説明

積層コンデンサ

【課題】低ESLを維持しながら、内部電極層の面積を減少させることなく、スルーホールを通しての積層方向の内部電極層相互間の接続抵抗を減少させる。
【解決手段】誘電体層4を積層して形成された素子本体10内に、それぞれ平面状に形成された複数の第1内部電極層6および複数の第2内部電極層8が、誘電体層を介して隔てられつつ交互に配置してある積層コンデンサ2である。素子本体10における第1端面10aのみに第1外部電極12および第2外部電極14が配置されている。素子本体10の第1端面10aの近くに積層してある内部電極層6、8と、外部電極12,14とを引出用柱状電極16,18が各々接続する。素子本体10の内部に積層してある内部電極層6または8の相互を、層間接続用柱状電極20または22が接続する。層間接続用柱状電極20,22のそれぞれの横断面積は、引出用柱状電極16,18のそれぞれの横断面積よりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルーホールを有する積層コンデンサに係り、さらに詳しくは、低ESLを維持しながら、内部電極層の面積を減少させることなく、スルーホールを通しての積層方向の内部電極層相互間の接続抵抗を減少させることができると共に、製造が容易な積層コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理装置に用いられるCPU(主演算処理装置)は、処理スピードの向上および高集積化によって、動作周波数が高くなると共に消費電流が著しく増加している。そして、これに伴い、消費電力の低減化によって動作電圧が減少する傾向にある。したがって、CPUへの電力供給用の電源においては、より高速で大きな電流変動が生じるようになり、この電流変動に伴う電圧変動を電源の許容値内に抑えることが非常に困難になっている。
【0003】
このため、平滑用コンデンサとしての積層コンデンサが、電源に接続される形でCPUの周辺に配置され、電源の安定化対策に頻繁に使用されるようになっている。つまり、高速で過渡的な電流の変動時に素早い充放電によって、この積層コンデンサからCPUに電流を供給して、電源の電圧変動を抑えるようにしている。
【0004】
しかし、今日のCPUの動作周波数の一層の高周波数化に伴って、電流変動はより高速且つ大きなものとなり、平滑用コンデンサとしての積層コンデンサ自身が有している等価直列インダクタンス(ESL)が相対的に大きくなっている。その結果として、この等価直列インダクタンスを含む総合インダクタンスが電源の電圧変動に大きく影響するようになっている。
【0005】
そこで、低ESL化を図るための従来の積層コンデンサの構造として、例えば下記の特許文献1に開示されたものが知られている。すなわち、この特許文献1では、直方体状に形成された積層コンデンサの4側面にそれぞれ端子電極を複数ずつ設けることにより、低ESL化を図った構造が開示されている。
【0006】
また、下記の特許文献2に示すように、積層コンデンサの上下表面の少なくとも何れかの表面に、島状に隔離された形の外部電極を配置すると共に、この外部電極を柱状のスルーホール電極によって内部電極層に接続した構造の積層コンデンサが開発されている。
【0007】
しかしながら、上記の特許文献1のように、端子電極を4側面にそれぞれ複数ずつ設けてCPUの周辺に接続するような形の積層コンデンサでは、充分に低ESL化が図れず、総合インダクタンスを低減するには限界があった。
【0008】
一方、特許文献2のように、島状の外部電極を有する構造の積層コンデンサでは、総合インダクタンスが小さくなるのに伴い、CPUの高速化に対応可能になる。しかしながら、この特許文献2に示すような積層コンデンサにおいて、外部電極の数に対応して、細長いスルーホールを積層コンデンサの内部に多数作製しなければならず、内部電極層の電極面積を狭め、静電容量を低下させるおそれがある。
【0009】
また、細長いスルーホールでは、スルーホールを通しての積層方向の内部電極層相互間の接続抵抗が増大し、等価直列抵抗(ESR)が増大するおそれがある。さらに、細長いスルーホールを積層コンデンサの内部に多数作製するために、積層コンデンサの製造が難しくなり、製造コストが増大する原因となる。
【特許文献1】特開2001−284170号公報
【特許文献2】特開2001−148324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、低ESLを維持しながら、内部電極層の面積を減少させることなく、スルーホールを通しての積層方向の内部電極層相互間の接続抵抗を減少させることができると共に、製造が容易な積層コンデンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る積層コンデンサは、
誘電体層を積層して形成された素子本体内に、それぞれ平面状に形成された複数の第1内部電極層および複数の第2内部電極層が、誘電体層を介して隔てられつつ交互に配置してある積層コンデンサであって、
前記素子本体における前記誘電体層の積層方向一方の第1端面のみに配置された第1外部電極および第2外部電極と、
前記素子本体の第1端面の近くに積層してある前記第1内部電極層と、前記第1外部電極とを、第1引出スルーホールを介して接続する第1引出用柱状電極と、
前記素子本体の第1端面の近くに積層してある前記第2内部電極層と、前記第2外部電極とを、第2引出スルーホールを介して接続する第2引出用柱状電極と、
前記素子本体の内部に積層してある前記第1内部電極層の相互を、第1層間スルーホールを介して接続する第1層間接続用柱状電極と、
前記素子本体の内部に積層してある前記第2内部電極層の相互を、第2層間スルーホールを介して接続する第2層間接続用柱状電極と、を有し、
前記第1および第2層間接続用柱状電極のそれぞれの横断面積は、前記第1および第2引出用柱状電極のそれぞれの横断面積よりも大きいことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る積層コンデンサでは、第1外部電極および第2外部電極が、第1端面に、島状に配置してあるので、低ESL化が図られ、総合インダクタンスが小さくなる。そのため、CPUの高速化に対応可能になり、特にCPU用の電源の電圧変動を小さくし得る。すなわち、本発明に係る積層コンデンサは、CPUの高速化に対応が可能な平滑用コンデンサとして好ましく用いることが可能になる。
【0013】
また、本発明に係る積層コンデンサでは、外部電極に接続するための引出用柱状電極と、誘電体層の層間に存在する内部電極層の相互間を接続する層間接続用柱状電極とを、別々に形成してある。このために、層間接続用柱状電極のそれぞれの横断面積は、引出用柱状電極のそれぞれの横断面積よりも大きく設定することが可能になる。その結果、スルーホールを通しての積層方向の内部電極層相互間の接続抵抗を減少させることができる。また、静電容量を高めるために内部電極層の層数が増えた場合でも、複数の内部電極層相互間の導通をより確実に確保でき、積層コンデンサとしての機能を確実に発揮できる。
【0014】
また、層間接続用柱状電極のそれぞれの横断面積を、引出用柱状電極のそれぞれの横断面積よりも大きく設定できることから、層間接続用柱状電極の数を、引出用柱状電極の数に比較して減らすことも可能である。そのために、内部電極層の面積が、多数の層間接続用柱状電極により減少されることが無くなり、十分な静電容量を確保できる。
【0015】
また、本発明に係る積層コンデンサでは、引出用柱状電極と層間接続用柱状電極とが別々に形成されるために、外部電極から伸びる細長いスルーホールを形成する必要が無く、積層コンデンサの製造も容易である。したがって、積層コンデンサの製造コストが低減される。
【0016】
好ましくは、前記第1および第2層間接続用柱状電極のそれぞれの横断面積は、前記第1および第2引出用柱状電極のそれぞれの横断面積よりも、2〜16倍、さらに好ましくは4〜8倍大きい。その倍数が小さすぎると、本発明の作用効果が少なく、その倍数が大きすぎると、内部電極の面積が減少し、高静電容量にするのが難しくなるので好ましくない。
【0017】
好ましくは、前記第1および第2層間接続用柱状電極のそれぞれの外径は、150〜200μmであり、
前記第1および第2引出用柱状電極のそれぞれの外径は、50〜80μmである。層間接続用柱状電極の外径が小さすぎると、本発明の作用効果が少なく、大きすぎると、内部電極の面積が減少し、高静電容量にするのが難しくなるので好ましくない。また、引出用柱状電極の外径が小さすぎると、接続抵抗が大きくなりすぎて好ましくなく、その外径が大きすぎると、狭いピッチでの外部電極の配置が困難になる傾向にある。
【0018】
好ましくは、前記素子本体の第1端面に対して垂直方向から見て、前記第1および第2層間接続用柱状電極のそれぞれの形成位置は、前記第1および第2引出用柱状電極のそれぞれの形成位置に対して、位置ズレして形成してある。位置ズレして形成することで、引出用柱状電極の外径と、層間接続用柱状電極の外径とを異ならせることが可能になる。
【0019】
好ましくは、前記第1外部電極と第2外部電極とは、前記第1端面において、相互に隣り合うように、行列状に配置される。このように外部電極を行列状に配置することで、第1外部電極と第2外部電極とに相互に逆向きに流れる高周波電流が発生し、磁界を互いに打ち消し合い、さらに低ESL化を図ることができる。
【0020】
好ましくは、前記第1層間接続用柱状電極と第2層間接続用柱状電極とは、前記素子本体の内部において、素子本体の側面に沿って、交互に配置される。層間接続用柱状電極を、素子本体の側面に沿って配置することで、ほとんどの内部電極層において、内部電極層の中央部には、スルーホールを形成する必要が無くなり、キャパシタとなる電極層の面積を広く取ることが可能になる。また、内部電極層の中央部に比較して、その周辺部では、層間接続用柱状電極の外径を大きくしても、それらの電極間の間隔を十分に広く取りやすい。
【0021】
好ましくは、前記第1端面に最も近い第1内部電極層には、前記第2引出用柱状電極との電気的接続を避ける絶縁孔パターンが形成してあり、
前記第1端面に最も近い第2内部電極層には、前記第1層間接続用柱状電極との電気的接続を避ける絶縁孔パターンが形成してあり、
その他の第1内部電極層には、前記第2層間接続用柱状電極との電気的接続を避ける絶縁孔パターンが形成してあり、
その他の第2内部電極層には、前記第1層間接続用柱状電極との電気的接続を避ける絶縁孔パターンが形成してある。このような絶縁孔パターンを形成することで、異なる極性の電極間での短絡を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本願発明の第1実施形態に係る積層コンデンサの要部断面図、
図2は図1に示す積層コンデンサの分解斜視図、
図3は図1に示す積層コンデンサの概略斜視図である。
【0023】
図1〜図3に示すように、本発明の一実施形態に係る積層コンデンサ2は、素子本体10を有し、素子本体10における誘電体層4の積層方向(Z軸方向)における一方の第1端面10aのみに、第1外部端子12および第2外部端子14が行列状に配列してある。素子本体10における他方の第2端面10bおよび4つの側面10cには、外部端子12または14は形成されていない。
【0024】
素子本体10の内部では、第1内部電極層6および第2内部電極層8が、誘電体層4を介して交互に積層してある。素子本体10は、直方体形状であり、誘電体層4となるセラミックグリーンシートを、内部電極層6および8となる電極ペースト層と共に、複数枚積層したものを焼成することで得られる。
【0025】
本実施形態では、図3に示す素子本体10の縦横寸法L1、L2は、例えばそれぞれ10mmとされており、また、高さ寸法Hは、例えば0.85mmとされている。素子本体10内では、図1および図2に示すように、所定の高さ(Z軸方向)位置で、平面状に形成された第1内部電極層6が配置されている。
【0026】
第1内部電極層6の下方には、誘電体層4を介して、第1内部電極層6と同様に平面状に形成された第2内部電極層8が形成してある。第2内部電極層8の下方には、誘電体層4を介して、第1内部電極層6が形成してある。このように第1内部電極層6および第2内部電極層8が、素子本体2の内部で、交互に、誘電体層4を介して多数積層してある。
【0027】
これら第1内部電極層6および第2内部電極層8の中心は、素子本体10におけるXY平面の中心とほぼ同位置に配置されており、また、内部電極層6および内部電極層8の縦横寸法は、対応する素子本体10の辺の長さより若干小さくされている。このため、これら内部電極層6および内部電極層8の周辺部は、素子本体12の側面10cから露出しない構造となっている。
【0028】
図1および図2に示すように、これら内部電極層6,8と直交するように交差して延びる方向(Z軸方向)に、円柱状の第1引出用柱状電極16および第2引出用柱状電極18が、第1端面10aの近くで、第1外部電極12および第2外部電極14に対応して具備してある。第1外部電極12および第2外部電極14は、図3に示すように、X軸およびY軸方向に行列状に配置してあり、これらの外部電極12および14は、X軸およびY軸方向で相互に隣り合うように配置してある。
【0029】
素子本体10におけるZ軸方向の最も上部に位置する誘電体層4には、図2に示すように、図3に示す外部電極12および14の数に対応するスルーホールが形成され、その内部に第1および第2引出用柱状電極16および18が形成される。図1および図2に示すように、第1引出用柱状電極16は、素子本体10の第1端面10cに配置してある第1外部電極12と、第1端面10cに最も近くに配置してある単一の第1内部電極層6とを接続するためのスルーホール電極である。
【0030】
第2引出用柱状電極18は、素子本体10の第1端面10cに配置してある第2外部電極14と、第1端面10cに最も近くに配置してある単一の第2内部電極層8とを接続するためのスルーホール電極である。第2引出用柱状電極18が、第1端面10aの最も近くに位置する第1内部電極層6と短絡することを防止するために、その第1内部電極層6には、図2に示すように、第2引出用柱状電極18との電気的接続を避ける絶縁孔パターン24が形成してある。
【0031】
第1端面10aに最も近い第1内部電極層6のZ軸方向下面には、その周囲に沿って、複数の第1層間接続用柱状電極20の頂部が接続してある。第1端面10aに最も近い第2内部電極層8には、第1層間接続用柱状電極20と短絡することを防止するために、図2に示すように、絶縁孔パターン26が形成してある。
【0032】
第1層間接続用柱状電極20は、素子本体10の内部に積層してある全ての第1内部電極層6の相互を、第1層間スルーホールを介して接続するようになっており、第2内部電極層8に各々形成してある絶縁孔パターン26を通して、第2内部電極層8には接続されないようになっている。
【0033】
本実施形態では、第1層間接続用柱状電極20は、第1端面10aに最も近い第1内部電極層6のZ軸方向下面から、第2端面10bに最も近い第2内部電極層8のZ軸方向下面まで延びており、第2端面10bには露出しない。ただし、本発明では、第1層間接続用柱状電極20は、第2内部電極層8には接続する必要がないので、第2端面10bに最も近い第1内部電極層6まで延びていれば良く、必ずしもZ軸方向の最下端に位置する第2内部電極層8まで延びている必要はない。Z軸方向の最下端に位置する層が第1内部電極層6の場合には、その位置まで、第1層間接続用柱状電極20の下端が延びる。
【0034】
第1端面10aに最も近い第2内部電極層8のZ軸方向下面には、その周囲に沿って、複数の第2層間接続用柱状電極22の頂部が接続してある。第2層間接続用柱状電極22は、素子本体10の内部に積層してある全ての第2内部電極層8の相互を、第2層間スルーホールを介して接続するようになっており、第1内部電極層6に各々形成してある絶縁孔パターン28を通して、第1内部電極層6には接続されないようになっている。
【0035】
本実施形態では、第2層間接続用柱状電極22は、第1端面10aに最も近い第2内部電極層8のZ軸方向下面から、第2端面10bに最も近い第2内部電極層8まで延びており、第2端面10bには露出しない。ただし、素子本体10において、Z軸方向の最下端に位置する層が第2内部電極層8の場合には、その位置まで、第2層間接続用柱状電極22の下端が延びる必要はない。
【0036】
第1層間接続用柱状電極20の横断面積は、第2層間接続用柱状電極22の横断面積と同程度であり、第1引出用柱状電極16の横断面積は、第2引出用柱状電極18の横断面積と同程度である。そして、第1および第2層間接続用柱状電極20,22のそれぞれの横断面積は、第1および第2引出用柱状電極16,18のそれぞれの横断面積よりも、2〜16倍程度に大きい。
【0037】
第1および第2層間接続用柱状電極20,22のそれぞれの外径は、150〜200μmの範囲で決定され、第1および第2引出用柱状電極16,18のそれぞれの外径は、50〜80μmの範囲で決定される。
【0038】
本実施形態では、素子本体10の第1端面10aに対して垂直方向(Z軸方向)から見て、第1および第2層間接続用柱状電極20,22のそれぞれの形成位置は、第1および第2引出用柱状電極16,18のそれぞれの形成位置に対して、位置ズレして形成してある。
【0039】
本実施形態では、第1および第2引出用柱状電極16,18は、第1端面10aの近くの第1内部電極層6の中央部に行列状に配置される。また、第1層間接続用柱状電極20と第2層間接続用柱状電極22とは、素子本体10の内部において、素子本体10の側面10cに沿って、交互に配置される。
【0040】
これらの柱状電極16,18,20,22は、内部電極層6および8を、電極ペーストの印刷などで形成する際に、内部電極層6および8と同様にして形成することができる。
【0041】
本実施形態に係る積層コンデンサ2では、第1外部電極12および第2外部電極14が、第1端面10aに、島状に配置してあるので、低ESL化が図られ、総合インダクタンスが小さくなる。そのため、CPUの高速化に対応可能になり、特にCPU用の電源の電圧変動を小さくし得る。すなわち、本実施形態に係る積層コンデンサ2は、CPUの高速化に対応が可能な平滑用コンデンサとして好ましく用いることが可能になる。
【0042】
また、本実施形態に係る積層コンデンサ2では、外部電極12,14に接続するための引出用柱状電極16,18と、誘電体層4の層間に存在する内部電極層6,8の相互間を接続する層間接続用柱状電極20,22とを、別々に形成してある。このために、層間接続用柱状電極20,22のそれぞれの横断面積は、引出用柱状電極16,18のそれぞれの横断面積よりも大きく設定することが可能になる。その結果、スルーホールを通しての積層方向の内部電極層6,8相互間の接続抵抗を減少させることができる。また、静電容量を高めるために内部電極層6,8の層数が増えた場合でも、複数の内部電極層6,8相互間の導通をより確実に確保でき、積層コンデンサ2としての機能を確実に発揮できる。
【0043】
また、層間接続用柱状電極20,22のそれぞれの横断面積を、引出用柱状電極16,18のそれぞれの横断面積よりも大きく設定できることから、層間接続用柱状電極20,22の数を、引出用柱状電極16,18の数に比較して減らすことも可能である。そのために、内部電極層6,8の面積が、多数の層間接続用柱状電極20,22により減少されることが無くなり、十分な静電容量を確保できる。
【0044】
なお、図示する実施形態では、層間接続用柱状電極20,22の総数は、20であり、引出用柱状電極16,18の総数である16よりも多いが、本発明では、図示する例に限定されず、減らすことができる。たとえば、層間接続用柱状電極20,22は、4角毎に一つで配置し、合計4つにすることもできる。あるいは、4角毎に一つと、一辺の中央ごとに一つで、合計8つの層間接続用柱状電極20,22、あるいは、4角毎に一つと、一辺毎に二つで、合計12の層間接続用柱状電極20,22とすることもできる。
【0045】
また、本実施形態に係る積層コンデンサ2では、引出用柱状電極16,18と層間接続用柱状電極20,22とが別々に形成されるために、外部電極12,14から伸びる細長いスルーホールを形成する必要が無く、積層コンデンサ2の製造も容易である。したがって、積層コンデンサ2の製造コストが低減される。
【0046】
さらに、本実施形態では、第1外部電極12と第2外部電極14とは、第1端面10aにおいて、相互に隣り合うように、行列状に配置されるので、第1外部電極12と第2外部電極14とに相互に逆向きに流れる高周波電流が発生し、磁界を互いに打ち消し合い、さらに低ESL化を図ることができる。
【0047】
さらにまた、第1層間接続用柱状電極20と第2層間接続用柱状電極22とは、素子本体10の内部において、素子本体10の側面10cに沿って、交互に配置される。このため、第1端面10aの近くに位置する内部電極層以外の全ての内部電極層6,8において、内部電極層6,8の中央部には、スルーホールを形成する必要が無くなり、キャパシタとなる電極層6,8の面積を広く取ることが可能になる。また、内部電極層6,8の中央部に比較して、その周辺部では、層間接続用柱状電極20,22の外径を大きくしても、それらの電極間の間隔を十分に広く取りやすい。
【0048】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、外部電極12,14の形成個数は、特に限定されず、行列状に8×8で合計64などでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は本願発明の第1実施形態に係る積層コンデンサの要部断面図である。
【図2】図2は図1に示す積層コンデンサの分解斜視図である。
【図3】図3は図1に示す積層コンデンサの概略斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
2… 積層コンデンサ
4… 誘電体層
6… 第1内部電極層
8… 第2内部電極層
10… 素子本体
10a… 第1端面
10b… 第2端面
10c… 側面
12… 第1外部電極
14… 第2外部電極
16… 第1引出用柱状電極
18… 第2引出用柱状電極
20… 第1層間接続用柱状電極
22… 第2層間接続用柱状電極
24,26,28… 絶縁孔パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層を積層して形成された素子本体内に、それぞれ平面状に形成された複数の第1内部電極層および複数の第2内部電極層が、誘電体層を介して隔てられつつ交互に配置してある積層コンデンサであって、
前記素子本体における前記誘電体層の積層方向一方の第1端面のみに配置された第1外部電極および第2外部電極と、
前記素子本体の第1端面の近くに積層してある前記第1内部電極層と、前記第1外部電極とを、第1引出スルーホールを介して接続する第1引出用柱状電極と、
前記素子本体の第1端面の近くに積層してある前記第2内部電極層と、前記第2外部電極とを、第2引出スルーホールを介して接続する第2引出用柱状電極と、
前記素子本体の内部に積層してある前記第1内部電極層の相互を、第1層間スルーホールを介して接続する第1層間接続用柱状電極と、
前記素子本体の内部に積層してある前記第2内部電極層の相互を、第2層間スルーホールを介して接続する第2層間接続用柱状電極と、を有し、
前記第1および第2層間接続用柱状電極のそれぞれの横断面積は、前記第1および第2引出用柱状電極のそれぞれの横断面積よりも大きいことを特徴とする積層コンデンサ。
【請求項2】
前記第1および第2層間接続用柱状電極のそれぞれの横断面積は、前記第1および第2引出用柱状電極のそれぞれの横断面積よりも、2〜16倍大きい請求項1に記載の積層コンデンサ。
【請求項3】
前記第1および第2層間接続用柱状電極のそれぞれの外径は、150〜200μmであり、
前記第1および第2引出用柱状電極のそれぞれの外径は、50〜80μmである請求項1または2に記載の積層コンデンサ。
【請求項4】
前記素子本体の第1端面に対して垂直方向から見て、前記第1および第2層間接続用柱状電極のそれぞれの形成位置は、前記第1および第2引出用柱状電極のそれぞれの形成位置に対して、位置ズレして形成してある請求項1〜3のいずれかに記載の積層コンデンサ。
【請求項5】
前記第1外部電極と第2外部電極とは、前記第1端面において、相互に隣り合うように、行列状に配置される請求項1〜4のいずれかに記載の積層コンデンサ。
【請求項6】
前記第1層間接続用柱状電極と第2層間接続用柱状電極とは、前記素子本体の内部において、素子本体の側面に沿って、交互に配置される請求項1〜5のいずれかに記載の積層コンデンサ。
【請求項7】
前記第1端面に最も近い第1内部電極層には、前記第2引出用柱状電極との電気的接続を避ける絶縁孔パターンが形成してあり、
前記第1端面に最も近い第2内部電極層には、前記第1層間接続用柱状電極との電気的接続を避ける絶縁孔パターンが形成してあり、
その他の第1内部電極層には、前記第2層間接続用柱状電極との電気的接続を避ける絶縁孔パターンが形成してあり、
その他の第2内部電極層には、前記第1層間接続用柱状電極との電気的接続を避ける絶縁孔パターンが形成してある請求項1〜6のいずれかに記載の積層コンデンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−42677(P2007−42677A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222030(P2005−222030)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】