説明

空気膨張式表示器

【課題】遠方から観察が可能であり、且つインフレータを使用することで、即時に組立てが可能な空気膨張式の表示器、また、同一構造の表示器を連結してバリケードを構成する屋外装置品を提供する。
【解決手段】内部に空気を注入することにより膨脹可能な気室を備えると共に上端が頂部で且つ下端が設置面に対して水平な辺を有して立設される三角状筒体と、該三角状筒体と同様に膨脹可能な気室を備えると共に三角状筒体の頂部の背面側に接続されて下端が設置面に対して水平な辺を有して立設される略V字状の支持筒体と、前記夫々の筒体の下端の底部に設けられたウエイトから構成され、使用する際に略三角形状の外観を呈する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接近する車両に対して、徐行や停車を呼びかける三角駐車表示器に関するものであり、より詳細には、遠方から観察が可能であり、且つインフレータを使用することで、即時に組立てが可能な空気膨張式の表示器に関するものである。また、本発明の空気膨張式の表示器は、同一構造の表示器を連結したバリケードにも係わると共に、分解して使用する場合の浮袋と同様の救命具にも係わるものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、一般の公道においては、故障等で車両が緊急停車する際に、接近車両に対して駐車や停車中であるといった警告を発する手段として、蛍光面を備えた三角型の駐車表示器が使用されている。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】実開平06−075898号公報
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところでこのような三角駐車表示器は、通常、車両のトランク等の所定の場所に収納し、必要に応じて組立てて使用するが、先ず、収納スペースの問題から必要最低限の大きさであるため、小型で定型であり、従って、後続車両がある程度の距離まで接近しないとわからないといった視認性の問題がある。加えて、このような三角駐車表示器は、日常では使用することがないために、緊急時に、いざ組立てを行う場合に、組み立て方法で戸惑う場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記の課題を解決するため、使用する際に略三角形状の外観を呈する表示器であって、請求項1に記載の表示器は、内部に空気を注入することにより膨脹可能な気室を備えると共に上端が頂部で且つ下端が設置面に対して水平な辺を有して立設される三角状筒体と、該三角状筒体と同様に膨脹可能な気室を備えると共に三角状筒体の頂部の背面側に接続されて下端が設置面に対して水平な辺を有して立設される略V字状の支持筒体と、前記夫々の筒体の下端の底部に設けられたウエイトから構成されることを特徴とする。
【0005】
請求項2に記載の表示器は、前記夫々の筒体は別体で形成されると共に、該夫々の筒体には同一の導入路または独立した導入路を形成してインフレータが接続されることを特徴とする。
【0006】
請求項3に記載の表示器は、前記三角状筒体の胴部の空間部には網体が形成されることを特徴とする。
【0007】
請求項4または請求項5に記載の表示器は、前記三角状筒体の胴部の正面には、三角形状の基布を備えた光学的表示部が被覆され、これらの光学的表示部は、蓄光材、反射材または視覚的に目立つ色彩で形成された基布と、該基布に対して取付られた電気的な発光体とで構成されたことを特徴とする。
【0008】
請求項6に記載の表示器は、前記夫々の構成部材を縮小状態で収納する可搬型の袋体が設けられると共に、少なくとも重量を有するインフレータが袋体に固定されることを特徴とする。また、請求項7に記載の表示器は、前記ウエイトは夫々の筒体の垂直方向の所定幅の表面に対して面ファスナを介して取付けられることを特徴とする。
【0009】
請求項8に記載の表示器は、前記三角状筒体の頂部には連結部が形成されると共に、該連結部間を帯状体で連結してバリケードを構成することを特徴とする。
【0010】
請求項9に記載の表示器は、前記三角状筒体の正面には電気的な発光体が設けられることを特徴とする。
【0011】
インフレータとの接続口を弁体で封止可能とすると共に、夫々の筒体の少なくとも一つにはインフレータとの接続口とは異なる位置に、弁体で封止可能とした給排口が設けられたことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図1乃至図8に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1は本発明に係わる表示器の使用状態の正面図、図2は、本発明に係わる光学的表示部の形態を示す説明図であり、図3は、本発明に係わる表示器の上端部分の要部正面図であり、図4は、本発明に係わる表示器の側面図であり、図5は、本発明に係わる表示器の上端部分の要部側面図であり、図6は、本発明に係わるウエイトの説明図であり、図7は、本発明に係わる表示器の縮小時の収納状態から展開状態へ至る過程の使用形態を示す説明図であり、図8は、本発明の表示器の連結状態で構成するバリケードの説明図である。
【0013】
本発明は、遠方からの視認性を良好にするために、とりわけ大型の表示器として実施されるものであると共に、後述する通り、インフレータを使用することで、即時に組立てが可能な空気膨張式の表示器である。また本発明で開示する同一構造の表示器を連結することで、バリケードを構成するものである。
【0014】
図1に示される通り、本発明の表示器は、主として内部に空気を注入することにより膨脹可能な気室を備えると共に上端が頂部で且つ下端が設置面に対して水平な辺を有して立設される三角状筒体1と、該三角状筒体1と同様に膨脹可能な気室を備えると共に三角状筒体1の頂部の背面側に接続されて下端が設置面に対して水平な辺を有して立設される略V字状の支持筒体2から構成されている。
【0015】
前記夫々の筒体1.2は、布等の筒状の胴体の中に膨脹気室を構成する別体のチューブを内設して形成しても構わないが、より簡易的で低コストな構成では、筒体1.2自体が合成樹脂製のチューブであって良い。そして、夫々の筒体1.2は、独立または連続した気室として形成されるものであり、下端の底部には、安定的に立設されるための金属製のウエイトが設けられている。
【0016】
実施例に図示の表示器では、前記夫々の筒体1.2は別体で形成されると共に、該夫々の筒体1.2の一部に空気の導入口となり且つ弁体により封止可能な接続口を形成する。図示の例では、この接続口には、マニホールド6を介して同一の導入路でインフレータ7が接続されている。このインフレータ7は、紐材に連結されたボールバルブを引き抜くことで炭酸ガスを放出するボンベ等で形成され、使用時には、紐材を引っ張って膨脹させる。また、夫々の筒体1.2には、インフレータ7との接続口とは異なる給排口9が設け、インフレータ7を使用しない場合でも筒体1.2に対して空気を導入可能としたり、インフレータ7側からの空気の供給量が不足している場合に補給可能としている。
【0017】
上記の如く構成された各筒体1.2は、収納時には圧縮、縮小されており、前記インフレータ7を作動させると、図1や図4に示すように膨脹して表示器の外観を呈するようになる。そのため、前記三角状筒体1と略V字状の支持筒体の上端部は、図5に図示の如く、面ファスナ8を介して着脱自在に取付けることが可能に構成されている。
【0018】
また、本発明の表示器は、圧縮、縮小から膨脹される間に、前記三角状筒体1の胴部の空間部に前記支持筒体2が挟まることで、瞬時な膨脹を阻止するといった弊害をなくすために、網体4で閉塞されている。尚、この網体4は、空気を流通させることで正面方向からの空気抵抗を下げるための構造であり、これにより、強風時でも本発明の表示器は安定して立設されることが可能である。
【0019】
また、本発明は、図1及び図2に図示の如く、前記三角状筒体1の胴部の正面には、三角形状の基布を備えた光学的表示部で被覆させている。これは、次の理由からである。即ち、一般に、三角状筒体1を一定の繊維構造をもつ布(合成繊維)から製造した場合には、その外観形状から三角状筒体1の両側の二辺の筒部においては、繊維方向が斜めに形成されてしまう。ことのため、空気を内部へ均等に導入したとしても繊維の性質によりこの部分にしなりを生じさせることから、表示に係わる光学的表示部10を別体の布等で形成して面ファスナ等で表面に被覆したものであり、本発明では、更に、筒体1に直接被覆する部材11と、該部材11に積層して完全な三角形状で維持される部材12とで構成している。
【0020】
尚、これらの部材の上からは、「事故」等のメッセージを示した表示帯5が取り付けられる。また、光学的表示部10は、図2に図示の如く、蓄光材、反射材または視覚的に目立つ色彩で形成された基布と、該基布に対して取付られた電気的な発光体13(実施例では、線光源としたLED)で構成されている。
【0021】
図6に図示の如く、各筒体1.2の下面に取付けられるウエイト3は、専用袋等に鉄材等を収納して形成され、夫々の筒体1.2の垂直方向の所定幅の表面に対して面ファスナ8を介して取付けられる。これは、面ファスナにより着脱自在とすることで、とりわけ、組み立て時の筒体1.2の膨脹の邪魔にならず、且つ、膨脹の後には、より重量の有る適正なウエイトの取付が可能となるように、重力方向への負荷に耐えられる構造として取付面を工夫させたためである。
【0022】
また、本発明は、図7に図示の如く、前記夫々の構成部材を縮小状態で収納するショルダーバックの如き可搬型の袋体15が設けられる。これにより、平常時には、本発明に係わる各構成部材を袋体15に収納し、緊急時には袋体15より取り出しだして使用することができる。尚、少なくとも重量を有するインフレータ6を袋体15に固定することで、袋体15自体もウエイトとして機能させることが可能である。
【0023】
図8は、本発明の表示器の他の実施形態を示している。この例では、前記三角状筒体1の頂部には、面ファスナ等からなる連結部16が形成される。そして、該連結部16間を帯状体17で連結して、複数器を組としてバリケードが構成される。
【0024】
尚、本発明の筒体1.2を独立して使用する場合には、浮袋として使用することも可能である。とりわけ、図9に図示の如く、三角形状の筒体1の場合は、網体4を設けないか、または、着脱自在に形成することで、略ドーナツ型の一般的な浮袋と同様に使用することができ、河川や海での事故の際に、本器を応用することが可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、平時には袋体に収納して車両等の所定の場所に保管し、緊急時には、これを持ち出してインフレータを作動するだけの簡単な操作で、表示器を組み立てることが可能である。また、本発明の表示器は、複数器を連結することで極めて簡単な作業でバリケードを設置することができるものであり、全体的に軟質で且つ空気を利用して緩衝性に優れていることから、一般道で使用する場合にも安全で配置設計に柔軟なバリケードとして機能する。このようにして設置された表示器は、発光機能を用いることにより視認性を上げることができるが、これを使用せずとも大型構造として実施できるので、従来の小型表示器と比較して格段の視覚的効果が優れているだけでなく、低コストでこれらを実現できる画期的な発明である。更に、本発明の表示器は独立した筒体が浮袋と同様の救命具として使用できる等の応用性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係わる表示器の使用状態の正面図である。
【図2】本発明に係わる光学的表示部の形態を示す説明図である。
【図3】本発明に係わる表示器の上端部分の要部正面図である。
【図4】本発明に係わる表示器の側面図である。
【図5】本発明に係わる表示器の上端部分の要部側面図である。
【図6】本発明に係わるウエイトの説明図である。
【図7】本発明に係わる表示器の縮小時の収納状態から展開状態へ至る過程の使用形態を示す説明図である。
【図8】本発明の表示器の連結状態で構成するバリケードの説明図である。
【図9】本発明の三角状筒体を表す説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1 三角状筒体
2 支持筒体
3 ウエイト
4 網体
5 表示帯
6 マニホールド
7 インフレータ
8 面ファスナ
9 給排口
10 光学的表示部
11 部材
12 部材
13 発光体
15 袋体
16 連結部
17 帯状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用する際に略三角形状の外観を呈する表示器であって、内部に空気を注入することにより膨脹可能な気室を備えると共に上端が頂部で且つ下端が設置面に対して水平な辺を有して立設される三角状筒体と、該三角状筒体と同様に膨脹可能な気室を備えると共に三角状筒体の頂部の背面側に接続されて下端が設置面に対して水平な辺を有して立設される略V字状の支持筒体と、前記夫々の筒体の下端の底部に設けられたウエイトから構成されたことを特徴とする空気膨張式表示器。
【請求項2】
前記夫々の筒体は別体で形成されると共に、該夫々の筒体には同一の導入路または独立した導入路を形成してインフレータが接続されたことを特徴とする請求項1に記載の空気膨張式表示器。
【請求項3】
前記三角状筒体の胴部の空間部には網体が形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気膨張式表示器。
【請求項4】
前記三角状筒体の胴部の正面には、三角形状の基布を備えた光学的表示部が被覆されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の空気膨張式表示器。
【請求項5】
前記光学的表示部は、蓄光材、反射材または視覚的に目立つ色彩で形成された基布と、該基布に対して取付られた電気的な発光体とで構成されたことを特徴とする請求項4に記載の空気膨張式表示器。
【請求項6】
前記夫々の構成部材を縮小状態で収納する可搬型の袋体が設けられると共に、少なくとも重量を有するインフレータが袋体に固定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の空気膨張式表示器。
【請求項7】
前記ウエイトは夫々の筒体の垂直方向の所定幅の表面に対して面ファスナを介して取付けられることを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載の空気膨張式表示器。
【請求項8】
前記三角状筒体の頂部には連結部が形成されると共に、該連結部間を帯状体で連結してバリケードを構成することを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載の空気膨張式表示器。
【請求項9】
前記インフレータとの接続口を弁体で封止可能とすると共に、夫々の筒体の少なくとも一つにはインフレータとの接続口とは異なる位置に、弁体で封止可能とした給排口が設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項8に記載の空気膨張式表示器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−101447(P2008−101447A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−310754(P2006−310754)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(501037196)無限電光株式会社 (3)
【Fターム(参考)】