説明

移動機およびファイル実行制御方法

【課題】 サーバおよび近距離無線端末と相互に連携して近距離無線端末内のファイルに対し適切な処理を行うよう制御する。
【解決手段】 本発明の一実施形態として、実行すべき処理に対応するサーバBのサーバIDを受け取り(M1)、処理テーブルにてサーバIDに関連付けられたハンディ端末Bが近距離無線通信可能な範囲内に存在するか否かを判断し(M2)、存在すると判断された場合、当該ハンディ端末B内のファイル情報を取得し(M3、M4)、取得されたファイル情報が、処理テーブルにて当該ファイルに関連付けられたファイル条件を充足するか否かを判定し(M5)、そして、当該判定結果に応じて当該ファイルに関連付けられた処理内容を実行するよう、自機(移動機10)、サーバB、およびハンディ端末Bの少なくとも1つを制御する(M6〜M8)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバや近距離無線端末と相互に連携し近距離無線端末内のファイルに対する処理の制御を行う移動機およびファイル実行制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、運送会社の宅配サービス員やガス又は電気の検針作業員などが、各社独自のハンディ端末を携帯し、宅配サービス処理情報や検針結果情報などを現場でハンディ端末に入力することが広く行われており、このようなハンディ端末として赤外線通信やBlue Toothなどを用いるいわゆる近距離無線端末を利用することが提案されている。
【0003】
ここでは、近距離無線端末の通信機能を利用して、近距離無線端末、移動機、サーバが相互に連係した処理の実現が待望されるが、未だ実現されていない。
【0004】
かかる処理では、処理対象となるさまざまなファイルの種類・属性・サイズ等のファイル情報に応じて処理を行う必要が生じてくるが、あるファイル情報に応じて所定の処理を行う技術は、例えば、ユーザファイル情報に基づき経路探索及び交通情報の取得を行う技術として、下記の特許文献1に提案されている。
【特許文献1】特開2002−48558号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる特許文献1の技術は、単一の処理対象を前提とした単純なものにすぎず、上記の宅配サービス処理、検針処理など複数の処理対象をも視野に入れた上で、サーバ、移動機、他の近距離無線端末(例えばプリンタ等)を相互に連係させた処理は未だ提案されていない。
【0006】
そこで、本発明は、サーバおよび近距離無線端末と相互に連携して近距離無線端末内のファイルに対し適切な処理を行うよう制御することができる移動機およびファイル実行制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明に係る移動機は、通信網を介してサーバとの間で通信が可能で、自機から近距離無線通信可能な所定の範囲内に存在する近距離無線端末との間で近距離無線通信が可能な移動機であって、サーバの識別情報、近距離無線端末の識別情報、近距離無線端末内のファイルに対する処理内容、および、ファイルに対し処理を実行する条件に関するファイル条件、を関係付けた処理テーブルを記憶した処理テーブル記憶手段と、自機から近距離無線通信可能な範囲内に存在する近距離無線端末を把握する把握手段と、実行すべき処理に対応するサーバのサーバ識別情報を受け取る受取手段と、記憶された処理テーブルにて、受取手段により受け取ったサーバ識別情報に関連付けられた近距離無線端末が、近距離無線通信可能な範囲内に存在するか否かを、把握手段による把握結果に基づいて判断する判断手段と、判断手段により、サーバ識別情報に関連付けられた近距離無線端末が存在すると判断された場合、当該近距離無線端末内のファイルに関するファイル情報を当該近距離無線端末から取得する取得手段と、取得手段により取得されたファイル情報が、処理テーブルにて当該ファイルに関連付けられたファイル条件を充足するか否かを判定し、当該判定結果に応じて当該ファイルに関連付けられた処理内容を実行するよう、自機、サーバ、および、把握手段により把握された近距離無線端末の少なくとも1つを制御する実行制御手段とを備えている。
【0008】
また、本発明に係るファイル実行制御方法は、通信網を介してサーバとの間で通信を行う機能、自機から近距離無線通信可能な所定の範囲内に存在する近距離無線端末を把握する機能、および当該把握された近距離無線端末との間で近距離無線通信を行う機能を備え、サーバの識別情報、近距離無線端末の識別情報、近距離無線端末内のファイルに対する処理内容、および、ファイルに対し処理を実行する条件に関するファイル条件、を関係付けた処理テーブルを記憶した移動機、におけるファイル実行制御方法であって、実行すべき処理に対応するサーバのサーバ識別情報を受け取る受取ステップと、記憶された処理テーブルにて、受取ステップで受け取ったサーバ識別情報に関連付けられた近距離無線端末が、近距離無線通信可能な範囲内に存在するか否かを判断する判断ステップと、判断ステップにて、サーバ識別情報に関連付けられた近距離無線端末が存在すると判断された場合、当該近距離無線端末内のファイルに関するファイル情報を当該近距離無線端末から取得する取得ステップと、取得ステップにて取得されたファイル情報が、処理テーブルにて当該ファイルに関連付けられたファイル条件を充足するか否かを判定する判定ステップと、判定ステップにおける判定結果に応じて当該ファイルに関連付けられた処理内容を実行するよう、自機、サーバ、および、把握手段により把握された近距離無線端末の少なくとも1つを制御する実行制御ステップとを有している。
【0009】
これらの発明では、まず移動機は、実行すべき処理に対応するサーバのサーバ識別情報を受け取る。ここでは、移動機は、サーバが接続された通信網からサーバ識別情報を受信してもよいし、移動機のユーザが入力したサーバ識別情報を受け取ってもよい。次に、移動機は、記憶された処理テーブルにて、上記サーバ識別情報に関連付けられた近距離無線端末が、近距離無線通信可能な範囲内に存在するか否かを判断し、存在すると判断された場合、当該近距離無線端末内のファイルに関するファイル情報を当該近距離無線端末から取得する。そして、移動機は、取得されたファイル情報が、処理テーブルにて当該ファイルに関連付けられたファイル条件を充足するか否かを判定し、当該判定結果に応じて当該ファイルに関連付けられた処理内容を実行するよう、自機、サーバ、および、把握手段により把握された近距離無線端末の少なくとも1つを制御する。
【0010】
上記のように、処理テーブル(即ち、サーバの識別情報、近距離無線端末の識別情報、近距離無線端末内のファイルに対する処理内容、および、ファイルに対し処理を実行する条件に関するファイル条件、を関係付けた処理テーブル)に基づく処理を実行することで、サーバの識別情報や近距離無線端末の識別情報に応じて処理内容が決められているので、意図しない送信や処理の実行を回避することができる。なお、上記の「ファイル条件」については、「条件無し」(ファイル条件=Null)の場合、即ち、無条件で処理を実行する場合も含むものとする。
【0011】
また、ファイル情報がファイル条件を充足するか否かの判定結果に応じて当該ファイルに関連付けられた処理内容を実行するため、ファイルサイズが所定サイズ以上である、ファイルがテキストデータである、ファイル更新日が本日である、…等のさまざまな条件に応じた適切な処理が可能となる。換言すれば、無駄な送信処理や印刷出力等を防止することができ、これに伴い、呼の有効活用を図ることもできる。
【0012】
また、ファイルに関連付けられた処理内容を実行するよう、自機、サーバ、および、把握手段により把握された近距離無線端末の少なくとも1つを制御するため、処理を自機、サーバ、近距離無線端末の3者で分散することが可能となり、処理の拡張性・汎用性を向上することができる。
【0013】
さらに、移動機から近距離無線通信可能な範囲内に存在する近距離無線端末を把握し、当該把握結果に応じて処理制御(例えばファイル情報の取得等)を行うことで、移動機の周辺状況に応じた制御を行うことが可能となる。
【0014】
なお、本発明に係る移動機は、処理テーブルを外部機器から受信し該受信した処理テーブルを処理テーブル記憶手段に記憶させる受信制御手段をさらに備えることが望ましい。かかる受信制御手段によって、処理テーブルを外部機器から受信し、受信した処理テーブルを処理テーブル記憶手段に記憶させるので、処理テーブルを外部機器にて設定することが可能となる。これにより、移動機のユーザが必ずしも処理テーブルを設定する必要は無くなり、移動機のユーザによる操作を削減することが可能となる。
【0015】
さらに、本発明に係る移動機では、実行制御手段は、ファイルに関連付けられた処理内容を実行させるべき近距離無線端末が、把握手段により把握されているか否かに応じて、処理内容の実行制御を行うことが望ましく、これにより、例えば、印刷出力する近距離無線端末が移動機から近距離無線通信可能な範囲内に存在しない場合、ファイルを移動機にて記憶しておき、印刷出力する近距離無線端末が移動機から近距離無線通信可能な範囲内に到来した時点で、ファイルを当該近距離無線端末へ送信し印刷出力させる、といったきめ細かい制御が可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、サーバおよび近距離無線端末と相互に連携して近距離無線端末内のファイルに対し適切な処理を行うよう制御することができる移動機およびファイル実行制御方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る移動機およびファイル実行制御方法の一実施形態を説明する。
【0018】
図1には、本実施形態に係る移動機10を含む全体構成図を示す。この図1に示すように、移動機10は、通信網30を介した通信を行うための移動体通信部11を備え、通信網30を介してサーバA、B、C(「サーバ40」と総称する)との間で通信が可能とされている。また、移動機10は、近距離無線通信(例えばBlue Toothや赤外線通信等)を行うための近距離無線通信部12を備え、当該移動機10から近距離無線通信が可能な所定の範囲内に存在する近距離無線端末(例えばハンディ端末50、プリンタ51、ディスプレイ52等)との間で近距離無線通信が可能とされている。
【0019】
本実施形態では、宅配サービス会社のサービス員が、ガスメータの検針をも行うことを想定する。そのため、サービス員は、宅配サービスに関するデータを入力・蓄積するためのハンディ端末Aとともに、ガスメータの検針データを入力・蓄積するためのハンディ端末Bも携帯している。また、サービス員は、自己のスケジュール管理用のPDA(ハンディ端末C)や、プリンタ51、ディスプレイ52を自己の車内に搭載しているものとする。
【0020】
また、サーバAは宅配サービスを統括管理するサーバであり、サーバBはガスメータの検針データを集中管理するサーバである。また、サーバCは、サービス員が契約しているサービスプロバイダのサーバであり、後述の処理テーブル16Aを移動機10に配信することが可能とされている。
【0021】
また、移動機10は、後述する処理テーブル16Aを記憶した処理テーブル記憶部16と、自機から近距離無線通信可能な範囲内に存在する近距離無線端末を把握する把握部17と、ダイヤル情報や各種の制御指示情報を入力するための入力部13と、実行すべき処理に対応するサーバ40のサーバ識別情報(以下「サーバID」という)を受け取る受取部14と、受取部14により受け取ったサーバIDに関連付けられた近距離無線端末が、近距離無線通信可能な範囲内に存在するか否かを判断する判断部18と、近距離無線端末が存在すると判断された場合、当該近距離無線端末内のファイルに関するファイル情報を当該近距離無線端末から取得する取得部19と、取得されたファイル情報が、処理テーブル16Aにて当該ファイルに関連付けられたファイル条件を充足するか否かを判定し、当該判定結果に応じて当該ファイルに関連付けられた処理内容を実行するよう、自機(移動機10)、サーバ40、および近距離無線端末50〜52の少なくとも1つを制御する実行制御部20とを備えている。
【0022】
受取部14は、実行すべき処理に対応するサーバ40のサーバIDを、入力部13経由で受け取ってもよいし、移動体通信部11によってサーバ40から通信網30経由で受け取ってもよい。
【0023】
上記の処理テーブル記憶部16が記憶した処理テーブル16Aは、例えば、図3に示すように、サーバID、ハンディ端末の識別情報(ハンディ端末ID)、各ハンディ端末内のファイルに対する処理内容、および、当該ファイルに対し処理を実行する条件に関するファイル条件、を関係付けて記憶している。
【0024】
把握部17は、自機から近距離無線通信可能な範囲内に存在する近距離無線端末(ここでは、ハンディ端末50、プリンタ51およびディスプレイ52を含む広義の端末)を所定時間おきに探索し、当該探索で得られた近傍の近距離無線端末の情報を探索結果テーブル17A(図4参照)に保持することで、近傍の近距離無線端末を把握している。探索結果テーブル17Aには、例えば図4に示すように、近距離無線通信可能な範囲内に存在するハンディ端末として、ハンディ端末AのID(HD−A)、ハンディ端末BのID(HD−B)、ハンディ端末CのID(HD−C)が保持され、近距離無線通信可能な範囲内に存在するプリンタとして、プリンタ51のID(PRT−1)、その他のプリンタのID(PRT−2)が保持され、さらに、近距離無線通信可能な範囲内に存在するディスプレイとして、ディスプレイ52のID(DSL−3)が保持されている。
【0025】
判断部18は、サーバIDに関連付けられた近距離無線端末のIDが探索結果テーブル17Aに存在すれば、当該近距離無線端末は近距離無線通信可能な範囲内に存在すると判断し、近距離無線端末のIDが探索結果テーブル17Aに存在しなければ、当該近距離無線端末は近距離無線通信可能な範囲内に存在しないと判断する。
【0026】
取得部19は、判断部18により近距離無線端末が近距離無線通信可能な範囲内に存在すると判断された場合に、近距離無線通信部12によって、当該近距離無線端末内のファイルに関するファイル情報を当該近距離無線端末から取得する。
【0027】
実行制御部20は、取得部19により取得されたファイル情報が、処理テーブル16Aにて当該ファイルに関連付けられたファイル条件を充足するか否かを判定し、当該判定結果に応じて当該ファイルに関連付けられた処理内容を実行するよう自機(移動機10)、サーバ40、および近距離無線端末50〜52の少なくとも1つを制御する。詳細は後述するが、例えば、ファイル情報が、ファイル更新日が本日であり且つファイルサイズが512キロバイトより大きいというファイル条件を充足する場合に、当該ファイルに関連付けられた処理内容として、プリンタが近距離無線通信可能な範囲に有れば、当該プリンタから当該ファイルを印刷し、プリンタが近距離無線通信可能な範囲に無ければ、所定のサーバ(例えば図1のサーバB)に当該ファイルを送信する、といった処理を実行することができる。
【0028】
このように実行制御部20は、ファイルに関連付けられた処理内容を実行させるべき近距離無線端末(例えば上記のプリンタ)が、近距離無線通信可能な範囲に存在すると、把握部17により把握されているか否かに応じて、処理内容の実行制御を行うことができる。
【0029】
また、移動機10は、処理テーブル16Aを外部機器から受信し、受信した処理テーブル16Aを処理テーブル記憶部16に記憶させる受信制御部15をさらに備えている。このため、処理テーブル記憶部16は、ユーザが入力部13によって入力した情報を処理テーブル16Aとして保持してもよいし、受信制御部15により受信された処理テーブル16Aを保持してもよい。
【0030】
次に、本発明に係る移動機におけるファイル実行制御方法について、図2を参照しながら説明する。なお、移動機10は、把握部17によって、自機から近距離無線通信可能な範囲内に存在する近距離無線端末を所定時間おきに探索し、当該探索で得られた近傍の近距離無線端末の情報を探索結果テーブル17A(図4参照)に保持することで、近傍の近距離無線端末を随時把握しているものとする。
【0031】
ここでは、宅配サービス会社のサービス員が、宅配サービスに関するデータの入力・蓄積用のハンディ端末Aとともに、ガスメータの検針データの入力・蓄積用のハンディ端末Bを携帯し、必要に応じてハンディ端末A、Bを使い分けながら、宅配サービスに関するデータとガスメータの検針データに対し所定の処理を行う例を説明する。
【0032】
図2に示すように、移動機10は、実行すべき処理に対応するサーバ40のサーバIDを、受取部14によって受け取る(図2のM1)。ここでは、一例として、サーバBが移動機10に対し、所定の処理(例えば検針データの収集等)の実行のためのトリガー情報を送信する例を説明する。サーバBが移動機10に対し上記トリガー情報を送信すると、通信網30において当該トリガー情報に、送信元ごとにID(ここではサーバBのID「Server-B」)が付与されて、移動機10の移動体通信部11経由で受取部14に届けられる(S1)。なお、このように移動機10の受取部14は、サーバIDをサーバ40から通信網30経由で受け取ってもよいが、これに限定されるものではなく、受取部14は、移動機10のユーザが入力部13により入力したサーバIDを受け取ってもよい。
【0033】
次に、移動機10は、判断部18によって、上記受け取ったサーバID「Server-B」に関連付けられたハンディ端末(ここでは「ハンディ端末B」)が近距離無線通信可能な範囲内に存在するか否かを、把握部17により保持された探索結果テーブル17Aを参照することで、判断する(M2)。
【0034】
ここで、ハンディ端末Bが近距離無線通信可能な範囲内に存在すると判断された場合は、後述のM3以降の処理を実行する。しかしながら、ハンディ端末Bが近距離無線通信可能な範囲内に存在しないと判断された場合は、図2の処理を終了する。なお、上記受け取ったサーバID「Server-B」に関連付けられたハンディ端末Bの情報が、そもそも探索結果テーブル17Aに存在しない場合には、図2の処理を終了するのは勿論のことである。
【0035】
図2のM3では、移動機10は、取得部19によって、ハンディ端末B内のファイル(即ち、ガスメータの検針結果のファイル)に関するファイル情報の取得要求をハンディ端末Bに対し近距離無線通信部12経由で送信する(M3)。この取得要求を受けたハンディ端末Bは、ファイル情報を移動機10の取得部19へ通知し(H1)、移動機10は該取得部19によってファイル情報を取得する(M4)。
【0036】
そして、移動機10は、実行制御部20によって、取得されたファイル情報が、処理テーブル16Aにて当該ファイルに関連付けられたファイル条件を充足するか否かを判定する(M5)。ここでは、例えば、ハンディ端末B(HD−B)に関連付けられたファイル条件ということで、ファイル情報が「ファイル更新日が本日であり且つファイルサイズが1Mバイトより大きい」というファイル条件を充足するか否かが判定される。
【0037】
その後、移動機10は、実行制御部20によって、当該判定結果に応じて当該ファイルに関連付けられた処理内容を実行するよう自機(移動機10)、サーバ40、および近距離無線端末50〜52の少なくとも1つを制御する。ここでは、例えば、ハンディ端末Bのファイルに関連付けられた処理内容として、図3に示すように、(1)サーバBに当該ファイルを送信する、(2)プリンタ51が近距離無線通信可能な範囲に有る場合、当該プリンタ51から当該ファイルを印刷する、といった処理を実行する。
【0038】
具体的には、実行制御部20がハンディ端末B内のファイルデータの取得要求をハンディ端末Bに対し近距離無線通信部12経由で送信すると(M6)、この取得要求を受けたハンディ端末Bは、ファイルデータを実行制御部20へ返送する(H2)。これにより、実行制御部20はファイルデータを取得する(M7)。そして、実行制御部20は、サーバBに当該ファイルデータを送信することで(M8)、サーバBに当該ファイルデータを保存させる(S2)。また、実行制御部20は、プリンタ51が移動機10から近距離無線通信可能な範囲に存在するか否かを、把握部17により保持された探索結果テーブル17Aを参照することで判断し、プリンタ51が近距離無線通信可能な範囲に有れば、当該プリンタ51へファイルデータを送信することで(M8)、当該ファイルデータを印刷させる(P1)。
【0039】
なお、図2の処理M1は本発明に係るファイル実行制御方法の「受取ステップ」に、処理M2は「判断ステップ」に、処理M3、M4は「取得ステップ」に、処理M5は「判定ステップ」に、処理M6、M7、M8は「実行制御ステップ」に、それぞれ対応している。
【0040】
以上説明した本発明に係る実施形態によれば、以下のような効果が得られる。即ち、処理テーブル16Aに基づく処理を実行することで、サーバIDやハンディ端末IDに応じて処理内容が決められているので、宅配サービス会社のサービス員が、宅配サービスに関するデータをハンディ端末Aから検針データ収集用のサーバBに送信したり、ガスメータの検針データをハンディ端末Bから宅配サービスデータ用のサーバAに送信したり、といった意図しない送信や処理の実行を未然に防止することができる。
【0041】
また、ファイル情報がファイル条件を充足するか否かの判定結果に応じて当該ファイルに関連付けられた処理内容を実行するため、ファイルサイズが所定サイズ以上である、ファイルがテキストデータである、ファイル更新日が本日である、…等のさまざまな条件に応じた適切な処理が可能となる。換言すれば、無駄な送信処理や印刷出力等を防止することができ、これに伴い、呼の有効活用を図ることもできる。
【0042】
また、ファイルに関連付けられた処理内容(図3参照)を実行するよう、移動機10は、自機10、サーバ40、および、近隣の近距離無線端末(ハンディ端末やプリンタ等)の少なくとも1つを制御するため、処理を自機10、サーバ40、近距離無線端末の3者で分散することが可能となり、処理の拡張性・汎用性を向上することができる。
【0043】
さらに、図2のM8において、プリンタ51が移動機10から近距離無線通信可能な範囲に存在するか否かを探索結果テーブル17Aを参照することで判断し、当該判断結果に応じた処理制御(例えばプリンタ51からの印刷)を行うことで、移動機10の周辺状況に応じた、きめ細かい適切な制御を行うことができる。
【0044】
なお、移動機10は、受信制御部15によって、処理テーブル16Aを外部機器(例えばサーバ40の何れか)から受信し該受信した処理テーブル16Aを処理テーブル記憶部16に記憶させてもよい。これにより、処理テーブル16Aを外部機器にて設定することが可能となるため、移動機10のユーザが必ずしも処理テーブル16Aを設定する必要は無くなり、ユーザによる操作を削減することが可能となる。但し、移動機10において受信制御部15は必須構成要素ではなく、入力部13等から入力された情報を処理テーブル16Aとして処理テーブル記憶部16にて保持してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態に係る移動機を含む全体構成図である。
【図2】移動機におけるファイル実行制御方法を説明するためのフロー図である。
【図3】処理テーブルの一例を示す図である。
【図4】探索結果テーブルの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
10…移動機、11…移動体通信部、12…近距離無線通信部、13…入力部、14…受取部、15…受信制御部、16…処理テーブル記憶部、16A…処理テーブル、17…把握部、17A…探索結果テーブル、18…判断部、19…取得部、20…実行制御部、30…通信網、40…サーバ、50…ハンディ端末、51…プリンタ、52…ディスプレイ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信網を介してサーバとの間で通信が可能で、自機から近距離無線通信可能な所定の範囲内に存在する近距離無線端末との間で近距離無線通信が可能な移動機であって、
サーバの識別情報、近距離無線端末の識別情報、前記近距離無線端末内のファイルに対する処理内容、および、前記ファイルに対し処理を実行する条件に関するファイル条件、を関係付けた処理テーブルを記憶した処理テーブル記憶手段と、
自機から近距離無線通信可能な範囲内に存在する近距離無線端末を把握する把握手段と、
実行すべき処理に対応するサーバのサーバ識別情報を受け取る受取手段と、
前記記憶された処理テーブルにて、前記受取手段により受け取ったサーバ識別情報に関連付けられた近距離無線端末が、近距離無線通信可能な範囲内に存在するか否かを、前記把握手段による把握結果に基づいて判断する判断手段と、
前記判断手段により、前記サーバ識別情報に関連付けられた近距離無線端末が存在すると判断された場合、当該近距離無線端末内のファイルに関するファイル情報を当該近距離無線端末から取得する取得手段と、
前記取得手段により取得されたファイル情報が、前記処理テーブルにて当該ファイルに関連付けられたファイル条件を充足するか否かを判定し、当該判定結果に応じて当該ファイルに関連付けられた処理内容を実行するよう、自機、前記サーバ、および、前記把握手段により把握された近距離無線端末の少なくとも1つを制御する実行制御手段と、
を備えた移動機。
【請求項2】
前記処理テーブルを外部機器から受信し、受信した処理テーブルを前記処理テーブル記憶手段に記憶させる受信制御手段をさらに備えた請求項1記載の移動機。
【請求項3】
前記実行制御手段は、
前記ファイルに関連付けられた処理内容を実行させるべき近距離無線端末が、前記把握手段により把握されているか否かに応じて、前記処理内容の実行制御を行う、請求項1又は2に記載の移動機。
【請求項4】
通信網を介してサーバとの間で通信を行う機能、自機から近距離無線通信可能な所定の範囲内に存在する近距離無線端末を把握する機能、および当該把握された近距離無線端末との間で近距離無線通信を行う機能を備え、サーバの識別情報、近距離無線端末の識別情報、前記近距離無線端末内のファイルに対する処理内容、および、前記ファイルに対し処理を実行する条件に関するファイル条件、を関係付けた処理テーブルを記憶した移動機、におけるファイル実行制御方法であって、
実行すべき処理に対応するサーバのサーバ識別情報を受け取る受取ステップと、
前記記憶された処理テーブルにて、前記受取ステップで受け取ったサーバ識別情報に関連付けられた近距離無線端末が、近距離無線通信可能な範囲内に存在するか否かを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにて、前記サーバ識別情報に関連付けられた近距離無線端末が存在すると判断された場合、当該近距離無線端末内のファイルに関するファイル情報を当該近距離無線端末から取得する取得ステップと、
前記取得ステップにて取得されたファイル情報が、前記処理テーブルにて当該ファイルに関連付けられたファイル条件を充足するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおける判定結果に応じて当該ファイルに関連付けられた処理内容を実行するよう、自機、前記サーバ、および、前記把握手段により把握された近距離無線端末の少なくとも1つを制御する実行制御ステップと、
を有するファイル実行制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−201974(P2006−201974A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−11945(P2005−11945)
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】