説明

突入電流防止回路および突入電流防止方法

【課題】
直流電源回路の突入電流制限抵抗にMOSFETを始めとするリニア動作のできる能動素子を用いた場合であっても、障害を検出すること。
【解決手段】
本発明による突入電流防止回路は、制限を行う電流の経路に直列に挿入され、印加される制御電圧に応じて抵抗値が変化する電流制限抵抗と、前記電流制限抵抗の両端間電圧を監視した結果を第1の監視信号として出力する両端間電圧監視部と、前記電流制限抵抗のゲート電圧を監視した結果を第2の監視信号として出力するゲート電圧監視部と、前記第1の監視信号および前記第2の監視信号に基づいて、前記電流制限抵抗の障害発生を検出する障害検出部と、前記障害検出部が、前記電流制限抵抗の障害発生を検出した場合、前記障害検出部からの信号に応じて、前記電流制限抵抗への電流を遮断する遮断素子と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電源回路に使用する突入電流防止回路、および突入電流防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、回路の低電圧化、大電流化の傾向が強まっている。スイッチング電源の大容量化を例にとると、電源の入力部に大容量のコンデンサが搭載される。また、スイッチング電源の負荷には、FPGA(Field−Programmable Gate Array)などのバイパスコンデンサも大量に搭載される。このため、スイッチング電源にかかる負荷の静電容量は大きくなっている。
【0003】
上述のように、負荷の静電容量は増大傾向にあるが、負荷の異常により突入電流が大きくなった場合には、突入電流を抑制する回路そのものの焼損を防ぐことが必要である。
【0004】
突入電流を抑制する回路または抵抗に関する技術としては、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されている方法が挙げられる。
【0005】
特許文献1には、ヒータへの通電開始時に流れる突入電流を制限する突入電流制限抵抗の両端に生じる制限抵抗電圧を検出し、検出した制限抵抗電圧に基づいて、ヒータの異常を判別する、という技術が記載されている。
【0006】
特許文献2には、突入電流制限抵抗の両端で電圧を検出する技術が記載されている。また、温度計を設置し、抵抗の異常な温度上昇を検知すると、入力断を行うという技術も記載されている。
【0007】
また、突入電流制限抵抗としては、広く知られているMOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)を用いることが多い。抵抗としてMOSFETを用いる場合、突入電流の抑制を行うためには、例えば特許文献3に記載の方法が挙げられる。特許文献3においては、電源投入時に、MOSFETを徐々にONしていき、突入電流を抑制するという技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−084832号公報
【特許文献2】特開昭60−194725号公報
【特許文献3】特開昭63−064524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の特許文献1から3では、抵抗にMOSFETを用いた場合、電圧異常による障害検出ができないという課題があった。
【0010】
特許文献1において、抵抗としてMOSFETを用いた場合、MOSFETの両端に生じる制限抵抗電圧(以下、両端間電圧)、つまりMOSFETのドレイン・ソース間電圧を検出することになる。
【0011】
ここで、MOSFETは、ゲート電圧によりONとOFFの中間領域で抵抗値を制御できる素子である。従って、MOSFETの両端間電圧のみを監視するだけでは、抵抗値が正しく制御されたものなのか、あるいは発生した障害の影響を受けた値なのかを判断することができない。
【0012】
また、特許文献2においては、抵抗の温度を監視している。ここで、入力の異常電圧による抵抗の短絡や、中途な低抵抗を持つような異常状態の場合には、抵抗の温度の変化には大きな影響は及ぼさないために、異常を検出することができない。
【0013】
さらに、特許文献3においては、MOSFETにより突入電流を抑制しているが、MOSFETの障害検出に関連する記載はされていない。
【0014】
本発明の目的は、上述した課題を解決することが可能な、突入電流防止回路、突入電流防止方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明による突入電流防止回路は、制限を行う電流の経路に直列に挿入され、印加される制御電圧に応じて抵抗値が変化する電流制限抵抗と、前記電流制限抵抗の両端間電圧を監視した結果を第1の監視信号として出力する両端間電圧監視部と、前記電流制限抵抗のゲート電圧を監視した結果を第2の監視信号として出力するゲート電圧監視部と、前記第1の監視信号および前記第2の監視信号に基づいて、前記電流制限抵抗の障害発生を検知する障害検出部と、前記障害検出部が、前記電流制限抵抗の障害発生を検知した場合、前記障害検出部からの信号に応じて、前記電流制限抵抗への電流を遮断する遮断素子と、を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明による突入電流防止方法は、制限を行う電流の経路に直列に挿入され、印加される制御電圧に応じて抵抗値が変化する電流制限抵抗の両端間電圧を監視した結果を第1の監視信号として出力するステップと、前記電流制限抵抗のゲート電圧を監視した結果を第2の監視信号として出力するステップと、前記第1の監視信号および前記第2の監視信号に基づいて、前記電流制限抵抗の障害発生を検出するステップと、前記電流制限抵抗の障害発生を検出した場合、前記電流制限抵抗への電流を遮断するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
直流電源回路の突入電流制限抵抗にMOSFETを始めとするリニア動作のできる能動素子を用いた場合であっても、障害を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態による突入電流制限回路の構成を示した図である。
【図2】第1の実施形態による動作を示したフローチャートである。
【図3】第2の実施形態による突入電流制限回路の構成を示した図である。
【図4】第2の実施形態による動作を示したフローチャートである。
【図5】第2の実施形態による障害検出部の論理回路を示した図である。
【図6】第2の実施形態による障害検出時の動作例を示したタイムチャートである。
【図7】第2の実施形態による障害検出時の動作例を示したタイムチャートである。
【図8】第2の実施形態による障害検出時の動作例を示したタイムチャートである。
【図9】その他の実施形態による突入電流制限回路の構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
(構成)
図1は、第1の実施形態による突入電流制限回路の構成を示すブロック図である。図1によれば、突入電流制限回路は、電源101、遮断素子102を備えている。さらに、突入電流制限回路は、障害検出部104、両端間電圧監視部105、電流制限抵抗106、ゲート電圧監視部107を備えている。
【0022】
電源101は、突入電流制限回路に電流を供給する。
【0023】
電流制限抵抗106は、制限を行う電流の経路に直列に挿入され、印加される制御電圧に応じて、抵抗値が変化する抵抗である。
【0024】
両端間電圧監視部105は、電流制限抵抗106の両端間電圧を監視する。また、両端間電圧監視部105は、両端間電圧の監視結果を第1の監視信号として、障害検出部104に送信する。
【0025】
ゲート電圧監視部107は、電流制限抵抗106のゲート電圧を監視する。また、ゲート電圧監視部107は、ゲート電圧の監視結果を第2の監視信号として、障害検出部104に送信する。
【0026】
障害検出部104は、第1の監視信号および第2の監視信号に基づいて、電流制限抵抗106に障害が発生したかどうかを検出する。
【0027】
遮断素子102は、障害検出部104が、電流制限抵抗106の障害発生を検出した場合に、障害検出部104からの信号に応じて、電流制限抵抗106への電流を遮断する。
【0028】
(動作)
次に、第1の実施形態による動作について、図2を用いて説明する。図2は、第1の実施形態による動作を示すフローチャートである。
【0029】
まず、電流制限抵抗106の両端間電圧と、ゲート電圧とを監視する(ステップS1)。
【0030】
次に、両端間電圧とゲート電圧との監視結果に基づき、電流制限抵抗106に障害が発生しているかどうかを検出する(ステップS2)。障害を検出しない場合には、ステップS1に戻って再度処理を行う。障害発生を検出した場合には、ステップS3に進む。
【0031】
ステップS2で、電流制限抵抗106での障害発生を検出した場合、遮断素子102により、電流制限抵抗106への電流を遮断する(ステップS3)。
【0032】
(効果)
第1の実施形態によれば、電流制限抵抗106の両端間電圧とゲート電圧の双方の監視状況に基づいて、電流制限抵抗106の障害発生を検出している。また、障害を検出した場合には、遮断素子102により電流制限抵抗106への電流を遮断する。
【0033】
上記の動作により、直流電源回路の電流制限抵抗106の素子として、MOSFET、あるいはリニア動作のできる他の能動素子を用いた場合であっても、障害発生を検出することが可能となる。
【0034】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
(構成)
図3は、第2の実施形態による突入電流制限回路の構成を示したブロック図である。図3によれば、突入電流制限回路は、電源11、遮断素子12、遮断素子駆動部13、障害検出部14、両端間電圧監視部15を備えている。また、突入電流制限回路は、MOSFET16、ゲート電圧監視部17、過熱検出部18、容量性負荷19を備えている。
【0036】
電源11は、突入電流制限回路に電流を供給する電源であり、一般的なものであるので、詳細な説明は省略する。
【0037】
容量性負荷19は、一般的な容量性負荷(コンデンサ)を示しているので、詳細な説明は省略する。
【0038】
MOSFET16は、突入電流制限抵抗として用いられる。ただし、抵抗に用いる素子としては、必ずしもMOSFETでなくても良く、リニア動作のできる他の能動素子でも良い。例えば、接合型FET(Field Effect Transistor)や、他のリニア動作のできるトランジスタを使用することも可能である。
【0039】
両端間電圧監視部15は、MOSFET16の両端間電圧(ドレイン・ソース間電圧)を監視し、両端間電圧の状態を示す信号bを障害検出部14に送信する。両端間電圧監視部15には、MOSFET16の両端間電圧が、閾値より高いか低いかにより、電圧レベルをハイかローで出力する2値出力の回路またはセンサを使用する。
【0040】
ゲート電圧監視部17は、MOSFET16のゲート電圧を監視し、ゲート電圧の状態を示す信号cを障害検出部14に送信する。ゲート電圧監視部17には、両端間電圧監視部15と同様に、MOSFET16のゲート電圧が、閾値より高いか低いかにより、電圧レベルをハイかローで出力する2値出力の回路またはセンサを使用する。
【0041】
過熱検出部18は、MOSFET16の温度を監視し、温度の状態を示す信号dを障害検出部14に送信する。過熱検出部18には、MOSFET16の温度が、閾値より高いか低いかにより、電圧レベルをハイかローで出力する2値出力の回路またはセンサを使用する。例えば、PTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタや、NTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタを用いることが考えられる。また、測温抵抗体や、熱電対等を用いても良い。
【0042】
障害検出部14は、両端間電圧監視部15とゲート電圧監視部17と過熱検出部18からの信号に基づいて、MOSFET16に障害が発生したかどうかを検出する。障害検出部14がMOSFET16に障害が発生したことを検出した場合には、遮断素子駆動部13に対して、障害検出を通知する信号aを送信する。より具体的には、障害検出部14は、例えば図5に示すような論理回路を用いて実現することができる。また、図5の論理回路は、信号bと信号cとのNXOR(否定排他的論理和)の出力と、信号dのOR(論理和)によって実現することもできる。
【0043】
遮断素子駆動部13は、障害検出部14からの信号aを受信すると、遮断素子12を駆動させて、MOSFET16への電流を遮断する。
【0044】
遮断素子12としては、例えばヒューズを用いる。ヒューズを用いる場合には、遮断素子駆動部13で短絡して、ヒューズを切断することで、MOSFET16への電流を遮断する方法が挙げられる。
【0045】
(動作)
次に、第2の実施形態の動作について、図4を参照して説明する。図4は、第2の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【0046】
まず、両端間電圧監視部15、ゲート電圧監視部17、過熱検出部18が、それぞれMOSFET16の両端間電圧、ゲート電圧、温度を監視する(ステップS11)。
【0047】
次に、障害検出部14は、ステップS11での監視結果に基づいて、MOSFET16に障害が発生しているかどうかを検出する(ステップS12)。障害を検出しない場合には、ステップS11に戻って再度処理を行う。障害発生を検出した場合には、ステップS13に進む。
【0048】
ステップS12で、MOSFET16のドレイン・ソース間での障害発生を検出した場合、遮断素子12を駆動し、MOSFET16への電流を遮断する(ステップS13)。
【0049】
(障害検出の詳細説明)
続いて、第2の実施形態の障害検出時の動作について、タイミングチャートを用いて説明する。
【0050】
まず、MOSFET16で短絡が発生した場合の障害検出時の動作について、図6のタイミングチャートを参照して説明する。図6は、信号a、信号b、信号c、信号dの時間t1〜t4までのタイムチャートを示している。なお、「H」はハイ、「L」はローを示している。
【0051】
時間t1からt2で、ゲート電圧監視部17の出力信号cが徐々にハイになった場合、MOSFET16がリニア動作領域で徐々にオンして、容量性負荷19への一定量の電流を流し始める。
【0052】
また、時間t2でMOSFET16が完全にオンすると、両端間電圧が低下しているので両端間電圧監視部15の出力信号bがローになる。
【0053】
ここで、MOSFET16のドレイン・ソース間に短絡が発生し、かつ、MOSFET16のドレイン・ソース間抵抗が高い場合を考える。この場合には、負荷電流が流れることにより、MOSFET16の両端間電圧が上昇し、時間t2〜t3で信号bがハイになる。
【0054】
時間t3の時点で、信号cがMOSFET16をオンさせるように動いているにもかかわらず、MOSFET16の両端間電圧が高いままとなっている。よって、障害検出部14にて障害発生と判断し、時間t3〜t4で、障害検出部14から、遮断素子駆動部13への信号aがハイとなる。遮断素子駆動部13は、信号aがハイになったことを受けて、遮断素子12を駆動し、回路を遮断する。
【0055】
次に、MOSFET16が短絡したときのドレイン・ソース間抵抗が、MOSFET16のオン抵抗値と同等以下の場合の動作について、図7のタイミングチャートを参照して説明する。
【0056】
時間t5〜t6でMOSFET16がリニア動作領域から完全にオンするまでの間に短絡が発生したとする。短絡したMOSFET16のドレイン・ソース間抵抗がオン抵抗値と同等以下であれば、給電は可能であるため、t6の時点では、回路は遮断されない。
【0057】
給電を停止するとき、時間t7〜t8で、信号cがローになった時点で、通常であれば、MOSFET16はオフしなければならない。しかし、MOSFET16の両端間電圧が低いままとなっているので、障害検出部14にて障害発生と判断する。時間t8〜t9で、障害検出部14から遮断素子駆動部13への信号aがハイとなって、遮断素子12を駆動し、回路を遮断する。
【0058】
さらに、上記の2つの検出パターンに該当しない場合について、図8のタイミングチャートで説明する。短絡したMOSFET16の両端間電圧が、信号bがハイとなる閾値ほど高くなく、かつ、MOSFET16のドレイン・ソース間抵抗が、継続して給電可能な程度には低くない場合が該当する。
【0059】
時間t10〜t11で、MOSFET16がリニア動作領域から完全にオンするまでの間に短絡した場合を考える。
【0060】
MOSFET16は、ドレイン・ソース間抵抗が高いために、負荷電流によって徐々に発熱する。時間t12〜t13で過熱検出の閾値を超えて、過熱検出部18の出力信号dがハイになったとする。
【0061】
図5の論理回路を用いた場合、信号dは、他の検出回路の状態によらず、回路を遮断する。従って、時間t13〜t14で、障害検出部14から遮断素子駆動部13への出力信号aがハイとなって遮断素子12を駆動し、回路を遮断する。
【0062】
(効果)
第2の実施形態によれば、MOSFET16の両端間電圧とゲート電圧の双方の監視状況に基づいて、MOSFET16の障害発生を検出している。上記の動作により、直流電源回路の電流制限抵抗の素子として、MOSFET、あるいはリニア動作のできる他の能動素子を用いた場合であっても、障害発生を検出することが可能となる。
【0063】
また、過熱検出部18を設け、MOSFETの温度監視を行うことにより、両端間電圧とゲート電圧からは検出できない障害を検出することが可能となる。
【0064】
さらに、MOSFET16の前段に回路を遮断できる遮断素子12を設けることで、焼損に至る前に回路を遮断する。その結果、MOSFETの過熱による焼損を避けることができる。加えて、MOSFETが短絡した状態で入力電圧を印加した場合に発生する、突入電流を制限できないことによる回路損傷の恐れがなくなる。
【0065】
第2の実施形態は、さらに、活線挿抜対応の回路において、電流制限用のMOSFETの短絡が発生しても、安全に抜去が可能になるという効果を奏する。その理由は、MOSFET16の障害を検出し、遮断素子12により電流を遮断することが出来るため、大電流が流れる回路でもコネクタ部のアーク放電の発生を防止できるからである。さらに、アーク放電によるコネクタの損傷を防止することも可能なためである。
【0066】
さらに、第2の実施形態では、遮断素子12により、障害が発生した回路のみを遮断して、交換することが可能である。その結果、共通の電源で複数の回路を運転する活線挿抜対応の装置において、障害が発生した回路の交換のために装置全体の運転を停止する必要がなくなるという効果を奏する。
【0067】
<他の実施形態>
以下では、本発明の他の実施形態について説明する。
【0068】
(遮断素子と遮断素子駆動回路)
遮断素子12をサーキットブレーカ(Circuit Breaker、以下C.B)とする構成を採用することも可能である。この場合、遮断素子駆動部13を、C.Bのトリップコイルの駆動回路としても良い。または、遮断素子12にC.Bを用い、遮断素子駆動部13を短絡回路としても良い。さらに、遮断素子駆動部13には、トリップコイルの駆動回路と短絡回路の両方を含めても良い。
【0069】
遮断素子12にC.Bを用いた場合、ヒューズを用いた場合と比較すると、障害が発生したMOSFET16のみを交換することで修理が可能となる効果を奏する。
【0070】
また、遮断素子12は+側、−側のいずれかを遮断する方式でも良く、+側、−側の両方を遮断する方式でも良い。
【0071】
さらに、入力電源の逆接続保護手段として、入力電源と回路を遮断する手段を備える回路では、これを遮断素子として用いても良い。
【0072】
(障害検出を外部に通知する構成)
また、図9に示すように、障害検出部14や過熱検出部18、遮断素子駆動部13、遮断素子12と連動して、回路の外部に障害の発生を通知する障害通知部20を含めても良い。その他の構成および動作については、第2の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0073】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0074】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0075】
(付記1)
制限を行う電流の経路に直列に挿入され、印加される制御電圧に応じて抵抗値が変化する電流制限抵抗と、
前記電流制限抵抗の両端間電圧を監視した結果を第1の監視信号として出力する両端間電圧監視部と、
前記電流制限抵抗のゲート電圧を監視した結果を第2の監視信号として出力するゲート電圧監視部と、
前記第1の監視信号および前記第2の監視信号に基づいて、前記電流制限抵抗の障害発生を検出する障害検出部と、
前記障害検出部が、前記電流制限抵抗の障害発生を検出した場合、前記障害検出部からの信号に応じて、前記電流制限抵抗への電流を遮断する遮断素子と、
を備えることを特徴とする突入電流防止回路。
【0076】
(付記2)
前記突入電流防止回路は、さらに、
前記電流制限抵抗の温度に基づいて、前記電流制限抵抗の過熱を検出した結果を第3の監視信号として出力する過熱検出部を備え、
前記障害検出部は、前記第1の監視信号と、前記第2の監視信号と、前記第3の監視信号とに基づいて、前記電流制限抵抗の障害発生を検出することを特徴とする付記1に記載の突入電流防止回路。
【0077】
(付記3)
前記電流制限抵抗は、MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)であることを特徴とする付記1または2に記載の突入電流防止回路。
【0078】
(付記4)
前記電流制限抵抗は、リニア動作可能なトランジスタであることを特徴とする付記1または2に記載の突入電流防止回路。
【0079】
(付記5)
前記電流制限抵抗は、接合型FET(Field Effect Transistor)であることを特徴とする付記1または2に記載の突入電流防止回路。
【0080】
(付記6)
前記遮断素子は、サーキットブレーカであることを特徴とする付記1から5のいずれか1つに記載の突入電流防止回路。
【0081】
(付記7)
前記突入電流防止回路は、さらに、
前記障害検出部が前記電流制限抵抗の障害を検出した場合に、前記突入電流防止回路の外部に対して、障害が発生したことを通知する障害通知部を備えることを特徴とする付記1から6のいずれか1つに記載の突入電流防止回路。
【0082】
(付記8)
制限を行う電流の経路に直列に挿入され、印加される制御電圧に応じて抵抗値が変化する電流制限抵抗の両端間電圧を監視した結果を第1の監視信号として出力するステップと、
前記電流制限抵抗のゲート電圧を監視した結果を第2の監視信号として出力するステップと、
前記第1の監視信号および前記第2の監視信号に基づいて、前記電流制限抵抗の障害発生を検出するステップと、
前記電流制限抵抗の障害発生を検出した場合、前記電流制限抵抗への電流を遮断するステップと、
を含むことを特徴とする突入電流防止方法。
【0083】
(付記9)
前記突入電流防止方法は、さらに、
前記電流制限抵抗の温度に基づいて、前記電流制限抵抗の過熱を検出した結果を第3の監視信号として出力するステップを含み、
前記第1の監視信号と、前記第2の監視信号と、前記第3の監視信号とに基づいて、前記電流制限抵抗の障害発生を検出することを特徴とする付記8に記載の突入電流防止方法。
【0084】
(付記10)
前記電流制限抵抗は、MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)であることを特徴とする付記8または9に記載の突入電流防止方法。
【0085】
(付記11)
前記電流制限抵抗は、リニア動作可能なトランジスタであることを特徴とする付記8または9に記載の突入電流防止方法。
【0086】
(付記12)
前記電流制限抵抗は、接合型FET(Field Effect Transistor)であることを特徴とする付記8または9に記載の突入電流防止方法。
【0087】
(付記13)
前記遮断素子は、サーキットブレーカであることを特徴とする付記8から12のいずれか1つに記載の突入電流防止方法。
【0088】
(付記14)
前記突入電流防止方法は、さらに、
前記電流制限抵抗の障害を検出した場合に、障害が発生したことを通知するステップを含むことを特徴とする付記8から13のいずれか1つに記載の突入電流防止方法。
【符号の説明】
【0089】
11、101 電源
12、102 遮断素子
13 遮断素子駆動部
14、104 障害検出部
15、105 両端間電圧監視部
16 MOSFET
17、107 ゲート電圧監視部
18 過熱検出部
19 容量性負荷
20 障害通知部
106 電流制限抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制限を行う電流の経路に直列に挿入され、印加される制御電圧に応じて抵抗値が変化する電流制限抵抗と、
前記電流制限抵抗の両端間電圧を監視した結果を第1の監視信号として出力する両端間電圧監視部と、
前記電流制限抵抗のゲート電圧を監視した結果を第2の監視信号として出力するゲート電圧監視部と、
前記第1の監視信号および前記第2の監視信号に基づいて、前記電流制限抵抗の障害発生を検出する障害検出部と、
前記障害検出部が、前記電流制限抵抗の障害発生を検出した場合、前記障害検出部からの信号に応じて、前記電流制限抵抗への電流を遮断する遮断素子と、
を備えることを特徴とする突入電流防止回路。
【請求項2】
前記突入電流防止回路は、さらに、
前記電流制限抵抗の温度に基づいて、前記電流制限抵抗の過熱を検出した結果を第3の監視信号として出力する過熱検出部を備え、
前記障害検出部は、前記第1の監視信号と、前記第2の監視信号と、前記第3の監視信号とに基づいて、前記電流制限抵抗の障害発生を検出することを特徴とする付記1に記載の突入電流防止回路。
【請求項3】
前記電流制限抵抗は、MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)であることを特徴とする付記1または2に記載の突入電流防止回路。
【請求項4】
前記電流制限抵抗は、リニア動作可能なトランジスタであることを特徴とする付記1または2に記載の突入電流防止回路。
【請求項5】
前記電流制限抵抗は、接合型FET(Field Effect Transistor)であることを特徴とする付記1または2に記載の突入電流防止回路。
【請求項6】
前記遮断素子は、サーキットブレーカであることを特徴とする付記1から5のいずれか1つに記載の突入電流防止回路。
【請求項7】
前記突入電流防止回路は、さらに、
前記障害検出部が前記電流制限抵抗の障害を検出した場合に、前記突入電流防止回路の外部に対して、障害が発生したことを通知する障害通知部を備えることを特徴とする付記1から6のいずれか1つに記載の突入電流防止回路。
【請求項8】
制限を行う電流の経路に直列に挿入され、印加される制御電圧に応じて抵抗値が変化する電流制限抵抗の両端間電圧を監視した結果を第1の監視信号として出力するステップと、
前記電流制限抵抗のゲート電圧を監視した結果を第2の監視信号として出力するステップと、
前記第1の監視信号および前記第2の監視信号に基づいて、前記電流制限抵抗の障害発生を検出するステップと、
前記電流制限抵抗の障害発生を検出した場合、前記電流制限抵抗への電流を遮断するステップと、
を含むことを特徴とする突入電流防止方法。
【請求項9】
前記突入電流防止方法は、さらに、
前記電流制限抵抗の温度に基づいて、前記電流制限抵抗の過熱を検出した結果を第3の監視信号として出力するステップを含み、
前記第1の監視信号と、前記第2の監視信号と、前記第3の監視信号とに基づいて、前記電流制限抵抗の障害発生を検出することを特徴とする付記8に記載の突入電流防止方法。
【請求項10】
前記電流制限抵抗は、MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)であることを特徴とする付記8または9に記載の突入電流防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−152001(P2012−152001A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8479(P2011−8479)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(390001074)NECネットワークプロダクツ株式会社 (23)
【Fターム(参考)】