第1および第2の金属被加工物を高い圧力/高い速度によって溶接または接合する方法、ならびにそれによって作製される製造品
金属結合を形成する方法を提供する。第1の金属被加工物(10)と1つまたは複数の第2の金属被加工物(15)とを、第1の被加工物(10)の第1の部分(12)が1つまたは複数の第2の被加工物(15)の第2の部分(17)と一般的に重なり合う関係にあるように、互いに近くに配置する。第1の部分(12)と第2の部分(17)との間に適切な材料(99)を提供し、この材料は、粒子または箔の形式である。第1の金属被加工物(10)と1つまたは複数の第2の金属被加工物(15)とが互いに接合または溶接されてこれらの間に金属結合が形成されるように、第1の部分(12)を備えている第1の被加工物(10)の少なくとも第1の一部分を、第2の部分(17)を備えている1つまたは複数の第2の被加工物(15)の一部分に、適切な高圧接合プロセス(95)および高速接合プロセスのいずれか一方によって押し付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物の溶接または接合に適用される圧力もしくは速度、またはその両方を適用することに基づく溶接プロセスおよび接合プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
被加工物の間に相互結合または金属結合が形成されるように被加工物を接合/溶接する目的には、さまざまな接合プロセスまたは溶接プロセスが使用される。
【0003】
そのようなプロセスの1つのカテゴリでは、被加工物をその融点まで加熱することなく、あるいはろう材を加えることなく、固相金属結合(solid state metallurgical bond)を提供する。このカテゴリには、少なくとも以下の周知のプロセスが含まれる。
(i)パルス磁場成形(PMF)
(ii)爆発圧接(EW)
(iii)摩擦圧接(FW)
(iv)超音波溶接(USW)
(v)拡散接合(DFW)
(vi)冷間圧接(CW)
(vii)ガス圧接(PGW)
(viii)鍛接(FOW)
【0004】
パルス磁場成形(PMF)は、金属被加工物またはその一部をパルス磁場によって急激に動かすことによって被加工物を変形させるプロセスである。PMFプロセスの1つの利点は、このプロセスに伴う熱(specific heat)が最小であり、したがって、被加工物がまったく、またはほとんど加熱されないことであり、本文書においてはこのプロセスを「冷間圧接」または「溶接」と称する。さらに、このプロセスは、他のさまざまな手法の場合のように工具痕跡が残るという欠点がない。
【0005】
PMFプロセスでは、強い磁場を発生させる目的で、コンデンサバンクと、成形コイルと、しばしば磁界形成器(field shaper)とを使用する。PMFプロセスに要求される極めて強い磁場は、コンデンサバンクに蓄えられている電気エネルギを成形コイルに極めて急激に放電することによって発生する。結果として被加工物に誘起される渦電流によって、被加工物と成形コイルとの間に磁気反発力が発生し、成形コイルは自身の位置にしっかりと支持されているため、この反発力によって被加工物が変形する。
【0006】
反発力の影響を受けて被加工物の表面が動くとき、この表面は磁場からエネルギを吸収する。利用可能なエネルギのほとんどを成形に適用するためと、被加工材料にエネルギが浸透する(これにより抵抗加熱によってエネルギが無駄になる)ことによるエネルギ損失を低減する目的で、成形磁気パルスを極めて短くする。ほとんどのPMF用途において、パルスの持続時間は、約10〜約250μsec(放電電流の第1波の持続時間)である。
【0007】
本発明の譲受人に譲渡された特許文献1には、第1の金属被加工物の少なくとも一部分を、1つまたは複数の第2の金属被加工物の少なくとも一部分に接合または溶接する方法が開示されている。この方法は、パルス磁力(pulsed magnetic force)によって第1の被加工物の該一部分に運動を誘発して第2の被加工物の該一部分に衝撃を与えるステップ、を含んでおり、この運動によって、第1の被加工物の該少なくとも一部分に運動エネルギが与えられ、これに起因して、2つの該少なくとも一部分が互いに接合または溶接される。
【0008】
特許文献2には、少なくとも12インチの外径を有する鋼管の2つの隣接セグメントを橋渡しスリーブ(bridging sleeve)によって接合する接合器が開示されており、短い収縮パルスによる磁場成形によってスリーブが両方の管セグメントに収縮する。
【0009】
爆発圧接(EW)は、固相接合プロセスであり、制御下での爆発の結果として被加工物を高速で衝突させることによって、2つの被加工物の間に溶接を形成する。2つの被加工物を、間に空間が存在するように配置し、爆発の衝撃によって2つの被加工物が一端において衝突してそこに接点が形成され、爆発によって生じる力の結果として、2つの被加工物が完全に溶接されるまで接点が被加工物全体に高速で移動する。
【0010】
摩擦圧接(FW)は、固相プロセスであり、第1の被加工物と第2の被加工物とが接触した状態で、第1の被加工物を第2の被加工物に対して回転させる、もしくは並進させる、またはその両方を行い、2つの被加工物の間に発生する摩擦によって、結合のためのエネルギが提供する。
【0011】
超音波溶接(USW)は、固相接合プロセスであり、第1の被加工物を第2の被加工物に高圧で押し付け、間の接触領域に高周波振動を発生させ、結合のためのエネルギを提供する。
【0012】
拡散接合(DFW)は、固相接合プロセスであり、第1の被加工物を第2の被加工物に高圧および高温(ただし、被加工物の融点より低い)において押し付ける。巨視的スケールにおいて被加工物は実質的に変形したり相対的に動くことはない。
【0013】
冷間圧接(CW)は、固相接合プロセスであり、第1の被加工物を第2の被加工物に高圧および室温において押し付ける。溶接において被加工物が実質的に変形する。
【0014】
ガス圧接(PGW)または高圧ガス溶接(Hot Pressure Gas Welding)は、固相接合プロセスであり、第1の被加工物を第2の被加工物に高圧および高温において押し付ける。巨視的スケールにおいて被加工物は実質的に変形する。
【0015】
鍛接(FOW)または衝撃圧接は、固相接合プロセスであり、第1および第2の被加工物を溶接温度まで加熱する一方で、第2の被加工物に密着させて第1の被加工物に強い衝撃を加える。接触面において被加工物は実質的に変形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第5,824,998号明細書
【特許文献2】米国特許第5,442,846号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本文書では、本発明の深い理解を促進する目的で、以下の用語を使用している。
【0018】
第1の被加工物: その少なくとも一部が適切な力(例えば、パルス磁力)によって急激に動き、結果として第2の被加工物(次項参照)に接合または溶接される、金属体。
【0019】
第2の被加工物: 第1の被加工物の少なくとも一部が接合または溶接される金属体。
【0020】
加工作用(working): 第1の被加工物またはその一部分の表面に適用される加工作用の結果であるプロセス。加工作用は、本発明によると、第1の被加工物の形状を変化させることに加えて、第1の被加工物またはその一部分と、第2の被加工物またはその一部分とを接合または溶接する。
【0021】
接合: 被加工物が第2の被加工物に極めてしっかり接触するように、被加工物に加工作用を加えること。接合は、例えば、本質的に管状の被加工物を、その被加工物の内側の円柱状の金属体に収縮させて、これら2つの被加工物の向かい合う表面を極めて強くかつ本質的に永久的にひとつにする動作である。接合の目的は、例えば、2つの被加工物の間の確固たる電気的接続(すなわち、最小の電気抵抗)を確保することである。
【0022】
溶接: 第1および第2の被加工物の向かい合う2つの面が互いに一体化するように第1の被加工物を形成すること。溶接においては、これら2つの面は実際には溶けるまたは溶融してひとつになった後、一緒に凝固して一体化する。
【0023】
金属結合: 金属原子の集合が接近するとき、価電子の波動関数の空間的広がりが増大して金属をひとつに保持する主たる結合。
【0024】
固相接合: ろう付け金属を加えることなく、被加工物のうちの少なくとも一方の融点よりも本質的に低い温度において2つの被加工物を一体化する溶接プロセスによって形成される接合。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態を、以下の番号付きパラグラフに定義しておく。
【課題を解決するための手段】
【0026】
1.第1の金属被加工物と1つまたは複数の第2の金属被加工物との間に金属結合を形成する方法であって、
(a)第1の金属被加工物と1つまたは複数の第2の金属被加工物とを、第1の被加工物の第1の部分が1つまたは複数の第2の被加工物の第2の部分と一般的に重なり合う関係にあるように、互いに近くに配置するステップと、
(b)第1の部分と第2の部分との間に適切な材料を提供するステップであって、材料が粒子または箔の形式である、ステップと、
(c)第1の金属被加工物と1つまたは複数の第2の金属被加工物とが互いに接合または溶接されてこれらの間に金属結合が形成されるように、第1の部分を備えている第1の被加工物の少なくとも第1の一部分を、第2の部分を備えている1つまたは複数の第2の被加工物の一部分に、適切な高圧接合プロセスおよび高速接合プロセスのいずれか一方によって押し付けるステップと、
を含んでいる、方法。
【0027】
2.適切な高圧接合プロセスおよび高速接合プロセスのいずれか一方が、間に材料を有する第1の部分と第2の部分との間に接触前縁(contact front)が生じるように、第1の部分と第2の部分とを、金属結合を形成する相互接触状態(metallurgical bond-forming mutual contact)にするステップを含んでおり、接触前縁が、金属結合した少なくとも1つの部分と、結合していない少なくとも1つの部分との間の位置を定義しており、金属結合した少なくとも1つの部分においては、第1の部分および第2の部分の向かい合う一部分がプロセスによってすでに接合されており、結合していない少なくとも1つの部分においては、第1の部分および第2の部分の向かい合う一部分がプロセスによってやがて接合され、接触前縁が、第1の部分と第2の部分の間で急速に伝搬する、実施形態1に記載の方法。
【0028】
3.第1の部分と第2の部分とが、接触前縁において所定の鋭角にて接触している、実施形態2に記載の方法。
【0029】
4.接触前縁が3*103m/秒以上の速度で伝搬する、実施形態2または3のいずれかに記載の方法。
【0030】
5.接触前縁が約600m/秒以上の速度で伝搬する、実施形態2〜4のいずれか1つに記載の方法。
【0031】
6.接触前縁が、結合していない部分における、第1の部分と第2の部分の向かい合う一部分の間にプラズマが発生するのに十分な速度で、伝搬する、実施形態2〜5のいずれか1つに記載の方法。
【0032】
7.プラズマが、伝搬する接触前縁によってプラズマ発生まで加熱される、材料の少なくとも一部を備えている、実施形態6に記載の方法。
【0033】
8.プロセスが磁気パルス成形(PMF)プロセスである、実施形態2〜7のいずれか1つに記載の方法。
【0034】
9.ステップ(c)において、PMFプロセスが、電流パルスをコイルに流すことによってパルス磁力を発生させるステップ、を含んでおり、
パルス磁力は、
衝撃を与えた後の、第1の被加工物の塑性変形エネルギおよび第2の被加工物の弾性変形エネルギを合わせたエネルギに等しいかまたはそれより大きい、衝撃を与える前の第1の被加工物の初期運動エネルギ、によって、第1の一部分が第2の一部分に衝撃を与え、これによって、1つまたは複数の第2の金属被加工物が互いに接合または溶接される、
ように作用する力である、
実施形態8に記載の方法。
【0035】
10.プロセスが爆発圧接プロセスである、実施形態2〜7のいずれか1つに記載の方法。
【0036】
11.プロセスが摩擦圧接である、実施形態2〜7のいずれか1つに記載の方法。
【0037】
12.プロセスが超音波溶接プロセスである、実施形態2〜7のいずれか1つに記載の方法。
【0038】
13.プロセスが拡散接合プロセスである、実施形態2〜7のいずれか1つに記載の方法。
【0039】
14.プロセスが冷間圧接プロセスである、実施形態2〜7のいずれか1つに記載の方法。
【0040】
15.プロセスがガス圧接プロセスである、実施形態2〜7のいずれか1つに記載の方法。
【0041】
16.プロセスが鍛接プロセスである、実施形態2〜7のいずれか1つに記載の方法。
【0042】
17.ステップ(b)において、粒子が、第1の部分と第2の部分のうちの少なくとも一方に塗布される、実施形態1〜16のいずれか1つに記載の方法。
【0043】
18.ステップ(b)がステップ(a)の前に実行される、実施形態17に記載の方法。
【0044】
19.粒子が、第1の部分の第1の表面と第2の部分の第2の表面のうちの少なくとも一方に塗布される、実施形態1〜18のいずれか1つに記載の方法。
【0045】
20.第1の表面と第2の表面のうちの少なくとも一方に、金属粉末を備えているエマルションによって粒子を吹き付けるかまたはコーティングすることによって、粒子が第1の表面と第2の表面のうちの少なくとも一方に塗布される、実施形態19に記載の方法。
【0046】
21.エマルションが、適切な気体または液体に浮遊している粒子を備えている、実施形態20に記載の方法。
【0047】
22.第1の表面と第2の表面のうちの少なくとも一方と、粒子との間に静電引力を発生させることによって、粒子が第1の表面と第2の表面のうちの少なくとも一方に塗布される、実施形態19に記載の方法。
【0048】
23.粒子が金属粒子であり、かつ磁化されており、第1の部分と第2の部分のうちの少なくとも一方が磁化可能であり、金属粉末の近傍において、少なくとも一方の部分に適切な電流を流して少なくとも一方の部分を磁化し、これに起因して、粒子が、第1の部分と第2の部分のうちの少なくとも一方に磁気的に引きつけられる、実施形態19に記載の方法。
【0049】
24.第1の部分と第2の部分のうちの少なくとも一方が、少なくともステップ(c)の前に粒子を保持しているように構成されている表面形状、を備えている、実施形態1〜23のいずれか1つに記載の方法。
【0050】
25.表面形状が、凹部、くぼみ、溝、その他のうちのいずれか1つを含んでいる、実施形態24に記載の方法。
【0051】
26.粒子のうちの少なくとも一部が、第1の部分と第2の部分のうちの少なくとも一方の金属と共通する金属から作製されている、実施形態1〜25のいずれか1つに記載の方法。
【0052】
27.粒子のうちの少なくとも一部が、第1の部分および第2の部分の金属と共通する金属から作製されている、実施形態1〜26のいずれか1つに記載の方法。
【0053】
28.粒子が、第1の部分および第2の部分を構成している1つまたは複数の金属とは異なる1つまたは複数の金属を備えている、実施形態1〜27のいずれか1つに記載の方法。
【0054】
29.粒子が、約1*10−6メートル〜約200*10−6メートルの範囲内の有効径または特徴的寸法を有する、実施形態1〜28のいずれか1つに記載の方法。
【0055】
30.粒子が、約5*10−6メートル〜約50*10−6メートルの範囲内の有効径または特徴的寸法を有する、実施形態1〜28のいずれか1つに記載の方法。
【0056】
31.粒子が、約10−9メートルのオーダーの有効径または特徴的寸法を有する、実施形態1〜28のいずれか1つに記載の方法。
【0057】
32.粒子が、アルミニウム、鉄または鋼、銅、マグネシウム、ビスマス、リチウム、ニッケル、亜鉛、マグネシウム、銀、金、チタン、スズから選択される少なくとも1つの金属または合金を備えている、実施形態1〜31のいずれか1つに記載の方法。
【0058】
33.粒子が、酸化マグネシウムおよび酸化アルミニウムから選択される少なくとも一方のセラミックを備えている、実施形態1〜32のいずれか1つに記載の方法。
【0059】
34.箔が、約1*10−6m〜約200*10−6mの間の厚さの金属箔を備えている、実施形態1〜28のいずれか1つに記載の方法。
【0060】
35.箔が、約5*10−6m〜約50*10−6mの間の厚さの金属箔を備えている、実施形態1〜28のいずれか1つに記載の方法。
【0061】
36.実施形態1〜35のいずれか1つに記載の方法に従って1つまたは複数の第2の金属被加工物に溶接されている第1の金属被加工物を備えている製造品。
【0062】
本発明のいくつかの態様による高圧/高速の接合または溶接においては、プロセスを実施する前に第1の被加工物と第2の被加工物との間に隙間を設ける。次いで、プロセスにおいて、間に材料を有する第1の部分と第2の部分との間に接触前縁が生じるように、第1の部分と第2の部分を、金属結合を形成する相互接触状態にし、したがって、被加工物の、まだ結合されていない接触表面が、互いの間に角度(α)を形成する。
【0063】
接触前縁は、金属結合した少なくとも1つの部分と、結合していない少なくとも1つの部分との間の、移動する位置または分離線を定義しており、金属結合した少なくとも1つの部分においては、第1の部分および第2の部分の向かい合う一部分がこのプロセスによってすでに接合されており、結合していない少なくとも1つの部分においては、第1の部分および第2の部分の向かい合う一部分がこのプロセスによってやがて接合される。第1の部分全体が第2の部分に結合されるまで、接触前縁が第1の部分と第2の部分の間で急速に伝搬する。
【0064】
接触点の伝搬速度Vc.p.は、2つの被加工物の間の衝撃速度Vrと次式の関係がある。
【数1】
【0065】
衝撃速度は、次の関係によって表すことができる。
【0066】
【数2】
この式において、
h:被加工物の間の隙間
l:ひとつに溶接する被加工物の長さ
p:パルス高圧(すなわち磁気圧力)
γ:材料の密度(specific density)
Δ:圧力によって発生する力によって変形させる被加工物の厚さ
【0067】
(1)と(2)をひとつにまとめると、Vc.p.の次の関係が得られる。
【数3】
【0068】
関係(3)は、Vc.p.を減少させることができる場合、式中のさまざまなパラメータをどのように変化させ得るかを示す。
【0069】
例えば、圧力が同じである場合、より小さい隙間を使用することができ、あるいは、隙間および長さが同じである場合、必要な圧力をより小さくすることができる。
【0070】
本発明による粒子または箔を提供することによってVc.p.を減少させることができ、したがって、粒子または箔を使用しない場合よりも、低い圧力もしくは小さい隙間、またはその両方を使用することができる。同様に、隙間もしくは圧力、またはその両方が同じである場合、より長い溶接長さを提供することができる。
【0071】
上記の関係は、本発明において使用する別の固相接合プロセスのうち、力を印加することにより2つの被加工物の間で伝搬する溶接フロントまたは接触点を形成する固相接合プロセスにも、必要な変更を施したうえで、適用される。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態によると、第1の被加工物および第2の被加工物の任意の組み合わせにおいて、力を発生させる前に2つの被加工物の間に前述の材料を加えることによって、隙間の寸法、もしくは発生させる力の大きさ、またはその両方を減少させることができる。
【0073】
理論に限定されることなく、プラズマは、通常、力を印加したときに2つの被加工物の間に発生する。接触前縁が伝搬するにつれて、プラズマ(被加工物の間の空気またはガスに高温および高圧が突然加えられ、空気またはガスがその空間を急激に脱しようとする結果として形成される)によって、被加工物の、互いに向かい合うもしくは密着している、またはその両方である表面が本質的に清浄にされ、これらの表面にエネルギが与えられて金属結合が可能となり、接触前縁より下流において2つの被加工物がひとつに接合される。被加工物の間に粉末を加えることによって、プラズマがより容易に形成されるようにすることができ、これにより、隙間の大きさ、もしくは、必要な印加する力の大きさ、またはその両方が低減する。
【0074】
このように、粒子は、ひとつに溶接する表面の間のプラズマ波の熱を増大させることにより、表面の間の局所的な温度を上昇させ、生成される溶接を促進する役割を果たすことができる。
【0075】
本発明の別の態様によると、本発明による粒子または箔がすでに間に提供されている状態で、2つの被加工物を当接させ、連続的な高圧または衝撃圧力を印加する。粒子もしくは箔、またはその両方が存在することによって、溶接プロセスが促進される。
【0076】
以下では、本発明についてと、本発明を実際に実施する方法とを理解する目的で、本発明を制限することのない一例として、好ましい実施形態を添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一態様による、同心の被加工物をひとつに溶接する方法を概略的に示している。
【図2】ケーブルおよびケーブルラグから成るアセンブリの斜視図であって、ケーブルの端部をケーブルラグの内側空間に挿入した後の状態である。
【図3】図2のアセンブリを上から見た部分断面図である。
【図4】図3における線3−3に沿って切断した断面図である。
【図5】アセンブリを上から見た部分断面図であって、ケーブルラグの円筒部分が収縮し、ケーブルとケーブルラグの間の確固たる接合が形成された後の状態である。
【図6】図5における線5−5に沿って切断した断面図である。
【図7A】本発明の実施形態による、2本の棒体を接合する方法を概略的に示している。
【図7B】本発明の実施形態による、2本の棒体を接合する方法を概略的に示している。
【図8A】本発明の実施形態による、2本の超伝導体ケーブルを互いに接合する方法を概略的に示している。
【図8B】本発明の実施形態による、2本の超伝導体ケーブルを互いに接合する方法を概略的に示している。
【図8C】本発明の実施形態による、2本の超伝導体ケーブルを互いに接合する方法を概略的に示している。
【図9A】2本の超伝導体ケーブルを接合するための、本発明による別の実施形態を概略的に示している。
【図9B】2本の超伝導体ケーブルを接合するための、本発明による別の実施形態を概略的に示している。
【図9C】2本の超伝導体ケーブルを接合するための、本発明による別の実施形態を概略的に示している。
【図9D】2本の超伝導体ケーブルを接合するための、本発明による別の実施形態を概略的に示している。
【図10A】本発明の実施形態による、接地ケーブルを製造する方法を、概略的な断面図として示している。
【図10B】本発明の実施形態による、接地ケーブルを製造する方法を、概略的な断面図として示している。
【図10C】本発明の実施形態による、接地ケーブルを製造する方法を、概略的な断面図として示している。
【図11A】本発明による、超伝導体ケーブルを製造する方法を概略的な断面図として示している。
【図11B】本発明による、超伝導体ケーブルを製造する方法を概略的な断面図として示している。
【図12】2枚の平坦な金属体を溶接するための配置構造を示している。
【図13】図12における線16−16に沿って切断した断面図である。
【図14】図14A、図14Bは、初期状態として平坦な金属被加工物を、円筒状の金属被加工物にPMF溶接する実施形態を示している。
【図15】図15A、図15Bは、初期状態として平坦な金属被加工物を、角柱状の金属被加工物にPMF溶接する別の実施形態を示している。
【図16】本発明の別の態様による、被加工物をひとつに溶接する方法を概略的に示している。
【図17】本発明のさらに別の態様による、被加工物をひとつに溶接する方法を概略的に示している。
【図18】本発明のさらに別の態様による、被加工物をひとつに溶接する方法を概略的に示している。
【図19】本発明のさらに別の態様による、被加工物をひとつに溶接する方法を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0078】
図1を参照し、この図は、本発明による、2つの被加工物を溶接する方法を示している。この例においては、第1の被加工物は、少なくとも第1の部分12を有する円筒状要素10の形式であり、この第1の部分12は、棒体15の形式である第2の被加工物の第2の部分17と同心であり、かつ重なり合う関係にある。第1の部分と第2の部分は、適切な接合力または溶接力を印加するための任意の適切な技術を使用してそのような力が印加される前、小さな隙間18によって隔てられている。図示した実施形態においては、接合力はパルス磁力である。
【0079】
本発明の譲受人に譲渡された特許文献1には、2つの被加工物をパルス磁力を使用して接合または溶接する装置および方法が開示されており、この文書の内容は、その全体が参照により本明細書に援用する。この特許に開示されている方法および装置は、本明細書において後から説明するように必要なPMF力を提供する目的に使用できるが、本発明はこれに限定されず、任意の適切なPMF手法を採用することができる。
【0080】
本発明によると、第1の部分と第2の部分とをPMF力によってひとつにする前に、多量の適切な粒子99を隙間18に提供する。
【0081】
本発明によると、粒子99は、任意の適切な形状および大きさの粒子を含んでいることができる。一般には、粒子は、ほぼ球形状であるが、それ以外の規則的または不規則の任意の形状を有することができ、例えば、いくつかの粒子はストランド形状またはそれに類似する形とすることができ、また、粒子の形状は粒子ごとに異なっていることができる。
【0082】
さらに、粒子99の大きさは、ほぼ均一とすることができ、または、粒子ごとに異なっていることができる。粒子の大きさは、形状が既知である一意の寸法によって表すことができる。例えば、ほぼ球状の粒子の場合、大きさを直径として表すことができる。特に不規則な形状の粒子の場合、粒子の大きさは、有効径によって表すことが都合よく、有効径は、対象の粒子と同じ体積を有する球状粒子の直径として定義することができる。そのような粒子の実直径または有効径は、例えば、約1*10−6mないし約5*10−6mから約50*10−6mないし約200*10−6mの範囲とすることができ、または、1*10−6mより小さくすることもでき、場合によっては10−9mのオーダーである。
【0083】
一般的には、大きい粒子よりも小さい粒子の方が良好であり、なぜなら、粒子が小さいほど表面エネルギが大きく、したがって、プラズマ発生に必要なエネルギが小さいためである。しかしながら、粒子の最適な大きさは、粒子材料の可燃性の関数とすることができる。例えば、マグネシウム、アルミニウム、またはニッケルの粒子では、比較的小さな鋼の粒子を使用して得られるのと同じ効果を、比較的大きな粒子を使用して提供することができる。
【0084】
粒子99は、任意の適切な金属またはセラミックから作製することができ、本発明の一態様によると、粒子は非付着性である、すなわち、付着性の材料を含んでいない。2つの被加工物の接合または溶接において使用される粒子99は、すべてが同じ金属材料または金属以外の材料を備えている、あるいは、さまざまな金属粒子、セラミック粒子、またはその他の適切な粒子の混合物を含んでいることができ、例えば、いくつかの粒子が、ある金属から作製されており、他の粒子は別の金属、セラミック、プラスチック、またはその他の材料から作製されている。オプションとして金属から成る粒子99の少なくとも一部を、第1の被加工物10および第2の被加工物15のいずれか一方または両方と同じ金属から作製することができ、あるいは、少なくとも、第1の部分12および第2の部分17のいずれか一方または両方と同じ金属から作製することができる。
【0085】
例えば、粒子99は、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、鉄または鋼、銅、マグネシウム、ビスマス、リチウム、ニッケル、銀、金、チタン、スズのいずれか、またはその合金から作製することができ、あるいは、セラミック、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム)、プラスチック、あるいは実際には任意の適する材料、特に、プラズマを形成することのできる材料、から作製することができる。
【0086】
図1に示した実施形態によると、粒子99は、第2の部分17のみに塗布することが都合よい。粒子99は、さまざまな多数の方法において塗布することができる。例えば、図1に示した実施形態においては、棒体15の第2の部分17を、大量の粒子(例えば、金属粉末の外観を呈する)を含んでいる容器の中に沈めることができ、いくつかの粒子が第2の部分17の表面に付着する。
【0087】
あるいは、粒子99を流体媒体中に浮遊させてエマルションを形成することができる。流体媒体は、気体または液体(例えば、アルコールまたはエーテル)とすることができ、このエマルションを第2の部分17の表面に吹き付ける、またはコーティングする。粒子は、例えば、アセトンに混合された銀ベースの粉末を含んでおり、被加工物の一部分にエマルションを塗布するときにアセトンが蒸発する。
【0088】
粒子の必要な一貫性または濃度を提供するため、粒子を適切な分量計(dosimeter)に通すことができる。オプションとして、棒体17に電位を印加する一方で、反対の電位によって粒子も帯電させることにより、第2の一部分17の表面への粒子99の付着を促進する。この電気的引力手法は、必要な変更を施したうえで、エマルションを使用せずに金属粒子99を第2の部分17に直接塗布する目的にも使用することができる。
【0089】
あるいは、粒子99が適切な金属から作製されているとき、粒子99を磁化することができ、棒体15も磁化可能な金属から作製されているとき、棒体15を適切に永久的または一時的に磁化することによって、磁化された粒子を第2の部分17の表面に引きつけて、PMFプロセスが適用されるまで保持することができる。
【0090】
粒子99の薄い層を塗布して、粒子99が第2の部分17上にほぼ均一に分散していることが好ましい。粒子は、第2の部分17の全面を均一または不均一に覆う粒子層として形成することができ、層の平均厚さを1個の粒子とすることができ、あるいは、平均厚さを1個の粒子よりも大きくする(例えば、粒子の厚さの2倍、3倍、4倍、5倍、またはそれ以上)ことができる。あるいは、粒子をポケット内に散乱させる、または、粒子が存在しない領域によって隔てられている粒子の島を形成する、または、粒子が存在しない複数の隣接する領域を囲む網状の形式とすることができる。
【0091】
しかしながら、本発明によると、金属粒子99を、第1の部分12のみに、または第1の部分12および第2の部分17の両方に、第2の部分17の場合について上述した方法と同様の方法において、必要な変更を施したうえで、塗布することができる。
【0092】
粒子99を第2の部分17に塗布した時点で、2つの被加工物10,15にPMFプロセスを適用することができる。
【0093】
適切なPMF力は、適切なPMFコイル95の内側空間96の中に2つの被加工物10,15を適切に同軸上に配置することによって、例えば、特許文献1に記載されている方法と類似する方法において、印加することができ、この文書の内容は、その全体が参照により本明細書に援用する。PMF力を印加した後、第1の一部分18と第2の一部分17との間に金属粒子99の層がはさまれた状態で、第1の一部分18を第2の一部分17に押し付ける。理論に限定されることなく、PMF力が、2つの被加工物をひとつに溶接または圧着することができる程度に十分に大きいとき、金属粒子99は、第1の一部分18および第2の一部分17の2つの向かい合う表面の溶接および融合を促進するものと考えられる。コイル96の幅は、一般には、電流がコイル96に放電されるときに加工される被加工物の長さを決める。
【0094】
図1に示した実施形態においては、棒体15はチューブに置き換えることができ、このようにして、任意の望ましい長さの2本のチューブを、図1の配置構成について上述した方法と類似する方法において、必要な変更を施したうえで、任意の望ましい長さにわたり、ひとつに溶接できることが理解されるであろう。
【0095】
さらには、本発明の別の態様によると、必要な変更を施したうえで、パルス磁力ではなく別の手段によって接合力を提供することにより、間に粒子99が提供されている2つの被加工物10,15の間に固相接合が提供されることが理解されるであろう。
【0096】
例えば、本発明の別の態様によると、爆発圧接プロセス、または実際には任意の他のプロセス、例えば、必要に応じて、摩擦圧接(FW)、超音波溶接(USW)、拡散接合(DFW)、冷間圧接(CW)、ガス圧接(PGW)、鍛接(FOW)によって、必要な変更を施したうえで、接合力を提供することができる。
【0097】
したがって、対応する爆発圧接プロセスにおいては、コイル95ではなく、適切なコイル状の爆薬が第1の部分12の外側に配置されており、図1において第1の部分12の左側が最初に第2の部分17に押し付けられ、2つの被加工物の間、円周状の領域に溶接接点(welding contact)が提供されるように、制御下で爆発する。爆発が進行するにつれて、2つの被加工物の間で接触領域が図1の右方向に進み、最終的には第1の部分12と第2の部分17との間に固相接合が提供される。
【0098】
次に、図2〜図6を参照し、これらの図は、本発明による、ケーブルをケーブルラグに接合する方法を示している。ケーブルラグ22は、別の要素に取り付けるためのアタッチメントベース24と、内側空間26を有する本質的に管状の部分25とを備えている。ケーブル28は、それぞれが本質的に円柱断面を有する複数の導体ファイバ30を備えている。
【0099】
図2〜図4から理解できるように、ケーブルの端部32をケーブルラグの内側空間26の中に挿入することによって、ケーブル28とケーブルラグ22とが一体化されている。円筒部分25は元の半径r01を有し、ケーブルは元の半径r02を有する。
【0100】
次いで、図1の実施形態について上述した方法と類似する方法において、必要な変更を施したうえで、適切な粒子99を端部32にコーティングする。しかしながら、ファイバ30それぞれの外面に粒子をコーティングすることができ、この場合、図1の実施形態について上述した方法と類似する方法において、必要な変更を施したうえで、パルス磁場成形プロセスまたは爆発圧接プロセス、あるいは実際には本発明による任意の他の適切な高圧または高速の溶接プロセスもしくは接合プロセスによって、適切な力が円筒部分25に印加されたとき、円筒部分25が収縮する。図5から理解できるように、円筒部分25の内面はケーブル28の端部32に溶接され、内側空間26の中のファイバ30も互いに溶接され、これらの溶接は、間の粒子によって促進される。あるいは、ファイバ束の外面のうち、内側空間26の内面と向かい合う、ほぼ外側に面している部分のみに、粒子をコーティングすることができる。この場合、力が印加されると、一般には、ファイバとラグ22との間の溶接が粒子によって促進される。
【0101】
この実施形態および別の実施形態においては、必要な変更を施したうえで、オプションとして、粒子を含んでいるペーストまたはエマルションに一部が浸されている、逆方向に回転する一対のブラシの間に、ファイバを通過させることにより、(ペーストまたはエマルションの中の)粒子をブラシによってファイバに付着させることができる。
【0102】
いずれの場合にも、図6に示した収縮の結果として、ファイバ30が圧縮されて六角形になり、場合によっては、粒子の存在による支援下でひとまとまりに融合し、ファイバ30自体の間と、ファイバと円筒部分25との間に金属結合が形成される。収縮後、円筒部分25は半径r1を有し、ケーブルは半径r2を有する。収縮後には、収縮した管状部分25の壁がいくらか厚くなっている。
【0103】
一般的なケーブルにおいては、ファイバはケーブルの内側空間の例えば約65%を占有している。ファイバが完全に圧縮されて六角形になった後、ファイバと粒子とが、ケーブルの内側空間の本質的にすべてを占有することができる。
【0104】
発明者は、ファイバ同士の間、もしくはファイバと円筒セクションとの間、またはその両方に粒子を提供することによって、これらの間に、円筒セクション25に印加される力のエネルギレベルに応じて、冶金的に完全な溶接、不完全な溶接、または圧着を得ることができることを発見した。ファイバと円筒セクションとの間の接合または溶接の質が良好であるほど、ケーブル/ケーブルラグの機械的完全性が高く、熱衝撃に対するケーブル/ケーブルラグの耐性が高い。
【0105】
図7Aおよび図7Bは、本発明の実施形態による、細長い金属体の2つの端部をひとつに接合する方法を示している。細長い金属体72および73の端部70および端部71は、金属体の縦軸線に対して鈍角をなす2つの相補的な斜面74,75が形成されるように、切断または面取り加工されている。例えば、図1の実施形態について上述した方法と類似する方法において、必要な変更を施したうえで、2つの面74,75のうちの少なくとも一方に適切な粒子99を塗布する。面取り加工または切断された端部70,71(このうちの一方または両方が金属粉末を有する)が、それぞれの軸線が互いにわずかにずれた状態で互いに接触するように、2つの金属体72,73を配置する。次いで、図7Aにおいて矢印によって概略的に示したように、強いパルス磁力またはその他の適切な接合力を印加すると、2つの端部70,71が互いに衝撃を与えて溶接される、すなわち互いに一体化される。
【0106】
図8A〜図8Cは、本発明の実施形態による、2本の超伝導体ケーブル(super conductor cable)の端部を接合する方法を示している。2本の超伝導体ケーブル76,77(端部のみを示してある)のそれぞれは、第1の金属合金から作製されている金属母材78と、第2の金属合金から作製されているフィラメント79とを備えている。適切な電気的連続性を備えるため、フィラメントが同一の広がりを持つ(coextensive)ように2つの端部を接合する必要がある。この目的のため、2本のケーブルの端部76,77が、図7Aおよび図7Bにおける棒体の場合と同様に斜めに切断されているが、この場合には、斜平面の一方または両方に金属粒子99を塗布する。この塗布は、さまざまな方法によって行うことができる。例えば、第1の合金および第2の合金から作製されている2種類の金属粒子を、第2の合金の金属粒子が斜面のうちフィラメント79の切断端に対応する領域に塗布される一方で、第1の合金の金属粒子が斜面のうち金属母材に対応する領域に塗布されるように、斜面の一方または両方に選択的に塗布することができる。
【0107】
端部76,77を、円筒状被加工物82(図8B)の内側空間80の中で互いに接触させる。円筒状被加工物82の内面には、粒子99があらかじめコーティングされている(81)。次いで、(図8Bにおいて矢印によって概略的に表してある)パルス磁力またはその他の適切な接合力を印加することによって、円筒状被加工物82が超伝導体ケーブル上に収縮し、したがって、図8Cに示したように、2本のケーブルの間の確固たる接合が得られる。
【0108】
図9A〜図9Dは、本発明の別の実施形態による、2本の超伝導体ケーブルを接合する方法を示している。ケーブル86および87の端面84および85に穴あけ加工を行い、図9Bから理解できるように、それぞれが超伝導体ケーブルのフィラメント89に対応する複数の穴88を得る。穴88に対応する突起92を備えている接合部材90を用意し、オプションとして、突起92または穴88の少なくとも一方、もしくは、母材表面の対応する結合面、またはこれらの両方に、金属粒子99を塗布することができる。図9Cに示したように、接合部材90を超伝導体ケーブルの2つの端部に連結し、次いで、このアセンブリ上に円筒体94を配置する。円筒体94の内側、もしくは、ケーブル86,87および接合部材90のうち円筒体94によって覆われる部分の外側、またはその両方に、金属粒子98をコーティングする。次いで、図9Cにおいて矢印によって概略的に示したように、適切なPMF力、または、高圧もしくは高速によって発生するその他の力を印加し、したがって、図9Dに示したように、円筒体94がケーブル上に収縮し、結果として、確固たる接合が得られる。
【0109】
図10A〜図10Cは、本発明の実施形態による、接地ケーブルまたは接地リードを準備する方法を示している。図10Aに示した導体100は、ある合金(例:鉄)から作製されているコア102と、別の合金(例:銅)から作製されているクラッド104とから成る。導体100は、図1に関連して説明したように、必要な変更を施したうえで、準備することができる。図10Bにおいて理解できるように、絶縁材料(例:ポリエチレン、セラミック材料)から作製されている円筒体または被覆層106を導体上にかぶせ、これら円筒体または被覆層の上に金属(例:銅円筒体108)を重ねる。円筒体108と被覆層106との間に、本発明による適切な粒子99を塗布する。図10Bにおいて矢印によって概略的に示したように、本発明による磁気力またはその他の適切な力を印加すると、図10Cに示したように金属円筒体108が収縮し、これにより、絶縁体106も収縮して密な構造が達成される。
【0110】
次に図11Aおよび図11Bを参照し、これらの図は、本発明の実施形態による、超伝導体ケーブルを製造する方法を概略的に示している。図11Aに示したように、ある合金(例:銅)から作製されている縦長母材110は、複数の縦方向穴112を備えており、別の合金から作製されているフィラメント114が穴のそれぞれに挿入されている。(個々のまたは束としての)フィラメント114もしくは穴112の内面、またはその両方を、他の実施形態について上述した方法と同様に、必要な変更を施したうえで、適切な粒子99によってコーティングする。図11Aにおいて矢印によって示したように、本発明によるパルス磁力またはその他の適切な力を印加すると、図11Bにおいて理解できるように、ケーブル全体が収縮し、結果として、穴それぞれの壁が、金属粒子を介して少なくとも部分的にフィラメントと接合し、実質的に空隙が存在しない超伝導体ケーブルが得られる。
【0111】
図12は、2枚の平坦な金属被加工物を溶接するための配置構造を斜視図として示しており、図13はその断面図である(図12では、図を簡潔にする目的でコイルの支持構造は省いてある)。2枚の平坦な被加工物を接合する目的で、本質的に平坦なコイルを使用する。図12に示した平坦なコイル150は、その全体的な形状および大きさが、第1の被加工物152のうち第2の被加工物154に接合する領域の形状および大きさと実質的に同じであり、これらの被加工物152,154の間に粒子99を塗布する。図13において理解できるように、コイル巻線156は、固定部材160によって加工台に固定されている支持壁158によって、所定の位置に保持されている。コイル150にパルス電流を流すと、平坦な被加工物152が急激に下方に動き、被加工物152が被加工物154に十分急激な(例えば、約300m/秒以上、または約200m/秒以上の速度)衝撃を与えるならば、2枚の金属被加工物が互いに溶接される。この目的のため、これらの図において矢印によって表した方向から磁力を印加する。
【0112】
次に図14Aおよび図14Bを参照し、これらの図は、円柱体164の上に平坦な被加工物162を溶接する方法を(断面図として)概略的に示しており、被加工物162および円柱体164の向かい合う表面の一方または両方に粒子99を塗布した後、本発明による適切なPMF力またはその他の適切な接合力/溶接力を印加する。同様に、図15Aおよび図15Bは、長方形断面の角柱体164’に平坦な被加工物162’を溶接する方法を示しており、被加工物162’および角柱体164’の向かい合う表面の一方または両方に粒子99を塗布した後、本発明による適切なPMF力またはその他の適切な接合力を印加する。同様に、必要な変更を施したうえで、平坦な被加工物を球状またはその他の3次元被加工物に溶接することができる。
【0113】
図16を参照し、この図は、本発明の別の態様による、摩擦圧接に基づく溶接プロセスを示している。第1の被加工物201は、クランプ203によって実質的に静止状態に保持されており、2つの被加工物の間、向かい合う表面205,206に大きな摩擦力が発生するように、第2の被加工物202を矢印Aに沿って第1の被加工物201に押し付け、軸線204を中心に回転させる、もしくは並進させる、またはその両方を行う。摩擦圧接プロセスを開始する前に、本発明による粒子99の層を表面205,206の一方または両方に塗布することができる。あるいは、第2の被加工物を動かないように固定し、第1の被加工物を回転させる、もしくは並進させる、またはその両方を行い、粒子を含んでいる、被加工物の向かい合う表面の間に摩擦力を発生させることができる。あるいは、第1の被加工物および第2の被加工物の両方を互いに対して回転させる、もしくは並進させる、またはその両方を行い、粒子を含んでいる、被加工物の向かい合う表面の間に摩擦力を発生させることができる。
【0114】
理論に限定されることなく、被加工物201,202の間の摩擦力によって、粒子99の少なくとも一部を燃やす、またはプラズマを発生させることができ、これにより、表面205,206の間の固相接合が支援される。
【0115】
図17を参照し、この図は、本発明の別の態様による、超音波溶接に基づく溶接プロセスを示している。第1の被加工物211はアンビル213に保持されており、第2の被加工物212は、質量体(mass)218に固定されているリード(reed)のソノトロード端部(sonotrode tip)219に取り付けられている。第2の被加工物212を、互いに向かい合っている表面215,216が接触するように、矢印Aに沿って第1の被加工物211に押し付ける。超音波振動子217は、適切なウェッジ(wedge)を介して高周波振動エネルギをリード219に提供し、このエネルギが被加工物212,211に伝わる。超音波溶接プロセスを開始して実際に被加工物211,212をひとつにする前に、本発明による粒子99の層を表面215,216の一方または両方に塗布することができる。これに加えて、またはこれに代えて、振動エネルギを第1の被加工物に印加することができる。
【0116】
理論に限定されることなく、被加工物211,212の間の振動エネルギによって、粒子99の少なくとも一部を燃やす、またはプラズマを発生させることができ、これにより、表面215,216の間の固相接合が支援される。
【0117】
図18を参照し、この図は、本発明の別の態様による、拡散接合または圧着に基づく溶接プロセスを示している。第1の被加工物221は、クランプ223によって実質的に静止状態に保持されている。2つの被加工物の間、向かい合う表面225,226において拡散接合または圧着が提供されるように、第2の被加工物212を、適切なプレスによって所定の圧力および温度において矢印Aに沿って第1の被加工物211に押し付ける。拡散接合プロセスを開始する前に、本発明による粒子99の層を、表面225,226の一方または両方に塗布することができる。あるいは、第2の被加工物を動かないように固定し、第1の被加工物をプレスによって押し付けることができる。あるいは、第1の被加工物および第2の被加工物の両方を、向かい合うプレスによって押し付けることができる。
【0118】
理論に限定されることなく、被加工物221,222の間に圧力によって発生する力によって、粒子99の少なくとも一部を燃やす、またはプラズマを発生させることができ、これにより、表面225,226の間の固相接合が促進される。
【0119】
図18に示したプロセスは、拡散接合について上述した方法と類似する方法において、必要な変更を施したうえで、ガス圧接または圧着を提供する目的に使用することもでき、主たる違いとして、拡散接合ではなくガス圧接または圧着を提供するのに十分な温度および圧力を適用する。
【0120】
図18に示したプロセスは、拡散接合について上述した方法と類似する方法において、必要な変更を施したうえで、冷間圧接を提供する目的に使用することもでき、主たる違いとして、温度を室温に維持し、拡散接合ではなく冷間圧接を提供するのに十分な圧力を印加する。
【0121】
図19を参照し、この図は、本発明の別の態様による、鍛接または圧着に基づく溶接プロセスを示している。第1の被加工物231はクランプ233によって実質的に静止状態に保持されている。第2の被加工物232を第1の被加工物231に押し付けて、クランプ237に保持する。本発明による粒子99の層を、表面235,236の一方または両方に塗布することができる。2つの被加工物の間、向かい合う表面235,236に鍛接が提供されるように、衝撃ハンマー238によってクランプ237に衝撃を印加する。あるいは、第2の被加工物を動かないように固定し、ハンマーを第1の被加工物に衝突させることができる。あるいは、第1の被加工物および第2の被加工物に、調整されたハンマー衝撃を向かい合う方向に印加することができる。
【0122】
理論に限定されることなく、被加工物231,232の間の衝撃力によって、粒子99の少なくとも一部を燃やす、またはプラズマを発生させることができ、これにより、表面235,236の間の固相接合が支援される。
【0123】
本発明のさらに別の態様によると、本発明の方法を実施する前に、本明細書に図1〜図19を参照しながら開示した、粒子を使用する方法に類似する方法において、必要な変更を施したうえで、第1の被加工物および第2の被加工物の向かい合う表面の間に、粒子の層の代わりに箔または積層を使用することができる。
【0124】
このような箔は、例えば、約1*10−6mないし5*10−6mから約50*10−6mないし約200*10−6mの間の範囲の厚さ、またはそれより大きい厚さを有することができ、任意の適切な金属または合金、例えば、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、鉄または鋼、銅、マグネシウム、ビスマス、リチウム、ニッケル、銀、金、チタン、スズのいずれか(1つ)から選択される金属または合金から作製することができる。
【0125】
本発明のさらに別の態様によると、本発明の方法を実施する前に、本明細書に図1〜図19を参照しながら開示した、粒子を使用する方法に類似する方法において、必要な変更を施したうえで、第1の被加工物および第2の被加工物の向かい合う表面の間に、粒子の層と一緒に箔または積層を使用することができる。
【0126】
方法クレームにおいては、請求項のステップを表すために用いた英数字およびローマ数字は、便宜上使用しているにすぎず、それらのステップの特定の実行順序を暗黙的に意味するものではない。
【0127】
請求項全体を通じて使用している語「を備えている」は、「を含んでいる、ただしそれらに限定されない」という意味に解釈されるものとする。
【0128】
ここまで、本発明による実施形態の例を図示および開示したが、これらの実施形態には、本発明の概念から逸脱することなく数多くの変更を行うことができることを理解されたい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物の溶接または接合に適用される圧力もしくは速度、またはその両方を適用することに基づく溶接プロセスおよび接合プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
被加工物の間に相互結合または金属結合が形成されるように被加工物を接合/溶接する目的には、さまざまな接合プロセスまたは溶接プロセスが使用される。
【0003】
そのようなプロセスの1つのカテゴリでは、被加工物をその融点まで加熱することなく、あるいはろう材を加えることなく、固相金属結合(solid state metallurgical bond)を提供する。このカテゴリには、少なくとも以下の周知のプロセスが含まれる。
(i)パルス磁場成形(PMF)
(ii)爆発圧接(EW)
(iii)摩擦圧接(FW)
(iv)超音波溶接(USW)
(v)拡散接合(DFW)
(vi)冷間圧接(CW)
(vii)ガス圧接(PGW)
(viii)鍛接(FOW)
【0004】
パルス磁場成形(PMF)は、金属被加工物またはその一部をパルス磁場によって急激に動かすことによって被加工物を変形させるプロセスである。PMFプロセスの1つの利点は、このプロセスに伴う熱(specific heat)が最小であり、したがって、被加工物がまったく、またはほとんど加熱されないことであり、本文書においてはこのプロセスを「冷間圧接」または「溶接」と称する。さらに、このプロセスは、他のさまざまな手法の場合のように工具痕跡が残るという欠点がない。
【0005】
PMFプロセスでは、強い磁場を発生させる目的で、コンデンサバンクと、成形コイルと、しばしば磁界形成器(field shaper)とを使用する。PMFプロセスに要求される極めて強い磁場は、コンデンサバンクに蓄えられている電気エネルギを成形コイルに極めて急激に放電することによって発生する。結果として被加工物に誘起される渦電流によって、被加工物と成形コイルとの間に磁気反発力が発生し、成形コイルは自身の位置にしっかりと支持されているため、この反発力によって被加工物が変形する。
【0006】
反発力の影響を受けて被加工物の表面が動くとき、この表面は磁場からエネルギを吸収する。利用可能なエネルギのほとんどを成形に適用するためと、被加工材料にエネルギが浸透する(これにより抵抗加熱によってエネルギが無駄になる)ことによるエネルギ損失を低減する目的で、成形磁気パルスを極めて短くする。ほとんどのPMF用途において、パルスの持続時間は、約10〜約250μsec(放電電流の第1波の持続時間)である。
【0007】
本発明の譲受人に譲渡された特許文献1には、第1の金属被加工物の少なくとも一部分を、1つまたは複数の第2の金属被加工物の少なくとも一部分に接合または溶接する方法が開示されている。この方法は、パルス磁力(pulsed magnetic force)によって第1の被加工物の該一部分に運動を誘発して第2の被加工物の該一部分に衝撃を与えるステップ、を含んでおり、この運動によって、第1の被加工物の該少なくとも一部分に運動エネルギが与えられ、これに起因して、2つの該少なくとも一部分が互いに接合または溶接される。
【0008】
特許文献2には、少なくとも12インチの外径を有する鋼管の2つの隣接セグメントを橋渡しスリーブ(bridging sleeve)によって接合する接合器が開示されており、短い収縮パルスによる磁場成形によってスリーブが両方の管セグメントに収縮する。
【0009】
爆発圧接(EW)は、固相接合プロセスであり、制御下での爆発の結果として被加工物を高速で衝突させることによって、2つの被加工物の間に溶接を形成する。2つの被加工物を、間に空間が存在するように配置し、爆発の衝撃によって2つの被加工物が一端において衝突してそこに接点が形成され、爆発によって生じる力の結果として、2つの被加工物が完全に溶接されるまで接点が被加工物全体に高速で移動する。
【0010】
摩擦圧接(FW)は、固相プロセスであり、第1の被加工物と第2の被加工物とが接触した状態で、第1の被加工物を第2の被加工物に対して回転させる、もしくは並進させる、またはその両方を行い、2つの被加工物の間に発生する摩擦によって、結合のためのエネルギが提供する。
【0011】
超音波溶接(USW)は、固相接合プロセスであり、第1の被加工物を第2の被加工物に高圧で押し付け、間の接触領域に高周波振動を発生させ、結合のためのエネルギを提供する。
【0012】
拡散接合(DFW)は、固相接合プロセスであり、第1の被加工物を第2の被加工物に高圧および高温(ただし、被加工物の融点より低い)において押し付ける。巨視的スケールにおいて被加工物は実質的に変形したり相対的に動くことはない。
【0013】
冷間圧接(CW)は、固相接合プロセスであり、第1の被加工物を第2の被加工物に高圧および室温において押し付ける。溶接において被加工物が実質的に変形する。
【0014】
ガス圧接(PGW)または高圧ガス溶接(Hot Pressure Gas Welding)は、固相接合プロセスであり、第1の被加工物を第2の被加工物に高圧および高温において押し付ける。巨視的スケールにおいて被加工物は実質的に変形する。
【0015】
鍛接(FOW)または衝撃圧接は、固相接合プロセスであり、第1および第2の被加工物を溶接温度まで加熱する一方で、第2の被加工物に密着させて第1の被加工物に強い衝撃を加える。接触面において被加工物は実質的に変形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第5,824,998号明細書
【特許文献2】米国特許第5,442,846号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本文書では、本発明の深い理解を促進する目的で、以下の用語を使用している。
【0018】
第1の被加工物: その少なくとも一部が適切な力(例えば、パルス磁力)によって急激に動き、結果として第2の被加工物(次項参照)に接合または溶接される、金属体。
【0019】
第2の被加工物: 第1の被加工物の少なくとも一部が接合または溶接される金属体。
【0020】
加工作用(working): 第1の被加工物またはその一部分の表面に適用される加工作用の結果であるプロセス。加工作用は、本発明によると、第1の被加工物の形状を変化させることに加えて、第1の被加工物またはその一部分と、第2の被加工物またはその一部分とを接合または溶接する。
【0021】
接合: 被加工物が第2の被加工物に極めてしっかり接触するように、被加工物に加工作用を加えること。接合は、例えば、本質的に管状の被加工物を、その被加工物の内側の円柱状の金属体に収縮させて、これら2つの被加工物の向かい合う表面を極めて強くかつ本質的に永久的にひとつにする動作である。接合の目的は、例えば、2つの被加工物の間の確固たる電気的接続(すなわち、最小の電気抵抗)を確保することである。
【0022】
溶接: 第1および第2の被加工物の向かい合う2つの面が互いに一体化するように第1の被加工物を形成すること。溶接においては、これら2つの面は実際には溶けるまたは溶融してひとつになった後、一緒に凝固して一体化する。
【0023】
金属結合: 金属原子の集合が接近するとき、価電子の波動関数の空間的広がりが増大して金属をひとつに保持する主たる結合。
【0024】
固相接合: ろう付け金属を加えることなく、被加工物のうちの少なくとも一方の融点よりも本質的に低い温度において2つの被加工物を一体化する溶接プロセスによって形成される接合。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態を、以下の番号付きパラグラフに定義しておく。
【課題を解決するための手段】
【0026】
1.第1の金属被加工物と1つまたは複数の第2の金属被加工物との間に金属結合を形成する方法であって、
(a)第1の金属被加工物と1つまたは複数の第2の金属被加工物とを、第1の被加工物の第1の部分が1つまたは複数の第2の被加工物の第2の部分と一般的に重なり合う関係にあるように、互いに近くに配置するステップと、
(b)第1の部分と第2の部分との間に適切な材料を提供するステップであって、材料が粒子または箔の形式である、ステップと、
(c)第1の金属被加工物と1つまたは複数の第2の金属被加工物とが互いに接合または溶接されてこれらの間に金属結合が形成されるように、第1の部分を備えている第1の被加工物の少なくとも第1の一部分を、第2の部分を備えている1つまたは複数の第2の被加工物の一部分に、適切な高圧接合プロセスおよび高速接合プロセスのいずれか一方によって押し付けるステップと、
を含んでいる、方法。
【0027】
2.適切な高圧接合プロセスおよび高速接合プロセスのいずれか一方が、間に材料を有する第1の部分と第2の部分との間に接触前縁(contact front)が生じるように、第1の部分と第2の部分とを、金属結合を形成する相互接触状態(metallurgical bond-forming mutual contact)にするステップを含んでおり、接触前縁が、金属結合した少なくとも1つの部分と、結合していない少なくとも1つの部分との間の位置を定義しており、金属結合した少なくとも1つの部分においては、第1の部分および第2の部分の向かい合う一部分がプロセスによってすでに接合されており、結合していない少なくとも1つの部分においては、第1の部分および第2の部分の向かい合う一部分がプロセスによってやがて接合され、接触前縁が、第1の部分と第2の部分の間で急速に伝搬する、実施形態1に記載の方法。
【0028】
3.第1の部分と第2の部分とが、接触前縁において所定の鋭角にて接触している、実施形態2に記載の方法。
【0029】
4.接触前縁が3*103m/秒以上の速度で伝搬する、実施形態2または3のいずれかに記載の方法。
【0030】
5.接触前縁が約600m/秒以上の速度で伝搬する、実施形態2〜4のいずれか1つに記載の方法。
【0031】
6.接触前縁が、結合していない部分における、第1の部分と第2の部分の向かい合う一部分の間にプラズマが発生するのに十分な速度で、伝搬する、実施形態2〜5のいずれか1つに記載の方法。
【0032】
7.プラズマが、伝搬する接触前縁によってプラズマ発生まで加熱される、材料の少なくとも一部を備えている、実施形態6に記載の方法。
【0033】
8.プロセスが磁気パルス成形(PMF)プロセスである、実施形態2〜7のいずれか1つに記載の方法。
【0034】
9.ステップ(c)において、PMFプロセスが、電流パルスをコイルに流すことによってパルス磁力を発生させるステップ、を含んでおり、
パルス磁力は、
衝撃を与えた後の、第1の被加工物の塑性変形エネルギおよび第2の被加工物の弾性変形エネルギを合わせたエネルギに等しいかまたはそれより大きい、衝撃を与える前の第1の被加工物の初期運動エネルギ、によって、第1の一部分が第2の一部分に衝撃を与え、これによって、1つまたは複数の第2の金属被加工物が互いに接合または溶接される、
ように作用する力である、
実施形態8に記載の方法。
【0035】
10.プロセスが爆発圧接プロセスである、実施形態2〜7のいずれか1つに記載の方法。
【0036】
11.プロセスが摩擦圧接である、実施形態2〜7のいずれか1つに記載の方法。
【0037】
12.プロセスが超音波溶接プロセスである、実施形態2〜7のいずれか1つに記載の方法。
【0038】
13.プロセスが拡散接合プロセスである、実施形態2〜7のいずれか1つに記載の方法。
【0039】
14.プロセスが冷間圧接プロセスである、実施形態2〜7のいずれか1つに記載の方法。
【0040】
15.プロセスがガス圧接プロセスである、実施形態2〜7のいずれか1つに記載の方法。
【0041】
16.プロセスが鍛接プロセスである、実施形態2〜7のいずれか1つに記載の方法。
【0042】
17.ステップ(b)において、粒子が、第1の部分と第2の部分のうちの少なくとも一方に塗布される、実施形態1〜16のいずれか1つに記載の方法。
【0043】
18.ステップ(b)がステップ(a)の前に実行される、実施形態17に記載の方法。
【0044】
19.粒子が、第1の部分の第1の表面と第2の部分の第2の表面のうちの少なくとも一方に塗布される、実施形態1〜18のいずれか1つに記載の方法。
【0045】
20.第1の表面と第2の表面のうちの少なくとも一方に、金属粉末を備えているエマルションによって粒子を吹き付けるかまたはコーティングすることによって、粒子が第1の表面と第2の表面のうちの少なくとも一方に塗布される、実施形態19に記載の方法。
【0046】
21.エマルションが、適切な気体または液体に浮遊している粒子を備えている、実施形態20に記載の方法。
【0047】
22.第1の表面と第2の表面のうちの少なくとも一方と、粒子との間に静電引力を発生させることによって、粒子が第1の表面と第2の表面のうちの少なくとも一方に塗布される、実施形態19に記載の方法。
【0048】
23.粒子が金属粒子であり、かつ磁化されており、第1の部分と第2の部分のうちの少なくとも一方が磁化可能であり、金属粉末の近傍において、少なくとも一方の部分に適切な電流を流して少なくとも一方の部分を磁化し、これに起因して、粒子が、第1の部分と第2の部分のうちの少なくとも一方に磁気的に引きつけられる、実施形態19に記載の方法。
【0049】
24.第1の部分と第2の部分のうちの少なくとも一方が、少なくともステップ(c)の前に粒子を保持しているように構成されている表面形状、を備えている、実施形態1〜23のいずれか1つに記載の方法。
【0050】
25.表面形状が、凹部、くぼみ、溝、その他のうちのいずれか1つを含んでいる、実施形態24に記載の方法。
【0051】
26.粒子のうちの少なくとも一部が、第1の部分と第2の部分のうちの少なくとも一方の金属と共通する金属から作製されている、実施形態1〜25のいずれか1つに記載の方法。
【0052】
27.粒子のうちの少なくとも一部が、第1の部分および第2の部分の金属と共通する金属から作製されている、実施形態1〜26のいずれか1つに記載の方法。
【0053】
28.粒子が、第1の部分および第2の部分を構成している1つまたは複数の金属とは異なる1つまたは複数の金属を備えている、実施形態1〜27のいずれか1つに記載の方法。
【0054】
29.粒子が、約1*10−6メートル〜約200*10−6メートルの範囲内の有効径または特徴的寸法を有する、実施形態1〜28のいずれか1つに記載の方法。
【0055】
30.粒子が、約5*10−6メートル〜約50*10−6メートルの範囲内の有効径または特徴的寸法を有する、実施形態1〜28のいずれか1つに記載の方法。
【0056】
31.粒子が、約10−9メートルのオーダーの有効径または特徴的寸法を有する、実施形態1〜28のいずれか1つに記載の方法。
【0057】
32.粒子が、アルミニウム、鉄または鋼、銅、マグネシウム、ビスマス、リチウム、ニッケル、亜鉛、マグネシウム、銀、金、チタン、スズから選択される少なくとも1つの金属または合金を備えている、実施形態1〜31のいずれか1つに記載の方法。
【0058】
33.粒子が、酸化マグネシウムおよび酸化アルミニウムから選択される少なくとも一方のセラミックを備えている、実施形態1〜32のいずれか1つに記載の方法。
【0059】
34.箔が、約1*10−6m〜約200*10−6mの間の厚さの金属箔を備えている、実施形態1〜28のいずれか1つに記載の方法。
【0060】
35.箔が、約5*10−6m〜約50*10−6mの間の厚さの金属箔を備えている、実施形態1〜28のいずれか1つに記載の方法。
【0061】
36.実施形態1〜35のいずれか1つに記載の方法に従って1つまたは複数の第2の金属被加工物に溶接されている第1の金属被加工物を備えている製造品。
【0062】
本発明のいくつかの態様による高圧/高速の接合または溶接においては、プロセスを実施する前に第1の被加工物と第2の被加工物との間に隙間を設ける。次いで、プロセスにおいて、間に材料を有する第1の部分と第2の部分との間に接触前縁が生じるように、第1の部分と第2の部分を、金属結合を形成する相互接触状態にし、したがって、被加工物の、まだ結合されていない接触表面が、互いの間に角度(α)を形成する。
【0063】
接触前縁は、金属結合した少なくとも1つの部分と、結合していない少なくとも1つの部分との間の、移動する位置または分離線を定義しており、金属結合した少なくとも1つの部分においては、第1の部分および第2の部分の向かい合う一部分がこのプロセスによってすでに接合されており、結合していない少なくとも1つの部分においては、第1の部分および第2の部分の向かい合う一部分がこのプロセスによってやがて接合される。第1の部分全体が第2の部分に結合されるまで、接触前縁が第1の部分と第2の部分の間で急速に伝搬する。
【0064】
接触点の伝搬速度Vc.p.は、2つの被加工物の間の衝撃速度Vrと次式の関係がある。
【数1】
【0065】
衝撃速度は、次の関係によって表すことができる。
【0066】
【数2】
この式において、
h:被加工物の間の隙間
l:ひとつに溶接する被加工物の長さ
p:パルス高圧(すなわち磁気圧力)
γ:材料の密度(specific density)
Δ:圧力によって発生する力によって変形させる被加工物の厚さ
【0067】
(1)と(2)をひとつにまとめると、Vc.p.の次の関係が得られる。
【数3】
【0068】
関係(3)は、Vc.p.を減少させることができる場合、式中のさまざまなパラメータをどのように変化させ得るかを示す。
【0069】
例えば、圧力が同じである場合、より小さい隙間を使用することができ、あるいは、隙間および長さが同じである場合、必要な圧力をより小さくすることができる。
【0070】
本発明による粒子または箔を提供することによってVc.p.を減少させることができ、したがって、粒子または箔を使用しない場合よりも、低い圧力もしくは小さい隙間、またはその両方を使用することができる。同様に、隙間もしくは圧力、またはその両方が同じである場合、より長い溶接長さを提供することができる。
【0071】
上記の関係は、本発明において使用する別の固相接合プロセスのうち、力を印加することにより2つの被加工物の間で伝搬する溶接フロントまたは接触点を形成する固相接合プロセスにも、必要な変更を施したうえで、適用される。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態によると、第1の被加工物および第2の被加工物の任意の組み合わせにおいて、力を発生させる前に2つの被加工物の間に前述の材料を加えることによって、隙間の寸法、もしくは発生させる力の大きさ、またはその両方を減少させることができる。
【0073】
理論に限定されることなく、プラズマは、通常、力を印加したときに2つの被加工物の間に発生する。接触前縁が伝搬するにつれて、プラズマ(被加工物の間の空気またはガスに高温および高圧が突然加えられ、空気またはガスがその空間を急激に脱しようとする結果として形成される)によって、被加工物の、互いに向かい合うもしくは密着している、またはその両方である表面が本質的に清浄にされ、これらの表面にエネルギが与えられて金属結合が可能となり、接触前縁より下流において2つの被加工物がひとつに接合される。被加工物の間に粉末を加えることによって、プラズマがより容易に形成されるようにすることができ、これにより、隙間の大きさ、もしくは、必要な印加する力の大きさ、またはその両方が低減する。
【0074】
このように、粒子は、ひとつに溶接する表面の間のプラズマ波の熱を増大させることにより、表面の間の局所的な温度を上昇させ、生成される溶接を促進する役割を果たすことができる。
【0075】
本発明の別の態様によると、本発明による粒子または箔がすでに間に提供されている状態で、2つの被加工物を当接させ、連続的な高圧または衝撃圧力を印加する。粒子もしくは箔、またはその両方が存在することによって、溶接プロセスが促進される。
【0076】
以下では、本発明についてと、本発明を実際に実施する方法とを理解する目的で、本発明を制限することのない一例として、好ましい実施形態を添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一態様による、同心の被加工物をひとつに溶接する方法を概略的に示している。
【図2】ケーブルおよびケーブルラグから成るアセンブリの斜視図であって、ケーブルの端部をケーブルラグの内側空間に挿入した後の状態である。
【図3】図2のアセンブリを上から見た部分断面図である。
【図4】図3における線3−3に沿って切断した断面図である。
【図5】アセンブリを上から見た部分断面図であって、ケーブルラグの円筒部分が収縮し、ケーブルとケーブルラグの間の確固たる接合が形成された後の状態である。
【図6】図5における線5−5に沿って切断した断面図である。
【図7A】本発明の実施形態による、2本の棒体を接合する方法を概略的に示している。
【図7B】本発明の実施形態による、2本の棒体を接合する方法を概略的に示している。
【図8A】本発明の実施形態による、2本の超伝導体ケーブルを互いに接合する方法を概略的に示している。
【図8B】本発明の実施形態による、2本の超伝導体ケーブルを互いに接合する方法を概略的に示している。
【図8C】本発明の実施形態による、2本の超伝導体ケーブルを互いに接合する方法を概略的に示している。
【図9A】2本の超伝導体ケーブルを接合するための、本発明による別の実施形態を概略的に示している。
【図9B】2本の超伝導体ケーブルを接合するための、本発明による別の実施形態を概略的に示している。
【図9C】2本の超伝導体ケーブルを接合するための、本発明による別の実施形態を概略的に示している。
【図9D】2本の超伝導体ケーブルを接合するための、本発明による別の実施形態を概略的に示している。
【図10A】本発明の実施形態による、接地ケーブルを製造する方法を、概略的な断面図として示している。
【図10B】本発明の実施形態による、接地ケーブルを製造する方法を、概略的な断面図として示している。
【図10C】本発明の実施形態による、接地ケーブルを製造する方法を、概略的な断面図として示している。
【図11A】本発明による、超伝導体ケーブルを製造する方法を概略的な断面図として示している。
【図11B】本発明による、超伝導体ケーブルを製造する方法を概略的な断面図として示している。
【図12】2枚の平坦な金属体を溶接するための配置構造を示している。
【図13】図12における線16−16に沿って切断した断面図である。
【図14】図14A、図14Bは、初期状態として平坦な金属被加工物を、円筒状の金属被加工物にPMF溶接する実施形態を示している。
【図15】図15A、図15Bは、初期状態として平坦な金属被加工物を、角柱状の金属被加工物にPMF溶接する別の実施形態を示している。
【図16】本発明の別の態様による、被加工物をひとつに溶接する方法を概略的に示している。
【図17】本発明のさらに別の態様による、被加工物をひとつに溶接する方法を概略的に示している。
【図18】本発明のさらに別の態様による、被加工物をひとつに溶接する方法を概略的に示している。
【図19】本発明のさらに別の態様による、被加工物をひとつに溶接する方法を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0078】
図1を参照し、この図は、本発明による、2つの被加工物を溶接する方法を示している。この例においては、第1の被加工物は、少なくとも第1の部分12を有する円筒状要素10の形式であり、この第1の部分12は、棒体15の形式である第2の被加工物の第2の部分17と同心であり、かつ重なり合う関係にある。第1の部分と第2の部分は、適切な接合力または溶接力を印加するための任意の適切な技術を使用してそのような力が印加される前、小さな隙間18によって隔てられている。図示した実施形態においては、接合力はパルス磁力である。
【0079】
本発明の譲受人に譲渡された特許文献1には、2つの被加工物をパルス磁力を使用して接合または溶接する装置および方法が開示されており、この文書の内容は、その全体が参照により本明細書に援用する。この特許に開示されている方法および装置は、本明細書において後から説明するように必要なPMF力を提供する目的に使用できるが、本発明はこれに限定されず、任意の適切なPMF手法を採用することができる。
【0080】
本発明によると、第1の部分と第2の部分とをPMF力によってひとつにする前に、多量の適切な粒子99を隙間18に提供する。
【0081】
本発明によると、粒子99は、任意の適切な形状および大きさの粒子を含んでいることができる。一般には、粒子は、ほぼ球形状であるが、それ以外の規則的または不規則の任意の形状を有することができ、例えば、いくつかの粒子はストランド形状またはそれに類似する形とすることができ、また、粒子の形状は粒子ごとに異なっていることができる。
【0082】
さらに、粒子99の大きさは、ほぼ均一とすることができ、または、粒子ごとに異なっていることができる。粒子の大きさは、形状が既知である一意の寸法によって表すことができる。例えば、ほぼ球状の粒子の場合、大きさを直径として表すことができる。特に不規則な形状の粒子の場合、粒子の大きさは、有効径によって表すことが都合よく、有効径は、対象の粒子と同じ体積を有する球状粒子の直径として定義することができる。そのような粒子の実直径または有効径は、例えば、約1*10−6mないし約5*10−6mから約50*10−6mないし約200*10−6mの範囲とすることができ、または、1*10−6mより小さくすることもでき、場合によっては10−9mのオーダーである。
【0083】
一般的には、大きい粒子よりも小さい粒子の方が良好であり、なぜなら、粒子が小さいほど表面エネルギが大きく、したがって、プラズマ発生に必要なエネルギが小さいためである。しかしながら、粒子の最適な大きさは、粒子材料の可燃性の関数とすることができる。例えば、マグネシウム、アルミニウム、またはニッケルの粒子では、比較的小さな鋼の粒子を使用して得られるのと同じ効果を、比較的大きな粒子を使用して提供することができる。
【0084】
粒子99は、任意の適切な金属またはセラミックから作製することができ、本発明の一態様によると、粒子は非付着性である、すなわち、付着性の材料を含んでいない。2つの被加工物の接合または溶接において使用される粒子99は、すべてが同じ金属材料または金属以外の材料を備えている、あるいは、さまざまな金属粒子、セラミック粒子、またはその他の適切な粒子の混合物を含んでいることができ、例えば、いくつかの粒子が、ある金属から作製されており、他の粒子は別の金属、セラミック、プラスチック、またはその他の材料から作製されている。オプションとして金属から成る粒子99の少なくとも一部を、第1の被加工物10および第2の被加工物15のいずれか一方または両方と同じ金属から作製することができ、あるいは、少なくとも、第1の部分12および第2の部分17のいずれか一方または両方と同じ金属から作製することができる。
【0085】
例えば、粒子99は、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、鉄または鋼、銅、マグネシウム、ビスマス、リチウム、ニッケル、銀、金、チタン、スズのいずれか、またはその合金から作製することができ、あるいは、セラミック、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム)、プラスチック、あるいは実際には任意の適する材料、特に、プラズマを形成することのできる材料、から作製することができる。
【0086】
図1に示した実施形態によると、粒子99は、第2の部分17のみに塗布することが都合よい。粒子99は、さまざまな多数の方法において塗布することができる。例えば、図1に示した実施形態においては、棒体15の第2の部分17を、大量の粒子(例えば、金属粉末の外観を呈する)を含んでいる容器の中に沈めることができ、いくつかの粒子が第2の部分17の表面に付着する。
【0087】
あるいは、粒子99を流体媒体中に浮遊させてエマルションを形成することができる。流体媒体は、気体または液体(例えば、アルコールまたはエーテル)とすることができ、このエマルションを第2の部分17の表面に吹き付ける、またはコーティングする。粒子は、例えば、アセトンに混合された銀ベースの粉末を含んでおり、被加工物の一部分にエマルションを塗布するときにアセトンが蒸発する。
【0088】
粒子の必要な一貫性または濃度を提供するため、粒子を適切な分量計(dosimeter)に通すことができる。オプションとして、棒体17に電位を印加する一方で、反対の電位によって粒子も帯電させることにより、第2の一部分17の表面への粒子99の付着を促進する。この電気的引力手法は、必要な変更を施したうえで、エマルションを使用せずに金属粒子99を第2の部分17に直接塗布する目的にも使用することができる。
【0089】
あるいは、粒子99が適切な金属から作製されているとき、粒子99を磁化することができ、棒体15も磁化可能な金属から作製されているとき、棒体15を適切に永久的または一時的に磁化することによって、磁化された粒子を第2の部分17の表面に引きつけて、PMFプロセスが適用されるまで保持することができる。
【0090】
粒子99の薄い層を塗布して、粒子99が第2の部分17上にほぼ均一に分散していることが好ましい。粒子は、第2の部分17の全面を均一または不均一に覆う粒子層として形成することができ、層の平均厚さを1個の粒子とすることができ、あるいは、平均厚さを1個の粒子よりも大きくする(例えば、粒子の厚さの2倍、3倍、4倍、5倍、またはそれ以上)ことができる。あるいは、粒子をポケット内に散乱させる、または、粒子が存在しない領域によって隔てられている粒子の島を形成する、または、粒子が存在しない複数の隣接する領域を囲む網状の形式とすることができる。
【0091】
しかしながら、本発明によると、金属粒子99を、第1の部分12のみに、または第1の部分12および第2の部分17の両方に、第2の部分17の場合について上述した方法と同様の方法において、必要な変更を施したうえで、塗布することができる。
【0092】
粒子99を第2の部分17に塗布した時点で、2つの被加工物10,15にPMFプロセスを適用することができる。
【0093】
適切なPMF力は、適切なPMFコイル95の内側空間96の中に2つの被加工物10,15を適切に同軸上に配置することによって、例えば、特許文献1に記載されている方法と類似する方法において、印加することができ、この文書の内容は、その全体が参照により本明細書に援用する。PMF力を印加した後、第1の一部分18と第2の一部分17との間に金属粒子99の層がはさまれた状態で、第1の一部分18を第2の一部分17に押し付ける。理論に限定されることなく、PMF力が、2つの被加工物をひとつに溶接または圧着することができる程度に十分に大きいとき、金属粒子99は、第1の一部分18および第2の一部分17の2つの向かい合う表面の溶接および融合を促進するものと考えられる。コイル96の幅は、一般には、電流がコイル96に放電されるときに加工される被加工物の長さを決める。
【0094】
図1に示した実施形態においては、棒体15はチューブに置き換えることができ、このようにして、任意の望ましい長さの2本のチューブを、図1の配置構成について上述した方法と類似する方法において、必要な変更を施したうえで、任意の望ましい長さにわたり、ひとつに溶接できることが理解されるであろう。
【0095】
さらには、本発明の別の態様によると、必要な変更を施したうえで、パルス磁力ではなく別の手段によって接合力を提供することにより、間に粒子99が提供されている2つの被加工物10,15の間に固相接合が提供されることが理解されるであろう。
【0096】
例えば、本発明の別の態様によると、爆発圧接プロセス、または実際には任意の他のプロセス、例えば、必要に応じて、摩擦圧接(FW)、超音波溶接(USW)、拡散接合(DFW)、冷間圧接(CW)、ガス圧接(PGW)、鍛接(FOW)によって、必要な変更を施したうえで、接合力を提供することができる。
【0097】
したがって、対応する爆発圧接プロセスにおいては、コイル95ではなく、適切なコイル状の爆薬が第1の部分12の外側に配置されており、図1において第1の部分12の左側が最初に第2の部分17に押し付けられ、2つの被加工物の間、円周状の領域に溶接接点(welding contact)が提供されるように、制御下で爆発する。爆発が進行するにつれて、2つの被加工物の間で接触領域が図1の右方向に進み、最終的には第1の部分12と第2の部分17との間に固相接合が提供される。
【0098】
次に、図2〜図6を参照し、これらの図は、本発明による、ケーブルをケーブルラグに接合する方法を示している。ケーブルラグ22は、別の要素に取り付けるためのアタッチメントベース24と、内側空間26を有する本質的に管状の部分25とを備えている。ケーブル28は、それぞれが本質的に円柱断面を有する複数の導体ファイバ30を備えている。
【0099】
図2〜図4から理解できるように、ケーブルの端部32をケーブルラグの内側空間26の中に挿入することによって、ケーブル28とケーブルラグ22とが一体化されている。円筒部分25は元の半径r01を有し、ケーブルは元の半径r02を有する。
【0100】
次いで、図1の実施形態について上述した方法と類似する方法において、必要な変更を施したうえで、適切な粒子99を端部32にコーティングする。しかしながら、ファイバ30それぞれの外面に粒子をコーティングすることができ、この場合、図1の実施形態について上述した方法と類似する方法において、必要な変更を施したうえで、パルス磁場成形プロセスまたは爆発圧接プロセス、あるいは実際には本発明による任意の他の適切な高圧または高速の溶接プロセスもしくは接合プロセスによって、適切な力が円筒部分25に印加されたとき、円筒部分25が収縮する。図5から理解できるように、円筒部分25の内面はケーブル28の端部32に溶接され、内側空間26の中のファイバ30も互いに溶接され、これらの溶接は、間の粒子によって促進される。あるいは、ファイバ束の外面のうち、内側空間26の内面と向かい合う、ほぼ外側に面している部分のみに、粒子をコーティングすることができる。この場合、力が印加されると、一般には、ファイバとラグ22との間の溶接が粒子によって促進される。
【0101】
この実施形態および別の実施形態においては、必要な変更を施したうえで、オプションとして、粒子を含んでいるペーストまたはエマルションに一部が浸されている、逆方向に回転する一対のブラシの間に、ファイバを通過させることにより、(ペーストまたはエマルションの中の)粒子をブラシによってファイバに付着させることができる。
【0102】
いずれの場合にも、図6に示した収縮の結果として、ファイバ30が圧縮されて六角形になり、場合によっては、粒子の存在による支援下でひとまとまりに融合し、ファイバ30自体の間と、ファイバと円筒部分25との間に金属結合が形成される。収縮後、円筒部分25は半径r1を有し、ケーブルは半径r2を有する。収縮後には、収縮した管状部分25の壁がいくらか厚くなっている。
【0103】
一般的なケーブルにおいては、ファイバはケーブルの内側空間の例えば約65%を占有している。ファイバが完全に圧縮されて六角形になった後、ファイバと粒子とが、ケーブルの内側空間の本質的にすべてを占有することができる。
【0104】
発明者は、ファイバ同士の間、もしくはファイバと円筒セクションとの間、またはその両方に粒子を提供することによって、これらの間に、円筒セクション25に印加される力のエネルギレベルに応じて、冶金的に完全な溶接、不完全な溶接、または圧着を得ることができることを発見した。ファイバと円筒セクションとの間の接合または溶接の質が良好であるほど、ケーブル/ケーブルラグの機械的完全性が高く、熱衝撃に対するケーブル/ケーブルラグの耐性が高い。
【0105】
図7Aおよび図7Bは、本発明の実施形態による、細長い金属体の2つの端部をひとつに接合する方法を示している。細長い金属体72および73の端部70および端部71は、金属体の縦軸線に対して鈍角をなす2つの相補的な斜面74,75が形成されるように、切断または面取り加工されている。例えば、図1の実施形態について上述した方法と類似する方法において、必要な変更を施したうえで、2つの面74,75のうちの少なくとも一方に適切な粒子99を塗布する。面取り加工または切断された端部70,71(このうちの一方または両方が金属粉末を有する)が、それぞれの軸線が互いにわずかにずれた状態で互いに接触するように、2つの金属体72,73を配置する。次いで、図7Aにおいて矢印によって概略的に示したように、強いパルス磁力またはその他の適切な接合力を印加すると、2つの端部70,71が互いに衝撃を与えて溶接される、すなわち互いに一体化される。
【0106】
図8A〜図8Cは、本発明の実施形態による、2本の超伝導体ケーブル(super conductor cable)の端部を接合する方法を示している。2本の超伝導体ケーブル76,77(端部のみを示してある)のそれぞれは、第1の金属合金から作製されている金属母材78と、第2の金属合金から作製されているフィラメント79とを備えている。適切な電気的連続性を備えるため、フィラメントが同一の広がりを持つ(coextensive)ように2つの端部を接合する必要がある。この目的のため、2本のケーブルの端部76,77が、図7Aおよび図7Bにおける棒体の場合と同様に斜めに切断されているが、この場合には、斜平面の一方または両方に金属粒子99を塗布する。この塗布は、さまざまな方法によって行うことができる。例えば、第1の合金および第2の合金から作製されている2種類の金属粒子を、第2の合金の金属粒子が斜面のうちフィラメント79の切断端に対応する領域に塗布される一方で、第1の合金の金属粒子が斜面のうち金属母材に対応する領域に塗布されるように、斜面の一方または両方に選択的に塗布することができる。
【0107】
端部76,77を、円筒状被加工物82(図8B)の内側空間80の中で互いに接触させる。円筒状被加工物82の内面には、粒子99があらかじめコーティングされている(81)。次いで、(図8Bにおいて矢印によって概略的に表してある)パルス磁力またはその他の適切な接合力を印加することによって、円筒状被加工物82が超伝導体ケーブル上に収縮し、したがって、図8Cに示したように、2本のケーブルの間の確固たる接合が得られる。
【0108】
図9A〜図9Dは、本発明の別の実施形態による、2本の超伝導体ケーブルを接合する方法を示している。ケーブル86および87の端面84および85に穴あけ加工を行い、図9Bから理解できるように、それぞれが超伝導体ケーブルのフィラメント89に対応する複数の穴88を得る。穴88に対応する突起92を備えている接合部材90を用意し、オプションとして、突起92または穴88の少なくとも一方、もしくは、母材表面の対応する結合面、またはこれらの両方に、金属粒子99を塗布することができる。図9Cに示したように、接合部材90を超伝導体ケーブルの2つの端部に連結し、次いで、このアセンブリ上に円筒体94を配置する。円筒体94の内側、もしくは、ケーブル86,87および接合部材90のうち円筒体94によって覆われる部分の外側、またはその両方に、金属粒子98をコーティングする。次いで、図9Cにおいて矢印によって概略的に示したように、適切なPMF力、または、高圧もしくは高速によって発生するその他の力を印加し、したがって、図9Dに示したように、円筒体94がケーブル上に収縮し、結果として、確固たる接合が得られる。
【0109】
図10A〜図10Cは、本発明の実施形態による、接地ケーブルまたは接地リードを準備する方法を示している。図10Aに示した導体100は、ある合金(例:鉄)から作製されているコア102と、別の合金(例:銅)から作製されているクラッド104とから成る。導体100は、図1に関連して説明したように、必要な変更を施したうえで、準備することができる。図10Bにおいて理解できるように、絶縁材料(例:ポリエチレン、セラミック材料)から作製されている円筒体または被覆層106を導体上にかぶせ、これら円筒体または被覆層の上に金属(例:銅円筒体108)を重ねる。円筒体108と被覆層106との間に、本発明による適切な粒子99を塗布する。図10Bにおいて矢印によって概略的に示したように、本発明による磁気力またはその他の適切な力を印加すると、図10Cに示したように金属円筒体108が収縮し、これにより、絶縁体106も収縮して密な構造が達成される。
【0110】
次に図11Aおよび図11Bを参照し、これらの図は、本発明の実施形態による、超伝導体ケーブルを製造する方法を概略的に示している。図11Aに示したように、ある合金(例:銅)から作製されている縦長母材110は、複数の縦方向穴112を備えており、別の合金から作製されているフィラメント114が穴のそれぞれに挿入されている。(個々のまたは束としての)フィラメント114もしくは穴112の内面、またはその両方を、他の実施形態について上述した方法と同様に、必要な変更を施したうえで、適切な粒子99によってコーティングする。図11Aにおいて矢印によって示したように、本発明によるパルス磁力またはその他の適切な力を印加すると、図11Bにおいて理解できるように、ケーブル全体が収縮し、結果として、穴それぞれの壁が、金属粒子を介して少なくとも部分的にフィラメントと接合し、実質的に空隙が存在しない超伝導体ケーブルが得られる。
【0111】
図12は、2枚の平坦な金属被加工物を溶接するための配置構造を斜視図として示しており、図13はその断面図である(図12では、図を簡潔にする目的でコイルの支持構造は省いてある)。2枚の平坦な被加工物を接合する目的で、本質的に平坦なコイルを使用する。図12に示した平坦なコイル150は、その全体的な形状および大きさが、第1の被加工物152のうち第2の被加工物154に接合する領域の形状および大きさと実質的に同じであり、これらの被加工物152,154の間に粒子99を塗布する。図13において理解できるように、コイル巻線156は、固定部材160によって加工台に固定されている支持壁158によって、所定の位置に保持されている。コイル150にパルス電流を流すと、平坦な被加工物152が急激に下方に動き、被加工物152が被加工物154に十分急激な(例えば、約300m/秒以上、または約200m/秒以上の速度)衝撃を与えるならば、2枚の金属被加工物が互いに溶接される。この目的のため、これらの図において矢印によって表した方向から磁力を印加する。
【0112】
次に図14Aおよび図14Bを参照し、これらの図は、円柱体164の上に平坦な被加工物162を溶接する方法を(断面図として)概略的に示しており、被加工物162および円柱体164の向かい合う表面の一方または両方に粒子99を塗布した後、本発明による適切なPMF力またはその他の適切な接合力/溶接力を印加する。同様に、図15Aおよび図15Bは、長方形断面の角柱体164’に平坦な被加工物162’を溶接する方法を示しており、被加工物162’および角柱体164’の向かい合う表面の一方または両方に粒子99を塗布した後、本発明による適切なPMF力またはその他の適切な接合力を印加する。同様に、必要な変更を施したうえで、平坦な被加工物を球状またはその他の3次元被加工物に溶接することができる。
【0113】
図16を参照し、この図は、本発明の別の態様による、摩擦圧接に基づく溶接プロセスを示している。第1の被加工物201は、クランプ203によって実質的に静止状態に保持されており、2つの被加工物の間、向かい合う表面205,206に大きな摩擦力が発生するように、第2の被加工物202を矢印Aに沿って第1の被加工物201に押し付け、軸線204を中心に回転させる、もしくは並進させる、またはその両方を行う。摩擦圧接プロセスを開始する前に、本発明による粒子99の層を表面205,206の一方または両方に塗布することができる。あるいは、第2の被加工物を動かないように固定し、第1の被加工物を回転させる、もしくは並進させる、またはその両方を行い、粒子を含んでいる、被加工物の向かい合う表面の間に摩擦力を発生させることができる。あるいは、第1の被加工物および第2の被加工物の両方を互いに対して回転させる、もしくは並進させる、またはその両方を行い、粒子を含んでいる、被加工物の向かい合う表面の間に摩擦力を発生させることができる。
【0114】
理論に限定されることなく、被加工物201,202の間の摩擦力によって、粒子99の少なくとも一部を燃やす、またはプラズマを発生させることができ、これにより、表面205,206の間の固相接合が支援される。
【0115】
図17を参照し、この図は、本発明の別の態様による、超音波溶接に基づく溶接プロセスを示している。第1の被加工物211はアンビル213に保持されており、第2の被加工物212は、質量体(mass)218に固定されているリード(reed)のソノトロード端部(sonotrode tip)219に取り付けられている。第2の被加工物212を、互いに向かい合っている表面215,216が接触するように、矢印Aに沿って第1の被加工物211に押し付ける。超音波振動子217は、適切なウェッジ(wedge)を介して高周波振動エネルギをリード219に提供し、このエネルギが被加工物212,211に伝わる。超音波溶接プロセスを開始して実際に被加工物211,212をひとつにする前に、本発明による粒子99の層を表面215,216の一方または両方に塗布することができる。これに加えて、またはこれに代えて、振動エネルギを第1の被加工物に印加することができる。
【0116】
理論に限定されることなく、被加工物211,212の間の振動エネルギによって、粒子99の少なくとも一部を燃やす、またはプラズマを発生させることができ、これにより、表面215,216の間の固相接合が支援される。
【0117】
図18を参照し、この図は、本発明の別の態様による、拡散接合または圧着に基づく溶接プロセスを示している。第1の被加工物221は、クランプ223によって実質的に静止状態に保持されている。2つの被加工物の間、向かい合う表面225,226において拡散接合または圧着が提供されるように、第2の被加工物212を、適切なプレスによって所定の圧力および温度において矢印Aに沿って第1の被加工物211に押し付ける。拡散接合プロセスを開始する前に、本発明による粒子99の層を、表面225,226の一方または両方に塗布することができる。あるいは、第2の被加工物を動かないように固定し、第1の被加工物をプレスによって押し付けることができる。あるいは、第1の被加工物および第2の被加工物の両方を、向かい合うプレスによって押し付けることができる。
【0118】
理論に限定されることなく、被加工物221,222の間に圧力によって発生する力によって、粒子99の少なくとも一部を燃やす、またはプラズマを発生させることができ、これにより、表面225,226の間の固相接合が促進される。
【0119】
図18に示したプロセスは、拡散接合について上述した方法と類似する方法において、必要な変更を施したうえで、ガス圧接または圧着を提供する目的に使用することもでき、主たる違いとして、拡散接合ではなくガス圧接または圧着を提供するのに十分な温度および圧力を適用する。
【0120】
図18に示したプロセスは、拡散接合について上述した方法と類似する方法において、必要な変更を施したうえで、冷間圧接を提供する目的に使用することもでき、主たる違いとして、温度を室温に維持し、拡散接合ではなく冷間圧接を提供するのに十分な圧力を印加する。
【0121】
図19を参照し、この図は、本発明の別の態様による、鍛接または圧着に基づく溶接プロセスを示している。第1の被加工物231はクランプ233によって実質的に静止状態に保持されている。第2の被加工物232を第1の被加工物231に押し付けて、クランプ237に保持する。本発明による粒子99の層を、表面235,236の一方または両方に塗布することができる。2つの被加工物の間、向かい合う表面235,236に鍛接が提供されるように、衝撃ハンマー238によってクランプ237に衝撃を印加する。あるいは、第2の被加工物を動かないように固定し、ハンマーを第1の被加工物に衝突させることができる。あるいは、第1の被加工物および第2の被加工物に、調整されたハンマー衝撃を向かい合う方向に印加することができる。
【0122】
理論に限定されることなく、被加工物231,232の間の衝撃力によって、粒子99の少なくとも一部を燃やす、またはプラズマを発生させることができ、これにより、表面235,236の間の固相接合が支援される。
【0123】
本発明のさらに別の態様によると、本発明の方法を実施する前に、本明細書に図1〜図19を参照しながら開示した、粒子を使用する方法に類似する方法において、必要な変更を施したうえで、第1の被加工物および第2の被加工物の向かい合う表面の間に、粒子の層の代わりに箔または積層を使用することができる。
【0124】
このような箔は、例えば、約1*10−6mないし5*10−6mから約50*10−6mないし約200*10−6mの間の範囲の厚さ、またはそれより大きい厚さを有することができ、任意の適切な金属または合金、例えば、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、鉄または鋼、銅、マグネシウム、ビスマス、リチウム、ニッケル、銀、金、チタン、スズのいずれか(1つ)から選択される金属または合金から作製することができる。
【0125】
本発明のさらに別の態様によると、本発明の方法を実施する前に、本明細書に図1〜図19を参照しながら開示した、粒子を使用する方法に類似する方法において、必要な変更を施したうえで、第1の被加工物および第2の被加工物の向かい合う表面の間に、粒子の層と一緒に箔または積層を使用することができる。
【0126】
方法クレームにおいては、請求項のステップを表すために用いた英数字およびローマ数字は、便宜上使用しているにすぎず、それらのステップの特定の実行順序を暗黙的に意味するものではない。
【0127】
請求項全体を通じて使用している語「を備えている」は、「を含んでいる、ただしそれらに限定されない」という意味に解釈されるものとする。
【0128】
ここまで、本発明による実施形態の例を図示および開示したが、これらの実施形態には、本発明の概念から逸脱することなく数多くの変更を行うことができることを理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属被加工物と1つまたは複数の第2の金属被加工物との間に金属結合を形成する方法であって、
(a)前記第1の金属被加工物と前記1つまたは複数の第2の金属被加工物とを、前記第1の被加工物の第1の部分が前記1つまたは複数の第2の被加工物の第2の部分と一般的に重なり合う関係にあるように、互いに近くに配置するステップと、
(b)前記第1の部分と前記第2の部分との間に適切な材料を提供するステップであって、前記材料が粒子または箔の形式である、前記ステップと、
(c)前記第1の金属被加工物と前記1つまたは複数の第2の金属被加工物とが互いに接合または溶接されてこれらの間に金属結合が形成されるように、前記第1の部分を備えている前記第1の被加工物の少なくとも第1の一部分を、前記第2の部分を備えている前記1つまたは複数の第2の被加工物の第2の一部分に、適切な高圧接合プロセスおよび高速接合プロセスのいずれか一方によって押し付けるステップと、
を含んでいる、方法。
【請求項2】
適切な高圧接合プロセスおよび高速接合プロセスの前記いずれか一方が、間に前記材料を有する前記第1の部分と前記第2の部分との間に接触前縁(contact front)が生じるように、前記第1の部分と前記第2の部分とを、金属結合を形成する相互接触状態にするステップを含んでおり、前記接触前縁は、金属結合した少なくとも1つの部分と、結合していない少なくとも1つの部分との間の位置を定義しており、金属結合した前記少なくとも1つの部分においては、前記第1の部分および前記第2の部分の向かい合う一部分が前記プロセスによってすでに接合されており、結合していない前記少なくとも1つの部分においては、前記第1の部分および前記第2の部分の向かい合う一部分が前記プロセスによってやがて接合され、前記接触前縁は、前記第1の部分と前記第2の部分の間で急速に伝搬する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の部分と前記第2の部分とは、前記接触前縁において所定の鋭角にて接触している、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記接触前縁は約3*103m/秒以上の速度で伝搬する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記接触前縁は約600m/秒以上の速度で伝搬する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記接触前縁は、前記結合していない部分における、前記第1の部分と前記第2の部分の向かい合う一部分の間にプラズマが発生するのに十分な速度で、伝搬する、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記プラズマは、前記伝搬する接触前縁によってプラズマ発生まで加熱される、前記材料の少なくとも一部、を備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記プロセスは、磁気パルス成形(PMF)プロセスである、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(c)において、前記PMFプロセスが、電流パルスをコイルに流すことによってパルス磁力を発生させるステップ、を含んでおり、
前記パルス磁力は、
衝撃を与えた後の、前記第1の被加工物の塑性変形エネルギおよび前記第2の被加工物の弾性変形エネルギを合わせたエネルギに等しいかまたはそれより大きい、衝撃を与える前の前記第1の被加工物の初期運動エネルギ、によって、前記第1の一部分が前記第2の一部分に衝撃を与え、これによって、前記1つまたは複数の第2の金属被加工物が互いに接合または溶接される、
ように作用する力である、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記プロセスは爆発圧接プロセスである、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記プロセスは、摩擦圧接プロセス、超音波溶接プロセス、拡散接合プロセス、冷間圧接プロセス、ガス圧接プロセス、鍛接プロセス、のうちのいずれか1つである、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(b)において、前記粒子は、前記第1の部分と前記第2の部分のうちの少なくとも一方に塗布される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(b)はステップ(a)の前に実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記粒子は、前記第1の部分の第1の表面と前記第2の部分の第2の表面のうちの少なくとも一方に塗布される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の表面と前記第2の表面のうちの少なくとも一方に、前記金属粉末を備えているエマルションによって前記粒子を吹き付けるかまたはコーティングすることによって、前記粒子が第1の表面と前記第2の表面のうちの少なくとも一方に塗布される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記エマルションが、適切な気体または液体に浮遊している粒子を備えている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の表面と前記第2の表面のうちの少なくとも一方と、前記粒子との間に静電引力を発生させることによって、前記粒子が前記第1の表面と前記第2の表面のうちの少なくとも一方に塗布される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記粒子が金属粒子であり、かつ磁化されており、前記第1の部分と前記第2の部分のうちの少なくとも一方が磁化可能であり、前記金属粉末の近傍において、前記少なくとも一方の部分に適切な電流を流して前記少なくとも一方の部分を磁化し、これに起因して、前記粒子が、前記第1の部分と前記第2の部分のうちの少なくとも一方に磁気的に引きつけられる、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の部分と前記第2の部分のうちの少なくとも一方が、少なくともステップ(c)の前に前記粒子を保持しているように構成されている表面形状、を備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記表面形状が、凹部、くぼみ、溝、その他のうちのいずれか1項を含んでいる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記粒子のうちの少なくとも一部が、前記第1の部分と前記第2の部分のうちの少なくとも一方の金属と共通する金属から作製されている、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記粒子のうちの少なくとも一部が、前記第1の部分および前記第2の部分の金属と共通する金属から作製されている、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記粒子が、前記第1の部分および前記第2の部分を構成している1つまたは複数の金属とは異なる1つまたは複数の金属を備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記粒子が、約1*10−6メートル〜約200*10−6メートルの範囲内の有効径または特徴的寸法を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記粒子が、約5*10−6メートル〜約50*10−6メートルの範囲内の有効径または特徴的寸法を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記粒子が、約10−9メートルのオーダーの有効径または特徴的寸法を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記粒子が、アルミニウム、鉄または鋼、銅、マグネシウム、ビスマス、リチウム、ニッケル、亜鉛、マグネシウム、銀、金、チタン、スズから選択される少なくとも1つの金属または合金を備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記粒子が、酸化マグネシウムおよび酸化アルミニウムから選択される少なくとも一方のセラミックを備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記箔が、約1*10−6m〜約200*10−6mの間の厚さの金属箔を備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記箔が、約5*10−6m〜約50*10−6mの間の厚さの金属箔を備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
請求項1に記載の方法に従って1つまたは複数の第2の金属被加工物に溶接されている第1の金属被加工物を備えている製造品。
【請求項1】
第1の金属被加工物と1つまたは複数の第2の金属被加工物との間に金属結合を形成する方法であって、
(a)前記第1の金属被加工物と前記1つまたは複数の第2の金属被加工物とを、前記第1の被加工物の第1の部分が前記1つまたは複数の第2の被加工物の第2の部分と一般的に重なり合う関係にあるように、互いに近くに配置するステップと、
(b)前記第1の部分と前記第2の部分との間に適切な材料を提供するステップであって、前記材料が粒子または箔の形式である、前記ステップと、
(c)前記第1の金属被加工物と前記1つまたは複数の第2の金属被加工物とが互いに接合または溶接されてこれらの間に金属結合が形成されるように、前記第1の部分を備えている前記第1の被加工物の少なくとも第1の一部分を、前記第2の部分を備えている前記1つまたは複数の第2の被加工物の第2の一部分に、適切な高圧接合プロセスおよび高速接合プロセスのいずれか一方によって押し付けるステップと、
を含んでいる、方法。
【請求項2】
適切な高圧接合プロセスおよび高速接合プロセスの前記いずれか一方が、間に前記材料を有する前記第1の部分と前記第2の部分との間に接触前縁(contact front)が生じるように、前記第1の部分と前記第2の部分とを、金属結合を形成する相互接触状態にするステップを含んでおり、前記接触前縁は、金属結合した少なくとも1つの部分と、結合していない少なくとも1つの部分との間の位置を定義しており、金属結合した前記少なくとも1つの部分においては、前記第1の部分および前記第2の部分の向かい合う一部分が前記プロセスによってすでに接合されており、結合していない前記少なくとも1つの部分においては、前記第1の部分および前記第2の部分の向かい合う一部分が前記プロセスによってやがて接合され、前記接触前縁は、前記第1の部分と前記第2の部分の間で急速に伝搬する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の部分と前記第2の部分とは、前記接触前縁において所定の鋭角にて接触している、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記接触前縁は約3*103m/秒以上の速度で伝搬する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記接触前縁は約600m/秒以上の速度で伝搬する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記接触前縁は、前記結合していない部分における、前記第1の部分と前記第2の部分の向かい合う一部分の間にプラズマが発生するのに十分な速度で、伝搬する、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記プラズマは、前記伝搬する接触前縁によってプラズマ発生まで加熱される、前記材料の少なくとも一部、を備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記プロセスは、磁気パルス成形(PMF)プロセスである、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(c)において、前記PMFプロセスが、電流パルスをコイルに流すことによってパルス磁力を発生させるステップ、を含んでおり、
前記パルス磁力は、
衝撃を与えた後の、前記第1の被加工物の塑性変形エネルギおよび前記第2の被加工物の弾性変形エネルギを合わせたエネルギに等しいかまたはそれより大きい、衝撃を与える前の前記第1の被加工物の初期運動エネルギ、によって、前記第1の一部分が前記第2の一部分に衝撃を与え、これによって、前記1つまたは複数の第2の金属被加工物が互いに接合または溶接される、
ように作用する力である、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記プロセスは爆発圧接プロセスである、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記プロセスは、摩擦圧接プロセス、超音波溶接プロセス、拡散接合プロセス、冷間圧接プロセス、ガス圧接プロセス、鍛接プロセス、のうちのいずれか1つである、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(b)において、前記粒子は、前記第1の部分と前記第2の部分のうちの少なくとも一方に塗布される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(b)はステップ(a)の前に実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記粒子は、前記第1の部分の第1の表面と前記第2の部分の第2の表面のうちの少なくとも一方に塗布される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の表面と前記第2の表面のうちの少なくとも一方に、前記金属粉末を備えているエマルションによって前記粒子を吹き付けるかまたはコーティングすることによって、前記粒子が第1の表面と前記第2の表面のうちの少なくとも一方に塗布される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記エマルションが、適切な気体または液体に浮遊している粒子を備えている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の表面と前記第2の表面のうちの少なくとも一方と、前記粒子との間に静電引力を発生させることによって、前記粒子が前記第1の表面と前記第2の表面のうちの少なくとも一方に塗布される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記粒子が金属粒子であり、かつ磁化されており、前記第1の部分と前記第2の部分のうちの少なくとも一方が磁化可能であり、前記金属粉末の近傍において、前記少なくとも一方の部分に適切な電流を流して前記少なくとも一方の部分を磁化し、これに起因して、前記粒子が、前記第1の部分と前記第2の部分のうちの少なくとも一方に磁気的に引きつけられる、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の部分と前記第2の部分のうちの少なくとも一方が、少なくともステップ(c)の前に前記粒子を保持しているように構成されている表面形状、を備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記表面形状が、凹部、くぼみ、溝、その他のうちのいずれか1項を含んでいる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記粒子のうちの少なくとも一部が、前記第1の部分と前記第2の部分のうちの少なくとも一方の金属と共通する金属から作製されている、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記粒子のうちの少なくとも一部が、前記第1の部分および前記第2の部分の金属と共通する金属から作製されている、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記粒子が、前記第1の部分および前記第2の部分を構成している1つまたは複数の金属とは異なる1つまたは複数の金属を備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記粒子が、約1*10−6メートル〜約200*10−6メートルの範囲内の有効径または特徴的寸法を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記粒子が、約5*10−6メートル〜約50*10−6メートルの範囲内の有効径または特徴的寸法を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記粒子が、約10−9メートルのオーダーの有効径または特徴的寸法を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記粒子が、アルミニウム、鉄または鋼、銅、マグネシウム、ビスマス、リチウム、ニッケル、亜鉛、マグネシウム、銀、金、チタン、スズから選択される少なくとも1つの金属または合金を備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記粒子が、酸化マグネシウムおよび酸化アルミニウムから選択される少なくとも一方のセラミックを備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記箔が、約1*10−6m〜約200*10−6mの間の厚さの金属箔を備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記箔が、約5*10−6m〜約50*10−6mの間の厚さの金属箔を備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
請求項1に記載の方法に従って1つまたは複数の第2の金属被加工物に溶接されている第1の金属被加工物を備えている製造品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2009−541059(P2009−541059A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516064(P2009−516064)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【国際出願番号】PCT/IL2007/000750
【国際公開番号】WO2007/148339
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(508373338)パルサー・ウェルディング・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【国際出願番号】PCT/IL2007/000750
【国際公開番号】WO2007/148339
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(508373338)パルサー・ウェルディング・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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