説明

磁気記録媒体の製造方法、及び、磁気記録媒体の製造装置

【課題】磁気記録媒体の製造に、より生産効率の高い埋め込み層の形成方法を適用すること。
【解決手段】基板上に設けられた記録磁性層の有する凹凸パターンに対して、高周波スパッタリング法により埋め込み層を成膜する際に、引き込み電界によりプラズマ中の正イオンを基板に引き込みながら、引き込み電界を形成しない時と比較した成膜速度比が90%以下となる条件で埋め込み層を成膜する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
従来、半導体デバイスによく用いられるパターン埋め込み方式としては、ターゲットと基板間距離を離し、イオン化されたスパッタ粒子のみを基板バイアスによって引き込み、基板と垂直方向から入射する方式が用いられている。この方式によれば、ボトムカバレージを向上させることが可能である。しかし、このような方式では、パターンのトップ側もボトム側以上に膜堆積されるため、パターンの段差が緩和されない場合がある。
【0002】
このため、例えばBPM(Bit Patterned Media)、DTM(Discrete Track Media)などの平坦化が必須の磁気記録媒体においては、一旦厚く膜堆積して、IBEやRIEなどのエッチング手段を用いてエッチングを行っていた(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−235357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、膜表面段差が大きい場合、凹部への埋め込みのための成膜と平坦化のためのエッチングのサイクルを数回繰り返す必要があり、生産効率低下や装置コスト上昇を招いていた。本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、より生産効率の高い埋め込み層の形成方法を適用することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明にかかる磁気記録媒体の製造方法の一態様は、基板上に設けられた記録磁性層の有する凹凸パターンに対して、高周波スパッタリング法により埋め込み層を成膜する工程を有する磁気記録媒体の製造方法において、
前記埋め込み層の高周波スパッタリング法による成膜を、引き込み電界によりプラズマ中の正イオンを基板に引き込みながら、前記引き込み電界を形成しない時と比較した成膜速度比が90%以下となる条件で成膜する
ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法である。
【0005】
また、本発明にかかる磁気記録媒体の製造方法の他の態様は、
高周波スパッタリング法により、
基板に印加するバイアス電圧を100V〜400V、
プロセス圧力を1Pa〜10Pa、
前記基板と前記カソードの距離を70mm以下として、基板上に設けられた記録磁性層の有する凹凸パターンに対して埋め込み層を成膜する工程
を有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法である。
【0006】
本発明のかかる磁気記録媒体の製造装置は、
真空容器、
前記真空容器内で基板を保持する基板保持機構、
前記基板に設けられた記録磁性層の有する凹凸パターンに対して埋め込み層を形成するための材料を含むターゲットを取り付け可能で、高周波電力の供給により前記真空容器内にプラズマを生成させるカソード、
前記真空容器内の圧力を調整する圧力調整手段、及び、
前記プラズマ中の正イオンを基板に引き込むバイアス電圧を基板に印加するバイアス電圧印加手段
を有するスパッタ装置と、
前記スパッタ装置を制御し、成膜を実行させる制御装置と、
を有し、
前記制御装置により、前記圧力調整手段及び前記バイアス電圧印加手段を制御し前記真空容器内の圧力及び前記バイアス電圧を制御することにより、前記バイアス電圧を印加しない時と比較した成膜速度比が90%以下となる条件で、前記基板に設けられた記録磁性層の有する凹凸パターンに対し、前記埋め込み層を成膜させることを可能とした特徴とする磁気記録媒体の製造装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のように、基板に設けられた記録磁性層の有する凹凸パターンに対する埋め込み層の成膜を、プラズマ中の正イオンの基板への引き込みのための引き込み電界を印加しない時と比較した成膜速度比が90%以下となる条件で行うことにより、成膜と同時に膜表面を平坦化するプロセスを実施することができる。その結果、埋め込み層をより平坦に形成することができ、その後のエッチングプロセスでの所要のステップやチャンバー構成を減らすことができ、生産効率向上と生産コストの低減に繋がる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明においては、引き込み電界によりプラズマ中の正イオンを基板に引き込みながら記録磁性層の凹凸に対する埋め込み層を高周波スパッタリングにより形成する際の条件として、引き込み電界を印加しない時と比較した成膜速度比が90%以下となる条件を採用することにより、埋め込み層の成膜と、平坦化の両方のプロセスを同時に行うことが可能となる。その結果、埋め込み層形成後の表面が平坦化された状態で埋め込み層が形成されるので、その後の平坦化のための処理、例えばエッチング処理の省略、あるいは簡易化が可能となる。
【0009】
本発明は、高周波スパッタリング法による埋め込み層を有する磁気記録媒体の製造に適用でき、このような磁気記録媒体であればその構造や構成材料は限定されない。
【0010】
本発明における成膜速度比の調整は、基板とカソード間の距離、成膜時の真空容器内圧力(プロセス圧力)、引き込み電界の印加条件などから選択される1以上のパラメータによって行うことができる。これらの条件の中でも、引き込み電界を調整するための基板に印加するバイアス電圧及びプロセス圧力の両方によって成膜速度比の調整を行うことが好ましい。
【0011】
本発明の方法において埋め込み層の形成と表面平坦化が同時に、すなわち、表面が平坦化処理されている状態で埋め込み層の成長が行われる過程について図1を用いて説明する。図1(A)に示すように、基板バイアスを用いて放電ガス、例えばArのイオン2を、磁性記録層に凹凸パターンが形成されている基板(パターン基板)1上に引き込み、イオン化されたスパッタ粒子4による膜堆積と同時に、ガスイオンスパッタによる堆積膜のエッチングも同時に行う。パターントップ側(図の上方側)の堆積膜がイオンスパッタされた場合、エッチングされた膜の一部(例えば粒子)3が空間に飛散する。これに対し、凹凸パターンの側面やボトム側(図の下方側)の堆積膜がイオンスパッタされた場合、エッチングされた膜の一部3は凹凸パターンの側面やボトム側に再堆積される。その結果、凹凸パターンのトップ側の堆積膜のみが選択的にエッチングされ、凹凸パターンの側面やボトム側に膜堆積が生じた状態で成膜が進む。その結果、最終的に形成された膜表面は図1(B)に示したように、元のパターンより平坦化された形になる。
【0012】
このように、イオンによる基板の凹凸パターン表面での、特に、凹凸パターンのトップ側での選択的なエッチングを実現するために、基板に設けられた凹凸パターンにエッチングのためのガスイオンを十分に供給すると同時に、基板に設けられた凹凸パターンに到達する成膜粒子に対してのガスイオンの割合を上げる必要がある。
【0013】
基板に設けた凹凸パターンへのガスイオン供給を果たすために、ターゲット放電によって発生したガスイオンを基板バイアスで引き込むのは有効である。成膜粒子に対するガスイオンの割合を上げるためには、高周波によるスパッタ成膜が最も適する。そこで、本発明では、引き込み電界を形成しない時と比較した成膜速度比が90%以下となる条件で、高周波スパッタリング法により埋め込み材料を成膜する。ここで、引き込み電界を形成しない時と比較した成膜速度比は、引き込み電界を形成せずに平坦面に成膜した場合の成膜速度に対する、引き込み電界を形成しながら同じ条件で平坦面に成膜した場合の成膜速度の比である。なお、成膜速度は単位時間に成膜される膜厚である。
【0014】
成膜速度比が90%を超えると、エッチングが不十分となり膜表面平坦化の効果が得られない。また、あまりにエッチング量が高い条件では、成膜効率が悪いばかりでなく、膜厚分布も悪くなる。好ましくは、成膜速度比が55%〜75%の範囲から選択されることが好ましい。
【0015】
目的とする成膜速度比を得るには、引き込み電界をかけない状態での基板平坦面への埋め込み材料を用いた成膜時の成膜速度を求め、同一成膜条件で引き込み電界をかけた場合の成膜速度を求め、これらの比を算出する。この操作で目的とする成膜速度比が得られない場合は、目的とする成膜速度比が得られる成膜条件が設定できるように成膜条件を種々変更する。こうして得られた目的とする成膜速度比が得られる成膜条件を用いて、実際の埋め込み層の形成を行う。
【0016】
図2に、本発明を実施する上で好適なスパッタ装置の一実施形態の概略構成を示す。図2のスパッタ装置は、制御装置215によって制御されるものであり、真空容器205に、高周波放電対応のカソード1対が対向して設置された構成を有する。なお、制御装置215は、例えば、予め定められたレシピに従って、所定プロセス圧力、所定バイアス電圧値に維持することで、本発明に係る成膜速度比を実現させる。各カソードにはそれぞれ独立して高周波電源208A、208Bが整合器207A、207Bを介して接続されている。各カソードの背面には磁界を印加するための磁石機構206が配置されている。真空容器205の少なくとも内壁面は接地電極として機能するように構成されており、各カソードとの間への放電用ガスの導入により放電が生じるようになっている。真空容器205内の圧力は、排気手段212とガス導入系214からの放電用のガス等のガス導入系214からの導入により制御できるようになっている。埋め込み層が形成される凹凸パターンを有する基板201は、基板保持機構210によって支持された状態で、不図示の搬送機構によって真空容器205内に搬送され、両カソードの中間位置に停止する。すなわち、基板保持機構210により真空容器205内のカソード上のターゲットと対向する所定位置に配置される。基板保持機構210には基板201にバイアス電源211により引き込み電界形成用として利用し得るバイアス電圧がかかるようになっている。
【0017】
カソードと基板の凹凸パターンが設けらている被加工面との距離は、ターゲット表面から基板表面の距離(以下、「T/S値」とも言う)が20mm以上70mm以下、好ましくは40mm以下になるよう設定される。これにより、放電用ガスのプラズマ化により発生したイオンを基板の被加工面に供給でき、このイオンによる堆積膜のエッチングを促進できる。なお、カソードと真空容器間に設けたカソードスペーサ202の厚み調整により、上述の距離に設定してもよい。カソードや基板の径は、本発明では特に限定されないが、円盤状のターゲットの直径が、円盤状の基板の直径より大きいものを好適に用いることができる。例えば、ターゲットの直径164mmに対し、40〜100mm程度の直径の基板を用いることができる。
【0018】
高周波電源は、カソードに高周波電力(例えば、13.56MHz〜100MHz)を供給する。高周波電源を用いることで、放電用ガスのイオン化率を高め、放電用ガスのイオンによるエッチングレートを高めることができる。供給電力の大きさは、特に限定されないが、例えば100W〜500Wとすることができる。両側のカソードは、夫々別の高周波電源に整合器を介して接続されている。この整合器は、カソードへの入力インピーダンスを高周波電源側の出力インピーダンスにあわせるための整合器であり、例えば可変コンデンサや可変インダクタなどの可変インピーダンス素子を備えて構成される。
【0019】
真空容器は接地されており、これにより真空容器を接地電極として、放電用ガスの導入によりカソードとの間で放電が発生する。
【0020】
位相調整器は、両側のカソードに供給される電力の位相(図では、各カソードと各整合器の間の各伝送路上の位相)を夫々検出し、その位相差を検出する位相差検出部と、両カソードに出力される電力の位相が異なる場合に、各高周波電源を制御することで、2つのカソードに供給される電力の位相を同位相(位相差0°±45°)にする位相調整部と、を有する。例えば、2つのカソードで逆位相とした場合、上述のように基板の被加工面とターゲットの距離が比較的短く設定される場合には、当該2つのカソード間で放電が発生し、比較的限定された領域にプラズマが存在することとなる。これに対し、2つのカソードを同電位にした場合は、放電は基板や接地された真空容器の側壁とカソードとの間で発生し、プラズマが逆位相とした場合よりも広い領域に形成されることとなり、このため基板近傍の領域ではプラズマ密度が均一になる。
【0021】
カソードの裏面側に設けられた磁石機構により、ターゲット表面に水平で、プラズマ形成用の電界に直交する磁界を真空容器内に形成することができる。この磁界によりターゲット表面にプラズマが高密度に閉じ込められ、マグネトロン放電が発生する。なお、磁石機構は本発明において必須の構成ではないが、基板の両面側でマグネトロン放電を行うことで、基板に届く放電用ガスのイオンの割合をより高めることができる。
【0022】
基板保持機構は、図4の正面図に示すように、基板41を側方から支持する導電性の支持爪42、43と、真空容器外部のバイアス電源からの供給を受けて支持爪42、43にバイアス電圧を供給する接続端子45と、を基体44に備えている。この基板保持機構の構成によって、基板を支持すると共に基板にバイアス電圧を印加可能になっている。本実施形態では、直流のバイアス電圧を印加する。バイアス電圧として交流電圧を印加してもよいし、パルス状の直流電圧を印加してもよい。バイアス電圧の大きさは、例えば100V〜400Vとすることができ、比較的大きな電圧を印加することで、基板表面における放電用ガスのイオンの割合を高めることができる。なお、LPF(Low−pass filter)は、バイアス電源側に放電用の高周波出力が入力するのを防ぐフィルタである。
【0023】
また、ガス導入系は、真空容器の上部から放電用ガス(例えば、Ar)を導入するように設けられ、排気手段(クライオポンプやターボ分子ポンプなど)は下部に設けて排気させる。なお、図示していないが、ガス導入系はマスフローコントローラなどの流量調整装置を有しており、制御装置によりガスの流量と排気手段の排気速度を調整することで、スパッタ時のプロセス圧力(真空容器内の圧力)を所定値に保つ。好ましくは1Pa〜10Paの比較的高圧にすることで、放電用ガスのプラズマ密度を高め、放電用ガスのイオン化によるエッチングを促進できる。
【0024】
図3に、上記構成の装置を用いた成膜例として、DTMの成膜例を示す。図3(A)の積層体は、DTMに加工途中のものであり、基板201上に、軟磁性層302と、下地層303と、記録磁性層304と、が形成されている。基板301としては、例えば2.5インチのガラス基板やアルミニウム基板を用いることができる。軟磁性層302は、記録磁性層304のヨークとしての役割を果たす層であり、例えばFe合金やCo合金などの軟磁性材料から構成される。下地層303は、記録磁性層304を垂直配向させるための層であり、例えばRuとTaの積層体等から構成される。記録磁性層304は、基板301に対して垂直方向に磁化される層であり、例えばCo合金などから構成される。このときのピッチp(溝幅+トラック幅)は例えば50〜100nm、溝幅は20〜30nm、アスペクト比(溝深さ/溝幅)は0.12〜1.2、記録磁性層304の厚さdは例えば4〜20nmである。
【0025】
この積層体に対し、図2に示すスパッタ装置を用い、記録磁性層304の溝が埋まるように埋め込み層305を成膜する。埋め込み層305の形成材料は、例えば、Cr,Ti,Ta,Nb,Zr,W,Siや、これらの組合せ、又は、これらと他の金属元素(例えば、Co,Ni)の含有物であり、これらを含有するターゲットを用いてスパッタする。具体的には、CoTi、CoTa、CoNb、CoZr、CoW、CoSi、NiTi、NiTa、NiNb、NiZr、NiW、NiSi(組成比は任意)のターゲットなどが挙げられる。本実施形態では、上記構成のスパッタ装置を用いているので、図3(B)に示すように埋め込み層305に生じる凹凸を小さくできる。
【0026】
その後、エッチング等により余剰の埋め込み層305を除き、記録磁性層304を露出させた後(図3(C))、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)306を形成することで(図3(D))、DTMを作製する。余剰の埋め込み層305を除く方法としては、従来の方法を用いることができ、例えば、記録磁性層304よりもエッチングレートの高い材料を埋め込み層305として用いることで、記録磁性層304の除去を抑え、平坦化することができる。本実施形態のスパッタ装置を用いることで、埋め込み層305の凹凸を抑えることができるので、エッチングを繰り返したりする手間を省ける。
【0027】
なお、例えば、余剰の埋め込み層305を除く際に、その表面凹凸が小さくなるに従って、エッチング量が大きくなるように条件を変更したりしてもよい。
【実施例】
【0028】
(実施例1)
実施例1では、プロセス圧力及びバイアス電圧と成膜速度比の関係について調べた。図2に示すスパッタ装置(T/S値:40mm)を用い、カソードに13.56MHzの高周波電力を印加し、基板に0,−100V,−200V,−300Vの各直流電圧を印加し、各プロセス圧力条件にて、ターゲット(材料:Cr)を平坦な基板面に成膜したところ、図5のグラフに示すような関係が得られた。
【0029】
そして、各成膜速度比について上記と同一の条件を用いて、ピッチ100nm(溝幅50nm)、深さ20nmの溝を複数径方向に形成したDTM媒体基板上に成膜を行った。
【0030】
図6に、成膜速度比100%のバイアス電圧を印加しない条件a,b(条件a:プロセス圧力3Pa,条件b:プロセス圧力9Pa)と、成膜速度比60%の条件c(プロセス圧力9Pa,バイアス電圧−200V)の成膜状態を模式的に示す。
【0031】
図6に示すように、条件(a)の場合は凸部の膜のエッチング量、凹部への引き込み量が共に少ないため凸部の成膜量と凹部の成膜量に大きな差が生じ、大きなボイドが形成されることが確認された。条件(b)では、凹部への引き込み量が増えてはいるが、凸部の膜のエッチング量が少ないため、ボイドが形成されていることが確認された。し、条件(c)では、ボイドが形成されることなく、凹部が充填され、凹部と凸部の膜厚差が小さく抑えられているのが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の原理を説明する模式図である。
【図2】本実施形態のスパッタ装置の概略構成図である。
【図3】本発明を適用した成膜例を示す図である。
【図4】基板保持機構の正面図である。
【図5】プロセス圧力及びバイアス電圧と成膜速度比の関係を示すグラフである。
【図6】各条件で埋め込み材料を成膜したときの成膜状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0033】
1 磁性記録層に凹凸パターンが形成されている基板(パターン基板)
2 放電ガス(例えばAr)のイオン(イオン化された放電ガスの粒子)
3 エッチングされた膜の一部(放電ガスイオンによってエッチングされた膜粒子)
4 イオン化されたスパッタ粒子(スパッタされたテーゲット粒子)
41 基板
42、43 支持爪
44 基体
201 基板
202 カソードスペーサ
203 カソード放電
204 導入ガス
205 真空容器
206 磁石機構(カソードマグネット)
207A、207B 整流器
208A、208B 高周波電源
209 ターゲット
210 基板保持機構
211 バイアス電源
212 排気手段
214 ガス導入系
215 制御装置
301 基板
302 軟磁性層
303 下地層
304 記録磁性層
305 埋め込み層
306 DLC(ダイヤモンドライクカーボン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられた記録磁性層の有する凹凸パターンに対して、高周波スパッタリング法により埋め込み層を成膜する工程を有する磁気記録媒体の製造方法において、
前記埋め込み層の高周波スパッタリング法による成膜を、引き込み電界によりプラズマ中の正イオンを基板に引き込みながら、前記引き込み電界を形成しない時と比較した成膜速度比が90%以下となる条件で成膜する
ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項2】
前記引き込み電界形成用に前記基板に印加するバイアス電圧、及び、プロセス圧力を調整することで、前記成膜速度比が90%以下となる条件とすることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
【請求項3】
高周波スパッタリング法により、
基板に印加するバイアス電圧を100V〜400V、
プロセス圧力を1Pa〜10Pa、
前記基板と前記カソードの距離を70mm以下として、基板上に設けられた記録磁性層の有する凹凸パターンに対して埋め込み層を成膜する工程
を有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項4】
真空容器、
前記真空容器内で基板を保持する基板保持機構、
前記基板に設けられた記録磁性層の有する凹凸パターンに対して埋め込み層を形成するための材料を含むターゲットを取り付け可能で、高周波電力の供給により前記真空容器内にプラズマを生成させるカソード、
前記真空容器内の圧力を調整する圧力調整手段、及び、
前記プラズマ中の正イオンを基板に引き込むバイアス電圧を基板に印加するバイアス電圧印加手段
を有するスパッタ装置と、
前記スパッタ装置を制御し、成膜を実行させる制御装置と、
を有し、
前記制御装置により、前記圧力調整手段及び前記バイアス電圧印加手段を制御し前記真空容器内の圧力及び前記バイアス電圧を制御することにより、前記バイアス電圧を印加しない時と比較した成膜速度比が90%以下となる条件で、前記基板に設けられた記録磁性層の有する凹凸パターンに対し、前記埋め込み層を成膜させることを可能とした特徴とする磁気記録媒体の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−84191(P2012−84191A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334090(P2008−334090)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000227294)キヤノンアネルバ株式会社 (564)
【Fターム(参考)】