上の観点から、テトラフェニルホウ酸イオン、テトラキスペンタフルオロフェニルホウ酸イオン、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドイオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオンが好ましく、ヘキサフルオロリン酸イオンが特に好ましい。
多価のアニオンを用いてもよい。特に制限はないが、硫酸イオン、スルホン酸基が有機物複数置換したアニオンを用いてもよい。
アニオンは色素誘導体であってもよい。例えば、Direct Blue 86等のスルホン酸の導入された色素を用いることが出来る。また、公知の顔料・染料を硫酸もしくは発煙硫酸を用いてスルホン化することで、スルホン酸が導入された色素誘導体アニオンを合成することが可能である。
【0036】
一般式(A)のアニオン部分とカチオン部分は互いに連結基を介してつながっていてもよい。この場合、アニオン部分としてはスルホン酸が好ましく、このスルホン酸はカチオン部分の芳香族環上、もしくはアルキル基上に置換していることが好ましい。
【0037】
一般式(A)は上記の(1)〜(7)のいずれか1つの条件を満たす。(1)〜(7)の各条件の詳細については、後掲の一般式(1)〜(7)において説明する。
【0038】
<置換基群A>
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル基、エチル基、iso−プロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基、アントラニル基などが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、2−エチルヘキシロキシ基などが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ基、ピラジルオキシ基、ピリミジルオキシ基、キノリルオキシ基などが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ基、2−ベンズオキサゾリルチオ基、2−ベンズチアゾリルチオ基などが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子であり、具体的にはイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、チエニル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、カルバゾリル基、アゼピニル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基などが挙げられる。)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数は1〜30、より好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜16.例えば、N,N−ジブチルスルホンアミド基、N−2−エチルヘキシルスルホンアミド基、N−s−ブチルスルホンアミド基等が挙げられる)
【0039】
本発明の硬化性着色組成物に含まれる色素化合物は、一般式(1)〜(7)のいずれかで表される構造を有するものであることが好ましい。
【0040】
一般式(1)について説明する。
【化10】

【0041】
101は、置換基を有していても良いアリール基、ハロゲン原子が置換していても良いアルキル基、シアノ基、または水素原子を表す。
アリール基としては、環を構成する炭素数が1〜10であるものが好ましい。例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられる。また、ヘテロ原子を含むヘテロアリール環であってもよい。環を構成するヘテロ原子は特に限定されないが、窒素原子、硫黄原子または酸素原子であることが好ましい。ヘテロアリール環の具体例としては、ピリジン環、インドール環、オキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ピロール環、キノリン環等が挙げられる。アリール環上に有していても良い置換基は、特に限定されないが、例えば上述の置換基群Aが挙げられる。なかでも、ハロゲン原子、アミノ基、アルキル基、スルホニル基、スルホンアミド基であることが好ましい。
ハロゲン原子が置換しても良いアルキル基は、直鎖状であっても、分枝状であって、環状であってもよく、炭素数が1〜30であるものが好ましく、1〜20であるものがより好ましく、1〜6であるものが特に好ましい。置換するハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。
【0042】
102は、置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を表す。
アルキレン基の炭素数は2もしくは3であることが好ましい。アルキレン基、ビニレン基、プロペニレン基が有していても良い置換基としては、特に限定されないが、例えば上述の置換基群Aが挙げられる。なかでも、ハロゲン原子、アルキル基が好ましい。
【0043】
111、R113、R114、R121、R122、R123およびR124は、それぞれ独立に置換基を表す。置換基の種類は特に限定されないが、例えば上述の置換基群Aが挙げられる。なかでもハロゲン原子、アミノ基、アルキル基、スルホニル基、スルホンアミド基が好ましい。
【0044】
103、R104およびR105は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。アリール基は、R101におけるアリール基と同義であり、好ましい範囲も同じである。アルキル基は、直鎖状であっても、分枝状であっても、環状であってもよく、炭素数1〜20であるものが好ましく、炭素数1〜10であるものがより好ましく、炭素数1〜8であるものが特に好ましい。
103、R104およびR105は、それぞれR113、R122、R123と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。これらは、R102と同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0045】
一般式(1)のYは、一般式(A)のYと同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0046】
一般式(2)について説明する。
【化11】

【0047】
201は、置換基を有していても良いメチレン基、−O−、−SO2−、または置換基を有していても良いシリレン基を表す。メチレン基、シリレン基が有していても良い置換基は、上述の化合物群Aから選ばれることが好ましく、アルキル基が特に好ましい。
【0048】
201はR101と同義であり、好ましい範囲も同じである。R202はR102と同義であり、好ましい範囲も同じである。R203、R204およびR205は、R103、R104およびR105と同義であり、好ましい範囲も同じである。R211、R213、R221、R222およびR223は、R111、R113、R121、R122およびR123と同義であり、好ましい範囲も同じである。Yは一般式(A)におけるYと同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0049】
一般式(3)について説明する。
【化12】

【0050】
301はR101と同義であり、好ましい範囲も同じである。R302、R303、R304およびR305は、R102、R103、R104およびR105と同義であり、好ましい範囲も同じである。R311、R312、R313、R321、R322およびR323は、R111、R113、R121、R122およびR123と同義であり、好ましい範囲も同じである。Yは一般式(A)におけるYと同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0051】
一般式(4)について説明する。
【化13】

【0052】
401はX201と同義であり、好ましい範囲も同じである。R402はR102と同義であり、好ましい範囲も同じである。R403、R404およびR405は、R103、R104およびR105と同義であり、好ましい範囲も同じである。R411、R413、R421、R422およびR423は、R111、R113、R121、R122およびR123と同義であり、好ましい範囲も同じである。Yは一般式(A)におけるYと同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0053】
一般式(5)について説明する。
【化14】

【0054】
501はR101と同義であり、好ましい範囲も同じである。R502、R503、R504およびR505は、R103、R104およびR105と同義であり、好ましい範囲も同じである。R511、R512、R513、R521、R522およびR523は、R111、R113、R121、R122およびR123と同義であり、好ましい範囲も同じである。Yは一般式(A)におけるYと同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0055】
一般式(6)について説明する。
【化15】

【0056】
601はR101と同義であり、好ましい範囲も同じである。R602、R603、R604およびR605は、R103、R104およびR105と同義であり、好ましい範囲も同じである。R611、R612、R613、R621、R622およびR623は、R111、R113、R121、R122およびR123と同義であり、好ましい範囲も同じである。Mは金属原子を表す。好ましくは、第4周期の金属原子から選ばれる。Yは一般式(A)におけるYと同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0057】
Lは配位子を表す(配位により形成される結合としては、例えば配位結合、共有結合、イオン結合 がある)。LはMに配位する原子群であれば、特に限定されないが、ハロゲン原子、炭素原子で配位する原子群、窒素原子で配位する原子群、酸素原子で配位する原子群、硫黄原子で配位する原子群、りん原子で配位する原子群が好ましく、炭素原子で配位する原子群、窒素原子で配位する原子群、酸素原子で配位する原子群がより好ましく、窒素原子で配位する原子群、酸素原子で配位する原子群がさらに好ましい。
Lは単座配位子であっても多座配位子であっても良い。多座配位子としては、炭素原子で配位する原子群、窒素原子で配位する原子群、酸素原子で配位する原子群、硫黄原子で配位する原子群、りん原子で配位する原子群を含むのが好ましく、炭素原子で配位する原子群、窒素原子で配位する原子群、酸素原子で配位する原子群を含むのがより好ましく、炭素原子で配位する原子群、窒素原子で配位する原子群を含むのがさらに好ましい。
【0058】
炭素原子で配位する原子群としては、例えばイミノ基、芳香族炭化水素環基(ベンゼン、ナフタレンなど)、ヘテロ環基(チオフェン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、チアゾール、オキサゾール、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾールなど)およびこれらを含む縮合環、およびこれらの互変異性体が挙げられる。これらの基は、さらに置換基を有していても良い(置換基を有していないのが好ましい。)。置換基の例としては、後述の置換基群Bが挙げられ、好ましい範囲も同じである。
【0059】
窒素原子で配位する原子群としては、例えば含窒素ヘテロ環基(ピリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピリダジン基、トリアジン基、チアゾール基、オキサゾール基、ピロール基、イミダゾール基、ピラゾール基、トリアゾール基など)、アミノ基(アルキルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばメチルアミノ基)、アリールアミノ基(例えばフェニルアミノ基)などが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる。)、イミノ基などが挙げられる。これらの基はさらに置換されていても良い。置換基の例としては、後述の置換基群Bが挙げられ、好ましい範囲も同じである。
【0060】
酸素原子で配位する原子群としては、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、2−エチルヘキシロキシ基などが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ基、ピラジルオキシ基、ピリミジルオキシ基、キノリルオキシ基などが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基などが挙げられる。)、カルボニル基(例えばケトン基、エステル基、アミド基など)、エーテル基(例えばジアルキルエーテル基、ジアリールエーテル基、フリル基など)などが挙げられる。これらの基はさらに置換されていても良い(置換基を有していないのが好ましい。)。置換基の例としては、後述の置換基群Bが挙げられ、好ましい範囲も同じである。
【0061】
硫黄原子で配位する原子群としては、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ基、2−ベンズイミゾリルチオ基、2−ベンズオキサゾリルチオ基、2−ベンズチアゾリルチオ基などが挙げられる。)、チオカルボニル基(例えばチオケトン基、チオエステル基など)、チオエーテル基(例えばジアルキルチオエーテル基、ジアリールチオエーテル基、チオフリル基など)などが挙げられる。これらの基はさらに置換されていても良い(置換基を有していないのが好ましい。)。置換基の例としては、後述の置換基群Bが挙げられ、好ましい範囲も同じである。
【0062】
りん原子で配位する原子群としては、ジアルキルホスフィノ基、ジアリールホスフィノ基、トリアルキルホスフィノ基、トリアリールホスフィノ基、ホスフィニン基等があげられる。これらの基はさらに置換されていても良い(置換基を有していないのが好ましい。)。置換基の例としては、後述の置換基群Bが挙げられ、好ましい範囲も同じである。
【0063】
Lは更に別の金属原子と結合して複核金属錯体を形成しても良い。
【0064】
nは、1〜4のいずれかの自然数を表す。nは1または2が好ましい。
【0065】
<置換基群B>
例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例ばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)、2つの置換基同士が結合し環構造を形成する基などが挙げられる。複数の置換基は同じであっても異なっても良い。 置換基の好ましい範囲としては、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基、シリル基が好ましく、ハロゲン原子、アルキル基、シリル基がより好ましく、ハロゲン原子が特に好ましい。
【0066】
一般式(7)について説明する。
【化16】

【0067】
Ar701およびAr702は、それぞれ独立に、置換基を有していても良い2以上の環が縮環した芳香族環を表す。芳香族環はヘテロ原子を含むヘテロ芳香族環であってもよい。含んでもよいヘテロ原子は特に限定されないが、窒素原子、硫黄原子、酸素原子が好ましい。具体例としては、ナフタレン環、アントラセン環、キノリン環、インドール環、カルバゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチオフェン環等が挙げられる。
【0068】
Ar703は、置換基を有していても良い芳香族環を表す。環を構成する炭素数が1〜10であることが好ましい。例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられる。また、ヘテロ原子を含むヘテロアリール環であってもよい。環を構成するヘテロ原子としては特に限定されないが、窒素原子、硫黄原子、酸素原子であることが好ましい。具体例としては、ピリジン環、インドール環、オキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ピロール環、キノリン環等が挙げられる。アリール環上に有していても良い置換基は、特に限定されないが、例えば上述の置換基群Aが挙げられる。
【0069】
701、R702、R703、R704、R705およびR706は、それぞれ独立に、置換しても良いアリール基、置換を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。有していても良い置換基としては、特に限定されないが、例えば上述の置換基群Aが挙げられる。なかでも、ハロゲン、アルキル基が好ましい。
Yは一般式(A)におけるYと同義であり、好ましい範囲も同じである。
【0070】
以下に、一般式(A)で表される化合物の具体例を示す。
【0071】
一般式(1)の具体例
【化17】

【0072】
一般式(2)の具体例
【化18】

【0073】
【化19】

【0074】
一般式(3)の具体例[アニオン部分としてCl-を例示することができる]
【化20】

【0075】
一般式(4)の化合物の具体例
【化21】

【0076】
一般式(5)の化合物の具体例
【化22】

【0077】
式(6)の化合物の具体例
【化23】

【0078】
一般式(7)の化合物の具体例
【化24】

【0079】
本発明で用いる一般式(A)で表される色素化合物は、商業的に入手できるものについては商業的に入手して使用してもよい。また、既知化合物あるいはその誘導体については、既知の取得法または合成法を適宜選択ないし組み合わせて取得し、使用してもよい。一般的な合成法については、「色素の化学と応用」(松岡賢著、大日本図書刊、ページ20〜23)、Chem.Res.Toxicol.(2003年、16巻、ページ285〜294)、米国公開特許2006−0179585、Spectrochimina Acta Part A(2001年、57巻、ページ2271〜2283)、前述の特許文献1〜8ならびにそれらが引用する文献等を参考に合成することが可能である。また、対アニオンが塩素アニオンのものを合成し、これを溶かして水溶液として対応するアニオン部分をもつ塩もしくは共役酸を加えて塩析することで、所望のアニオン部分を有する色素化合物を得ることが出来る。
【0080】
一般式(A)で表される化合物のうち、一般式(5)で表される化合物の合成法は特に限定されないが、例えば以下の方法条件を用いることで合成することが可能である。
【化25】

【0081】
一般式(A)で表される化合物のうち、一般式(6)で表される化合物の合成法は特に限定されないが、例えば以下の方法条件を用いることで合成することが可能である。
【化26】

【0082】
本発明の硬化性着色組成物では、一般式(A)で表される色素化合物を1種単独で含有してもよいし、二種以上併用してもよい。
一般式(A)で表される色素化合物の本発明の硬化性着色組成物中における含有量としては、分子量、及びその吸光係数によって異なるが、硬化性着色組成物の全固形分に対して、1〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。染料の含有量は、10質量%以上であると、良好な色濃度(例えば液晶表示するのに適した色濃度)が得られ、50質量%以下であると、画素のパターニングが良好になる点で有利である。
【0083】
また、さらに本発明の硬化性着色組成物には、その他の構造の染料化合物や顔料化合物及びその分散物を含んでもよい。染料化合物としては、着色画像の色相に影響を与えないものであればどのような構造であってもよく、例えば、アントラキノン系(例えば、特開2001−108815号公報記載のアントラキノン化合物)、フタロシアニン系(例えば、米国特許出願公開第2008/0076044号公報記載のフタロシアニン化合物)、キサンテン系(例えば、シー・アイ・アシッド・レッド289(C.I.Acid.Red 289))、トリアリールメタン系(例えば、シー・アイ・アシッドブルー7(C.I.Acid Blue7)、シー・アイ・アシッドブルー83(C.I.Acid Blue83)、シー・アイ・アシッドブルー90(C.I.Acid Blue90)、シー・アイ・ソルベント・ブルー38(C.I.Solvent Blue38)、シー・アイ・アシッド・バイオレット17(C.I.Acid Violet17)、シー・アイ・アシッド・バイオレット49(C.I.Acid Violet49)、シー・アイ・アシッド・グリーン3(C.I.Acid Green3)、スクアリリウム系、ピラゾールアゾ系、メチン系、ピラゾロンアゾ系、バルビツールアゾ系、などが挙げられる。有機溶剤に可溶な染料としては、例えばC.I.ソルベントイエロー4、C.I.ソルベントイエロー88、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー24、C.I.ソルベントイエロー94、C.I.ソルベントイエロー98、C.I.ソルベントイエロー162、C.I.ソルベントイエロー82等が挙げられる。
【0084】
顔料化合物としては、ペリレン、ペリノン、キナクリドン、キナクリドンキノン、アントラキノン、アントアントロン、ベンズイミダゾロン、ジスアゾ縮合、ジスアゾ、アゾ、インダントロン、フタロシアニン、トリアリールカルボニウム、ジオキサジン、アミノアントラキノン、ジケトピロロピロール、インジゴ、チオインジゴ、イソインドリン、イソインドリノン、ピラントロンもしくはイソビオラントロン等が挙げられる。更に詳しくは、例えば、ピグメント・レッド190、ピグメント・レッド224、ピグメント・バイオレット29等のペリレン化合物顔料、ピグメント・オレンジ43、もしくはピグメント・レッド194等のペリノン化合物顔料、ピグメント・バイオレット19、ピグメント・バイオレット42、ピグメント・レッド122、ピグメント・レッド192、ピグメント・レッド202、ピグメント・レッド207、もしくはピグメント・レッド209のキナクリドン化合物顔料、ピグメント・レッド206、ピグメント・オレンジ48、もしくはピグメント・オレンジ49等のキナクリドンキノン化合物顔料、ピグメント・イエロー147等のアントラキノン化合物顔料、ピグメント・レッド168等のアントアントロン化合物顔料、ピグメント・ブラウン25、ピグメント・バイオレット32、ピグメント・オレンジ36、ピグメント・イエロー120、ピグメント・イエロー180、ピグメント・イエロー181、ピグメント・オレンジ62、もしくはピグメント・レッド185等のベンズイミダゾロン化合物顔料、ピグメント・イエロー93、ピグメント・イエロー94、ピグメント・イエロー95、ピグメント・イエロー128、ピグメント・イエロー166、ピグメント・オレンジ34、ピグメント・オレンジ13、ピグメント・オレンジ31、ピグメント・レッド144、ピグメント・レッド166、ピグメント・レッド220、ピグメント・レッド221、ピグメント・レッド242、ピグメント・レッド248、ピグメント・レッド262、もしくはピグメント・ブラウン23等のジスアゾ縮合化合物顔料、ピグメント・イエロー13、ピグメント・イエロー83、もしくはピグメント・イエロー188等のジスアゾ化合物顔料、ピグメント・レッド187、ピグメント・レッド170、ピグメント・イエロー74、ピグメント・イエロー150、ピグメント・レッド48、ピグメント・レッド53、ピグメント・オレンジ64、もしくはピグメント・レッド247等のアゾ化合物顔料、ピグメント・ブルー60等のインダントロン化合物顔料、ピグメント・グリーン7、ピグメント・グリーン36、ピグメント・グリーン37、ピグメント・グリーン58、ピグメント・ブルー16、ピグメント・ブルー75、もしくはピグメント・ブルー15等のフタロシアニン化合物顔料、ピグメント・ブルー56、もしくはピグメント・ブルー61等のトリアリールカルボニウム化合物顔料、ピグメント・バイオレット23、もしくはピグメント・バイオレット37等のジオキサジン化合物顔料、ピグメント・レッド177等のアミノアントラキノン化合物顔料、ピグメント・レッド254、ピグメント・レッド255、ピグメント・レッド264、ピグメント・レッド272、ピグメント・オレンジ71、もしくはピグメント・オレンジ73等のジケトピロロピロール化合物顔料、ピグメント・レッド88等のチオインジゴ化合物顔料、ピグメント・イエロー139、ピグメント・オレンジ66等のイソインドリン化合物顔料、ピグメント・イエロー109、もしくはピグメント・オレンジ61等のイソインドリノン化合物顔料、ピグメント・オレンジ40、もしくはピグメント・レッド216等のピラントロン化合物顔料、またはピグメント・バイオレット31等のイソビオラントロン化合物顔料が挙げられる。
【0085】
前記染料及び顔料の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で使用でき、本発明の硬化性着色組成物の全固形分に対して、0.5質量%〜70質量%であることが好ましい。
前記染料または顔料を分散物として配合することにより本発明の硬化性着色組成物を調製する場合、特開平9−197118号公報、特開2000−239544号公報の記載に従って調製することができる。
【0086】
本発明では、特に黄色色素化合物を添加することにより、硬化性緑着色組成物を好ましく提供することができる。提供される硬化性緑着色組成物は、色純度が高くて、液晶表示装置及び固体撮像素子に適用した場合に、表示画像の彩色が鮮やかで高いコントラストを示すものとすることができる。
黄色色素化合物の添加量は、本発明の硬化性着色組成物の全固形分に対して、1質量%〜70質量%であることが好ましく、10質量%〜50質量%であることがより好ましい。また、本発明の一般式(A)で表される色素化合物を100質量部としたときに、黄色色素化合物の添加量は、10質量部〜1000質量部であることが好ましく、20質量部〜500質量部であることがより好ましい。
【0087】
[重合性化合物]
本発明の着色組成物は、少なくとも一種の重合性化合物を含有することが好ましい。重合性化合物としては、例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物を挙げることができる。
【0088】
具体的には、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は、当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの(共)重合体などの化学的形態のいずれであってもよい。
【0089】
モノマー及びその(共)重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類、並びにこれらの(共)重合体が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、及び不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類、並びにこれらの(共)重合体である。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
【0090】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート等が挙げられる。
また、メタクリル酸エステルとして、例えば、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙げられる。
【0091】
更に、イタコン酸エステルとして、例えば、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が、また、クロトン酸エステルとして、例えば、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等が、イソクロトン酸エステルとして、例えば、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が、また、マレイン酸エステルとして、例えば、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
【0092】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報に記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
【0093】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載の、1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(B)で表される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R)COOCH2CH(R')OH …(B)
〔一般式(B)中、R及びR'は、それぞれ独立にH又はCH3を表す。〕
【0094】
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、硬化性着色組成物の最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、感度の観点では、1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合は2官能以上が好ましい。また、着色硬化膜の強度を高める観点では、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。また、硬化性着色組成物に含有される他の成分(例えば、光重合開始剤、着色剤(顔料)、バインダーポリマー等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体などの硬質表面との密着性を向上させる観点で特定の構造を選択することもあり得る。
【0095】
着色組成物の全固形分中における重合性化合物の含有量(2種以上の場合は総含有量)としては、特に限定はなく、本発明の効果をより効果的に得る観点から、10質量%〜80質量%が好ましく、15質量%〜75質量%がより好ましく、20質量%〜60質量%が特に好ましい。
【0096】
[光重合開始剤]
本発明の着色組成物は、少なくとも一種の光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤は、前記重合性化合物を重合させ得るものであれば、特に制限はなく、特性、開始効率、吸収波長、入手性、コスト等の観点で選ばれるのが好ましい。
【0097】
光重合開始剤としては、例えば、ハロメチルオキサジアゾール化合物及びハロメチル−s−トリアジン化合物から選択される少なくとも1つの活性ハロゲン化合物、3−アリール置換クマリン化合物、ロフィン2量体、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、オキシム系化合物、等が挙げられる。光重合開始剤の具体例については、特開2004−295116号公報の段落〔0070〕〜〔0077〕に記載のものが挙げられる。中でも、重合反応が迅速である点等から、オキシム系化合物が好ましい。
【0098】
前記オキシム系化合物(以下、「オキシム系光重合開始剤」ともいう。)としては、特に限定はなく、例えば、特開2000−80068号公報、WO02/100903A1、特開2001−233842号公報等に記載のオキシム系化合物が挙げられる。
具体的な例としては、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ペンタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘキサンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘプタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(エチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(ブチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−メチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−プロピル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−ブチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンなどが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
【0099】
また、本発明においては、感度、径時安定性、後加熱時の着色の観点から、オキシム系化合物として、下記一般式(11)で表される化合物がより好ましい。
【0100】
【化27】

【0101】
前記一般式(11)中、R及びXは、それぞれ独立に、1価の置換基を表し、Aは、2価の有機基を表し、Arは、アリール基を表す。nは、1〜5のいずれかの整数である。
【0102】
Rとしては、高感度化の点から、アシル基が好ましく、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、トルイル基が好ましい。
【0103】
Aとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
【0104】
Arとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。置換フェニル基の場合、その置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基が好ましい。
【0105】
Xとしては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオキシ基、置換基を有してもよいアリールチオキシ基、置換基を有してもよいアミノ基が好ましい。
また、一般式(11)におけるnは1または2が好ましい。
【0106】
また、本発明の硬化性着色組成物には、上記の光重合開始剤のほかに、特開2004−295116号公報の段落〔0079〕に記載の他の公知の光重合開始剤を使用してもよい。
【0107】
光重合開始剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて含有することができる。
光重合開始剤の硬化性着色組成物の全固形分中における含有量(2種以上の場合は総含有量)は、本発明の効果をより効果的に得る観点から、3質量%〜20質量%が好ましく、4質量%〜19質量%がより好ましく、5質量%〜18質量%が特に好ましい。
【0108】
[有機溶剤]
本発明の硬化性着色組成物は、少なくとも一種の有機溶剤を含有することができる。
有機溶剤は、並存する各成分の溶解性や硬化性着色組成物としたときの塗布性を満足できるものであれば、基本的には特に制限はなく、特に、バインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
【0109】
有機溶剤としては、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキルエステル類(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(具体的には、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等が挙げられる。))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(具体的には、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等が挙げられる。))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(具体的には、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル等が挙げられる。))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(具体的には、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等が挙げられる。)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等が挙げられる。
【0110】
また、エーテル類としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等が挙げられる。
ケトン類としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等が挙げられる。
芳香族炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
【0111】
これらの有機溶剤は、前述の各成分の溶解性、及びアルカリ可溶性バインダーを含む場合はその溶解性、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合することも好ましい。この場合、特に好ましくは、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
【0112】
有機溶剤の硬化性着色組成物中における含有量としては、組成物中の全固形分濃度が10質量%〜80質量%になる量が好ましく、15質量%〜60質量%になる量がより好ましい。
【0113】
[他の成分]
本発明の硬化性着色組成物は、上述の各成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、更に、アルカリ可溶性バインダー、架橋剤などの他の成分を含んでいてもよい。
【0114】
−アルカリ可溶性バインダー−
アルカリ可溶性バインダーは、アルカリ可溶性を有すること以外は、特に限定はなく、好ましくは、耐熱性、現像性、入手性等の観点から選択することができる。
【0115】
アルカリ可溶性バインダーとしては、線状有機高分子重合体であり、且つ、有機溶剤に可溶で、弱アルカリ水溶液で現像できるものが好ましい。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられ、同様に側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体が有用である。
【0116】
上述したものの他、本発明におけるアルカリ可溶性バインダーとしては、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等や、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、等も有用である。また、線状有機高分子重合体は、親水性を有するモノマーを共重合したものであってもよい。この例としては、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2級若しくは3級のアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のプロピル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のブチル(メタ)アクリレート、又は、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。その他、親水性を有するモノマーとしては、テトラヒドロフルフリル基、燐酸基、燐酸エステル基、4級アンモニウム塩基、エチレンオキシ鎖、プロピレンオキシ鎖、スルホン酸基及びその塩由来の基、モルホリノエチル基等を含んでなるモノマー等も有用である。
【0117】
また、アルカリ可溶性バインダーは、架橋効率を向上させるために、重合性基を側鎖に有してもよく、例えば、アリル基、(メタ)アクリル基、アリルオキシアルキル基等を側鎖に含有するポリマー等も有用である。上述の重合性基を含有するポリマーの例としては、市販品のKSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)等が挙げられる。また、硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロルヒドリンとのポリエーテル等も有用である。
【0118】
これら各種アルカリ可溶性バインダーの中でも、耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
【0119】
前記アクリル系樹脂としては、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等から選ばれるモノマーからなる共重合体や、市販品のKSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)等が好ましい。
【0120】
アルカリ可溶性バインダーは、現像性、液粘度等の観点から、重量平均分子量(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)が1000〜2×105の重合体が好ましく、2000〜1×105の重合体がより好ましく、5000〜5×104の重合体が特に好ましい。
【0121】
−架橋剤−
本発明の硬化性着色組成物に補足的に架橋剤を用い、硬化性着色組成物を硬化させてなる着色硬化膜の硬度をより高めることもできる。
架橋剤としては、架橋反応により膜硬化を行なえるものであれば、特に限定はなく、例えば、(a)エポキシ樹脂、(b)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物又はヒドロキシアントラセン化合物、が挙げられる。中でも、多官能エポキシ樹脂が好ましい。
架橋剤の具体例などの詳細については、特開2004−295116号公報の段落〔0134〕〜〔0147〕の記載を参照することができる。
【0122】
−界面活性剤−
本発明の硬化性着色組成物は、界面活性剤を含んでいても良い。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、又は、両性のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン系界面活性剤である。
ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類、シリコーン系、フッ素系界面活性剤を挙げることができる。また、以下商品名で、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(JEMCO社製)、メガファック(DIC(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(旭硝子(株)製)PolyFox(OMNOVA社製)等の各シリーズを挙げることができる。
また、界面活性剤として、下記の構成単位A及び構成単位Bを繰り返し単位として含み、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000〜10,000である共重合体を好ましい例として挙げることができる。
【化28】

(構成単位(A)および(B)中、R1及びR3はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数1〜4の直鎖アルキレン基を表し、R4は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Lは炭素数3〜6のアルキレン基を表し、下記式:
【化29】

(R5は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、相溶性と被塗布面に対する濡れ性の点で、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、炭素数2または3のアルキル基がより好ましい)で表される分岐アルキレン基であることが好ましく、p及びqは重合比を表す重量百分率であり、pは10重量%〜80重量%の数値を表し、qは20重量%〜90重量%の数値を表し、rは1〜18の整数を表し、nは1〜10の整数を表す。)
構成単位A及び構成単位Bを繰り返し単位として含む共重合体である界面活性剤の重量平均分子量(Mw)は、1,500〜5,000がより好ましい。
これらの界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の硬化性着色組成物における界面活性剤の添加量は、他の成分の合計質量100部に対して、10重量部以下であることが好ましく、0.01〜10重量部であることがより好ましく、0.01〜1重量部であることがさらに好ましい。
【0123】
−その他の添加物−
本発明の硬化性着色組成物には、必要に応じて、各種添加物、例えば、充填剤、上記以外の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。これらの添加物としては、特開2004−295116号公報の段落〔0155〕〜〔0156〕に記載のものを挙げることができる。
本発明の硬化性着色組成物においては、特開2004−295116号公報の段落〔0078〕に記載の増感剤や光安定剤、同公報の段落〔0081〕に記載の熱重合防止剤を含有することができる。
【0124】
また、非露光領域のアルカリ溶解性を促進し、硬化性着色組成物の現像性の更なる向上を図る場合には、該組成物に有機カルボン酸、好ましくは分子量1000以下の低分子量有機カルボン酸の添加を行なうことが好ましい。
具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等のその他のカルボン酸が挙げられる。
【0125】
硬化性着色組成物の製造方法
本発明の硬化性着色組成物は、前述の各成分と必要に応じて任意成分とを混合することで調製される。
なお、硬化性着色組成物の調製に際しては、硬化性着色組成物を構成する各成分を一括配合してもよいし、各成分を溶剤に溶解・分散した後に逐次配合してもよい。また、配合する際の投入順序や作業条件は特に制約を受けない。例えば、全成分を同時に溶剤に溶解・分散して組成物を調製してもよいし、必要に応じては、各成分を適宜2つ以上の溶液・分散液としておいて、使用時(塗布時)にこれらを混合して組成物として調製してもよい。
上記のようにして調製された硬化性着色組成物は、好ましくは、孔径0.01μm〜3.0μm、より好ましくは孔径0.05μm〜0.5μm程度のフィルタなどを用いて濾別した後、使用に供することができる。
本発明の硬化性着色組成物は、色相及びコントラストに優れた着色硬化膜を形成することができるため、液晶表示装置(LCD)や固体撮像素子(例えば、CCD、CMOS等)に用いられるカラーフィルタなどの着色画素形成用として、また、印刷インキ、インクジェットインキ、及び塗料などの作製用途として好適に用いることができる。特に、液晶表示装置用の着色画素形成用途に好適である。
【0126】
カラーフィルタ及びその製造方法
本発明のカラーフィルタは、基板上に着色領域を設けて構成されたものである。基板上の着色領域は、カラーフィルタの各画素をなす例えば赤(R)、緑(G)、青(B)等の着色膜で構成されている。本発明のカラーフィルタは、所定の構造を持つジアリールメタン化合物を含ませて形成されるので、画像表示したときの彩色が鮮やかでコントラストが高く、特に液晶表示装置用として好適である。
【0127】
本発明のカラーフィルタは、アリールメタン化合物を含有して硬化された着色領域(着色パターン)を形成できる方法であれば、いずれの方法で形成されてもよい。好ましくは、本発明の硬化性着色組成物を用いて作製される。
【0128】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、支持体上に既述の硬化性着色組成物を塗布し、着色層(着色組成物層ともいう。)を形成する工程(A)と、工程(A)にて形成された着色組成物層を(好ましくはマスクを介して)パターン状に露光し、塗布膜の未硬化部を現像液で現像除去して着色領域(着色パターン)を形成する工程(B)とを設けて構成されている。これらの工程を経ることで、各色(3色或いは4色)の画素からなる着色パターンが形成され、カラーフィルタを得ることができる。また、本発明のカラーフィルタの製造方法では、特に、工程(B)で形成された着色パターンに対して紫外線を照射する工程(C)と、工程(C)で紫外線が照射された着色パターンに対して加熱処理を行なう工程(D)とを更に設けた態様が好ましい。
このような方法により、液晶表示素子や固体撮像素子に用いられるカラーフィルタをプロセス上の困難性が少なく、高品質で、かつ低コストに作製することができる。
以下、本発明のカラーフィルタの製造方法について、より具体的に説明する。
【0129】
−工程(A)−
本発明のカラーフィルタの製造方法では、まず、支持体上に直接又は他の層を介して、既述の本発明の硬化性着色組成物を所望の塗布方法により塗布して、硬化性着色組成物からなる塗布膜(着色組成物層)を形成し、その後、必要に応じて、予備硬化(プリベーク)を行ない、該硬化性着色組成物層を乾燥させる。
【0130】
支持体としては、例えば、液晶表示素子等に用いられる無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、固体撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えば、シリコーン基板や、プラスチック基板等が挙げられる。また、これらの支持体上には、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されていたり、密着促進等のために透明樹脂層が設けられたりしていてもよい。また、支持体上には必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止、或いは表面の平坦化のために、下塗り層を設けてもよい。
また、プラスチック基板は、その表面に、ガスバリヤー層及び/又は耐溶剤性層を有していることが好ましい。
【0131】
このほか、支持体として、薄膜トランジスター(TFT)方式カラー液晶表示装置の薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板(以下、「TFT方式液晶駆動用基板」という。)を用い、この駆動用基板上にも、本発明の硬化性着色組成物を用いてなる着色パターンを形成し、カラーフィルタを作製することができる。
TFT方式液晶駆動用基板における基板としては、例えば、ガラス、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。例えば、TFT方式液晶駆動用基板の表面に、窒化ケイ素膜等のパッシベーション膜を形成した基板を用いることができる。
【0132】
本発明の硬化性着色組成物を、直接又は他の層を介して基板に回転塗布、スリット塗布、流延塗布、ロール塗布、バー塗布、インクジェット等の塗布方法により塗布して、硬化性着色組成物の塗布膜を形成することができる。
【0133】
塗布工程において、本発明の硬化性着色組成物を基板に塗布する方法としては、特に限定されるものではないが、スリット・アンド・スピン法、スピンレス塗布法等のスリットノズルを用いる方法(以下、スリットノズル塗布法という)が好ましい。
スリットノズル塗布法において、スリット・アンド・スピン塗布法とスピンレス塗布法は、塗布基板の大きさによって条件は異なるが、例えば、スピンレス塗布法により第五世代のガラス基板(1100mm×1250mm)を塗布する場合、スリットノズルからの硬化性着色組成物の吐出量は、通常、500マイクロリットル/秒〜2000マイクロリットル/秒、好ましくは800マイクロリットル/秒〜1500マイクロリットル/秒であり、また、塗工速度は、通常、50mm/秒〜300mm/秒、好ましくは100mm/秒〜200mm/秒である。
また、塗布工程で用いられる硬化性着色組成物の固形分としては、通常、10%〜20%、好ましくは13%〜18%である。
【0134】
基板上に本発明の硬化性着色組成物による塗布膜を形成する場合、該塗布膜の厚み(プリベーク処理後)としては、一般に0.3μm〜5.0μmであり、望ましくは0.5μm〜4.0μm、最も望ましくは0.5μm〜3.0μmである。
また、固体撮像素子用のカラーフィルタの場合であれば、塗布膜の厚み(プリベーク処理後)は、0.5μm〜5.0μmの範囲が好ましい。
【0135】
塗布工程において、通常は、塗布後にプリベーク処理を施す。必要によっては、プリベーク前に真空処理を施すこともできる。真空乾燥の条件は、真空度が、通常、0.1torr〜1.0torr、好ましくは0.2torr〜0.5torr程度である。
また、プリベーク処理は、ホットプレート、オーブン等を用いて50℃〜140℃の温度範囲で、好ましくは70℃〜110℃程度であり、10秒〜300秒の条件にて行うことができる。なお、プリベーク処理には、高周波処理などを併用してもよい。高周波処理は単独でも使用可能である。
【0136】
プリベークの条件としては、ホットプレートやオーブンを用いて、70℃〜130℃で、0.5分間〜15分間程度加熱する条件が挙げられる。
また、硬化性着色組成物により形成される着色組成物層の厚みは、目的に応じて適宜選択される。液晶表示装置用カラーフィルタにおいては、0.2μm〜5.0μmの範囲が好ましく、1.0μm〜4.0μmの範囲が更に好ましく、1.5μm〜3.5μmの範囲が最も好ましい。また、固体撮像素子用カラーフィルタにおいては、0.2μm〜5.0μmの範囲が好ましく、0.3μm〜2.5μmの範囲が更に好ましく、0.3μm〜1.5μmの範囲が最も好ましい。
なお、着色組成物層の厚みは、プリベーク後の膜厚である。
【0137】
−工程(B)−
続いて、本発明のカラーフィルタの製造方法では、支持体上に前述のようにして形成された着色組成物からなる塗布膜(着色組成物層)に対し、例えばフォトマスクを介して露光が行なわれる。露光に適用し得る光もしくは放射線としては、g線、h線、i線、j線、KrF光、ArF光が好ましく、特にi線が好ましい。照射光にi線を用いる場合、100mJ/cm2〜10000mJ/cm2の露光量で照射することが好ましい。
【0138】
また、その他の露光光線としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視及び紫外の各種レーザー光源、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等も使用できる。
【0139】
〜レーザー光源を用いた露光工程〜
レーザー光源を用いた露光方式では、光源として紫外光レーザーを用いる。
照射光は、波長が300nm〜380nmの範囲である波長の範囲の紫外光レーザーが好ましく、さらに好ましくは300nm〜360nmの範囲の波長である紫外光レーザーがレジストの感光波長に合致しているという点で好ましい。具体的には、特に出力が大きく、比較的安価な固体レーザーのNd:YAGレーザーの第三高調波(355nm)や、エキシマレーザーのXeCl(308nm)、XeF(353nm)を好適に用いることができる。
被露光物(パターン)の露光量としては、1mJ/cm2〜100mJ/cm2の範囲であり、1mJ/cm2〜50mJ/cm2の範囲がより好ましい。露光量がこの範囲であると、パターン形成の生産性の点で好ましい。
【0140】
露光装置としては、特に制限はないが市販されているものとしては、Callisto(ブイテクノロジー株式会社製)やEGIS(ブイテクノロジー株式会社製)やDF2200G(大日本スクリーン(株)製)などが使用可能である。また上記以外の装置も好適に用いられる。
液晶表示装置用のカラーフィルタを製造する際には、プロキシミテイ露光機、ミラープロジェクション露光機により、主として、h線、i線を使用した露光が好ましく用いられる。また、固体撮像素子用のカラーフィルタを製造する際には、ステッパー露光機にて、主として、i線を使用することが好ましい。なお、TFT方式液晶駆動用基板を用いてカラーフィルタを製造する際には、用いられるフォトマスクは、画素(着色パターン)を形成するためのパターンの他、スルーホール或いはコの字型の窪みを形成するためのパターンが設けられているものが使用される。
【0141】
上記のようにして露光された着色組成物層は加熱することができる。
また、露光は、着色組成物層中の色材の酸化褪色を抑制するために、チャンバー内に窒素ガスを流しながら行なうことができる。
【0142】
続いて、露光後の着色組成物層に対して、現像液にて現像が行なわれる。これにより、ネガ型もしくはポジ型の着色パターン(レジストパターン)を形成することができる。現像工程では、露光後の塗布膜の未硬化部を現像液に溶出させ、硬化分のみを基板上に残存させる。
現像液は、未硬化部における着色組成物の塗布膜(着色組成物層)を溶解する一方、硬化部を溶解しないものであれば、いずれのものも用いることができる。例えば、種々の有機溶剤の組み合わせやアルカリ性水溶液を用いることができる。
現像に用いられる有機溶剤としては、本発明の硬化性着色組成物を調製する際に使用できる既述の溶剤が挙げられる。
前記アルカリ性水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ-[5,4,0]-7-ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%となるように溶解したアルカリ性水溶液が挙げられる。現像液がアルカリ性水溶液である場合、アルカリ濃度は、好ましくはpH11〜13、更に好ましくはpH11.5〜12.5となるように調整するのがよい。
アルカリ性水溶液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。
【0143】
現像温度としては、通常は20℃〜30℃であり、現像時間としては20秒〜90秒である。
現像は、デイップ方式、シャワー方式、スプレー方式などいずれでもよく、これにスウィング方式、スピン方式、超音波方式などを組み合わせてもよい。現像液に触れる前に、被現像面を予め水等で湿しておいて、現像ムラを防ぐこともできる。また、基板を傾斜させて現像することもできる。
また、固体撮像素子用のカラーフィルタを製造する場合にはパドル現像も用いられる。
【0144】
現像処理後は、余剰の現像液を洗浄除去するリンス処理を経て、乾燥を施した後、硬化を完全なものとするために、加熱処理(ポストベーク)が施される。
リンス工処理は、通常は純水で行なうが、省液のために、最終洗浄で純水を用い、洗浄初期は使用済の純水を使用したり、また、基板を傾斜させて洗浄したり、超音波照射を併用したりする方法を用いてもよい。
【0145】
リンス処理後、水切り、乾燥をした後には通常、約200℃〜250℃の加熱処理を行なわれる。この加熱処理(ポストベーク)は、現像後の塗布膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式或いはバッチ式で行なうことができる。
【0146】
以上の各工程を、所望の色相数に合わせて各色毎に順次繰り返し行うことにより、複数色の着色された硬化膜(着色パターン)が形成されてなるカラーフィルタを作製することができる。
本発明のカラーフィルタは、コントラストが高く、色濃度ムラの小さい、色特性の良好であることから、固体撮像素子又は液晶表示素子に好適に用いることができる。
【0147】
−工程(C)−
本発明のカラーフィルタの製造方法では、特に、本発明の硬化性着色組成物を用いて形成された着色パターン(画素)に対して、紫外線照射による後露光を行なうこともできる。
【0148】
−工程(D)−
上記のような紫外線照射による後露光が行なわれた着色パターンに対して、さらに加熱処理を行なうことが好ましい。形成された着色パターンを加熱処理(いわゆるポストベーク処理)することにより、着色パターンを更に硬化させることができる。この加熱処理は、例えば、ホットプレート、各種ヒーター、オーブンなどにより行なうことができる。
加熱処理の際の温度としては、100℃〜300℃であることが好ましく、更に好ましくは、150℃〜250℃である。また、加熱時間は、10分〜120分程度が好ましい。
【0149】
このようにして得られた着色パターンは、カラーフィルタにおける画素を構成する。複数の色相の画素を有するカラーフィルタの作製においては、上記の工程(A)、工程(B)、及び必要に応じて工程(C)や工程(D)を所望の色数に合わせて繰り返せばよい。
なお、単色の着色組成物層の形成、露光、現像が終了する毎に(1色毎に)、前記工程(C)及び/又は工程(D)を行なってもよいし、所望の色数の全ての着色組成物層の形成、露光、現像が終了した後に、一括して前記工程(C)及び/又は工程(D)を行なってもよい。
【0150】
本発明のカラーフィルタの製造方法により得られたカラーフィルタ(本発明のカラーフィルタ)は、本発明の硬化性着色組成物を用いていることから、色相及びコントラストに優れている。
本発明のカラーフィルタは、液晶表示素子や固体撮像素子に用いることが可能であり、特に液晶表示装置の用途に好適である。液晶表示装置に用いた場合、染料を着色剤として用い、良好な色相を達成しながら、分光特性及びコントラストに優れた画像の表示が可能になる。
【0151】
本発明の硬化性着色組成物の用途としては、上記において主にカラーフィルタの着色パターンの形成用途を中心に説明したが、カラーフィルタを構成する着色パターン(画素)を隔離するブラックマトリックスの形成にも適用することができる。
基板上のブラックマトリックスは、カーボンブラック、チタンブラックなどの黒色顔料の加工顔料を含有する硬化性着色組成物を用い、塗布、露光、及び現像の各工程を経て、その後、必要に応じて、ポストベークすることにより形成することができる。
【0152】
液晶表示装置及び固体撮像素子
本発明の液晶表示素子及び固体撮像素子は、本発明のカラーフィルタを備えてなるものである。より具体的には、例えば、カラーフィルタの内面側に配向膜を形成し、電極基板と対向させ、間隙部に液晶を満たして密封することにより、本発明の液晶表示素子であるパネルが得られる。また、例えば、受光素子上にカラーフィルタを形成することにより、本発明の固体撮像素子が得られる。
【0153】
液晶表示装置の定義や各表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
【0154】
本発明のカラーフィルタは、中でも特に、カラーTFT方式の液晶表示装置に対して有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。更に、本発明はIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置や、STN、TN、VA、OCS、FFS、及びR−OCB等にも適用できる。
また、本発明のカラーフィルタは、明るく高精細なCOA(Color-filter On Array)方式にも供することが可能である。
【0155】
本発明のカラーフィルタを液晶表示素子に用いると、従来公知の冷陰極管の三波長管と組み合わせたときに高いコントラストを実現できるが、更に、赤、緑、青のLED光源(RGB−LED)をバックライトとすることによって輝度が高く、また、色純度の高い色再現性の良好な液晶表示装置を提供することができる。
【0156】
色順に説明すると、青発光ダイオードとしては、窒化ガリウム(GaN)を主材料とするものが挙げられ、具体的には、サファイア基板/n−GaN/n−Al0.15Ga0.85N/MQW又はSQW層/p−Al0.15Ga0.85N/p−GaN/電極の層構成を有するものがある。ここで、MQW又はSQW層とは、マルチ量子井戸構造(MQW)又はシングル量子井戸構造(SQW)のことである。これら量子井戸構造を構成する材料としては、InxGaN1−xNが例示でき、x=0.2で青色の発色、x=0.4程度で緑色の発色となる。この材料では、In(インジウム)組成を増やすと緑発光が得られるが、In組成の増加に伴い結晶性が悪くなるので、発光効率が低下する。
【0157】
充分な発光輝度を確保する別の材料として、GaInN緑色LEDを使うか、GaInN青色LED+緑色蛍光体という組合せを使うことも可能である。このようにすることにより、520〜570nmの範囲の適当な波長にピーク波長をもってくることができる。
【0158】
なお、使用可能な緑色蛍光体として、セリウム及び/またはユーロピウムを賦活した、酸化物、窒化物、酸窒化物を挙げることが出来る。
【0159】
赤色LEDとしては、AlInGaP系LEDを用いることにより、満足すべき発光特性を得ることが出来る。その他の赤色LEDとしては、GaAlAs系赤色LEDがある。その構造は、GaAs基板/n−GaAs/n−InGaAlP/アンドープトInG
aAlP/p−InGaAlP/p−GaAs/電極の層構成を有するものである。In、Ga、Alの3元素のうち、Inの原子比を0.5としてGaAsと格子定数をあわせ、GaとAlの比を変えることにより発光波長を変えることが出来る。Alの割合を多く
すると発光は短波長へシフトする。Gaの原子比を0.25、Alの原子比を0.25程度にすると、波長600nm程度の赤色発光が得られる。
【0160】
以上挙げたLEDは、有機金属を用いた化学的気相蒸着法(MOCVD法)により作ることが出来るので、反応室に導入する有機金属原料の割合をコントロールすることで組成を比較的簡単に制御することができる。従って、青色LEDの発光のピーク波長を430〜480nmの範囲にもっていくこと、あるいは赤色LEDの発光のピーク波長を600〜660nmの範囲にもっていくことは、比較的容易である。
【0161】
なお、これらLEDに加えて、各色の発光を示す、蛍光体材料を用いることも可能である。
【実施例】
【0162】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、以下において「部」は断りがない限り重量部を示す。
以下、硬化性着色組成物、カラーフィルタを作製する具体的な例を示す。
【0163】
使用材料
硬化性着色組成物の調製に用いた各成分を以下に示す。
(Y−1)C.I.ピグメントイエロー150(12.8部)とアクリル系顔料分散剤(7.2部)を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(80.0部)と混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させて得られた顔料分散液
(Y−2)C.I.ソルベントイエロー162(10.0部)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(90.0部)に溶解させたもの
(T−1)光重合性化合物:カヤラドDPHA(日本化薬(株)製;ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物)
(U−1)バインダー樹脂:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(75/25[質量比]共重合体(重量平均分子量:12,000)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分40.0質量%)
(V−1)光重合開始剤:2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノン
(V−2)光重合開始剤:2−(アセトキシイミノ)−4−(4−クロロフェニルチオ)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−ブタノン
(W−1)光重合開始助剤:4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
(X−1)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(X−2)溶剤:3−エトキシプロピオン酸エチル
(Y−1)界面活性剤:メガファックF781−F(大日本インキ化学工業(株)製)
【0164】
【化30】


【0165】
【化31】

【0166】
シアン着色膜の作製と評価
1.硬化性着色組成物(塗布液)の調製
下記組成中の成分を混合して、硬化性着色組成物1を調製した。
<組成>
・前記化合物A−1 ・・・6.9質量部
・前記(T−1) ・・・103.4質量部
・前記(U−1) ・・・212.2質量部(固形分換算値:84.9質量部)
・前記(V−1) ・・・21.2質量部
・前記(W−1) ・・・3.5質量部
・前記(X−1) ・・・71.9質量部
・前記(X−2) ・・・3.6質量部
・前記(Y−1) ・・・0.06質量部
【0167】
2.硬化性着色組成物による着色膜の作製
前記1.で得られた硬化性着色組成物(カラーレジスト液)を、100mm×100mmのガラス基板(1737、コーニング社製)上に、600〜700nmにおける最大吸光度が1.5〜2.0となるように塗布し、100℃のオーブンで180秒間乾燥させ、基板上に着色皮膜を作製した(実施例1)。
【0168】
化合物1を以下の表1に示す化合物に置き換えて、実施例1と同様にして実施例2〜7と比較例1〜3の各基板を作製・評価した。
【0169】
3.硬化性着色組成物による着色膜の評価
上記で得られた基板について下記の評価を行なった。
<色相の評価>
作製した着色皮膜について、紫外可視分光光度計(島津製作所社製UV2400−PC)で550nmと650nmの吸収を測定し、それによって透過率比(550nm/650nm)を求めて以下の基準にしたがって4段階で評価した。評価結果を以下の表1に示す。
評価基準: ○ 透過率比0.1未満
△ 透過率比0.1以上、0.3未満
× 透過率比0.3以上1.0未満
×× 透過率比1.0以上
【0170】
<耐熱性の評価>
実施例1〜7で作製された基板の耐熱性を評価した。ホットプレートにて、150℃で5分間加熱を行った。実施例1〜7で作製された基板はいずれも色素化合物の残存率が9割以上であり、耐熱性に優れていることが確認された。
【0171】
【表1】

【0172】
緑着色膜の作製と評価
1.硬化性着色組成物(塗布液)の調製
下記組成中の成分を混合して、硬化性着色組成物を調製した。
<組成>
・化合物A−1 ・・・6質量部
・黄色色素化合物Y−1・・・吸収強度比(450nmの吸収/650nmの吸収)が
0.95〜1.05の範囲に収まるよう、黄色色素化合
物の量を調整し加えた。
・前記(T−1) ・・・103.4質量部
・前記(U−1) ・・・212.2質量部(固形分換算値:84.9質量部)
・前記(V−1) ・・・21.2質量部
・前記(W−1) ・・・3.5質量部
・前記(X−1) ・・・71.9質量部
・前記(X−2) ・・・3.6質量部
・前記(Y−1) ・・・0.06質量部
【0173】
2.硬化性着色組成物による着色膜の作製
前記1.で得られた硬化性着色組成物(カラーレジスト液)を、100mm×100mmのガラス基板(1737、コーニング社製)上に、600〜700nmにおける最大吸光度が1.5〜2.0となるように塗布し、100℃のオーブンで180秒間乾燥させ、基板上に着色皮膜を作製した(実施例101)。
【0174】
化合物1と黄色色素化合物Y−1を以下の表2に記載されるものに置き換えて、実施例101と同様にして実施例102〜114と比較例101〜106の基板を作製・評価した。
【0175】
3.硬化性着色組成物による着色膜の評価
上記で得られた基板について下記の評価を行なった。
<色相の評価>
作製した着色皮膜について、紫外可視分光光度計(島津製作所社製UV2400−PC)で吸収を測定し、透過率比(550nm/650nm)を求めて上記と同じ基準にしたがって4段階で評価した。評価結果を以下の表2に示す。
【0176】
<耐熱性の評価>
実施例101〜114で作製された基板の耐熱性を評価した。ホットプレートにて、150℃で5分間加熱を行った。実施例101〜114で作製された基板はいずれもシアン色素化合物(表2の「化合物」の欄に表示されるもの)の残存率が9割以上であり、耐熱性に優れていることが確認された。
【0177】
【表2】

【0178】
上記実施例より、本発明の化合物で透過部と非透過部のコントラストに優れ、また耐熱性に優れたグリーンフィルタを作製できることが確かめられた。
また、上記実施例の硬化性着色組成物を用いて製造されるカラーフィルタは、色純度が高く、薄層で高い吸光係数が得られ、堅牢性(特に耐熱性及び耐光性)及び電圧保持率に優れる。さらにそのカラーフィルタを用いて製造される液晶表示装置及び固体撮像素子は、表示画像の彩色が鮮やかで高いコントラストを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(A)で表される色素化合物を含有することを特徴とする硬化性着色組成物。
【化1】

[一般式(A)において、Zは、窒素原子、または−C(R1)−を表す。R1は、置換基を有していても良いアリール基、ハロゲン原子が置換していても良いアルキル基、シアノ基、水素原子、または置換基を有していてもよい芳香族環を表す。Q1は、窒素原子、または−C(R14)−を表す。Q2は、窒素原子、または−C(R24)−を表す。R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R11、R13、R14、R21、R22、R23およびR24は、それぞれ独立に置換基を表す。R2、R3、R4およびR5は、それぞれR12、R13、R22、R23と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。Yは、アニオンを構成する原子または原子団を表す。また、一般式(A)は下記の(1)〜(7)のいずれか1つの条件を満たす。
(1)Zは、−C(R1)−を表す。R1は、置換基を有していても良いアリール基、ハロゲン原子が置換していても良いアルキル基、シアノ基、または水素原子を表す。Q1は、−C(R14)−を表す。Q2は、−C(R24)−を表す。R2はR12と一緒になって、置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を表す。R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R3、R4およびR5は、それぞれR13、R22、R23と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。
(2)Zは、−C(R1)−を表す。R1は、置換基を有していても良いアリール基、ハロゲン原子が置換していても良いアルキル基、シアノ基、または水素原子を表す。Q1は、−C(R14)−を表す。Q2は、−C(R24)−を表す。R14とR24は一緒になって、置換基を有していても良いメチレン基、−O−、−SO2−、または置換基を有していても良いシリレン基を表す。R2はR12と一緒になって、置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を表す。R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R3、R4およびR5は、それぞれR13、R22、R23と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。
(3)Zは、−C(R1)−を表す。R1は、置換基を有していても良いアリール基、ハロゲン原子が置換していても良いアルキル基、シアノ基、または水素原子を表す。Q1は、−C(R14)−を表す。Q2は、−C(R24)−を表す。R14とR24は一緒になって、−SO2−を表す。R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R2、R3、R4およびR5は、それぞれR12、R13、R22、R23と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。
(4)Zは、窒素原子を表す。Q1は、−C(R14)−を表す。Q2は、−C(R24)−を表す。R14とR24は一緒になって、置換基を有していても良いメチレン基、−O−、−SO2−、または置換基を有していても良いシリレン基を表す。R2は置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を表す。R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R3、R4およびR5は、それぞれR13、R22、R23と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。
(5)Zは、−C(R1)−を表す。R1は、置換基を有していても良いアリール基、ハロゲン原子が置換していても良いアルキル基、シアノ基、または水素原子を表す。Q1およびQ2は、窒素原子を表す。R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R2、R3、R4およびR5は、それぞれR12、R13、R22、R23と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。
(6)Zは、−C(R1)−を表す。R1は、置換基を有していても良いアリール基、ハロゲン原子が置換していても良いアルキル基、シアノ基、または水素原子を表す。Q1およびQ2は、窒素原子を表し、これらの窒素原子は>M−[L]nで表される原子団と結合している。Mは、金属原子を表す。Lは、配位子を表す。nは、1〜4のいずれかの自然数を表す。R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R2、R3、R4およびR5は、それぞれR12、R13、R22、R23と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。
(7)Zは、−C(R1)−を表す。R1は、−N(R31)(R32)で置換されている芳香族環を表す。Q1は、−C(R14)−を表す。Q2は、−C(R24)−を表す。R11とR12、R12とR2、R12とR3、R3とR13、およびR13とR14のうちの少なくとも1つの組み合わせは、一緒になって芳香族環を形成するのに必要な原子団を表す。R21とR22、R22とR4、R4とR5、R5とR23、およびR23とR24のうちの少なくとも1つの組み合わせは、一緒になって芳香族環を形成するのに必要な原子団を表す。R2、R3、R4、R5、R31およびR32は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。]
【請求項2】
下記一般式(1)〜(7)のいずれかで表される色素化合物を含有することを特徴とする硬化性着色組成物。
【化2】

[一般式(1)において、R101は、置換基を有していても良いアリール基、ハロゲン原子が置換していても良いアルキル基、シアノ基、または水素原子を表す。R102は、置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を表す。R103、R104およびR105は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R111、R113、R114、R121、R122、R123およびR124は、それぞれ独立に置換基を表す。R103、R104およびR105は、それぞれR113、R122、R123と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。Yは、アニオンを構成する原子または原子団を表す。]
【化3】

[一般式(2)において、X201は、置換基を有していても良いメチレン基、−O−、−SO2−、または置換基を有していても良いシリレン基を表す。R201は、置換基を有していても良いアリール基、ハロゲンが置換基を有していても良いアルキル基、シアノ基、または水素原子を表す。R202は、置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を表す。R203、R204およびR205は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R211、R213、R221、R222およびR223は、それぞれ独立に置換基を表す。R203、R204およびR205は、それぞれR213、R222、R223と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。Yは、アニオンを構成する原子または原子団を表す。]
【化4】

[一般式(3)において、R301は置換基を有していても良いアリール基、ハロゲン原子が置換していても良いアルキル基、シアノ基、または水素原子を表す。R302、R303、R304およびR305は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R311、R312、R313、R321、R322およびR323は、それぞれ独立に置換基を表す。R302、R303、R304およびR305は、それぞれR312、R313、R322、R323と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。Yは、アニオンを構成する原子または原子団を表す。]
【化5】

[一般式(4)において、X401は置換基を有していても良いメチレン基、−O−、−SO2−、または置換基を有していても良いシリレン基を表す。R402は置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を表す。R403、R404およびR405は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R411、R413、R421、R422およびR423は、それぞれ独立に置換基を表す。R403、R404およびR405は、それぞれR413、R422、R423と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。Yは、アニオンを構成する原子または原子団を表す。]
【化6】

[一般式(5)において、R501は、置換基を有していても良いアリール基、ハロゲン原子が置換していても良いアルキル基、シアノ基、または水素原子を表す。R502、R503、R504およびR505は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R511、R512、R513、R521、R522およびR523は、それぞれ独立に置換基を表す。R502、R503、R504およびR505は、それぞれR512、R513、R522、R523と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。Yは、アニオンを構成する原子または原子団を表す。]
【化7】

[一般式(6)において、R601は置換基を有していても良いアリール基、ハロゲン原子が置換していても良いアルキル基、シアノ基、または水素原子を表す。R602、R603、R604およびR605は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R611、R612、R613、R621、R622およびR623は、それぞれ独立に置換基を表す。R602、R603、R604およびR605は、それぞれR612、R613、R622、R623と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。Mは、金属原子を表す。Lは、配位子を表す。nは、1〜4のいずれかの自然数を表す。Yは、アニオンを構成する原子または原子団を表す。]
【化8】

[一般式(7)において、Ar701およびAr702は、それぞれ独立に、置換基を有していても良い2以上の環が縮環した芳香族環を表す。Ar703は、置換基を有していても良い芳香族環を表す。R701、R702、R703、R704、R705およびR706は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。Yは、アニオンを構成する原子または原子団を表す。]
【請求項3】
硬化性着色組成物が黄色色素化合物を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の硬化性着色組成物。
【請求項4】
モノマーと重合開始剤とを含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性着色組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性着色組成物を用いた着色層を形成して作製されたカラーフィルタ。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性着色組成物を支持体上に塗布し、着色層を形成する工程と、形成された前記着色層をパターン状に露光する工程を有するカラーフィルタの製造方法。
【請求項7】
請求項5に記載のカラーフィルタ、又は請求項6に記載の製造方法により作製されたカラーフィルタを備えた液晶表示装置。
【請求項8】
請求項5に記載のカラーフィルタ、又は請求項6に記載の製造方法により作製されたカラーフィルタを備えた固体撮像素子。
【請求項9】
下記一般式(5)で表される構造をもつ化合物。
【化9】

[一般式(5)において、R501は、置換基を有していても良いアリール基、ハロゲン原子が置換していても良いアルキル基、シアノ基、または水素原子を表す。R502、R503、R504およびR505は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R511、R512、R513、R521、R522およびR523は、それぞれ独立に置換基を表す。R502、R503、R504およびR505は、それぞれR512、R513、R522、R523と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。Yは、アニオンを構成する原子または原子団を表す。]
【請求項10】
下記一般式(6)で表される構造をもつ化合物。
【化10】

[一般式(6)において、R601は置換基を有していても良いアリール基、ハロゲン原子が置換していても良いアルキル基、シアノ基、または水素原子を表す。R602、R603、R604およびR605は、それぞれ独立に、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアルキル基、または水素原子を表す。R611、R612、R613、R621、R622およびR623は、それぞれ独立に置換基を表す。R602、R603、R604およびR605は、それぞれR612、R613、R622、R623と一緒になって、それぞれ独立に置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いビニレン基、または置換基を有していても良いプロペニレン基を形成していてもよい。Mは、金属原子を表す。Lは、配位子を表す。nは、1〜4のいずれかの自然数を表す。Yは、アニオンを構成する原子または原子団を表す。]

【公開番号】特開2012−167153(P2012−167153A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27869(P2011−27869)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】