説明

空間効率の良いカードリーダ、及び、これを組み込んだ電子デバイス

多様な電子デバイスのための空間効率の良いカードリーダは、隣接して間隔を保ち電子デバイス内のプリント基板(PCB)の部分から外へ向かって延びる複数の電気コネクタピンを備える。カバーは前記PCBの部分の上に横たわるように構成され、隣接して間隔を保って内部に形成される複数の開口を有する。各開口は、前記PCBの部分の上に横たわる固定位置に前記カバーがある場合に開口を通って前記コネクタピンの各1個を受け付けるように構成される。ソケットが前記カバーの外面に固定され、カードの電気接点が前記カバー内の前記開口を通って延びる前記コネクタピンと接触するように前記ソケット内に前記カードを取り外し可能に受け付けるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して電子デバイスに関し、より詳しくは、電子デバイス内のカードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
無線電話とは一般的に、1以上の他の通信端末への無線通信リンクを提供する通信端末を意味する。無線電話は、多様な異なる応用分野において使用可能であり、これには、セルラ電話、地上移動通信システム(警察及び消防の分野)、及び衛星通信システムが含まれる。無線電話は、「スマート」カードとも呼ばれるSIM(加入者IDモジュール)カードを使用する場合があり、SIMカードは、セルラ電話加入者に関するデータを格納する。そのようなデータには、ユーザID、位置及び電話の番号、ネットワーク用許可データ、パーソナルセキュリティキー、住所録、格納されたテキストメッセージなどが含まれ得る。SIMカードはまた、データ保護及び盗聴防止のための、多様な認証機能及び暗号化機能も提供する。
【0003】
SIMカードは、無線電話に対して着脱されるように構成される。SIMカードリーダは、一般的に無線電話に組み込まれており、SIMカードの装着及び取り外しを促す。そのようなものとして、SIMカードは可搬であり、或る無線電話から別の無線電話へと切り替え可能である。データの可搬性は、多数の利益を提供する。例えば、新しい無線電話を購入したユーザは、現在のSIMカードを装着することにより、新しい無線電話に対して、古い無線電話と同じ番号及びユーザプリファレンスなどを関連づけることができる。
【0004】
無線電話のような電子デバイスは、小型化が進行中である。実際、多くの最新の無線電話は、長さが11センチメートル未満である。その結果、サイズが絶えず減少する無線電話及びその他の電子デバイスにおいて貴重な空間を節約することについての関心が高まりつつある。従来のSIMカードリーダは、他の種類のカードリーダと同様、無線電話のような電子デバイス内の、他のコンポーネントのために使用可能であったかもしれない貴重な空間を使用する。それゆえ、従来のカードリーダよりも小さな空間を使用するカードリーダについてのニーズが存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の議論に鑑み、電子デバイスのための空間効率の良いカードリーダを提供する。本発明のいくつかの実施形態によれば、電子デバイスのためのカードリーダは、隣接して間隔を保ち前記電子デバイス内のプリント基板(PCB)の部分から外へ向かって延びる複数の電気コネクタピンを備える。カバーは前記PCBの部分の上に横たわるように構成され、隣接して間隔を保って内部に形成される複数の開口を有する。各開口は、前記PCBの部分の上に横たわる固定位置に前記カバーがある場合に開口を通って前記コネクタピンの各1個を受け付けるように構成される。ソケットが前記カバーの外面に固定され、カード(例えば、SIMカードやメモリカードなど)の電気接点が前記カバー内の前記開口を通って延びる前記コネクタピンと接触するように前記ソケット内に前記カードをスライド可能且つ取り外し可能に受け付けるように構成される。
【0006】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ガイドスリーブ(案内用の袖)が前記開口それぞれの内部に配置される。各ガイドスリーブは各開口を通ってのコネクタピンの挿入を促進するように構成される。例えば、ガイドスリーブは、各開口を通るようにコネクタピンを仕向けるように構成される形状又は構造を有してもよい。本発明のいくつかの実施形態によれば、コネクタピンは凸状円錐形状を有し、対応するガイドスリーブは、内部に前記コネクタピンを受け付けるように構成される凹状円錐形状を有する。
【0007】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記カバーは、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、金、金合金、銀、銀合金、はんだ被覆銅、ニッケル平板鋼、金属化高分子材料導電材料などの導電材料を含むシールドカンの蓋である。前記ガイドスリーブは、高分子材料のような電気絶縁材料を含む。前記コネクタピンとカバーの開口との間の整列を促進することに加えて、前記電気絶縁ガイドスリーブは、前記コネクタピンと前記カバーとの間の接触を防止する。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態によれば、各コネクタピンは、当該コネクタピンを前記PCBから飛び出させるように構成される、バネのようなバイアス部材に関連づけられる。代表的なバネはコイルバネである。しかしながら、他の種類のバネも使用可能である。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態によれば、無線電話のような電子デバイスのためのカードリーダは、隣接して間隔を保ちPCBの部分から外へ向かって延びる複数の電気コネクタピンを備える。各コネクタピンは、当該コネクタピンを前記PCBから飛び出させるように構成される、コイル又は他の種類のバネのようなバイアス部材を有する。カバーが前記PCBの部分の上に横たわるように構成され、隣接して間隔を保って内部に形成される複数の開口を有する。各開口は、前記PCBの部分の上に横たわる固定位置に前記カバーがある場合に開口を通って前記コネクタピンの各1個を受け付けるように構成される。ガイドスリーブが前記開口それぞれの内部に配置される。各ガイドスリーブは各開口を通ってのコネクタピンの挿入を促進するように構成される。カードソケットが前記カバーの外面に固定され、カード(例えば、SIMカードやメモリカードなど)の電気接点が前記コネクタピンと接触するように前記ソケット内に前記カードをスライド可能且つ取り外し可能に受け付けるように構成される。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態によれば、各コネクタピンは凸状円錐形状を有し、対応する各ガイドスリーブは、内部に前記コネクタピンを受け付けるように構成される凹状円錐形状を有する。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記カバーは、導電材料を含むシールドカンの蓋であり、前記ガイドスリーブは電気絶縁材料を含む。前記コネクタピンとカバーの開口との間の整列を促進することに加えて、前記電気絶縁ガイドスリーブは、前記コネクタピンと前記カバーとの間の接触を防止する。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態によれば、無線電話のような電子デバイスは、ハウジングと、前記ハウジング内部に配置されるプリント基板(PCB)と、隣接して間隔を保ち前記PCBの部分から外へ向かって延びる複数の電気コネクタピンと、前記PCBの部分の上に横たわるように構成されるカバーと、前記カバーの外面に固定されるソケットと、を備え、前記カバーは、隣接して間隔を保って内部に形成される複数の開口を有し、各開口は、前記PCBの部分の上に横たわる固定位置に前記カバーがある場合に開口を通って前記コネクタピンの各1個を受け付けるように構成され、前記ソケットは、カードの電気接点が前記コネクタピンと接触するように前記ソケット内に前記カードを取り外し可能に受け付けるように構成される。SIMカードやメモリカードなどのカードは、前記ソケット内部に取り外し可能に配置される。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記電子デバイスは、前記カバーの開口それぞれの内部に配置されるガイドスリーブを備える。各ガイドスリーブは各開口を通ってのコネクタピンの挿入を促進するように構成される。例えば、ガイドスリーブは、内部にコネクタピンを容易に受け付け、各開口を通るように前記コネクタピンを仕向けるように構成される、形状又は構造を有してもよい。本発明のいくつかの実施形態によれば、コネクタピンは凸状円錐形状を有し、対応するガイドスリーブは、内部に前記コネクタピンを受け付けるように構成される凹状円錐形状を有する。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記カバーは、前記電子デバイス内部のシールドカンの蓋としての役割を果たし、導電材料を含む。前記ガイドスリーブは高分子材料のような電気絶縁材料を含み、前記コネクタピンと前記カバーとの間の接触を防止する。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記電子デバイスは、各コネクタピンに関連づけられる、バネのようなバイアス部材を備える。各バイアス部材は、コネクタピンを前記PCBから飛び出させるように構成される。代表的なバネはコイルバネである。しかしながら、他の種類のバネも使用可能である。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記電子デバイス内部の各コネクタピンは凸状円錐形状を有し、対応する各ガイドスリーブは、内部に前記コネクタピンを受け付けるように構成される凹状円錐形状を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に従うカードリーダを内部で使用可能な無線電話の斜視図である。
【図2】図1の無線電話内部の電子コンポーネントの従来の構成の概略ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に従うカードリーダの部分を形成し、隣接して間隔を保ちそこから外へ向かって延びる複数の電気コネクタピンを含む、電子デバイス内のPCBの斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に従うカードリーダの部分であって、図3に示すPCBの上に横たわるように構成される、カバーの斜視図である。
【図5】図3のPCBに固定された図4のカバーの斜視図であり、本発明の幾つかの実施形態に従う、スライド可能且つ取り外し可能にカードを受け付けるように構成されるカバー上のソケット(レセプタクル)を示す。
【図6】図5に示すソケット内に取り外し可能に置かれたカードを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
これ以降、本発明の好適な実施形態が示されている添付の図面を参照して、本発明を更に十分に説明する。しかしながら、本発明は、多数の異なる形態で具現化可能であり、ここで説明される実施形態に限定されるものとして解釈してはならない。むしろ、これらの実施形態は、ここでの開示が十分且つ完全なものとなり、そして本発明の範囲を当業者に十分に伝達するように、提供される。
【0019】
全体を通して、同様の番号は同様のエレメントを示す。図面において、所与の線、層、コンポーネント、エレメント、又は特徴の厚みは、明確にするために誇張されている場合もある。
【0020】
ここで使用される用語は、特定の実施形態を説明することを目的としただけであり、本発明の限定となることを意図してはいない。ここで使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確にそうではないと示していない限り、複数形も含むことを意図している。「含む(comprises)」及び/又は「含んでいる(comprising)」という用語は、本明細書において使用される場合、言及された特徴、整数、ステップ、動作、エレメント、及び/又はコンポーネントの存在を示すが、1以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、エレメント、コンポーネント、及び/又はその集合の存在又は追加を排除する訳ではない、ということも更に理解されるであろう。ここで使用されるように、「及び/又は(and/or)」という用語は、1以上の関連して列挙された項目のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0021】
そうではないと定義されない限り、ここで使用される(技術用語及び科学用語を含む)全ての用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を持つ。一般に使用される辞書に定義されているような用語は、本明細書の文脈及び関連技術において、それらの意味と矛盾しない意味を持つものとして解釈されるべきであり、理想化されたり過度に形式的な意味では、ここで明示的にそのように定義されない限り、解釈されるべきではない、ということも更に理解されるであろう。よく知られている機能及び構造は、簡潔さ及び/又は明確さを目的として、詳細には説明されない場合もある。
【0022】
或るエレメントが他のエレメントに対して、「上にある(on)」、「付着(attached)」している、「接続(connected)」している、「結合(coupled)」している、「接触している(contacting)」などと言われた場合、そのエレメントは他のエレメントに対して直接、上にあったり、付着していたり、接続していたり、結合していたり、接触していたりしてもよく、また、中間エレメントが存在していてもよい、が理解されよう。対照的に、或るエレメントが他のエレメントに対して、例えば、「直接上にある(directly on)」、「直接付着(directly attached)」している、「直接接続(directly connected)」している、「直接結合(directly coupled)」している、「直接接触している(directly contacting)」と言われた場合、中間エレメントは存在しない。また、他の特徴に「隣接して(adjacent)」配置されている構造又は特徴に対する言及は、隣接する特徴に重なり合ったりその下にあったりする部分を持ってもよいということが、当業者によって理解されよう。
【0023】
「下(under)」、「下方(below)」、「低い(lower)」、「上(over)」、「上方(upper)」などのような空間的に相対的な用語は、ここでは、図示される或るエレメント又は特徴の他のエレメント又は特徴に対する関係を説明するための説明を容易にするために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図面において記述されている向きに加えて、使用時又は動作時のデバイスの様々な向きを包含することを意図しているということ、が理解されよう。例えば、図面内のデバイスが逆さにされると、他のエレメント又は特徴の「下(under)」又は「真下(beneath)」に記載されているエレメントは、当該他のエレメント又は特徴の「上(over)」に向けられるであろう。それゆえ、「下(under)」という例示的な用語は、「上(over)」及び「下(under)」両方の向きを包含し得る。デバイスは違うふうに向けられ得る(90度回転したり、別の向きに回転したりする)ものであり、ここで使用される空間的に相対的な説明は、それに応じて解釈される。同様に、「上方へ(upwardly)」、「下方へ(downwardly)」、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」などの用語は、ここでは、明示的に断りがない限り、説明を目的としてのみ使用される。
【0024】
「電子デバイス(electronic device)」という用語は、本発明の実施形態に従うカードリーダを含むことができるあらゆる種類のデバイスを含む。本発明の実施形態に従うカードリーダを含むことができる代表的な電子デバイスには、限定する訳ではないが、セルラ無線端末(例えば、無線電話)、パーソナルコミュニケーションシステム(PCS)端末、携帯情報端末(PDA)、ラップトップ及び/又はパームトップのデバイス、他の移動/無線デバイス、デスクトップ演算デバイスなどが含まれる。
【0025】
図1を参照すると、本発明の実施形態に従うカードリーダを含むことができる従来の無線電話デバイスが示されている。しかしながら、本発明の実施形態によれば、カードリーダは、その他の電子デバイスに加えて任意の種類の無線電話デバイスに組み込み可能である。図示される無線電話10は、ヒンジで一緒に接続された、第1のハウジング部12及び第2のハウジング部14を含む。第1のハウジング部12はディスプレイ画面16を含み、第2のハウジング部14はキーパッド18を含む。第1及び第2のハウジング12,14にハウジングされているのは、無線電話10が無線電話通信信号を送受信することを可能にする電子コンポーネント(不図示)である。本発明の実施形態に従うカードリーダは、2つのハウジング部12,14のいずれかの中に位置することができる。
【0026】
ここで図2を参照すると、図1に示すような無線電話が無線端末通信信号を送信及び/又は受信することを可能にする電子コンポーネントの従来の構成が示されている。図示されるように、無線通信信号を受信及び/又は送信するアンテナ20は、無線周波数(RF)送受信機22に電気的に接続されており、RF送受信機22はマイクロプロセッサのようなコントローラ25に更に電気的に接続されている。コントローラ25は、コントローラ25からの信号を無線電話のユーザへ送信するように構成されるスピーカ26に電気的に接続されている。コントローラ25はまた、ユーザからの音声信号を受信すると共にコントローラ25及び送受信機22を介してその音声信号をリモートデバイスへ送信するマイクロフォン27に電気的に接続されている。コントローラ25は、キーパッド18及びディスプレイ16に電気的に接続されている。コントローラ25は、例えばSIMカードリーダやメモリカードリーダなどのようなカードリーダ30に電気的に接続されている。
【0027】
ここで図3から図6を参照すると、例えば図1の無線電話のような電子デバイス10内部で使用するための、本発明の実施形態に従うカードリーダ30が示されている。本発明の実施形態によれば、カードリーダは、電子デバイスに対して装着及び/又は取り外しされるように構成される任意の種類のカードのために使用可能である。代表的なカードリーダには、限定する訳ではないが、SIMカードリーダやメモリカードリーダなどが含まれる。図示される電子デバイス10は無線電話であるが、カードリーダ30は、無線電話内部で使用することに限定される訳ではない。
【0028】
図示される実施形態では、隣接して間隔を保つ複数の電気コネクタピン32が、電子デバイス10内部のプリント基板(PCB)34の部分から外側へ向かって延びる。コネクタピン32は、カード(例えば、SIMカードやメモリカードなど)の電気的接点に関与すると共にカード内の電子コンポーネントを例えばコントローラ25に電気的に相互接続させるように構成される、導電エレメントである。図示されるコネクタピン32はそれぞれ、以下で説明するように、カバー内の開口との関与を促す凸状円錐構造を持つ。しかしながら、本発明の実施形態は、円錐形のコネクタピンに限定される訳ではない。多様な他の形状及び構造を使用可能である。
【0029】
本発明の実施形態によれば、各コネクタピン32は、バネのようなバイアス部材によってPCB34から飛び出している。図示される実施形態では、各コネクタピン32をPCB34から飛び出させるために、コイルバネ35が使用されている。各コネクタピン32のコイルバネ35はまた、以下で説明するように、カバー内の各開口との関与を促すことも補助する。1以上のコネクタピン32は、当業者であれば理解できるように、複数の接点を提供するために、及び/又は、よりしっかりした接続を提供するために、その内部に形成される開口を含んでもよい。
【0030】
カバー40は、そこから延びるコネクタピン32を持つPCB34の、少なくとも一部の上に横たわるように構成される。カバー40は、隣接して間隔を保って内部に形成される複数の開口42を含む(図4)。各開口42は、PCB34の上に横たわる固定位置にカバー40がある場合に、自身を通してコネクタピン32の各1個を受け付けるように構成される(図5)。
【0031】
図示される実施形態では、各カバー開口42にはガイドスリーブ44が配置されている。各ガイドスリーブ44は、各開口42を通したコネクタピン32の挿入を促進するように構成される。例えば、コネクタピン32は、凸状円錐構造を持ってもよく、各ガイドスリーブ44は、カバー40がPCB34の上に配置された場合に各開口42内部でのコネクタピン32の整列を促す、対応する凹状円錐構造を持ってもよい。更に、ガイドスリーブ44の構造は、多様なコネクタピン32が開口42内部に突き刺さることを防止することができる。図5に示すように、カバー40がPCB34の上に配置されると、各コネクタピン32は各開口42を貫通し、カバー40を通って突き出る。円錐形のピン32及びガイドスリーブ44は、バネ35のバイアス力と相俟って、コネクタピン32に対するカバー40の配置の際の多少のずれを許容する。
【0032】
ガイドスリーブ44及びコネクタピン32の形状は円錐形に限定される訳ではない。カバー40がPCB34に固定される際に開口42に対するコネクタピン32の整列を促進する多様な形状を使用可能である。
【0033】
加えて、ガイドスリーブ44は、カバー40を通って延びるコネクタピン32の高さを規定するために使用可能である。そのようなものとして、コネクタピン32は、バネ35のバイアス力によって十分に事前の負荷がかけられ、カードは、カードリーダ10との良好な電気的接触を確かなものとしつつ、カードリーダ10に対して容易に装着及び取り外しをすることができる。
【0034】
図示される実施形態では、コネクタピン32の各行についてガイドスリーブ44が接続されている。これは、製造及び/又は組み立てを容易にするために行われてもよいが、必要とされる訳ではない。ガイドスリーブ44は、多様な形状及び構造で一緒に連結されていてもよい。更に、1以上のガイドスリーブ44は、個別の部品であってもよく、他のガイドスリーブ44に接続されている必要はない。
【0035】
当業者に知られているように、PCBは一般に、絶縁基板(例えば、プラスチック)の1以上の層を含み、PCBの層に取り付けられるか又は埋め込まれる多様な電子コンポーネント(例えば、半導体)を接続する導電金属(例えば、銅)の所定のパターンを配置することにより、絶縁基板の上に電気回路が形成される。これらの電気回路の多くは、高い無線周波数(RF)で動作可能なコンポーネントを含む。これらのコンポーネントからのRFの放出は、PCBの近傍の他のコンポーネント又は回路の適正な動作を妨害する場合がある。そのようなものとして、「シールドカン」と呼ばれる導電ハウジングが、PCBの多様な部分を覆うように構成される。
【0036】
従って、本発明のいくつかの実施形態では、カードリーダ30はシールドカンの一部であってもよい。例えば、PCB34は、シールドシステムの接地面の部分としての役割を果たしてもよく、カバー40は、導電材料により形成されて、シールドカンの蓋としての役割を果たしてもよい。シールドカンの蓋として使用される場合、カバー40は多様な導電材料により形成可能である。代表的な導電材料には、限定する訳ではないが、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、金、金合金、銀、銀合金、はんだ被覆銅、ニッケル平板鋼、及び金属化高分子材料が含まれる。カバー40がシールドカンの蓋としての役割を果たす実施形態では、電気コネクタピン32が各カバー開口42を通って延びる際にカバー40に接触することを防止するために、ガイドスリーブ44は、例えば高分子材料のような電気絶縁材料により形成される。
【0037】
シールドカンは、特に無線電話のような小型電子デバイス内部のPCBの形状の制約が原因で、幾分複雑な形状及び構造を持つ可能性がある。従って、カバー40は、実質的にあらゆる形状及び構造を持つ可能性があり、図面において示される構造に限定されない。
【0038】
図示されるカバー40はまた、カバー40の外面40aに固定されるソケット50を含む。ソケット50は、図示されるように、両端50a,50bにおいて開いており、内部にカード60をスライド可能且つ取り外し可能に受け付けることで、カード60の電気接点がコネクタピン32と接触する(図6)。図示されるソケット50は、壁52を含み、壁52はそこから下方へ向かって従属する側面部分54を伴う。そのようなものとして、壁52は、カバー40との間隔を保つ関係で保持される。カード60は、図6に示すように、壁52とカバー40との間でスライド可能にスライド可能に挿入される。壁52とカバー40との間の距離は、カード60の挿入及び取り外しが可能でありながら、カード60の接点(不図示)と電気コネクタピン32との間の電気的接触を維持可能なように、選択される。
【0039】
PCB34上にコネクタピン32を表面実装することにより、PCB34の周辺領域は、他のコンポーネントのために使用可能である。そのようなものとして、特に無線電話のような小型電子デバイス内部では貴重な空間を保全することができる。例えば、従来のSIMカードリーダは約150mmのPCB空間を使用する。本発明の実施形態によれば、カードリーダ30は、約25mmのPCB空間しか使用しない。
【0040】
前述したことは本発明の例示であり、本発明の限定としては解釈されない。本発明のいくつかの代表的な実施形態を説明してきたが、当業者であれば、本発明の新規な技術及び利点から大きく逸脱すること無しに、代表的な実施形態において多くの修正が可能であるということ、を容易に理解するであろう。従って、そのような修正は全て、請求の範囲に規定される本発明の範囲内に含まれることが意図されている。本発明は以下の請求の範囲によって規定され、請求の範囲の均等物はそこに含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板(PCB)を含む電子デバイスのための、カードリーダであって、
隣接して間隔を保ち前記PCBの部分から外へ向かって延びる複数の電気コネクタピンと、
前記PCBの部分の上に横たわるように構成されるカバーと、
前記カバーの外面に固定されるソケットと、
を備え、
前記カバーは、隣接して間隔を保って内部に形成される複数の開口を有し、各開口は、前記PCBの部分の上に横たわる固定位置に前記カバーがある場合に開口を通って前記コネクタピンの各1個を受け付けるように構成され、
前記ソケットは、カードの電気接点が前記コネクタピンと接触するように前記ソケット内に前記カードを取り外し可能に受け付けるように構成される
ことを特徴とするカードリーダ。
【請求項2】
前記開口それぞれの内部に配置されるガイドスリーブを更に備え、各ガイドスリーブは各開口を通ってのコネクタピンの挿入を促進するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のカードリーダ。
【請求項3】
各ガイドスリーブは円錐構造を有することを特徴とする請求項2に記載のカードリーダ。
【請求項4】
前記カバーは、導電材料を含むシールドカンの蓋であり、前記ガイドスリーブは電気絶縁材料を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載のカードリーダ。
【請求項5】
各ガイドスリーブは高分子材料を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載のカードリーダ。
【請求項6】
前記シールドカンの蓋は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、金、金合金、銀、銀合金、はんだ被覆銅、ニッケル平板鋼、及び金属化高分子材料から成る集合から選択される材料を含むことを特徴とする請求項4又は5に記載のカードリーダ。
【請求項7】
各コネクタピンは円錐構造を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のカードリーダ。
【請求項8】
各コネクタピンは、当該コネクタピンを前記PCBから飛び出させるように構成されるバイアス部材を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のカードリーダ。
【請求項9】
前記バイアス部材はコイルバネを含むことを特徴とする請求項8に記載のカードリーダ。
【請求項10】
プリント基板(PCB)を含む電子デバイスのための、カードリーダであって、
隣接して間隔を保ち前記PCBの部分から外へ向かって延びる複数の電気コネクタピンと、
前記PCBの部分の上に横たわるように構成されるカバーと、
前記カバーの外面に固定されるソケットと、
を備え、
各コネクタピンは、当該コネクタピンを前記PCBから飛び出させるように構成されるバイアス部材を有し、
前記カバーは、隣接して間隔を保って内部に形成される複数の開口を有し、各開口は、前記PCBの部分の上に横たわる固定位置に前記カバーがある場合に開口を通って前記コネクタピンの各1個を受け付けるように構成され、
前記ソケットは、カードの電気接点が前記コネクタピンと接触するように前記ソケット内に前記カードを取り外し可能に受け付けるように構成され、
前記カードリーダは、前記開口それぞれの内部に配置されるガイドスリーブを備え、各ガイドスリーブは各開口を通ってのコネクタピンの挿入を促進するように構成される
ことを特徴とするカードリーダ。
【請求項11】
各ガイドスリーブは円錐構造を有することを特徴とする請求項10に記載のカードリーダ。
【請求項12】
前記カバーは、導電材料を含むシールドカンの蓋であり、前記ガイドスリーブは電気絶縁材料を含むことを特徴とする請求項10又は11に記載のカードリーダ。
【請求項13】
各コネクタピンは円錐構造を有することを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載のカードリーダ。
【請求項14】
前記バイアス部材はコイルバネを含むことを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載のカードリーダ。
【請求項15】
ハウジングと、
前記ハウジング内部に配置されるプリント基板(PCB)と、
隣接して間隔を保ち前記PCBの部分から外へ向かって延びる複数の電気コネクタピンと、
前記PCBの部分の上に横たわるように構成されるカバーと、
前記カバーの外面に固定されるソケットと、
を備え、
前記カバーは、隣接して間隔を保って内部に形成される複数の開口を有し、各開口は、前記PCBの部分の上に横たわる固定位置に前記カバーがある場合に開口を通って前記コネクタピンの各1個を受け付けるように構成され、
前記ソケットは、カードの電気接点が前記コネクタピンと接触するように前記ソケット内に前記カードを取り外し可能に受け付けるように構成される
ことを特徴とする電子デバイス。
【請求項16】
前記ソケット内部に配置されるカードを更に備えることを特徴とする請求項15に記載の電子デバイス。
【請求項17】
前記カードは加入者IDモジュール(SIM)カードであることを特徴とする請求項16に記載の電子デバイス。
【請求項18】
前記カードはメモリカードであることを特徴とする請求項16又は17に記載の電子デバイス。
【請求項19】
前記開口それぞれの内部に配置されるガイドスリーブを更に備え、各ガイドスリーブは各開口を通ってのコネクタピンの挿入を促進するように構成されることを特徴とする請求項15乃至18のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【請求項20】
前記カバーは、導電材料を含むシールドカンの蓋であり、前記ガイドスリーブは電気絶縁材料を含むことを特徴とする請求項19に記載の電子デバイス。
【請求項21】
各ガイドスリーブは円錐構造を有することを特徴とする請求項19又は20に記載の電子デバイス。
【請求項22】
各コネクタピンは円錐構造を有することを特徴とする請求項15乃至21のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【請求項23】
各コネクタピンは、当該コネクタピンを前記PCBから飛び出させるように構成されるバイアス部材を有することを特徴とする請求項15乃至22のいずれか1項に記載の電子デバイス。
【請求項24】
前記バイアス部材はコイルバネを含むことを特徴とする請求項23に記載の電子デバイス。
【請求項25】
前記電子デバイスは無線電話であることを特徴とする請求項15乃至25のいずれか1項に記載の電子デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−529525(P2010−529525A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507801(P2010−507801)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【国際出願番号】PCT/EP2007/062144
【国際公開番号】WO2008/138408
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(502087507)ソニー エリクソン モバイル コミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】