端子金具付き電線および端子金具
【課題】防水性に優れた端子金具付き電線、および端子金具を提供する。
【解決手段】芯線13の外周を絶縁被覆14で被覆してなる電線11に端子金具12が接続されてなる端子金具付き電線10であって、端子金具12は、絶縁被覆14の端部から露出された芯線13に圧着されたワイヤーバレル17と、底板15から延びる延出部19と、を備えて構成される。延出部19には、合成樹脂をモールド成形してなる止水壁19が設けられ、この止水壁19の外面と絶縁被覆14の端部の外面とに密着して止水壁19と絶縁被覆14の端部との間に亘って芯線13を覆う筒状の止水被覆25が設けられ、延出部19の幅方向の端部19Dには、端部19Dから突出する凸部19A、および端部19Dよりも凹んだ凹み部19Fのうち、少なくとも一方が形成されている。
【解決手段】芯線13の外周を絶縁被覆14で被覆してなる電線11に端子金具12が接続されてなる端子金具付き電線10であって、端子金具12は、絶縁被覆14の端部から露出された芯線13に圧着されたワイヤーバレル17と、底板15から延びる延出部19と、を備えて構成される。延出部19には、合成樹脂をモールド成形してなる止水壁19が設けられ、この止水壁19の外面と絶縁被覆14の端部の外面とに密着して止水壁19と絶縁被覆14の端部との間に亘って芯線13を覆う筒状の止水被覆25が設けられ、延出部19の幅方向の端部19Dには、端部19Dから突出する凸部19A、および端部19Dよりも凹んだ凹み部19Fのうち、少なくとも一方が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子金具付き電線および端子金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端子金具付き電線として特許文献1に記載のものが知られている。この端子金具付き電線は、芯線の外周を絶縁被覆で被覆してなる電線と、絶縁被覆から露出する芯線に接続された端子金具と、を備える。端子金具は、芯線が載置された平板状の基板部と、この基板部から突出されると共に芯線に圧着されたワイヤーバレルと、を備える。
【0003】
基板部から絶縁被覆の端部に至る領域には、熱収縮チューブが被せられている。熱収縮チューブの一端側はワイヤーバレルで圧着された芯線を被覆していると共に他端側は絶縁被覆に密着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−285983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記の構成によると、基板部は平板状をなしているので、熱収縮チューブの一端側と、基板部との間に隙間が形成されることが懸念される。すると、この隙間から水が熱収縮チューブ内に浸入し、この水が芯線及びワイヤーバレルと接触することが懸念される。すると、芯線又はワイヤーバレルの表面が酸化される等の不具合が発生することが懸念される。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、防水性に優れた端子金具付き電線および端子金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するものとして本発明は、芯線の外周を絶縁被覆で被覆してなる電線に端子金具が接続されてなる端子金具付き電線であって、前記端子金具は、前記絶縁被覆の端部から露出された前記芯線に圧着されたワイヤーバレルと、前記ワイヤーバレルの底板から延びる延出部と、を備えて構成され、前記延出部には、合成樹脂をモールド成形してなる止水壁が設けられ、この止水壁の外面と前記絶縁被覆の端部の外面とに密着して前記止水壁と前記絶縁被覆の端部との間に亘って前記芯線を覆う筒状の止水被覆が設けられ、前記延出部の幅方向の端部には、前記端部から突出する凸部、および前記端部よりも凹んだ凹み部のうち、少なくとも一方が形成されていることを特徴とする端子金具付き電線である。
【0008】
また、本発明は、芯線の外周を絶縁被覆で被覆してなる電線から露出する前記芯線に接続される端子金具であって、前記端子金具は、前記絶縁被覆の端部から露出された前記芯線に圧着されたワイヤーバレルと、前記ワイヤーバレルの底板から延びる延出部と、を備え、前記延出部には、合成樹脂をモールド成形してなる止水壁が設けられ、この止水壁の外面と前記絶縁被覆の端部の外面とに密着して前記止水壁と前記絶縁被覆の端部との間に亘って前記芯線を覆う筒状の止水被覆が設けられ、前記延出部の幅方向の端部には、前記端部から突出する凸部、および前記端部よりも凹んだ凹み部のうち、少なくとも一方が形成されていることを特徴とする端子金具である。
【0009】
本発明によれば、延出部には止水壁が設けられているので、延出部から水が浸入することを抑制できる。更に、止水壁は止水被覆の内面と密着しているので、止水壁と止水被覆との間から水が浸入することも抑制される。これにより、止水壁から絶縁被覆の端部に至る領域は、止水被覆によって防水されるので、芯線及びワイヤーバレルに水が付着することを抑制できる。その結果、本発明によれば、防水性に優れた端子金具付き電線および端子金具を提供することができる。
【0010】
上述したように、止水壁と止水被覆とを設けることにより、防水性を高めることはできるが、延出部のワイヤバレル側とは反対側の端部と止水壁との間の隙間から、水が浸み込むなどにより、延出部の一部に水が付着する場合がある。端子金具は多くの場合、金属板材にメッキなどを施してから所定形状に打ち抜かれる工程を経て製造されるため、端子金具の端面にはメッキが施されておらず、他の部分よりも酸化(腐食)が進みやすくなっている、したがって、延出部に水が浸み込んだ場合には、端面に沿って腐食が進むことが懸念される。
【0011】
しかしながら、本発明においては、延出部の幅方向の端部に凸部および凹み部のうち少なくとも一方が形成されているので、延出部の端面の長さが、凸部や凹み部のない構成のものよりも凸部や凹み部の周縁の長さ分だけ長くなっている(図5を参照)。その結果、本発明によれば、腐食経路が長くなるので、腐食がワイヤバレルに至るのを遅延させることができる。
【0012】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。
前記延出部の幅方向の両端部には、それぞれ前記凸部が形成されていることが好ましい。このような態様とすると、延出部の幅方向の両側の端部において腐食経路を長くすることができ、かつ、延出部の強度を高めることができる。
【0013】
前記凸部には、孔部が形成されていることが好ましい。
端子金具の腐食は端面に沿って進行するとともに、内部方向にも進行するため、孔部が形成されていない凸部を備える延出部においては、図11に示すように、腐食が開始した一端部とは反対側の端部まで、腐食が止まることなく進行してしまうことが懸念される。そこで、上記のような態様とすると、図10に示すように、腐食が一端部(端面)から内部方向に進んだとしても、孔部により腐食が中断される(図10中のF2線を参照)ので、腐食がワイヤバレルに至るのを防止することができる。
【0014】
前記止水壁は、前記延出部の外周を全周に亘って包囲するように形成されていることが好ましい。このような態様とすると、止水壁は、止水被覆の内面と、全周に亘って密着することができるので、防水性を一層向上させることができる。
【0015】
前記絶縁被覆の端部には樹脂リングが外嵌されており、前記止水被覆の内面は前記樹脂リングと密着していることが好ましい。このような態様とすると、絶縁被覆の端部側から水が浸入することを確実に抑制できるので、防水性を一層向上させることができる。
【0016】
ところで、芯線を構成する金属と、端子金具を構成する金属とが異なる場合、芯線とワイヤーバレルとの双方に亘って水が付着すると、芯線又はワイヤーバレルに電食が発生することが懸念される。本発明によれば、芯線とワイヤーバレルとは止水被覆によって確実に防水されるので、芯線又はワイヤーバレルが電食により溶解することを抑制できる。このため、前記芯線を構成する金属と、前記端子金具を構成する金属とが異なるときに特に有効である。
【0017】
また、前記芯線がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる態様において特に有効である。
アルミニウム又はアルミニウム合金は比重が比較的に小さいので、電線を軽量化できる。その一方で、アルミニウム又はアルミニウム合金は比較的にイオン化傾向が高いので、電食が発生した場合に溶解しやすい。上記の態様によれば、芯線とワイヤーバレルとは止水被覆によって確実に止水されるので、芯線がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる場合に特に有効である。
【0018】
前記止水被覆の内周面には接着層または粘着層が形成されていることが好ましい。
このような態様とすると、止水被覆の内周面と、止水壁から絶縁被覆の端部に至る領域とを隙間なく密着させることができる。
【0019】
前記止水被覆が熱収縮チューブまたはゴム弾性を有する弾性チューブであることが好ましい。
止水被覆が熱収縮チューブであると、加熱前の状態においては、熱収縮チューブの内径は比較的に大きいので、上記の領域の外周に容易に配置することができる。その後、加熱により収縮させることで、熱収縮チューブの内面を、止水壁及び絶縁被覆の端部と密着させることができる。このように、止水被覆として熱収縮チューブを用いることにより、止水壁から絶縁被覆の端部に至る領域の外周に熱収縮チューブを配置する工程の作業効率を向上させることができる。
【0020】
一方、止水被覆が弾性チューブであると、弾性チューブを拡径させた状態で、止水壁から絶縁被覆の端部に至る領域の外周に配置し、その後、弾性チューブを復帰変形させる。すると、弾性チューブの内面は、止水壁及び絶縁被覆の端部と密着する。このように本態様によれば、簡易な工程により、弾性チューブを止水壁から絶縁被覆の端部に至る領域に被覆できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、端子金具付き電線及び端子金具の防水性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態1に係る端子金具付き電線を示す側面図
【図2】端子金具付き電線を示す要部切欠断面図
【図3】延出部を示す要部拡大断面図
【図4】曲げ工程が終了した状態を示す平面図
【図5】モールド工程が終了した状態を示す平面図
【図6】実施形態2に係る端子金具付き電線を作製する工程において、モールド工程が終了した状態を示す側面図
【図7】図6の状態の平面図
【図8】曲げ工程が終了した状態を示す平面図
【図9】図8の状態の側面図
【図10】延出部の凸部における腐食の状態を模式的に示した模式図
【図11】孔部を有さない凸部における腐食の状態を模式的に示した模式図
【図12】実施形態3に係る端子金具付き電線を作製する工程において、モールド工程が終了した状態を示す側面図
【図13】曲げ工程が終了した状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態1>
本発明の実施形態1に係る端子金具付き電線10を、図1ないし図5を参照しつつ説明する。本実施形態に係る端子金具付き電線10は、電線11と、この電線11の端末に接続された雌端子金具12(端子金具12の一例)と、を備える。
【0024】
(電線11)
電線11は、複数の金属細線を撚り合せてなる1つの芯線13と、芯線13の外周を被覆する合成樹脂製の絶縁被覆14と、を備える。芯線13は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属から構成される。本実施形態においては、アルミニウム又はアルミニウム合金が用いられている。電線11の端末においては、絶縁被覆14が剥離されることにより、芯線13が露出している。なお、芯線13は単芯線でもよい。
【0025】
(雌端子金具12)
雌端子金具12は金属板材を所定形状のプレス加工して形成される。雌端子金具12を構成する金属としては、銅、銅合金等、必要に応じて任意の金属を採用しうる。また、金属板材の表面には図示しないメッキ層が形成されている。メッキ層を構成する金属としては、スズ、ニッケル等、必要に応じて任意の金属を採用しうる。本実施形態においては、銅又は銅合金の表面にスズメッキ層が形成されている。なお、金属板材の表面にメッキ層を形成しない構成としてもよい。
【0026】
雌端子金具12は、電線11の絶縁被覆14及び芯線13が載置される底板15を有する。底板15の側縁には、1対のインシュレーションバレル16が突出して形成されている。インシュレーションバレル16は、電線11の絶縁被覆14及び芯線13が底板15に載置された状態で、絶縁被覆14を外側から抱くようにして絶縁被覆14に圧着されている。
【0027】
底板15には、インシュレーションバレル16よりも芯線13の端部寄りの位置に、底板15の側縁から1対のワイヤーバレル17が突出して形成されている。ワイヤーバレル17は、電線11の絶縁被覆14及び芯線13が底板15に載置された状態で、芯線13の外側から抱くようにして芯線13に圧着されている。
【0028】
図4に示すように、底板15のうちワイヤーバレル17に対応する領域、及びワイヤーバレル17には、芯線13が載置される側の面に、複数の凹部18が形成されている。凹部18は、略四角形状をなしており、詳細には略平行四辺形状をなしている。凹部18は、芯線13の延びる方向(図4における左右方向)と略直交する1対の第1辺と、芯線13の延びる方向と90°よりも小さな角度で交差する1対の第2辺と、を備える。隣り合う凹部18同士は、第1辺同士が直線状に並んで配されると共に、第2辺同士も直線上に並んで配されている。これにより、凹部18をプレス加工する際に用いる金型(図示せず)を、複数の条溝を形成することで形成できるので、製造コストを削減できる。また、芯線13の延びる方向について隣り合う凹部18の第1辺同士は、芯線13の延びる方向についてオーバーラップして配されているので、芯線13とワイヤーバレル17との固着力を向上させることができる。また、複数の凹部18の口縁が芯線13の表面に摺接するので、凹部18の口縁と芯線13との接触面積が大きくなる結果、雌端子金具12と芯線13との電気抵抗値を低くすることができる。
【0029】
底板15には、芯線13の延びる方向に更に延びると共に、芯線13が載置された側の面が凹形状に曲げ加工された延出部19が形成されている。延出部19は、断面が略U字形状をなして上方に開口している。なお、延出部19の断面形状は、例えば半円形状などであってもよいし、延出部19は平板状のものであってもよく、必要に応じて任意の形状としうる。
【0030】
さて、延出部19の幅方向(図4における上下方向)の両端部19F,19Fには、方形状の凸部19Aが1つずつ突出形成されている。各凸部19A,19Aは、内側方向(端子金具10の中心軸方向)に折り曲げられている。
【0031】
延出部19には、芯線13の延びる方向に更に延びて、筒状をなすと共に図示しない相手側端子金具と接続する接続筒部20が形成されている。接続筒部20内には相手側端子金具と弾性的に接触する弾性接触片21が設けられている。
【0032】
(止水壁22)
延出部19には、合成樹脂材をモールド成形することにより止水壁22が設けられている。止水壁22を形成する合成樹脂材としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いてもよく、また、エポキシ樹脂等の熱硬化製樹脂を用いてもよく、必要に応じて任意の合成樹脂材を用いることができる。上記の合成樹脂材は、1種類のみを用いてもよく、また、複数種類の合成樹脂材を混合して用いてもよい。本実施形態においては、ポリアミド系熱可塑性樹脂が用いられている。
【0033】
止水壁22は、延出部19の外周を全周に亘って包囲して形成されており、延出部19の両端部19F,19Fに形成された凸部19A,19Aは、内側方向に折り曲げられた状態で、止水壁22の内部に収容されている。延出部19内には、止水壁22を構成する合成樹脂材が充填されている。本実施形態においては、止水壁22の断面は、角が丸められた略四角形状をなしている。
【0034】
(樹脂リング23)
電線11の端部には合成樹脂製の樹脂リング23が外嵌されている。詳細には、絶縁被覆14の端部であって、インシュレーションバレル16が圧着された部分よりも後方(露出した芯線13と反対方向)の位置に、断面形状が円形状をなす樹脂リング23が外嵌されている。樹脂リング23の内径は絶縁被覆14の外径と略同じに設定されている。これにより、樹脂リング23は、電線11の端部に、容易に外嵌させることができるようになっている。なお、略同じとは、樹脂リング23の内径が絶縁被覆14の外径と同じ場合と、樹脂リング23の内径が絶縁被覆14の外径よりもやや大きい場合と、樹脂リング23の内径が絶縁被覆14の外形よりもやや小さい場合と、を含む。
【0035】
樹脂リング23を構成する合成樹脂材としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いてもよく、また、エポキシ樹脂等の熱硬化製樹脂を用いてもよく、必要に応じて任意の合成樹脂材を用いることができる。上記の合成樹脂材は、1種類のみを用いてもよく、また、複数種類の合成樹脂材を混合して用いてもよい。本実施形態においては、ポリアミド系熱可塑性樹脂が用いられている。
【0036】
(止水被覆25)
延出部19のうち止水壁22が形成された部分から、ワイヤーバレル17、インシュレーションバレル16、樹脂リング23が外嵌された部分、更に、樹脂リング23を越えて絶縁被覆14に至るまでの領域には、合成樹脂材からなる止水被覆25によって被覆されている。本実施形態においては、止水被覆25は熱収縮チューブ24からなる。本実施形態においては、熱収縮チューブ24の内面には、図示しない接着層又は粘着層が形成されている。接着層又は粘着層は、加熱されて軟化又は溶融することにより、接着性又は粘着性が発現するようになっている。なお、熱収縮チューブ24の内面に接着層又は粘着層を設けない構成としてもよい。熱収縮チューブ24の長さ寸法は、止水壁22から樹脂リング23に至る領域の長さ寸法よりも長く設定されている。
【0037】
熱収縮チューブ24の内面は、熱収縮チューブ24が加熱されて収縮した状態において、止水壁22の外周面と全周に亘って隙間なく密着している。また、熱収縮チューブ24の内面は、樹脂リング23の外周面と全周に亘って隙間なく密着している。
【0038】
止水壁22を構成する合成樹脂材として、加熱によって軟化又は溶融することにより接着性を発現するものを用いてもよい。この場合には、熱収縮チューブ24を加熱する工程において、止水壁22を軟化又は溶融させ、熱収縮チューブ24の内面と止水壁22とを接着する構成とすることができる。
【0039】
また、樹脂リング23を構成する合成樹脂材として、加熱によって軟化又は溶融することにより接着性を発現するものを用いてもよい。この場合には、熱収縮チューブ24を加熱する工程において、樹脂リング23を軟化又は溶融させ、熱収縮チューブ24の内面と樹脂リング23とを接着する構成とすることができる。更に、樹脂リング23を上記のような合成樹脂材で形成することにより、樹脂リング23と絶縁被覆14の外周面とを接着することができる。
【0040】
(製造工程)
続いて、本実施形態に係る端子金具付き電線10の製造工程の一例を示す。まず、金属板材に打ち抜き工程を実行することにより、帯状をなすキャリア26と、このキャリア26の側縁に連結された複数の端子金具片27と、を形成する。キャリア26には、長手方向に沿って略等間隔に並ぶ送り孔28が形成されている。この送り孔28には、加工機に設けられた図示しない送り爪が係合するようになっている。
【0041】
キャリア26には、複数の端子金具片27が、長手方向に沿って略等間隔に並んで連結されている。端子金具片27は、電線11の絶縁被覆14及び芯線13が載置される底板15と、この底板15から突出して絶縁被覆14に圧着されるインシュレーションバレル16と、底板15から突出して芯線13に圧着されるワイヤーバレル17と、を備える。
【0042】
この打ち抜き工程において、ワイヤーバレル17のうち芯線13が載置される側の面に複数の凹部18を形成してもよい。また、打ち抜き工程とは別の工程において、上記の凹部18を形成してもよい。
【0043】
打ち抜き工程が実行された金属板材に対して、曲げ工程を実行する。この曲げ工程を実行することにより、芯線13が底板15に載置された状態において芯線13の延びる方向に延びて形成されると共に芯線13が載置された側の面が凹形状をなす延出部19と、延出部19から芯線13の延びる方向に対応する方向に延びて形成された接続筒部20と、を形成する(図4参照)。
曲げ工程を実行する際に、延出部19の幅方向の両端部19F,19Fから突出する凸部19A,19Aをそれぞれ、内側方向(端子金具片27の中心軸方向)へ折り曲げて延出部20を箱状に形成しておく。
【0044】
続いて、キャリア26に形成された送り孔28を送り爪に係合させることで、順次、端子金具片27を送りながら、端子金具片27の延出部19に合成樹脂材をモールド成形する。詳細に説明すると、まず、図示しない1対の金型によって、延出部19のうち止水壁22を形成すべき部分を挟む。次いで、金型に形成されたキャビティの内部に、溶融状態の合成樹脂材を注入する。合成樹脂材が金型内で固化した後、1対の金型を開き、止水壁22が形成された端子金具片27を金型から離脱させる。上記の工程を、略一定の間隔で、キャリア26に連結された複数の端子金具片27に対して連続的に実行する(図5参照)。
【0045】
一方、電線11の絶縁被覆14を剥離して芯線13を露出させる。その後、絶縁被覆14の端部に、樹脂リング23を外嵌する。樹脂リング23は、絶縁被覆14のうちワイヤーバレル17が圧着される領域と異なる部分(芯線13と反対側に位置する部分)に外嵌する。
【0046】
続いて端子金具片27に対して圧着工程を実行する。詳細に説明すると、電線11から露出する芯線13及び絶縁被覆14を、端子金具片27の底板15に載置する。その後、図示しない金型によってインシュレーションバレル16、及びワイヤーバレル17をそれぞれ、絶縁被覆14、及び芯線13の外側から抱くように曲げ加工する。これにより、インシュレーションバレル16を絶縁被覆14に圧着すると共に、ワイヤーバレル17を芯線13に圧着する。
【0047】
本実施形態においては、上記の圧着工程と同時に、キャリア26と端子金具片27とを切断する切断工程を実行する。これにより、各端子金具片27はキャリア26から切断されて雌端子金具12とされ、且つ、電線11に接続された状態の端子金具付き電線10とされる。
【0048】
続いて、被覆工程を実行する。詳細に説明すると、熱収縮チューブ24を、電線11側、又は雌端子金具12側から挿通し、止水壁22から樹脂リング23を越えて絶縁被覆14に至る領域に配置する。熱収縮チューブ24の内径は、加熱前の状態において、接続筒部20の外形状よりも大きく設定することにより、比較的容易に、雌端子金具12側から挿通させることができる。また、電線11側から挿通させる場合には、圧着工程を実行する前に、予め電線11に熱収縮チューブ24を挿通させておけばよい。
【0049】
熱収縮チューブ24を挿通させた後、図示しない加熱装置で加熱する加熱工程を実行することにより、熱収縮チューブ24を収縮させる。これにより、熱収縮チューブ24の内面を、止水壁22及び樹脂リング23と隙間なく密着させる。以上により、端子金具付き電線10が完成する。
【0050】
なお、上記の加熱工程において、接続筒部20を上方に向けた姿勢で加熱することにより、加熱工程において止水壁22が溶融した場合でも、止水壁22を構成する合成樹脂材が接続筒部20内に流入することを抑制することができる。これにより、接続筒部20における相手側端子金具との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0051】
(作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態によれば、延出部19には止水壁22が設けられているので、延出部19から水が浸入して、芯線13及びワイヤーバレル17に水が付着することを抑制できる。更に、止水壁22の外周面は、熱収縮チューブ24の内面と、全周に亘って隙間なく密着しているので、止水壁22と熱収縮チューブ24との間から水が浸入することも抑制される。これにより、延出部19のうち止水壁22が設けられた部分から、ワイヤーバレル17、インシュレーションバレル16、樹脂リング23が外嵌された部分、更に、樹脂リング23を越えて絶縁被覆14に至るまでの領域は、熱収縮チューブ24によって止水されるので、芯線13及びワイヤーバレル17に水が付着することを確実に抑制できる。
【0052】
また、本実施形態によれば、絶縁被覆14の端部には樹脂リング23が外嵌されており、熱収縮チューブ24の内面は樹脂リング23と全周に亘って隙間なく密着している。これにより、絶縁被覆14の端部側から水が浸入することを確実に抑制できるので、芯線13及びワイヤーバレル17に水が付着することを一層確実に抑制できる。
【0053】
上述したように、本実施形態では、止水壁22や熱収縮チューブ24が設けられているので、延出部19からの水の浸入が抑制されてはいるが、延出部19の接続筒部20側の端部19S(ワイヤバレル17側とは反対側の端部)と止水壁22との間の隙間から水が浸み込んで、延出部19に水が付着する場合がある。
ここで、本実施形態の雌端子金具12は、メッキを施した金属板材を所定形状に打ち抜く打ち抜き工程を経て作製されるので、端面にはメッキが施されておらず、他の部分よりも酸化(腐食)が進みやすい。そのため、延出部19と止水壁22との隙間から浸入した水が延出部19に付着すると、図5の矢線Xで示すように、延出部19の端面19Cに沿って腐食が進行する。
【0054】
しかしながら、本実施形態においては、延出部10の幅方向の端部19Dに凸部19Aが形成されているので、延出部19の端面の長さが、凸部10Aのない構成のものよりも、凸部19Aの外周縁分だけ長くなっている。その結果、本実施形態によれば、腐食経路が長くなるので、腐食がワイヤバレル17に至るのを遅延させることができる。
【0055】
特に、本実施形態によれば、延出部19の幅方向の両端部19D,19Dに、それぞれ凸部19A,19Aが形成されているから、延出部19の両端部19D,19Dにおいて腐食経路を長くすることができ、かつ、延出部19の強度を高めることができる。
【0056】
ところで、芯線13を構成する金属と、雌端子金具12を構成する金属とが異なる場合、芯線13とワイヤーバレル17との双方に亘って水が付着すると、芯線13又はワイヤーバレル17に電食が発生することが懸念される。本実施形態によれば、芯線13とワイヤーバレル17とは熱収縮チューブ24によって確実に防水されるので、芯線13又はワイヤーバレル17が電食により溶解することを抑制できる。
【0057】
特に、本実施形態のように、芯線13がアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、雌端子金具12が銅又は銅合金の表面にスズメッキ層が形成されてなる場合には、比較的にイオン化傾向の大きなアルミニウム又はアルミニウム合金からなる芯線13が電食により溶解するおそれがあるので、特に有効である。なお、アルミニウム又はアルミニウム合金は比重が比較的に小さいので、電線11を軽量化できる。
【0058】
また、本実施形態によれば、止水被覆25が熱収縮チューブ24からなる。加熱前の状態においては、熱収縮チューブ24の内径は比較的に大きいので、上記の領域の外周に容易に配置することができる。その後、加熱により収縮させることで、熱収縮チューブ24の内面を、止水壁22及び絶縁被覆14の端部と隙間なく密着させることができる。このように、止水被覆25として熱収縮チューブ24を用いることにより、止水壁22から絶縁被覆14の端部に至る領域の外周に熱収縮チューブ24を配置する工程の作業効率を向上させることができる。
【0059】
更に、熱収縮チューブ24の内周面には接着層又は粘着層が形成されているので、熱収縮チューブ24を収縮させるための加熱工程を実行することにより、熱収縮チューブ24の内面と、止水壁22とを確実に隙間なく密着させることができると共に、熱収縮チューブ24と絶縁被覆14の端部とを確実に隙間なく密着させることができる。
【0060】
このように、止水被覆25として内周面に接着層又は粘着層が形成された熱収縮チューブ24を用いることにより、止水壁22から絶縁被覆14の端部に至る領域の外周に熱収縮チューブ24を配置する工程の作業効率を向上させることができると共に、熱収縮チューブ24と、止水壁22及び絶縁被覆14の端部との密着性を向上させることができる。
【0061】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を、図6〜図11を参照しつつ説明する。本実施形態においては、延出部19の幅方向の両端部19D,19Dに形成された凸部19A,19Aには、それぞれ、方形状の孔部19B,19Bが形成されている点で実施形態1と相違する。上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0062】
本実施形態において、止水壁22は、図6および図7に示すように、延出部19の外周を全周に亘って包囲して形成されており、延出部19の両端部19D,19Dに形成された凸部19A,19Aは、内側方向に折り曲げられた状態で、止水壁22の内部に収容されている。各凸部19A,19Aには、図8および図9に示すように、方形状の孔部19B,19Bがそれぞれ形成されている。
【0063】
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。
本実施形態によれば延出部19に凸部19Aが形成されているので、実施形態1と同様に、延出部19の端面の長さが、凸部10Aのない構成のものよりも、凸部19Aの外周縁分だけ長くなっている。したがって、本実施形態によっても、腐食経路(図7中の矢線Y)が長くなるので、腐食がワイヤバレル17に至るのを遅延させることができる。
【0064】
ところで、端子金具10の腐食は端面に沿って進行するとともに、内部方向にも進行する。ここで、本実施形態(孔部19Bが形成された凸部19Aを備える延出部19)における腐食の進行と、孔部19Bが形成されていない凸部19Aを備える延出部19における腐食の進行とを、図10および図11を対比しながら説明する。図10および図11中のF1、F2およびF3は、腐食の範囲を示す線であり、同じ時間が経過したときの腐食の範囲を同じ符号を付して各図において示した。
【0065】
本実施形態では、図10に示すように、腐食が接続筒部側の端部19Sから内部方向に進んだ場合に、孔部19Bに至ったところで、一部の腐食が止まる(図中、F2を参照)。その後は、孔部19Bを避けて、図10における上方に腐食が進むものの(F3を参照)、ワイヤバレル17側の端部19Eにまで腐食は到達しにくい。
一方、孔部19Bが形成されていない凸部19Aを備える延出部19においては、接続筒部側の端部19Sとワイヤバレル17側の端部19Eとの間に腐食を中断するものがないため、図11に示すようにF2に示す範囲まで腐食が進んだ後も腐食が進みやすく、ワイヤバレル17側の端部19Eの近傍にまで腐食が及んでしまう。
【0066】
以上より、本実施形態によれば、延出部19の凸部19Aに孔部19Bが形成されているので、腐食がワイヤバレル17に至るのを防止することができる。
【0067】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3について図12および図13を参照しつつ説明する。本実施形態においては、延出部19の幅方向の両端部19D,19Dに、凸部19Aと凹み部19Fが交互に形成されている点で実施形態1と相違する。上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0068】
本実施形態においては、延出部19の幅方向の両端部19D,19Dにはそれぞれ、凸部19Aと凹み部19Fとが交互に形成されている。詳しくは4つの凸部19Aの間に凹み部19Fがそれぞれ(合計3つ)形成されている。
【0069】
本実施形態によれば、延出部19の幅方向の両端部19D,19Dにはそれぞれ、凸部19Aと凹み部19Fとが交互に形成されているから、延出部19の端面の長さが、凸部10Aおよび凹み部19Fのない構成のものよりも、凸部19Aおよび凹み部19Fの外周縁分だけ長くなっている。その結果、本実施形態によれば、腐食経路(図12中の矢線Z)が長くなるので、腐食がワイヤバレル17に至るのを遅延させることができる。
【0070】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態においては、端子金具は雌端子金具12であったが、これに限られず、延出部19から芯線13の延びる方向に、更に延びて形成された雄タブを備えた雄端子金具であってもよく、また、延出部19に連なって円板状の接続部を形成し、この接続部に貫通孔が形成された、いわゆるLA端子であってもよく、また、延出部19に連なって更に形成された他のワイヤーバレル17に複数の電線11が接続されたスプライス端子であってもよく、必要に応じて任意の形状の端子金具とすることができる。
(2)実施形態1においては、止水壁22の断面は略四角形状をなしていたが、これに限られず、円形状、楕円形状、長円形状等でもよく、また、三角形状等の多角形状であってもよく、必要に応じて任意の形状とすることができる。
(3)止水被覆25は、シート状をなす止水テープを、止水壁22から絶縁被覆14の端部に至る領域に巻回する構成としてもよい。
(4)本実施形態においては、止水壁22は、芯線13にワイヤーバレル17を圧着する工程の前に形成する構成としたが、これに限られず、止水壁22は、芯線13にワイヤーバレル17を圧着した後に形成する構成としてもよい。
(5)本実施形態においては、芯線13がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる構成としたが、これに限られず、芯線13は銅又は銅合金からなる構成としてもよく、必要に応じて任意の金属により形成される構成としてもよい。また、本実施形態においては、端子金具が銅又は銅合金からなると共に表面にスズメッキ層が形成される構成としたが、これに限られず、端子金具は必要に応じて任意の金属からなる構成としてもよい。
なお、端子金具を構成する材料としてメッキを施していない金属板材を用いた場合であっても、端面では他の部分よりも腐食が進みやすいため、本発明の効果が得られる。
(6)本実施形態においては、圧着工程と切断工程とを同一の工程で実行する態様としたが、これに限られず、圧着工程を実行した後に、切断工程を実行する構成としてもよい。
(7)本実施形態においては、端子金具にはインシュレーションバレル16が形成される構成としたが、インシュレーションバレル16は省略してもよい。
(8)止水被覆25は、延出部19のうち止水壁22が形成された部分から、ワイヤーバレル17、インシュレーションバレル16、樹脂リング23が外嵌された部分に至るまでの領域を被覆する構成としてもよい。
(9)本実施形態においては、樹脂リング23は円環状をなす構成としたが、これに限られず、例えば、樹脂リング23にはスリットを形成し、断面形状が略C字状をなす形態としてもよい。これにより、樹脂リング23は容易に拡径可能となるので、例えば、端子金具を電線11に圧着した後に、樹脂リング23を拡径させて、電線11に外嵌させることができる。
(10)本実施形態においては、延出部19の両端部19D,19Dに凸部19Aおよび凹み部19Fのうち少なくとも一方を形成したものを示したが、凸部19Aおよび凹み部19Fのうち少なくとも一方を片側の端部19Dのみに形成してもよい。
(11)本実施形態では、熱収縮チューブ24を止水被覆25として用いたものを示したが、止水被覆25として弾性チューブを用いてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10…端子金具付き電線
11…電線
12…雌端子金具(端子金具)
13…芯線
14…絶縁被覆
15…底板
17…ワイヤーバレル
19…延出部
19A…凸部
19B…孔部
19C…(延出部の)端面
19D…(延出部の)端部
19F…凹み部
22…止水壁
23…樹脂リング
24…熱収縮チューブ
25…止水被覆
27…端子金具片
X,Y,Z…腐食経路
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子金具付き電線および端子金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端子金具付き電線として特許文献1に記載のものが知られている。この端子金具付き電線は、芯線の外周を絶縁被覆で被覆してなる電線と、絶縁被覆から露出する芯線に接続された端子金具と、を備える。端子金具は、芯線が載置された平板状の基板部と、この基板部から突出されると共に芯線に圧着されたワイヤーバレルと、を備える。
【0003】
基板部から絶縁被覆の端部に至る領域には、熱収縮チューブが被せられている。熱収縮チューブの一端側はワイヤーバレルで圧着された芯線を被覆していると共に他端側は絶縁被覆に密着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−285983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記の構成によると、基板部は平板状をなしているので、熱収縮チューブの一端側と、基板部との間に隙間が形成されることが懸念される。すると、この隙間から水が熱収縮チューブ内に浸入し、この水が芯線及びワイヤーバレルと接触することが懸念される。すると、芯線又はワイヤーバレルの表面が酸化される等の不具合が発生することが懸念される。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、防水性に優れた端子金具付き電線および端子金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するものとして本発明は、芯線の外周を絶縁被覆で被覆してなる電線に端子金具が接続されてなる端子金具付き電線であって、前記端子金具は、前記絶縁被覆の端部から露出された前記芯線に圧着されたワイヤーバレルと、前記ワイヤーバレルの底板から延びる延出部と、を備えて構成され、前記延出部には、合成樹脂をモールド成形してなる止水壁が設けられ、この止水壁の外面と前記絶縁被覆の端部の外面とに密着して前記止水壁と前記絶縁被覆の端部との間に亘って前記芯線を覆う筒状の止水被覆が設けられ、前記延出部の幅方向の端部には、前記端部から突出する凸部、および前記端部よりも凹んだ凹み部のうち、少なくとも一方が形成されていることを特徴とする端子金具付き電線である。
【0008】
また、本発明は、芯線の外周を絶縁被覆で被覆してなる電線から露出する前記芯線に接続される端子金具であって、前記端子金具は、前記絶縁被覆の端部から露出された前記芯線に圧着されたワイヤーバレルと、前記ワイヤーバレルの底板から延びる延出部と、を備え、前記延出部には、合成樹脂をモールド成形してなる止水壁が設けられ、この止水壁の外面と前記絶縁被覆の端部の外面とに密着して前記止水壁と前記絶縁被覆の端部との間に亘って前記芯線を覆う筒状の止水被覆が設けられ、前記延出部の幅方向の端部には、前記端部から突出する凸部、および前記端部よりも凹んだ凹み部のうち、少なくとも一方が形成されていることを特徴とする端子金具である。
【0009】
本発明によれば、延出部には止水壁が設けられているので、延出部から水が浸入することを抑制できる。更に、止水壁は止水被覆の内面と密着しているので、止水壁と止水被覆との間から水が浸入することも抑制される。これにより、止水壁から絶縁被覆の端部に至る領域は、止水被覆によって防水されるので、芯線及びワイヤーバレルに水が付着することを抑制できる。その結果、本発明によれば、防水性に優れた端子金具付き電線および端子金具を提供することができる。
【0010】
上述したように、止水壁と止水被覆とを設けることにより、防水性を高めることはできるが、延出部のワイヤバレル側とは反対側の端部と止水壁との間の隙間から、水が浸み込むなどにより、延出部の一部に水が付着する場合がある。端子金具は多くの場合、金属板材にメッキなどを施してから所定形状に打ち抜かれる工程を経て製造されるため、端子金具の端面にはメッキが施されておらず、他の部分よりも酸化(腐食)が進みやすくなっている、したがって、延出部に水が浸み込んだ場合には、端面に沿って腐食が進むことが懸念される。
【0011】
しかしながら、本発明においては、延出部の幅方向の端部に凸部および凹み部のうち少なくとも一方が形成されているので、延出部の端面の長さが、凸部や凹み部のない構成のものよりも凸部や凹み部の周縁の長さ分だけ長くなっている(図5を参照)。その結果、本発明によれば、腐食経路が長くなるので、腐食がワイヤバレルに至るのを遅延させることができる。
【0012】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。
前記延出部の幅方向の両端部には、それぞれ前記凸部が形成されていることが好ましい。このような態様とすると、延出部の幅方向の両側の端部において腐食経路を長くすることができ、かつ、延出部の強度を高めることができる。
【0013】
前記凸部には、孔部が形成されていることが好ましい。
端子金具の腐食は端面に沿って進行するとともに、内部方向にも進行するため、孔部が形成されていない凸部を備える延出部においては、図11に示すように、腐食が開始した一端部とは反対側の端部まで、腐食が止まることなく進行してしまうことが懸念される。そこで、上記のような態様とすると、図10に示すように、腐食が一端部(端面)から内部方向に進んだとしても、孔部により腐食が中断される(図10中のF2線を参照)ので、腐食がワイヤバレルに至るのを防止することができる。
【0014】
前記止水壁は、前記延出部の外周を全周に亘って包囲するように形成されていることが好ましい。このような態様とすると、止水壁は、止水被覆の内面と、全周に亘って密着することができるので、防水性を一層向上させることができる。
【0015】
前記絶縁被覆の端部には樹脂リングが外嵌されており、前記止水被覆の内面は前記樹脂リングと密着していることが好ましい。このような態様とすると、絶縁被覆の端部側から水が浸入することを確実に抑制できるので、防水性を一層向上させることができる。
【0016】
ところで、芯線を構成する金属と、端子金具を構成する金属とが異なる場合、芯線とワイヤーバレルとの双方に亘って水が付着すると、芯線又はワイヤーバレルに電食が発生することが懸念される。本発明によれば、芯線とワイヤーバレルとは止水被覆によって確実に防水されるので、芯線又はワイヤーバレルが電食により溶解することを抑制できる。このため、前記芯線を構成する金属と、前記端子金具を構成する金属とが異なるときに特に有効である。
【0017】
また、前記芯線がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる態様において特に有効である。
アルミニウム又はアルミニウム合金は比重が比較的に小さいので、電線を軽量化できる。その一方で、アルミニウム又はアルミニウム合金は比較的にイオン化傾向が高いので、電食が発生した場合に溶解しやすい。上記の態様によれば、芯線とワイヤーバレルとは止水被覆によって確実に止水されるので、芯線がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる場合に特に有効である。
【0018】
前記止水被覆の内周面には接着層または粘着層が形成されていることが好ましい。
このような態様とすると、止水被覆の内周面と、止水壁から絶縁被覆の端部に至る領域とを隙間なく密着させることができる。
【0019】
前記止水被覆が熱収縮チューブまたはゴム弾性を有する弾性チューブであることが好ましい。
止水被覆が熱収縮チューブであると、加熱前の状態においては、熱収縮チューブの内径は比較的に大きいので、上記の領域の外周に容易に配置することができる。その後、加熱により収縮させることで、熱収縮チューブの内面を、止水壁及び絶縁被覆の端部と密着させることができる。このように、止水被覆として熱収縮チューブを用いることにより、止水壁から絶縁被覆の端部に至る領域の外周に熱収縮チューブを配置する工程の作業効率を向上させることができる。
【0020】
一方、止水被覆が弾性チューブであると、弾性チューブを拡径させた状態で、止水壁から絶縁被覆の端部に至る領域の外周に配置し、その後、弾性チューブを復帰変形させる。すると、弾性チューブの内面は、止水壁及び絶縁被覆の端部と密着する。このように本態様によれば、簡易な工程により、弾性チューブを止水壁から絶縁被覆の端部に至る領域に被覆できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、端子金具付き電線及び端子金具の防水性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態1に係る端子金具付き電線を示す側面図
【図2】端子金具付き電線を示す要部切欠断面図
【図3】延出部を示す要部拡大断面図
【図4】曲げ工程が終了した状態を示す平面図
【図5】モールド工程が終了した状態を示す平面図
【図6】実施形態2に係る端子金具付き電線を作製する工程において、モールド工程が終了した状態を示す側面図
【図7】図6の状態の平面図
【図8】曲げ工程が終了した状態を示す平面図
【図9】図8の状態の側面図
【図10】延出部の凸部における腐食の状態を模式的に示した模式図
【図11】孔部を有さない凸部における腐食の状態を模式的に示した模式図
【図12】実施形態3に係る端子金具付き電線を作製する工程において、モールド工程が終了した状態を示す側面図
【図13】曲げ工程が終了した状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態1>
本発明の実施形態1に係る端子金具付き電線10を、図1ないし図5を参照しつつ説明する。本実施形態に係る端子金具付き電線10は、電線11と、この電線11の端末に接続された雌端子金具12(端子金具12の一例)と、を備える。
【0024】
(電線11)
電線11は、複数の金属細線を撚り合せてなる1つの芯線13と、芯線13の外周を被覆する合成樹脂製の絶縁被覆14と、を備える。芯線13は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属から構成される。本実施形態においては、アルミニウム又はアルミニウム合金が用いられている。電線11の端末においては、絶縁被覆14が剥離されることにより、芯線13が露出している。なお、芯線13は単芯線でもよい。
【0025】
(雌端子金具12)
雌端子金具12は金属板材を所定形状のプレス加工して形成される。雌端子金具12を構成する金属としては、銅、銅合金等、必要に応じて任意の金属を採用しうる。また、金属板材の表面には図示しないメッキ層が形成されている。メッキ層を構成する金属としては、スズ、ニッケル等、必要に応じて任意の金属を採用しうる。本実施形態においては、銅又は銅合金の表面にスズメッキ層が形成されている。なお、金属板材の表面にメッキ層を形成しない構成としてもよい。
【0026】
雌端子金具12は、電線11の絶縁被覆14及び芯線13が載置される底板15を有する。底板15の側縁には、1対のインシュレーションバレル16が突出して形成されている。インシュレーションバレル16は、電線11の絶縁被覆14及び芯線13が底板15に載置された状態で、絶縁被覆14を外側から抱くようにして絶縁被覆14に圧着されている。
【0027】
底板15には、インシュレーションバレル16よりも芯線13の端部寄りの位置に、底板15の側縁から1対のワイヤーバレル17が突出して形成されている。ワイヤーバレル17は、電線11の絶縁被覆14及び芯線13が底板15に載置された状態で、芯線13の外側から抱くようにして芯線13に圧着されている。
【0028】
図4に示すように、底板15のうちワイヤーバレル17に対応する領域、及びワイヤーバレル17には、芯線13が載置される側の面に、複数の凹部18が形成されている。凹部18は、略四角形状をなしており、詳細には略平行四辺形状をなしている。凹部18は、芯線13の延びる方向(図4における左右方向)と略直交する1対の第1辺と、芯線13の延びる方向と90°よりも小さな角度で交差する1対の第2辺と、を備える。隣り合う凹部18同士は、第1辺同士が直線状に並んで配されると共に、第2辺同士も直線上に並んで配されている。これにより、凹部18をプレス加工する際に用いる金型(図示せず)を、複数の条溝を形成することで形成できるので、製造コストを削減できる。また、芯線13の延びる方向について隣り合う凹部18の第1辺同士は、芯線13の延びる方向についてオーバーラップして配されているので、芯線13とワイヤーバレル17との固着力を向上させることができる。また、複数の凹部18の口縁が芯線13の表面に摺接するので、凹部18の口縁と芯線13との接触面積が大きくなる結果、雌端子金具12と芯線13との電気抵抗値を低くすることができる。
【0029】
底板15には、芯線13の延びる方向に更に延びると共に、芯線13が載置された側の面が凹形状に曲げ加工された延出部19が形成されている。延出部19は、断面が略U字形状をなして上方に開口している。なお、延出部19の断面形状は、例えば半円形状などであってもよいし、延出部19は平板状のものであってもよく、必要に応じて任意の形状としうる。
【0030】
さて、延出部19の幅方向(図4における上下方向)の両端部19F,19Fには、方形状の凸部19Aが1つずつ突出形成されている。各凸部19A,19Aは、内側方向(端子金具10の中心軸方向)に折り曲げられている。
【0031】
延出部19には、芯線13の延びる方向に更に延びて、筒状をなすと共に図示しない相手側端子金具と接続する接続筒部20が形成されている。接続筒部20内には相手側端子金具と弾性的に接触する弾性接触片21が設けられている。
【0032】
(止水壁22)
延出部19には、合成樹脂材をモールド成形することにより止水壁22が設けられている。止水壁22を形成する合成樹脂材としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いてもよく、また、エポキシ樹脂等の熱硬化製樹脂を用いてもよく、必要に応じて任意の合成樹脂材を用いることができる。上記の合成樹脂材は、1種類のみを用いてもよく、また、複数種類の合成樹脂材を混合して用いてもよい。本実施形態においては、ポリアミド系熱可塑性樹脂が用いられている。
【0033】
止水壁22は、延出部19の外周を全周に亘って包囲して形成されており、延出部19の両端部19F,19Fに形成された凸部19A,19Aは、内側方向に折り曲げられた状態で、止水壁22の内部に収容されている。延出部19内には、止水壁22を構成する合成樹脂材が充填されている。本実施形態においては、止水壁22の断面は、角が丸められた略四角形状をなしている。
【0034】
(樹脂リング23)
電線11の端部には合成樹脂製の樹脂リング23が外嵌されている。詳細には、絶縁被覆14の端部であって、インシュレーションバレル16が圧着された部分よりも後方(露出した芯線13と反対方向)の位置に、断面形状が円形状をなす樹脂リング23が外嵌されている。樹脂リング23の内径は絶縁被覆14の外径と略同じに設定されている。これにより、樹脂リング23は、電線11の端部に、容易に外嵌させることができるようになっている。なお、略同じとは、樹脂リング23の内径が絶縁被覆14の外径と同じ場合と、樹脂リング23の内径が絶縁被覆14の外径よりもやや大きい場合と、樹脂リング23の内径が絶縁被覆14の外形よりもやや小さい場合と、を含む。
【0035】
樹脂リング23を構成する合成樹脂材としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いてもよく、また、エポキシ樹脂等の熱硬化製樹脂を用いてもよく、必要に応じて任意の合成樹脂材を用いることができる。上記の合成樹脂材は、1種類のみを用いてもよく、また、複数種類の合成樹脂材を混合して用いてもよい。本実施形態においては、ポリアミド系熱可塑性樹脂が用いられている。
【0036】
(止水被覆25)
延出部19のうち止水壁22が形成された部分から、ワイヤーバレル17、インシュレーションバレル16、樹脂リング23が外嵌された部分、更に、樹脂リング23を越えて絶縁被覆14に至るまでの領域には、合成樹脂材からなる止水被覆25によって被覆されている。本実施形態においては、止水被覆25は熱収縮チューブ24からなる。本実施形態においては、熱収縮チューブ24の内面には、図示しない接着層又は粘着層が形成されている。接着層又は粘着層は、加熱されて軟化又は溶融することにより、接着性又は粘着性が発現するようになっている。なお、熱収縮チューブ24の内面に接着層又は粘着層を設けない構成としてもよい。熱収縮チューブ24の長さ寸法は、止水壁22から樹脂リング23に至る領域の長さ寸法よりも長く設定されている。
【0037】
熱収縮チューブ24の内面は、熱収縮チューブ24が加熱されて収縮した状態において、止水壁22の外周面と全周に亘って隙間なく密着している。また、熱収縮チューブ24の内面は、樹脂リング23の外周面と全周に亘って隙間なく密着している。
【0038】
止水壁22を構成する合成樹脂材として、加熱によって軟化又は溶融することにより接着性を発現するものを用いてもよい。この場合には、熱収縮チューブ24を加熱する工程において、止水壁22を軟化又は溶融させ、熱収縮チューブ24の内面と止水壁22とを接着する構成とすることができる。
【0039】
また、樹脂リング23を構成する合成樹脂材として、加熱によって軟化又は溶融することにより接着性を発現するものを用いてもよい。この場合には、熱収縮チューブ24を加熱する工程において、樹脂リング23を軟化又は溶融させ、熱収縮チューブ24の内面と樹脂リング23とを接着する構成とすることができる。更に、樹脂リング23を上記のような合成樹脂材で形成することにより、樹脂リング23と絶縁被覆14の外周面とを接着することができる。
【0040】
(製造工程)
続いて、本実施形態に係る端子金具付き電線10の製造工程の一例を示す。まず、金属板材に打ち抜き工程を実行することにより、帯状をなすキャリア26と、このキャリア26の側縁に連結された複数の端子金具片27と、を形成する。キャリア26には、長手方向に沿って略等間隔に並ぶ送り孔28が形成されている。この送り孔28には、加工機に設けられた図示しない送り爪が係合するようになっている。
【0041】
キャリア26には、複数の端子金具片27が、長手方向に沿って略等間隔に並んで連結されている。端子金具片27は、電線11の絶縁被覆14及び芯線13が載置される底板15と、この底板15から突出して絶縁被覆14に圧着されるインシュレーションバレル16と、底板15から突出して芯線13に圧着されるワイヤーバレル17と、を備える。
【0042】
この打ち抜き工程において、ワイヤーバレル17のうち芯線13が載置される側の面に複数の凹部18を形成してもよい。また、打ち抜き工程とは別の工程において、上記の凹部18を形成してもよい。
【0043】
打ち抜き工程が実行された金属板材に対して、曲げ工程を実行する。この曲げ工程を実行することにより、芯線13が底板15に載置された状態において芯線13の延びる方向に延びて形成されると共に芯線13が載置された側の面が凹形状をなす延出部19と、延出部19から芯線13の延びる方向に対応する方向に延びて形成された接続筒部20と、を形成する(図4参照)。
曲げ工程を実行する際に、延出部19の幅方向の両端部19F,19Fから突出する凸部19A,19Aをそれぞれ、内側方向(端子金具片27の中心軸方向)へ折り曲げて延出部20を箱状に形成しておく。
【0044】
続いて、キャリア26に形成された送り孔28を送り爪に係合させることで、順次、端子金具片27を送りながら、端子金具片27の延出部19に合成樹脂材をモールド成形する。詳細に説明すると、まず、図示しない1対の金型によって、延出部19のうち止水壁22を形成すべき部分を挟む。次いで、金型に形成されたキャビティの内部に、溶融状態の合成樹脂材を注入する。合成樹脂材が金型内で固化した後、1対の金型を開き、止水壁22が形成された端子金具片27を金型から離脱させる。上記の工程を、略一定の間隔で、キャリア26に連結された複数の端子金具片27に対して連続的に実行する(図5参照)。
【0045】
一方、電線11の絶縁被覆14を剥離して芯線13を露出させる。その後、絶縁被覆14の端部に、樹脂リング23を外嵌する。樹脂リング23は、絶縁被覆14のうちワイヤーバレル17が圧着される領域と異なる部分(芯線13と反対側に位置する部分)に外嵌する。
【0046】
続いて端子金具片27に対して圧着工程を実行する。詳細に説明すると、電線11から露出する芯線13及び絶縁被覆14を、端子金具片27の底板15に載置する。その後、図示しない金型によってインシュレーションバレル16、及びワイヤーバレル17をそれぞれ、絶縁被覆14、及び芯線13の外側から抱くように曲げ加工する。これにより、インシュレーションバレル16を絶縁被覆14に圧着すると共に、ワイヤーバレル17を芯線13に圧着する。
【0047】
本実施形態においては、上記の圧着工程と同時に、キャリア26と端子金具片27とを切断する切断工程を実行する。これにより、各端子金具片27はキャリア26から切断されて雌端子金具12とされ、且つ、電線11に接続された状態の端子金具付き電線10とされる。
【0048】
続いて、被覆工程を実行する。詳細に説明すると、熱収縮チューブ24を、電線11側、又は雌端子金具12側から挿通し、止水壁22から樹脂リング23を越えて絶縁被覆14に至る領域に配置する。熱収縮チューブ24の内径は、加熱前の状態において、接続筒部20の外形状よりも大きく設定することにより、比較的容易に、雌端子金具12側から挿通させることができる。また、電線11側から挿通させる場合には、圧着工程を実行する前に、予め電線11に熱収縮チューブ24を挿通させておけばよい。
【0049】
熱収縮チューブ24を挿通させた後、図示しない加熱装置で加熱する加熱工程を実行することにより、熱収縮チューブ24を収縮させる。これにより、熱収縮チューブ24の内面を、止水壁22及び樹脂リング23と隙間なく密着させる。以上により、端子金具付き電線10が完成する。
【0050】
なお、上記の加熱工程において、接続筒部20を上方に向けた姿勢で加熱することにより、加熱工程において止水壁22が溶融した場合でも、止水壁22を構成する合成樹脂材が接続筒部20内に流入することを抑制することができる。これにより、接続筒部20における相手側端子金具との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0051】
(作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態によれば、延出部19には止水壁22が設けられているので、延出部19から水が浸入して、芯線13及びワイヤーバレル17に水が付着することを抑制できる。更に、止水壁22の外周面は、熱収縮チューブ24の内面と、全周に亘って隙間なく密着しているので、止水壁22と熱収縮チューブ24との間から水が浸入することも抑制される。これにより、延出部19のうち止水壁22が設けられた部分から、ワイヤーバレル17、インシュレーションバレル16、樹脂リング23が外嵌された部分、更に、樹脂リング23を越えて絶縁被覆14に至るまでの領域は、熱収縮チューブ24によって止水されるので、芯線13及びワイヤーバレル17に水が付着することを確実に抑制できる。
【0052】
また、本実施形態によれば、絶縁被覆14の端部には樹脂リング23が外嵌されており、熱収縮チューブ24の内面は樹脂リング23と全周に亘って隙間なく密着している。これにより、絶縁被覆14の端部側から水が浸入することを確実に抑制できるので、芯線13及びワイヤーバレル17に水が付着することを一層確実に抑制できる。
【0053】
上述したように、本実施形態では、止水壁22や熱収縮チューブ24が設けられているので、延出部19からの水の浸入が抑制されてはいるが、延出部19の接続筒部20側の端部19S(ワイヤバレル17側とは反対側の端部)と止水壁22との間の隙間から水が浸み込んで、延出部19に水が付着する場合がある。
ここで、本実施形態の雌端子金具12は、メッキを施した金属板材を所定形状に打ち抜く打ち抜き工程を経て作製されるので、端面にはメッキが施されておらず、他の部分よりも酸化(腐食)が進みやすい。そのため、延出部19と止水壁22との隙間から浸入した水が延出部19に付着すると、図5の矢線Xで示すように、延出部19の端面19Cに沿って腐食が進行する。
【0054】
しかしながら、本実施形態においては、延出部10の幅方向の端部19Dに凸部19Aが形成されているので、延出部19の端面の長さが、凸部10Aのない構成のものよりも、凸部19Aの外周縁分だけ長くなっている。その結果、本実施形態によれば、腐食経路が長くなるので、腐食がワイヤバレル17に至るのを遅延させることができる。
【0055】
特に、本実施形態によれば、延出部19の幅方向の両端部19D,19Dに、それぞれ凸部19A,19Aが形成されているから、延出部19の両端部19D,19Dにおいて腐食経路を長くすることができ、かつ、延出部19の強度を高めることができる。
【0056】
ところで、芯線13を構成する金属と、雌端子金具12を構成する金属とが異なる場合、芯線13とワイヤーバレル17との双方に亘って水が付着すると、芯線13又はワイヤーバレル17に電食が発生することが懸念される。本実施形態によれば、芯線13とワイヤーバレル17とは熱収縮チューブ24によって確実に防水されるので、芯線13又はワイヤーバレル17が電食により溶解することを抑制できる。
【0057】
特に、本実施形態のように、芯線13がアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、雌端子金具12が銅又は銅合金の表面にスズメッキ層が形成されてなる場合には、比較的にイオン化傾向の大きなアルミニウム又はアルミニウム合金からなる芯線13が電食により溶解するおそれがあるので、特に有効である。なお、アルミニウム又はアルミニウム合金は比重が比較的に小さいので、電線11を軽量化できる。
【0058】
また、本実施形態によれば、止水被覆25が熱収縮チューブ24からなる。加熱前の状態においては、熱収縮チューブ24の内径は比較的に大きいので、上記の領域の外周に容易に配置することができる。その後、加熱により収縮させることで、熱収縮チューブ24の内面を、止水壁22及び絶縁被覆14の端部と隙間なく密着させることができる。このように、止水被覆25として熱収縮チューブ24を用いることにより、止水壁22から絶縁被覆14の端部に至る領域の外周に熱収縮チューブ24を配置する工程の作業効率を向上させることができる。
【0059】
更に、熱収縮チューブ24の内周面には接着層又は粘着層が形成されているので、熱収縮チューブ24を収縮させるための加熱工程を実行することにより、熱収縮チューブ24の内面と、止水壁22とを確実に隙間なく密着させることができると共に、熱収縮チューブ24と絶縁被覆14の端部とを確実に隙間なく密着させることができる。
【0060】
このように、止水被覆25として内周面に接着層又は粘着層が形成された熱収縮チューブ24を用いることにより、止水壁22から絶縁被覆14の端部に至る領域の外周に熱収縮チューブ24を配置する工程の作業効率を向上させることができると共に、熱収縮チューブ24と、止水壁22及び絶縁被覆14の端部との密着性を向上させることができる。
【0061】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を、図6〜図11を参照しつつ説明する。本実施形態においては、延出部19の幅方向の両端部19D,19Dに形成された凸部19A,19Aには、それぞれ、方形状の孔部19B,19Bが形成されている点で実施形態1と相違する。上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0062】
本実施形態において、止水壁22は、図6および図7に示すように、延出部19の外周を全周に亘って包囲して形成されており、延出部19の両端部19D,19Dに形成された凸部19A,19Aは、内側方向に折り曲げられた状態で、止水壁22の内部に収容されている。各凸部19A,19Aには、図8および図9に示すように、方形状の孔部19B,19Bがそれぞれ形成されている。
【0063】
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。
本実施形態によれば延出部19に凸部19Aが形成されているので、実施形態1と同様に、延出部19の端面の長さが、凸部10Aのない構成のものよりも、凸部19Aの外周縁分だけ長くなっている。したがって、本実施形態によっても、腐食経路(図7中の矢線Y)が長くなるので、腐食がワイヤバレル17に至るのを遅延させることができる。
【0064】
ところで、端子金具10の腐食は端面に沿って進行するとともに、内部方向にも進行する。ここで、本実施形態(孔部19Bが形成された凸部19Aを備える延出部19)における腐食の進行と、孔部19Bが形成されていない凸部19Aを備える延出部19における腐食の進行とを、図10および図11を対比しながら説明する。図10および図11中のF1、F2およびF3は、腐食の範囲を示す線であり、同じ時間が経過したときの腐食の範囲を同じ符号を付して各図において示した。
【0065】
本実施形態では、図10に示すように、腐食が接続筒部側の端部19Sから内部方向に進んだ場合に、孔部19Bに至ったところで、一部の腐食が止まる(図中、F2を参照)。その後は、孔部19Bを避けて、図10における上方に腐食が進むものの(F3を参照)、ワイヤバレル17側の端部19Eにまで腐食は到達しにくい。
一方、孔部19Bが形成されていない凸部19Aを備える延出部19においては、接続筒部側の端部19Sとワイヤバレル17側の端部19Eとの間に腐食を中断するものがないため、図11に示すようにF2に示す範囲まで腐食が進んだ後も腐食が進みやすく、ワイヤバレル17側の端部19Eの近傍にまで腐食が及んでしまう。
【0066】
以上より、本実施形態によれば、延出部19の凸部19Aに孔部19Bが形成されているので、腐食がワイヤバレル17に至るのを防止することができる。
【0067】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3について図12および図13を参照しつつ説明する。本実施形態においては、延出部19の幅方向の両端部19D,19Dに、凸部19Aと凹み部19Fが交互に形成されている点で実施形態1と相違する。上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0068】
本実施形態においては、延出部19の幅方向の両端部19D,19Dにはそれぞれ、凸部19Aと凹み部19Fとが交互に形成されている。詳しくは4つの凸部19Aの間に凹み部19Fがそれぞれ(合計3つ)形成されている。
【0069】
本実施形態によれば、延出部19の幅方向の両端部19D,19Dにはそれぞれ、凸部19Aと凹み部19Fとが交互に形成されているから、延出部19の端面の長さが、凸部10Aおよび凹み部19Fのない構成のものよりも、凸部19Aおよび凹み部19Fの外周縁分だけ長くなっている。その結果、本実施形態によれば、腐食経路(図12中の矢線Z)が長くなるので、腐食がワイヤバレル17に至るのを遅延させることができる。
【0070】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態においては、端子金具は雌端子金具12であったが、これに限られず、延出部19から芯線13の延びる方向に、更に延びて形成された雄タブを備えた雄端子金具であってもよく、また、延出部19に連なって円板状の接続部を形成し、この接続部に貫通孔が形成された、いわゆるLA端子であってもよく、また、延出部19に連なって更に形成された他のワイヤーバレル17に複数の電線11が接続されたスプライス端子であってもよく、必要に応じて任意の形状の端子金具とすることができる。
(2)実施形態1においては、止水壁22の断面は略四角形状をなしていたが、これに限られず、円形状、楕円形状、長円形状等でもよく、また、三角形状等の多角形状であってもよく、必要に応じて任意の形状とすることができる。
(3)止水被覆25は、シート状をなす止水テープを、止水壁22から絶縁被覆14の端部に至る領域に巻回する構成としてもよい。
(4)本実施形態においては、止水壁22は、芯線13にワイヤーバレル17を圧着する工程の前に形成する構成としたが、これに限られず、止水壁22は、芯線13にワイヤーバレル17を圧着した後に形成する構成としてもよい。
(5)本実施形態においては、芯線13がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる構成としたが、これに限られず、芯線13は銅又は銅合金からなる構成としてもよく、必要に応じて任意の金属により形成される構成としてもよい。また、本実施形態においては、端子金具が銅又は銅合金からなると共に表面にスズメッキ層が形成される構成としたが、これに限られず、端子金具は必要に応じて任意の金属からなる構成としてもよい。
なお、端子金具を構成する材料としてメッキを施していない金属板材を用いた場合であっても、端面では他の部分よりも腐食が進みやすいため、本発明の効果が得られる。
(6)本実施形態においては、圧着工程と切断工程とを同一の工程で実行する態様としたが、これに限られず、圧着工程を実行した後に、切断工程を実行する構成としてもよい。
(7)本実施形態においては、端子金具にはインシュレーションバレル16が形成される構成としたが、インシュレーションバレル16は省略してもよい。
(8)止水被覆25は、延出部19のうち止水壁22が形成された部分から、ワイヤーバレル17、インシュレーションバレル16、樹脂リング23が外嵌された部分に至るまでの領域を被覆する構成としてもよい。
(9)本実施形態においては、樹脂リング23は円環状をなす構成としたが、これに限られず、例えば、樹脂リング23にはスリットを形成し、断面形状が略C字状をなす形態としてもよい。これにより、樹脂リング23は容易に拡径可能となるので、例えば、端子金具を電線11に圧着した後に、樹脂リング23を拡径させて、電線11に外嵌させることができる。
(10)本実施形態においては、延出部19の両端部19D,19Dに凸部19Aおよび凹み部19Fのうち少なくとも一方を形成したものを示したが、凸部19Aおよび凹み部19Fのうち少なくとも一方を片側の端部19Dのみに形成してもよい。
(11)本実施形態では、熱収縮チューブ24を止水被覆25として用いたものを示したが、止水被覆25として弾性チューブを用いてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10…端子金具付き電線
11…電線
12…雌端子金具(端子金具)
13…芯線
14…絶縁被覆
15…底板
17…ワイヤーバレル
19…延出部
19A…凸部
19B…孔部
19C…(延出部の)端面
19D…(延出部の)端部
19F…凹み部
22…止水壁
23…樹脂リング
24…熱収縮チューブ
25…止水被覆
27…端子金具片
X,Y,Z…腐食経路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯線の外周を絶縁被覆で被覆してなる電線に端子金具が接続されてなる端子金具付き電線であって、
前記端子金具は、前記絶縁被覆の端部から露出された前記芯線に圧着されたワイヤーバレルと、前記ワイヤーバレルの底板から延びる延出部と、を備えて構成され、
前記延出部には、合成樹脂をモールド成形してなる止水壁が設けられ、この止水壁の外面と前記絶縁被覆の端部の外面とに密着して前記止水壁と前記絶縁被覆の端部との間に亘って前記芯線を覆う筒状の止水被覆が設けられ、
前記延出部の幅方向の端部には、前記端部から突出する凸部、および前記端部よりも凹んだ凹み部のうち、少なくとも一方が形成されていることを特徴とする端子金具付き電線。
【請求項2】
前記延出部の幅方向の両端部には、それぞれ前記凸部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の端子金具付き電線。
【請求項3】
前記凸部には、孔部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の端子金具付き電線。
【請求項4】
前記止水壁は、前記延出部の外周を全周に亘って包囲するように形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の端子金具付き電線。
【請求項5】
前記絶縁被覆の端部には樹脂リングが外嵌されており、前記止水被覆の内面は前記樹脂リングと密着していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の端子金具付き電線。
【請求項6】
前記芯線を構成する金属と、前記端子金具を構成する金属とが異なることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の端子金具付き電線。
【請求項7】
前記芯線がアルミニウム又はアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の端子金具付き電線。
【請求項8】
前記止水被覆の内周面には接着層又は粘着層が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の端子金具付き電線。
【請求項9】
前記止水被覆が熱収縮チューブまたはゴム弾性を有する弾性チューブであることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の端子金具付き電線。
【請求項10】
芯線の外周を絶縁被覆で被覆してなる電線から露出する前記芯線に接続される端子金具であって、
前記端子金具は、前記絶縁被覆の端部から露出された前記芯線に圧着されたワイヤーバレルと、前記ワイヤーバレルの底板から延びる延出部と、を備え
前記延出部には、合成樹脂をモールド成形してなる止水壁が設けられ、この止水壁の外面と前記絶縁被覆の端部の外面とに密着して前記止水壁と前記絶縁被覆の端部との間に亘って前記芯線を覆う筒状の止水被覆が設けられ、
前記延出部の幅方向の端部には、前記端部から突出する凸部、および前記端部よりも凹んだ凹み部のうち、少なくとも一方が形成されていることを特徴とする端子金具。
【請求項11】
前記延出部の幅方向の両端部には、それぞれ前記凸部が形成されていることを特徴とする請求項10に記載の端子金具。
【請求項12】
前記凸部には、孔部が形成されていることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の端子金具。
【請求項1】
芯線の外周を絶縁被覆で被覆してなる電線に端子金具が接続されてなる端子金具付き電線であって、
前記端子金具は、前記絶縁被覆の端部から露出された前記芯線に圧着されたワイヤーバレルと、前記ワイヤーバレルの底板から延びる延出部と、を備えて構成され、
前記延出部には、合成樹脂をモールド成形してなる止水壁が設けられ、この止水壁の外面と前記絶縁被覆の端部の外面とに密着して前記止水壁と前記絶縁被覆の端部との間に亘って前記芯線を覆う筒状の止水被覆が設けられ、
前記延出部の幅方向の端部には、前記端部から突出する凸部、および前記端部よりも凹んだ凹み部のうち、少なくとも一方が形成されていることを特徴とする端子金具付き電線。
【請求項2】
前記延出部の幅方向の両端部には、それぞれ前記凸部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の端子金具付き電線。
【請求項3】
前記凸部には、孔部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の端子金具付き電線。
【請求項4】
前記止水壁は、前記延出部の外周を全周に亘って包囲するように形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の端子金具付き電線。
【請求項5】
前記絶縁被覆の端部には樹脂リングが外嵌されており、前記止水被覆の内面は前記樹脂リングと密着していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の端子金具付き電線。
【請求項6】
前記芯線を構成する金属と、前記端子金具を構成する金属とが異なることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の端子金具付き電線。
【請求項7】
前記芯線がアルミニウム又はアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の端子金具付き電線。
【請求項8】
前記止水被覆の内周面には接着層又は粘着層が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の端子金具付き電線。
【請求項9】
前記止水被覆が熱収縮チューブまたはゴム弾性を有する弾性チューブであることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の端子金具付き電線。
【請求項10】
芯線の外周を絶縁被覆で被覆してなる電線から露出する前記芯線に接続される端子金具であって、
前記端子金具は、前記絶縁被覆の端部から露出された前記芯線に圧着されたワイヤーバレルと、前記ワイヤーバレルの底板から延びる延出部と、を備え
前記延出部には、合成樹脂をモールド成形してなる止水壁が設けられ、この止水壁の外面と前記絶縁被覆の端部の外面とに密着して前記止水壁と前記絶縁被覆の端部との間に亘って前記芯線を覆う筒状の止水被覆が設けられ、
前記延出部の幅方向の端部には、前記端部から突出する凸部、および前記端部よりも凹んだ凹み部のうち、少なくとも一方が形成されていることを特徴とする端子金具。
【請求項11】
前記延出部の幅方向の両端部には、それぞれ前記凸部が形成されていることを特徴とする請求項10に記載の端子金具。
【請求項12】
前記凸部には、孔部が形成されていることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の端子金具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−59520(P2012−59520A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201289(P2010−201289)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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