説明

硬化性組成物、硬化膜及び帯電防止用積層体

【課題】導電性粒子の配合量が少なくても、充分な帯電防止性能を発現することができ、硬化性に優れ、かつ、各種基材の表面に、帯電防止性、硬度、及び耐擦傷性に優れ、透明性と表面抵抗値を両立させた硬化膜を形成し得る硬化性組成物を提供する。
【解決手段】下記成分(A)〜(C):
(A)平均一次粒子径が10nm〜100nmである、リン含有酸化錫を主成分とする粒子
(B)分子内に2以上の重合性不飽和基を有する化合物
(C)分子内にフッ素原子を含有する化合物
を含有する硬化性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物、それを硬化させた硬化膜及び帯電防止用積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報通信機器の性能確保と安全対策の面から、機器の表面に、硬化性組成物を用いて、耐擦傷性、密着性を有する塗膜(ハードコート)や帯電防止機能を有する塗膜(帯電防止膜)を形成することが行われている。
近年、情報通信機器の発達と汎用化は目覚しいものがあり、ハードコート、帯電防止膜等のさらなる性能向上及び生産性の向上が要請されるに至っている。
【0003】
特に、光学物品、例えば、プラスチックレンズにおいては、静電気による塵埃の付着の防止と、反射による透過率の低下の改善が要求されており、また、表示パネルにおいても、静電気による塵埃の付着の防止と、画面での映り込みの防止が要求されるようになってきている。
これらの要求に対して、生産性が高く、常温で硬化できることに注目し、放射線硬化性の材料が種々提案されている。
【0004】
このような技術としては、例えば、イオン伝導性の成分として、スルホン酸及びリン酸モノマーを含有する組成物(特許文献1)、連鎖状の金属粉を含有する組成物(特許文献2)、酸化錫粒子、多官能アクリレート、及びメチルメタクリレートとポリエーテルアクリレートとの共重合物を主成分とする組成物(特許文献3)、導電性ポリマーで被覆した顔料を含有する導電塗料組成物(特許文献4)、3官能アクリル酸エステル、単官能性エチレン性不飽和基含有化合物、光重合開始剤、及び導電性粉末を含有する光ディスク用材料(特許文献5)、シランカップラーで分散させたアンチモンドープされた酸化錫粒子とテトラアルコキシシランとの加水分解物、光増感剤、及び有機溶媒を含有する導電性塗料(特許文献6)、分子中に重合性不飽和基を含有するアルコキシシランと金属酸化物粒子との反応生成物、3官能性アクリル化合物、及び放射線重合開始剤を含有する液状硬化性樹脂組成物(特許文献7)、一次粒子径が100nm以下の導電性酸化物微粉末、該導電性酸化物微粉末の易分散性低沸点溶剤、該導電性酸化物微粉末の難分散性低沸点溶剤、及びバインダー樹脂を含有する透明導電性膜形成用塗料(特許文献8)等を挙げることができる。
【0005】
【特許文献1】特開昭47−34539号公報
【特許文献2】特開昭55−78070号公報
【特許文献3】特開昭60−60166号公報
【特許文献4】特開平2−194071号公報
【特許文献5】特開平4−172634号公報
【特許文献6】特開平6−264009号公報
【特許文献7】特開2000−143924号公報
【特許文献8】特開2001−131485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の技術は、それぞれ一定の効果を発揮するものの、近年における、ハードコート、帯電防止膜としての全ての機能を十全に具備することが要請される硬化膜としては、必ずしも十分に満足し得るものではなかった。
【0007】
例えば、上述の先行技術文献にあるような従来の技術には、下記のような問題があった。特許文献1に記載された組成物は、イオン伝導性物質を用いているが帯電防止性能が十分ではなく、乾燥により性能が変動する。特許文献2に記載された組成物は、粒子径の大きい連鎖状の金属粉体を分散させるため透明性が低下する。特許文献3に記載された組成物は、非硬化性の分散剤を多量に含むため、硬化膜の強度が低下する。特許文献5に記載された材料は、高濃度の帯電性無機粒子を配合するため、透明性が低下する。特許文献6に記載された塗料は、長期保存安定性が十分ではない。特許文献7には、帯電防止性能を有する組成物の製造方法について何らの開示がない。特許文献8に記載された塗料を塗布、乾燥して透明導電性膜を形成した場合、バインダーの配合物からなる有機マトリックスに架橋構造を設けていないため、有機溶剤耐性が十分とは言えない。
【0008】
帯電防止性能を高めるために導電性粒子の配合量を多くすることは容易に想到し得るが、その場合、硬化膜による可視光吸収の増加により透明性が低下するとともに、紫外線透過性の低下により硬化性が低下したり、基材との密着性、塗布液のレベリング性が損なわれるという問題を避けることができなかった。一方、導電性粒子の配合量を少なくすると、充分な帯電防止性能が発現しない。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みなされたもので、導電性粒子の配合量が少なくても、充分な帯電防止性能を発現することができ、硬化性に優れ、かつ、各種基材の表面に、帯電防止性、硬度、及び耐擦傷性に優れ、透明性と表面抵抗値を両立させた硬化膜を形成し得る硬化性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上述の目的を達成するべく鋭意研究した結果、特定の一次粒子径を有する導電性粒子、特定の重合性不飽和基を有する化合物、フッ素系界面活性剤若しくはフッ素含有(メタ)アクリレート、特定の吸光特性を有する光重合開始剤、及び溶剤を含有した組成物とすることにより、特に、導電性粒子の添加量を低減しても優れた導電性を発揮できることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
即ち、本発明は、以下の硬化性組成物、硬化膜及び帯電防止用積層体を提供するものである。
1.下記成分(A)〜(C):
(A)平均一次粒子径が10nm〜100nmである、リン含有酸化錫を主成分とする粒子
(B)分子内に2個以上の重合性不飽和基を有する化合物
(C)分子内にフッ素原子を含有する化合物
を含有する硬化性組成物。
2.組成物中の有機溶剤を除く固形分全量を100質量%としたときに、前記成分(A)を、1質量%以上25質量%未満の割合で含有する上記1に記載の硬化性組成物。
3.前記成分(C)が、ノニオン性及び/又はアニオン性フッ素系界面活性剤である上記1又は2に記載の硬化性組成物。
4.前記成分(B)が、分子内に6個以上の重合性不飽和基を有する化合物を含有する、上記1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
5.さらに、(D)313nmにおけるモル吸光係数が5000L/mol・cm以下である光重合開始剤を含有する上記1〜4のいずれかに記載の硬化性組成物。
6.前記成分(D)が、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンからなる群から選択される1種以上である、上記1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
7.さらに、(E)有機溶剤を含有する上記1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物。
8.上記1〜7のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化して得られる、表面抵抗値が1013Ω/□以下である硬化膜。
9.上記1〜7のいずれかに記載の硬化性組成物に放射線を照射して、該組成物を硬化せしめる工程を有する硬化膜の製造方法。
10.基材と、平均一次粒子径が10nm〜100nmであるPTO粒子を含有する硬化樹脂層とを有する帯電防止用積層体であって、該PTO粒子の少なくとも一部が、該硬化樹脂層の基材側の界面及び基材と反対側の界面の一方又は両方に実質的に集中して分布している、帯電防止用積層体。
11.前記硬化樹脂層が、上記1〜7のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化して得られたものである、帯電防止用積層体。
12.表面抵抗値が1013Ω/□以下である、上記11に記載の帯電防止用積層体。
13.基材と、平均一次粒子径が10nm〜100nmであるPTO粒子を含有する硬化樹脂層とを有する帯電防止用積層体であって、該PTO粒子の少なくとも一部が、該硬化樹脂層の基材側の界面及び基材と反対側の界面の一方又は両方に実質的に集中して分布している帯電防止用積層体の製造方法であって、基材上に上記1〜7のいずれかに記載の硬化性組成物を塗布する工程、及び該硬化性組成物に放射線を照射して、該組成物を硬化せしめる工程を有する、帯電防止用積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、導電性粒子の含有量が低くても、充分な導電性を発現させることができ、帯電防止性能に優れた硬化膜を得ることができる。また、導電性粒子の含有量が低いため、透明性に優れており、高い導電性と透明性を同時に必要とする光学用途に用いるのに好適な材料を得ることができる。
本発明の帯電防止積層体は、導電性粒子の少なくとも一部が、基材と反対側界面に集中して分布している硬化樹脂層を有し、導電性粒子が偏在していることによって、導電性粒子の含有率が低くても十分な帯電防止性能が発揮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
I.硬化性組成物
本発明の硬化性組成物は、下記成分(A)〜(F)を含み得る。これらの成分のうち、成分(A)〜(C)は必須成分であり、成分(D)〜(F)は、必要に応じて添加することができる任意成分である。
(A)平均一次粒子径が10nm〜100nmである、リン含有酸化錫を主成分とする粒子
(B)分子内に2個以上の重合性不飽和基を有する化合物
(C)分子内にフッ素原子を含有する化合物
(D)313nmにおけるモル吸光係数が5000L/mol・cm以下である光重合開始剤
(E)有機溶剤
(F)その他添加剤
以下、各成分について具体的に説明する。
【0014】
1.平均一次粒子径が10nm〜100nmである、リン含有酸化錫を主成分とする粒子(A)
本発明に用いられる成分(A)は、得られる硬化性組成物の硬化被膜の導電性を発現させるのに必須な成分である。リン含有酸化錫(PTO)を主成分とする粒子(以下、「PTO粒子」という。)は、導電性粒子として、得られる硬化膜に良好な帯電防止性能を付与することができる。
【0015】
PTO粒子の粉体としての市販品としては、例えば、触媒化成工業(株)製 商品名:ELCOM TL−30S(PTO)や、三菱マテリアル(株)製 商品名:EP SP2を挙げることができる。
【0016】
PTO粒子(A)は、粉体又は溶媒に分散した状態で用いることができるが、均一分散性が得易いことから、溶媒中に分散した状態で用いることが好ましい。PTO粒子が粉体である場合に、溶媒に均一分散させるために分散剤を用いてもよい。このような分散剤としては、例えば、旭電化工業(株)製界面活性剤であるTR701、TR702、TR704等が挙げられる。
【0017】
PTO粒子(A)を溶媒に分散した市販品としては、例えば、触媒化成工業(株)製 商品名:ELCOM JX−1001PTV(プロピレングリコールモノメチルエーテル分散のPTO)を挙げることができる。
【0018】
PTO粒子(A)の平均一次粒子径は、10〜100nmである。好ましくは10〜50nmである。粒子径は、透過型電子顕微鏡により測定する。粒子径が10nm未満であると、導電性が不足することがあり、100nmを超えると、組成物中で沈降が発生したり、塗膜の平滑性が低下したりする場合がある。PTO粒子の形状は、特に限定されず、球状、棒状、針状等であってもよい。
尚、形状が針状のように細長い場合、乾燥粉末を電子顕微鏡で観察し、数平均の粒子径として求めた値として、短軸平均粒子径が10〜50nm、長軸数平均粒子径が100〜2,000nmであることが好ましい。長軸粒子径が2,000nmを超えると、組成物中で沈降が発生する場合がある。
【0019】
本発明の組成物中における成分(A)の配合量は、有機溶剤を除く固形分全量を100質量%として、1質量%以上25質量%未満である。好ましくは、1〜20質量%であり、さらに好ましくは、2〜15質量%である。
配合量が1質量%未満では、帯電防止性が劣るおそれがあり、25質量%以上では、透明性が低下するおそれがある。
ここで、成分(A)の配合量は、その固形分としての配合量をいう。
【0020】
本発明の組成物を基材上に塗布した後、放射線を照射して硬化させて硬化膜とすると、成分(A)のPTO粒子が、硬化膜の基材側界面、もしくは、硬化膜の基材と反対側の界面(以下、「空気側界面」という。)近傍、もしくは、両界面近傍に実質的に集中して分布する。ここで、「実質的に集中して分布する」とは、PTO粒子が集中している界面近傍とそれ以外の部分(硬化膜の中央部又はPTO粒子が集中していない側の界面)の粒子の分布密度に有意な差があることを意味し、硬化膜中の全てのPTO粒子が、界面近傍に存在していなくてもよい。つまり、硬化膜内に、PTO粒子の分布密度(単位体積当たりのPTO粒子の数)が比較的低い部分とPTO粒子の分布密度が比較的高い部分がそれぞれ形成されていればよく、例えば、一部のPTO粒子が硬化膜内部に存在していても、界面近傍にPTO粒子の分布密度が高い領域が形成されていればよい。
PTO粒子の分布密度が比較的低い部分は、基材に接して硬化膜の厚み方向の大部分を形成する。一方、PTO粒子の分布密度が比較的高い部分は、空気界面近傍、もしくは、基材界面近傍、もしくは、両界面近傍のPTO粒子1個〜数十個程度に相当する厚さを占める部分を形成し、典型的には、一方の界面近傍にPTO粒子の二次凝集体がほぼ一線に並んだ領域を形成する。このようなPTO粒子の分布密度が比較的高い部分の厚さは、平均一次粒子径が20nm程度のPTO粒子を用いた場合には、典型的には、本発明の硬化性組成物を硬化させて得られる硬化樹脂層の1/10程度である。PTO粒子がこのように分布した場合には、1013Ω/□以下、もしくは、それより良好な表面抵抗値が得られる。組成物中のPTO粒子の配合量は低いにもかかわらず、PTO粒子が硬化膜の一部分に集中して導電性を有する層を形成していると考えられる。透過型電子顕微鏡で観察した典型的な硬化膜断面を図1及び図2に示す。図1(実施例2)は、PTO粒子が基材側及び基材の反対側界面の両方に実質的に集中して存在している場合を示すものであり、図2(実施例3)は、PTO粒子が基材側界面に実質的に集中して存在している場合を示すものである。
【0021】
本発明において、成分(A)は表面処理剤により表面処理した酸化物粒子であってもよい。表面処理を行うことにより、硬化物の耐擦傷性を改善することができる。
表面処理は、公知の方法で行うことができる(例えば、特開2003−105034号公報参照)。
本発明では、表面処理剤として2以上の重合性不飽和基、下記式(1)に示す基、及びシラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基を有する化合物が好ましく使用できる。
−X−C(=Y)−NH− (1)
[式(1)中、Xは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Yは、O又はSを示す。]
【0022】
重合性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基やビニル基等が挙げられる。
式(1)に示す基は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=S)−NH−]、及び[−S−C(=S)−NH−]の6種である。この中で、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]又は[−S−C(=O)−NH−]が好ましい。これらの基は、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]基を必須とし、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1を併用することが好ましい。前記式(1)に示す基[−X−C(=Y)−NH−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材との密着性及び耐熱性等の特性を付与せしめるものと考えられる。
【0023】
シラノール基を生成する化合物としては、ケイ素原子にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が結合した化合物を挙げることができる。ケイ素原子にアルコキシ基又はアリールオキシ基が結合した化合物、即ち、アルコキシシリル基含有化合物又はアリールオキシシリル基含有化合物が好ましい。
シラノール基又はシラノール基を生成する化合物のシラノール基生成部位は、縮合反応又は加水分解に続いて生じる縮合反応によって、シリカ粒子と結合する構成単位である。
【0024】
表面処理剤の具体例としては、例えば、下記式(2)に示す化合物を挙げることができる。
【0025】
【化1】

式(2)中、R、Rは、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基若しくはアリール基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、フェニル、キシリル基等を挙げることができる。ここで、jは、1〜3の整数である。
【0026】
[(RO)3−jSi−]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。
は、炭素数1〜12の脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基であり、鎖状、分岐状又は環状の構造を含んでいてもよい。具体例として、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキサメチレン、シクロヘキシレン、フェニレン、キシリレン、ドデカメチレン等を挙げることができる。
は、2価の有機基であり、通常、分子量14から1万、好ましくは、分子量76から500の2価の有機基の中から選ばれる。具体例として、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン、ノルボルニレン等の脂環式又は多環式の2価の有機基;フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ポリフェニレン等の2価の芳香族基;及びこれらのアルキル基置換体、アリール基置換体を挙げることができる。また、これら2価の有機基は炭素及び水素原子以外の元素を含む原子団を含んでいてもよく、ポリエーテル結合、ポリエステル結合、ポリアミド結合、ポリカーボネート結合を含むこともできる。
は、(k+1)価の有機基であり、好ましくは、鎖状、分岐状又は環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基の中から選ばれる。
Zは、活性ラジカル種の存在下、分子間架橋反応をする重合性不飽和基を分子中に有する1価の有機基を示す。また、kは、好ましくは、1〜20の整数であり、さらに好ましくは、1〜10の整数、特に好ましくは、1〜5の整数である。
【0027】
式(2)で示される化合物の具体例として、下記式(3)又は下記式(4)で示される化合物が挙げられる。
【0028】
【化2】

[式(3)及び(4)中、「Acryl」は、アクリロイル基を示す。]
【0029】
本発明で用いられる表面処理剤の合成は、例えば、特開平9−100111号公報に記載された方法を用いることができる。好ましくは、メルカプトプロピルトリメトキシシランとイソホロンジイソシアネートをジブチルスズジラウレート存在下で混合し、60〜70℃で数時間程度反応させた後に、ペンタエリスリトールトリアクリレートを添加して、さらに60〜70℃で数時間程度反応させることにより製造される。典型的には、式(3)で示される化合物と式(4)で示される化合物の混合物が得られる。
【0030】
2.分子内に2以上の重合性不飽和基を有する化合物(B)
本発明に用いられる成分(B)は、分子内に2以上の重合性不飽和基を有する化合物であり、得られる硬化性組成物の硬化膜の成膜性、透明性を向上させることができる。成分(B)を用いることにより、優れた耐擦傷性、有機溶剤耐性を有する硬化物が得られる。
【0031】
成分(B)の具体例としては、例えば、分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリルエステル類、分子内に2以上のビニル基を有する多官能ビニル化合物類を挙げることができる。
多官能(メタ)アクリルエステル類としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(「トリシクロデカンジイルジメタノールジ(メタ)アクリレート」とも言う)、及びこれらの化合物を製造する際の出発アルコール類のエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物のポリ(メタ)アクリレート類、分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエステル(メタ)アクリレート類、オリゴエーテル(メタ)アクリレート類、オリゴウレタン(メタ)アクリレート類、及びオリゴエポキシ(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。
【0032】
多官能ビニル化合物類としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等を挙げることができる。中でも、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメタノールジ(メタ)アクリレートが好ましい。これら(B)成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0033】
上記(B)成分のうち、特に分子内に6個以上の重合性不飽和基を有する化合物が好ましい。
本発明の組成物中における成分(B)の配合量は、有機溶剤を除く固形分全量を100質量%として、好ましくは74〜98質量%、より好ましくは79〜95質量%である。成分(B)の配合量が74質量%未満では、得られる硬化物の透明性が低下する場合があり、98質量%を超えると、帯電防止性が劣る場合がある。
【0034】
3.分子内にフッ素原子を含有する化合物(C)
本発明で用いる成分(C)は、分子内にフッ素原子を含有する化合物(以下、「フッ素含有化合物」という)であり、組成物の基材への塗布性を高めるために通常用いられるが、意外なことに、成分(C)を配合することにより、硬化膜とした際の硬度を向上させることができる。さらに、PTO粒子(A)が基材との界面又は空気との界面近傍に偏在化するのを促進することができ、それによって、PTO粒子の配合量が少なくても優れた帯電防止性能が得られる。
【0035】
含フッ素化合物(C)は、フッ素系界面活性剤類又は含フッ素(メタ)アクリルエステル類であることが好ましく、フッ素系界面活性剤類がより好ましい。フッ素系界面活性剤としては、ノニオン性フッ素系界面活性剤及びアニオン性フッ素系界面活性剤のいずれか一方又は両方を用いることができるが、溶剤への溶解性の点からノニオン系フッ素界面活性剤が好ましい。
【0036】
フッ素系界面活性剤の市販品の例としては、大日本インキ化学工業(株)社製 商品名:メガファックF−142D、F−144D、F−171、F−172、F−173、F−177、F−178A、F−178K、F−179、F−179A、F−183、F−184、F−191、F−812、F−815、F−1405、F410、F−443、F−445、F−450、F−471、F−472SF、F475、F−479、F―482、R−30、MCF−350、TF1025、(株)ジェムコ製 商品名:EFTOP EF−101、EF−121、EF−122B、EF−122C、EF−122A3、EF−121、EF−123A、EF−123B、EF−126、EF−127、EF−301、EF−302、EF−351、EF−352、EF−601、EF−801、EF−802、(株)ネオス製 商品名:フタージェント250、251、222F、FTX−218、212M、245M、290M、FTX−207S、FTX−211S、FTX−220S、FTS−230S、FTX−209F、FTX−213F、FTX−233F、FTX−245F、FTX−208G、FTX−218G、FTX−230G、FTS−240G、FTX−204D、FTX−208D、FTX−212D、FTX−216D、FTX−218D、FTX−220D、FTX−222D、FTX−720C、FTX−740C、セイミケミカル(株)製 商品名:サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145、S−381、S−383、S−393、S−101、KH−40、SA−100等を挙げることができる。これらの中で、PTO粒子の偏在化の観点からメガファックF−445、フタージェント222F等が好ましい。
【0037】
含フッ素(メタ)アクリルエステルの市販品の例としては、LINC−1001:商品名、共栄社製フッ素アクリレート、CN4000:商品名、サートマー社製フッ素アクリレート、メガファックF−470:商品名、大日本インキ社製パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、メガファックF−1405:商品名、大日本インキ社製パーフルオロアルキル基含有オリゴマー等が挙げられる。
【0038】
本発明の組成物中における成分(C)の配合量は、有機溶剤を除く固形分全量を100質量%として、0.01〜10質量%配合することが好ましく、0.1〜5質量%がさらに好ましい。配合量が0.01質量%未満であると、PTO粒子の偏在性が十分でないおそれがあり、又は10質量%を超えると、硬化膜としたときの硬度が不十分になるおそれがある。
【0039】
4.光重合開始剤(D)
本発明で用いる成分(D)は、313nmにおけるモル吸光係数が5,000L/mol・cm以下である光重合開始剤である。ここで、光重合開始剤の313nmにおけるモル吸光係数とは、1cmの吸収層に対する313nmにおける溶液の吸光度とモル濃度の比を意味する。このような吸光特性を有する光重合開始剤を用いることにより、硬化膜の表面抵抗を充分に下げることができる。313nmにおけるモル吸光係数が5,000L/mol・cmを超える光重合開始剤を用いた場合には、PTO粒子が界面に集中して分布した態様の硬化膜が得られないため、硬化膜の表面抵抗が高く、十分な帯電防止性能が得られない。
【0040】
本発明の硬化性組成物は、放射線を照射することだけで硬化するが、成分(D)は、上記の機能の他、硬化速度をさらに高めることができる。
尚、本発明において、放射線とは、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等を意味する。
【0041】
成分(D)として用いることができる光重合開始剤としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等が挙げられる。
【0042】
本発明の組成物中における成分(D)の配合量は、有機溶剤を除く固形分全量を100質量%として、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%である。成分(D)は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。成分(D)の配合量が0.1質量%未満では、硬化不良を起こすおそれがあり、15質量%を超えると、過剰量の成分により硬化膜の強度が低下するおそれがある。
【0043】
5.有機溶剤(E)
本発明に用いられる有機溶剤(E)は、特に制限されるものではないが、通常、常圧での沸点が200℃以下の溶剤が好ましい。具体的には、水、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、炭化水素類、アミド類等が用いられる。これらは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。具体的には、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール等が挙げられ、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトンが好ましい。
尚、PTO粒子(A)を溶剤に分散させた分散液を用いる場合には、この分散媒である溶剤が組成物中に混入するが、(E)成分としてこの分散体の溶剤を用いてもよいし、異なる溶剤を添加してもよい。
【0044】
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、エトキシエタノール、ブトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等を挙げることができる。ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等を挙げることができる。エーテル類としては、例えば、ジブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等を挙げることができる。エステル類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等を挙げることができる。炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレン等を挙げることができる。アミド類としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
【0045】
本発明の組成物中における有機溶剤(E)の配合量は、有機溶剤を除く固形分全量を100質量部として、50〜10,000質量部、好ましくは50〜3,000質量部である。
【0046】
6.その他の添加剤(F)
本発明の組成物には、成分(A)〜成分(E)以外の添加剤として、その他の重合性不飽和基を有する化合物、非導電性粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、滑剤等を必要に応じて配合することができる。
【0047】
(1)重合性不飽和基を有する化合物
添加剤としての重合性不飽和基を有する化合物とは、分子内に重合性不飽和基を1つ有する化合物である。
分子内に重合性不飽和基を1つ有する化合物の具体例としては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル基含有ラクタム、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式構造含有(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、下記式(5)で表される化合物等が挙げられる。
CH=C(R11)−COO(R12O)−Ph−R13 式(5)
(式中、R11は水素原子又はメチル基を示し、R12は炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレン基を示し、R13は水素原子又は炭素数1〜12、好ましくは1〜9のアルキル基を示し、Phはフェニレン基を示し、pは0〜12、好ましくは1〜8の数を示す。)
【0048】
分子内に重合性不飽和基を1つ有する化合物の市販品としては、アロニックス M−101、M−102、M−111、M−113、M−114、M−117(以上、東亜合成(株)製);ビスコート LA、STA、IBXA、2−MTA、#192、#193(大阪有機化学(株)製);NK エステル AMP−10G、AMP−20G、AMP−60G(以上、新中村化学工業(株)製);ライトアクリレート L−A、S−A、IB−XA、PO−A、PO−200A、NP−4EA、NP−8EA(以上、共栄社化学(株)製);FA−511、FA−512A、FA−513A(以上、日立化成工業(株)製)等が挙げられる。
【0049】
本発明の組成物中における分子内に重合性不飽和基を1つ有する化合物の配合量は、有機溶剤を除く固形分全量を100質量%として、好ましくは0〜24質量%、より好ましくは0〜10質量%である。成分(E)の配合量が30質量%を超えると、鉛筆硬度が劣る場合がある。
【0050】
(2)非導電性粒子
本発明の組成物には、硬化性組成物が分離、ゲル化等の不具合を起こさない範囲で、非導電性粒子、又は非導電性粒子とアルコキシシラン化合物とを有機溶媒中で反応させて得られる粒子を併用してもよい。
【0051】
非導電性粒子を、導電性粒子であるPTO粒子(A)と併用することにより、帯電防止機能、即ち、硬化膜としたときの表面抵抗として1013Ω/□以下の値を維持しながら、耐擦傷性を向上させることができる。
【0052】
このような非導電性粒子としては、PTO粒子(A)以外の粒子であれば特に制限されない。好ましくは、PTO粒子(A)以外の酸化物粒子又は金属粒子である。具体的には、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタニウム、酸化セリウム等の酸化物粒子、又はケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、及びセリウムよりなる群から選ばれる2種類以上の元素を含む酸化物粒子を挙げることができる。
【0053】
非導電性粒子の一次粒子径は、透過型電子顕微鏡によって求めた値として、好ましくは、0.1μm以下であり、さらに好ましくは、0.001〜0.05μmである。0.1μmを超えると、組成物中で沈降が発生したり、塗膜の平滑性が低下することがある。
【0054】
非導電性粒子を本発明の組成物に配合する場合、非導電性粒子とアルコキシシラン化合物とを有機溶媒中で加水分解した後混合してもよい。この処理により、非導電性粒子の分散安定性が良好になる。
【0055】
非導電性粒子の市販品として、例えば、酸化ケイ素粒子(例えば、シリカ粒子)としては、コロイダルシリカとして、日産化学工業(株)製 商品名:メタノ−ルシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等を挙げることができる。また粉体シリカとしては、日本アエロジル(株)製 商品名:アエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50、旭硝子(株)製 商品名:シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製 商品名:E220A、E220、富士シリシア(株)製 商品名:SYLYSIA470、日本板硝子(株)製 商品名:SGフレ−ク等を挙げることができる。
また、酸化アルミニウム(アルミナ)の水分散品としては、日産化学工業(株)製 商品名:アルミナゾル−100、−200、−520;酸化ジルコニウムの分散品としては、住友大阪セメント(株)製(トルエン、メチルエチルケトン分散のジルコニアゾル);酸化セリウム水分散液としては、多木化学(株)製 商品名:ニードラール;アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタニウム、等の粉末及び溶剤分散品としては、シーアイ化成(株)製 商品名:ナノテック等を挙げることができる。
【0056】
(3)酸化防止剤としては、チバスペシャルティケミカルズ(株)製 商品名:イルガノックス1010、1035、1076、1222等が挙げられる。
(4)紫外線吸収剤としては、チバスペシャルティケミカルズ(株)製 商品名:チヌビン P234、320、326、327、328、213、329、シプロ化成(株)製 商品名:シーソーブ102、103、501、202、712等が挙げられる。
(5)光安定剤としては、チバスペシャルティケミカルズ(株)製 商品名:チヌビン292、144、622LD、三共(株)製 商品名:サノ−ルLS770、LS440、住友化学工業(株)製 商品名:スミソーブ TM−061等を挙げることができる。
(6)熱重合安定剤としては、和光純薬工業(株)製パラメトキシフェノール等を挙げることができる。
【0057】
本発明の組成物中における成分(F)の配合量は、有機溶剤を除く固形分全量を100質量%として、好ましくは0.01〜1質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%である。配合量が0.01質量%未満であると、組成物の貯蔵安定性が悪くなるおそれがあり、又は0.5質量%を超えると、硬化膜としたときの硬度が不十分になるおそれがある。
【0058】
このようにして得られた本発明の組成物の粘度は、通常25℃において、1〜20,000mPa・sであり、好ましくは1〜1,000mPa・sである。
【0059】
8.組成物の調製方法
本発明の組成物は、上記(A)PTO粒子、(B)分子内に2以上の重合性不飽和基を有する化合物、(C)分子内にフッ素原子を含有する化合物、(D)光重合開始剤、(E)有機溶剤、及び必要に応じて、(F)その他の重合性不飽和基を有する化合物、添加剤、非導電性粒子をそれぞれ添加して、室温又は加熱条件下で混合することにより調製することができる。具体的には、ミキサ、ニーダー、ボールミル、三本ロール等の混合機を用いて、調製することができる。
【0060】
II.硬化膜・帯電防止用積層体
本発明の硬化膜は、上述の硬化性組成物を塗布、乾燥した後に、放射線を照射して、組成物を硬化させることにより得ることができる。
得られた硬化膜の表面抵抗は、1013Ω/□以下、好ましくは1011Ω/□以下、より好ましくは10Ω/□以下である。表面抵抗が1013Ω/□を超えると、帯電防止性能が十分でなく、埃が付着し易くなったり、付着した埃を容易に除去できないおそれがある。
【0061】
組成物の塗布方法としては特に制限はないが、例えば、ロールコート、スプレーコート、フローコート、デイピング、スクリーン印刷、インクジェット印刷等の公知の方法を適用することができる。
【0062】
組成物の硬化に用いる放射線の線源としては、組成物を塗布後、短時間で硬化させ得るものである限り特に制限はない。
可視光線の線源としては、例えば、直射日光、ランプ、蛍光灯、レーザー等を、また、紫外線の線源としては、例えば、水銀ランプ、ハライドランプ、レーザー等を、また、電子線の線源としては、例えば、市販されているタングステンフィラメントから発生する熱電子を利用する方式、金属に高電圧パルスを通じて発生させる冷陰極方式及びイオン化したガス状分子と金属電極との衝突により発生する2次電子を利用する2次電子方式等を挙げることができる。
α線、β線及びγ線の線源としては、例えば、60Co等の核分裂物質を挙げることができ、γ線については、加速電子を陽極へ衝突させる真空管等を利用することができる。これら放射線は、1種単独で、又は2種以上を同時に照射してもよく、また、1種以上の放射線を、一定期間をおいて照射してもよい。
【0063】
本発明の硬化膜は、優れた耐擦傷性、密着性を有するため、ハードコートとして有用である。また、優れた帯電防止機能を有するため、フィルム状、板状、又はレンズ等の各種形状の基材に配設されることにより帯電防止膜として有用である。
【0064】
本発明の帯電防止用積層体は、基材と、平均一次粒子径が10nm〜100nmであるPTO粒子を含有する硬化樹脂層とを有する帯電防止用積層体であって、該PTO粒子の少なくとも一部が、該硬化樹脂層の基材側の界面及び基材と反対側の界面の一方又は両方に実質的に集中して分布している。ここで、硬化樹脂層とは、放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を硬化させて得られる硬化物を含有してなる層をいう。好ましくは、このような帯電防止用積層体は、本発明の硬化膜を基材上に形成することにより作製できる。この場合、硬化膜の膜厚は、0.1〜20μmであることが好ましい。タッチパネル、CRT等の最表面での耐擦傷性を重視する用途では比較的厚く、好ましくは2〜20μmである。一方、光学フィルムの帯電防止膜として用いる場合、好ましくは0.1〜10μmである。
本発明の帯電防止積層体の表面抵抗は、好ましくは1013Ω/□以下、より好ましくは10Ω/□以下である。表面抵抗が1013Ω/□を超えると、帯電防止性能が十分でなく、埃が付着し易くなったり、付着した埃を容易に除去できない場合がある。
また、光学フィルムへ用いる場合、透明性が必要であり、全光線透過率が85%以上であることが好ましい。
【0065】
基材としては、金属、セラミックス、ガラス、プラスチック、木材、スレート等、特に制限はないが、放射線硬化性という生産性の高い、工業的有用性を発揮できる材料として、例えば、フィルム、ファイバー状の基材に好ましく適用される。特に好ましい材料は、プラスチックフィルム、プラスチック板である。そのようなプラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン/ポリメチルメタクリレート共重合体、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリオレフィン、トリアセチルセルロース樹脂、ジエチレングリコールのジアリルカーボネート(CR−39)、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、環化ポリオレフィン樹脂(例えば、ノルボルネン系樹脂)等を挙げることができる。
尚、本発明の積層体は、基材及び本発明の放射線硬化性組成物を硬化させてなる硬化樹脂層以外に、必要に応じて各種の機能を有する層を有していてもよい。このような層としえは、例えば、反射防止膜層、リップル防止層等が挙げられる。
【0066】
本発明の硬化膜や帯電防止用積層体の適用例としては、例えば、タッチパネル用保護膜、転写箔、光ディスク用ハードコート、自動車用ウインドフィルム、レンズ用の帯電防止保護膜、化粧品容器等の高意匠性の容器の表面保護膜等主として製品表面傷防止や静電気による塵埃の付着を防止する目的でなされるハードコートとしての利用等を挙げることができる。
【実施例】
【0067】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものではない。尚、以下において、部、%は、特に断らない限り、それぞれ質量部、質量%を示す。
【0068】
実施例1
(1)硬化性組成物の製造
紫外線を遮蔽した容器中において、PTO粒子分散液(触媒化成工業(株)製 ELCOM TL−30S、分散溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、PTO粒子濃度28.5質量%、平均一次粒子径20nm、分散剤:旭電化工業(株)製界面活性剤 TR701、1.5質量%含有。)30.70g、DPHA(日本化薬(株)製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物)155.27g、メガファックF445(大日本インキ化学工業(株)製、パーフルオロアルキル基含有ポリオキシエチレンエーテル)5.25g、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(日本チバガイギー(株)製光重合開始剤 イルガキュア184)5.25g、パラメトキシフェノール0.02g、及び、メタノール278.20g、PGME25.31gを50℃で2時間攪拌することで均一な溶液の組成物500gを得た。
得られた組成物2.0gをアルミ皿に秤量後、140℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、35質量%であった。また、組成物2.0gを磁性るつぼに秤量後、80℃のホットプレート上で30分予備乾燥し、750℃のマッフル炉中で1時間焼成した後の無機残渣より、固形分中の無機含量を求めたところ、5質量%であった。
【0069】
(2)硬化膜フィルムの作製
上記(1)で得られた組成物を、ワイヤーバーコータを用いて、片面に易接着処理を施したPETフィルム(膜厚100μm)上に塗工し、オーブン中、80℃、3分間の条件で乾燥した。次いで、大気中、高圧水銀ランプを用いて、0.3J/cmの光照射条件で塗膜を紫外線硬化させ、膜厚1.5μm前後の硬化膜(ハードコート層)を有するフィルムを作製した。
【0070】
(3)硬化膜フィルムの物性評価
上記(2)で得られた硬化膜フィルムのPTO粒子偏在性、ヘーズ、全光線透過率及び表面抵抗を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
【0071】
(a)PTO粒子の偏在性
得られた硬化膜の断面を透過型電子顕微鏡で観察し、PTO粒子が、硬化膜の両界面、もしくは、片方の界面近傍に集中して分布している場合を「○」、PTO粒子が、硬化膜の両界面、もしくは、片方の界面近傍に集中して分布しているが、硬化膜内部にPTO粒子の一部が残っている場合を「△」、PTO粒子が、硬化膜の両界面、もしくは、片方の界面近傍に実質的に集中して分布しているとは言えない場合を「×」と評価した。
【0072】
(b)ヘーズ
硬化膜フィルムのヘーズ(%)を、カラーヘーズメーター(スガ試験機(株)製)を用いて、JIS K7105に準拠して測定した。
【0073】
(c)全光線透過率
硬化膜フィルムの全光線透過率(%)を、カラーヘーズメーター(スガ試験機(株)製)を用いて、JIS K7105に準拠して測定した。
(d)表面抵抗
硬化膜フィルムの表面抵抗(Ω/□)を、ハイ・レジスタンス・メーター(アジレント・テクノロジー(株)製 Agilent4339B)、及びレジスティビティ・セル16008B(アジレント・テクノロジー(株)製)を用い、印加電圧100Vの条件で測定した。
【0074】
実施例2〜6及び比較例1
表1に示す成分を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2〜6及び比較例1の放射線硬化性組成物を製造し、硬化膜を作製し、硬化膜の物性評価を行った。得られた結果を表1に示す。また、実施例2、実施例3、実施例6及び比較例1で得られた硬化膜断面の透過型電子顕微鏡写真を図1〜4にそれぞれ示す。図1(実施例2)では、基材側界面及び空気側界面の両方に近傍にPTO粒子が集中して分布しており、図2(実施例3)では、基材側界面の近傍にPTO粒子が集中して分布しており、図3(実施例6)では、PTO粒子が、硬化膜の両界面に集中して分布しているが、硬化膜内部にもPTO粒子の一部が残って分布している。図4(比較例1)では、PTO粒子は同界面近傍にはほとんど集中しておらず、硬化膜内部に二次凝集体が分布している。
【0075】
【表1】

【0076】
表1中の略号はそれぞれ下記のものを表す。
PTO粒子:触媒化成(株)製、ELCOM TL−30S、メジアン径60nm
分散剤:旭電化工業(株)製界面活性剤、TR701
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(日本化薬(株)製 商品名 KAYARAD DPHA)
フタージェント222F:(株)ネオス製ノニオン性フッ素系界面活性剤、α−ペルフルオロノネニルオキシ−ω−ペルフルオロノネニルポリエチレンオキシド
メガファックF445:大日本インキ化学工業(株)製ノニオン性フッ素系界面活性剤、パーフルオロアルキル基含有ポリオキシエチレンエーテル
ビスコート4F:大阪有機化学工業(株)製含フッ素(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピルアクリレート
イルガキュア184:日本チバガイギー(株)製光重合開始剤、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(313nmにおけるモル吸光係数:80L/mol・cm)
【0077】
表1の結果から、PTO粒子量が同等(10部)であるとき、フッ素含有化合物、特に、フッ素系界面活性剤やフッ素系アクリレートを使用することで、偏在性が良好となり、その結果、ヘ−ズがほぼ同等で、表面抵抗が良好となることが分かる。また、フッ素系界面活性剤を使用することで、PTO粒子量を5部と少なくしても、偏在性が良好となり、5部のPTO粒子量で、10部のPTO粒子量とヘーズ同等で、表面抵抗が同等以上まで発現できることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明によれば、硬化性に優れ、かつ、各種基材の表面に、帯電防止性、硬度、耐擦傷性、及び透明性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る硬化性組成物を提供することができる。
本発明の硬化膜は、例えば、タッチパネル用保護膜、転写箔、光ディスク用ハードコート、自動車用ウインドフィルム、レンズ用の帯電防止保護膜、化粧品容器等の高意匠性の容器の表面保護膜等主として製品表面傷防止や静電気による塵埃の付着を防止する目的でなされるハードコートとして利用することができる。
本発明の帯電防止用積層体は、例えば、タッチパネル、転写箔、光ディスク用ハードコート、自動車用ウインドフィルム、化粧品容器等の高意匠性の容器等に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】実施例2で得られた硬化膜断面を示す透過型電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例3で得られた硬化膜断面を示す透過型電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例6で得られた硬化膜断面を示す透過型電子顕微鏡写真である。
【図4】比較例1で得られた硬化膜断面を示す透過型電子顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)〜(C):
(A)平均一次粒子径が10nm〜100nmである、リン含有酸化錫を主成分とする粒子
(B)分子内に2個以上の重合性不飽和基を有する化合物
(C)分子内にフッ素原子を含有する化合物
を含有する硬化性組成物。
【請求項2】
組成物中の有機溶剤を除く固形分全量を100質量%としたときに、前記成分(A)を、1質量%以上25質量%未満の割合で含有する請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記成分(C)が、ノニオン性及び/又はアニオン性フッ素系界面活性剤である請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記成分(B)が、分子内に6個以上の重合性不飽和基を有する化合物を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
さらに、(D)313nmにおけるモル吸光係数が5000L/mol・cm以下である光重合開始剤を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記成分(D)が、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンからなる群から選択される1種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
さらに、(E)有機溶剤を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化して得られる、表面抵抗値が1013Ω/□以下である硬化膜。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性組成物に放射線を照射して、該組成物を硬化せしめる工程を有する硬化膜の製造方法。
【請求項10】
基材と、平均一次粒子径が10nm〜100nmであるPTO粒子を含有する硬化樹脂層とを有する帯電防止用積層体であって、該PTO粒子の少なくとも一部が、該硬化樹脂層の基材側の界面及び基材と反対側の界面の一方又は両方に実質的に集中して分布している、帯電防止用積層体。
【請求項11】
前記硬化樹脂層が、請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化して得られたものである、帯電防止用積層体。
【請求項12】
表面抵抗値が1013Ω/□以下である、請求項11に記載の帯電防止用積層体。
【請求項13】
基材と、平均一次粒子径が10nm〜100nmであるPTO粒子を含有する硬化樹脂層とを有する帯電防止用積層体であって、該PTO粒子の少なくとも一部が、該硬化樹脂層の基材側の界面及び基材と反対側の界面の一方又は両方に実質的に集中して分布している帯電防止用積層体の製造方法であって、基材上に請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性組成物を塗布する工程、及び該硬化性組成物に放射線を照射して、該組成物を硬化せしめる工程を有する、帯電防止用積層体の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−115248(P2008−115248A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−298766(P2006−298766)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】