説明

移動状態関連情報報知装置

【課題】過去の移動状態を参酌して現在の移動状態を評価し、その評価結果に基づいて移動状態関連情報を報知する移動状態関連情報報知装置を提供すること。
【解決手段】使用者が任意に選択したポイント地点(例えば3km、7km、15km)のスプリットタイム等を予め記憶しておき、同一ルートをその使用者又は他の使用者が走行する場合、そのポイント地点で例えば自動的にスプリットタイム等を取得し、その現在のスプリットタイム等と予め記憶されている過去のスプリットタイム等に基づいて、次の走行についての有効なアドバイスを行うものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現在の移動状態を評価して有効な移動状態関連情報を報知する移動状態関連情報報知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、移動状態関連情報報知装置として、マラソンなどの競技において使用され、スタート地点から任意の地点を通過するまでに要した時間(「スプリットタイム」と称す。)や、任意の区間の走行に要した時間(「ラップタイム」と称す。)を計測して表示するストップウォッチ装置、或いは、このような機能を備えた腕装着型装置としての電子時計が知られている。
【0003】
また、移動状態関連情報報知装置の一例としてのストップウォッチ装置において、ユーザがトータルの目標時間を入力することで、ユーザに合った区間毎の目標ラップタイムを自動的に求めて、ユーザにそれを表示する機能の提案もなされている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−61558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような移動状態関連情報報知装置を使用する場合にあっては、現在の移動状態を途中で確認できはするものの、過去に同じルートを走行した際の移動状態と現在の移動状態とを比較しながら走行することが難しい。
例えば、過去に理想的な走行ペースを保って走行した場合、その走行ペースと同じ走行ペースでもって走行したいときもある。このような場合、上記移動状態関連情報報知装置を使用する者は、過去の理想的な走行ペースを頭の中に記憶しておくか筆記具で紙等に記録しておき、その頭の中に記憶しておいた又は紙等に記録しておいた走行ペースと、現在の走行ペースとを比較するしかなかった。
このような問題は、マラソンなどの競技の場合に限らず、旅行、ウォーキング等する場合にも、また自転車、自動車、飛行機などの移動体で移動する場合にも生じる。例えば、過去旅行において所定ルートで名所巡りをした場合、今回も過去におけると同じ移動ペースを保って同一ルートで名所巡りをしたい場合もある。このようなとき上記問題が生じる。
【0006】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、現在の移動ペース等の移動状態を過去の移動状態を参酌して評価して、その評価結果に基づく移動状態関連情報を報知する移動状態関連情報報知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、
装置本体、記憶部及び報知部を備えている移動状態関連情報報知装置において、
前記装置本体の位置情報を受信する位置情報受信手段と、
所定時期からの経過時間又は現在時刻を計時する計時手段と、
ルート記憶処理モード及びナビゲート処理モードのいずれかを選択するために使用者によって操作される操作手段と、
前記ルート記憶処理モードにおいて、任意のルート上で使用者が移動する際に複数のポイント地点で、前記計時手段によって計時されている経過時間又は現在時刻を表す時間情報と、前記位置情報受信手段によって受信される位置情報とを前記記憶部に記憶させる第1の制御手段と、
前記ナビゲート処理モードにおいて、前記ルートと同じルート上で使用者が移動した際に、前記位置情報受信手段で受信した位置情報に基づいて使用者が前記ポイント地点に到達したか否か判定し、各ポイント地点に到達する毎に、前記前記計時手段によって計時されている現在の時間情報を取得し、この現在の時間情報と、前記記憶部に記憶されている同一ポイント地点における過去の時間情報とに基づいて、現在の移動状態を評価し、その評価結果に基づく移動状態関連情報を前記報知部から報知させる第2の制御手段と、
を備えることを特徴とする移動状態関連情報報知装置である。
ここで、「移動状態関連情報の報知」は、音声であってもよいが、音声と画面による表示との双方又は画面による表示のみであってもよい。
また、ここでの「移動状態関連情報」には、現在の移動状態に対するコメント情報及び/又は次の移動状態に対するアドバイス情報等が含まれる。前者の例としては、例えば、現在の移動ペースに対して「遅れています」、「速すぎます」、「いい調子です」等の情報、後者の例としては、「もう少し速く」、「もう少しゆっくり」、「急げ」、「次の区間は1キロ3分ペースで」、「腕を大きく振れ」等の情報が考えられる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の移動状態関連情報報知装置において、
前記ルート記憶処理モードのもとで使用者によって操作される第2の操作手段を備え、
前記第1の制御手段は、前記第2の操作手段が操作された時にだけ、前記複数のポイント地点で前記計時手段によって計時されている時間情報と、前記位置情報受信手段によって受信された位置情報とを前記記憶部に記憶させることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の移動状態関連情報報知装置において、
前記ナビゲート処理モードのもとで使用者によって操作される第3の操作手段を備え、
前記第2の制御手段は、前記第3の操作手段が操作された時にだけ、前記複数のポイント地点で前記前記計時手段によって計時されている時間情報を取得することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3いずれか一に記載の移動状態関連情報報知装置において、
前記移動状態は、前記複数のポイント地点の一つであるスタート地点から他のポイント地点までのスプリットタイムによって定められることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、 請求項1から3いずれか一に記載の移動状態関連情報報知装置において、
前記移動状態は、隣り合う二つの前記ポイント地点間のラップタイムによって定められることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5いずれか一に記載の移動状態関連情報報知装置において、 前記第2の制御手段は、前記移動状態関連情報の他に、前記複数のポイント地点の一つであるスタート地点から他のポイント地点までのスプリットタイム、及び/又は隣り合う二つの前記ポイント地点間のラップタイムを前記報知部から報知させることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6いずれか一に記載の移動状態関連情報報知装置において、
前記位置情報受信手段は隣り合うポイント地点間においても逐次に位置情報をも受信し、
前記第1の制御手段は、前記位置情報受信手段が受信した位置情報を逐次に前記記憶部に記憶させ、
前記第2の制御手段は、前記移動状態関連情報の他に、前記記憶部に記憶された位置情報に基づいてコース情報を前記報知部から報知させることを特徴とする。
ここでの「コース情報」とはコースそのものについての情報である。この例としては、「これから右折」との情報や、「これから北東に移動」との情報が考えられる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1から7に記載の発明によれば、ルート記憶処理モードのもとで使用者が移動する際にポイント地点の位置情報と当該ポイント地点での時間情報とを記憶した後、ナビゲート処理モードのもとで使用者が同一ルートを移動すると、同じ複数のポイント地点を通過する都度、通過した複数のポイント地点での時間情報を取得し、この時間情報と予め記憶されている時間情報とに基づいて現在の移動状態を評価し、その評価結果に基づく移動状態関連情報をその都度報知することができる。
したがって、現在の移動状態を過去の移動状態を参酌して評価して移動状態を変更したい場合などに、使用者が過去の移動状態をいちいち記憶しておく必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態の移動状態関連情報報知装置の一例である電子時計の内部構成を示すブロック図である。
【図2】図1の電子時計の外観を示す正面図である。
【図3】図1の電子時計の別の表示態様を説明するための正面図である。
【図4】CPUにより実行されるメイン制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図4のステップ4のルート記憶処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】ルート記憶処理でメモリフォーマットに記憶される時場情報の内容を示す図である。
【図7】図4のステップ7のナビゲート処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】ナビゲート処理モードで使用されるワークエリアに読み出された時場情報等を示す図である。
【図9】第1実施形態の電子時計が使用されるルートの一例を説明するための図である。
【図10】第1実施形態の電子時計が使用された際の時場情報の一例を説明するための図である。
【図11】本発明の第2実施形態の移動状態関連情報報知装置の一例である電子時計の内部構成を示すブロック図である。
【図12】第2実施形態の電子時計のナビゲート処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】第2実施形態の電子時計が使用された際の時場情報の一例を説明するための図である。
【図14】第3実施形態のルート記憶処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】第3実施形態の電子時計が使用された際の時場情報の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の移動状態関連情報報知装置の一例である電子時計の内部構成を示すブロック図、図2は、この電子時計の外観を示す正面図である。
【0018】
第1実施形態の電子時計1は、例えば長中距離競技者等により使用される腕時計型の電子時計である。この電子時計の内部には、装置の全体的な制御を行うCPU(Central Processing Unit)10と、CPU10により実行される制御プログラムやデータ等が格納されるROM(Read Only Memory)13と、CPU10に作業用のメモリ空間を提供するRAM(Random Access Memory)14と、これらの間でデータを伝送するバス17と、時間表示や計測表示等の種々の表示を行う液晶パネルなどの表示部(報知部)12と、表示部12を駆動する表示駆動回路11と、複数のスイッチSW1からSW6等を有しユーザ操作によって信号入力を行う操作手段18と、計時を行うための計時回路(計時手段)15及び発振回路16と、装置本体の位置情報を受信するGPS受信部(位置情報受信手段)19とが設けられている。
【0019】
このうち計時回路15には、例えば、年月日時分秒などの現在時刻を計時するための日時カウンタ15aが設けられている。そして、この計時回路15は、CPU10の制御と発振回路16から供給される発振信号とに基づきカウンタにより計時動作を行うようになっている。
【0020】
次に、電子時計1の外観について説明すれば、この電子時計1は、図2に示すように、上記表示部12が風防ガラスに覆われて表面側に露出されているとともに、表面側の上側と下側とに操作ボタンB1と操作ボタンB2が設けられている。また、側面部に操作ボタンB3からB5が設けられている。これらの操作ボタンB1からB5は、上記操作部18のスイッチSW1からSW5をオン・オフする操作手段を構成するものである。
【0021】
このうち表示部12は、特に制限されるものではないが、例えば、上中下3段の表示領域12a,12b,12cに分割されている。そして、時計モードの場合には、図2に示すように、表示領域12aに西暦年及び月日が、表示領域12cに時分秒が表示されるようになっている。また、ナビゲーションモードの場合には、図3に示すように、表示部12aに緯度及び経度が、表示領域12bに移動状態関連情報が、表示領域12cにスプリットタイム又はラップタイムを示す時分秒が表示されるようになっている。
【0022】
次に、上記構成の電子時計1の動作説明を行う。
【0023】
図4には、CPU10と制御プログラムとの共働により実行されるメイン制御処理のフローチャートが示されている。
この実施形態の電子時計1においては、電源投入時からこのメイン制御処理が開始される。そして、CPU10は、計時モードスイッチSW1がONされた場合(ステップ1でYESの場合)に計時回路15に公知の計時処理を開始させる(ステップ2)。この計時処理は一旦開始されると継続される。一方、CPU10は、計時モードスイッチSW1がONされない場合(ステップ1でNOの場合)には計時モードスイッチSW1がONされるまで待機する。
CPU10は、計時処理の開始後、ルート記憶モードスイッチSW2がONされた場合(ステップ3でYESの場合)にはルート記憶処理を実行し(ステップ4)、その後に、ステップ3に戻り、ステップ3からの処理を実行する。ルート記憶処理の詳細については後述する。
CPU10は、ルート記憶モードスイッチSW2がONされない場合(ステップ3でNOの場合)にはナビゲートモードスイッチSW3がONされたか否かを判断し(ステップ5)、ナビゲートモードスイッチSW3がONされない場合(ステップ5でNOの場合)にはステップ3に戻り、ステップ3からの処理を実行する。一方、CPU10は、ナビゲートモードスイッチSW3がONされた場合(ステップ5でYESの場合)にはルート記憶が存在するか否かを判断し(ステップ6)、ルート記憶が存在しない場合(ステップ6でNOの場合)にはステップ3に戻り、ステップ3からの処理を実行する。ここに「ルート記憶が存在する」とは、以前にルート記憶処理が行われ電子時計1に記憶されている時場情報が消去されないで存在する場合をいう。
また、CPU10は、ルート記憶が存在する場合(ステップ6でYESの場合)にはナビゲート処理を実行し(ステップ7)、その後に。ステップ3に戻り、ステップ3からの処理を実行する。ナビゲート処理の詳細については後述する。
以上、メイン制御処理の一例を示したが、メイン制御処理はこれに限定されるものではない。
【0024】
続いて、上記メイン制御処理のステップ4で実行されるルート記憶処理を図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
このルート記憶処理においては、CPU10は、使用すべきRAM14のワークエリアをイニシャライズする(ステップ11)。その後、CPU10は、マーカスイッチSW4がONされる毎にポイント地点PNの時場情報を取得し(ステップ12)、RAM14のワークエリアにあるメモリフォーマットにその時場情報を記憶させる(ステップ13)。CPU10は、このステップ12及びS13の処理をエンドスイッチSW5がONされるまで繰り返す(ステップ14)。そして、CPU10は、エンドスイッチSW5がONされた場合にはエンド処理(ステップ15)の後にメイン制御処理のステップ3に戻り、ステップ3からの処理を実行する。
なお、ここで「時場情報」とは、ここでは時間情報及び位置情報である。
【0025】
このようにして作成されたメモリフォーマットの内容が図6に示されている。作成されたメモリフォーマットには、例えばルート番号と作成年月日等のヘッダが自動的に付される。
同図において、左端の縦に並んだ0,1,2,・・・,N,・・・,Eの番号及び文字はデータ番号(アドレス)であり、各データ番号の記憶領域に記憶されたデータは、スタート地点(ポイント地点P0)からゴール地点(ポイント地点PE)までの各ポイント地点の時場データ(時場情報)である。
すなわち、データ番号N(Nは0からEの整数)の記憶領域にはポイント地点PNの緯度XN、経度YN、時刻TNが記憶されている。具体的には、データ番号0の記憶領域にはスタート地点(ポイント地点P0)の緯度X0、経度Y0、時刻T0が記憶され、データ番号Eの記憶領域にはゴール地点(ポイント地点PE)の緯度XE、経度YE、時刻TEが記憶されている。
【0026】
続いて、上記メイン制御処理のステップ7で実行されるナビゲート処理を図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
このナビゲート処理においては、CPU10は、使用すべきRAM14のワークエリアをイニシャライズする(ステップ21)。その後、CPU10は、図示しない選択スイッチによるルート番号(メモリフォーマットのヘッダに付されたルート番号)の選択がされた場合(ステップ22でYESの場合)選択されたルート番号のメモリフォーマットに記憶されている時場情報(内容)をRAM14の比較用ワークエリアの比較用フォーマットに読み出す(ステップ23)。
【0027】
次に、CPU10は、ナビゲートスタートスイッチSW5がONされたか否かを判断する(ステップ24)。CPU10は、ナビゲートスタートスイッチがONされない場合(ステップ24でNOの場合)にはナビゲートスタートスイッチがONされるまで待機する。一方、ナビゲートスタートスイッチSW5がONされた場合(ステップ24でYESの場合)には、CPU10は、現在の位置情報(緯度x及び経度y)と、比較用ワークエリアに読み出された時場情報のデータ番号0に記憶されている緯度X0及び経度Y0とが合致するか否か、つまりスタート地点(ポイント地点P0)に使用者が達したか否かを判断する(ステップ25)。そして、スタート地点(ポイント地点P0)に使用者が達していない場合(ステップ25でNOの場合)にはCPU10はスタート地点(ポイント地点P0)に使用者が達するまで待機する。一方、スタート地点(ポイント地点P0)に使用者が達した場合(ステップ25でYESの場合)にはCPU10はその時の時刻t0を記憶させる(ステップ26)。
【0028】
以下、同様に、CPU10は、使用者が各ポイント地点PN(Nは1からEまでの整数)に達する毎に、各ポイント地点PNに達した時刻tNを記憶させる((ステップ27,28)。なお、各ポイント地点PNに達しない場合(ステップ27でNOの場合)にはCPU10はポイント地点PNに達したか否かの監視を続行する。
【0029】
このようにしてtNが取得されたならば、CPU10は、前回のスタート地点P0からポイント地点PNまでの所要時間(前回スプリットタイム(TN−T0))から今回のスタート地点P0からポイントPNまでの所要時間(現在スプリットタイム(tN−t0)を減算して減算値Aを算出する(ステップ29)。
【0030】
そして、CPU10は、減算値Aが−30秒≦A≦+30秒の範囲にあるときは「その調子」の表示(ステップ30)、A<−30秒の範囲にあるときは「もっと速く」の表示(ステップ31)、A>30秒の範囲にあるときは「もっとゆっくり」の表示(ステップ32)をさせる。
【0031】
以上のような処理を使用者がゴール地点(ポイント地点PE)に達するまで繰り返す(ステップ33)。そして、ナビゲート処理が終了する。ナビゲート処理が終了すると、CPU10はメイン制御処理のステップ3の処理に戻り、ステップ3からの処理を実行する。
【0032】
図8には、ナビゲート処理の際に作成される比較用フォーマットが示されている。ここで、tNはナビゲート処理モードのもとでのポイント地点PNの到達時刻である。
【0033】
次に、図9及び図10に基づいて、本実施形態の電子時計1の使用の具体例をその動作とともに説明する。
例えば、図9のようなルートで(すなわちスタート地点であるポイントP0からポイント地点P1,P2,P3を経由してゴール地点であるポイント地点P4まで)ランニングを行う場合を考える。この場合、使用者はスタート地点(ポイント地点P0)でマーカスイッチSW4を押す。すると、電子時計1には、ポイント地点P0の位置情報(緯度X0及び経度Y0)と、その時点での時刻(8:00‘00“)とが記憶される。そして、スタート地点P0からランニングを開始してポイント地点P1(使用者が任意に決めた位置)でマーカスイッチSW4を押すと、その電子時計1には、その地点の位置情報(緯度X1及び経度Y1)と、その時点での時刻(8:15‘30“)とが記憶される。その後も使用者がルート中の任意のポイント地点P2,P3,P4でマーカスイッチSW4を押すと、その都度、その地点の位置情報(緯度XN及び経度YN)と、その時点での時刻TNとが記憶される。
ここまでがルート記憶処理モードである。
【0034】
そして、次に同じルートでランニングを行う場合、使用者はスタート地点近くでナビゲートスタートスイッチSW5を押す。すると、電子時計1は、前回に記憶されたスタート地点P0の緯度X0及び経度Y0と現在地の緯度x及び経度yとを比較し、前回に記憶されたスタート地点(ポイント地点P0)に使用者が到達したか否かを判断する。また、電子時計1は、使用者がスタート地点に到達した時点の時刻(9:10‘00“)を記憶する。この場合、スタート地点に到達したことを確実に使用者に知らせるため、例えば音声を伴って報知することが好ましい。
【0035】
スタート地点に到達したならば使用者はランニングを開始することになる。このとき電子時計1は逐次に使用者の位置情報(緯度x及び経度y)を取得する。そして、前回に記憶されたポイント地点P1の位置情報(緯度X1及び経度Y1)と今回の位置情報(緯度x及び経度y)に基づいて使用者がポイント地点P1に到達したかどうかを判断し、ポイント地点P1に到達したならば、電子時計1は、その時点での時刻t1(9:27‘00“)を記憶する。
そして、電子時計1は、スタート地点P0→ポイント地点P1までの前回のスプリットタイム(15分30秒)から現在のスプリットタイムt1(17分00秒)を減算し、その減算値Aに基づいて今回の移動ペースが適切か否かを判別し、それに応じたアドバイスを表示する。ちみなに、現在の移動ペースは前回のそれよりも1分30秒も遅いので、電子時計1は、「もっと速く」の表示を行う。この場合、音声を伴って報知してもよい。以下、同様である。
【0036】
さらに、使用者がランニングを行いポイント地点P2に達したならば、その電子時計1は、その時点での時刻t2(9:46‘52“)を記憶する。
そして、電子時計1は、スタート地点P0→ポイント地点P2までの前回のスプリットタイム(36分42秒)から現在のスプリットタイム(36分52秒)を減算し、その減算値Aに基づいて現在の移動ペースが適切か否かを判別し、それに応じたアドバイスを表示する。ちみなに、現在の移動ペースは前回のそれよりも10秒遅い程度なので、電子時計1は、「その調子」の表示を行う。
【0037】
その後、ポイント地点P3,P4についても同じ処理を行うが、ポイント地点P4はゴール地点でありそれ以上ランニングを継続しないので、ここでは、途中の表示とは異なり、「もっと速く」、「もっとゆっくり」等は最終の評価や次回へのアドバイスとなる。
【0038】
なお、図10には今回のポイント地点の経度及び緯度が大文字X,Yではなく小文字x,yで示されている。これは今回のポイント地点が前回のポイント地点とは僅かに異なるが、そのずれが許容誤差範囲にある場合にも、ここでは、ポイント地点の通過としてみなしている。許容誤差範囲にある場合をもポイント地点の通過とみなすために、特に、小文字を使用して表示している。
【0039】
[第2実施形態]
図11から図13は第2実施形態の説明図である。
この第2実施形態の電子時計1の外観と第1実施形態のそれとは同じである。また、この第2実施形態の電子時計1によってなされるメイン制御処理及びルート記憶処理も第1実施形態の電子時計1のそれと同じである。したがって、それらの図面及び説明は省略する。
なお、この第2実施形態の電子時計1の説明にあっては、第1実施形態のそれと同じ構成部材やステップについては同一符号を用いるものとする。
【0040】
この第2実施形態の電子時計1が第1実施形態のそれと異なる点について説明すれば、第1実施形態の電子時計1では、スタート地点(ポイント地点P0)→各ポイント地点PNまでのスプリットタイムに基づいて移動状態(例えば移動ペース)を評価し移動関連情報の表示を行うようにしたが、第2実施形態の電子時計1では、隣り合うポイント地点間でのラップタイムに基づいて当該区間の移動状態を評価し次の移動に関して有効な情報(移動状態関連情報)の表示を行うようにした点である。
【0041】
そのため、第2実施形態の電子時計1の制御構成における計時回路15には、図11に示すように、年月日時分秒などの現在時刻を計時するための日時カウンタ15aの他に、ストップウォッチの機能動作時に所定区間の走行等に要した時間(ラップタイム)を計時する計測時間カウンタ15bが設けられ、計時回路15は、CPU10の制御と発振回路16から供給される発振信号とに基づきカウンタにより計時動作を行うようになっている。
【0042】
また、第2実施形態の電子時計1のナビゲート処理の一部が第1実施形態の電子時計1のそれとは異なっている。以下、この点について説明する。
この第2実施形態の電子時計1で実行されるナビゲート処理が図12のフローチャートに示されている。このフローチャートにおいてステップ21からステップ28までの処理は第1実施形態の電子時計1のものと同じである。
しかし、第2実施形態の電子時計1での処理は第1実施形態のステップ29の処理とは異なっている。すなわち、第2実施形態の電子時計1にあっては、CPU10は、前回のラップタイムから今回のラップタイムを減算して減算値Aを算出している(ステップ29‘)。その他の点は同じである。
【0043】
これを使用の具体例を示す図13に基づいて説明すれば、例えば、図9に示すのと同じルートで使用者がランニングを行いポイント地点P2に達すると、電子時計1は、その時点での時刻t2(9:46‘52“)を記憶する。
【0044】
そして、電子時計1は、スタート地点P1→ポイント地点P2までの前回のラップタイム(21分12秒)から現在のラップタイム(19分52秒)を減算し、その減算値Aに基づいて今回の移動状態が適切か否かを評価し、それに応じたアドバイスを表示する。ちみなに、今回のラップタイムは前回のそれよりも1分20秒も速いので、電子時計1は、「もっとゆっくり」の表示を行う。
【0045】
その後、ポイント地点P3,P4についても同じ処理を行うが、ポイント地点P4はゴール地点でありそれ以上ランニングを継続しないので、「もっと速く」、「もっとゆっくり」等は次回へのアドバイスとなる。
【0046】
[第3実施形態]
図14及び図15は第3実施形態の説明図である。
この第3実施形態の電子時計1の外観及び機能構成と第1実施形態のそれとは同じである。また、この第2実施形態の電子時計1によってなされるメイン制御処理及びナビゲート処理も第1実施形態の電子時計1のそれと同じである。したがって、それらの図面及び説明は省略する。
なお、この第3実施形態の電子時計1の説明にあっては、第1実施形態のそれと同じ構成部材やステップについては同一符号を用いるものとする。
【0047】
この第3実施形態の電子時計1が第1実施形態のそれと異なる点について説明すれば、第1実施形態の電子時計1では、ルート記憶処理モードにおいて、マーカスイッチSW4がONされる毎にそのポイント地点PNの時場情報を記憶させるようにしたが、第3実施形態の電子時計1では、図14のフローチャートに示すように、スタート地点(ポイント地点P0)でマーカスイッチSW4をONされた後は、CPU10は、所定時間(例えば30分)毎に自動的に、また、エンドスイッチSW5がONされた時に時場情報をRAM14に記憶させるようになっている点である。
【0048】
次に、図15に基づいて、本実施形態の電子時計1の使用の具体例をその動作とともに説明する。
例えば、図9と同じルートで(すなわちスタート地点であるポイントP0からポイント地点P1,P2,P3を経由してゴール地点であるポイント地点P4まで)ランニングを行う場合を考える。この場合、使用者はスタート地点(ポイント地点P0)でマーカスイッチSW4を押す。すると、電子時計1には、ポイント地点P0の位置情報(緯度X0及び経度Y0)と、その時点での時刻(8:00‘00“)とが記憶される。そして、スタート地点P0からランニングを開始して1時間経過すると、電子時計1には、その時のポイント地点P1の位置情報(緯度X1及び経度Y1)と、その時点での時刻(9:00‘00“)とが記憶される。その後もエンドスイッチSW5がONされるまで1時間毎にその地点の位置情報(緯度XN及び経度YN)と、その時点での時刻TNとが記憶される。エンドスイッチSW5がONされたならば、そのポイント地点P4の位置情報(緯度X4及び経度Y4)と、その時点での時刻T4とが記憶される
ここまでがルート記憶処理モードであり、ナビゲート処理モードについては第1実施形態と同様である。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。
例えば、第1実施形態及び第3実施形態の電子時計1においては、時刻からスプリットタイムを求めているが、時刻を用いずに、スタート地点で時計を0:00‘00“にしておき、スタート地点から他のポイント地点までの時間を計時するようにすれば、当該他のポイント地点までのスプリットタイムを簡単に求めることができる。
また、第1実施形態及び第2実施形態の電子時計1においては、ナビゲート処理モードのもと自動的に時刻を取得するようにしたが、ポイント地点での使用者のスイッチ操作によって時刻を取得するようにしてもよい。
さらに、GPS受信部19は、ルート記憶処理モードにおいて、隣り合うポイント地点間においても逐次に位置情報をも受信し、その位置情報を予め記憶部に記憶させておき、ナビゲート処理モードにおいて、移動ペース関連情報の他に、記憶部に予め記憶された位置情報に基づいてコース情報を報知させるようにしてもよい。
さらに、この実施形態では、ナビゲート処理モードにおいて、過去のルートと同じルート上で使用者が移動した際に、受信した位置情報に基づいて使用者がポイント地点に到達したか否か判定し、各ポイント地点に到達する毎に、計時されている現在の時間情報を取得し、この現在の時間情報と記憶されている同一ポイント地点における過去の時間情報とに基づいて、現在の移動ペースを評価し、その評価結果に基づく移動ペース関連情報を報知部から報知させるようにしているが、移動状態として、移動ペースのほかに、各ポイント間の移動時間、移動距離、移動位置などを報知させてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 電子時計
10 CPU
12 表示部
13 ROM
14 RAM
15 計時回路
15b 計測時間カウンタ
16 発振回路
18 操作手段
SW2 ルート記憶モードスイッチ
SW3 ナビゲートモードスイッチ
SW4 ナビゲートモードスイッチ
B1〜B5 操作ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体、記憶部及び報知部を備えている移動状態関連情報報知装置において、
前記装置本体の位置情報を受信する位置情報受信手段と、
所定時期からの経過時間又は現在時刻を計時する計時手段と、
ルート記憶処理モード及びナビゲート処理モードのいずれかを選択するために使用者によって操作される操作手段と、
前記ルート記憶処理モードにおいて、任意のルート上で使用者が移動する際に複数のポイント地点で、前記計時手段によって計時されている経過時間又は現在時刻を表す時間情報と、前記位置情報受信手段によって受信される位置情報とを前記記憶部に記憶させる第1の制御手段と、
前記ナビゲート処理モードにおいて、前記ルートと同じルート上で使用者が移動した際に、前記位置情報受信手段で受信した位置情報に基づいて使用者が前記ポイント地点に到達したか否か判定し、各ポイント地点に到達する毎に、前記前記計時手段によって計時されている現在の時間情報を取得し、この現在の時間情報と、前記記憶部に記憶されている同一ポイント地点における過去の時間情報とに基づいて、現在の移動状態を評価し、その評価結果に基づく移動状態関連情報を前記報知部から報知させる第2の制御手段と、
を備えることを特徴とする移動状態関連情報報知装置。
【請求項2】
前記ルート記憶処理モードのもとで使用者によって操作される第2の操作手段を備え、
前記第1の制御手段は、前記第2の操作手段が操作された時にだけ、前記複数のポイント地点で前記計時手段によって計時されている時間情報と、前記位置情報受信手段によって受信された位置情報とを前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1に記載の移動状態関連情報報知装置。
【請求項3】
前記ナビゲート処理モードのもとで使用者によって操作される第3の操作手段を備え、
前記第2の制御手段は、前記第3の操作手段が操作された時にだけ、前記複数のポイント地点で前記前記計時手段によって計時されている時間情報を取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の移動状態関連情報報知装置。
【請求項4】
前記移動状態は、前記複数のポイント地点の一つであるスタート地点から他のポイント地点までのスプリットタイムによって定められることを特徴とする請求項1から3いずれか一に記載の移動状態関連情報報知装置。
【請求項5】
前記移動状態は、隣り合う二つの前記ポイント地点間のラップタイムによって定められることを特徴とする請求項1から3いずれか一に記載の移動状態関連情報報知装置。
【請求項6】
前記第2の制御手段は、前記移動状態関連情報の他に、前記複数のポイント地点の一つであるスタート地点から他のポイント地点までのスプリットタイム、及び/又は隣り合う二つの前記ポイント地点間のラップタイムを前記報知部から報知させることを特徴とする請求項1から5いずれか一に記載の移動状態関連情報報知装置。
【請求項7】
前記位置情報受信手段は隣り合うポイント地点間においても逐次に位置情報をも受信し、
前記第1の制御手段は、前記位置情報受信手段が受信した位置情報を逐次に前記記憶部に記憶させ、
前記第2の制御手段は、前記移動状態関連情報の他に、前記記憶部に記憶された位置情報に基づいてコース情報を前記報知部から報知させることを特徴とする請求項1から6いずれか一に記載の移動状態関連情報報知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−197344(P2010−197344A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45681(P2009−45681)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】