説明

移載装置における昇降台の取付構造

【課題】支柱装置の上下においてスパンに誤差が発生したり、あるいは支柱装置や支持フレームが僅かに傾斜したりしても、昇降台の昇降を円滑に行うことができる移載装置における昇降台の支持構造を提供すること。
【解決手段】移載装置100を、倉庫内を移動する基台10と、この基台10上に立設した左右2基の支柱装置20と、これら各支柱装置20に対して上下動される昇降台30と、この昇降台30上に設置される移載機40とにより構成するとともに、各支柱装置20に対して支持フレーム32を昇降自在に取り付け、これら各支持フレーム32の下端に、支持フレーム32の丸穴33aに挿通したピン33を介して昇降台30の端部を連結して、この昇降台30と各支持フレーム32とが、各ピン33を介して左右方向において傾動可能となるようにしたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の棚に対してワークを出し入れする(移載)ための移載装置に関し、特に、この移載装置においてワークの出し入れを行う移載機を昇降させる昇降台の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の移載装置、及びこれを構成している昇降台は、棚へのワークの出し入れを行う移載機を、棚の位置に合わせてそれぞれ移動、及び昇降させるものであり、自動化された倉庫で大活躍しているものである。また、この種の移載装置では、昇降台の両側を吊るために、図1〜図4に示すように、その支柱(装置)を当該移載装置の進行方向に対して左右2本にする必要がある。なお、移載機は、スカラーアームやスライドフォーク等種々なものがあり、ワークの種類に応じて適宜選択される。
【0003】
また、この種の移載装置においては、上記昇降台を支柱装置に対して上下に案内しなければならないが、ワークが大きくてしかも重量のあるものになってくると、この昇降台の昇降も確実に行えるようにしなければならないし、ワークの大型化に伴って棚も大型化されることから、移載機を介して当該昇降台に係る重力負荷も大きなものになってきている。
【0004】
このような移載装置における昇降台の案内装置としては、出願人の出願である特許文献1にも詳しく述べられている。
【特許文献1】実開平5−22491号公報、図2または図3
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1では、「左右一対の垂直なガイドレールに沿って昇降する昇降台が左右にガタ付かないようにする」ことを目的としてなされた「昇降台の案内装置」に関する発明が記載されており、この「昇降台の案内装置」では、図14に示すように、「昇降台12の少なくとも1側方のガイドローラー18が昇降台12に左右動自在に設けられると共に、ばね19によってガイドレール11側に向かって付勢されている」という構成を有しているものである。
【0006】
この特許文献1に記載された「昇降台の案内装置」は、「マストが高くなると、マストが高さの中央部において相互に離れる方向又は相互に近接する方向に撓んで、それら左右のマストの間隔が高さ方向に変化するため、左右のガイドレール相互間の間隔も変化し、その結果、ガイドレールと昇降台のガイドローラーとの間に間隙が発生し、昇降台が左右にガタ付くという欠点があった」という従来技術を改善するものであり、上記のように構成したことによって、「昇降台の少なくとも1側方のガイドローラーが昇降台に左右動自在に設けられると共に、ばねによってガイドレール側に向かって付勢されているので、ガイドレールと昇降台のガイドローラーとは常時密接状態を保持する」という作用を発揮するものとなったのである。
【0007】
しかしながら、本発明者のその後の検討によると、昇降台の支柱(装置)に対する連結を「ガイドローラとガイドレール」によって行える場合は、上記のような構成で十分であるが、それ以外の連結方法を採用した場合には、上記の構成では十分な効果が得られないことが判明したのである。
【0008】
すなわち、前述したように、重くて大きなワークの移載を行うようにした移載装置では、その全体について大型化せざるを得なくなってきており、前後2本必要な支柱(装置)についてみても、その高さが10m前後となるような高いものにせざるを得なくなってきている。そうなると、これらの支柱装置の上下における「スパン」が、当該支柱装置自体の製造誤差や、上記ワークによる重量が掛かっているか否か、またこのワークの支持位置が支柱の上端側であるか下端側であるかによって、異なることがある。
【0009】
換言すれば、ワークや移載機を載せる昇降台を単純に支柱装置側に連結しただけでは、上記のような状況変化に応じきれず、例えば特許文献1で言えば、ガイドレールや昇降台のガイドローラーに機械的な無理が掛かることになって、移載装置の円滑な作動が阻害される可能性が出てきたのである。
【0010】
そこで、本発明者等は、上記移載装置について、その支柱装置が仮に大型化した場合であっても、昇降台の昇降作動を常に安定して行えるようにするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0011】
すなわち、本発明の、まず第1に目的とするところは、支柱装置の上下においてスパンに誤差が発生したり、あるいは支柱装置や支持フレームが僅かに傾斜したりしても、昇降台の昇降を円滑に行うことができる移載装置における昇降台の支持構造を提供することにある。
【0012】
また、本発明の第2に目的とするところは、昇降台が連結される支持フレームの、支柱装置に対する昇降案内を直線移動ガイドによって安定的に行い、ワーク等を介して付与される捩れ力に十分対抗できる移載装置における昇降台の支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「多数の棚50を配置した倉庫内を移動して、各棚50に対するワークの出し入れを行う移載装置100であって、
この移載装置100を、前記倉庫内を移動する基台10と、この基台10上に立設した左右2基の支柱装置20と、これら各支柱装置20に対して上下動される昇降台30と、この昇降台30上に設置される移載機40とにより構成するとともに、
各支柱装置20に対して支持フレーム32を昇降自在に取り付け、これら各支持フレーム32の下端に、支持フレーム32の丸穴33aに挿通したピン33を介して昇降台30の端部を連結して、この昇降台30と各支持フレーム32とが、各ピン33を介して左右方向において傾動可能となるようにしたことを特徴とする移載装置100における昇降台30の取付構造」
である。
【0014】
すなわち、この請求項1に関連する移載装置100は、多数の棚50を配置した倉庫内を移動して、各棚50に対するワークの出し入れを行うものであり、図1に示すように、前記倉庫内を移動する基台10と、この基台10上に立設した2基の支柱装置20と、これら各支柱装置20に対して上下動される昇降台30と、この昇降台30上に設置される移載機40とにより構成したものである。
【0015】
また、この移載装置100では、支柱装置20に対して昇降自在に取り付けた支持フレーム32に昇降台30を支持させたものであるが、図2に示すように、支柱装置20に対して支持フレーム32を直接取り付ける他、図3に示すように、支柱装置20に対して支持フレーム32をガイドユニト31を介して間接的に取り付ける場合も含むものである。
【0016】
そして、この請求項1の移載装置100は、各支柱装置20自体や、これに昇降自在に取り付けた支持フレーム32が、製造誤差等によって鉛直方向に対して傾斜している場合に、昇降台30と支持フレーム32とが、各丸穴33aに挿通したピン33を介して傾動可能となるようにして、昇降台30の水平状態を維持しながら、傾斜に基づく「無理な力」が当該移載装置100の各部に加わらないようにしたものである。
【0017】
さて、以上の構成を有する移載装置100は、図2または図3にも示すように、多数の棚50が配置してある倉庫内のレール21上を移動してワークを出入すべき棚50の前に来ると、図4にも示すように、棚50の該当する位置まで昇降台30を昇降させる。その後、昇降台30上の移載機40を作動させて、そのスカラーアームまたはフォークを棚50に延ばし、ワークの出入を行い、再びスカラーアームまたはフォークを元の位置に戻すことによってワークの出入を完了するのである。
【0018】
また、この移載装置100を構成している2基の支柱装置20に対しては、図2または図3及び図4に示すように、上述した昇降台30が昇降自在に取り付けてあるが、この昇降台30の支柱装置20に対する取付けは、図2に示す最良形態では、各支柱装置20に支持フレーム32を介して傾動可能に、また図3に示す最良形態では、各支柱装置20にガイドユニット31を介して支持フレーム32を傾動可能に取り付けることによりなされている。
【0019】
勿論、これらの支持フレーム32は、各支柱装置20に対してチェーン等の索条や後述する直線移動ガイド60によって支持されていて、各支柱装置20内に設けた図示しない駆動装置によって各索条を同期駆動することにより、これら各支持フレーム32の昇降が行われるのである。
【0020】
そして、図2または図3に示すように、この支持フレーム32の下端に昇降台30の端部をピン33を介して傾動可能に連結するのであるが、そのために、図8〜図10に示すように、例えば昇降台30の上面に昇降台側ブロック30aを固定しておき、この昇降台側ブロック30aに丸穴33aを形成しておく。一方、支持フレーム32の下端に支持フレーム側ブロック32bを固定しておき、この支持フレーム側ブロック32bにも丸穴33aを形成しておく。そうして、以上のように構成した各昇降台側ブロック30a及び支持フレーム側ブロック32bに形成した各丸穴33a内に上述したピン33を挿入し、このピン33を介して、昇降台30を支持フレーム32に傾動可能に連結したのである。なお、後述する最良形態では、このピン33は、図7に示した平面視四角形状の昇降台30の、各コーナー部にそれぞれ配置してあり、2本の支持フレーム32の前後両下端に対して一個宛、合計4個が使用されている。
【0021】
以上のように構成したことによって、この請求項1に係る移載装置100における昇降台30の取付構造においては、昇降台30の各支柱装置20側端部に対応する4カ所が、各丸穴33aに挿通したピン33を介して支持フレーム32の下端部にそれぞれ傾動可能に連結してあるから、昇降台30は両側に位置する各支持フレーム32に対して傾動し得るものとなっているのである。
【0022】
ここで、もし、支持フレーム32の昇降量が両側において僅かに異なっていたり、各支柱装置20において高さ方向について僅かに寸法誤差があったり、さらには昇降台30上の移載機40がワークを支持したときの捩れ力が各支柱装置20や昇降台30自身に掛かったときには、両支柱装置20間のスパンが他の部分に比して異なって、各支柱装置20が内側、つまり昇降台30の上側に僅かに倒れ込むという現象となって顕在し、各支柱装置20側のレール21等に無理な力が加わることになって、昇降台30の円滑な昇降が阻害されることになる。何故なら、各支柱装置20には昇降台30及びその上の移載機40、さらにはこの移載機40は支持したワークの重量が加わるからである。
【0023】
しかしながら、この請求項1の取付構造では、当該昇降台30が丸穴33aに挿通したピン33によって支持フレーム32に連結してあるから、両支柱装置20間のスパンが異なることによって生じた寸法変化や傾斜状態は、各ピン33および丸穴33aにおいて吸収され、この移載装置100における各連結部や支持部に無理な力が加わることはないのである。
【0024】
従って、この請求項1の移載装置100における昇降台30の支持構造では、支柱装置20間のスパンに誤差が発生しても、昇降台30と支持フレーム32とが各丸穴33aに挿通したピン33を介して傾動可能となっているから、昇降台30の昇降を円滑に行うことができるものとなっているのである。
【0025】
以上の課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、同様に、
「多数の棚50を配置した倉庫内を移動して、各棚50に対するワークの出し入れを行う移載装置100であって、
この移載装置100を、前記倉庫内を移動する基台10と、この基台10上に立設した左右2基の支柱装置20と、これら各支柱装置20に対して上下動される昇降台30と、この昇降台30上に設置される移載機40とにより構成するとともに、
各支柱装置20に対して支持フレーム32を昇降自在に取り付け、これら各支持フレーム32の一方の下端に、支持フレーム32の丸穴33aに挿通したピン33を介して昇降台30の端部を連結するとともに、支持フレーム32の他方の下端に、ピン33の水平動を許容する支持フレーム32の長穴33bに挿通したピン33を介して昇降台30の他端部を連結して、
昇降台30と各支持フレーム32とが、各ピン33を介して左右方向において傾動可能とし、かつ昇降台30と支持フレーム32とが、ピン33を介して左右方向においてスライドを可能となるようにしたことを特徴とする移載装置100における昇降台30の取付構造」
である。
【0026】
すなわち、この請求項2の移載装置100における昇降台30の取付構造では、その基本的な部分、及び支持フレーム32の一方の下端に昇降台30の一端部を、丸穴33aに挿通したピン33を介して傾動可能に連結した点は上記請求項1のそれと同様であるが、支持フレーム32の他方の下端に、長軸が水平方向となる長穴33bに挿通したピン33を介して、昇降台30の他端部をスライド可能に連結したことが異なる点である。
【0027】
また、この移載装置100では、支柱装置20に対して昇降自在に取り付けた支持フレーム32に昇降台30を支持させたものであるが、図2に示すように、支柱装置20に対して支持フレーム32を直接取り付ける他、図3に示すように、支柱装置20に対して支持フレーム32をガイドユニト31を介して間接的に取り付ける場合も含むものであることは、上記請求項1の場合と同様である。
【0028】
そして、この請求項2の移載装置100は、各支柱装置20自体や、これに昇降自在に取り付けた支持フレーム32に、製造誤差等によって鉛直方向に対して傾斜している場合に、昇降台30と支持フレーム32とが、各丸穴33aに挿通したピン33を介して傾動可能となるようにし、かつ、各長穴33bに挿通したピン33による連結部におけるスライドを可能として、昇降台30の水平状態を維持しながら、誤差や傾斜に基づく「無理」が当該移載装置100の各部に発生しないようにしたものである。
【0029】
換言すれば、この請求項2の取付構造では、各支柱装置20側の支持フレーム32に対する昇降台30の傾動可能な連結を、図9に示す丸穴33aと、図11に示す長穴33bとの二種類の穴に、それぞれに挿通したピン33を利用して行うようにしたものである。
【0030】
以上の結果、一方の支持フレーム32に対する昇降台30の傾動可能な連結を、図9に示す丸穴33aとこれに挿通したピン33とを採用して行ったことによって、この丸穴33aに関連した部分は上記請求項1におけるのと同様な機能を発揮する。
【0031】
これに対して、他方の支持フレーム32に対する昇降台30の傾動可能な連結を、長軸が水平方向となる長穴33b、及びこれに挿通したピン33を利用して行うことによって、長穴33bが形成してある側(後述する最良形態では昇降台30側となる)が、ピン33が連結してある側(最良形態では支持フレーム32側)に対して水平方向に僅かではあっても移動し得るものとなっている。
【0032】
このため、昇降台30の両支持フレーム32に対する連結部分において、水平方向の誤差が生じた場合には、この誤差は、長軸が水平方向となる長穴33bとこれに挿通したピン33とを介して連結した部分において吸収されることになる。つまり、支持フレーム32の昇降量が両側において僅かに異なっていたり、各支柱装置20において高さ方向について僅かに寸法誤差があったり、さらには昇降台30上の移載機40がワークを支持したときの捩れ力が各支柱装置20や昇降台30自身に掛かって、各支柱装置20支持フレーム32の下端と昇降台30の端部との間に水平方向の誤差が発生しても、この誤差は長穴33bとこれに挿通したピン33とによって吸収されるのである。
【0033】
勿論、昇降台30の、丸穴33aに挿通したピン33によって支持フレーム32に連結してある部分においては、上記請求項1の取付構造の場合と同様に、両支柱装置20間のスパンの寸法変化に基づく各支持フレーム32の傾斜は、各ピン33において吸収され、各連結部や支持部に無理な力が加わることがなくなることは前述した通りである。
【0034】
従って、この請求項2の移載装置100における昇降台30の支持構造では、支柱装置20間のスパンに誤差が発生しても、それによる誤差は、丸穴33a及び長軸が水平方向となる長穴33bに挿通した各ピン33によって確実に吸収することができ、昇降台30の昇降を円滑に行うことができるものとなっているのである。
【0035】
また、上記課題を解決するために、請求項3に係る発明の採った手段は、上記請求項1または請求項2に記載の移載装置100における昇降台30の取付構造について、
「各支柱装置20に対する各支持フレーム32の連結を、各支柱装置20の上下方向に設けたレール21に組み付けた直線移動ガイド60を利用して行うようにしたこと」
である。
【0036】
すなわち、この請求項3の取付構造においては、当該移載装置100の、各支柱装置20に対する各支持フレーム32の連結に着目したものであり、この連結を各支柱装置20の上下方向に設けたレール21に組み付けた直線移動ガイド60を利用して行うようにしたものである。勿論、各支持フレーム32の、各支柱装置20に対する連結は、最良形態で示すガイドユニット31を利用して行う場合についても含むものであることは言うまでもない。
【0037】
直線移動ガイド60は、図13に示すように、そのケース本体とレール21との間に多数のボール61を介在させるようにしたものであり、各ボール61がケース本体内を転動することにより、レール21に対する支持フレーム32またはガイドユニット31の往復動を安定的なものにするものである。すなわち、この直線移動ガイド60は、多数のボール61を介在させながら直線移動ガイド60のケース本体とレール21とを連結しているものである。なお、昇降台30、その上の移載機40、そしてこの移載機40が支持するワークの重量は、各支柱装置20を構成している索条あるいはチェーンによって支えられ、各支柱装置20に対する昇降台30の連結を、常に安定した状態で行えるようにしているのである。
【0038】
従って、この請求項3の取付構造は、上記請求項1または2のそれと同様な機能を発揮する他、各支柱装置20に対する昇降台30の昇降を、直線移動ガイド60によって常に安定した状態で行えるものとなっているのである。
【発明の効果】
【0039】
以上、説明した通り、本発明においては、
「多数の棚50を配置した倉庫内を移動して、各棚50に対するワークの出し入れを行う移載装置100であって、
この移載装置100を、前記倉庫内を移動する基台10と、この基台10上に立設した左右2基の支柱装置20と、これら各支柱装置20に対して上下動される昇降台30と、この昇降台30上に設置される移載機40とにより構成するとともに、
各支柱装置20に対して支持フレーム32を昇降自在に取り付け、これら各支持フレーム32の下端に、支持フレーム32の丸穴33aに挿通したピン33を介して昇降台30の端部を連結して、この昇降台30と各支持フレーム32とが、各ピン33を介して左右方向において傾動可能となるようにしたこと」
にその主たる特徴があり、これにより、支柱装置20間のスパンに誤差が発生しても、昇降台30の昇降を円滑に行うことができる移載装置100における昇降台30の取付構造を提供することができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
次に、上記のように構成した各請求項に係る発明を、図面に示した最良の形態である移載装置100について説明するが、この最良形態の移載装置100は、上記各請求項に係る発明の全てを実質的に含むものである。
【0041】
図1には、この最良形態に係る移載装置100の斜視図が示してあるが、この移載装置100は、図2または図3にも示したように、多数の棚50を配置した倉庫内を移動して、各棚50に対するワークの出し入れを行うものである。また、この移載装置100は、前記倉庫内を移動する基台10と、この基台10上に立設した2基の支柱装置20と、これら各支柱装置20に対して上下動される昇降台30と、この昇降台30上に設置される移載機40とにより構成してある。
【0042】
なお、本最良形態では、図1中の実線あるいは図4中の仮想線にて示すように、基台10には車輪12が設けてあり、この車輪12が倉庫内に敷設したレール21上を転動することにより、当該移載装置100を倉庫内の所定位置に移動できるようにしたものである。これらの車輪12は、基台10内あるいはその上に立設した各支柱装置20内に組み込んだ図示しないモータにより回転駆動されるものであり、このモータや種々な機器を駆動あるいは制御する部材が、各支柱装置20内に組み込んである。
【0043】
そして、この移載装置100においては、図2または図3〜図8に示したように、各支柱装置20に対して昇降されるガイドユニット31に支持フレーム32が傾動可能に取り付けてある。また、図2または図3及び図8に示したように、これらの支持フレーム32の一方(図示左方)の下端には、昇降台30の一端部が丸穴33aに挿通したピン33を介して傾動可能に連結してある。
【0044】
すなわち、支持フレーム32の図示左方の下端では、図9及び図10に示したように、昇降台30の端部上面に丸穴33aを有する昇降台側ブロック30aが連結してあり、その上側の支持フレーム32の下端には丸穴33aを有する支持フレーム側ブロック32bが連結してある。これらの昇降台側ブロック30a及び支持フレーム側ブロック32bは、図10に示したように、互いにつきあわせた状態で嵌合されるもので、その各中心に設けた丸穴33a内に、図10の(a)にも示したように、一本のピン33が挿通してある。なお、本最良形態では、図10の(a)に示したように、ピン33の外周に筒状のブッシュ33cが嵌合してあり、支持フレーム側ブロック32bと昇降台側ブロック30aとの間には円板状のブッシュ33dが介装してあり、これらのブッシュ33c・33dによって支持フレーム側ブロック32bと昇降台側ブロック30aとの間の摩擦を低減して、滑らかな接触を可能にしている。
【0045】
勿論、この昇降台側ブロック30aに対しては、図12の(a)に示したように、ピン33の中心に挿通されて支持フレーム側ブロック32b側に差し込まれる図示しない固定ピンが固定されるものであり、これによって昇降台側ブロック30aと支持フレーム側ブロック32bとの抜け止めがなされている。
【0046】
一方、他方(図8の図示右側)の支持フレーム32の下端と、昇降台30の他端部(図示右端部)との間には、長軸が水平方向となる長穴33bに挿通したピン33を介して傾動可能に連結してある。すなわち、支持フレーム32の図示右方の下端では、図8、図11及び図12に示したように、昇降台30の端部上面に長軸が水平方向となる長穴33bを有する昇降台側ブロック30aが連結してあり、その上側の支持フレーム32の下端には丸穴33aを有する支持フレーム側ブロック32bが連結してある。
【0047】
これらの昇降台側ブロック30a及び支持フレーム側ブロック32bは、図12の(a)に示したように、互いにつきあわせた状態で嵌合されるもので、その各中心に設けた丸穴33a及び長穴33b内に、一本のピン33が挿通してある。以上の結果、昇降台側ブロック30aは、ピン33によって支持フレーム側ブロック32bに対して傾動(回動)自在になっているとともに、この昇降台側ブロック30aは、支持フレーム側ブロック32b側に形成してある長軸が水平方向となる長穴33bの長軸方向、つまり水平方向に対して、この長穴33bの範囲内において移動可能になっているのである。
【0048】
なお、本最良形態においては、図12の(b)に示したように昇降台側ブロック30a側の頭部を、ピン33を中心とした円弧状の円弧頂部36としてあり、この円弧頂部36は、支持フレーム側ブロック32b内に設けた揺動空間32a内にて自由に揺動し得るようにしてある。勿論、この昇降台側ブロック30aに対しては、図12の(b)に示したように、ピン33の中心に挿通されて支持フレーム側ブロック32b側に差し込まれる固定ピン37が固定されるものであり、これによって昇降台側ブロック30aと支持フレーム側ブロック32bとの抜け止めがなされている。
【0049】
(その他の実施例)
本発明に係る構造において採用されている支持フレーム32は、図1、図5及び図6に示したように、底辺が昇降台30の幅と同じとなる略二等辺三角形のものとして形成されるもので、底辺の中心の直上に位置する部分にチルト軸34を設けるようにしたものである。このチルト軸34は、図2または図3に示したように、ガイドユニット31の下部であって、移載機40の移載面と同じ高さになる部分に取り付けられるものであり、支持フレーム32全体が当該チルト軸34を中心に前後方向において回動できるように、この支持フレーム32を支持するものである。
【0050】
これに対して、ガイドユニット31の上部側では、図2または図3〜図6に示したように、揺動軸35が取り付けてあり、この揺動軸35は、支持フレーム32の上部に形成した長穴35aに係合させてある。つまり、各支持フレーム32は、ガイドユニット31に対してチルト軸34で僅かに回動するのであり、そのときの当該支持フレーム32の逃がしは上部に設けた長穴35aで行われるのである。
【0051】
以上のようにすることによって、昇降台30は、前述した各ピン33における左右方向における回動の他に、各チルト軸34を中心とする前後方向における傾動も行えるものとなっているのである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る取付構造を採用した移載装置の斜視図である。
【図2】同移載装置の、棚を向こう側にしてみた概略正面図である。
【図3】同他の移載装置の、棚を向こう側にしてみた概略正面図である。
【図4】同移載装置の正面図である。
【図5】同移載装置の、図4中に示した1−1線に沿ってみた断面図である。
【図6】同移載装置の、図4中に示した1−1線に沿ってみた支柱装置を含む断面図である。
【図7】昇降台上に搭載される移載機の平面図である。
【図8】昇降台及びこれが連結されるガイドユニットの拡大正面図である。
【図9】図8中の2−2線部の部分拡大図である。
【図10】図9に示した昇降台側ブロック及び支持フレーム側ブロックの関係を示すもので、(a)は正面図、(b)はピンの中心で切ってみた断面図である。
【図11】図8中の3−3線部の部分拡大図である。
【図12】図11に示した昇降台側ブロック及び支持フレーム側ブロックの関係を示すもので、(a)は正面図、(b)はピンの中心で切ってみた断面図である。
【図13】直線移動ガイドを示すもので、(a)はレールとの位置関係を示す部分破断斜視図、(b)はレールの縦方向に沿ってみた部分縦断面図である。
【図14】従来の技術を示す正面図である。
【符号の説明】
【0053】
100 移載装置
10 基台
11 床レール
12 車輪
20 支柱装置
21 レール
30 昇降台
30a 昇降台側ブロック
31 ガイドユニット
32 支持フレーム
32a 揺動空間
33 ピン
33a 丸穴
33b 長穴
33c・33d ブッシュ
34 チルト軸
35 揺動軸
35a 長穴
36 円弧頂部
37 固定ピン
40 移載機
50 棚
60 直線移動ガイド
61 ボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の棚を配置した倉庫内を移動して、前記各棚に対するワークの出し入れを行う移載装置であって、
この移載装置を、前記倉庫内を移動する基台と、この基台上に立設した左右2基の支柱装置と、これら各支柱装置に対して上下動される昇降台と、この昇降台上に設置される移載機とにより構成するとともに、
前記各支柱装置に対して支持フレームを昇降自在に取り付け、これら各支持フレームの下端に、支持フレームの丸穴に挿通したピンを介して前記昇降台の端部を連結して、この昇降台と前記各支持フレームとが、前記各ピンを介して左右方向において傾動可能となるようにしたことを特徴とする移載装置における昇降台の取付構造。
【請求項2】
多数の棚を配置した倉庫内を移動して、前記各棚に対するワークの出し入れを行う移載装置であって、
この移載装置を、前記倉庫内を移動する基台と、この基台上に立設した左右2基の支柱装置と、これら各支柱装置に対して上下動される昇降台と、この昇降台上に設置される移載機とにより構成するとともに、
前記各支柱装置に対して支持フレームを昇降自在に取り付け、これら各支持フレームの一方の下端に、支持フレームの丸穴に挿通したピンを介して前記昇降台の端部を連結するとともに、支持フレームの他方の下端に、ピンの水平動を許容する支持フレームの長穴に挿通したピンを介して前記昇降台の他端部を連結して、
前記昇降台と前記各支持フレームとが、前記各ピンを介して左右方向において傾動可能とし、かつ前記昇降台と支持フレームとが、前記ピンを介して左右方向においてスライドを可能となるようにしたことを特徴とする移載装置における昇降台の取付構造。
【請求項3】
前記各支柱装置に対する各支持フレームの連結を、前記各支柱装置の上下方向に設けたレールに組み付けた直線移動ガイドを利用して行うようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の移載装置における昇降台の取付構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2008−74543(P2008−74543A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255198(P2006−255198)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】