説明

磁気予圧及び運動誤差補正機能を有する定圧ベアリング移送装置

本発明は、永久磁石の磁力による予圧を発生させ、予圧に作用される磁力を変化させ、定圧ベアリングの浮上間隙を調整することのできる、磁気予圧及び運動誤差補正機能を有する定圧ベアリング移送装置を提供するものである。このために、本発明の構成は、テーブルと向い合う一側面にだけガイド面が形成されるガイドと、前記ガイド面と対応するように定圧ベアリングパッドが配置されるテーブルと、前記ガイドとテーブルの間に予圧を発生させる磁気予圧装置と、前記磁気予圧装置を制御する制御器及び該当電流を印加させる電力増幅器の具備された運動誤差補償制御手段とを含み、前記磁気予圧装置は、永久磁石と、前記永久磁石の磁力線と同一線上に位置するコアに巻線される電磁石コイルから成り、前記磁気予圧装置が定圧ベアリングパッドとガイドの間で予圧に作用して、磁気予圧及び運動誤差補正機能を有する定圧ベアリング移送装置を提供する。従って、本発明は、両面パッド型から単面パッド型に構造が改善されることによって、テーブルとガイドの単純化を図る一方、浮上間隙の誤差を補正して、定圧ベアリングガイドの運動誤差を減少させることができる効果がある。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、磁気予圧及び運動誤差補正機能を有する定圧ベアリング移送装置に関するもので、より詳細には、テーブルとガイドの構造が簡単で、磁力によって予圧を発生させ、予圧に発生する磁力を変化させて利用し浮上間隙を調整することのできる、磁気予圧及び運動誤差補正機能を有する定圧ベアリング移送装置を提供するものである。
【0002】
〔背景技術〕
定圧ベアリングの予圧は、永久磁石の磁力によって発生し、電磁石コイルによって予圧に発生する磁力を変化させて、定圧ベアリングの浮上間隙を維持するように構成するのだが、これは予圧による定圧ベアリングの剛性が間隙に反比例するからである。
【0003】
そして、前記の磁力は、電磁石コイルに印加する電流によって磁力の大きさを変化させ、定圧ベアリングが要求する浮上間隙を調節することができ、補正装置の構成によって移送系の移送方向に対する垂直方向の直線運動及び各運動誤差を補正することができる。
【0004】
従来は、図1に示したとおり、定圧ベアリングを利用する移送系の場合、十分な剛性を維持するために、テーブル10の下部に設置されるガイド20の両側面に定圧ベアリングを案内するガイド面21,22を同一に形成し、前記ガイド面21,22と向い合うように、テーブル10には一対のベアリングパッド30が並んで固定される両面パッド型に構成されている。
【0005】
従って、精密加工が要求されるガイド面21,22に対する加工誤差は、移送時の運動誤差に直接的に影響を与えるだけでなく、前記の移送誤差は、テーブル10の運動精密度を阻害する要因となる。
【0006】
また、従来はガイド面21,22が両側面とも同一に形成されていて、これらガイド面21,22の精密加工のための加工費が多大に所要され、一対のパッド3a、3bを必要としており、コストを上昇させるという問題点を抱えていた。
【0007】
〔発明の開示〕
〔発明が解決しようとする課題〕
そこで、本発明は、前記のような従来の問題点を解決するために、定圧ベアリングを使用する移送系に磁気予圧装置を適用して、構造の単純化を追求すると同時に、磁力の能動制御を介して運動誤差補正機能を有する定圧ベアリング移送装置を提供することをその目的とする。
【0008】
〔課題を解決するための手段〕
前記した目的を達成するために、本発明は、定圧ベアリングを利用する移送系において、テーブルと向い合う一側面にだけガイド面が形成されるガイドと、前記ガイド面と対応するように定圧ベアリングパッドが配置されるテーブルと、前記ガイドとテーブルの間に予圧を発生させる磁気予圧装置と、前記磁気予圧装置を制御する制御器及び前記制御信号によって該当電流を印加させる電力増幅器の具備された運動誤差補償制御手段とを含むことを特徴とする磁気予圧及び運動誤差補正機能を有する定圧ベアリング移送装置を提供する。
【0009】
前記磁気予圧装置は、永久磁石と、前記永久磁石の磁力線と同一線上に位置するコアと、前記コアに巻線される電磁石コイルが構成され、定圧ベアリングパッドとガイドの間で予圧を発生させ、予圧に作用する磁力を変化させて、定圧ベアリングの浮上間隙を補正するのはもちろん、補正装置の構成によって移送系の移送方向に対する垂直方向の直線運動及び各運動誤差を補正することのできる機能を有する定圧ベアリング移送装置を提供する。
【0010】
〔発明の効果〕
以上で説明したように、本発明の定圧ベアリングは、ガイドの一側面にガイド面を形成し、これと対応するテーブルには一つのパッドだけが固定される単面パッド型に構成されていて、テーブル及びガイドの嵩が減るのはもちろん、構造の単純化を図れるだけでなく、より精密な加工を必要とするガイド面を一側面にだけ形成するので、加工が容易で、これら加工による加工費などを節減することができ、磁気予圧装置は、永久磁石の磁力で定圧ベアリングに予圧を発生させると同時に、電磁石コイルを利用した磁力調節を介して定圧ベアリングの浮上間隙を調節するように構成することによって、テーブル移送時に発生する運動誤差を減少させることができ、移送系の精密度向上に大きく寄与することができるという効果がある。
【0011】
〔発明を実施するための最良の形態〕
以下、本発明の好ましい実施例を添付の図面を参照してより詳細に説明すると、次のとおりである。
【0012】
図2は、本発明による磁気予圧及び運動誤差補正機能を有する定圧ベアリング移送装置を説明するための断面図で、本発明は、定圧ベアリングを利用する移送系において、テーブル10を案内するガイド20の一側面にだけガイド面21が形成され、テーブル10には多数の定圧ベアリングパッド30が前記ガイド面21と対応するように固定され、テーブル10には磁力によって予圧を発生させ、予圧に作用する磁力を変化させて定圧ベアリングの浮上間隙を調節する磁気予圧装置40が設置される。
【0013】
前記磁気予圧装置40は、テーブル10の両側に設置され、テーブル10とガイド20の間で引力に作用し、要求される浮上間隙と定圧ベアリングの浮上力と平衡を成すことができる予圧が発生され得るように構成されている。
【0014】
前記磁気予圧装置40は、磁気予圧を発生する永久磁石41と、前記永久磁石41が固定されるコア43と、前記永久磁石41の磁力線と同一線上に位置するコア43と、前記コア43に巻かれる電磁石コイル42とで構成され、前記永久磁石41は、テーブル10に支持される固定ブラケット45によって支持固定される。
【0015】
また、前記磁気予圧装置40は、永久磁石41から発生した磁力線と電磁石コイル42に印加される電流の方向による磁力の大きさを調節、つまり電磁石コイル42の電流の強さ変化によって、定圧ベアリングパッド30とガイド20間の間隙Gを調整するように構成される。
【0016】
磁気予圧装置40は、要求される予圧力に合うように、永久磁石41の材質と大きさ、コア43の断面積、そしてコア43とガイド面21の間隔を変数に設計するのが好ましい。
【0017】
この時、テーブル10に設置される定圧ベアリングパッド30とガイド20間の間隔は、10μmを維持するようにし、磁気予圧装置40のコア43とガイド20は、500〜2000μm程度の間隔を維持するようにする。
【0018】
そして、本発明の定圧ベアリング移送装置は、別途のリニアモーター(Linear motor)50またはボールスクリュー、ボイス電磁石コイルモーターなどで構成され、直線運動させることのできるアクチュエーターの構成によって直線運動させるようにし、これらの移送変位は、移送用アクチュエーター及び位置フィードバックセンサーまたはリニアスケール、レーザーフィードバック装置などから構成され、移送位置を制御する。
【0019】
一方、前記磁気予圧装置40は、これを制御するための制御器と、該当電流を印加させる電力増幅器から構成される運動誤差補償制御手段60と連結され、前記制御器は、デジタル制御装置(DSPボードまたはPC)で構成され、移送系の位置情報と誤差情報を利用して移送系の運動誤差を計算する。
【0020】
また、磁気予圧装置40は、運動誤差を補償するための別途の補償信号を該当電流に変換して電磁石コイルに印加するようになっている。
【0021】
このように構成された本発明の磁気予圧装置40は、電磁石コイル42に印加される制御電流を変化させて、予圧に作用する永久磁石41の磁力を変化させると、定圧ベアリングパッド30とガイド20間の定圧ベアリングの間隙G(μm)及び予圧装置間隙gm(mm)を任意に補正することができる。
【0022】
このような磁気予圧による浮上間隙Gの補正及び制御は、ガイド面21の加工誤差によって発生する、テーブル10が移送方向に直線運動時、移送方向に対する垂直方向の直線運動誤差を補正できる手段として使用されることができる。
【0023】
本発明は、ガイド20の一側面にだけ定圧ベアリングパッド30を案内するガイド面21を加工しており、製作時、精密加工が要求されるガイド面は、既存の両面側を全て加工する方式から、一側面だけ加工する方式に改善されることによって、テーブルの構造が簡単で、製作も容易であるだけでなく、加工費も節減できるという利点がある。
【0024】
また、電磁石コイルに印加される電流調節を介して、予圧に作用される磁力を変化させれば、定圧ベアリングの浮上間隙も簡便に調節することができる。
【0025】
図3は、本発明の磁気予圧及び運動誤差補正機能を有する定圧ベアリング移送装置を利用した1軸全体ガイドの構成図を示したもので、両側のガイド20に各々二つの磁気予圧装置40を装着すれば、テーブル移送時、垂直方向の直線運動誤差とピーチ運動誤差、ローリング運動誤差に対する補正も可能である。
【0026】
図4は、本発明の磁気予圧及び運動誤差補正機能を有する定圧ベアリング移送装置において、定圧ベアリングの浮上間隙G(μm)に対する予圧装置の間隙gm(mm)との関係を示した線図で、図5は、定圧ベアリングの浮上間隙G(μm)に対する制御電流Aとの関係を示した線図である。図5は一実施例であるのだが、定圧ベアリング浮上間隙が10G(μm)で、電磁石コイルの制御電流は0Aに標準設定されている。電磁石コイルの制御電流によって定圧ベアリングの浮上間隙が異なってくるのだが、電磁石コイルの制御電流値が陽(+)の場合は、定圧ベアリング浮上間隙が狭くなる反面、電磁石コイルの制御電流値が陰(−)の場合は、定圧ベアリング浮上間隙が大きくなるということが分かる。
【0027】
このように、本発明は、テーブルとガイドの構造の単純化にて、より精密な加工が要求されるガイド面の個数が半分に減ることによって、製作の容易性及び費用の節減効果を図ることができるという長所がある。
【0028】
また、電磁石コイルに印加される電流値を調整しながら、予圧に作用される磁力を変化させることによって、定圧ベアリングの浮上間隙Gも調節することができ、このような調整性を利用すれば、ガイド面の形状誤差によって発生するテーブル移送時の運動誤差を補正することができる装置として使用できるという長所がある。
【0029】
そして、本発明の磁気予圧装置40は、永久磁石41を利用しており、設計された予圧のための磁力発生には追加的なエネルギーが所要されない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】従来の両面パッド型定圧ベアリングの構造を示した断面図である。
【図2】本発明が適用された磁気予圧及び運動誤差補正機能を有する単面パッド型定圧ベアリング移送装置の断面図である。
【図3】本発明が適用された単面パッド型定圧ベアリング移送装置によって運動誤差補正が可能な1軸ガイドの例示図である。
【図4】本発明が適用された磁気予圧及び運動誤差補正機能を有する定圧ベアリング移送装置において、コアとガイド間の間隙による定圧ベアリングの間隙を示した線図である。
【図5】電磁石コイルの電流による定圧ベアリングの浮上位置変化を示した線図である。
【符号の説明】
【0031】
10:テーブル
20:ガイド
21、22:ガイド面
30:定圧ベアリングパッド
40:磁気予圧装置
41:永久磁石
42:電磁石コイル
43:磁石コア
50:リニアモーター
60:運動誤差補償制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定圧ベアリングを利用する移送系において、
テーブル10と向い合う一側面にだけガイド面21が形成されるガイド20と、
前記ガイド面21と対応するように定圧ベアリングパッド30が配置されるテーブル10と、
前記ガイド20とテーブル10との間に予圧を発生させる磁気予圧装置40と、
前記磁気予圧装置40を制御する制御器及び前記制御信号によって該当電流を印加させる電力増幅器の具備された運動誤差補償制御手段60とを含むことを特徴とする磁気予圧及び運動誤差補正機能を有する定圧ベアリング移送装置。
【請求項2】
前記磁気予圧装置40は、永久磁石41と、
前記永久磁石41の磁力線と同一線上に位置するコア43と、
前記コア43に巻線される電磁石コイル42と、
前記永久磁石41がテーブル10に支持されている固定ブラケット45とで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気予圧及び運動誤差補正機能を有する定圧ベアリング移送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−546965(P2008−546965A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518008(P2008−518008)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【国際出願番号】PCT/KR2005/002775
【国際公開番号】WO2007/024031
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(501384562)コリア インスティチュート オブ マシナリー アンド マテリアルズ (15)
【Fターム(参考)】