説明

窒化部品およびその製造方法

【課題】高価なショットピーニングを施さなくても疲労特性の向上を図ることが可能な窒化部品、その製造方法を提供する。
【解決手段】窒化部品は、脱炭層と窒化層とを含む表面硬化層を有する。部品内部の化学成分は、質量%で、C:0.15%以上0.5%未満を含有し、Cr:6.0%以下、V:2.5%以下、Mo:3.0%以下及びAl:1.5%以下から選択される1種又は2種以上を含有し、N含有量が0.03%以下であり、(0.08×[%Cr]+0.29×[%V]+0.15×[%Mo]+0.65×[%Al])/[%C]による窒化係数N1が1.0以上であり、表面硬化層は、その表面の炭素濃度をCとした場合、(C−C)/Cによる脱炭率が0.30以上であり、かつ、その表面の窒素濃度をN2とした場合、N2/(C−C+0.2)による表面窒素濃度係数Nsが1.0以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化部品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械構造用部品の分野においては、例えば、歯車、無段変速機リングベルト、コイルばね等の部品が使用されている。この種の部品は、繰り返し応力が負荷される環境下で使用されることが多いため、高い疲労特性を有している必要がある。
【0003】
上記部品の疲労特性を高める手法としては、表面処理により部品表面に圧縮残留応力を付与して疲労特性を向上させる方法が知られている。最近では、さらなる疲労特性の向上が求められており、そのための手法として、窒化処理もしくは浸炭焼入処理に代表される表面処理に加えてさらにショットピーニングを施す提案がなされている(特許文献1等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−339763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、窒化処理に加えてショットピーニングを施した場合、施工時間を要するため生産性が低下し、窒化部品の大幅なコスト上昇を招いていた。窒化部品を高強度化することによって疲労強度の改善を図ることも考えられるが、この場合も、高強度化のための高価な合金元素の添加やそれに伴う製造性の低下により、やはりコスト上昇を招きやすい。
【0006】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、高価なショットピーニングを施さなくても疲労特性の向上を図ることが可能な窒化部品、またその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、表面が硬化してなる表面硬化層を有する鋼製の部品であって、
上記表面硬化層は、炭素濃度が部品内部のC含有量よりも低い脱炭層と、窒素濃度が部品内部のN含有量よりも高い窒化層とを含んで構成されており、
上記部品内部の化学成分が、質量%で、
C:0.15%以上0.5%未満を含有し、
Cr:6.0%以下、V:2.5%以下、Mo:3.0%以下およびAl:1.5%以下から選択される1種または2種以上を含有し、
N含有量が0.03%以下であり、
(0.08×[%Cr]+0.29×[%V]+0.15×[%Mo]+0.65×[%Al])/[%C]の式にて定義される窒化係数N1が1.0以上であり、
上記表面硬化層は、その表面の炭素濃度をC(質量%)とした場合、(C−C)/Cの式にて定義される脱炭率が0.30以上であり、かつ、その表面の窒素濃度をN2(質量%)とした場合、N2/(C−C+0.2)の式にて定義される表面窒素濃度係数Nsが1.0以上であることを特徴とする窒化部品にある(請求項1)。
【0008】
本発明の他の態様は、素材としての鋼製の窒化用部材の表面に脱炭層を形成する脱炭工程と、
上記脱炭工程を経た窒化用部材の表面を窒化処理して窒化層を形成し、上記脱炭層と上記窒化層とを含む表面硬化層を形成する窒化工程とを少なくとも有し、
上記素材としての窒化用部材の化学成分が、質量%で、
C:0.15%以上0.5%未満を含有し、
Cr:6.0%以下、V:2.5%以下、Mo:3.0%以下およびAl:1.5%以下から選択される1種または2種以上を含有し、
N含有量が0.03%以下であり、
(0.08×[%Cr]+0.29×[%V]+0.15×[%Mo]+0.65×[%Al])/[%C]の式にて定義される窒化係数N1が1.0以上であり、
上記脱炭工程は、上記表面硬化層表面の炭素濃度をC(質量%)とした場合、(C−C)/Cの式にて定義される脱炭率が0.30以上とされるとともに、
上記窒化工程は、上記表面硬化層表面の窒素濃度をN2(質量%)とした場合、N2/(C−C+0.2)の式にて定義される表面窒素濃度係数Nsが1.0以上となるように窒化処理が施されることを特徴とする窒化部品の製造方法にある(請求項3)。
【発明の効果】
【0009】
従来、高い疲労強度を必要とする部品は、熱間加工等を施して所定の部品形状に成形するうちに、部品表面が脱炭することによって、表面の炭素濃度が低下し、部品の強度が大幅に低下するため、部品として必要としている疲労強度を得ることができなかった。さらに耐摩耗性を確保するためにマトリックス中に炭化物を析出させている場合には、部品表面が脱炭することにより、耐摩耗性が低下してしまうことがあった。そのため、製造方法の面では、脱炭した部品の表面は、切削等により脱炭していない部品の内層まで除去する必要があり、生産性を低下させる要因となっていた。
これを抑制する方法として、光輝焼鈍などの表面脱炭しないような前処理を施す等の方法があるが、脱炭層を除去するよりも生産性が低下し、高コストにならざるを得なかったため、一般的には切削等により除去していた。また、脱炭した部品表面を切削等により除去した後、窒化処理を施して所定部位に窒化層を形成することにより、表面硬化層を形成し、疲労強度を確保していた。
しかし、本発明者らは、脱炭層と窒化処理との関係について着目し、鋭意研究を重ねた結果、従来の予想に反して、不良部位として取り扱われていた脱炭層が疲労強度の低下といった悪影響を与えるどころか、所定の条件下で脱炭層に窒化処理を施すことにより、従来よりも窒化部品の表面の疲労強度を向上させることができることを知見した。またこれにより、従来では、窒化処理前に部品の表面に存在する脱炭層を除去するために不可欠であった切削等を施す必要がなくなることを見出した。
【0010】
上記窒化部品は、炭素濃度が部品内部のC含有量よりも低い脱炭層と、窒素濃度が部品内部のN含有量よりも高い窒化層とを含んで表面硬化層が構成されている。そして、部品内部の化学成分が、特定の成分を含有するとともに上記で規定される窒化係数N1が1.0以上とされている。さらに、上記表面硬化層は、上記で規定される脱炭率が0.30以上であり、かつ、上記で規定される表面窒素濃度係数Nsが1.0以上である。そのため、高価なショットピーニングを施さなくても、疲労特性の向上を図ることができる。
【0011】
上記窒化部品の製造方法は、素材としての鋼製の窒化用部材の表面に脱炭層を形成する脱炭工程と、脱炭工程を経た窒化用部材の表面を窒化処理して窒化層を形成し、脱炭層と窒化層とを含む表面硬化層を形成する窒化工程とを有している。この際、上記特定の化学成分を有し、かつ、上記で規定される窒化係数N1が1.0以上である窒化用部材を素材として用いる。また、上記脱炭工程は、上記で規定される脱炭率が0.30以上とされる。さらに、上記窒化工程では、上記で規定される表面窒素濃度係数Nsが1.0以上となるように窒化処理が施される。
【0012】
一般に、構造用鋼は、素地強化を目的としてCを幾らか含有している。Cは、強度や靱性を確保するために必須の元素であることから、通常、強度低下を招くため鋼からC量を減ずることは考え難い。ところが、上記窒化部品の製造方法のように脱炭層を敢えて形成することによって、高価なショットピーニングを施さなくても、疲労特性の向上を図ることが可能な窒化部品を得ることができるのである。
【0013】
これは以下の理由によるものと推察される。すなわち、上記窒化部品の製造方法において、素材としての窒化用部材は、上記した特定の化学成分を有し、かつ、上記で規定される窒化係数N1が1.0以上である鋼からなり、この鋼は、素地強化等を目的としてCを特定量含有している。鋼中のマトリックスがマルテンサイト化してCが固溶した状態であると、窒化処理時にNの固溶・拡散が阻害されやすくなる。また、CrやV、Mo等の窒化物を形成しうる元素とCとが結びつき、炭化物が形成された状態であると、侵入・拡散したNにより析出可能な窒化物量が低減する。しかし、上記窒化部品の製造方法に示すように、脱炭層が形成された窒化用部材の表面を窒化処理することにより、脱炭層が形成されていない窒化用部材の表面を同条件にて窒化処理する場合に比べ、得られる窒化部品の表面により多くのNを含有させることができる。つまり、窒化処理時に、通常の窒化限界(脱炭層が形成されていない場合の窒化限界)を超える量のNが部品表面に導入される。そのため、窒化処理後の部品表面における窒化物量が増加し、それにより高いひずみ量が確保される。これにより、上記窒化部品の製造方法は、窒化処理後の窒化部品の表面に高い圧縮残留応力を付与することができるものと考えられる。そして、その結果、得られる窒化部品は、優れた疲労特性を発揮することができるものと考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記窒化部品およびその製造方法について説明する。
先ず、上記窒化部品について説明する。上記窒化部品は、表面が硬化してなる表面硬化層を有する鋼製の部品である。表面硬化層は、炭素濃度が部品内部のC含有量よりも低い脱炭層と、窒素濃度が部品内部のN含有量よりも高い窒化層とを含んで構成されている。ここで、上記部品内部とは、脱炭層および窒化層よりも内側に存在するマトリックス部分(母材部分)をいう。また、上記脱炭層とは、部品表面から内方に向かって存在する領域であって、部品表面から内方への深さに対する炭素濃度分布(質量%)をとった際に、炭素濃度が連続的に増加した後、一定濃度(すなわち、部品内部の炭素濃度)となる炭素濃度分布における、炭素濃度が一定濃度となる前までの部分をいう。また、上記窒化層とは、部品表面から内方に向かって存在する領域であって、部品表面から内方への深さに対する窒素濃度分布(質量%)をとった際に、窒素濃度が連続的に低下した後、一定濃度(すなわち、部品内部の窒素濃度)となる窒素濃度分布における、窒素濃度が一定濃度となる前までの部分をいう。なお、脱炭層の部品表面からの深さと窒化層の部品表面からの深さは、ほぼ同じであってもよいし、いずれか一方が深くてもよい。また、脱炭層および窒化層の深さに制限はなく、両者が同時に存在していれば、本発明の効果は得られる。
【0015】
ここで、部品内部の化学成分は、上記の通り、質量%で、C:0.15%以上0.5%未満を含有し、Cr:6.0%以下、V:2.5%以下、Mo:3.0%以下およびAl:1.5%以下から選択される1種または2種以上を含有し、N含有量が0.03%以下であり、(0.08×[%Cr]+0.29×[%V]+0.15×[%Mo]+0.65×[%Al])/[%C]の式にて定義される窒化係数N1が1.0以上である。以下に、各成分範囲の限定理由等について説明する。
【0016】
C:0.15%以上0.5%未満
Cは、強度及び靱性を確保するために必須の元素である。さらには、脱炭層の炭素濃度と部品内部のC含有量との間に差を設けることが望ましい。そのため、C含有量の下限値は0.15%とする。C含有量の下限値は、好ましくは、0.20%、より好ましくは、0.30%である。一方、過度にCを含有すると粗大炭化物が生成して延性及び靱性が低下する。そのため、C含有量の上限値は0.5%未満とする。また、窒化部品の製造時に素材としての窒化用部材を所定形状にする場合に溶接が行われることがあり、過度にCを含有していると溶接性が確保できなくなる場合がある。C含有量の上限値は、好ましくは、0.45%である。
【0017】
Cr:6.0%以下、V:2.5%以下、Mo:3.0%以下およびAl:1.5%以下から選択される1種または2種以上
Cr:6.0%以下
Crは、窒化処理による表面硬度の向上に有効であるともに、部品表面の圧縮残留応力の付与に有効な元素である。一方、Crを過度に含有すると部品表面に不動態被膜が形成されやすくなり窒化性が急激に低下する。また、炭化物安定効果により炭化物の成長を助長して強度低下を招き、脱炭層の深さ制御が困難となる。そのため、Cr含有量の上限値を6.0%とする。Cr含有量の上限値は、好ましくは、5.0%である。
【0018】
V:2.5%以下
Vは、比較的少量であっても窒化処理による表面硬度の向上に有効であるともに、部品表面の圧縮残留応力の付与に有効な元素である。但し、V含有量が多くなりすぎてもその効果が飽和し、また、粗大な炭化物を生成して強度、靱性を低下させるおそれがある。さらに、脱炭層の深さ制御も困難になる。そのため、V含有量の上限値は2.5%とする。V含有量の上限値は、好ましくは、2.0%、より好ましくは、1.0%である。
【0019】
Mo:3.0%以下
Moは、窒化処理による表面硬度の向上に有効であるともに、部品表面の圧縮残留応力の付与に有効な元素である。但し、Mo含有量が多くなりすぎてもその効果が飽和し、コストアップを招く。また、脱炭処理時の温度域において炭化物が安定に存在しやすく、脱炭層の深さ制御が困難となる。そのため、Mo含有量の上限値は3.0%以下とする。Mo含有量の上限値は、好ましくは、2.0%である。
【0020】
Al:1.5%以下
Alは、比較的少量であっても窒化処理による表面硬度の向上に有効であるともに、部品表面の圧縮残留応力の付与に有効な元素である。但し、Al含有量が多くなりすぎてもその効果が飽和する。さらに、鋼の製造性を極度に悪化させるだけでなく、強度低下も引き起こす。そのため、Al含有量の上限値は1.5%以下とする。Al含有量の上限値は、好ましくは、1.0%である。
【0021】
N含有量:0.03%以下
N含有量を0.03%以下に制限した場合には、窒化処理前に鋼中に含まれる窒化物を低減することができ、窒化処理による表面硬度を確保しやすくなる。N含有量の上限値は、好ましくは、0.015%である。
【0022】
(0.08×[%Cr]+0.29×[%V]+0.15×[%Mo]+0.65×[%Al])/[%C]の式にて定義される窒化係数N1が1.0以上
上記式中、[%X]は、X成分の含有量(質量%)を意味する。窒化処理により析出しうる窒化物に含まれる窒素量よりも素地に含まれる炭素量が多いと、窒化物として析出しうる析出サイトに予め合金炭化物が析出し、窒化物の析出効率を下げて部品表面の圧縮残留応力を効率的に付与できなくなる。そのため、上記式を満たす必要がある。窒化係数N1が1.0未満になると、炭素量が過多となり、窒化処理による効果が十分に得られなくなる。そのため、部品表面の圧縮残留応力が十分に向上せず、十分な疲労特性が得られなくなる。上記窒化係数N1は、好ましくは、1.05以上、より好ましくは、1.10以上、さらに好ましくは、1.20以上であるとよい。なお、窒化係数N1の上限は、素地に含まれるC含有量に比較して、窒化処理により合金窒化物として析出しうるN含有量を確保するために特に限定されるものではない。窒化係数N1は、窒化物を形成する合金元素の量に依存し、それら合金元素を多量に含有すると部品コストの上昇を招くため、好ましくは、3.0以下、より好ましくは、2.5以下、さらに好ましくは、2.0以下であるとよい。
【0023】
上記化学成分において、上記各元素以外にも、上述した効果が得られる限り、他の元素を添加することが可能である。最も基本的な化学成分としては、上記各元素以外の残部は、基本的にFeおよび不可避的不純物とすることができる。
【0024】
上記化学成分は、上記成分元素以外にも、任意元素として、Si:1.5%以下、Mn:1.5%以下、Ni:4.0%以下、W:5.0%以下およびB:0.03%以下から選択される1種または2種以上を含有することができる(請求項2)。その限定理由は以下の通りである。
【0025】
Si:1.5%以下
Siは、溶製時の脱酸剤として有効な元素である。但し、Si含有量が多すぎると延性が著しく低下するため、その上限値を1.5%とする。Si含有量の上限値は、好ましくは、0.5%である。
【0026】
Mn:1.5%以下
Mnは、溶製時の脱酸剤として有効な元素である。但し、Mn含有量が多すぎると延性が低下するため、その上限値を1.5%とする。Mn含有量の上限値は、好ましくは、1.0%である。
【0027】
Ni:4.0%以下
Niは、焼入れ性向上に有効な元素である。また、炭化物の生成抑制にも有効であり、粒界炭化物の低減による強度、靱性の向上に寄与しうる元素である。但し、Niを過度に含有すると製造性が悪化し、また得られる効果も飽和する。さらに高価な元素でありコストアップを招く。そのため、Ni含有量の上限値を4.0%とする。Ni含有量の上限値は、好ましくは、1.0%である。
【0028】
W:5.0%以下
Wは、炭化物を形成することにより、部品の耐摩耗性などの機能性向上に有効な元素である。しかしながら、過度に添加すると炭化物粗大化による強度、靱性の低下を招き、また得られる効果も飽和する。さらに高価な元素であり大幅なコストアップを招く。そのため、W含有量の上限値を5.0%とする。W含有量の上限値は、好ましくは、2.0%である。
【0029】
B:0.03%以下
B含有量が0.03%以下である場合には、窒化処理前に鋼中に含まれるホウ化物を低減することができ、窒化処理による表面硬度を確保しやすくなる。B含有量の上限値は、好ましくは、0.005%である。
【0030】
上記窒化部品の表面硬化層において、その表面の炭素濃度をC(質量%)と定義する。なお、Cは、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)を用い、表面硬化層の表面50μm×50μmの領域について1μmピッチで炭素濃度を測定して得られる各測定値の平均値である。
【0031】
上記の通りCを定義した場合、上記表面硬化層は、(C−C)/Cの式にて定義される脱炭率が0.30以上である。脱炭率が0.30未満になると、脱炭量が少ないために窒化処理による窒素量の増量効果が見込めず、部品表面の圧縮残留応力が十分に向上しなくなる。その結果、疲労特性の向上を図ることが難しくなる。脱炭率の下限値は、好ましくは、0.45、より好ましくは、0.60である。なお、脱炭率の上限は、完全に脱炭させた方が高効率なために特に限定されるものではないが、部品形状や処理条件に起因する品質バラツキの安定化や製造性等の観点から、好ましくは、0.95以下、より好ましくは、0.90以下、さらに好ましくは、0.85以下であるとよい。
【0032】
上記窒化部品の表面硬化層において、その表面の窒素濃度をN2(質量%)と定義する。なお、N2は、前述のEPMAを用い、表面硬化層の表面50μm×50μmの領域について1μmピッチで窒素濃度を測定して得られる各測定値の平均値である。
【0033】
上記の通りN2を定義した場合、上記表面硬化層は、N2/(C−C+0.2)の式にて定義される表面窒素濃度係数Nsが1.0以上である。Nsが1.0未満になると、窒化処理による窒素量の増量効果が、脱炭層が形成されていないものに比較して十分に得られず、部品表面の圧縮残留応力の向上効果が得られなくなる。その結果、疲労特性の向上を図ることが難しくなる。Nsの下限値は、好ましくは、1.2、より好ましくは、1.4である。なお、Nsの上限値は、窒化処理による窒素量の増量効果が高いほどよいために特に限定されるものではないが、窒化処理により白層もしくは化合物層と称される脆弱な鉄窒化物層が表面に生成して疲労強度が低下する場合がある。そのため、Nsの上限値は、好ましくは、3.5以下、より好ましくは、2.0以下であるとよい。
【0034】
次に、上記窒化部品の製造方法について説明する。上記窒化部品の製造方法は、脱炭工程と、窒化工程とを少なくとも有している。
【0035】
脱炭工程は、素材としての鋼製の窒化用部材の表面に脱炭層を形成する工程である。上記脱炭工程において、脱炭層は、素材としての鋼製の窒化用部材を所定形状に成形する際に部材表面に生じた脱炭層をそのまま利用することができる。好ましくは、上記脱炭工程は、素材としての鋼製の窒化用部材の表面に脱炭処理を施すことにより脱炭層を形成する工程であるとよい(請求項6)。窒化用部材の表面に積極的に脱炭処理を施すことにより、脱炭層の形成が確実なものとなるからである。
【0036】
脱炭工程において、素材としての窒化用部材の形状は、特に限定されるものでない。具体的な形状としては、例えば、歯車形状、クランクシャフト形状、ボルト形状などを例示することができる。素材としての窒化用部材は、例えば、鋼塊を、必要な形状となるように熱間加工(熱間鍛造、熱間圧延等)したままでもよいし、その後に必要に応じて冷間加工(冷間鍛造、冷間圧延等)するなどして成形することにより準備することができる。また、必要に応じて、成形品に対して溶接等の接合、切断、切削、研削や、焼入れ、焼戻し等の熱処理などを行うことができる。また、表面が硬化してなる表面硬化層を有する鋼製の部品であって、特に、小物部品を製造する場合においては、熱間加工後の冷却による脱炭層が形成され難い場合、再度、脱炭処理を施すことで確実に脱炭層を形成することができる。
【0037】
なお、素材としての窒化用部材の化学成分は、上記の通りである。窒化用部材の化学成分における各成分範囲の限定理由、窒化係数N1等については、上記窒化部品の説明で述べた部品内部の化学成分の説明を準用する。
【0038】
窒化用部材の化学成分は、上記各元素以外にも、他の元素を添加することが可能である。最も基本的な化学成分としては、上記各元素以外の残部は、基本的にFeおよび不可避的不純物とすることができる。
【0039】
上記窒化用部材の化学成分において、上記成分元素以外にも、任意元素として、Si:1.5%以下、Mn:1.5%以下、Ni:4.0%以下、W:5.0%以下およびB:0.03%以下から選択される1種または2種以上を含有することができる(請求項5)。なお、上記窒化用部材の化学成分におけるこれら各成分範囲の限定理由等についても、上記窒化部品の説明で述べた部品内部の化学成分の説明を準用する。
【0040】
脱炭工程では、上記表面硬化層表面の炭素濃度をC(質量%)とした場合、(C−C)/Cの式にて定義される脱炭率が0.30以上とされる。好ましくは、上記脱炭率が0.30以上となるように脱炭処理が施される。なお、Cの測定方法や、脱炭率の好ましい範囲等については、上記窒化部品の説明で述べた説明を準用する。
【0041】
脱炭方法としては、例えば、処理対象となる素材としての窒化用部材を大気雰囲気等の酸化雰囲気中、好ましくは、300℃〜600℃にて1分〜10分間保持した後、より好ましくは、400℃〜500℃にて1〜10分間保持した後、空冷、焼入れ処理等する方法などを例示することができる。
【0042】
次に、窒化工程は、脱炭工程を経た窒化用部材の表面を窒化処理して窒化層を形成し、脱炭層と窒化層とを含む表面硬化層を形成する工程である。つまり、本工程では、脱炭処理等により窒化用部材の表層に形成された脱炭層の一部または全部に重なるようにして、窒化処理によって窒化層を形成し、表面硬化層を形成する。
【0043】
窒化工程では、表面硬化層表面の窒素濃度をN2(質量%)とした場合、N2/(C−C+0.2)の式にて定義される表面窒素濃度係数Nsが1.0以上となるように窒化処理が施される。なお、C、N2の測定方法や、Nsの好ましい範囲等については、上記窒化部品の説明で述べた説明を準用する。
【0044】
窒化処理方法としては、例えば、ガス雰囲気を制御可能なバッチ炉を用い、HとNとの混合ガス雰囲気において、400℃〜550℃の温度に1時間〜40時間保持するイオン窒化処理などを例示することができる。また例えば、ガス雰囲気を制御可能なバッチ炉を用い、NHとNおよび/またはHの混合ガス雰囲気において、400℃〜550℃の温度に1時間〜40時間保持するガス窒化処理なども例示することができる。
【0045】
上記窒化部品の製造方法は、基本的に、上述した工程を少なくとも有している。他にも例えば、脱炭工程と窒化工程との間に、脱炭工程を経た窒化部品を熱処理する熱処理工程を任意に追加することができる。具体的な熱処理としては、焼鈍、焼入れ処理などを例示することができる。これらは1または2以上組み合わせて行うことができる。また、熱処理条件を変えて同種の熱処理を繰り返し行うことも可能である。焼鈍を行った場合には、脱炭工程によりひずみが生じた場合、その影響を除去しやすくなる。また、焼入れ処理を行った場合にも焼鈍と同様に脱炭工程によりひずみが生じた場合、その影響を除去しやすくなる。
【0046】
また例えば、脱炭工程と窒化工程との間に、脱炭工程を経た窒化部品の表面の全部または一部に対して引張または圧縮による塑性変形が生じるように変形を加える変形工程を任意に追加することができる。この場合には、脱炭工程により生じ得る窒化部品表面の引張残留応力を減ずる、もしくは、圧縮残留応力に推移させることができる。そのため、窒化工程後の窒化部品表面の圧縮残留応力の向上に寄与しやすくなる。
【0047】
また、窒化工程の後に、さらなる部品表面の圧縮残留応力の付与や、窒化により圧縮残留応力の付与された領域よりも深い領域に圧縮残留応力を付与するために、ショットピーニング等による処理や、表面に油滑性や耐摩耗性を付与するためのコーティング処理、寸法精度等を向上させることを狙いとする機械加工等の工程などを任意に追加することができる。なお、上記窒化部品の製造方法は、上述した工程を有しているため、基本的にショットピーニングを施さなくても疲労強度に優れた窒化部品を得ることが可能であるが、さらにこれによって得られる以上に高い疲労強度を付与したい場合もありうる。そのため、上記のように、追加的にショットピーニング処理がなされる場合を除外するものではない。
【0048】
上記窒化部品の製造方法において、脱炭工程を経ることなく窒化用部材の表面を窒化処理して得られる窒化部品の表面の圧縮残留応力をσとし、脱炭工程を経た窒化用部材の表面を窒化処理して得られる窒化部品の表面の圧縮残留応力をσとした場合に、σ/σの式にて定義される表面の圧縮残留応力の向上率は1.1以上であることが好ましい(請求項4)。
【0049】
この場合には、疲労強度が明らかに向上していることを確認することができる。但し、上記σ/σが1.0以上であれば、試験バラツキ等を考慮しても十分に明瞭な効果を期待することができる。上記σ/σの上限値は、疲労強度の向上の観点から特に限定されるものではない。
【実施例】
【0050】
以下では、各種製造条件の異なる窒化部品の試料を作製し、その特性の調査を行う実験を行った。この実験例に基づき、実施例に係る窒化部品およびその製造方法について詳細に説明する。
【0051】
(実験例)
<試料の作製>
表1に示す各化学成分組成を有する鋼塊を30kgVIM溶解炉にて溶解して作製した。次いで、鋼塊を表面研削する皮削り工程を経た後、熱間鍛伸・冷間圧延によって板状(板厚5mm)に成形した。これにより、素材としての板状の窒化用部材(板厚5mm×幅10mm×長さ600mm)を準備した。
【0052】
【表1】

【0053】
準備した素材としての窒化用部材の表面に対し、脱炭処理を施した。この際、脱炭処理の条件は、表2に示すように、各窒化用部材を大気雰囲気中(酸化雰囲気中)にて300℃〜600℃に1分〜10分間保持した後、空冷するという条件とした。
【0054】
次に、脱炭工程を経た一部の窒化用部材に対し、真空熱処理炉による熱処理を施した。熱処理を施したのは、脱炭工程により生じ得る熱処理ひずみの影響を除去しやすくなる利点があるからである。もっとも、上記熱処理は、部品形状や脱炭処理条件に依存する場合があり、必要に応じて適宜実施可能な処理である。本例では、試料5、試料14および試料20の作製時に熱処理を行った。残りの試料については、脱炭処理後に熱処理を施すことなく窒化処理を行った。この際、上記熱処理条件は、表2に示すように、試料5については、脱炭処理が施された窒化用部材をNガス雰囲気中、950℃にて5分間保持した後、Nガスにて強制的に冷却により焼入れ、さらに焼戻し処理をNガス雰囲気中、500℃にて10分間保持した後、Nガス雰囲気中にて冷却するという条件とした。試料14および試料20については、表2に示すように、脱炭処理が施された窒化用部材をNガス雰囲気中、600℃に10分間保持した後、Nガス雰囲気中にて冷却するという条件とした。
【0055】
次に、脱炭処理を施した窒化用部材(脱炭処理後の窒化用部材、または、脱炭処理および熱処理後の窒化用部材)の表面に対し、イオン窒化処理を施した。この際、イオン窒化処理の条件は、HとNとの混合ガス雰囲気中、化合物層と称される鉄窒化物層が生成しないように400℃〜550℃の温度に2時間保持するという条件とした。
【0056】
以上により、試料1〜試料26を作製した。
【0057】
<脱炭率>
脱炭率を以下のようにして算出した。具体的には、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)を用い、窒化処理後の試料表面50μm×50μmの領域について1μmピッチで表面の炭素濃度を測定した。各測定値の平均値を算出し、これをその試料表面の炭素濃度C(質量%)とした。そして、式(C−C)/Cより脱炭率を算出した。なお、式中のC(質量%)には、素材として用いた窒化用部材のC含有量を用いた。脱炭層および窒化層を含まない試料内部のC含有量は、素材として用いた窒化用部材のC含有量と実質的に同一である。
【0058】
<表面窒素濃度係数>
表面窒素濃度係数を以下のようにして算出した。具体的には、前述のEPMAを用い、窒化処理後の試料表面50μm×50μmの領域について1μmピッチで表面の窒素濃度を測定した。各測定値の平均値を算出し、これをその試料表面の窒素濃度N2(質量%)とした。そして、式N2/(C−C+0.2)より表面窒素濃度係数Nsを算出した。
【0059】
<表面圧縮残留応力の向上率>
得られた窒化部品について、部品表面の圧縮残留応力の向上率を求めた。具体的には、試料1〜試料26の作製時に、脱炭処理を施さなかった点以外は同様にして、基準試料1〜基準試料26を作製した。次いで、各試料、各基準試料の板表面における圧縮残留応力を測定した。具体的には、管球にCr管球を使用するとともに解析方法に並傾法を適用し、各試料、各基準試料の板表面にX線をあて、各試料表面の圧縮残留応力σ、各基準試料表面の圧縮残留応力σを測定した。そして、式σ/σより圧縮残留応力の向上率を算出した。
【0060】
<疲労特性>
上記各試料と同様にして作製した疲労試験のための各試験片(板厚5mm×幅10mm×長さ600mm)、上記各基準試料と同様に脱炭処理を施すことなく作製した疲労試験のための各基準試験片を用い、10t油圧サーボプレスにより3点曲げ疲労試験を行った。この際、上記疲労試験の条件は、支点間距離40mm、負荷荷重0.1〜5kNの片振り50Hzという条件で行った。脱炭処理を実施することにより疲労寿命が大幅に向上したものを「A」、疲労寿命がわずかに向上したものを「B」、疲労寿命が変わらないもしくは低下したものを「C」と評価した。
【0061】
表2に、試料1〜試料26の製造条件および各種特性をまとめて示す。
【0062】
【表2】

【0063】
表2から次のことが分かる。すなわち、試料18および試料19は、素材として用いた鋼材のC含有量が0.5%以上であるとともに窒化係数N1も1未満であるため、炭素量が過多であり、窒化処理による効果が十分に得られない。そのため、脱炭率や表面窒素濃度係数Nsは規定を満足するものの、圧縮残留応力が十分に向上せず、その結果、十分な疲労特性を得ることができない。
【0064】
試料20〜試料23は、素材として用いた鋼材のC含有量が過多である上、Cr、V、Mo、Al含有量のいずれかが過多である。そのため、脱炭率や表面窒素濃度係数Nsは規定を満足するものの、粗大な炭化物が生成しやすく、これが疲労破壊起点となって十分な疲労特性を得ることができない。
【0065】
試料24〜試料26は、素材として用いた鋼材の化学成分については適正な範囲内にあり、脱炭率も規定を十分に満足する範囲であるものの、表面窒素濃度係数Nsを満足していないため、圧縮残留応力が十分に向上せず、その結果、十分な疲労特性を得ることができない。
【0066】
これらに対し、試料15〜試料17は、素材として用いた鋼材の化学成分については適正な範囲内にあるものの、脱炭処理による脱炭率が規定される範囲の下限側で施されている。しかし、窒化処理による試料表面の窒素濃度が高いため、圧縮残留応力が十分に向上しないものの、疲労特性が若干向上した。
【0067】
また、試料1〜試料14は、上記した特定の化学成分を有する鋼を素材として用い、脱炭処理による脱炭率が0.45超の範囲で施されており、この脱炭処理の後に窒化処理がなされて製造されている。そのため、試料1〜試料14によれば、高価なショットピーニングをあえて施さなくても、疲労特性の向上を図ることができる。また、高価な合金元素を含む鋼(例えばマルエージング鋼)ではなく、一般的に機械構造用鋼として使用される合金炭素鋼レベルにて効果が得られるため、結果として低コスト化に寄与することができる。
【0068】
また、試料1〜試料14について比較するとわかるように、脱炭処理時の脱炭率を0.5以上、さらには0.6以上とすることにより、圧縮残留応力の向上効果が大きくなり、疲労特性の向上に寄与しやすくなることがわかる。
【0069】
さらに、Si、Mn、Ni、W、N、Bは、規定量以下であれば、圧縮残留応力の向上効果が得られ、疲労特性が向上することがわかる。
【0070】
以上、実施例について説明したが、本発明は、上記実施例により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が硬化してなる表面硬化層を有する鋼製の部品であって、
上記表面硬化層は、炭素濃度が部品内部のC含有量よりも低い脱炭層と、窒素濃度が部品内部のN含有量よりも高い窒化層とを含んで構成されており、
上記部品内部の化学成分が、質量%で、
C:0.15%以上0.5%未満を含有し、
Cr:6.0%以下、V:2.5%以下、Mo:3.0%以下およびAl:1.5%以下から選択される1種または2種以上を含有し、
N含有量が0.03%以下であり、
(0.08×[%Cr]+0.29×[%V]+0.15×[%Mo]+0.65×[%Al])/[%C]の式にて定義される窒化係数N1が1.0以上であり、
上記表面硬化層は、その表面の炭素濃度をC(質量%)とした場合、(C−C)/Cの式にて定義される脱炭率が0.30以上であり、かつ、その表面の窒素濃度をN2(質量%)とした場合、N2/(C−C+0.2)の式にて定義される表面窒素濃度係数Nsが1.0以上であることを特徴とする窒化部品。
【請求項2】
請求項1に記載の窒化部品であって、
上記化学成分は、質量%で、Si:1.5%以下、Mn:1.5%以下、Ni:4.0%以下、W:5.0%以下およびB:0.03%以下から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする窒化部品。
【請求項3】
素材としての鋼製の窒化用部材の表面に脱炭層を形成する脱炭工程と、
上記脱炭工程を経た窒化用部材の表面を窒化処理して窒化層を形成し、上記脱炭層と上記窒化層とを含む表面硬化層を形成する窒化工程とを少なくとも有し、
上記素材としての窒化用部材の化学成分が、質量%で、
C:0.15%以上0.5%未満を含有し、
Cr:6.0%以下、V:2.5%以下、Mo:3.0%以下およびAl:1.5%以下から選択される1種または2種以上を含有し、
N含有量が0.03%以下であり、
(0.08×[%Cr]+0.29×[%V]+0.15×[%Mo]+0.65×[%Al])/[%C]の式にて定義される窒化係数N1が1.0以上であり、
上記脱炭工程は、上記表面硬化層表面の炭素濃度をC(質量%)とした場合、(C−C)/Cの式にて定義される脱炭率が0.30以上とされるとともに、
上記窒化工程は、上記表面硬化層表面の窒素濃度をN2(質量%)とした場合、N2/(C−C+0.2)の式にて定義される表面窒素濃度係数Nsが1.0以上となるように窒化処理が施されることを特徴とする窒化部品の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の窒化部品の製造方法であって、
上記脱炭工程を経ることなく上記窒化用部材の表面を窒化処理して得られる窒化部品の表面の圧縮残留応力をσとし、上記脱炭工程を経た上記窒化用部材の表面を窒化処理して得られる窒化部品の表面の圧縮残留応力をσとした場合に、σ/σの式にて定義される表面の圧縮残留応力の向上率が1.1以上であることを特徴とする窒化部品の製造方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の窒化部品の製造方法であって、
上記化学成分は、質量%で、Si:1.5%以下、Mn:1.5%以下、Ni:4.0%以下、W:5.0%以下およびB:0.03%以下から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする窒化部品の製造方法。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1項に記載の窒化部品の製造方法であって、
上記脱炭工程は、上記素材としての鋼製の窒化用部材の表面に脱炭処理を施すことにより脱炭層を形成することを特徴とする窒化部品の製造方法。

【公開番号】特開2013−87320(P2013−87320A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228140(P2011−228140)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000116655)愛知製鋼株式会社 (141)
【Fターム(参考)】