説明

空気ばね式懸架装置及びばね定数切換え制御方法

【課題】走行中に、車高を変えることなく、ばね定数を切換えることが可能な空気ばね式懸架装置と、ばね定数切換え制御方法の提供。
【解決手段】内圧が異なる二つの空気室(第1の空気室C1、第2の空気室C2)を備え且つ少なくとも内圧の低い側の空気室(C1)が可撓性を有している空気ばね(1)と、該二つの空気室(C1、C2)に圧縮空気を供給する圧縮空気供給源(6)と、該圧縮空気供給源(6)と二つの空気室(C1、C2)とを個別に連通する圧縮空気供給ライン(L1、L2)と、該圧縮空気供給ライン(L2)に介装された流路切換え弁(7)と、制御手段(コントロールユニット10)、とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ばね定数可変の空気ばね式懸架装置及びばね定数切換え制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、観光バスにおいては、従来から、乗員、乗客の乗り心地、及び乗降性の向上を目的としてエアスプリング式懸架装置を装備した車両が普及している。
例えば、大型貨物自動車においては、ドライバの労働負荷の軽減、及び積荷の荷痛み対策として、エアスプリング式懸架装置が普及しつつある。
【0003】
エアスプリング式懸架装置を装備した観光バス、及び貨物自動車では、乗降性の向上や、荷役の容易性のために、車高が調整可能に構成されているものが多い。然るに、その車高調整機能も、安全上の理由から走行中には作動できないように法規制されている。
【0004】
図6は、従来技術の懸架装置用のエアスプリングの断面を示している。
図6において、全体を符号1Jで示すエアスプリングは、可撓性のエアバッグ11と、エアバッグ11の底部に接続された円筒状ピストン17、とで構成されている。
円筒状ピストン17は上面の一部に開口部17aが形成されており、底部17bは閉塞している。
即ち、エアスプリング1Jは、円筒状ピストン17によって形成されるエア室C17と、エアバッグによって形成されるエア室C11と、が連通して一つの連続空間Cを形成している。
【0005】
図6において、エアスプリングのばね定数をk、連続空間Cの容積をVc、エアバッグ11の有効断面積をS、エアスプリング1Jに充填されたエア圧力をpとすれば、エアスプリングのばね定数kは、以下の式で表される。
k=p×S/Vc
【0006】
ここで、ばね定数を変化させるには、連続空間Cの容量Vcを変化させればよい。具体的には、例えば、現在のばね定数を高くしたい場合は、図示しないレベリング機構を使って、連続空間C内のエアの一部を給排気口11cから排気して、エアバッグ11の上端部11aからピストン17の下端17bまでの高さHを低くすればよい。
すると、円筒状ピストン17によって形成されるエア室C17の容積は変わらないが、エアバッグによって形成されるエア室C11の容積は減少し、連続空間Cの容積Vcも減少する。
その結果、上式によって、エアスプリングのばね定数kは上昇する。
【0007】
即ち、図6のような構成のエアスプリング1Jでは、エアスプリングのばね定数を変化させるには、エアバッグ11の上端部11aからピストン17の下端17bまでの高さHを変化させなくてはならない。
【0008】
エアスプリング式懸架装置を装備した観光バス及び貨物自動車では、例えば、無数の凹凸がある粗い路面を走破したい場合には、走行中にばね定数を下げて、乗り心地を良くしたいという要請や、或いは、積荷の荷傷みを防ぎたいという要請が存在する。
または、路面が大きくうねったような場所では、ばね定数を上げて荷台の揺動を防止したい。
【0009】
しかし、前述したように走行中には車高調整が禁じられているために、そのような要請に応えることができない。
【0010】
その他の従来技術として、バンプストッパとして、エアスプリングを用いる技術が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術は、大きな突き上げが懸架装置に作用した場合に、バンプストッパであるエアスプリングで、突き上げによる衝撃を緩和することが目的であって、上述したような問題点を解決するものではない。
【特許文献1】特開2004−338642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、走行中に、車高を変えることなく、ばね定数を切換えることが可能な空気ばね式懸架装置及びばね定数切換え制御方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の空気ばね式懸架装置は、内圧が異なる二つの空気室(第1の空気室C1、第2の空気室C2)を備え且つ少なくとも内圧の低い側の空気室(C1)が可撓性を有している空気ばね(1)と、該二つの空気室(C1、C2)に圧縮空気を供給する圧縮空気供給源(6)と、該圧縮空気供給源(6)と二つの空気室(C1、C2)とを個別に連通する圧縮空気供給ライン(L1、L2)と、該圧縮空気供給ライン(L2)に介装された流路切換え弁(ソレノイドバルブ7)と、制御手段(コントロールユニット10)、とを備え、前記空気ばね(1)は、内圧の高い側の空気室(C2)内部に圧縮空気を充填させることにより内圧の低い側の空気室(C1)の容積を減少せしめ、内圧の高い側の空気室(C2)内部から圧縮空気を排除させることにより内圧の低い側の空気室(C1)の容積を増加させるように構成され、前記制御手段(10)は、前記流路切換え弁(7)の流路を切り換えて、内圧の高い側の空気室(C2)を圧縮空気供給源(6)と大気側との何れかに連通せしめる制御を行うように構成されていることを特徴としている(請求項1)。
ここで、ばね定数切換手段(ばね定数切換スイッチ20)を備え、ばね定数切換手段(20)を操作することにより、前記制御手段(10)が、前記流路切換え弁(7)の流路を切り換えて、内圧の高い側の空気室(C2)を圧縮空気供給源(6)と大気側との何れかに連通せしめるのが好ましい。
【0013】
本発明において、内圧の低い側の空気室(C1)の底部には筒状部材(13)が(その上方が部分的に)貫入されるように固着されており、筒状部材(13)の上端の一部が開口(13a)しており、筒状部材(13)の内側下方に内圧が高い側の空気室(C2:エアバック12)が形成されているのが好ましい(請求項2)。
【0014】
そして、本発明において、前記圧縮空気供給ライン(L1)には減圧手段(8)が介装されているのが好ましい(請求項3)。
【0015】
本発明の空気ばね式懸架装置の制御方法は、請求項1の空気ばね式懸架装置を用いたばね定数切換え制御方法において、ばね定数切換手段(ばね定数切換スイッチ20)によって空気ばね(1)のばね定数の高低を選択する工程(S2)と、前記ばね定数の高低を選択する工程(S2)で高いばね定数を選択した場合に流路切換え弁(ソレノイドバルブ7)によって内圧が高い側の空気室(C2)を圧縮空気供給源側(6)に連通せしめる工程(S3)と、低いばね定数を選択した場合に流路切換え弁(7)によって内圧が高い側の空気室(C2)を大気側(6)に連通せしめる工程(S3)、とを有することを特徴としている(請求項4)。
【発明の効果】
【0016】
上述する構成を具備する本発明によれば、前記空気ばね(1)は内圧の高い側の空気室(C2)内部に圧縮空気を充填させることにより内圧の低い側の空気室(C1)の容積を減じさせ、内圧の高い側の空気室(C2)内部から圧縮空気を排除させることにより内圧の低い側の空気室(C1)の容積を増加させるように構成されている。
そして、例えば、ばね定数切換手段(20)をドライバが操作することにより、前記制御手段(10)は前記流路切換え弁(ソレノイドバルブ7)の流路を、内圧の高い側の空気室(C2)を圧縮空気供給源(6)に連通せしめるか、内圧の高い側の空気室(C2)を大気側に連通せしめるか、の何れかに切換えることができる。
【0017】
前記流路切換え弁(ソレノイドバルブ7)の流路を、内圧の高い側の空気室(C2)を圧縮空気供給源(6)に連通せしめるようにすれば、内圧の低い側のエア室(C1)の容積が減少して空気ばね(1)のばね定数を上げることが出来る。
また、前記流路切換え弁(7)の流路を、内圧の高い側の空気室(C2)を大気側に連通せしめるようにすれば、内圧の低い側のエア室(C1)の容積が増加して空気ばね(1)のばね定数を下げることが出来る。
【0018】
これらのばね定数切換えの制御は、車高の変化を伴わないので、走行中においても実行できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
先ず、図1から図4を参照して第1実施形態について説明する。
【0020】
図1において、装置全体を符号100で示す空気ばね式懸架装置は、図示の例では、1軸当たり、4つのエアスプリング1(4つの内、2つは図示のエアスプリングに重なり合って見えない)、圧縮空気供給源6と、2系統の圧縮空気供給ラインL1、L2と、流路切換え弁(ソレノイドバルブ)7と、ばね定数切換手段であるばね定数切換スイッチ20と、制御手段であるコントロールユニット10、とを有している。
【0021】
4つのエアスプリング1は、2個で1対のエアスプリング1の下端部が、空気ばね支持部材2の両端部の上面に取付けられている。2個で1対のエアスプリング1の上端部は、シャシーフレームの左右のサイドレール5の下面に図示しない締結手段によって、固定されている。図1において、符号4は車輪を示す
【0022】
空気ばね支持部材2の中央部の上面は、車軸3の下面に、図示しない固定部材によって固定されている。
【0023】
エアスプリング1の詳細構成及びその作用について、図2及び図3を参照して説明する。
図2において、エアスプリング1は、可撓性を有した第1のエアバッグ11と、可撓性を有した第2のエアバッグ12とを有している。第1のエアバッグ11の底部11bには、円筒状部材13の上方が第1のエアバッグ11に部分的に貫入する(食い込む)ように取付けられている。
第1のエアバッグ11の上面11aには、給排気口11cが形成されている。
【0024】
円筒状部材13の上面には開口部13aが形成されている。円筒状部材13の底部13bは閉塞している。
円筒状部材13の内部には、第2のエアバッグ12が収容されている。第2のエア室12の底部12bは、円筒状部材13の底部13bに固定されている。
【0025】
第2のエアバッグの底部12bには給排気口12cが形成され、その給排気口12cは、円筒状部材13の底部13bを貫通している。
【0026】
ここで、第1のエアバッグ11と、第1のエアバッグ11と連通する筒状体13の内部における第2のエアバッグ12を除く領域によって形成される連続空間を第1の空気室C1と言う。又、第2のエアバッグ12の内部を第2の空気室C2と言う。
【0027】
図1に戻り、第1のエアバッグ11は、第1の圧縮空気供給ラインL1によってエアタンク6と連通している。
第1の圧縮空気供給ラインL1は、圧縮空気供給管L11、分岐管L12、L13によって構成されている。圧縮空気供給管L11は、圧縮空気供給管L11の一方の端部である分岐点B1で、分岐管L12、L13に分岐している。圧縮空気供給管L11には、エアタンク6内の空気圧を減圧するための圧力調整手段である減圧器8が介装されている。
【0028】
分岐管L12は、図1における左方の第1のエアバッグの給排気口11cに接続されている。分岐管L13は、図1における右方の第1のエアバッグの給排気口11cに接続されている。
【0029】
第2のエアバッグ12は、第2の圧縮空気供給ラインL2によってエアタンク6と連通している。
第2の圧縮空気供給ラインL2は、圧縮空気供給管L20、L21、分岐管L22、L23によって構成されている。圧縮空気供給管L21は、圧縮空気供給管L21の一方の端部である分岐点B2で、分岐管L22、L23に分岐している。
【0030】
圧縮空気供給管L20と圧縮空気供給管L21との間には、流路切換え弁(ソレノイドバルブ)7が介装されている。
図示の例では、流路切換え弁7は、「3ポート、2ポジション」の切換え弁である。流路切換え弁7のポジション71にはポートP1、P2、P3が形成されている。ポートP1とP2とは連通している。流路切換え弁7のポジション72にはポートP4、P5、P6が形成されている。ポートP5とP6とは連通している。ポートP6は、常に大気に開放されている。
【0031】
ばね定数切換スイッチ20は信号ラインLs1によってコントロールユニット10と接続されている。コントロールユニット10は、制御信号ラインLs2によって流路切換え弁7の操作部73に接続されている。操作部73は、操作部73に制御信号が入力された場合に、ポジション71とポジション72とを切換えるように構成されている。
【0032】
図2は、エアスプリング1のばね定数を上げた状態が示されている。この時、流路切換え弁7はポジション71が、第2の圧縮空気供給ラインL2に接続されている(図1の状態)。即ち、エアタンク6は圧縮空供給管L20、流路切換え弁7のポートP1、ポートP2、圧縮空気供給管L21、分岐管L22及びL23を経由して、2つのエアスプリング1の第2のエアバッグ12と連通している。従って、第2のエア室C2には、エアタンク6内と同じ圧力のエアが充填されている。
【0033】
一方、2つのエアスプリング1の第1のエアバッグ11は、第1の圧縮空気供給ラインL1を経由して、常時エアタンク6と連通している。しかし、第1の圧縮空気供給ラインL1(L11)には、減圧器8が介装されており、第1のエア室C1には、エアタンク6内の圧力よりも幾分低い圧力の圧縮空気が充填されている。
つまり、第2のエア室C2は、第1のエア室11よりも内圧が高くなる。従って、第2のエアバッグ12は膨張して、その結果、第1の空気室C1の容積は減少する。
第1の空気室C1の容積の減少は、図6の従来技術で説明したように、第1の空気室C1の容積が減少する前(例えば図3参照)に対して、エアスプリング1のばね定数が高まった状態である。
【0034】
図3は、エアスプリング1のばね定数を下げた状態が示されている。この時、流路切換え弁7はポジション72が、第2の圧縮空気供給ラインL2に接続されている(図示しない)。即ち、エアタンク6は圧縮空供給管L20、流路切換え弁7のポートP4に連通している。しかし、ポートP4の内部は閉塞されているためにエアタンクの圧縮空気は第2の空気室C2には流入しない。第2の空気室C2は、流路切換え弁7のポートP5、ポートP6を経由して大気に開放されるために、第2の空気室C2の空気は大気に排出される。
【0035】
一方、2つのエアスプリング1の第1のエア室C1は、第1の圧縮空気供給ラインL1を経由して、常時エアタンク6と連通している。そこで、第1の空気室C1の内圧が第2の空気室C2の内圧(大気圧と等しい)に勝り、その結果、可撓性部材(第2のエアバッグ)で形成された第2の空気室C2は収縮する。
第2のエアバッグ12の収縮により、第1のエア室C1の容積は増加する。
第1のエア室C1の容積の増加は、図6の従来技術で説明したように、図2に対して、エアスプリング1のばね定数が低下した状態である。
【0036】
図2のばね定数が上昇した状態、及び、図3のばね定数が低下した状態は、共に、エアスプリングの高さHが等しい状態で行われる。
つまり、第1実施形態では、車高調整を行わないで、エアスプリングのばね定数の切換えが可能になっている。
【0037】
次に、図4に基づき、図1〜図3をも参照して、第1実施形態の空気ばね式懸架装置100の、ばね定数切り換え制御方法を説明する。
【0038】
図4において、コントロールユニット10は、ばね定数切換スイッチ20が操作されたか否かを判断する(ステップS1)。
ばね定数切換スイッチ10が操作されていれば(ステップS1のYES)、ステップS2に進む。ばね定数切換スイッチ10が操作されていなければ(ステップS1のNO)、ステップS1を繰り返す。
【0039】
ステップS2では、コントロールユニット10は、ばね定数が高い方が選択されたのか、低い方が選択されたかを判断する。
ばね定数が高い方が選択されたなら、ステップS3側のループに進み、ばね定数が低い方が選択されたなら、ステップS4側のループに進む。
【0040】
ステップS3では、コントロールユニット10は、流路切換え弁(ソレノイドバルブ)7をエアタンク6側に連通するように切換える。
即ち、ポジション71を、第2の圧縮空気供給ラインL2に連通するように切換える。すると、第2の空気室C2の容積が増加し、第1の空気室C1の容積が減少して、エアスプリング1のばね定数は高まる。そして、ステップS3の後にステップS5に進む。
【0041】
ステップS4では、コントロールユニット10は、ソレノイドバルブ7を大気開放側に連通するように切換える。
即ち、ポジション72を、第2の圧縮空気供給ラインL2に連通するように切換える。すると、第2の空気室C2内の圧縮空気が大気に排出されて、第2の空気室C2の容積が減少する。第2の空気室C2の容積の減少に伴い、第1の空気室C1の容積が増加して、エアスプリング1のばね定数は低下する。そして、ステップS4の後にステップS5に進む。
【0042】
ステップS5では、コントロールユニット10は、運転を終了するか否かを判断する。運転を終了するのであれば(ステップS5のYES)、そのまま制御を終了する。運転続行であれば、(ステップS5のNO)、ステップS1まで戻り、ステップS1以降を繰り返す。
【0043】
上述した構成の第1実施形態によれば、エアスプリング1は、可撓性の第1のエアバッグ11で形成された第1の空気室C1と、可撓性の第2のエアバッグ12で形成された第2の空気室C2を有しており、第2の空気室C2内に、第1の空気室C1よりも内圧の高い圧縮空気を充填させることにより、第1の空気室C1の容積を減じさせ、第2の空気室C2内部から圧縮空気を排除させることにより、第1の空気室C1の容積を増加させるように構成されている。
そして、第1実施形態によれば、ばね定数切換スイッチ20をドライバが操作することにより、コントロールユニット10は流路切換え弁(ソレノイドバルブ)7の流路を、第2の空気室C2をエアタンク6に連通せしめるか、第2の空気室C2を大気側に連通せしめるか、の何れかに切り換えられる。
【0044】
流路切換え弁(ソレノイドバルブ)7の流路を、第2の空気室C2をエアタンク6に連通せしめるようにすれば、第1の空気室C1の容積が減少して、エアスプリング1のばね定数を上げることが出来る。
一方、流路切換え弁(ソレノイドバルブ)7の流路を、第2の空気室C2を大気側に連通せしめるようにすれば、第1の空気室C1の容積が増加して、エアスプリング1のばね定数を下げることが出来る。
これらのばね定数切換えの制御は、車高の変化を伴わないので、走行中においても実行できる。
【0045】
次に、図5を参照して、第2実施形態を説明する。
図1〜図4の第1実施形態は、筒状部材13の内部に可撓性のエアバッグ(第2のエアバッグ)12を収容した実施形態である。
これに対して、図5の第2実施形態のエアスプリング1Aは、筒状部材(図2における符号13に相当)をシリンダ14とし、第1実施形態の第2のエアバッグ12の代わりに、シリンダ14内部に、円盤状のピストン15を挿入した実施形態である。
【0046】
図5において、ピストン15の上方の空間が第1の空気室C1であり、ピストン15の下方の空間が第2の空気室C2である。第2の空気室の給排気口14cは、シリンダ14の底部14bに設けられている。
【0047】
第2実施形態において、上述した構成以外は、図1〜図4の第1実施形態と実質的に同じである。第2実施形態の作用効果も概ね第1実施形態と同様である。
【0048】
図示の実施形態あるいは実施例は例示であり、本発明の技術的範囲を限定するための記載ではない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態の全体構成を示すブロック図。
【図2】第1実施形態の空気ばねにおいて、ばね定数を高くした場合の状態図。
【図3】第1実施形態の空気ばねにおいて、ばね定数を低くした場合の状態図。
【図4】本発明の実施形態のばね定数切換え制御を説明するフローチャート。
【図5】第2実施形態の空気ばねの構成を示した断面図。
【図6】従来技術の空気ばねの構成を示した断面図。
【符号の説明】
【0050】
1・・・空気ばね/エアスプリング
2・・・空気ばね支持部材
3・・・車軸
4・・・車輪
5・・・シャシーフレームのサイドレール
6・・・圧縮空気供給源/エアタンク
7・・・流路切換え弁/ソレノイドバルブ
8・・・減圧手段/減圧器
10・・・制御手段/コントロールユニット
20・・・ばね定数切換手段/ばね定数切換スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内圧が異なる二つの空気室を備え且つ少なくとも内圧の低い側の空気室が可撓性を有している空気ばねと、該二つの空気室に圧縮空気を供給する圧縮空気供給源と、該圧縮空気供給源と二つの空気室とを個別に連通する圧縮空気供給ラインと、該圧縮空気供給ラインに介装された流路切換え弁と、制御手段とを備え、前記空気ばねは、内圧の高い側の空気室内部に圧縮空気を充填させることにより内圧の低い側の空気室の容積を減少せしめ、内圧の高い側の空気室内部から圧縮空気を排除させることにより内圧の低い側の空気室の容積を増加させるように構成され、前記制御手段は、前記流路切換え弁の流路を切り換えて、内圧の高い側の空気室を圧縮空気供給源と大気側との何れかに連通せしめる制御を行うように構成されていることを特徴とする空気ばね式懸架装置。
【請求項2】
内圧の低い側の空気室の底部には、上端の一部が開口した筒状部材の上方が部分的に貫入されるように固着されており、その筒状部材の内側の下方に内圧が高い側の空気室が形成されている請求項1の空気ばね式懸架装置。
【請求項3】
前記圧縮空気供給ラインには減圧手段が介装されている請求項1、2の何れかの空気ばね式懸架装置。
【請求項4】
請求項1の空気ばね式懸架装置を用いたばね定数切換え制御方法において、ばね定数切換手段によって空気ばねのばね定数の高低を選択する工程と、前記ばね定数の高低を選択する工程で高いばね定数を選択した場合に流路切換え弁によって内圧が高い側の空気室を圧縮空気供給源側に連通せしめる工程と、前記ばね定数の高低を選択する工程で低いばね定数を選択した場合に流路切換え弁によって内圧が高い側の空気室を大気側に連通せしめる工程、とを有することを特徴とするばね定数切換え制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−154547(P2009−154547A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331365(P2007−331365)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000003908)日産ディーゼル工業株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】