説明

磁気効果により生物学的試料を分割するための方法及びデバイス

溶液中に含まれ、磁性粒子に固定される検体を分割する方法を開示する。本方法では、磁性粒子を複数の残渣に分割しながら沈殿させる。好適な実施形態の一つでは、磁性粒子の少なくとも一つの残渣(22、30)を第1容器(10)内に形成し、残渣(群)を複数の第2容器(12)に向かって、好適には磁気システム(20、24)の相対的な平行移動によって移動させ、第2容器(群)(12)は流路(14)により第1容器(10)に接続される。これらの方法において使用されるデバイス、並びにこれらの方法を実行するためのシステムも開示する。


【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
技術分野
本発明は、試料に含まれる検体を等分割又は不等分割する方法、並びにこの方法を実行するデバイス及びシステムに関する。
具体的には、本発明は、磁性粒子に既に固定されている検体を分割する磁気手段の使用法に関する。
【0002】
背景技術
検体とは、使用及び/又は実証を目的に別の培地に単離された、及び/又は移動された、小体又は分子の全部又は一部を意味し、例えば、微生物、バクテリア、菌体、ウィルス、真核細胞;化合物;ペプチド、タンパク質、酵素、多糖類、脂質、リポタンパク質、リポ多糖類、核酸、ホルモン、抗原、抗体、成長因子、ハプテンのような分子;腫瘍細胞などのような細胞を挙げることができる。
本発明は、例えば複数の処置が互いに相容れない場合、又は複数の処置を互いに混じりあわない溶液中で行なう必要がある場合に、複数の処置を1つの試料に対して平行して行なう必要がある全ての分野に適用することができる。
【0003】
従って、一部の生体外診断検査では、多数のPCR増幅を初期試料に対して行なうことが望ましい。これらの異なる増幅では、増幅を最適化するために、異なるプライマー、異なる熱条件、及び異なる緩衝液成分を必要とすることが多い。
同様に、免疫検査の間、初期タンパク質で多数の異なる配位子を検査する必要があり、試料に含まれる単一種に多数の反応にさらして抗体/抗原を検出する。
【0004】
ここで、これらの用途では、特定の相の培地を等分割又は不等分割する必要があり、この培地を複数の相に分離する必要はないことに留意されたい。
液相に含まれる試料を多数の部分試料に分割する最も簡単な解決法の一つでは、初期容積の一部分を採取し、それを容器に加え、その中で複数の反応の一つを検体に行う。
【0005】
この解決法には、約1%の精度で操作可能な最小容積が約数マイクロリットルであるという明らかな制限がある。内容がもっと少ない場合、液体が失われるため、検体は、ピペットコーン、フラスコなどのような「大型」容器で搬送すると失われる。生じる他の問題は、これらの操作の間に容器壁において生じる蒸発及び吸収の問題である。この問題の解決法でも、手動又は自動による液体の輸送が必要となり、よって解析可能な検体の量が必然的に減少し、検体が希釈され、その結果初期に計画した分割とは全く異なる分割が行なわれることになる。初期試料中の検体濃度が低い場合、検体が全て無くなるか、又は検体の量が減って検出不能になるという結果が生じ得る。
別の解決法では、複数のバルブを備えるスイッチングデバイスを含むことにより複数の部分容器が形成される構成の1つの容器を充填する。このようなバルブの配置は複雑となり、部分容器の数が数個より多い場合には、バルブにより必然的に非常に大きな空間が占有される。
【0006】
従って、検体を等分割又は不等分割し、流体操作を行なわず、且つ高い効率で、最初の容器から多数の第2容器に輸送する方法及びデバイスが必要とされている。本発明を説明するために、検体の輸送とは、検体を一の容器から別の容器に、検体を含む液体培地を用いて、又は用いずに、移動させることを意味する。
【0007】
本発明の概要
本発明は、特に上記の需要を満たすという利点を有する。
本発明の一態様によれば、本発明は、第1容器内の溶液に含まれ、磁性粒子に固定された検体を分割する方法に関する。粒子は第1磁気手段によって沈殿し、検体は第2容器に位置する複数の残渣に分布する。
【0008】
一実施形態によれば、磁性粒子は第1容器内の少なくとも一つの残渣に沈着し、生成された残渣は第2磁気手段によって第2容器に移される。有利には、第2磁気手段、及び/又はこれらの第2磁気手段によって生成される磁界は第1容器に対して移動する。好適には、同じ磁気手段を使用して残渣を沈殿させ、移動させることができ、換言すれば、第1及び第2磁気手段を同一の構成要素とすることができる。
複数の第2容器は、それぞれ流路により第1容器に接続され、同一又は異なる、第1容器内の溶液と同様の溶液又は同様でなない溶液で充填される。
【0009】
従って、本分割方法では、溶液をピペッティングにより滴下し、移動させる操作を回避することにより、精度を高め、小さな容積に対する作業を可能にする。本方法はまた、初期溶液から検体に必要な別の溶液に検体を移す場合、そのような移動と同時に分割を行なう手段を提供する。
有利には、各第2容器は1つの流路を介して第1容器に接続されるが、これらの第2容器を異なる数の流路により互いに接続することができる。流路のレイアウトを制御することにより、各第2容器内の検体の量を決定する。このようにして、流路間の間隔を正確に同じくする同一流路を平行に配置することにより、等分割方法を容易に実現することができる。
【0010】
本実施形態の好適な一変形例によれば、1つの直線的残渣が形成され、この残渣の大きさはそれが通過した第1容器の大きさと同じである。使用可能な一つの方法では、例えば長形の磁石又は細長の誘導コイルを使用する。次に、例えばコイル又は磁石をデバイスに対して相対的に移動させることにより、残渣を移動させる。従って、直線的残渣及び可能であれば磁石の相対的平行移動によって、第1容器を「浚い」、流路への入り口の面積に応じて残渣をサブユニットに分割する。例えば、全ての流路が同一であり、残渣がそれに沿って形成される中心線に対して同じ側に位置する場合、分割は等分に行なわれる。有利には、磁石又は誘導コイルは第1容器よりも長いので、磁石又は誘導コイルが第1容器の表面から「突出」し、従って磁性粒子が完全且つ均一に移動することができ、速やかに沈殿する。好適には、これらの磁気手段は流路に対して垂直に移動する。
別の構成では、磁気手段を物理的に移動させることなく、例えば連続コイルを含む磁気手段を用いて磁界を移動させる。
形成された残渣の分割が行なわれるこの変形例の主たる利点は、この方法の使用が単純であること、及び磁気構造と流体構造との間の正確な位置合わせが不要なことである。
【0011】
同じ実施形態の別の変形例によれば、各流路に向かって小さな寸法の残渣が形成される。例えば、複数の尖端部を有する磁気構造を使用して、各残渣を該当する流路内へ平行移動させる。
有利には、流路はネック部により第1容器に接続され、このネック部によって磁性粒子の流れ込みが可能になり、輸送量を高精度に制御することができる。等分割を行なう場合、各流路のネック部は同一である。
【0012】
流路は毛管とすることができる。一以上の磁気トラックを形成して磁性粒子を導くこともできる。有利には、小さな試料について、流路を磁気トラックで置き替えることができる。
磁性粒子を第2容器まで輸送して検体を放出するプロセスを行なうか、又は検体が第2容器に達する前に放出を行ない、その後の検体の輸送は液体移動によって行なうことができる。
【0013】
別の実施形態によれば、検体と結合した状態で第1容器内の溶液に含まれる磁性粒子の沈殿は、複数の第2容器において直接生じる。この場合、これらの第2容器は、第1容器と一体的に形成することができ、有利には、粒子が第2容器の外部で固定化される領域(平面など)が無い。
検体は、溶液を第1容器に加える前に磁性粒子に固定することができるか、又は溶液を加え、固定化を容器内において行なうことができる。
【0014】
本発明はまた、磁性粒子に固定される検体を分割するデバイスに関し、本デバイスは、第1容器に、例えば流路を通して接続される複数の第2容器を備える。好適には、流路網全体を一つの支持体の中に設け、この支持体は基台又はデバイスのカバーとすることができる。有利には、流入手段が支持体に接続される。
これらのデバイスは、磁気手段を含む本発明によるシステムの一部分を構成し、磁気手段は移動可能で、特に輸送デバイス又は分割デバイスに対する相対的平行移動を行なうことができ、更にこれらのシステムは、磁性粒子をデバイスの第1容器から第2容器に輸送する。別の構成は、移動磁界を生成できる手段に関する。
【0015】
デバイス及びシステムの好適な実施形態は、分割方法の利点に対応する利点を直接反映した構成を有する。
他の特徴及び利点は、明らかに説明を目的とし、いかなる意味でも本発明を制限しない以下の実施例の説明と、添付図面により明らかとなる。
添付図面では、同じ参照記号は同じ構成要素を指す。
【実施例】
【0016】
本発明の第1の実施形態によるデバイス1の概略的構造を図1に示す。本デバイスは、基台2、できれば長形の流入手段4、及びカバー6により構成される。流入チャンバ(又は第1容器)10が基台2の上に位置し、ネック部16を備える複数の流路14、この場合は複数の毛管を介して複数の反応チャンバ(又は第2容器)12に接続する。これらの流路14の底部は強磁気テープによって覆うことができる。
チャンバ10、12の特定の形状は例示として示されており、容器及び毛管は、その用途又はデバイス1の製造に使用される技術に応じて、他の形状及び/又は大きさを有してもよく、互いに異なっていてもよい。同様に、第1チャンバ10を1つの反応チャンバ12に接続する複数の流路14を設けることができる。更に、反応に必要な他の構成要素を流路網の内部に取り入れることができ、例えば毛管14に沿って又は第2容器12上に、気泡調整バルブ8を設けることができる。
【0017】
図1にデバイス1の作製方法を示す。本デバイスは、容器10、12及び流路14を、基台2として機能する平板材料の中にエッチングにより形成し、次にグルーイング又は他の接着手段を用いてカバー6を組み立てることにより作製される。これは一つの可能な作製方法であるが、本発明はこの方法のみに限定されない。一又は複数の流路14により複数の反応チャンバ12に接続される流入チャンバ10を作製するために、他のいずれかの方法を用いることもできる。特に、支持体上に流路網を一体化するために用いることが可能な方法には、シリコン又はガラスへのエッチング、マイクロインジェクション、ホットスタンピング、プラズマエッチング法、リソグラフィを使用する「LIGA」法に類似の方法、電気めっき法及びプラスチック成形が含まれる。好ましくはエッチングの深さは約100μmである。
基台2ではなくカバー6をエッチングすることも可能である。
【0018】
「物理的」流路14を使用せず、単に、基台2の底部に載置され、エッチング流路のように磁性粒子を導く強磁気テープを使用すると有利である。これによって、残渣が流れる経路の自由度が高くなり、粒子が強磁性トラックによって導かれることとなり、更に磁気テープを設けると流体チャンバにおける表面状態の問題を無くすことができる。
これらの2つの技術(「物理的」流路及び磁性ガイド流路)を組み合せることもでき、デバイスの用途によっては磁気テープを各「物理的」流路14の底部に設けることができる。
【0019】
流体を容器に充填又は輸送するときに流体(気体又は液体)を排出するために、排出口18が設けられる。排出口は、デバイスに含まれるガスを排出するために充填を行なっているとき、並びに検体溶液を回収する最終ステップにおいて使用できるが、排出口は必須ではない。
試料及び異なる試薬又は緩衝液は、デバイスに様々な方法で加えることができる。例えば、図1に示す第1の変形例では、デバイスのカバー6には、錐状の皿4の形態の流入手段が設けられる。この形状は例示に過ぎないことを明記する。例えば、この錐状の皿にピペット又はシリンジの先端を当てることにより、圧力を液体に加えて緩衝液又は試薬をデバイスの内部に「流し込む」ことができる。デバイスに含まれる空気又はその他のいかなる流体(液体又はガス)も、排出口18を通してデバイスから排出される。この場合、これらの排出口は反応チャンバ12に通じるが、これらの排出口は、状況に応じてデバイス1の他の位置に配置することができる。
【0020】
液体をデバイスに加える別の変形例(図示せず)では、排出口18と同様の第1チャンバ10に開口する流路又は毛管を通して、及びインターフェースを介してデバイスの外部に接続するチャンバ自体を通して、液体を加える。
デバイス1を使用する第1ステップでは、公知の方法に従って、検体を含む均等な溶液を調製する。例えば、検体を含有する試料から検体を抽出するか、又は「純粋な」検体を溶液中で直接希釈する。
【0021】
次に、検体を磁性粒子に固定する。磁性粒子の大きさは、単離対象の検体及び溶液の体積に適する大きさである。例えば、検体が分子である場合、磁性粒子はサブミクロンの大きさとすることができる。使用する粒子の量は、固定する検体の性質及び量に応じて決定し、好適には検体全体を固定するために十分な粒子数を使用する。一般に、適切な磁性粒子が常套的に分子生物学及び細胞生物学において使用されている。可能であれば、特にこれらの磁性粒子は、磁界が無くなった後で自然に再拡散できるような超常磁性粒子とする必要がある。これらの粒子は磁性コロイド系の一部を形成し、多数の抗体と結合することにより重合及び官能化される。
固定方法は本技術分野において公知であり、粒子表面に存在するヌクレオチドによる吸収、癒合、捕捉、温熱感受性を挙げることができる。
【0022】
この固定化は可逆性であることが好ましい。検体が化学試薬又は検出手段に更に容易に近づくことができるか、又は一層接近可能となるように、検体を解放することが必要である。当業者であれば、検体の解放又は溶出について精通していると思われる。
固定化ステップは、溶液を第1容器10に加える前に行なうことができるが、この容器内で行なうこともでき、その場合、磁性粒子も含む容器に溶液を加える。
【0023】
検体を加える前に、デバイス1に、検出対象の検体を含まず、且つ磁性粒子を含まない緩衝液を充填する。この緩衝液は、必要な量だけ流入手段4に注ぎ込み、流入手段に気圧を印加することにより添加することができる。デバイスが充填されたら、流入手段4に含まれる過剰な緩衝液を、例えばピペットを使用して取り除くことができる。第2容器12には、流入チャンバ4、10の緩衝液とは異なる溶液を充填することができ、デバイスの用途及び予定する分析によっては、チャンバ12毎に異なる溶液を充填することができる。
注目する検体を予め磁性粒子に固定した、所定量の緩衝液から成る試料を、第1容器10に加える。この試料は単一相と考えられる。輸送及び分割対象の検体は単一相で存在する。
【0024】
上述のように、磁性粒子を第1容器に収容することができ、次に溶液中の検体を緩衝液に加えて検体を粒子に固定することができる。
この第1の実施形態では、次の沈殿ステップにおいて、磁性粒子を流入チャンバ10の底部に誘導する。好適には、沈殿は、(第1)磁気手段を使用して行ない、粒子の大きさはほぼマイクロメートルのオーダーであるか、場合によってはナノメートルのオーダーであり、磁気手段によって沈殿速度を自然沈殿よりも高めることができる。
固定サイズの磁性粒子の沈殿速度は、粒子溶液を含む容器の下に位置する磁気ブロックの上面から粒子までの距離に依存し、更にブロックの体積にも依存する。
【0025】
以降の図に示される実施形態では、残渣は磁石20によって表わされる第1磁気手段を使用して形成され、この磁石は更に残渣22を移動させ、図2に示す形状である。磁石はデバイス1の下に、図示の場合においては錐状の皿4の直下に配置される。次に、線AAに沿って第1チャンバ10を走る直線的残渣22に磁性粒子を回収する。しかしながら、既に記載したように、第1磁気手段は、初期残渣の中に、この残渣22と同じ形状で粒子を沈降させるためにだけ使用されてもよく、残渣の移動は異なる第2磁気手段によって行ってもよい。この場合、第2磁気手段20によって第1残渣を配置し直すことができる。
好適な一実施形態によれば、残渣22は、第2磁気手段と一致する第1磁気手段を相対的に移動させることにより変えることができる。これについては後述で詳細に記載する。このような相対移動により、残渣の移動及び印加する磁界の均一性を制御することができる。しかしながら、他の解決手段、例えば第2容器の方向に位置し、残渣22を引き付ける強力な固定磁石を用いることができる。磁石の代わりにコイルを使用する場合、コイルを移動させる代わりに、本目的のために設けられるアセンブリの連続コイルを切り替えることができる。従って、物理的磁気手段の位置を変えることなく、磁界の位置が相対的に変わる。上記構成の組み合わせを用いることができる。
【0026】
有利には、この長い磁石20は第1容器10から「突出」している。従って、磁石20は、移動する間に、磁石の右、即ちその移動方向(矢印)に位置する容器10全体を「浚う」。実際、可能であれば移動期間に亘り、磁石が直線的残渣22よりも長いことが好ましい。従って、一般的に、磁石20の長さには、磁石が相対移動する期間に亘って第1容器の幅が、磁石を含む平面(例えばこの場合は水平面)から移動方向と直交する平面内(この場合はAA軸を通過する垂直平面)に沿って突出する部分が含まれ、第1容器10の幅は、垂直軸と、第1容器10を通過する直線的残渣22の交差部分によって形成される最大幅のセグメントによって規定される。
ここでまた、図2にはネック部16が無いことに注目されたい。「櫛形」構造は分割の制御を向上させるために有利である。
【0027】
図3は、残渣の分割、従って残渣22を第1容器10から第2容器12に移動させることによる検体の分割を示している。図3aは、図2の構成、つまり直線的残渣22を表わし、この残渣は、第2磁気手段によって粒子が再配置された結果である。
本実施形態では、全ての流路を残渣22によって示されるAA軸の同じ側に位置させることが望ましい。そうでない場合、後述に更に明確に示すように、残渣を平行移動させても、平行移動方向の反対側に位置する反応チャンバ12には充填が行なわれないこととなる。
【0028】
初期残渣は、磁石20が第2チャンバ12に向かって相対移動、この場合平行移動するにより、流路14に「導かれる」(図3b参照)。相対移動とは、何らかの機構によって、又は支持体2〜6の下方で行われる手動によって、移動させることができる磁石20(又は生成された磁界)の物理的移動、或いは、例えば磁石20の上方のレールに沿った支持体2〜6の移動を意味する。例えば、ステップモータ又は気圧ジャッキを平行移動手段として使用することができることを強調するが、当業者であれば、公知の何らかの移動手段を状況に応じて用いることができる。
【0029】
磁気手段又は磁界の相対的平行移動により、残渣は移動中にその直線構造を維持することが分かる。
このようにして残渣22は流路14の流入口に到達し、壁の作用により残渣は複数のセグメントに分離される(図3c参照)。残渣22の平行移動は流路14に沿って継続し(図3d)、試料は第2容器(又は反応チャンバ)12に到達する(図3e)。
【0030】
図3に示す実施例では、流路14は互いに平行であり、残渣22の軸に直交し、磁石の相対移動は流路の方向に平行である。これらの流路及び反応チャンバにおける検体の位置を制御することが容易であるので、これら2つの要素は好ましい。しかしながら、他の構成を用いることもできる(斜めの磁石及び/又は分岐流路、及び/又は斜め方向の移動など)。
更に、図3に示す分割は等分割である。換言すれば、第2容器12の各々が同じ量の検体を受け入れ、初期検体は等しい部分に、この場合は8つの部分に分割される。特に、流路14のピッチは一定であり、ネック部16は正確に同じ大きさを有する。しかしながら、流路のレイアウトを変更することにより、不等分であるが制御された分割部分を形成することができる。図4はそのような分割の一実施例を示しており、この実施例では、第2容器12a〜hはそれぞれが初期検体の量の8分の1を含む構成にはなっていない。チャンバ12aは検体量のほぼ3分の1を受け入れ、この量は、例えば一定のピッチで分割され、収容量がそれぞれ同じになるチャンバ12d〜fの3倍超である。
【0031】
別の変数は、1つの反応チャンバ12に通じる流路の数に関するものである。流路レイアウトが図3に示すものと同様であり、2つの流路が互いに結合して第1チャンバ12に達する一方、他の流路の各々が個別のチャンバに通じるとすると、この第1チャンバ12は他のチャンバの2倍の量の検体を受け入れることになる。
従って、本発明による方法によって、液体自体を操作する前に、制御下において不等分な分割部分を実現することができる。例えば、いずれかの公知の手段によって試薬が既に反応チャンバ12に収容され、流路14のレイアウト、従って分割率が反応感度に応じて決定されているキットを作製することができる。このようなキットは、等分割部分が得られるように作製することもできる。
【0032】
別の変形例によれば、移動に一つの長い磁石及び一つの直線的残渣を使用する代わりに、流路14の数に応じて残渣の数を直接変えることができる。例えば、複数の突起24を有する磁石構造を、図2に示すようなデバイスに用いる長い磁石20の代わりに用いることができる。
複数の突起24を有するデバイスは、磁石ブロック26から成り、このブロックの上面を切断して図5に示すような「尖端部」又はピラミッド形突起28が得られるようにすることが好ましい。強磁性材料(鉄、Imphy SA社製のAFK502合金のような鉄−クロム合金)により作製される磁極部分を付け加えることもでき、この磁極部分は、磁石ブロックの平坦面の上に、好ましくはピラミッド28の形に加工された尖端部を備える。尖端部28の役割は、磁性粒子の軌跡を粒子の沈殿の最後に屈曲させることである。ブロック26による影響は、溶液中の粒子が尖端部の高さの2〜3倍の距離だけ尖端部から離れ、沈殿が均一になるまで支配的である。次に、粒子が第1容器10の底部、従って磁石ブロック26の表面に近づくと、尖端部28によって実体化される磁性隆起により粒子に対する相対的な影響が増大する。従って、残渣30自体は尖端部28の上方に位置する。
【0033】
図5では、説明を簡単にするために離間した尖端部を数個のみ示しているが、これらの尖端部がもっと高密度な網目を形成できることは明らかである。同様に、この場合これらの尖端部はBB軸に沿って整列しているが、一部の用途においては、「市松模様」を形成するように配置することができ、例えば複数の突起部ラインBBを設けるか又は他の適切な構造とすることができる。
規模を縮小しても理論的には磁気特性に影響を与えることはない(磁界値が維持される)が、磁界の勾配に比例する磁力が変化する。何故なら、容積が小さく、磁力は寸法に反比例して大きくなるからである。従って、磁気システムの寸法及び材料の選択は使用条件によって決まる。
【0034】
大型磁石ブロックの作製に制限は無く、最大数十センチメートル、例えば65mmの長さに13個の尖端部を5mmのピッチで配置することができる。沈殿速度は磁石ブロックの体積によって変わるので、検体溶液の第1容器10の表面積よりも大きな表面積を有するブロック26を使用することにより均一な沈殿を実現することができ、有利である。
別の例示的実施形態は、1辺が5mmの正方形断面を有する高さ2mmのピラミッド6個を有する、15×40×25mmのNdFeBブロックである。このモデルは極めて高い性能を有し、特に第1容器10の静止液の高さは5mmに等しい。
【0035】
特に、3mmの区画及び4mmの深さを有する第1容器10に関して、好適な実施形態の一つでは、第1容器の底部と磁石ブロックの頂部との間、即ち、磁性粒子30の残渣と尖端部(群)28の頂部との間の距離を約1mmに等しくする。
実際に、磁石ブロック26の寸法は、約100平方ミリメートルの面積にまで相似形に容易に小さくすることができる。小さい寸法においては、純粋鉄又はFe50Co50合金のような大きな飽和磁化を有する軟磁性材料を機械加工することにより尖端部を作製する必要がある。
【0036】
面積を更に小さくする場合(一辺約100μm)、表面ニッケルメッキのようなマイクロエレクトロニック技術を使用し、平行六面体状ブロックを使用して堆積物を磁化する(分極させる)ことができる。本実施形態は特に、磁気トラックの使用と組み合わせることができ、堆積物の形状は、例えばこれらの磁気トラックを通して反応チャンバ12に接続される高密度パッドにより構成され、堆積された材料は、好適には保護層によって覆われる。
長い磁石20と同じように、突起(群)24を有する磁気手段は、相対移動、例えば流路に沿った相対的平行移動によって、残渣30、この場合は小さい残渣を、各流路内で移動させることができる。
本変形例を磁気トラックと組み合わせない場合、変形例は特に、残渣30のピッチ、つまりは流路のピッチが1ミリメートル超の、更に大きなデバイスの動作に適する。このようにして、磁気構造と流体構造とは非常に正確に位置合わせされる。しかしながら、変形例は、尖端部28の密度に応じて、もっと濃度の低い初期溶液を分割するのに使用できる。更に、分離は機械的分離装置を用いることなく行なわれるので、磁性粒子が分離器の壁に集まることはない。
【0037】
本発明の方法を可能にするデバイス40の別の実施形態を図6に示す。図示するように、流路は実際に、流体の通過を可能にする連通部に対応しており、第2容器42は第1容器44の直接延長部分として設けられる。デバイス40は実際には、成形又は抜き打ち加工などによる壁46により形成された第2容器42を含む単一部品とすることができる。この壁46は、作製済み容器に付け加えることもできる。必須ではないが、遷移はネック部48を通して徐々に行なわれることが望ましい。また、第2容器42の各々を錐状とすることができる。特に、第1容器44の壁46には平面領域が無いことが好ましく、その上に複数の突起が配置されて第2容器42を形成する。
従って、分割は沈殿の直接的な結果として行われる。表面46の下方に位置する第1磁気手段50が溶液中の磁性粒子を第1容器44に引き付け、残渣が第2容器42の各々に形成され、その結果、初期試料に含まれる検体が分割される。
【0038】
本実施形態では、磁石50の磁力は、可能であればいずれの第2容器42においても均一とする。デバイス40の作製及び磁石50の制御機構は、上述の実施形態におけるものよりも単純である。
図6は、磁石がデバイス40の下方に位置する実施形態を示している。この実施形態は、重力を平行に使用するので好ましいが、第2容器42を形成する突起を有する表面48が基台の上に位置しない構成の、同様のデバイスを提供することが可能である。同様に、図示の構成は単なる例示であり、沈殿は、ブロック50とは異なる形状の磁石(例えば、各第2容器42の下方の突起)を用いて行なうことができる。
【0039】
上述のように、第2容器42内の複数の残渣に沈殿した後、これらの第2容器から流路(図示せず)に沿って検体を輸送して解析を行なうこともできる。
従って、本発明による検体を含む相の分割は、初期溶液を加える以外はいかなる液体輸送も利用することなく、特に必然的に累積的な不正確さを招くピペット滴下を使用することなく行なわれる。バルブは必要でなく、デバイス1、40の製造は、機械部品を無くすことにより精度の向上を考慮する必要がないため簡単である。
【0040】
本発明によるシステムは、数マイクロメートルから最大数センチメートルまでの、異なる大きさの容器及びデバイスを用いて構成することができる。例えば、図1に示すデバイスと同様のデバイスは、次のような大きさとすることができる。
第1容器10の容積:0.6μl
第1容器10の寸法:4mm×1.5mm×0.1mm
第2容器12の容積:40nl
第2容器12の寸法:0.4mm×1mm×0.1mm
接続毛管14の大きさ:2mm×0.1mm×0.1mm
チャンバ間のピッチ:500μm
基台2の全体の大きさ:6mm×6mm
磁石基台の大きさ:8mm×8mm
8mm×8mmの寸法を有する基台2に替えて、メインブロックの寸法が8mm×8mmよりもわずかに大きい磁石を設けることができる。
【0041】
同様に、上述のように、磁石の大きさ及び形状を替えることができる。長い磁石自体が異なる形状を有することができ、例えば平行六面体状ブロック、又は5角形状の断面を有するブロック、或いは矩形上に、可能であれば先端部が切断された三角形を有するブロックとすることができる。
分割デバイスは、更に幅の広いアセンブリの一部分を形成することができる。この場合、初期試料の連続分割を考慮することができ、この構成では、デバイスの第2容器自体が後続の別の容器にとっての第1容器となり、異なる連続分割の間で試料を処理することができる。
【0042】
最後に、同じ磁気手段を使用して、さらに多くの且つ非常に多種類のデバイス1、40における分割を制御することができる。例えば、第1の実施形態に関し、同じ形状及び大きさを有し、流入チャンバ10は同様であるが流体回路14が異なる支持体2〜6のどのような組も、同じ磁石によって制御することができる。
【0043】
使用例
分子マーカによるリアルタイム検出を組み合わせたNASBA増幅法を各反応チャンバ12に導入することができる。溶液に含まれる核標的を検出/解析する本方法では、最大数の検査を並行して進めるために、試料を複数の流路に分割しなければならない。
この手順は次のように行なわれる。
i.増幅対象の標的を従来技術により磁性粒子を使用して捕獲する。粒子に固定される捕獲プローブの数は、増幅対象の標的の数と同じであり、これらの標的に相補的である。
ii.図1に模式的に示すデバイスと同様のデバイスに適切な緩衝液、例えばTE 1M NaCl又はTriton X100 0.05%を約30℃の温度で充填する。充填の間、毛管14に沿って設けられるエアトラップチャンバ8にはエアが充填されたままである。
iii.図1に示すように、試料をデバイスの錐状の入口4に注ぎ込む。
iv.本発明による磁気沈殿、分割、及び輸送を実施し、検体を輸送して第2チャンバ12に移す。
v.酵素及び特殊プライマーを含む増幅混合液を各チャンバに、例えばシリンジポンプを使用して注入する。この注入は、試料を加える端部とは反対側の端部、即ち排出口18を通して行う。
vi.次に、デバイスの温度を42℃まで上げて、システムを1〜2時間インキュベートし、各反応チャンバ12においてマーカからの蛍光を等時間間隔で観察する。
【0044】
比較検査
4種類のデバイス60を、図7a〜7dに模式的に示すように作製した。
図7a及び7bに示すチップタイプ60a、60b、及び60cを、シリコン技術における同一のディープエッチングを使用した後、熱酸化工程を行って作製した。
チップ60aと60bは同一で、櫛形分割の設計を唯一の違いとしており、櫛形分割の歯の先端は、それぞれ丸みが付いているか、尖っている。チップ60cは同じ形状を有するが寸法が小さく、中に磁気残渣が形成される容器62の表面が3分の1の大きさである。詳細には、櫛の歯の幅(即ち流路64のピッチ)は、デバイス60cでは約500μmであり、デバイス60a及び60bが900μmであるのに対して狭い。
【0045】
図7dのデバイス60dは、KOHの液槽内での異方性エッチングにより作製され、傾斜辺を有する皿66を形成する。
上にPDMSカバー70を接着したデバイス60を使用して磁気分割実験を行なった。カバーの形状は、25μlの試料容量を収容するために十分な厚さを持つように構成される。換言すれば、例えば特にデバイス60a〜60cの場合、平板カバー70は、第1容器に位置する隆起72を除いて均一な厚さを有する(図7c参照)。次に、試料注入用の領域74を手術用メスの刃で開き、流路64内における破片の凝集を防止した。
【0046】
磁性粒子は、Immunicon粒子7.5×10個/μlの濃度のImmunicon磁性粒子(No. F−3106)上に605Qdots(Quantum Dots Corp.製カタログ番号1000−1)を、10mMのTris緩衝液中に10Qdot/Immuniconの割合(pH=8:1MのNaCl、0.05%のTriton X100 、0.14 mgのサケDNA/ml)で用いるマーキングプロトコルを使用して、蛍光粒子でマーキングし、よって分割の定量化を可能にした。
デバイスの構造に応じて、粒子を含む溶液は異なる特性を示した。8の流路64を備える構成要素60aには、粒子を含む8μlの溶液及び17μlの緩衝液を使用した。25個の皿を備えるデバイス60dには、粒子を含む25μlの溶液を、緩衝液を全く追加せずに使用した。
【0047】
全ての測定は、水銀アークランプタイプHBO 100W/2及びZeiss製の電源装置ebq 100を備えるZeiss製のタイプHBO 100/1007−980照明システムが装着されたZeiss Axioplan II顕微鏡を使用して行なった。5x/0、13HD−442924レンズ、及び10x/0、20HD−442934レンズ、並びに蛍光キューブ(光フィルタアセンブリ)を使用して、特に黒背景及びエピ蛍光での観察を行なった。イメージ化のため、顕微鏡を、浜松ホトニクス製のHPF−COMPX−SIMPLE−PCI取得ソフトウェアを有する浜松ホトニクス製のタイプORCA Ergs HPF−C4742−80−12−AGカメラに接続した。全ての画像を同じ解析ソフトウェアで処理した。
Rolin磁石をデバイス60a〜60cに使用した。表裏一体式APIS型磁石をデバイス60dに使用して、平板基台に均一な磁界を得た。
【0048】
操作方法は以下のステップから構成される。
−予め緩衝液を充填する(デバイス60a、60b、60cを真空チャンバ内に配置した)。
−磁石を顕微鏡の下に配置し、位置合わせする。
−磁石を下げる。
−デバイスを正規の位置に配置する。
−各容器の底部を蛍光撮影する。
−粒子を注入する(25μlの緩衝液中の8の残渣)。
−複数の実験で平衡状態に達する。
−磁石を持ち上げる。
−沈殿をブラックライトでモニタリングする(チップ60dについては、顕微鏡のスライドをチップ60dの上に配置してメニスカスによる光の反射を防止する)。
−デバイスを磁石に対して移動させて磁気分割を行なう。
−各容器を蛍光撮影する。
各残渣の蛍光強度は残渣を広範囲に含む表面の積分強度である。この強度は、分割前に得られる強度を分割後に得られる強度から差し引くことにより得られるので、マーキングされた磁性粒子により発生する蛍光強度のみを表わす。変動率(CV)は、一連の測定値(デバイス60a〜60cの8の流路に関する)から、必要に応じて異常ポイント(例えば、大きな外部汚染粒子)を取り除く形で計算した。
【0049】
次の表に、得られたCVと、緩衝液のみが充填された流路において蛍光測定で得られた変動率をまとめる。

【0050】
ここで、分割前に緩衝液が充填された構成要素における蛍光測定値の変動率は、25の皿を有するチップ60d以外は5%未満であることに注目されたい。分割後の蛍光測定値の変動率は、沈殿前の平衡時間が長いチップ60cの場合5%未満である。このような極めて良好な結果が、カバー70(及び特に試料注入用の開口74)を非常におおまかに切断した構造のチップに得られた。従って、カバーの開口の形状は、チップ60cにより高品質の磁気分割を行なうための重要パラメータではない。垂直方向に沈殿が生じる場合(チップ60d)、9の皿からなるマトリクス構造に関して良好な結果が得られる(CV<10%)。
更に、60a〜60cのデバイスの8つの流路に沿った蛍光強度分布を分析した。カバーに設けられる注入領域の構造に起因する影響は認められなかった。
【0051】
全体的な蛍光強度の低下は、デバイス60の種類に関係なく、沈殿、分割、第1容器への残渣の戻り、残渣の分散、沈殿、分割からなるステップを含むシーケンスの間に観察されなかった。従って、分割櫛を通過する間の粒子損失は生じなかった。他方、これらのステップの間、CV(変動率)は、尖鋭端部を有する櫛の形をしたチップ60cに関して悪化したが、丸み端部を有する櫛の形をしたチップに関しては5%未満を維持した。
これらの結果から、本分割方法は、一組の磁性粒子を複数のサブセットに等しい大きさで分散させるのに有効であることが極めて明瞭である。重要な結論は主に次の通りである。
−複数の流路への等分割を5%未満のCVで行なうことができる。
−分割中の粒子損失は無視できる程度である。
−分割櫛を有するデバイス(60a、60b、60c)は複数の皿(60d)への沈殿により分割を行なうデバイスよりも良好な結果をもたらす。
−試料注入領域の構造は有意な影響を及ぼさない。
−粒子の沈殿の前にブラウン分散ステップを行なうことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明によるデバイスの第1の実施形態の部分断面を表わす分解斜視図を示す。
【図2】本発明による分割システムの第1の実施形態による残渣の形成を模式的に示す。
【図3】本発明の一実施形態による分割方法を示す模式図である。
【図4】本発明による第2のデバイスの模式図である。
【図5】複数の尖端部を有する磁気構造とその作用を示す模式図である。
【図6】本発明による分割デバイスの別の実施形態を示す。
【図7】A〜Dは、検査に使用するデバイスを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1容器(10、44)内の溶液に含まれ、磁性粒子に固定された検体を複数の第2容器(12、42)に分割する方法であって、第1磁気手段によって磁性粒子を沈殿させ、第2容器(12、42)内に複数の残渣を形成する方法。
【請求項2】
少なくとも一の第1残渣(22、30)の形態で第1容器(10)に磁性粒子を沈殿させ、それぞれが少なくとも一の流路(14)により第1容器(10)に接続される第2容器(12)に第1残渣(群)を輸送する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第2磁気手段(20、24)によって生成される磁界を流路(14)に対して相対移動させることにより、第1残渣(群)(22、30)を第2容器(12)に輸送する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
各流路(14)は他の流路に対して平行であり、第2磁気手段(20、24)によって生成される磁界の相対移動は流路(14)の方向に平行である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
第1及び第2磁気手段を1つの構造体に一体化する、請求項3又は4記載の方法。
【請求項6】
第1残渣(22)は単一の直線的残渣であり、第1容器(10)を2つの部分に分割する、請求項2ないし5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
各流路(14)を、残渣(22)の同じ側に、第2磁気手段(20)によって生成される磁界の移動方向に向かって配置する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
第2磁気手段は、流路(14)に対して移動する長い磁石(20)を含む、請求項6又は7記載の方法。
【請求項9】
磁石(20)を流路(14)に対して移動させる方法であって、磁石(20)の長さは、移動方向に直交して磁石(20)を含む平面と、残渣(22)が堆積する第1容器(10)の底部との交差部分によって規定されるセグメントの磁石の、前記移動方向に直交して磁石(20)を含む平面に沿って突出する部分が、磁石が相対移動する間に亘り、磁石(20)によって画定されるセグメントの内部に含まれるような長さを有する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
第2磁気手段(24)を、各流路(14)の前面に1つの残渣(30)を形成するように構成する、請求項2ないし5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
残渣(30)の全てを各流路(14)の方向に沿って同時に移動させる、請求項10記載の方法。
【請求項12】
第2磁気手段(24)が、流路(14)に対して自由に移動する1又は複数の突起(28)を含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
第1残渣(群)(22、30)を第2容器(12)の位置まで移動させる、請求項2ないし12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
各流路(14)が強磁気テープを含み、第1残渣(群)をこの強磁気テープに沿って移動させて導く、請求項2ないし13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
各第2容器(12)が、毛管から成る1の流路(14)により第1容器(10)に接続される、請求項2ないし14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
磁性粒子の沈殿によって第2容器(42)内に複数の残渣を直接形成する、請求項1記載の方法。
【請求項17】
分割は等分割であり、即ち各第2容器(12、42)内の検体の量を同じにする、請求項1ないし16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
検体を粒子に固定し、粒子に固定された検体を含む溶液を第1容器に加える先行ステップを含む、請求項1ないし17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
液体に含まれる、磁性粒子に固定された検体を分割するデバイス(1、40)であって、液体を収容するための第1容器(10、44)と、各々が流路(14、48)により第1容器(10、44)に接続された複数の第2容器(12、42)とを備えるデバイス。
【請求項20】
各流路(14)が毛管である、請求項19記載のデバイス。
【請求項21】
各流路(14)がネック部(16、48)を介して第1容器に接続される、請求項19又は20に記載のデバイス。
【請求項22】
第1容器(10、44)が溶液を加える手段(4)に接続される、請求項19ないし21のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項23】
各第2容器(12)には流体の流入−排出流路(18)が設けられる、請求項19ないし22のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項24】
第1容器(10)、第2容器(12)、及び流路(14)を含む支持体(2、6)を備える、請求項19ないし23のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
各流路(14)が同一であり、2つの隣接する流路を分離するピッチが一定である、請求項24記載のデバイス。
【請求項26】
各流路(14)に、磁性粒子の残渣(22、30)の移動を導くための磁気トラックを備える、請求項19ないし25のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項27】
検体を分割するデバイスセットであって、請求項19ないし26のいずれか一項に記載のデバイス(1、40)を複数個含むデバイスセット。
【請求項28】
各デバイスの第1容器(10、44)が同様の大きさ及び形状を有する、請求項27記載のデバイスセット。
【請求項29】
液体に含まれる、磁性粒子に固定された検体を分割するシステムであって、請求項19ないし26のいずれか一項に記載のデバイス(1、40)、又は請求項27又は28に記載のデバイスセット、及び磁気手段(20、24、50)を備えるシステム。
【請求項30】
磁気手段が、流路(14)に対して自由に移動可能であることにより、検体が固定された磁性粒子を第1容器(10)から流路(14)を通して第2容器(12)に移動させることができる磁気手段(20、24)を含む、請求項29記載のシステム。
【請求項31】
可動磁気手段(20、24)が、流路(群)(14)に対する平行移動に適している、請求項30記載のシステム。
【請求項32】
可動磁気手段が長い磁石(20)を含む、請求項30又は31に記載のシステム。
【請求項33】
磁石(20)の長さには、移動方向に直交して磁石を含む平面に沿って磁石の上に突出する第1容器(10)の幅の部分が含まれ、第1容器の幅は、移動方向に直交する平面と第1容器(10)の底部との交差部分により形成されるセグメントによって規定される、請求項32記載のシステム。
【請求項34】
各流路(14)が、磁石の移動方向に沿って第1容器の同じ側に配置される、請求項32又は33記載のシステム。
【請求項35】
磁気手段が1又は複数の突起(24)を備える構造である、請求項29ないし31のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項36】
磁気手段が、流路(14)に対して自由に平行移動する磁界を生成できる一組の磁気要素を含む、請求項29記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【公表番号】特表2007−521495(P2007−521495A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544421(P2006−544421)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【国際出願番号】PCT/EP2004/053411
【国際公開番号】WO2005/059085
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(502124444)コミッサリア タ レネルジー アトミーク (383)
【出願人】(506206199)
【Fターム(参考)】