説明

空気清浄器

【課題】本発明は、水分回収による空気清浄器において、回収された水を無害化し再利用することの出来る空気清浄器を提供する。
【解決手段】回収した汚染された水は光触媒コーティングされた回収再生容器へ一定時間回収し、その間紫外線発生装置により回収再生容器へ紫外線を照射する。その結果、汚染水に光触媒作用が働き、回収水中の有害物質が分解され無害化する。さらに、その無害化された水は一定時間が過ぎると、自動的に加湿器の加湿水へと補給され再利用されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は室内空気中の有害物質を加湿することにより、発生した水分によって汚染物質を吸着し、除湿装置により汚染物質を除去すると共に、浄化された空気を室内へ供給する空気清浄器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
湿式空気清浄器では、取りこまれた室内の汚染空気を加湿装置により発生させた水分と混合させることにより有害物質を水分に吸着させ、その後その有害物質を吸着した水分を除湿装置によって回収することで、室内のアンモニアやホルムアルデヒド等の有害物質の濃度を減少させることが可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
回収された水は、室内の有害物質を濃縮した形で含んでいる。故に常時室外へ排出するか、または回収容器を設け、満水時に回収容器を取りだし、回収水を廃棄するしかない。
【0004】
上記のような方法であると、メンテナンスが大変であり、また環境の面でも問題である。
故に、本発明は水分回収による空気清浄器において除湿装置によって回収され、有害物質を含む水を無害化し、この再生水を再利用することによって、メンテナンスフリーとし、かつ環境に無害な装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するには、有害物質を含む室内空気を空気吸入口から取りこみ、これを加湿装置で所定の湿度まで加湿し、有害物質が水に吸収されるよう混合した後、除湿装置によりその水分を回収することにより有害物質を除去した浄化空気を室内へと放出する。その一方で、有害物質を含む回収水は回収容器へと回収される。
【0006】
回収容器内部は光触媒コーティングがされており、これへ紫外線発生装置により紫外線を照射することによって有害物質を含む水を光触媒作用により、無害化する。
【0007】
このとき、間欠的に落下してくる除湿水の衝撃により、その時すでに回収容器に貯留されている回収水が混合され、回収水中の有害物質が効率良く分解される。
【0008】
しかし、ある一定量を超えると水の落ちる衝撃だけでは混合が期待できなくなり、光触媒作用による有害物質の分解速度が低下する。そこで水量がある一定値を超えると再生水を自動的に排出し、加湿器の加湿水タンクへと補給することでメンテナンスフリーで環境にも無害な空気清浄器を提供することが出来る。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、有害物質を含む空気の有害物質を加湿した水分に吸着させ、この水分を除湿により浄化空気と水に分け、水は光触媒に紫外線を照射することで有害物質を分解して浄化し、加湿装置の加湿水として利用することにより、メンテナンスフリーとなり、環境にも無害となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の第1の形態は、筐体内で加湿装置から発生した水分が、送風機によって取りこまれた有害物質を含む空気を加湿し、有害物質を吸着する。その水分を除湿装置によって除去し、空気を浄化し筐体の外へ排出される。この時、除湿装置によって取り除かれた水分は回収容器へと貯留され、この回収容器内面には、光触媒がコーティングされており、この光触媒に紫外線を照射することにより、有害物質を分解し、水を無害化する。この無害化された水は加湿装置の加湿水へと自動的に補給することで、メンテナンスフリーとなり、環境にも無害となる。
【0011】
本発明第2の形態は、第1の形態に従属する形態であって、筐体の空気吸入口に防塵フィルターを取り付ける事により、筐体内部が汚れ、空気通路が埃、ゴミ等によって塞がれることを防止する。
【0012】
本発明第3の形態は、第1または2の形態に従属する形態であって、湿度センサーを備え、室内湿度を感知しマイコンにより調湿する事により、室内を自動でいつでも快適な湿度に保つことができる。
【0013】
本発明第4の形態は、第1〜3のいずれかにの形態に従属する形態であって、筐体内の混合空間に防カビの加工または装置を備え、加湿によってカビが発生するのを事前に防ぎ、2次的に空気を汚染することがなく、いつでも清潔な空気を排出することが出来る。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の全体構成図で、図2は除湿装置の構造図である。
【0015】
図1において、1aは空気吸入口で空気の取り込み口である。筐体中に加湿装置2があり、空気吸入口1aから、取り込まれた有害物質を含む空気を加湿する。2aは加湿装置噴出し口、2bは加湿水容器である。尚、加湿装置2にはスチーム方式の加湿器を用いるのが望ましい。これは、スチーム方式では加熱により水を沸騰させて蒸気を発生させるため、運転停止時に加湿容器に雑菌が発生したとしても再度加熱することにより殺菌が行われ、清潔に加湿を行うことが出来るからである。
【0016】
加湿は3の混合部屋で行われる。加湿装置噴出し口2aは混合部屋内にある。これは、加湿装置2により発生した水分と取り込まれた有害物質を含む空気が、よく混合され、水分がより多くの有害物質を吸着するため、加湿装置2によって発生した水分が直接5の除湿装置へと取り込まれないよう、4の仕切壁によって加湿装置2と除湿装置5を分けている。仕切壁4には通風口4aが空いていおり、この通風口4aを通り加湿された空気は除湿装置5へ吸入される。
【0017】
図2において除湿装置5の説明をする。7は送風ファンである。この送風ファン7で除湿装置5の運転強度を制御すると共に空気清浄器全体の送風についても制御する。5aの除湿装置吸入口より加湿された空気を取り込み除湿機構部8によって除湿した後、浄化空気は5bの除湿装置排出口より排出され、筐体1の排出口1bから外へ排出される。回収した水は9の回収容器へと一時的に蓄留される。この回収容器9の内部は光触媒10がコーティングされており、このコーティング面に回収水が落ちてくる。この回収容器9へ11の紫外線発生装置から紫外線照射することにより、紫外線を浴びた光触媒10は光触媒作用を起こし、水中の有害物質を分解する。
【0018】
しかし、分解することが出来るのは光触媒表面上のものだけであり効率良く処理を行うには、回収水の攪拌が必要である。これは回収水が回収容器9中の水へ落ちる時の力により可能であるが、回収水がある一定の水位に達すると水の落ちる力だけでは充分な混合が起こりにくくなり、その結果分解速度が低下する。そこで、ある水位に達すると回収容器底に具備された12のフタが開き、回収水を6のパイプへ排出する。パイプ6は加湿装置2の加湿容器2bにつながっており、加湿容器2bに供給された再生水は再び加湿のために使用される。
【0019】
この光触媒10には二酸化チタンを用いるのが望ましい。これは、種々の光触媒の中でも弱い紫外線で充分な分解能力を発揮し、このため紫外線発生装置11にも比較的安価なブラックライトや殺菌等を用いることが可能であるからである。紫外線照発生装置11の設置位置は回収容器下部が良い。これは上部であるとライトが濡れ、感電や腐食の原因となるからである。このため、回収容器の素材にはアクリル樹脂や石英ガラス等の紫外線透過率の高いものを選ばなければならない。
【0020】
また、除湿装置5にはゼオライト微粒子を担持した吸着、脱着再生方式ハニカム状ローターからなる除湿器を用いるのが望ましい。これは、ゼオライトには水分だけではなく、アンモニア等も吸着する働きがあり、アンモニア等の化学物質を除去し、空気を浄化するためである。
【0021】
図3では防塵フィルター13を筐体の吸入口1aに取り付ける事により、筐体内部が汚れ、空気通路が埃、ゴミ等によって塞がれることを防止する。また、14は湿度センサーである。この湿度センサー14からの情報に基づいて、マイコン(図示せず)により加湿装置2と除湿装置5の運転強度のバランスを調整し、室内の湿度を適切に保つことができる。
【0022】
15は混合部屋3のカビ発生を防止する加工である。混合部屋3は湿度が高く、カビも発生しやすい状況にあるため、カビの発生を防ぐために加工が必要である。また、運転停止時、加湿装置2を停止し、除湿装置5の除湿機構部8と送風ファン7のみを一定時間運転し、筐体内の換気を行い、混合部屋3の湿度を下げることで、カビの発生を更に抑えることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、病院での院内感染の予防や、各種動物の施設の脱臭、またはシックハウス症候群などの防止のための空気清浄機として適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例1における構成を示す要部断面図
【図2】除湿装置の断面拡大図
【図3】本発明の実施例1に防塵フィルター、湿度センサー、カビ防止加工を具備した要部断面図
【図4】本発明の実施例1における、部分断面斜視図
【符号の説明】
【0025】
1 筐体
1a 吸入口
1b 排出口
2 加湿装置
2a 加湿装置噴出し口
2b 加湿容器
3 混合部屋
4 しきり壁
4a 通風口
5 除湿装置
5a 除湿装置吸入口
5b 除湿装置排出口
6 パイプ
7 送風ファン
8 除湿機構部
9 回収容器
10 光触媒
11 紫外線発生装置
12 フタ
13 集塵フィルター
14 湿度センサー
15 防カビ加工

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気吸入口と空気排出口を有する筐体中に、加湿装置と除湿装置と送風機と加湿装置によって発生する水分と吸入空気を混合させる部屋を具備し、加湿装置によって発生した水分と汚染された吸入空気を前記部屋で混合し、吸入空気中の有害物質を水分に吸収させ、その後除湿装置で、その水分が回収されることにより、吸入空気を浄化し空気排出口から筐体の外へ放出する空気清浄器において、その回収された汚染水は光触媒がコーティングされた回収再生容器に回収され、紫外線発生装置により紫外線を前記回収再生容器に照射することによって回収水が浄化され、浄化された水分は加湿装置の加湿水に自動的に供給することを特徴とする空気清浄器。
【請求項2】
空気吸入口に防塵フィルターを具備した請求項1の空気清浄器
【請求項3】
湿度センサーを備え、室内湿度を感知しマイコンにより室内湿度を調節することの出来る請求項1記載の空気清浄器
【請求項4】
筐体内に、カビの発生を防止する加工または装置が施されている請求項1記載の空気清浄器



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−281025(P2006−281025A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−101516(P2005−101516)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(305009371)アイクォーク有限会社 (3)
【出願人】(593200526)
【Fターム(参考)】