説明

端末装置

【課題】アンテナ素子を配置する位置や形状の制約を低減することができる端末装置を提供すること。
【解決手段】操作部側筐体部2の内部に配置される第1回路基板41と、第1回路基板41上に設けられ、導電性の材料からなる挟持部材42と、挟持部材42に挟持されるアンテナ素子43と、第1回路基板41上に設けられる給電部44とを備える。携帯電話装置1は、板金で構成されているアンテナ素子43を挟持部材42で挟持して固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ素子を有し外部機器と通信を行う端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
端末装置では、内蔵アンテナ型が増えている。このような端末装置では、例えば、リアモールドの内側にアンテナ素子を固定し、回路基板に形成されている給電部とアンテナ素子の一部を接続し、また、回路基板に形成されている基準電位部とアンテナ素子の他の一部を接続することにより、いわゆる逆Fアンテナを形成する方法が考案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−177327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような端末装置は、アンテナ素子がリアモールドに固定される構成であるため、アンテナ素子を配置する位置や形状に制約が生じてしまう。
【0005】
本発明は、アンテナ素子を配置する場所やアンテナ素子の形状に対する制約を低減することができる端末装置を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る端末装置は、上記課題を解決するために、筐体と、前記筐体の内部に配置される第1回路基板と、前記第1回路基板に設けられ、導電性を有する第1挟持部材と、前記第1挟持部材に挟持されて前記第1挟持部材と電気的に接続されるアンテナ素子と、前記第1回路基板に設けられる給電部とを備え、前記第1挟持部材は、前記給電部と電気的に接続される。
【0007】
また、前記端末装置では、前記第1回路基板には、基準電位部が形成されると共に、第2挟持部材が前記第1挟持部材と所定の間隔をおいて配置されており、前記第2挟持部材は、前記基準電位部に電気的に接続されていても良い。
【0008】
また、前記端末装置では、前記アンテナ素子は、平面形状を有し、一端部と他端部の先端同士が所定の間隔で同一軸上で対向し、かつ、前記同一軸を中心にして前記一端部と前記他端部とが所定の角度で交わって配置されていても良い。
【0009】
また、前記端末装置では、前記筐体の内部に配置され、前記第1回路基板とは異なる第2回路基板と、前記第2回路基板に設けられる第3挟持部材とを備え、前記第2回路基板は、前記第1回路基板に対向する位置に配置されており、前記アンテナ素子は、前記第1挟持部材と、前記第3挟持部材とにより挟持されていても良い。
【0010】
また、前記端末装置では、前記アンテナ素子は、平面形状を有し、一端部と他端部の先端同士が所定の間隔により同一軸上で対向し、かつ、前記同一軸を中心にして前記一端部と前記他端部とが所定の角度で交わるように、前記第1挟持部材と、前記第3挟持部材とにより挟持されていても良い。
【0011】
また、前記端末装置では、前記第1回路基板とは異なる第3回路基板を備え、前記筐体は、開状態と閉状態とをとり得るように連結部により連結される第1筐体と第2筐体から構成され、前記第1回路基板は、前記第1筐体の内部に配置され、前記第3回路基板は、基準電位部が形成されており、前記第2筐体の内部に配置され、前記第1回路基板に設けられている前記第1挟持部材により挟持されている前記アンテナ素子は、前記開状態で前記第3回路基板に形成されている前記基準電位部に接触せず、前記閉状態で前記第3回路基板に形成されている前記基準電位部に接触するように構成されていても良い。
【0012】
また、前記端末装置では、前記第1回路基板とは異なる第3回路基板を備え、前記筐体は、開状態と閉状態とをとり得るように連結部により連結される第1筐体と第2筐体から構成され、前記第1回路基板は、前記第1筐体の内部に配置され、前記第3回路基板は、基準電位部が形成されており、前記第2筐体の内部に配置され、前記第1回路基板に設けられている前記第1挟持部材により挟持されている前記アンテナ素子は、前記第3回路基板に形成されている前記基準電位部に対して接触する構成であり、前記開状態と閉状態とで、前記アンテナ素子において前記基準電位部と接触する位置が異なっていても良い。
【0013】
また、前記端末装置では、前記第1回路基板とは異なる第3回路基板を備え、前記筐体は、開状態と閉状態とをとり得るように連結部により連結される第1筐体と第2筐体から構成され、前記第1回路基板は、前記第1筐体の内部に配置され、前記第3回路基板は、基準電位部が形成されており、前記第2筐体の内部に配置され、前記アンテナ素子は、前記第1回路基板に設けられている前記第1挟持部材により摺動可能に挟持され、前記アンテナ素子の一端部は、前記第3回路基板上に形成されている前記基準電位部に接続されており、前記連結部により前記第1筐体と前記第2筐体とが開状態と閉状態との間を遷移する場合に、当該遷移に伴い前記アンテナ素子が摺動し、前記アンテナ素子において前記第1挟持部材により挟持される位置が変化していても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アンテナ素子を配置する場所やアンテナ素子の形状に対する制約を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る携帯電話装置がスライドダウン状態(閉状態)のときの外観斜視図を示す。
【図2】本発明に係る携帯電話装置がスライドアップ状態(開状態)のときの外観斜視図を示す。
【図3】本発明に係る携帯電話装置の第1の構成を示す図である。
【図4】アンテナ素子の安定性を向上する構成についての説明に供する図である。
【図5】アンテナ素子の形状についての説明に供する図である。
【図6】アンテナ素子の形状についての説明に供する図である。
【図7】本発明に係る携帯電話装置の第2の構成を示す図である。
【図8】本発明に係る携帯電話装置の第3の構成を示す図である。
【図9】本発明に係る携帯電話装置の第4の構成を示す図である。
【図10】本発明に係る携帯電話装置の第5の構成を示す図である。
【図11】本発明に係る携帯電話装置の第6の構成を示す図である。
【図12】本発明に係る携帯電話装置の第7の構成を示す図である。
【図13】本発明に係る携帯電話装置の第8の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1及び図2は、本発明に係る端末装置の一例である携帯電話装置1の外観斜視図を示す。また、本実施の形態では、携帯電話装置1について説明するが、本発明は携帯電話装置に限定されるものではなく、例えば、PHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン等であっても良い。
【0017】
携帯電話装置1は、操作部側筐体部2(第1の筐体)と、表示部側筐体部3(第2の筐体)と、を備えて構成される。操作部側筐体部2は、表面部10に、操作キー群11と、携帯電話装置1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイク12を備えて構成される。操作キー群11は、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作ボタンにより構成されている。
【0018】
また、表示部側筐体部3は、表面部20に、各種情報を表示するためのディスプレイ21と、通話の相手側の音声を出力する音声出力部22と、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作ボタン23から構成されている。
【0019】
なお、携帯電話装置1は、上述した以外にも他の構成要素により構成されている。他の構成要素は、例えば、被写体を撮像するCCD(Charge Coupled Device)カメラやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等により構成される撮像部や、音楽等を外部に出力するスピーカ等である。
【0020】
また、操作部側筐体部2の上端部と表示部側筐体部3の下端部とは、スライド機構を有する連結部を介して連結されている。したがって、携帯電話装置1は、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3を互いに重ね合わせ、表示部側筐体部3で操作部側筐体部2の上面を覆う状態(スライドダウン状態であって、以下、閉状態という。)、及び(図1を参照。)、表示部側筐体部3を操作部側筐体部2に対して長手方向へスライドさせて操作部側筐体部2の覆われていた部分(操作キー群11とマイク12)が露出する状態(スライドアップ状態であって、以下、開状態という。)に自在に遷移することができる(図2を参照。)。
【0021】
なお、図1及び図2は、スライド式の携帯電話装置の形態を示しているが、本発明に係る携帯電話装置の形態としては特にこれに限られず、例えば、折り畳み式等であっても実現可能である。
【0022】
そして、本実施形態に係る携帯電話装置1では、従来に比して、アンテナ素子を配置する場所やアンテナ素子の形状に対する制約を低減することが可能な構成になっている。以下に、具体的な構成について説明する。
【0023】
携帯電話装置1は、図3(a)に示すように、筐体(例えば、操作部側筐体部2)の内部に配置される第1回路基板41と、第1回路基板41上に設けられ、導電性の材料からなる挟持部材42と、挟持部材42に挟持されるアンテナ素子43と、第1回路基板41に設けられる給電部44とを備える。挟持部材42は、給電部44と電気的に接続される。
【0024】
挟持部材42は、信号処理部41bと整合回路部41aが接続されているRF信号線路A上に配置されており、金属状のクリップが実装できるパッドを第1回路基板41上に設け、そのパッド上にクリップ形状の板金を実装することにより構成されている。携帯電話装置1は、板金で構成されているアンテナ素子43を挟持部材42で挟持して固定する。
【0025】
また、第1回路基板41は、図3(b)に示すように、給電部44に接続され、インピーダンス整合を行う整合回路部41aと、所定の信号処理を行う信号処理部41b等を有している。
【0026】
携帯電話装置1は、送信時には、信号処理部41bで信号処理した信号を整合回路部41aでインピーダンス整合し、給電部44、挟持部材42及びアンテナ素子43を介して所定の周波数の信号を基地局に送信する。
【0027】
また、携帯電話装置1は、受信時には、アンテナ素子43で電波を受信し、高周波信号に変換し、挟持部材42、給電部44及び整合回路部41aを介して信号処理部41bに供給する。
【0028】
また、携帯電話装置1は、アンテナ素子43を従来型のようにモールド樹脂に固定せずに、単に挟持部材42に挟み込む構造であるため、シンプルな構造にすることができ、従来型に比して低コスト化を図ることができ、かつ、アンテナ素子43を組み込む際の工数を削減することができる。
【0029】
また、アンテナ素子43の周辺の構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で自由に構成することができ、例えば、図4に示すように、アンテナ素子43を安定的に固定するために、挟持部材42を複数配置する構成であっても良い。
【0030】
図4では、挟持部材(以下、給電用挟持部材という。)42aと挟持部材(以下、固定用挟持部材という。)42bの2個の挟持部材が配置されている構成例を示している。また、給電用挟持部材42aは、給電部44に接続され、固定用挟持部材42bは、第1回路基板41上のGND(基準電位部)等に接続されておらず、独立して構成されている。
【0031】
このような構成によれば、携帯電話装置1は、モノポールアンテナとしての性能を劣化させることなく、アンテナ素子43を複数の挟持部材で安定的に挟持することができる。
【0032】
また、携帯電話装置1は、さらにアンテナの安定性を確保するために、第1回路基板41を筐体内部に配置して組み立てたときに、アンテナ素子43を補強するように第1回路基板41を収納するケースに立設されているリブをアンテナ素子43に当接させる構成であっても良い。
【0033】
また、携帯電話装置1は、図5(a)、(b)に示すように、給電用挟持部材42aと、固定用挟持部材42bとを平面上でずらして(すなわち、第1回路基板41の平面視で給電用挟持部材42aと固定用挟持部材42bとが所定の角度で交わるように)配置することによって、アンテナ素子43の形状に屈曲面(いわゆるC面)を設けることが可能となり、例えば、携帯電話装置1の内部に配置される金属部材から離間させることができ、さらに良好なアンテナ特性を得ることができる。
【0034】
図5(a)、(b)に示す例では、携帯電話装置1は、アンテナ素子43の先端部分を屈曲させ、その屈曲させた先端部分を固定用挟持部材42bにより挟持する。
【0035】
さらに、携帯電話装置1は、図6に示すように、第1回路基板41の裏面(給電部44が設けられていない面)にも固定用挟持部材42bを配置する構成であっても良い。このようにして、携帯電話装置1は、アンテナ素子43の形状にさらなる選択性を広げ、良好なアンテナ特性を得ることができる。
【0036】
また、従来型では、端末装置の外観ケースの形状により樹脂モールドの形状が決まるので、アンテナ素子を配置できる場所に制約が発生していた。しかし、本実施例に係る携帯電話装置1は、上述したように、携帯電話装置1の構造に合わせてアンテナ素子43の形状を比較的自由に形成することが可能となるためアンテナ素子43の形状に制約が生じにくいというメリットがある。
【0037】
また、携帯電話装置1は、図7に示すように、第1回路基板41上に、基準電位部45が形成されると共に、挟持部材42が少なくとも2個所定の間隔で配置される構成であっても良い。このような構成では、第1挟持部材(以下、給電用挟持部材という。)42aは、給電部44に電気的に接続される。また、第2挟持部材(以下、GND用挟持部材という)42cは、基準電位部45に電気的に接続される。
【0038】
このようにして、携帯電話装置1は、GND用挟持部材42cが基準電位部45に接続されることによって、いわゆる逆Fアンテナを構成することができる。
【0039】
また、携帯電話装置1では、GND用挟持部材42cを配置する位置を変更して給電用挟持部材42aとGND用挟持部材42cとの間の距離を変えることで、アンテナの共振周波数を調整することができる。
【0040】
また、アンテナ素子43は、図8(b)に示すように、平面形状を有し、一端部43aと他端部43bの先端同士が所定の間隔により同一軸上で対向し、かつ、同一軸を中心にして一端部43aと他端部43bとが所定の角度で交わって配置されていても良い。
【0041】
ここで、携帯電話装置1は、一本のアンテナ素子43を利用することにより、異なる複数の周波数帯(例えば、800MHz帯と、2GHz帯)の信号を送受信することが可能である。携帯電話装置1は、図8(a)に示す構成の場合には、挟持部材42により挟持される部分から一端部43aによって形成される長いエレメントにより、800MHz帯の信号を送受信し、挟持部材42により挟持される部分から他端部43bによって形成される短いエレメントにより、2GHz帯の信号を送受信することができる。
【0042】
しかしながら、携帯電話装置1は、アンテナ素子43の両端部が同一軸を中心にして同一角度に向き合っていると(図8(a)を参照)、長いエレメントと短いエレメントの間で結合が発生し、良好な通信を行うことができなくなってしまう。この結合を避けるために、携帯電話装置1は、アンテナ素子43の長さや形状の変更を行う必要があり、コストがかかってしまう。
【0043】
そこで、本実施例に係る携帯電話装置1は、図8(b)に示すように、アンテナ素子43の一端部43aと他端部43bの先端同士が所定の間隔により同一軸上で対向し、かつ、同一軸を中心にして一端部43aと他端部43bとが所定の角度で交わって配置されることによって、一端部43aと他端部43bの結合を低減できるため、アンテナ素子43の長さや形状の変更を不要にしている。なお、所定の角度は、図8(b)に示す構成例では、90度であるが、これに限られない。
【0044】
このようにして、携帯電話装置1は、エレメント同士の結合を避けるように、例えば、エレメント同士を直交して配置することができ、異なる複数の周波数帯において良好な特性を得ることができる。
【0045】
また、携帯電話装置1は、図9に示すように、筐体(例えば、操作部側筐体部2)の内部に配置され、第1回路基板41とは異なる第2回路基板51と、第2回路基板51上に設けられ、第1挟持部材42aとは異なる第3挟持部材42dとを備えていても良い。このような構成の場合には、第2回路基板51は、第1回路基板41に対向する位置に所定のクリアランスを設けて配置される。また、アンテナ素子43は、第1回路基板41上に設けられている第1挟持部材42aと、第2回路基板51上に設けられている第3挟持部材42dとにより挟持される。
【0046】
ここで、携帯電話装置1は、例えば、第1回路基板41をメイン基板(CPU等が搭載され、基本的な処理を行う部品を搭載している基板)として利用し、第2回路基板51をサブ基板(例えば、カメラユニット等を搭載している基板)として利用することが考えられる。
【0047】
このようにして、携帯電話装置1は、メイン基板とサブ基板との間が所定のクリアランスを設けて配置されている場合において、このクリアランスにアンテナ素子43を配置することができるので、クリアランスの有効活用を図ることができる。
【0048】
また、携帯電話装置1は、メイン基板に対向するサブ基板に第3挟持部材42dを実装することにより、アンテナ素子43を上方向と下方向で挟み込むことが可能となり、アンテナ素子43の安定性を向上させることができる。
【0049】
また、携帯電話装置1は、図9に示すような筐体(例えば、操作部側筐体部2)の内部に配置され、第1回路基板41とは異なる第2回路基板51と、第2回路基板51上に設けられ、第1挟持部材42aとは異なる第3挟持部材42dとを備える構成において、図10に示すように、アンテナ素子43が平面形状を有し、一端部43aと他端部43bの先端同士が所定の間隔により同一軸上で対向し、かつ、同一軸を中心にして一端部43aと他端部43bとが所定の角度で交わるように、第1挟持部材42aと、第3挟持部材42dとにより挟持される構成であっても良い。
【0050】
このようにして、携帯電話装置1は、第3挟持部材42dが第2回路基板51の平面方向に向くように配置するので、アンテナ素子43の他端部43bが一端部43aに対して垂直方向に形成されている場合において、図10に示すように、他端部43bを挟持することができる。
【0051】
よって、携帯電話装置1は、アンテナ素子43の一端部43aと他端部43bとの間で生じる結合を回避するために他端部43bを一端部43aに対して直交するように折り曲げられていても、第3挟持部材42dにより他端部43bを固定することができるので、アンテナ素子43の物理的安定性を確保したまま、基板間のクリアランスの有効活用が行え、かつ良好なアンテナ特性を得ることができる。なお、第2回路基板51は、所定形状のアンテナパターンを形成し、当該アンテナパターンと第3挟持部材42dを電気的に接続するような構成であっても良い。このような構成の場合には、携帯電話装置1は、アンテナ素子43の長さを当該アンテナパターンにより延長することができる。
【0052】
ここで、従来の携帯電話装置は、回路基板に形成されている基準電位部をアンテナの接地(GND)として利用している。また、携帯電話装置は、第1回路基板を有する操作部側筐体部と、第3回路基板を有する表示部側筐体部とが連結部により連結されてなる構成(スライドタイプ等)の場合、開状態(スライドアップ)にしたときと閉状態(スライドダウン)にしたときにおいて、GNDの形状が高周波的に変わってしまうことがある。この場合には、携帯電話装置は、開状態と閉状態との間の変化に伴ってアンテナ特性も変動してしまう。
【0053】
本実施例に係る携帯電話装置1は、形態の変化に応じて、アンテナ素子43をスライドさせることによりインピーダンス調整を行う構成を採用した。よって、本実施例に係る携帯電話装置1は、形態が変化しても、良好なアンテナ特性を得ることができる。以下に、具体的な構成例について説明する。
【0054】
携帯電話装置1は、図11に示すように、第1回路基板41とは異なる第3回路基板61を備える。上述したように、携帯電話装置1(筐体)は、開状態と閉状態とをとり得るように連結部(不図示)により連結される操作部側筐体部2(第1筐体)と表示部側筐体部3(第2筐体)から構成されている。
【0055】
図11に示す構成では、第1回路基板41は、操作部側筐体部2の内部に配置されている。また、第3回路基板61は、基準電位部45が形成されており、表示部側筐体部3の内部に配置されている。また、第1回路基板41上に設けられている挟持部材42により挟持されているアンテナ素子43は、開状態と閉状態との間の移動に伴って挟持部材42により挟持されながら摺動し、開状態で第3回路基板61上に形成されている基準電位部45に接触せず、閉状態で第3回路基板61上に形成されている基準電位部45に接触するように構成されている。
【0056】
例えば、携帯電話装置1は、開状態にしたときには、アンテナ素子43を非接地状態に切り替えることにより(図11(a))、モノポールアンテナ(逆L字のアンテナ)として機能し、閉状態にしたときには、アンテナ素子43を接地状態に切り替えることにより(11(b))、逆Fアンテナとして機能させることができる。
【0057】
なお、携帯電話装置1は、開状態にしたときと、閉状態にしたときとでアンテナ素子43の接地状態を切り替えることができれば、どのような構成であっても良い。
【0058】
このようにして携帯電話装置1は、開状態と閉状態との間の変化に伴ってアンテナ構成を適宜切り替えることができるので、開状態及び閉状態のそれぞれに適したアプリケーションと連携させることにより、アンテナ構成の変化を好適に利用することができる。
【0059】
また、携帯電話装置1は、図12に示すように、第1回路基板41とは異なる第3回路基板61を備える。上述したように、携帯電話装置1(筐体)は、開状態と閉状態とをとり得るように連結部により連結される操作部側筐体部2(第1筐体)と表示部側筐体部3(第2筐体)から構成されている。
【0060】
図12に示す構成では、第1回路基板41は、操作部側筐体部2の内部に配置されている。第3回路基板61は、基準電位部45が形成されており、表示部側筐体部3の内部に配置されている。第1回路基板41上に設けられている挟持部材42により挟持されているアンテナ素子43は、第3回路基板61上に形成されている基準電位部45に対して接触する構成であり、開状態と閉状態との間の移動に伴ってアンテナ素子43が挟持部材42により挟持されながら摺動し、開状態と閉状態とで、アンテナ素子43において基準電位部45と接触する位置が異なるように構成されている。
【0061】
例えば、携帯電話装置1は、開状態及び閉状態の双方で逆Fアンテナを構成するが、開状態にしたときには、接地位置からアンテナ素子43の一端部43aまでの距離が短くなる、すなわち、給電位置から接地位置までの距離が長くなるように構成し(図12(a))、閉状態にしたときには、接地位置からアンテナ素子43の一端部43aまでの距離が長くなる、すなわち、給電位置から接地位置までの距離が短くなるように構成する(図12(b))。
【0062】
このようにして携帯電話装置1は、開状態と閉状態とで逆Fアンテナの接地位置を変えることによって、共振周波数を変化させることができるので、開状態と閉状態とで最適なアンテナ特性を得ることができる。
【0063】
また、携帯電話装置1は、図13に示すように、第1回路基板41とは異なる第3回路基板61を備える。上述したように、携帯電話装置1(筐体)は、開状態と閉状態とをとり得るように連結部により連結される操作部側筐体部2(第1筐体)と表示部側筐体部3(第2筐体)から構成されている。第1回路基板41は、操作部側筐体部2の内部に配置されている。第3回路基板61は、基準電位部45が形成されており、表示部側筐体部3の内部に配置されている。
【0064】
図13に示す構成では、アンテナ素子43は、第1回路基板41上に設けられている挟持部材42により摺動可能に挟持されている。また、アンテナ素子43の一端部43aは、第3回路基板61上に形成されている基準電位部45に接続されている。また、携帯電話装置1は、連結部により操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とが開状態と閉状態との間を遷移する場合に、当該遷移に伴いアンテナ素子43が摺動し、アンテナ素子43において挟持部材42により挟持される位置が変化する。
【0065】
例えば、携帯電話装置1は、開状態及び閉状態の双方で逆Fアンテナを構成するが、開状態にしたときには、給電位置からアンテナ素子43の他端部43bまでの距離が長くなるように構成し(図13(a))、閉状態にしたときには、給電位置からアンテナ素子43の他端部43bまでの距離が短くなるように構成する(図13(b))。
【0066】
このようにして携帯電話装置1は、開状態と閉状態とで挟持部材42による挟持位置が変化する、すなわち給電部44による給電位置が変化するので、共振周波数を変化させることができ、開状態と閉状態とで最適なアンテナ特性を得ることができる。
【0067】
なお、図11から図13に示す構成においては、表示部側筐体部3に配置される第3回路基板61に基準電位部45が形成され、挟持部材42に挟持されたアンテナ素子43が基準電位部45に電気的に接続される構成であるが、本発明はこれに限定されない。例えば、表示部側筐体部3に配置される表示部を固定するための板金部材が基準電位部45に電気的に接続され、アンテナ素子43が当該板金部材に電気的に接続される構成であっても良いし、基準電位部45に電気的に接続される部材が操作部側筐体部2に配置されていても良い。
【符号の説明】
【0068】
1 携帯電話装置
2 操作部側筐体部
3 表示部側筐体部
41 第1回路基板
42 挟持部材
43 アンテナ素子
44 給電部
45 基準電位部
51 第2回路基板
61 第3回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に配置される第1回路基板と、
前記第1回路基板に設けられ、導電性を有する第1挟持部材と、
前記第1挟持部材に挟持されて前記第1挟持部材と電気的に接続されるアンテナ素子と、
前記第1回路基板に設けられる給電部とを備え、
前記第1挟持部材は、前記給電部と電気的に接続される端末装置。
【請求項2】
前記第1回路基板には、基準電位部が形成されると共に、第2挟持部材が前記第1挟持部材と所定の間隔をおいて配置されており、
前記第2挟持部材は、前記基準電位部に電気的に接続されている請求項1記載の端末装置。
【請求項3】
前記アンテナ素子は、平面形状を有し、一端部と他端部の先端同士が所定の間隔で同一軸上で対向し、かつ、前記同一軸を中心にして前記一端部と前記他端部とが所定の角度で交わって配置されている請求項1記載の端末装置。
【請求項4】
前記筐体の内部に配置され、前記第1回路基板とは異なる第2回路基板と、
前記第2回路基板に設けられる第3挟持部材とを備え、
前記第2回路基板は、前記第1回路基板に対向する位置に配置されており、
前記アンテナ素子は、前記第1挟持部材と、前記第3挟持部材とにより挟持される請求項1記載の端末装置。
【請求項5】
前記アンテナ素子は、平面形状を有し、一端部と他端部の先端同士が所定の間隔により同一軸上で対向し、かつ、前記同一軸を中心にして前記一端部と前記他端部とが所定の角度で交わるように、前記第1挟持部材と、前記第3挟持部材とにより挟持される請求項4記載の端末装置。
【請求項6】
前記第1回路基板とは異なる第3回路基板を備え、
前記筐体は、開状態と閉状態とをとり得るように連結部により連結される第1筐体と第2筐体から構成され、
前記第1回路基板は、前記第1筐体の内部に配置され、
前記第3回路基板は、基準電位部が形成されており、前記第2筐体の内部に配置され、
前記第1回路基板に設けられている前記第1挟持部材により挟持されている前記アンテナ素子は、前記開状態で前記第3回路基板に形成されている前記基準電位部に接触せず、前記閉状態で前記第3回路基板に形成されている前記基準電位部に接触するように構成される請求項1記載の端末装置。
【請求項7】
前記第1回路基板とは異なる第3回路基板を備え、
前記筐体は、開状態と閉状態とをとり得るように連結部により連結される第1筐体と第2筐体から構成され、
前記第1回路基板は、前記第1筐体の内部に配置され、
前記第3回路基板は、基準電位部が形成されており、前記第2筐体の内部に配置され、
前記第1回路基板に設けられている前記第1挟持部材により挟持されている前記アンテナ素子は、前記第3回路基板に形成されている前記基準電位部に対して接触する構成であり、
前記開状態と閉状態とで、前記アンテナ素子において前記基準電位部と接触する位置が異なる請求項1記載の端末装置。
【請求項8】
前記第1回路基板とは異なる第3回路基板を備え、
前記筐体は、開状態と閉状態とをとり得るように連結部により連結される第1筐体と第2筐体から構成され、
前記第1回路基板は、前記第1筐体の内部に配置され、
前記第3回路基板は、基準電位部が形成されており、前記第2筐体の内部に配置され、
前記アンテナ素子は、前記第1回路基板に設けられている前記第1挟持部材により摺動可能に挟持され、
前記アンテナ素子の一端部は、前記第3回路基板上に形成されている前記基準電位部に接続されており、
前記連結部により前記第1筐体と前記第2筐体とが開状態と閉状態との間を遷移する場合に、当該遷移に伴い前記アンテナ素子が摺動し、前記アンテナ素子において前記第1挟持部材により挟持される位置が変化する請求項1記載の端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−74830(P2012−74830A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216966(P2010−216966)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】