説明

笠付栓整列装置

【課題】任意の方向を向いている笠付栓を目標方向に向ける。
【解決手段】笠付栓整列装置100は、笠付栓を搬送するスクリューコンベア20と、スクリューコンベア20によって搬送されている笠付栓10のうち第1方向に向いている笠付栓10Aの笠部が係合するように構成された第1係合部35と、第2方向に向いている笠付栓10Bの笠部が係合するように構成された第2係合部55とを備える。第1方向を向いている笠付栓10Aの笠部が第1係合部35に係合することによりその笠付栓10Aが回転し、第2方向を向いている笠付栓10Bの笠部が第2係合部55に係合することによりその笠付栓10Bが回転し、これにより目標方向に向いていない笠付栓10A、10Bが目標方向に向く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、笠付コルク栓等の笠付栓を目標方向に向ける笠付栓整列装置に関する。
【背景技術】
【0002】
笠部及び胴部を有する笠付栓(キノコ型栓)が知られている(特許文献2、3参照)。笠付栓は、一般には、その胴部がコルクで構成されおり、そのような笠付栓は、笠付コルク栓と呼ばれている。
【0003】
特許文献1には、コルク栓を容器の口部に打栓するコルク打栓機が記載されている。特許文献1に記載されたコルク打栓機では、軽いコルク部を上向きにし、重い上部側(笠部)を下向きにした状態でコルク栓を搬送し、打栓の際にコルク栓を反転させる。しかしながら、特許文献1には、1つの方向(コルク部が上、笠部が下)にのみ向いているコルク栓を他の1つの方向(コルク部が下、笠部が上)を向くように操作することが開示されているに過ぎず、任意の方向を向きうるコルク栓を目標方向に向けることは開示されていない。
【特許文献1】特開平6−144487号公報
【特許文献2】特開平11−227809号公報
【特許文献3】特開平11−227810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
笠付栓を自動打栓機で容器の口部に打栓する場合や、笠付栓を自動洗浄装置で洗浄する場合などにおいて、事前に多数の笠付栓を目標方向に向けて整列させることが要求される。この整列作業を人手で行おうとすると、相応の作業工数を要するし、高速化も難しい。また、整列作業が誤ってなされ、目標方向に向かないまま笠付栓が自動打栓機(例えば、特許文献1に記載された打栓機)や洗浄装置に供給されると、打栓がなされなかったり、洗浄不良が発生したりしうる。
本発明は、上記課題の認識を基礎としてなされたものであり、任意の方向を向いている笠付栓を目標方向に向けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、笠部及び胴部を有する笠付栓を目標方向に向ける笠付栓整列装置に係り、前記笠付栓整列装置は、笠付栓を搬送する搬送機構と、前記搬送機構によって搬送されている笠付栓のうち前記目標方向に向いていない笠付栓の笠部が係合するように構成された係合部とを備え、前記目標方向に向いていない笠付栓の笠部が前記係合部に係合することにより当該笠付栓が回転して前記目標方向に向く。
【0006】
本発明の好適な実施形態によれば、前記係合部は、前記搬送機構によって搬送されている笠付栓のうち第1方向に向いている笠付栓の笠部が係合するように構成された第1係合部と、前記搬送機構によって搬送されている笠付栓のうち前記第1方向とは異なる第2方向に向いている笠付栓の笠部が係合するように構成された第2係合部とを含むことが好ましい。前記第1方向を向いている笠付栓は、その笠部が前記第1係合部に係合することにより回転し、前記第2方向を向いている笠付栓は、その笠部が前記第2係合部に係合することにより回転し、これにより前記目標方向に向いていない笠付栓が前記目標方向に向く。
【0007】
本発明の好適な実施形態によれば、前記笠付栓整列装置は、容器に収容されている笠付栓を前記搬送機構に供給する供給部を更に備えることが好ましい。
【0008】
本発明の好適な実施形態によれば、前記笠付栓整列装置は、前記係合部よりも前記搬送機構の搬送方向の下流側に配置され、前記目標方向を向いていない笠付栓を検知するセンサと、前記センサの出力に基づいて、前記目標方向を向いていない笠付栓を排斥する排斥機構とを更に備えることが好ましい。
【0009】
本発明の好適な実施形態によれば、前記笠付栓整列装置は、前記係合部よりも前記搬送機構の搬送方向の下流側に配置され、前記目標方向に向いている笠付栓を移動させ、前記目標方向に向いてない笠付栓を停止させるガイドを更に備えることが好ましく、前記センサは、前記ガイドによって停止させられた笠付栓を検知することが好ましい。
【0010】
本発明の好適な実施形態によれば、前記搬送機構は、スクリューコンベアを含みうる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、任意の方向を向いている笠付栓を目標方向に向けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0013】
図1は、代表的な笠付栓の構成を示す図である。笠付栓10は、笠部11及び胴部12で構成され、全体としてキノコ形状を有する。笠部11は、例えば、ガラス、木、プラスチック等で構成されうる。胴部12は、典型的にはコルクで構成される。胴部がコルクで構成された笠付栓は、笠付コルク栓と呼ばれる。
【0014】
笠付栓10の方向の表現方法は種々あるが、ここでは、笠付栓10の軸に沿って笠部11から胴部12に向かう方向Aを笠付栓10の方向とする。この明細書及び図面では、笠付栓を、符号”10”又は”10”の後ろにアルファベットを付した符号で表す。このアルファベットは、向きの異なる笠付栓を区別するために便宜上付したものである。
図2〜図7は、本発明の好適な実施形態の笠付栓整装置の主要部又は構成要素を模式的に示す図である。より具体的には、図2及び図3は、笠付栓整列装置100の主要部を示す平面図、図4は、笠付栓整列装置100の一部を示す側面図、図5は、整列された笠付栓を移動させるガイド70を示す断面図、図6及び図7は、ガイド70を示す平面図である。
本発明の好適な実施形態の笠付栓整列装置100は、笠付栓10を搬送する搬送機構の一例としてのスクリューコンベア20と、スクリューコンベア20によって搬送されている笠付栓10のうち目標方向(ここでは、ほぼ鉛直方向)に向いてない笠付栓10A、10Bの笠部11が係合する第1係合部35、第2係合部55とを備えている。
【0015】
この実施形態では、第1係合部35は、笠付栓10(10A、10B、10Tを含む)をガイドする第1ガイド30に形成され、第2係合部55は、笠付栓10をガイドする第2ガイド50の端部によって形成されている。
【0016】
笠付栓10Aは、その方向Aがスクリューコンベア20側(第1方向)に向いている笠付栓であり、笠付栓10Bは、その方向Aが第1ガイド30の上方(第2方向)に向いて胴部12の先端が第1ガイド30上に位置する笠付栓である。また、笠付栓10Tは、その方向Aがほぼ鉛直方向(目標方向)に向いている笠付栓である。
第1係合部35は、図2及び図3に示す構成例では、第1ガイド30の2箇所に設けられていて、第1方向を向いている笠付栓10Aをその移動に伴って目標方向に回転させる。具体的には、第1方向を向いている笠付栓10A(図2)は、スクリューコンベア20による搬送に伴って、その笠部11が第1係合部35に一時的に係合し(引っ掛かり)、第1係合部35付近を回転中心として回転して目標方向に向くように向きが変更される(図3の10T)。
第2係合部55は、前述のように、第2ガイド50の端部によって形成されていて、第2方向を向いている笠付栓10Bをその移動に伴って目標方向に向くように回転させる。具体的には、第2方向を向いている笠付栓10B(図2〜図4)は、スクリューコンベア20によって第2ガイド50に向けて押し出され、この際に、その笠部12が第2係合部55に一時的に係合し(引っ掛かり)、第2係合部55付近を回転中心として回転して目標方向に向くように向きが変更される(図2〜図4において、第2ガイド50上の笠付線10T)。
笠付栓整列装置100は、更に、非整列状態の笠付栓10を一時的に収容する容器60と、容器60内の笠付栓10をスクリューコンベア20に供給する供給機構90とを備えうる。容器60は、例えば、スクリューコンベア20方向に向かって下方に傾斜する底面を有し、笠付栓10は、底面上を転がりながら、或いは滑りながら供給機構90の方向に移動する。供給機構90は、例えば、スクリューコンベア20に向けて笠付栓10を押し出す機構を有する。
【0017】
第1係合部35及び第2係合部55を通過することにより、全ての笠付栓10が目標方向に向くように整列されるはずである。しかしながら、何らかの原因によって、目標方向に向かないまま、スクリューコンベア20によって第2ガイド50に押し出される笠付栓10Cが発生しうる。この実施形態の笠付栓整列装置100は、目標方向に向いていない笠付栓10Cが次工程装置(例えば、打栓機、洗浄機)に搬送されることを防止する機構を備えている。
【0018】
この実施形態では、第2ガイド50は、2本のガイドレールで構成され、目標方向に向いた笠付栓10は、該2本のガイドレールによって胴部12が挟まれ、かつ、該2本のガイドレールの上に笠部11が載った状態で搬送される。目標方向に向いていない笠付栓10Cは、上方(斜め上方を含む)に向いている。したがって、目標方向に向いていない笠付栓10Cは、目標方向に向いている笠付栓10Tよりも高い位置を通ることになる。そこで、目標方向に向いていない笠付栓10Cはセンサ光軸を遮り、目標方向に向いている笠付栓10Tはセンサ光軸を遮らないように、センサ(例えば、フォトインターラプタ)80を配置することにより、目標方向に向いていない笠付栓10Cを検知することができる。センサ80は、第1係合部35及び第2係合部55よりもスクリューコンベア20の搬送方向の下流側に配置される。
排斥機構90は、例えば、エアシリンダを含んで構成され、目標方向に向いていない笠付栓10Cを、その存在を示すセンサ80の出力に基づいて排斥する。
更に、笠付栓整列装置100は、第2ガイド50によって搬送されてくる笠付栓10のうち目標方向を向いている笠付栓10Tを移動させ、目標方向に向いていない笠付栓10Cを停止させる第3ガイド70を備えることが好ましい。第3ガイド70は、例えば、笠付栓が自重によって移動するように構成されうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】代表的な笠付栓の構成を示す図である。
【図2】笠付栓整列装置の主要部を示す平面図である。
【図3】笠付栓整列装置の主要部を示す平面図である。
【図4】笠付栓整列装置の一部を示す側面図
【図5】整列された笠付栓を移動させるガイドを示す断面図である。
【図6】整列された笠付栓を移動させるガイドを示す平面図である。
【図7】整列された笠付栓を移動させるガイドを示す平面図である。
【符号の説明】
【0020】
10、10A、10B、10C、10T:笠付栓、11:笠部、12:胴部、A:笠付栓の方向、20:スクリューコンベア(搬送機構)、30:第1ガイド、35:第1係合部、50:第2ガイド、55:第2係合部、60:容器、70:第3ガイド、80:センサ、90:排斥機構、100:笠付栓整列装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
笠部及び胴部を有する笠付栓を目標方向に向ける笠付栓整列装置であって、
笠付栓を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構によって搬送されている笠付栓のうち前記目標方向に向いていない笠付栓の笠部が係合するように構成された係合部と、
を備え、前記目標方向に向いていない笠付栓の笠部が前記係合部に係合することにより当該笠付栓が回転して前記目標方向に向くことを特徴とする笠付栓整列装置。
【請求項2】
前記係合部は、前記搬送機構によって搬送されている笠付栓のうち第1方向に向いている笠付栓の笠部が係合するように構成された第1係合部と、前記搬送機構によって搬送されている笠付栓のうち前記第1方向とは異なる第2方向に向いている笠付栓の笠部が係合するように構成された第2係合部とを含み、
前記第1方向を向いている笠付栓は、その笠部が前記第1係合部に係合することにより回転し、前記第2方向を向いている笠付栓は、その笠部が前記第2係合部に係合することにより回転し、これにより前記目標方向に向いていない笠付栓が前記目標方向に向くことを特徴とする請求項1に記載の笠付栓整列装置。
【請求項3】
容器に収容されている笠付栓を前記搬送機構に供給する供給部を更に備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の笠付栓整列装置。
【請求項4】
前記係合部よりも前記搬送機構の搬送方向の下流側に配置され、前記目標方向を向いていない笠付栓を検知するセンサと、
前記センサの出力に基づいて、前記目標方向を向いていない笠付栓を排斥する排斥機構と、
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の笠付栓整列装置。
【請求項5】
前記係合部よりも前記搬送機構の搬送方向の下流側に配置され、前記目標方向に向いている笠付栓を移動させ、前記目標方向に向いてない笠付栓を停止させるガイドを更に備え、
前記センサは、前記ガイドによって停止させられた笠付栓を検知することを特徴とする請求項4に記載の笠付栓整列装置。
【請求項6】
前記搬送機構は、スクリューコンベアを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の笠付栓整列装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−182492(P2006−182492A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−377134(P2004−377134)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000110918)ニッカウヰスキー株式会社 (21)
【Fターム(参考)】