説明

竪型焼成炉

【課題】吸引装置のインジェクタ機構の作動用空気量を低減して並流ガス量を確保しつつ焼成品の冷却用空気量を確保可能にし、これにより排出される焼成品の保有熱を有効に回収すると共に、操作制御の自由度を向上させる。
【解決手段】竪型焼成炉1は外筒2及び内筒3を備え、これらの間に原料通路20を備える。外筒2の下端部には、焼成品を炉から排出する焼成品排出機構が設けられ、この下方には、冷却用空気を導入して焼成品の冷却を行う焼成品冷却機構が設けられる。焼成品冷却機構は、焼成品導入管22と焼成品冷却装置21とで構成され、焼成品充填層21bから続く焼成品充填層23が焼成品導入管22内に形成される。焼成品冷却装置21に導入された冷却用空気は、焼成品充填層23から上方にはほとんど流入せず、上方空間部21cに接続されたダクト30を通って下部燃焼室17にて燃焼用空気として使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、石灰石やドロマイト等の塊状原料を焼成するための竪型焼成炉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、石灰石やドロマイト等の塊状原料を焼成するための二重円筒構造の竪型焼成炉が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。図4は、従来の二重円筒構造の竪型焼成炉を示す図である。図4に示すように、竪型焼成炉100は、円筒状の外筒101及びその内側に同心状に配置された内筒102を備える。
【0003】
また、外筒101の上端部には、搬送装置から供給される原料の投入装置103が設けられ、更にこの外筒101の上端部は配管104を介して排ガス吸引ファン(図示せず)に接続される。そして、外筒101からの排ガスは、図示しない集塵装置を介して大気中に排出される。
【0004】
内筒102内には、内筒102の冷却用空気の通路105が形成されており、この通路105には配管106を介してファン107から冷却用空気が供給される。内筒102内を冷却した空気は、配管108aに集合されて燃焼用空気として用いられる。また、内筒102の上端部は、配管109を介して作動用空気熱交換器110の上端部に接続され、この作動用空気熱交換器110の下端部は、配管111を介して排ガス吸引ファンに接続される。
【0005】
作動用空気熱交換器110の下方には、ブロワ112から外気が導入され、作動用空気熱交換器110内にて排ガスとの間で熱交換が行われる。この熱交換により加熱された外気は、配管113を介して外筒101に設けられた上部燃焼室114の上部バーナ114a、下部燃焼室115の下部バーナ115a、及び吸引装置116の上端部に供給され、燃焼用空気及び吸引装置116の作動用空気として用いられる。
【0006】
なお、内筒102を冷却した冷却済空気は、配管108,108aを通って上部及び下部バーナ114a,115aに供給され、燃焼用空気として用いられる。各バーナ114a,115aを備える各燃焼室114,115からの燃焼ガスは、図中実線矢印で示すように外筒101及び内筒102の間に形成された原料通路117内に形成された原料充填層中を上向きに流れ、下部燃焼室115からの燃焼ガスの一部は、図中実線矢印で示すように下向きに流れる。
【0007】
外筒101の側面には、吸引装置116が設けられている。この吸引装置116は、インジェクタ機構を備え、外筒101の下部より上昇した冷却用空気と下部燃焼室115からの下向きの燃焼ガスと下向きの燃焼ガスにより焼成された原料より発生する原料分解ガス(例えば、COガス)を内筒102側に吸引させる。これら冷却用空気と燃焼ガスと原料が分解して発生するガスとの混合ガスは、内筒102内を通って配管118に導かれる。この配管118は、吸引装置116の上端部に接続され、この吸引装置116の上端部は、更に燃焼用空気を供給する配管113に接続され、下端部は下部燃焼室115に連結されている。
【0008】
また、外筒101の下端部には、焼成品を排出する焼成品排出装置119が設けられ、内筒102の下端部とこの焼成品排出装置119との間に焼成品を冷却する焼成品冷却帯CZが形成される。焼成品排出装置119には、冷却空気ファン119aから外気が導入され、図中実線矢印で示すように焼成品冷却帯CZに充填されている焼成品中を上向きに冷却用空気が流れる。焼成品は、図中破線矢印で示すように、焼成品排出装置119の下方に流れ、外部に排出される。
【0009】
なお、原料通路117においては、下部燃焼室115から上部が熱ガスと原料とが逆方向に流れる向流帯を形成し、下部燃焼室115から下部が熱ガスと原料とが同方向に流れる並流帯を形成し、それぞれ下部燃焼室115から内筒102の下端部までの間に並流焼成帯PFZ、下部燃焼室115から上部燃焼室114までの間に下部焼成帯DFZ、上部燃焼室114から上方の所定範囲までの間に上部焼成帯UFZ、及び上部焼成帯UFZの上方所定範囲内に予熱帯PZが形成される。
【0010】
このように構成された竪型焼成炉の並流焼成帯PFZにおいては、燃焼ガスが原料中を並列に流れて焼成が行われ、原料が分解してガス(CO)が発生する。この燃焼ガスと原料が分解して発生するガス(燃焼ガスと原料が分解して発生するガスの混合ガスを並流ガスと称する。)が冷却用空気と混合されて吸引装置116に吸引される構造となっている。そして、上述したように吸引された混合ガスは、燃焼用空気として用いられると共に、燃料の燃焼熱により加熱されて再度炉内の原料通路117の原料充填層に導入され、焼成熱源として用いられる。
【0011】
なお、並流ガスの温度は、例えば並流焼成帯PFZの下端部において約900℃以上と高温であり、焼成品を冷却した後の冷却用空気も約500℃〜890℃程度となる。このため、吸引装置116の機構として機械的なファン類等を採用することは難しく、主としてインジェクタ機構が用いられている。
【0012】
このインジェクタ機構を採用した場合の吸引装置116は、作動のために有圧空気(例えば、30〜70kPaの圧力、400℃〜500℃の温度)等の作動用空気(又は作動用ガス)を装置内のインジェクタノズルに供給して、高速の噴流をインジェクタ機構内で形成することで吸引圧力を発生させている。
【0013】
(1)吸引装置116の特性
このような吸引装置116は、基本的に耐火物で構成されているので、炉の操業中に吸引装置116の寸法等を可変にすることはできず、寸法が固定されることで次のような特性を備えることとなる。図5は、吸引装置116に吸引される混合ガス量と吸引圧力との関係を示す図である。
【0014】
図5からも明らかなように、作動用空気量V1,V2,V3(V1<V2<V3)がそれぞれ一定の場合、混合ガス量が多くなるほど吸引圧力は低下する。また、作動用空気量をV1→V2→V3のように増加させると吸引圧力は大きくなり、逆に作動用空気量をV3→V2→V1のように減少させると吸引圧力は小さくなる。
【0015】
竪型焼成炉の操業においては、一般的に混合ガス量は系の流路抵抗と吸引圧力とが同一となった時点でバランスするので、作動用空気量を増やせば混合ガス量を増加させることができ、作動用空気量を減らせば混合ガス量を減少させることができる。
【0016】
(2)供給空気量の適正化
また、上部燃焼室114と下部燃焼室115とに供給される燃料の量は、炉内で必要な熱量の分配を可能にするため、ほぼ一定の比率で最適な合計量となるように設定される。各燃焼室114,115での燃焼温度は、耐火物や焼成原料に最適な許容温度内で最高の温度を選定し、効率的な(すなわち、熱消費量が最少になるような)操業を目指すことになる。従って、可能な限り少ない空気量(又はガス量)で良好な燃焼が行われることが要求される。ここで、燃焼用の空気量は一般的に次式で表される。
【0017】
[数1]
Va=m・Ao・Fw
Va:燃焼用として炉に供給する全空気量(Nm/hr)
Fw:炉に供給する燃料量(kg/hr)
Ao:理論燃焼空気量(Nm/kg燃料)…燃料1kgを完全燃焼させるために必要な理論的空気量
m:空気係数
【0018】
通常、竪型燃焼炉では、例えば上記式における空気係数mは1.1〜1.37とされる。すなわち、理論的に必要な空気量の1.1〜1.37倍の空気量が供給されている。なお、使用する燃料の種類により空気係数mの最適値は異なるが、一般的には空気係数mを最小限にすることが熱消費量を最少にするための1つの要素として求められる。
【0019】
また、インジェクタ機構の作動用空気は、下部燃焼室115に流入するため、下部燃焼室115の燃料の燃焼条件にも影響を及ぼすこととなる。更に、吸引される混合ガスも同様に燃焼室内の温度条件や燃焼炎の状態に影響する。具体的には、バーナに供給される燃焼用空気以外に下部燃焼室115に流入する空気としては、作動用空気と焼成品の冷却用空気とがある。これらの空気は上記空気係数mに直接関連することとなる。
【0020】
(3)品質確保・熱消費量低減からの要求事項
更に、焼成品の品質確保の観点から、上記並流ガス量は、原料の焼成に影響して結果的に焼成品の品質に影響するものである。このため、一定量の確保が必要不可欠である。また、熱消費量(燃料消費量)の低減を図るためには、焼成品冷却帯CZの出口温度を低下させ、焼成品が炉外に持ち出す損失熱(焼成品の保有熱)を低減し、熱回収量を増加させる必要がある。このためには、一定の冷却用空気量も確保する必要がある。
【0021】
ところで、上述した(1)の吸引装置116の特性における吸引圧力は、並流焼成帯での並流ガス量を決定付ける要素となる。並流焼成帯は、焼成工程の最終段階であるため、その下流端でガスが所定の温度となるように炉全体の制御がなされる。このことからも、一定量の並流ガスを確保することは、焼成炉を操業する上で極めて重要な要素である。
並流ガスを一定量確保するためには、吸引圧力を確保することが必要であり、上述した(1)のインジェクタ機構を備える吸引装置116の特性からインジェクタ機構への作動用空気量を多くするか、混合ガス量を少なくする必要がある。しかし、作動用空気量を多くすることは上記(2)の供給空気量の適正化に反し、混合ガス量を低減することは、焼成品の冷却空気量を低減することになるため、(3)の要求事項に反することになる。このため、多くの場合には、(3)の要求事項を犠牲にし、作動用空気量を一定とした上で、焼成品の冷却用空気量を少なくすることにより、混合ガス量を減少させるようにした操業が行われている。この結果、吸引圧力を上昇させて並流ガス量を多く確保する操作方針が採用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開昭57−122279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、上述したように焼成品の冷却用空気量を減ずることで、焼成品の排出温度が高くなり損失熱が大きくなる。上記のような焼成品冷却帯CZの冷却容量は十分確保されているが、冷却用空気量の絶対的な不足により備えられた冷却機能を十分発揮できていないという場合がある。このため、インジェクタ機構による吸引装置を用いた並流焼成帯を備える竪型焼成炉においては、操業時の操作制御の自由度が制限される場合が生じ得る。
【0024】
この発明は、上述した問題点を解消するため、吸引装置のインジェクタ機構の作動用空気量を低減して並流ガス量を確保しつつ焼成品の冷却用空気量を確保可能にし、これにより排出される焼成品の保有熱を有効に回収すると共に、操作制御の自由度を向上させることができる竪型焼成炉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係る竪型焼成炉は、軸方向を上下方向として配置された外筒と、この外筒の内部に同軸配置されて前記外筒と共に二重筒状構造をなし前記外筒との間に原料通路を形成する内筒と、前記外筒の上端に設置されて原料を前記原料通路に投入して前記原料通路に原料充填層を形成する投入装置と、前記原料通路に接続して形成されて燃焼用空気を導入してバーナによる熱ガスを発生させる燃焼室と、前記燃焼室で発生された熱ガスの一部を前記原料通路の下端部及び内筒を経由して前記外筒の外部に吸引することにより、前記燃焼室から下側の前記原料充填層の原料と熱ガスが共に下方に移動しながら焼成される並流焼成帯を形成する吸引装置と、前記並流焼成帯の下端部に設けられ、前記原料通路から焼成品を排出する焼成品排出機構と、前記焼成品排出機構の下方に接続されて内部に焼成品充填層を形成する焼成品導入管を有し、この焼成品導入管の下方に前記焼成品充填層に連続する焼成品を収容し、この収容された焼成品を外部からの冷却用空気を導入して冷却する焼成品冷却機構とを備え、前記焼成品充填層は、前記冷却用空気の上方への流れを低減する抵抗機能を有することを特徴とする。
【0026】
前記冷却用空気は、例えば前記焼成品冷却機構の内部の焼成品を通過して熱交換された後に、前記燃焼室における燃焼用空気の一部として用いられる。また、前記焼成品冷却機構は、例えば前記焼成品充填層に連続する焼成品を収容し、この収容された焼成品を冷却する。
【0027】
前記焼成品排出機構は、例えば前記外筒の下端部に設けられ、前記内筒の外径よりも小さな径の孔部を備えるシュートが前記内筒の中心線と同心に形成された底板と、前記並流焼成帯の下端部近傍にて前記外筒の円周上に複数配置され、前記底板の床面上を前記シュートの中心方向に向かって往復動可能なプッシャーとを有し、前記内筒の下端部周縁と前記底板の孔部とを結ぶ面が、前記焼成品の自由安息角面を形成するように構成されている。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、吸引装置のインジェクタ機構の作動用空気量を低減して並流ガス量を確保しつつ焼成品の冷却用空気量を確保可能にし、これにより排出される焼成品の保有熱を有効に回収すると共に、操作制御の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係る竪型焼成炉を示す図である。
【図2】並流焼成帯PFZにおける並流ガス量と圧力損失との関係、並流ガス量と焼成品冷却帯CZを通過した冷却用空気及び並流ガスの混合ガス量との関係、及び吸引装置にて発生する吸引圧力と混合ガス量との関係をまとめて示す図である。
【図3】焼成品の冷却用空気量と焼成品温度と焼成品保有熱との関係を示す図である。
【図4】従来の二重円筒構造の竪型焼成炉を示す図である。
【図5】吸引装置に吸引される混合ガス量と吸引圧力との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、添付の図面を参照して、この発明に係る竪型焼成炉の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る竪型焼成炉を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る竪型焼成炉1は、円筒状の外筒2及びその内側に同心状に懸垂配置された内筒3を備えて構成されている。
【0031】
また、外筒2の上端部には、搬送装置から供給される原料の投入装置4が設けられ、更にこの外筒2の上端部は配管5を介して図示しない排ガス吸引ファンに接続されている。排ガス吸引ファンにより吸引された外筒2からの排ガスは、図示しない集塵装置を介してダスト除去された後に、大気中に排出される。
【0032】
内筒3内には、内筒3の冷却用空気の通路6が形成されており、この通路には配管7を介して冷却空気ファン8から冷却用空気が供給される。内筒3内を冷却した冷却済空気は、配管9に集合されて燃焼用空気熱交換器10に供給され、燃焼用空気として用いられる。また、内筒3の上端部は、配管11を介して燃焼用空気熱交換器10及び作動用空気熱交換器12のそれぞれの上端部に接続されている。
【0033】
これら各熱交換器10,12の下端部は、配管13を介して排ガス吸引ファンに接続される。作動用空気熱交換器12の下方には、ブロワ14から外気が導入され、作動用空気熱交換器12内にて排ガスとの間で熱交換が行われる。この熱交換により加熱された外気は、配管15を介して外筒2に設けられた上部燃焼室16の上部バーナ16a、下部燃焼室17の下部バーナ17a、及び吸引装置18の上端部に供給され、燃焼用空気及び吸引装置18の作動用空気として用いられる。
【0034】
内筒3を冷却し燃焼用空気熱交換器10で熱交換された空気は、配管19を通って上部及び下部バーナ16a,17aに供給されて燃焼用空気として用いられる。各バーナ16a,17aを備える各燃焼室16,17からの燃焼ガスは、図中実線矢印で示すように、外筒2及び内筒3の間に形成された原料通路20内に形成された原料充填層中を上向きに流れ、下部燃焼室17からの燃焼ガスの一部は、図中実線矢印で示すように下向きに流れる。
【0035】
外筒2の側面には、吸引装置18が設けられている。この吸引装置18は、インジェクタ機構を備え、内筒3の下方に設けられた焼成品冷却装置21から焼成品導入管22内の焼成品充填層23を通って僅かに上昇した冷却用空気と下部燃焼室17からの下向きの燃焼ガスと下向きの燃焼ガスにより焼成された原料より発生する原料分解ガス(例えば、COガス)を内筒3及び配管24を介して吸引する。
【0036】
配管24は、吸引装置18の上端部に接続され、この吸引装置18の上端部は、更に作動用空気を供給する配管15に接続され、下端部は下部燃焼室17に連結されている。
【0037】
また、外筒2の下端部には、焼成品を炉から排出する焼成品排出機構が設けられている。更に、焼成品排出機構の下方には、冷却空気ファン25により外部からの冷却用空気を導入して焼成品の冷却を行う焼成品冷却機構が設けられている。焼成品排出機構は、例えば次のように構成されている。
【0038】
具体的には、焼成品排出機構は、外筒2の下端部側を覆う金属製の底板26と、外筒2の円周上に複数配置され、底板26の床面上にあり、充填層下端部の焼成品を移動させる耐熱金属製のプッシャー27とを備えて構成されている。底板26は、内筒3の外周径よりも小さな径の孔部26aを備えるシュート26bが内筒3の中心線と同心に形成された構造を備える。
【0039】
この底板26は、耐火物でライニングされ、焼成品や燃焼ガス等の温度に十分耐えることができるように構成されている。プッシャー27は、油圧シリンダで駆動されるストローク可変ピストン27aによりシュート26bの中心方向に向かって図中実線矢印で示すように往復動可能な構造を備える。
【0040】
なお、内筒3の下端外周端点と底板26のシュート26bの上端内周端点とを結ぶ破線で示す面は、焼成品の自由安息角面31を形成する。これにより、原料通路20内に形成される原料充填層の原料の降下を、円環状面において均一にすることが可能となる。
【0041】
また、焼成品冷却機構は、具体的には、シュート26bの下端部に伸縮継手28を介して外部と気密状態で配置された焼成品導入管22と、この焼成品導入管22の下端部に設けられた焼成品冷却装置21とで構成されている。なお、焼成品冷却装置21内には、冷却空気ファン25により導入され風量調整用のダンパ25aにより風量が調整された冷却用空気を、図中実線矢印で示すように装置内の焼成品充填層21bに分散供給する傘状のスリット21aが設けられている。
【0042】
焼成品充填層21bを通って焼成品と熱交換された冷却用空気は、焼成品充填層21bの上方空間部21cに接続されたダクト30を通って風量調整用のダンパ30aにより風量が調整された上で、ダクト30が接続された下部燃焼室17に供給される。なお、焼成品冷却装置21のスリット21aの下端部から焼成品導入管22の下端部までの間が焼成品を冷却する焼成品冷却帯CZとなっている。
【0043】
また、原料通路20においては、下部燃焼室17から上部が熱ガスと原料とが逆方向に流れる向流帯を形成し、下部燃焼室17から下部が熱ガスと原料とが同方向に流れる並流帯を形成し、それぞれ下部燃焼室17から内筒3の下端部までの間に並流焼成帯PFZ、下部燃焼室17から上部燃焼室16までの間に下部焼成帯DFZ、上部燃焼室16から上方の所定範囲までの間に上部焼成帯UFZ、及び上部焼成帯UFZの上方所定範囲内に予熱帯PZがそれぞれ形成されている。
【0044】
このように構成された竪型焼成炉1においては、投入装置4から原料通路20内に投入された原料が、底板26から予熱帯PZの最上端より上方まで充填層を形成している。原料は、予熱帯PZ及び各焼成帯UFZ,DFZ,PFZを通って焼成され、焼成品となって底板26の床面上に到達する。到達した焼成品は、予め設定された排出量でプッシャー27によりシュート26b及び伸縮継手28を介して焼成品導入管22内に排出される。
【0045】
焼成品導入管22内を通った焼成品は、焼成品冷却装置21内に充填され、この焼成品充填層21bから続く焼成品充填層23が焼成品導入管22内に導入管高さH1よりも低い充填層高さH2を持って形成される。なお、焼成品導入管22の下端は、焼成品充填層21bに接するように配置される。
【0046】
焼成品冷却装置21内で冷却された焼成品は、焼成品充填層23の充填層高さH2が必要な高さを維持するように制御されて排出部21dから外部に排出される。焼成品充填層21bから続く焼成品充填層23が所定の充填層高さH2を持って形成されるため、焼成品充填層21bを通った冷却用空気は、焼成品充填層23の上方にはほとんど導かれないこととなる。
【0047】
すなわち、焼成品充填層23によって、冷却用空気をある程度シールする空気シール効果が発揮される。なお、焼成品導入管22の径及び充填層高さH2は、焼成品による空気シール効果が最大限発揮されるように構成されるので、焼成品充填層23を通って並流ガスと合流する冷却用空気量は少量となる。
【0048】
従って、本実施形態に係る竪型焼成炉1は、上記のような構成によって、混合ガス量が少なくなるため、吸引装置18におけるインジェクタ機構の作動用空気量を低減することが可能となる。通常、作動用空気の温度は450℃〜480℃となっており、作動用空気の低減量に比例して作動用空気による炉への熱供給量が減少する。
【0049】
この竪型焼成炉1では、上部焼成帯UFZの上端部位置において内筒3に設けられた導入路3aを経由し配管11を通って炉内の燃焼ガスの一部が燃焼用空気熱交換器10及び作動用空気熱交換器12にそれぞれ導入されている。従って、作動用空気熱交換器12を小型化しても作動用空気を十分に加熱することができる。
【0050】
この場合、小型化した作動用空気熱交換器12への燃焼ガスの導入量を減少させることができるので、これにより生じる余剰の燃焼ガスを燃焼用空気熱交換器10に導入し、各バーナ16a,17aの燃焼用空気として用いる内筒3の冷却済空気(例えば、190℃〜210℃の温度を有する)をこの熱交換器10内で加熱して、390℃〜430℃の温度を有する燃焼用空気を供給することが可能となる。
【0051】
ここで、竪型焼成炉1を上記のような構成にした説明として、まず、インジェクタ機構を備えた吸引装置18の作動用空気量の低減について説明する。以下においては、具体例として焼成能力300t/dayの竪型焼成炉1が300t/dayの焼成品を生産している場合を例に挙げて説明する。前提として、竪型焼成炉における並流ガスの重要性について簡単に説明する。
【0052】
すなわち、並流焼成帯は、燃焼ガスを原料通路20内の原料の降下方向に沿って流すことにより原料の焼成を行う機能を有すると共に、焼成工程の最終段階にあるものである。従って、一定量の並流ガスを流した場合、並流焼成帯の下端部における燃焼ガスと焼成された原料より発生する原料分解ガスの混合ガスである並流ガスの温度を監視して、この温度が所定の温度となるように炉全体の調整を行えば、その最終結果が並流焼成帯の下端部の温度となって表現されることとなる。
【0053】
つまり、並流ガスの温度が所定の温度に一致した場合には、最終的に得られる焼成品が所定の品質となることが経験的に判明しているといえる。このように、並流ガスは炉の操業において重要な役割を果たしているので、実際の操業においては、並流ガス量の安定した確保が望まれるのである。
【0054】
このような前提の下、作動用空気量の低減について説明する。図2は、並流焼成帯における並流ガス量と圧力損失の関係、並流ガス量と焼成品冷却帯を通過した冷却用空気及び並流ガスの混合ガス量との関係、及び吸引装置にて発生する吸引圧力と混合ガス量との関係をまとめて示す図である。
【0055】
なお、図2のグラフAにおいては、並流ガス量(Nm/hr)が増加すると共に圧力損失も増加することが分かる。また、グラフBにおける線αは、冷却用空気量が8,000Nm/hrで一定量が流入する場合の並流ガス量と混合ガス量との関係を示し、線βは、冷却用空気量が0の場合の並流ガス量と混合ガス量との関係を示し、線γは、冷却用空気量が600Nm/hrで一定量が流入する場合の並流ガス量と混合ガス量との関係を示している。この線γは、本実施形態に係る竪型焼成炉1の場合に相当し、600Nm/hrの冷却用空気量は焼成品充填層23からのリーク量を示している。
【0056】
また、グラフCは、吸引装置にて発生する吸引圧力と共に並流焼成帯の下端部における吸引圧力も示すものであり、線A1,A2,A3は吸引装置で発生する吸引圧力を、線B1,B2,B3は並流焼成帯の下端部での吸引圧力をそれぞれ示している。上記並流焼成帯の下端部での吸引圧力は、この下端部と吸引装置との間の圧力損失を、吸引装置で発生する吸引圧力から差し引くことで求められる。これら吸引圧力は、混合ガス量が減少すると上昇することが分かる。
【0057】
なお、グラフCにおいて、線A1は従来炉における吸引装置にて発生する吸引圧力及び線B1はこの従来炉での並流焼成帯の下端部での吸引圧力の例を示し、作動用空気量が4,900Nm/hrで一定量としたものである。線A3は同じく従来炉において作動用空気量を減少させた場合の吸引圧力及び線B3はこの場合の並流焼成帯の下端部での吸引圧力の例を示し、作動用空気量を上記4,900Nm/hrから3,000Nm/hrに減らしたものである。
【0058】
また、線A2及び線B2は、本実施形態に係る竪型焼成炉1において適用される少ない混合ガス量と作動用空気量とに対応して、新規設計された吸引装置18にて発生する吸引圧力及び並流焼成帯PFZの下端部での吸引圧力をそれぞれ示し、作動用空気量が2,500Nm/hrで一定量としたものである。
【0059】
実際の竪型焼成炉では、グラフCに示した並流焼成帯の下端部での吸引圧力とグラフAに示した並流焼成帯での圧力損失とが、横線D1で示すように一致した点でバランスする。そして、グラフAにおける一致圧力点D2から横軸に図中実線矢印で示すように垂直に引いた線D3と横軸との交点が並流ガス量となる。
【0060】
グラフB,Cにおいて、図中破線矢印で示したものは、グラフBにて冷却用空気量を600Nm/hr(実際には、リーク量相当)とした線γの場合の並流ガス量と並流焼成帯の下端部での吸引圧力とを示したものである。これらのことから、混合ガス量を減少させることにより、少ない量の作動用空気量で混合ガス量を減少させない場合と同一の並流焼成帯の下端部での吸引圧力を発生させることができるといえる。従って、並流ガス量を確保しながら、作動用空気量を減らすことが可能である。
【0061】
なお、グラフAにおける圧力損失は、冷却用空気の影響を受けないので原料性状が変化しない限り、並流ガスのみに起因して生じる。従って、並流焼成帯の下端部での吸引圧力が決まれば、並流ガス量をこのグラフAから読み取ることができる。また、この下端部から吸引装置までの混合ガスの通路における圧力損失は、並流ガスと冷却用空気との混合ガスに起因して発生する。
【0062】
このため、吸引装置における吸引圧力が決まれば、この圧力から上記通路における圧力損失を差し引くことで、グラフCに示す並流焼成帯の下端部での吸引圧力が算出され、並流ガス量を把握することが可能となる。このグラフCに示す通り、作動用空気量が一定の場合は、混合ガス量が減少すれば吸引装置の吸引圧力は高くなる。
【0063】
並流ガスの重要性は上述した通りであるので、並流ガスと冷却用空気とを比較した場合は、並流ガス量の確保の方が優先されることとなる。つまり、冷却用空気量を減らすことによって混合ガス量を減らし、吸引装置の吸引圧力を高く維持する(結果として並流焼成帯の下端部での吸引圧力が高く維持される)ことによって並流ガス量を多くすることができる。
【0064】
上述したように、図2に示したグラフCの線A1,B1は従来炉における各吸引圧力を示しているので、これらの線A1,B1に基づけば、例えば、図2に示したグラフA〜Cから、約11,000Nm/hrの並流ガス量、約19,400Nm/hrの混合ガス量、及び約8,400Nm/hrの冷却用空気量の具体的数値を得ることができる。
【0065】
なお、本実施形態に係る竪型焼成炉1においては、並流焼成帯PFZと焼成品冷却装置21とを分離配置した構造を備え、これらの中間位置に配置された焼成品導入管22内において所望の充填層高さH2を有する焼成品充填層23を形成することによって、上述したような空気シール効果を得るようにしている。
【0066】
このため、理想的な状態としては、吸引装置18には並流ガスのみが吸引されることになるが、実際には冷却用空気を完全にシールすることはできないので、焼成品充填層21bを通過した冷却用空気が並流ガスに混入することを念頭に置いて設計する必要が生じる。
【0067】
以上の事情を考慮して、並流ガス量が従来炉と同一程度となることを条件として設計した本実施形態に係る竪型焼成炉1における各吸引圧力は、図2に示したグラフCの線A2,B2に示すようになる。そして、これらの線A2,B2に基づけば、各グラフA〜Cから、約11,000Nm/hrの並流ガス量、約11,600Nm/hrの混合ガス量、及び約600Nm/hrの冷却用空気量の具体的数値を得ることができるようになる。
【0068】
その結果、吸引装置の作動空気量は、竪型焼成炉1の場合に2,500Nm/hrとなり、従来炉の場合に4,900Nm/hrとなるので、従来炉に比べてその差異を−2,400Nm/hrとすることができる。そして、冷却用空気量の自由度は、実操業において従来炉における冷却用空気量がVc(Nm/hr)である場合、竪型焼成炉1のものが(4,900−2,500)+Vc(Nm/hr)となるので、従来炉に比べてその差異が+2,400Nm/hrの範囲で得ることが可能となる。
【0069】
従って、例えば下部燃焼室17へ導入する総空気量を一定(すなわち、下部燃焼室17での空気係数mを不変)とすれば、従来炉に比べて2,400Nm/hr程度(すなわち、吸引装置18の作動用空気量の減少分程度)まで多くの冷却用空気を焼成品冷却装置21内に導入することが可能となる。
【0070】
次に、焼成品からの熱回収について説明する。図3は、焼成品の冷却用空気量と焼成品温度と焼成品保有熱との関係を示す図である。図3において、曲線Mは冷却用空気量と焼成品温度との関連曲線であり、曲線Nは冷却用空気量と焼成品保有熱との関連曲線である。なお、焼成品保有熱は20℃基準として計算している。
【0071】
図3に示すように、例えば冷却用空気量を6,700Nm/hrとした場合、曲線Mより焼成品温度は150℃となり、曲線Nより焼成品保有熱は25kcal/kgとなる。ここで、冷却用空気量を6,140Nm/hrに減少させた場合は、曲線Mより焼成品温度は200℃となり、曲線Nより焼成品保有熱は35kcal/kgと上昇することとなる。すなわち、冷却用空気量が560Nm/hr増加すると、焼成品保有熱は10kcal/kg低下することとなる。これらの関係を以下の表1に表す。
【0072】
[表1]

なお、Vcは従来炉における冷却用空気量を示し、V及びVc+2,400は本実施形態に係る竪型焼成炉1における目標冷却用空気量及び最大冷却用空気量をそれぞれ示している。
【0073】
この表1及び図3からも明らかなように、冷却用空気量Vcの場合の焼成品保有熱35kcal/kgと最大冷却用空気量Vc+2,400の場合の焼成品保有熱9.5kcal/kgとの差異は、25.5kcal/kgとなる。また、上記冷却用空気量Vcの場合の焼成品保有熱と目標冷却用空気量Vの場合の焼成品保有熱25kcal/kgとの差異は、10kcal/kgとなる。そして、目標冷却用空気量Vの場合の焼成品保有熱と最大冷却用空気量Vc+2,400の場合の焼成品保有熱との差異は、15.5kcal/kgとなる。
【0074】
従って、本実施形態に係る竪型焼成炉1においては、最大で25.5kcal/kg焼成品(焼成品1kg当たりの熱量)、最小で10kcal/kg焼成品の熱回収を行うことが可能となる。また、炉を最大能力で運転する際には、焼成品の生産量に対して冷却用空気量が不足気味にならざるを得ない場合がある。
【0075】
このような場合に対しても、竪型焼成炉1では、上述したように焼成品の冷却用空気量Vを従来炉の冷却用空気量Vcに比べて2,400Nm/hr程度増加することができるので、冷却能力に余裕を持たせることが可能となる。なお、冷却能力に余裕を持たせた場合は、上述した熱回収量(25.5kcal/kg焼成品〜10kcal/kg焼成品)よりも熱回収量を多くすることが期待できる。
【0076】
このように、焼成品の熱回収量を増加させることで熱消費量が低減され、種々の効果を得ることができる。また、吸引装置18の作動用空気量が低減されることで、上述したように従来炉における作動用空気が保有していた熱量に相当する熱量を有する余剰の燃焼ガスが生じることとなる。
【0077】
例えば、本実施形態に係る竪型焼成炉1での作動用空気量の減少量を2,400Nm/hrとし、作動用空気の温度を480℃とした場合、20℃基準で計算した余剰熱量を意味する炉への持ち込み熱減少量は355,488kcal/hrとなり、焼成品1kg当たりの持ち込み熱減少量は28.4kcal/kg焼成品となる。
【0078】
従来炉において内筒3を冷却し温度上昇した冷却済空気はバーナでの燃焼用空気として用いられるので、冷却済空気量を5,500Nm/hrとし、バーナへの平均供給温度を200℃とした場合、この冷却済空気の保有熱量は309,870kcal/hrとなる。
【0079】
従って、作動用空気量の減少による余剰熱量を熱交換器10にて有効利用し、内筒3の冷却済空気を加熱して保有熱665,358kcal/hr及び温度400℃程度の燃焼用空気をバーナ16a,17aに供給すれば、作動用空気の持ち込み熱の減少分を補填することが可能となる。すなわち、上述した焼成品から回収された回収熱は、すべて炉の熱消費量の低減に寄与することとなる。
【0080】
なお、上述した実施形態においては、焼成能力300t/dayの竪型焼成炉1について説明したが、他の炉においても同様に本発明を適用することができる。また、最大で25.5kcal/kg焼成品(焼成品1kg当たりの熱量)、最小で10kcal/kg焼成品の熱回収量として説明したが、従来炉の焼成品1kg当たりの熱消費量は原料性状や要求品質により変化もあるが、930〜980kcal/kg焼成品であることを前提とし、例えば955kcal/kg焼成品を基準にすれば、竪型焼成炉1での熱消費量を1.0〜2.6%程度低減して改善することが可能となる。
【0081】
以上のような本実施形態に係る竪型焼成炉1によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)竪型焼成炉1の全体の熱消費量を1.0〜2.6%低減して改善することができる。
(2)竪型焼成炉1の操業時の運転制御の自由度を向上させることができる。
(3)竪型焼成炉1の各バーナ16a,17aへ供給する燃焼用空気を高温化することができるので、燃料の燃焼状態を良好に改善することができる。
(4)竪型焼成炉1の焼成品冷却装置21にて焼成品を十分に冷却することができるので、排出部21dから排出される焼成品を搬送する搬送コンベヤとして、耐熱性ベルトコンベヤを安心して採用することができる。
(5)竪型焼成炉1の焼成品冷却装置21を炉と分離配置したことで、理想的な冷却装置の設計が可能となり、冷却装置を小型化することができる。
従って、竪型焼成炉1の吸引装置18のインジェクタ機構の作動用空気量を低減して並流ガス量を確保しつつ焼成品の冷却用空気量を確保可能にし、且つ炉から排出される焼成品の保有熱を焼成品冷却装置21にて有効に回収して操業の操作制御の自由度を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0082】
1 竪型焼成炉
2 外筒
3 内筒
4 投入装置
10 燃焼用空気熱交換器
12 作動用空気熱交換器
16 上部燃焼室
16a 上部バーナ
17 下部燃焼室
17a 下部バーナ
18 吸引装置
20 原料通路
21 焼成品冷却装置
21b 焼成品充填層
22 焼成品導入管
23 焼成品充填層
26 底板
27 プッシャー
28 伸縮継手
30 ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向を上下方向として配置された外筒と、
この外筒の内部に同軸配置されて前記外筒と共に二重筒状構造をなし前記外筒との間に原料通路を形成する内筒と、
前記外筒の上端に設置されて原料を前記原料通路に投入して前記原料通路に原料充填層を形成する投入装置と、
前記原料通路に接続して形成されて燃焼用空気を導入してバーナによる熱ガスを発生させる燃焼室と、
前記燃焼室で発生された熱ガスの一部を前記原料通路の下端部及び内筒を経由して前記外筒の外部に吸引することにより、前記燃焼室から下側の前記原料充填層の原料と熱ガスが共に下方に移動しながら焼成される並流焼成帯を形成する吸引装置と、
前記並流焼成帯の下端部に設けられ、前記原料通路から焼成品を排出する焼成品排出機構と、
前記焼成品排出機構の下方に接続されて内部に焼成品充填層を形成する焼成品導入管を有し、この焼成品導入管の下方に外部から冷却用空気を導入して焼成品を冷却する焼成品冷却機構とを備え、
前記焼成品充填層は、前記冷却用空気の上方への流れを低減する抵抗機能を有する
ことを特徴とする竪型焼成炉。
【請求項2】
前記冷却用空気は、前記焼成品冷却機構の内部の焼成品を通過して熱交換された後に、前記燃焼室における燃焼用空気の一部として用いられる
ことを特徴とする請求項1記載の竪型焼成炉。
【請求項3】
前記焼成品冷却機構は、前記焼成品充填層に連続する焼成品を収容し、この収容された焼成品を冷却する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の竪型焼成炉。
【請求項4】
前記焼成品排出機構は、
前記外筒の下端部に設けられ、前記内筒の外径よりも小さな径の孔部を備えるシュートが前記内筒の中心線と同心に形成された底板と、
前記並流焼成帯の下端部近傍にて前記外筒の円周上に複数配置され、前記底板の床面上を前記シュートの中心方向に向かって往復動可能なプッシャーとを有し、
前記内筒の下端外周縁と前記底板の孔部とを結ぶ面が、前記焼成品の自由安息角面を形成するように構成されている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の竪型焼成炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−97943(P2012−97943A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244997(P2010−244997)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(300041192)宇部興産機械株式会社 (268)
【Fターム(参考)】