説明

移載装置およびケーサーシステム

【課題】ワークにストレスをかけることなく、かつ小型で高速にワークをケースに移載できる移載装置およびケーサーシステムを提供すること。
【解決手段】所定の梱包位置である第二位置P302を通過するように連続供給されるケースCにワークWを移載する移載装置であって、ワークWが供給されるマガジン部40と、マガジン部40に供給されたワークWを把持可能な把持体と、前記把持体に把持されたワークWをマガジン部40から空中へと離間させた後に、ワークWを把持した前記把持体を第二位置P302を通過中のケースCへ移送する移送機構30と、を備え、移送機構30は、前記把持体をケースCの移動に追従させてワークWをケースCに案内する追従手段20を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移載装置及びケーサーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体飲料を充填した紙パック容器やペットボトル、ビール壜、牛乳壜およびアイスクリームやヨーグルトなどを充填したカップ容器等(以下「ワーク」と称する。)は、所定個数ずつプラスチックやダンボール箱等の流通箱(以下「ケース」と称する。)に箱詰めされて出荷されている。
【0003】
ワークをケースへ移載する技術としては、例えば、コンベア上に一列に流れてきたワークを所定個数ずつプッシャで押し出すことにより、ワークを整列・集積させてワークの配列をケースの形状に適した配列に変換することが知られている。また、所定の行および列に集積されたワークを、挟み込みまたは吸盤等を有するヘッドにより捕捉して持ち上げて、別のコンベアによって供給されたケース上に移動し、ワークをケースに箱詰めすることが知られている。この際、ワークを捕捉したヘッドを降下させる方法、およびワークに対してケースを上昇させる方法が知られている。
【0004】
このようにワークをケースに箱詰めする方法として、特許文献1には、ゲーブルトップ型紙製容器の箱詰め方法が開示されている。この特許文献1に記載の方法では、液体充填後のカートンを複数個集積させた後にカートンをグリッパーによって吊り上げてケースに移載している。また、上述の集積は、コンベアによって直列状態で供給されるワークを、プッシャによって所定個数づつ押出して整列させることが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、商品を整列・集積できる商品集積装置が開示されている。この特許文献2に記載の商品集積装置は、所定個数の商品が収容される櫛歯状の整列ガイドと、整列ガイドに収容された商品を載置しておくためのテーブルとを備えている。この商品集積装置によれば、整列ガイドを上述の櫛歯の1ピッチ分移動させるだけで、整列ガイドの溝内に商品を導入することができ、商品の流れを停滞させることなく商品を整列・集積できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−239305号公報
【特許文献2】特開平8−133228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、プッシャによってワークの胴体部が押されながらワークが移動するため、ワークの胴体部にストレスがかかり、またワークの底が擦れたりするため、紙カートンに損傷を与える場合があった。さらに、ワークを所定の行および列に整列・集積させた後に、それらを捕捉してケースに移載するという2段階の動作を要するので、ワーク処理能力を向上させることが困難であった。
また、特許文献2に記載の装置では、商品がテーブルに対して摺動されるので、商品にストレスあるいは損傷を与える場合があった。
さらに、これらの装置・方法では1ケースに収容可能なワークを一度に移載するものであったため、ワークを移載するためにワークを把持する部分の構成が大型になってしまう可能性があった。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ワークにストレスをかけることなく、かつ小型で高速にワークをケースに移載できる移載装置およびケーサーシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の移載装置は、所定の梱包位置を通過するように連続供給されるケースに被梱包物品を移載する移載装置であって、前記被梱包物品が供給されるマガジン部と、前記マガジン部に供給された前記被梱包物品を把持可能な把持体と、前記把持体に把持された前記被梱包物品を前記マガジン部から空中へと離間させた後に、前記被梱包物品を把持した前記把持体を、前記梱包位置を通過中の前記ケースへ移送する移送機構と、を備え、前記移送機構は、前記把持体を前記ケースの移動に追従させて前記被梱包物品を前記ケースに案内する追従手段を有することを特徴としている。
【0010】
また、前記マガジン部には前記被梱包物品が直列配置され、前記移送機構は前記ケースの各々に対して2回以上前記移送を行うことが好ましい。
【0011】
また、前記追従手段は、前記ケースの光学像を取得する撮像部と、前記光学像に基づいて前記ケースにおける前記被梱包物品の配置目標位置を認識する認識手段と、前記ケースの移動にともなう前記配置目標位置の移動を追跡するとともに前記追跡の結果に基づいて前記移送機構における前記案内の動作を制御する制御部と、を有することが好ましい。
【0012】
また、前記追従手段は、前記ケースの移動量を計測する計測部と、前記移動量に基づいて前記ケースの位置を算出する算出部と、前記ケースの移動にともなう前記位置の変化に追従して前記ケースにおける所定位置を追跡するとともに前記追跡の結果に基づいて前記案内の動作を制御する制御部と、を有していてもよい。
【0013】
本発明のケーサーシステムは、本発明の移載装置と、少なくとも前記梱包位置を通過するように前記ケースを定速搬送するケース搬送手段と、前記ケース搬送手段の軌道上に位置し前記ケースに梱包された前記被梱包物品が格納される格納手段と、を備えることを特徴としている。
【0014】
また、前記格納手段は、前記被梱包物品が要冷蔵の場合は、前記被梱包物品を冷蔵する冷蔵庫を有することが好ましい。
【0015】
また、前記格納手段は、前記被梱包物品が要冷凍の場合は、前記被梱包物品を冷凍する冷凍庫を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の移載装置及びケーサーシステムによれば、ワークの胴体を押したり、底部をこすったりする動作が抑制されているので、ワークにストレスあるいは損傷を与えることを抑制できる。
また、従来必要であったワークの整列・集積が不要になるので、ワークを集積するための集積スペースが不要となるとともにワーク処理能力を高めることができる。
さらに、ワークの整列・集積が不要になる分だけ従来の方式に比べて工程が単純化され、機械装置の構成や構造も簡素化され、装置全体の形状としても大幅に小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態のケーサーシステムのレイアウトを示す構成図である。
【図2】同ケーサーシステムにおける移載装置付近の構成を一部破断して示す平面図である。
【図3】同移載装置の正面図である。
【図4】同移載装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態の移載装置および移載装置を搭載するケーサーシステムについて図1ないし図4を参照して説明する。
図1は、本実施形態の移載装置300を搭載するケーサーシステム1のレイアウトを示す図である。図1に示すケーサーシステム1は、液体飲料等が充填された紙容器(カートン)がワークWであり、所定個数のワークWをまとめてケースCに収容するための設備である。本実施形態では、ワークWの形状として牛乳などの飲料を充填するために広く用いられているゲーブルトップ型の容器形状を示しているが、ワークWの形状はこれに限られるものではない。
【0019】
本実施形態では、ケースCの形状として、ワークWを4×3の行列で収容可能な形状を例示し、ケースCに対して最大12個のワークWを収容可能な装置構成について説明する。
【0020】
ケーサーシステム1は、ワークWを供給するワーク供給部100と、ワークWを収容するためのケースCを搬送するケース搬送部200と、ワークWをケースCに移載する移載装置300と、を備えている。
【0021】
本実施形態では、ワーク供給部100は、ワークWに液体を充填・密封する液体充填装置であり、周知の液体充填装置を適宜採用することができる。また、ワーク供給部100は、ワークWを移載装置300へ搬送するためのワーク供給コンベア101を備えている。ワーク供給コンベア101には、周知のコンベア装置を適宜採用することができる。
【0022】
ケース搬送部200は、所定のケース保管位置P201と所定の製品保管庫P202との間にコンベアベルト200aを有する周知のコンベア装置を適宜採用することができる。また、ケース搬送部200は、新規なケースCあるいは回収されたリサイクルケースC(以下あわせて「ケースC」と称する。)などを搬送可能である。
【0023】
図2は、ケーサーシステム1の一部の構成を一部破断して示す平面図である。図2に示すように、ケース搬送部200には、コンベアベルト200aの移動速度を検知してコンベアベルト200aの移動速度を一定に保つための検知部200bが設けられている。なお、検知部200bの位置は図2に示す位置に限らずコンベアベルト200aの軌道における適宜の位置とすることができる。
【0024】
また、コンベアベルト200aの軌道上には移載装置300が配置されている。移載装置300には、ワーク供給コンベア101が接続されてワークWが供給される第一位置P301と、ケース搬送部200の軌道上に位置しておりワークWをケースCに収容する位置である第二位置P302と、が設定されている。
【0025】
第二位置P302は、コンベアベルト200aの軌道方向に延びる所定長さLを有する領域である。所定長さLは、ケース搬送部200におけるケースCの搬送速度などに基づいて好適な長さを適宜設定することができる。また、第二位置P302におけるケースCへのワークWの移載は、ケース搬送部200上のケースCが移載装置300に対して連続的に相対移動している状態で行われる。すなわち、本実施形態の移載装置300は、第二位置P302を通過するように連続供給されるケースCに被梱包物品であるワークWを移載する装置である。
【0026】
図3は、移載装置300の正面図である。なお、図3では図2において符号CBで示す部分の記載を省略している。図2及び図3に示すように、移載装置300は、ワークWが供給されるマガジン部40と、マガジン部40に供給されたワークWを把持可能なチャックユニット10(把持体)と、チャックユニット10に把持されたワークWをマガジン部40から空中へと離間させた後に第二位置P302を通過中のケースCへ移送する移送機構30と、を備えている。
【0027】
マガジン部40は、ワーク供給部100によって供給されたワークWを直線上に最大4個整列させて配置することができる。なお、マガジン部40には必要に応じて、ワークWに対してマガジン部40を挟んで対向して配置され、ワークWの側壁部(胴部)に接触してワークWの姿勢を修正する図示しない姿勢修正機構を有していてもよい。なお、姿勢修正機構を有する構成を採用する場合には、姿勢修正機構によるワークWの側壁部への摩擦や衝撃を抑えるように留意することが好ましい。
マガジン部40には、ワーク供給コンベア101上を搬送されてきたワークWの流れをせき止めるためのストッパ41が設けられている。
【0028】
チャックユニット10は、ワークWを個別に把持可能な同形同大のチャック部11〜14を有している。本実施形態におけるチャック部11〜14は、ゲーブルトップ型のワークWにおける頂部WTを把持可能な詳細は図示しない挟み込み(開閉動作)型のグリップ機構を有し、ワークWの底部を空中に引き上げるように把持するものである。また、本実施形態では、チャック部11〜14のそれぞれは個別に開閉動作可能であり、チャックユニット10はワークWを最大4個まで把持することができる。また、チャック部11〜14の開閉動作を同期させて、単一の駆動信号でチャック部11〜14の開閉動作を制御することもできる。
【0029】
移送機構30には、フレームFに設置可能な構成を有する周知の産業用ロボットが設けられた構成を採用することができ、特に水平多関節ロボットを好適に採用することができる。本実施形態では、移送機構30には汎用ロボット32が備えられた構成を採用した。また、汎用ロボット32の作用軸31には、上述のチャックユニット10が接続されている。また、移送機構30は、チャックユニット10をケースCの移動に追従させてワークWをケースCに案内する追従手段20を有している。
【0030】
追従手段20は、ケースCの光学像を取得する撮像部21と、光学像に基づいてケースCにおけるワークWの配置目標位置Tを認識する認識手段22と、ケースCの移動にともなう配置目標位置Tの移動を追跡して移送機構30における上述の案内動作を制御する制御部23と、を有している。
【0031】
撮像部21は、上述の第二位置P302を撮像領域とするデジタルカメラである。撮像部21におけるフレームレート(撮像の頻度)はケースCの移動速度に基づいて適宜選択することができ、撮像部21は例えばデジタルビデオカメラであっても良い。
【0032】
また、撮像部21には、CCDやCMOS等のエリアイメージセンサを搭載した固体撮像装置を採用することができ、撮像部21にCCDカメラが採用された場合には、対象物を高精度に撮像することができる。
【0033】
認識手段22は、撮像部21と電気的に接続された回路であり、上述の光学像に基づいて光学像に含まれる所定のパターンを認識するパターン認識ブロック22aと、例えば上述のケースCなどのケースにおいてワークWが配置される位置(上述の配置目標位置T)があらかじめ記憶されたパターン記憶部22bと、を有している。
認識手段22では、撮像部21において撮像されて認識手段22に送信された画像から、ケースCの形状パターンにマッチする領域を注目領域として識別する。また、本実施形態では、パターン記憶部22bには配置目標位置Tとして、ケースCの形状に対応して第一列T1・第二列T2・第三列T3が設定されている(図4参照)。第一列T1・第二列T2・第三列T3のそれぞれは各列あたり4個のワークWが配列可能な領域である。
【0034】
制御部23は、詳細は図示しないが上述の認識手段22と一体にフレームFの制御ボックスCB内に格納されている。
【0035】
制御部23は、チャックユニット10をケースC内の第一列T1・第二列T2・第三列T3に案内するようにチャックユニット10の軌道を指示する駆動信号を汎用ロボット32に対して送信可能である。汎用ロボット32は、制御部23から受信した上述の駆動信号を含む所定の駆動信号に基づいて指示された動作を行う。
【0036】
また、制御部23においては、汎用ロボット32の動作をコンベアベルト200a上のケースCに追従させるために、コンベアベルト200aの移動速度と、コンベアベルト200aによって搬送されるケースCの位置と、汎用ロボット32に接続されたチャックユニット10の位置と、の位置情報に基づき、コンベアベルト200a上を移動するケースCとチャックユニット10との間における距離の時間変化を検出して出力フィードバックを行う。これにより、チャックユニット10とケースCとの相対位置関係をリアルタイムでフィードバック制御してオフセットの残らない追従制御ができる。
【0037】
さらに、本実施形態では、上記位置情報の観測値に含まれる誤差に起因する追従制御の精度低下を抑制するために、誤差を含む前述の観測値を用いてチャックユニット10とケースCとの真の相対位置関係を推定することができる。具体的には、ケーサーシステム1あるいは移載装置300におけるシステムノイズ及び観測ノイズを、ガウス分布に従う主要なノイズ群と想定し、カルマンフィルタ等を用いて上記ノイズの影響を低減する事ができる。
【0038】
以上に説明する構成の、本実施形態のケーサーシステム1全体の使用時の動作及び移載装置300の作用について図1から図4を参照して説明する。
まず、図1に示すように、ワーク供給部100において所定の加工が行われたワークWは、ワーク搬送コンベア101によってワーク移載装置300のマガジン部40に供給される。マガジン部40では、ストッパ41によってワークWがせき止められる。すると、第一位置P301には、ワークWが4個直列配置される。必要に応じて、マガジン部40においてワークWの位置調整を行い、ワークWが整列されるように位置修正を行っても良い。
【0039】
次に、図2及び図3に示すように制御部23によって汎用ロボット32が駆動され、汎用ロボット32の作用軸31に取り付けられたチャックユニット10がマガジン部40まで搬送される。続いてチャックユニット10が第一位置P301においてワークWを把持するための所定のチャック位置まで下降し、続いてチャック部11〜14によりワークWの頂部WTが把持される。なお、所定のチャック位置は、ワークWの形状の差異(例えば容器の容量の違いによる形状の差異など)によって予め設定されており、ワークWの種類によって切り換えて動作可能である。
【0040】
続いて、上述のチャック部11〜14のそれぞれが閉動作され、チャック部11〜14のそれぞれによってワークWの頂部WTが把持される。さらに、移送機構30によってチャックユニット10が鉛直上方に移動されて、ワークWはチャック部11〜14によって空中に引き上げられる。このとき、図3に示すようにワークWの底部および胴体部はマガジン部40等の部材から離間している。ワークWがマガジン部40から離間した後、マガジン部40には新たなワークWが供給され、直列配置された状態で待機する(この新たなワークWを便宜的に「ワークW2」と称する)。
【0041】
一方、ケース搬送部200においては、図1に示すようにケースCがケース保管位置P201から第二位置P302までコンベアベルト200aによって連続供給されており、所定の一定速度で第二位置P302における始点P302aに達する。すると、ケースCは撮像部21の視野に進入しているため、撮像部21によってケースCの光学像を含む光学像が取得される。
【0042】
認識手段22では、撮像部21において撮像された上記ケースCを含む光学像において上述の注目領域を認識し、コンベアベルト200aの移動にともなう注目領域の移動を追跡する。
【0043】
さらに、制御部23は、ケースCにおける第一列T1・第二列T2・第三列T3の位置を認識する。なお、第一列T1・第二列T2・第三列T3のうち一箇所以上の位置の認識に失敗した場合には第一列T1・第二列T2・第三列T3の検出を所定回数だけ再試行する。所定回数の再試行後になお認識に失敗した場合にはケースCに不良があるか、あるいはケースC内に異物があるなどのエラーメッセージを外部に出力する。
【0044】
第一列T1・第二列T2・第三列T3の位置が認識されたら、図2に示すように、最初にワークWを第一列T1へと移送する。このとき、ケースCはコンベアベルト200aによって連続的に移動しているが、撮像部21によって所定の時間幅で光学像が繰り返し撮像されており、第一列T1の位置は、所定間隔で更新されている。したがって、汎用ロボット32の作用軸31に取り付けられたチャックユニット10は、ワークWを把持した状態でケースCを追跡するように移動し、ケースC内の第一列T1へと案内される。
さらに、ワークWがケースCに収容された状態でチャック部11〜14のそれぞれが開動作され、ケースCの第一列T1へのワークWの移載が完了する。
【0045】
ワークWが第一列T1へ移載された後、汎用ロボット32は、チャックユニット10を第二位置P302から第一位置P301まで搬送する。このとき、撮像部21で撮像された光学像に基づいてケースCの位置が認識され、チャックユニット10およびチャック部11〜14がケースCに干渉しない軌道でチャックユニット10が搬送される。
【0046】
続いて、図2及び図3に示すように、マガジン部40において待機している上述のワークW2をチャックユニット10によって上述と同様に把持する。なお、チャックユニット10にワークW2が把持されてワークW2がマガジン部40から離間した後に、マガジン部40には新たなワークW(ワークW3)が供給される。
【0047】
制御部23においては、配置目標位置Tを第一列T1から第二列T2に切り換え、第二列T2へチャックユニット10を移送するように汎用ロボット32に対して駆動信号を送信する。すると、上述の第一列T1へのワークWの移送と同様にワークW2が第二列T2の移動を追跡しつつ第二列T2へと移送され、ケースC内の第二列T2にワークW2が移載される。
【0048】
ワークW2が第二列T2へ移載された後、上述と同様にチャックユニット10が第一位置P301へ戻され、マガジン部40において待機している上述のワークW3をチャックユニット10によって把持する。なお、チャックユニット10にワークW3が把持されてワークW3がマガジン部40から離間した後に、撮像部21によってコンベアベルト200a上で後続の他のケースCの存在が認識されていれば、後続のケースCへのワークWの移載のためにさらなるワークWがマガジン部40に供給される。
【0049】
制御部23においては、配置目標位置Tを第二列T2から第三列T3に切り換え、第三列T3へチャックユニット10を移送するように汎用ロボット32に対して駆動信号を送信する。すると、上述の第一列T1へのワークWの移送と同様にワークW3が第三列T3の移動を追跡しつつ第三列T3へと移送され、ケースC内の第三列T3にワークW3が移載される(図4参照)。
【0050】
第三列T3へのワークWの移載は、ケースCが第二位置P302の終点P302bを通過してケースCが第二位置P302の領域から出る前に完了する。ワークWが収納されたケースCは、図1に示すようにケース搬送部200によって製品保管庫P202の所定の位置まで搬送される。製品保管庫P202は、ワークWに適した特性を有する格納手段を採用することができる。具体的には、常温保管が好ましいワークに対しては常温保管庫、例えば飲料等であって冷蔵保管が好ましいワークに対しては冷蔵庫、さらに例えばアイスクリーム等であって冷凍保管が好ましいワークに対しては冷凍庫を備えることができる。
【0051】
ワークWおよびケースCが供給されている間は上述の一連の工程を繰り返し、ケース搬送部200によって搬送されるケースCのそれぞれに対して順次ワークWを収容してゆく。
【0052】
以上説明したように、本発明の移載装置300及びケーサーシステム1によれば、マガジン部40に供給されたワークWを直接ケースCへ移載することができるため、従来必要であったワークWの整列・集積が不要となる。このため、ワークWを集積させるための集積スペースが不要となるとともに、整列・集積に要していた時間を削減して処理能力を向上させることができる。
【0053】
また、ケースC内の領域を第一列T1・第二列T2・第三列T3に分割し、一列に相当する個数(4個)ずつケースに移載するため、チャックユニット10の小型軽量化ができる。
このように、本実施形態のケーサーシステム1及び移載装置300によれば、従来の方式に比べて工程が単純化され、機械装置の構成や構造も簡素化され、装置全体の形状としても大幅に小型化することが可能となる。
【0054】
さらに、従来のようにプッシャによってワークを押し出して整列・集積させる構成に代えて、ワークWをマガジン部40から引き上げて空中でケースCまで移送可能な構成を有しているので、ワークWの底部をこすったりすることによるワークWへの物理的刺激(ストレス)を与えることが抑制され、ワークWの損傷を抑制できる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述の実施形態では、コンベアベルト200a上でのケースCの移動を撮像部21によって認識してケースCを追跡する構成を採用したが、これに限らず、たとえば図2に示す検知部200bにおいてコンベアベルト200aの移動量を検出するエンコーダー(計測部)を設けることでケースCの移動量を間接的に認識する構成を採用することもできる。この場合、制御部23に代えて、エンコーダーにおける上記移動量を参照してケースCの位置を算出する算出部を有し、ケースCにおける第一列T1・第二列T2・第三列T3にワークWを案内する駆動信号を汎用ロボット32に対して送信可能な制御部を備えることで本発明の効果を奏することができる。
さらに、追従手段20にエンコーダーを採用することで、装置構成が簡略化できるとともにケーサーシステム1及び移載装置300の製造コストを低く抑えることができる。
【0056】
また、上述のエンコーダーと上述の撮像部21とを併用することもできる。この場合、コンベアベルト200aの伸び等によるエンコーダーの誤差が撮像部21によって補正可能であり、追従手段20の精度をさらに高めることができる。
【0057】
また、本発明の移載装置は、上述の実施形態において説明したゲーブルトップ型の容器以外のワークを移載する装置にも適用することができる。例えば、アイスクリームやヨーグルト等を充填したカップ容器をケースに移載する装置に本発明を適用する場合には、チャックユニット10におけるチャック部11、12、13、14に代えて、上記カップ容器の一部に吸着可能な吸着ヘッドを備えればよい。このような吸着ヘッドは、例えば真空エゼクタ(SMC ZH10BS−06−01)あるいはバキュームパット(妙徳 PJG−40−S)などの部品で構成することができる。また、チャック部11、12、13、14に代えてワークを把持する二つ割のチャックを採用することで、牛乳壜をケースに移載する移載装置にも本発明を適用することができる。
【0058】
また、上述の実施形態においてマガジン部40におけるワークWの配列は1列で計4個配列された形態を示し、ケースC内におけるワークWの配列は4×3の行列に計12個配列された形態を示したが、ワークWの数量及び配列は適宜選択することができる。例えば、第二位置P302における上記所定長さLの範囲で3回以上ワークWの移送を行って、12個以上のワークWを収容可能なケースにワークWを移載することもできる。
【符号の説明】
【0059】
1 ケーサーシステム
10 チャックユニット(把持体)
20 追従手段
21 撮像部
22 認識手段
23 制御部
30 移送機構
40 マガジン部
200 ケース搬送部(ケース搬送手段)
300 移載装置
C ケース
P202 製品保管庫(格納手段)
P302 第二位置(梱包位置)
T 配置目標位置
W ワーク(被梱包物品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の梱包位置を通過するように連続供給されるケースに被梱包物品を移載する移載装置であって、
前記被梱包物品が供給されるマガジン部と、
前記マガジン部に供給された前記被梱包物品を把持可能な把持体と、
前記把持体に把持された前記被梱包物品を前記マガジン部から空中へと離間させた後に、前記被梱包物品を把持した前記把持体を前記梱包位置を通過中の前記ケースへ移送する移送機構と、
を備え、
前記移送機構は、
前記把持体を前記ケースの移動に追従させて前記被梱包物品を前記ケースに案内する追従手段を有する、
移載装置。
【請求項2】
前記マガジン部には前記被梱包物品が直列配置され、
前記移送機構は前記ケースの各々に対して2回以上前記移送を行う請求項1に記載の移載装置。
【請求項3】
前記追従手段は、
前記ケースの光学像を取得する撮像部と、
前記光学像に基づいて前記ケースにおける前記被梱包物品の配置目標位置を認識する認識手段と、
前記ケースの移動にともなう前記配置目標位置の移動を追跡するとともに前記追跡の結果に基づいて前記移送機構における前記案内の動作を制御する制御部と、
を有する請求項1または2に記載の移載装置。
【請求項4】
前記追従手段は、
前記ケースの移動量を計測する計測部と、
前記移動量に基づいて前記ケースの位置を算出する算出部と、
前記ケースの移動にともなう前記位置の変化に追従して前記ケースにおける所定位置を追跡するとともに前記追跡の結果に基づいて前記案内の動作を制御する制御部と、
を有する請求項1または2に記載の移載装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の移載装置と、
少なくとも前記梱包位置を通過するように前記ケースを定速搬送するケース搬送手段と、
前記ケース搬送手段の軌道上に位置し前記ケースに梱包された前記被梱包物品が格納される格納手段と、
を備えるケーサーシステム。
【請求項6】
前記格納手段は、前記被梱包物品が要冷蔵の場合は、前記被梱包物品を冷蔵する冷蔵庫を有する請求項5に記載のケーサーシステム。
【請求項7】
前記格納手段は、前記被梱包物品が要冷凍の場合は、前記被梱包物品を冷凍する冷凍庫を有する請求項5に記載のケーサーシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−285183(P2010−285183A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140217(P2009−140217)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(000223148)株式会社トーワテクノ (10)
【Fターム(参考)】