説明

積層板状品の洗浄方法

【課題】同じ形状面を持ち重なり密着した板状ワークを効率よく高レベルに洗浄する。
【解決手段】同形状面を持つ板状ワークが重なり密着した積層板状ワークを密閉された洗浄槽内の溶剤液中に浸漬して洗浄し、次いで溶剤液を排出後、該洗浄槽内を溶剤液が蒸発する圧力以下の圧力に下げて板状ワークの間隙に浸透した溶剤液をガス化させる洗浄方法、特に前記積層板状ワークを支持部材で積層軸に沿って保持して板状ワークを積層軸に対し傾斜させ、この傾斜を戻すことによって板状ワーク間に間隙を形成させて溶剤液を該間隙に流入しやすくし洗浄する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重なり密着した板状ワークの洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
油などが付着している同形状面の板状ワークは、重ねたとき密着した状態になるため、重ねた状態で洗浄溶剤液に浸漬しても付着している油などを洗浄溶剤液で溶解洗浄することが困難である。例えば、同形状面を有する薄い金属板や半導体ウエハーなどは、重ねると面同士が密着した状体となり、特に同形状面に油などが付着していると密着度が一層強くなり、重ねられた状態で洗浄溶剤液に浸漬しても、密着した形状ワークの間に溶剤液が十分に浸透しないため、ほとんど洗浄できない。
【0003】
つまり、このような重なり密着した板状ワークを洗浄溶剤液に浸漬して洗浄する方法では、密着した板状ワークの間に洗浄溶剤液を流通させて板面に付着している油を洗浄することは、超音波や、液の噴射、遥動などの補助的洗浄操作を加えても実用的な時間内に洗浄することは困難である。
【0004】
このため、このように重ねられ同形状面が密着した板状ワークを洗浄するには、板状ワーク(以下、ワークということもある)を手作業で一枚づつ分離しなければならない。しかし、重ねられている板状ワークを分離しようとすると、通常、分離時に分離しようとする板状ワークと残りの板状ワークとの間にマイナス圧が働くため、手作業による分離は難儀を極める。特に、油などが付着している場合には、隣接している板状ワークの板面同士が油などで粘着されていることも加わり一層分離しにくくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の洗浄方法は、板状ワークを一枚ごとに手作業で分離する操作が煩雑であり、非能率であり、また、手作業を伴うために開放的な洗浄操作となることから、洗浄溶剤の放散が十分に抑えられなくなり、環境汚染を防止することが困難である。
本発明は、以上に鑑みてなされたもので、同形状面を持つ複数枚の板状ワークが重なり密着した状態にある積層板状ワークの洗浄の効率化と、洗浄溶剤の放散の防止とを同時に実現できる積層板状品の洗浄方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、かかる積層板状ワークの洗浄に有効な板状ワークの間隔を広げる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記した課題を解決すべく鋭意研究したところ、同形状面を持つ複数枚の板状ワークが重なり密着した積層板状ワーク(積層板状体)を、洗浄槽内の溶剤液中に浸漬して洗浄すると、密着した板状ワークの板面間に溶剤液が浸透すること、次いで溶剤液を洗浄槽から排出して洗浄槽内の圧力を溶剤液が蒸発する圧力以下に下げると、密着した板面間に浸透した溶剤液がガス化し、そのガス圧によって板状ワークの密着が緩和されること、およびこのように板面間に浸透した溶剤液がガス化されることにより本発明の目的が充分に達成できることを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は重ねられ密着した板状ワークの密着を緩和して、さらに好ましくは板状ワークを離隔させて洗浄液で洗浄することを特徴とする。
【0007】
本発明は、以下の積層板状体の洗浄方法を提供する。
本発明は、同形状面を持つ板状ワークが重なり密着した積層板状ワークを溶剤液中に浸漬し、次いで溶剤液を排除した後、該積層板状ワークを溶剤液が沸騰する圧力以下の圧力に保持し、板状ワークの間隙に浸透した溶剤液をガス化させて板状ワークの密着を緩和し洗浄することを特徴とする積層板状品の洗浄方法を提供する。
【0008】
本発明の洗浄方法は、上記積層板状ワークを密閉された洗浄槽内の溶剤液中に浸漬して洗浄することが好ましい。
本発明の洗浄方法において、前記積層板状ワークは外周部を支持部材で保持した形態で溶剤液中に浸漬し洗浄することが好ましい。また、洗浄操作時の溶剤液の温度が、板状ワークの付着油の流動温度以上であることが好ましい。
さらに、本発明の洗浄方法は、洗浄槽内を溶剤液が沸騰する圧力以下の圧力に下げた後、洗浄槽内に溶剤液を再注入して、洗浄操作を複数回繰り返して行うことが好ましい。
【0009】
また、本発明は、同形状面を持つ板状ワークが重なり密着した積層板状ワークを、支持部材で積層板状ワークの積層軸に沿って保持して溶剤液中に浸漬し、積層板状ワークの各板状ワークを前記積層軸に対し所定の角度傾斜させた後、板状ワークと支持部材との接点がずれないように支持部材で保持した状態で、該板状ワークの傾斜を戻すことにより前記板状ワークの間隔を広げて洗浄することを特徴とする積層板状品の洗浄方法を提供する。
【0010】
さらに本発明は、同形状面を持つ板状ワークが重なり密着した積層板状ワークを支持部材で積層軸に沿って保持して溶剤液中に浸漬し、次いで溶剤液を排除した状態で該積層板状ワークを溶剤液が蒸発する圧力以下の圧力に保持することにより板状ワークの間隙に浸透した溶剤液をガス化させて板状ワークの密着を緩和させた後、該板状ワークを前記積層軸に対し所定の角度傾斜させてからこの傾斜を板状ワークと支持部材との接点がずれないように支持部材で保持しながら戻すことにより前記板状ワークの間隔を広げ、板状ワークの間隔が広げられた積層板状ワークを溶剤液中において洗浄することを1回乃至複数回繰り返して行うことが好ましい。
【0011】
本発明において前記支持部材は板状ワークの周端面との接点におけるずれを制御もしくは防止できる滑り防止を有していることが好ましい。また、該滑り防止は、前記板状ワークの周端面が一方の方向にはスリップし、他方の方向にはスリップしない機能を有していることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、同形状面を持つ板状ワークが重なり密着した積層板状ワークを、一定の接触抵抗が作用するように積層板状ワークの積層軸に沿って保持し、この状態で前記積層板状ワークの板状ワークを前記積層軸に対し所定の角度傾斜させた後、この傾斜を戻すことにより前記板状ワークの間隔を広げることを特徴とする積層板状品の離隔方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、同形状面を持つ板状ワークが重なり密着した積層板状ワークを溶剤液に浸漬させて洗浄した後、溶剤液の沸騰圧力より低い圧力にして板状ワークの間隙に浸透された溶剤液をガス化させる洗浄操作によって、板状ワークの密着がそのガス圧力で緩和されるので、それまで強固に密着していた板状ワーク同士を互いに分離したり、板面方向にずらすことが可能となる。さらに、このように板状ワークの間隙に浸透された溶剤液を急速にガス化させることによって、間隙内の油の一部をそのガス圧力によって外部に噴出させることができる。
【0014】
また、本発明によれば、上記洗浄操作で板状ワークの密着が緩和されたり、間隙内の油が噴出されることによって、板状ワークの間隙への溶剤液の浸透が促進されるため、前記洗浄操作を繰り返すことによって板状ワークの洗浄のレベルを比較的容易に向上させることができる。
【0015】
また、本発明では、このように板状ワークの密着が緩和されることによって、積層板状ワークの隣接する板状ワークを容易に分離したり、板面方向にずらすことが可能となるので、積層板状ワークの各板状ワークを積層軸に対し一定角度傾斜させ、さらにこの板状ワークの傾斜を板状ワークの周端面がずれないように抑制しながら原状態に戻すことによって、板状ワークの間隔を広げることができる。これにより、これまで困難であった積層板状ワークの板状ワークの洗浄を、洗浄時間の短縮とコストの低減を図りながら高品質に行うことができる。
【0016】
さらに、本発明は、積層板状ワークの洗浄操作を密閉された洗浄槽で行うことによって、溶剤液の放散を十分に抑えることができるので、作業環境の改善および環境汚染の防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の積層板状ワークを支持板で保持した一例を示す説明図で、Aは正面面図、Bは側面図、Cは平面図である。
【図2−1】本発明の積層板状ワークにおける各板状ワークの間隔を広げる方法の一例を示す説明図で、Aは平面図、BはAの積層板状ワークを傾斜させたときの平面図である。
【図2−2】Aは図2−1のBと同じであり、BはAの傾斜している板状ワークの傾斜を戻したときの平面図である。
【図2−3】図2−2のa部の部分拡大図で、AおよびBは、それぞれ図2−2のAおよびBに対応している。
【図3−1】本発明の積層板状ワークを挟み板で挟持したときの正面図である。
【図3−2】図3−1の積層板状ワークにおける各板状ワークの間隔を広げる方法の他の例を示す説明図で、Aは積層板状ワークを傾斜させたときの正面図、Bは傾斜を戻したときの正面図である。
【図4】本発明における積層板状ワークの板状ワークの間隔を広げる他の方法の説明図で、Aは積層板状ワークを挟み板で挟持したときの状態、Bは挟み板を傾斜させたときの状態、Cは挟み板の傾斜を戻して板状ワークの間隔が広げられたときの状態を示す。
【図5】本発明の積層板状ワークを支持棒で保持したときの説明図で、Aは正面図、Bは側面図である。
【図6】図5の積層板状ワークにおける各板状ワークの間隔を広げる方法の説明図で、Aは広げる前の積層板状ワークの側面図、BはAの積層板状ワークの支持棒を傾斜させたときの斜視図、Cは挟み板の傾斜を戻して板状ワークの間隔が広げられたときの状態を示す。
【図7】本発明の洗浄方法の一例を示すフローシートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、同形状面を持つ板状ワークが重なり密着した積層板状ワーク(積層板状品)を溶剤液中に浸漬して洗浄する場合、板状ワークの密着を緩和させることを特徴とする。板状ワークの密着を緩和させる方法の一つは、前記積層ワークを溶剤液中に浸漬して洗浄し、次いで溶剤液を排除した後、該積層板状ワークを溶剤液が沸騰する圧力以下の圧力状態に保持し、板状ワークの間隙に浸透した溶剤液をガス化させることによって得られるガス圧力で板状ワークの密着を緩和するものである。また、他の方法は積層板状ワークの板状ワークをその積層軸に対して傾斜させた後、板状ワークの周端面がずれないように制御しながら板状ワークの傾斜を戻すことによって、密着した板状ワークを積層軸方向に離隔する方法である。このような板状ワークの密着の緩和や離隔によって、従来困難であった積層板状ワークの洗浄を、洗浄時間の短縮とコストの低減を図りながら高品質に行うことができる。
【0019】
本発明において、前記板状ワークは主面と周端面を有する所定の厚さの板状体で、各板状体は同形状面を有している。ここで、同形状面とは、板状体の主面の形状が実質的に同一であることを意味し、具体的には板状体の主面が平坦の場合にはその寸法形状が同一であり、主面が曲面の場合には寸法形状と曲率が同一であることを指す。また、板状ワークの形状は、例えば円形、楕円形、四角形またはその他の多角形など各種の形状が適用可能あり限定されないが、一般には円形または四角形である。同形状面を持つ板状ワークとしては、例えば板金金属板、樹脂性部品、半導体ウエハーなどが挙げられる。なお、板状ワークは最終製品または中間製品のいずれであってもよい。
【0020】
また、積層板状ワークは、複数枚の板状ワークをそれらの周端面もしくは中心を揃えて重ねたもので、重ねられた各板状ワークは一般にその中心を通る積層軸に対し直交しており、かつ隣接している板状ワークの板面が密着している。特に、板状ワークに油などが付着している場合には、板状ワークの密着度が油などの粘着性によって増大するために、積層板状ワークの板状ワークは隣接している板状ワーク同士を分離することも板面方向にずらすことも困難な状態になっていることが多い。積層する板状ワークの枚数は、板状ワークの厚さや大きさ、および作業状況などによって適宜決められ限定されないが、通常は5〜100枚程度である。
【0021】
本発明は、上記積層板状ワークを溶剤液中に浸漬して洗浄操作を行う。この洗浄操作は、積層板状ワークを溶剤液中に浸漬して板状ワークの間隙内に溶剤液を浸透させて油や汚れなど(以下、油等とする)に溶剤を溶解させるとともに、板状ワークの間隙内に溶剤液が浸透された積層板状ワークを減圧操作し、板状ワークの密着を緩和することを特徴とする。この減圧操作は、溶剤液を排除した後に板状ワークの間隙内に溶剤液が浸透された積層板状ワークを溶剤液が蒸発する圧力以下の圧力状態に保持することによって、間隙内の溶剤液を急速にガス化させ、そのガス圧力によって板状ワークの密着を緩和し、さらに間隙内の油等を外に噴出させるものである。
【0022】
さらに、本発明の好ましい実施形態は、密着している板状ワークを離隔させて間隔を広げる離隔操作を行って洗浄するものであり、前記離隔操作に上記洗浄操作を組み合わせることによって、より一層優れた洗浄効果を得ることができる。
【0023】
本発明において、上記溶剤液としては、板状ワークに付着している油等に対し良好な溶解性を有し、かつ実用的な減圧により容易に気化可能な溶剤が好ましい。例えば、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1−ブロモプロパン、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどが挙げられる。なかでもトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1−ブロモプロパンは、油等に対する溶解性が優れており、油の流動温度より沸点が高く、僅かに減圧することによって急速にガス化させることができるので好ましい。
【0024】
本発明において、洗浄操作時の溶剤液の温度は、板状ワークに付着している油等(以下、付着油ということもある)の流動温度以上であることが好ましい。溶剤液の温度を付着油の流動温度以上にすることによって、積層板状ワークを溶剤液に浸漬したとき、付着油が流動温度以上に加熱されるため、板状ワークの間隙内において油等の流動性をよくすることができる。その結果、板状ワークの間隙内に浸透した溶剤液が減圧操作でガス化したとき、板状ワークの間隙内の油等が噴出しやすくなる。同時に、溶剤液の加熱は油等に対する溶解性と溶剤液との双溶性を促進させる効果も有する。この場合、板状ワークの付着油の流動温度は付着油の種類などによって変わり特定されないが、例えば通常の金属加工における切削油の場合は80〜100℃程度である。
【0025】
本発明は、積層板状ワークの洗浄操作を通常は密閉された洗浄槽内において行う。具体的には、例えば洗浄槽内に積層板状ワークを装入して密閉し、該洗浄槽に付着油の流動温度以上に加熱した溶剤液を供給し、あるいは洗浄槽に溶剤液を供給してから板状ワークの付着油の流動温度以上に加熱し、該溶剤液中に浸漬された積層板状ワークの板状ワークの間隙内に溶剤液を浸透させた後に洗浄槽から溶剤液を排出し、次いで洗浄槽内を排気して減圧し、板状ワーク間に浸透した溶剤液を急速にガス化させて板状ワークの密着を緩和させる。また、同時に板状ワークの間隙内の油等を噴出させる。この場合、板状ワークの間隙に浸透している溶剤液は、加熱されているためガス化が促進される。また、洗浄槽内が減圧になっているため、積層板状ワークは溶剤液のガス化によって板状ワークの密着が緩和しやすく、かつ板状ワークの間隙内の油等が噴出しやすい状態になる。なお、使用する溶剤液が環境に悪影響を与えるおそれのある場合には、洗浄槽内の排気は密閉系内において行う。
【0026】
本発明は、このように密閉された洗浄槽の使用によって、溶剤液の外部への放散や漏洩を防止でき、さらに減圧操作を同じ洗浄槽で行うことができる。しかし、本発明は洗浄槽と減圧槽とを溶剤液が外部に漏洩しない密閉系内に設置し、洗浄槽内で洗浄し板状ワークの間隙内に溶剤液を浸透させた積層板状ワークを洗浄槽から取り出して減圧槽に移し、減圧操作を行ってもよい。
【0027】
さらに、本発明は、上記した洗浄操作を複数回繰り返して行うことによって洗浄効果が上げられる。すなわち、洗浄槽を減圧にして板状ワークの間隙内の溶剤液を急速にガス化させて板状ワークの密着を緩和し、板状ワークの間隙内の油等を噴出させた後、洗浄槽内に溶剤液を再供給して洗浄操作を同じように行うもので、このような操作は必要に応じて更に繰り返して行ってもよい。積層板状ワークの洗浄操作を繰り返すことにより、板状ワークの密着が一層緩和されるとともに、洗浄操作の都度、板状ワークの間隙内の油等が噴出されるため、板状ワークに残存する油等を減少させることができる。この場合、減圧した状態にある洗浄槽に溶剤液を再供給し、次いで洗浄槽の圧力を大気圧にもどすことによって、真空(マイナス圧)になっている板状ワークの間隙に溶剤液が圧入されるため、溶剤液が板状ワークの間隙の奥深くまで浸入し、板状ワークの密着の緩和と付着油の噴出を一層促進させることができる。
【0028】
本発明において、溶剤液の供給を圧力の高い噴射流で行う方法や、板状ワークの間隙に溶剤液を浸透させる際、または溶剤液を浸透させた後に超音波処理を行うなどの一般的な洗浄補助操作を加えることは効果的である。
【0029】
また、積層板状ワークを溶剤液中に浸漬し洗浄する場合、積層板状ワークはその外周部を支持部材で保持することが好ましい。洗浄前の積層板状ワークの板状ワークは、密着しているといってもばらつきがあったり、十分でなかったりするため、そのままでは溶剤液中に出し入れするときに板状ワークの離散が生じ、さらに洗浄後においては密着が緩和されるため、板状ワークの離散が避けられない。このような板状ワークの離散を防ぎ、積層板状ワークの洗浄操作を安全かつ確実に実施するために、積層板状ワークの外周部を支持部材で積層軸方向に沿って保持することが好ましい。この支持部材の機能としては、積層板状ワークを積層した状態のまま積層軸に沿って確実に保持でき、さらに板状ワークの離隔操作が該支持部材を通して適宜実施できることが好ましい。これらの機能を有するものであれば、いろいろな形体の支持部材が使用できる。具体的には、積層板状ワークの外周部を積層軸に沿って挟持できる支持板や押え板であり、孔を有している板状ワークを重ねて密着した積層板状ワークを、孔に挿通して保持できる支持棒などである。これらの支持部材の積層板状ワークとの接触部には、板状ワークの周端面のずれを防止できるあるいは制御できる滑り防止が設けられることが好ましい。
【0030】
図1は、積層板状ワークの外周部を保持する形態の一例を模式的に示したもので、Aは正面図、Bは側面図、Cは平面図である。本例は、12枚の円形の板状ワーク1を積層軸Lに沿って積層したもので、これらが密着して積層板状ワーク3が形成されている。その結果、得られる積層板状ワーク3は円柱状となり、該円柱の周面が積層板状ワーク3の外周部となる。本例では、この積層板状ワーク3の外周部を一対の支持板2によって積層軸Lに沿って上下から挟持し、この状態で積層板状ワーク3を洗浄槽に出し入れする。支持板3の形状は限定されないで、積層板状ワーク3を両側から安定して保持できる形体のものを用いることができる。例えば、本例のような円柱状の積層板状ワーク3に対しては、積層板状ワーク3との接触部に曲面を有している支持板が好ましい。また、該支持板2で積層板状ワーク3の外周部を挟持するとき、積層板状ワーク3の各板状ワーク1が洗浄操作によって密着を緩和し、板状ワークの間隙の油等が噴出しやすいようにあまり大きい力は必要としない。支持板2で保持された積層板状ワーク3は、洗浄槽への出し入れを安全かつ確実に行うことができ、さらに洗浄操作時においては溶剤液のガス化で円滑に板状ワーク1の密着を緩和でき、また密着が緩和された板状ワーク1の離散を防止できる。
【0031】
本発明は、このような洗浄操作を複数回繰り返すことで、板状ワークの間隙中の油等を一定のレベルまで排出させることができる。また、油等による粘着力を小さくして板状ワークの密着を十分に緩和させることができる。しかしながら、このような方法では繰り返す回数を増やしても溶剤液を流通させて洗浄する方法と異なり、完全に油等を洗浄することが困難であるばかりでなく、洗浄操作の繰り返しに長時間を要する。このため、さらに洗浄度を高めるには、板状ワークの間隔を広げて、板状ワークの間隙に溶剤液を流通させることが好ましい。
【0032】
そこで、本発明の好ましい洗浄方法では、密着している板状ワークの間隔を広げ、広げられた板状ワークの間隙に溶剤液を流通させて効率よく洗浄する。本発明において、積層板状ワークの板状ワークの間隔は、積層されている板状ワークを一旦積層軸に対し傾斜させた後、傾斜された板状ワークの周端面を支持部材で自由に動かないように制御しながら、傾斜した板状ワークの傾斜を戻すことによって広げることができる。この板状ワークの間隔を広げる操作が離隔操作である。該離隔操作で広げられる板状ワークの間隔の大きさは、板状ワークの厚さと傾斜角度によって変えることができ、板状ワークの厚さが厚いほど、また傾斜角度が大きくなるほど板状ワークの間隔を大きく広げることができる。したがって、板状ワークの傾斜角度は、密着している所定の厚さの板状ワークをどのくらい離隔するかによって決められる。この傾斜角度としては、通常10〜70度程度であり、好ましくは15〜60度である。傾斜角度が小さ過ぎると、板状ワークを有効な間隔に広げることができなくなるおそれがある。また、傾斜角度が大き過ぎると、板状ワークが支持部材に対し滑りを生じやすくなるために、板状ワークを支持部材で保持することが困難になる。
【0033】
また、上記離隔操作で積層板状ワークの板状ワークの間隔を広げる場合、上記の洗浄操作で板状ワークの密着をあらかじめ緩和してから離隔操作を行って広げることが好ましい。特に、板状ワークの密着度が強いときには、隣接している板状ワークの板面がずれにくいため、積層されている板状ワークを積層軸に対し傾斜させることが困難となり、離隔操作を円滑にできなくなる。板状ワークの密着が緩和されていると、板状ワークの密着度が極めて弱いため、板状ワークを重ねた状態で板面をずらしながら傾斜させて、板状ワークの間隔を容易に広げることができる。なお、離隔操作は、後述するように板状ワークに外力を加える機械的操作によって確実にできる。
さらに、本発明の離隔操作は、いろいろの分野において重なり密着した板状ワークの離隔を広げる技術としても有効である。
【0034】
以下に、本発明の実施形態を図面に従って具体的に説明する。これらの実施形態は、本発明を理解しやすくするためのものであり、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
(実施形態1)
本例は、図1の積層板状ワークを図7の洗浄装置で洗浄するものである。
本例の洗浄装置は、図7に示すように積層板状ワークを洗浄処理する洗浄槽12と、該洗浄槽内に積層板状ワークをセットするセット設置枠13と、溶剤液を貯留するための洗浄液槽10と、溶剤液を洗浄槽12に送り込みまた洗浄後に洗浄槽12から溶剤液を排出するためのポンプ11と、洗浄槽12内のガスを排出する真空ポンプ14を装備している。洗浄槽12の積層板状ワークを出し入れする開口部には密閉用蓋15が設けられており、洗浄槽12を密閉できるようになっている。以下に操作手順を図に従って説明する。
【0035】
図1に示すように、本例の積層板状ワーク3は、例えば直径が150mm、厚さが2mmの12枚の円形の板状ワーク1を重ねて形成される。油等が付着している円形の板状ワーク1が積層軸Lの方向に密着して重ねられているため、積層板状ワーク3は円柱状をなし、その外周部は円周面を有している。
【0036】
本例では、該積層板状ワーク3の外周部の上下を一対の支持板2で積層軸Lに沿って両側から保持し、洗浄槽12内のワーク設置枠13にセットする。次いで、洗浄槽12内のガスを真空ポンプ14を用いて系外に排出し、洗浄槽内を約0.1KPaに減圧する。洗浄液槽10には洗浄槽12に供給できる容量の溶剤液として例えばトリクレンクロライドを約80℃に加熱して用意しておく。次に洗浄液槽10からこの加熱された溶剤液をポンプ11及びパイプ17を用いて洗浄槽12に供給したのち、ライン16から空気を供給して洗浄槽12内を大気圧にする。この状態にしばらくしておくと、板状ワーク1の間隙の油等が流動温度以上に加熱されるため、板状ワーク1同士の固着性は緩やかになり、同時に板状ワーク1の間隙に溶剤液が浸透する。そして、溶剤液に接触した油等は溶解される。
【0037】
次いで、洗浄槽内の溶剤液を排出して洗浄液槽10に戻した後、洗浄槽内のガスを再び約0.1KPaになるまで真空ポンプ14で排出する。この減圧操作で板状ワーク間の溶剤液は急速にガス化し、その圧力で板状ワーク1の間隙内の油等が噴出される。そして、この油等の排出と溶剤液のガス化圧力によって積層板状ワーク3の板状ワーク1の密着が緩和される。この洗浄操作を繰り返すことで板状ワークの間隙内の油等を洗浄操作1回ごとに約10%減らすことができる。
【0038】
(実施形態2)
洗浄槽12内のワーク設置枠13に積層板状ワークを設置するための前処理は実施形態1と同様に操作する。溶剤液などの条件も実施形態1と同じである。本例は、図2−1(A)に示すように積層板状ワーク3の片側(本例では左側)に噴射ノズル9を設け、ポンプ11から送られる溶剤液を該噴射ノズル9から支持板2で保持されている積層板状ワーク3の一方の側(図2−1(A)では支持板2の上側)に横方向から吹き付けて、板状ワーク1を支持板2との接点を中心に右方向に回転させて積層軸(図1参照)に対し傾斜させる(図2−1(B)参照)。さらに洗浄槽12に溶剤液を十分に供給して積層板状ワーク3を溶剤液中に浸漬し、傾斜した板状ワーク1の間隙に溶剤液を浸透させる。
【0039】
次いで、実施形態1と同様に洗浄槽12の溶剤液を排出して洗浄液槽10に戻した後、洗浄槽12を減圧操作して板状ワーク1の間隙に浸透した溶剤液をガス化する。板状ワーク1の間隙でガス化された溶剤液の発生ガスは、排出流路を広げようとして油等を伴って噴出し、その際に傾斜している板状ワーク1の板面に圧力を付与する。ガス圧力を受けた板状ワーク1は、溶剤液の流動化とガス化によって板状ワーク1の密着性が緩和されるため、この圧力によって積層軸に対して直角の方向に、すなわち傾斜を戻す方向(左方向)に回転する。その際、各板状ワーク1の支持板2との接点は、支持板2によってずれが制御されている。
【0040】
図2−2は本例の板状ワーク1の離隔操作を示したもので、(A)は板状ワーク1の傾斜が戻る前の状態であり、(B)は板状ワーク1が積層軸に対し直角になるように傾斜が戻った状態である。また、図2−3は図2−2のa部の部分拡大図である。図2−3に示すように、積層軸Lに対し角度θ傾斜した板状ワーク1((A)参照)が上記のガス圧力の作用で積層軸に対し直角になるように戻ると((B)参照)、上記したように各板状ワーク1の上下が支持板2で積層軸方向にずれないように保持されているため、隣接する板状ワーク1の間隔はtになり両者の間に間隔が生じる。この間隔は、板状ワーク1の傾斜角度θと厚さによって決まる。本例では板厚が2mmであるので、傾斜角度θを45度としたとき、板状ワーク1が広げられる間隔は約0.8mmとなる。
【0041】
上記の離隔操作で板状ワーク1の間隔が広げられた段階で洗浄槽12に溶剤液を供給し、積層板状ワーク3を溶剤液中において超音波を与えながら洗浄すると、板状ワーク1の間に溶剤液が流通するため残存油を十分に除去できる。
【0042】
(実施態様3)
洗浄槽12内のワーク設置枠13に積層板状ワーク3を設置するための前処理は実施形態1と同様な操作である。溶剤液などの条件も実施形態1と同じである。本例は、積層板状ワーク3の外周部を図3−1のように前記板状ワークの周端面が一方の方向にはスリップし、他方の方向にはスリップしない一対の挟み板6、6’で前記積層軸に沿って挟持し、洗浄槽12のワーク設置枠13に設置するものである。すなわち、挟み板6の下面には、板状ワーク1の周端面が左方向にはスリップするが、右方向にはスリップしない滑り防止7が装着されている。また、挟み板6’の上面には、板状ワーク1の周端面が右方向にはスリップするが、左方向にはスリップしない滑り防止7’が装着されている。
【0043】
本例では、実施形態1の洗浄操作で板状ワーク1の密着度を緩和させた後、上方の挟み板6を機械的操作で矢印方向(右方向)に移動させることによって、板状ワーク1の上方の挟み板6との接点を挟み板6に対し左方向にスリップさせ、また板状ワーク1の下方の挟み板6’に対する接点を右方向にスリップさせて板状ワーク1が角度θ傾斜するように操作する。
【0044】
図3−2(A)は、上記操作で板状ワーク1を積層軸Lに対し右方向に角度θ傾斜させた状態の積層板状ワーク3である。次いで、該積層板状ワーク3の挟み板6を矢印方向(左方向)に移動させて角度θが約90度になるように操作し傾斜を戻すと、板状ワーク1と挟み板6、6’との接点は、それぞれ滑り防止7、7’によってスリップしないように保持されているため、板状ワーク1の間隔が広げられる。図3−2(B)は板状ワーク1の間隔が広げられた積層板状ワーク3の状態を示す。本例では、角度θが16度になるように板状ワーク1を傾斜させた場合、板状ワーク1の間隔は約5mmに広げられる。
【0045】
上記の離隔操作で板状ワーク1の間隔が広げられた積層板状ワーク3を溶剤液に浸漬させて超音波をかけながら洗浄すると、板状ワーク1の間隔が広いため溶剤液の流通が良好となり高い洗浄効果が得られる。その結果、板状ワーク1の付着油をほぼ完全に除去することができる。
【0046】
(実施形態4)
本例は、実施形態3の変形例である。実施形態3における板状ワーク1の離隔操作は、積層板状ワーク3を挟み板6、6'で挟持した状態で、挟み板6、6'を横方向(水平方向)に相対移動させることによって板状ワーク1を積層板状ワーク3の積層軸に対し傾斜させ、次いで挟み板6、6'を逆方向に相対移動させて板状ワーク1の傾斜を戻すことで板状ワーク1の間隔を広げる。
【0047】
これに対し、本例は図4(A)に示す如く実施形態3と同様に積層板状ワーク3を挟み板6、6'で挟持した状態で、該挟み板6、6'の片側(本例では左側)を下方に下げることによって板状ワーク1を積層軸Lに対し傾斜させ(図4(B)参照)、次いで挟み板6、6'の他側を下方に下げて板状ワーク1が積層軸Lに対し直角になるように戻すことによって、板状ワーク1の間隔を広げるものである。この場合、挟み板6、6'の滑り防止7、7'は、実施形態3のように板状ワーク1の片方向への滑りを防止するものでなく、板状ワーク1を挟み板6、6'との接点において左右両方向の滑りを防止もしくは制御できるものが好ましい。図4(C)はこのような隔離操作で板状ワーク1の間隔が広げられた積層板状ワーク3の状態である。
【0048】
本例の板状ワーク1の離隔操作において、板状ワーク1の傾斜角度は挟み板6、6'の片側をどのくらい下げるかによって決まり、下げ幅が大きいほど板状ワーク1の傾斜角度が増大するため、板状ワーク1の間隔を大きく広げることができる。また、挟み板6、6'の片側を下げる方法としては、機械的操作で行うこともできるが、本例のように板状ワーク1と挟み板6、6'の自重を利用して行うこともできる。また、本例の離隔操作では、挟み板6、6'の片側だけを機械的操作で上下動させてもよい。
上記離隔操作で板状ワーク1の間隔が広げられた積層板状ワークを洗浄すると、溶剤液の流通が良好であるため、板状ワーク1の付着油を十分に除去できる。
【0049】
(実施形態5)
本例の板状ワーク1は、図5に示すように円形の上部に孔4を有しており、積層板状ワーク3は12枚の該板状ワーク1が孔4を揃えて重なり密着して形成されている。このような積層板状ワーク3の板状ワーク1は、上記した実施形態2および実施形態3の離隔操作でも間隔を広げることができるが、本例は孔4に支持棒5を挿通して積層板状ワーク3を保持し板状ワーク1の間隔を広げるものである。
【0050】
すなわち、図6(A)に示すように上記支持棒5の上面には滑り防止7が設けられており、該支持棒5を積層板状ワーク3の孔4に挿通したとき、該滑り防止7が孔4の上部に接触して積層板状ワーク3を保持する。支持棒5に保持された積層板状ワーク3の離隔操作は、図6(B)に示すように支持棒19の片側(本例は右側)を持ち上げて傾斜させ、積層板状ワーク3の各板状ワーク1を重力によって垂直方向に懸下させる。支持棒5に支持された板状ワーク1は、支持棒5の滑り防止7によって滑りが制御されるため、傾斜が一定の範囲内であれば、下方に滑ることなく支持棒5との接点を支点にして懸持され、積層軸に対して傾斜した状態に保持される。
【0051】
次に支持棒5の持ち上げた側を押し下げるか、あるいは支持棒5の他側を持ち上げて、支持棒5を水平な位置に戻す。この支持棒5の傾斜を戻す間、各板状ワーク1は滑り防止7によって滑りが防止されるため、支持棒5上を移動することなく支持棒5を戻す前の位置にそのまま固定される。その結果、支持棒5が水平な位置に戻った状態において板状ワーク1の間隔は広げられる。図6(C)は板状ワーク1が広げられた状態である。この場合、板状ワーク1の広げられる間隔は、支持棒5の傾斜角度によって調整できる。また、上記離隔操作を繰り返すことによって、板状ワーク1の間隔を更に大きくすることができる。
かくして、板状ワーク1の間隔が広げられた積層板状ワーク3は、溶剤液を板状ワーク1の間隙に流通させることができるため、板状ワーク1を効率よく高レベルに洗浄できる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、重なり密着した状態の金属板、半導体ウエハーなどの板状ワークの洗浄に好適する。
【符号の説明】
【0053】
1:板状ワーク 2:支持板
3:積層板状ワーク 4:孔
5:支持棒 6:挟み板
7:滑り防止 8:パイプ
9: 溶剤噴流ノズル 10: 溶剤液槽
11:ポンプ 12:洗浄槽
13:ワーク設置枠 14:真空ポンプ
15:密閉用蓋 16:空気供給口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同形状面を持つ板状ワークが重なり密着した積層板状ワークを溶剤液中に浸漬し、次いで溶剤液を排除した後、該積層板状ワークを溶剤液が蒸発する圧力以下の圧力に保持し、板状ワークの間隙に浸透した溶剤液をガス化させて板状ワークの密着を緩和し洗浄することを特徴とする積層板状品の洗浄方法。
【請求項2】
前記積層板状ワークを密閉された洗浄槽内の溶剤液中に浸漬し、次いで溶剤液を排出後、該洗浄槽内を溶剤液が蒸発する圧力以下の圧力に下げて板状ワークの間隙に浸透した溶剤液をガス化させる請求項1に記載の積層板状品の洗浄方法。
【請求項3】
前記積層板状ワークを支持部材で積層板状ワークの積層軸に沿って保持した形態で溶剤液中に浸漬し洗浄する請求項1または2に記載の積層板状品の洗浄方法。
【請求項4】
洗浄時の溶剤液の温度が、板状ワークの付着油の流動温度以上である請求項1〜3のいずれかに記載の積層板状品の洗浄方法。
【請求項5】
洗浄槽内を溶剤液が蒸発する圧力以下の圧力に下げた後、洗浄槽内に溶剤液を再注入して、洗浄を複数回繰り返して行う請求項2〜4のいずれかに記載の積層板状品の洗浄方法。
【請求項6】
同形状面を持つ板状ワークが重なり密着した積層板状ワークを、支持部材で積層板状ワークの積層軸に沿って保持して溶剤液中に浸漬し、積層板状ワークの各板状ワークを前記積層軸に対し所定の角度傾斜させた後、板状ワークと支持部材との接点がずれないように支持部材で保持した状態で、該板状ワークの傾斜を戻すことにより前記板状ワークの間隔を広げて洗浄することを特徴とする積層板状品の洗浄方法。
【請求項7】
同形状面を持つ板状ワークが重なり密着した積層板状ワークを支持部材で積層軸に沿って保持して溶剤液中に浸漬し、次いで溶剤液を排除した状態で該積層板状ワークを溶剤液が蒸発する圧力以下の圧力に保持することにより板状ワークの間隙に浸透した溶剤液をガス化させて板状ワークの密着を緩和させた後、該板状ワークを前記積層軸に対し所定の角度傾斜させてからこの傾斜を板状ワークと支持部材との接点がずれないように支持部材で保持しながら戻すことにより前記板状ワークの間隔を広げ、板状ワークの間隔が広げられた積層板状ワークを溶剤液中において洗浄することを1回乃至複数回繰り返して行う請求項3〜6のいずれかに記載の積層板状品の洗浄方法。
【請求項8】
前記支持部材が板状ワークの周端面との接点におけるずれを制御もしくは防止できる滑り防止を有している請求項6または7に記載の積層板状品の洗浄方法。
【請求項9】
前記滑り防止が、前記板状ワークの周端面が一方の方向にはスリップし、他方の方向にはスリップしない機能を有している請求項8に記載の積層板状品の洗浄方法。
【請求項10】
同形状面を持つ板状ワークが重なり密着した積層板状ワークを、一定の接触抵抗が作用するように積層板状ワークの積層軸に沿って保持し、この状態で前記積層板状ワークの板状ワークを前記積層軸に対し所定の角度傾斜させた後、この傾斜を戻すことにより前記板状ワークの間隔を広げることを特徴とする積層板状品の離隔方法。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−249687(P2011−249687A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123380(P2010−123380)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(591121708)
【Fターム(参考)】