説明

第Xa因子の阻害剤としてのチオエーテル置換されたベンズアミド誘導体

弱いhERG結合と併せて、例外的に強力な第Xa因子の阻害を示す、式を有するチオエーテル置換されたベンズアミド化合物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、単離されたか、またはプロトロンビナーゼ複合体内に構築された場合の第Xa因子の強力かつ高度に選択的な阻害剤化合物に関する。これらの化合物は、凝固(たとえば、トロンビン、fVIIa、fIXa)または線維素溶解カスケード(たとえば、プラスミノーゲンアクチベーター、プラスミン)のその他のプロテアーゼに対し、第Xa因子に対して選択性を示す。もう一つの局面において、本発明は、哺乳類における血液凝固の強力かつ特異的な阻害剤として有用である新規モノアミジノ含有化合物、これらの薬学的に許容される塩、およびこれらの薬学的に許容される組成物に関する。さらにもう一つの局面において、本発明は、これらの阻害剤を、凝固障害によって特徴付けられる哺乳類における疾病状態のための治療薬として使用するための方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2003年10月9日に出願した米国仮特許出願第60/510,264号(その開示は、参照として本明細書に組み入れられる)の恩典を主張する。
【0003】
連邦政府によって支援された研究開発の元で行われた発明に対する権利に関する記載
該当なし。
【0004】
コンパクトディスクで提出される「配列表」、表、またはコンピュータープログラムリストについての参照
該当なし。
【背景技術】
【0005】
発明の背景
止血、出血の制御は、外科的手段によって、または血管狭窄および凝固の生理学的性質によって行われる。本発明は、特に血液凝固および傷害、炎症、疾患、先天性欠損、機能障害、またはその他の破壊の後に哺乳類循環における統合性を維持するのを補助する方法に関する。血小板および血液凝固は、両方とも血栓形成に関与するが、凝固カスケードの一定成分は、主に血小板凝集および線維素沈着に関与するプロセスの増幅または加速の役割を果たす。
【0006】
トロンビンは、凝固カスケードにおける、並びに止血における鍵となる酵素である。トロンビンは、フィブリノーゲンのフィブリンへの転換を触媒するその能力を介して、およびその強力な血小板活性化活性を介して、血栓症の中心的役割を担う。Claeson, G.、「Synthetic Peptides and Peptidomimetics as Substrates and Inhibitors of Thrombin and Other Proteases in the Blood Coagulation System」、Blood Coag. Fibrinol. 5: 411-436 (1994)によって概説されているように、トロンビン活性の直接的または間接的な阻害は、種々の最近の抗凝血ストラテジーの焦点であった。診療所で現在使用されている血液凝固阻止剤のいくつかの種類は、直接または間接的にトロンビンに影響を及ぼす(すなわち、ヘパリン、低分子量ヘパリン、ヘパリン様化合物、およびクマリン)。
【0007】
第Xa因子(セリンプロテアーゼ、その第X因子前駆体の活性型、およびカルシウムイオンに結合し、γカルボキシグルタミル(Gla)を含み、ビタミンK依存的な、血液凝固糖タンパク質ファミリーのメンバー)を含むプロトロンビナーゼ複合体は、酵素前駆体プロトロンビンを活性な凝血原トロンビンに変換する。トロンビンとは異なり、これは種々のタンパク質基質に対して、並びに特異的受容体で作用し、第Xa因子は、単一の生理的基質を有する、すなわちプロトロンビンであると思われる。第Xa因子の一分子は、138分子までのトロンビンを産生する可能性があり(Elodi et al., Thromb. Res. 15:617-619 (1979))、トロンビンの形成を間接的に阻害する方法として、第Xa因子の直接阻害は、効率的な抗凝血ストラテジーとなり得る。従って、選択的に第Xa因子を阻害する化合物は、インビトロでの診断薬として、または一定の血栓性障害における治療的投与のために、有用となり得ることが示唆されており、たとえば国際公開公報第94/13693号を参照されたい。
【0008】
吸血生物体に由来するポリペプチドは、第Xa因子の非常に強力かつ特異的な阻害剤であることが報告されていた。米国特許第4,588,587号は、メキシコのヒル、ヘメンテリア・オフィシナリス(Haementeria officinalis)の唾液における抗凝固活性を記載する。この唾液の主成分は、ポリペプチド第Xa因子阻害剤アンチスタシン(antistasin)(ATS)であることが、Nutt, E. et al.、「The Amino Acid Sequence of Antistasin, a Potent Inhibitor of Factor Xa Reveals a Repeated Internal Structure」、J. Bol. Chem., 263:10162-10167 (1988)によって示された。Waxman, L. et al.、「Tick Anticoagulant Peptide (TAP) is a Novel Inhibitor of Blood Coagulation Factor Xa」Science、248:593-596 (1990)によって報告されたように、第Xa因子のもう一つの強力かつ非常に特異的な阻害剤は、ダニ抗凝固薬ペプチド(TAP)と呼ばれ、ヒメダニ類オルニチドロス・マウバタ(Ornithidoros moubata)の全身抽出物から得られた。
【0009】
また、大きなポリペプチド型阻害剤ではない第Xa因子阻害性化合物は、以下を含むものが報告されていた:Tidwell, R. R. et al.、「Strategies for Anticoagulation With Synthetic Protease Inhibitors. Xa Inhibitors Versus Thrombin Inhibitors」、Thromb. Res., 19:339-349 (1980); Turner, A.D. et al.、「p-Amidino Esters as Irreversible Inhibitors of Factor IXa and Xa and Thrombin」、Biochemistry, 25:4929-4935 (1986); Hitomi, Y. et al.、「Inhibitory Effect of New Synthetic Protease Inhibitor (FUT-175) on the Coagulation System」、Haemostasis, 15:164-168 (1985); Sturzebecher, J. et al.」、「Synthetic Inhibitors of Bovine Factor Xa and Thrombin. Comparison of Their Anticoagulant Efficiency」、Thromb. Res., 54:245-252 (1989); Kam, C.M. et al.、「Mechanism Based Isocoumarin Inhibitors for Trypsin and Blood Coagulation Serine Proteases: New Anticoagulants」、Biochemistry, 27:2547-2557 (1988); およびHauptmann, J. et al.、「Comparison of the Anticoagulant and Antithrombotic Effects of Synthetic Thrombin and Factor Xa Inhibitors」、Thromb. Haemost., 63:220-223 (1990)等。
【0010】
その他には、アミジノ置換基を有する窒素含有複素環化合物であって、化合物の2つの官能基がその活性部位のうちの2か所で第Xa因子に結合することができる化合物などの小分子有機化合物である第Xa因子阻害剤が報告された。たとえば、国際公開公報第98/28269号は、末端C(=NH)-NH2基を有するピラゾール化合物を記載しており;国際公開公報第97/21437号は、直鎖または分枝鎖アルキレン、-C(=O)、または-S(=O)2架橋基を経てナフチル基に接続されている塩基性ラジカルによって置換されるベンゾイミダゾール化合物を記載しており;国際公開公報第99/10316号は、カルボキサミドアルキレンアミノ橋を経て3-アミジノフェニル基に接続されている4-フェニル-N-アルキルアミジノ-ピペリジン基および4-フェノキシ-N-アルキルアミジノ-ピペリジン基を有する化合物を記載しており;並びに欧州特許第798295号は、置換されたか、もしくは非置換のスルホンアミドまたはカルボキサミド架橋基を経てアミジノナフチル基に接続されている4-フェノキシ-N-アルキルアミジノ-ピペリジン基を有する化合物を記載している。
【0011】
さらに、心臓における薬物で誘導されるQT延長は、多くの臨床状況において有害かつ致命的な副作用を生じさせることが最近認識された(Netzer, R. et al. Drug Discovery Today、6:78 (2001))。いくつかの薬物、たとえばテルフェナジン(セルデーン(登録商標))、シサプリド(プロパルシド(Propulsid)(登録商標))、およびアステミゾール(ヒスマナル(Hismanal)(登録商標))は、これらがhERGに結合して、QT間隔延長を伴うために、市場から撤退された。Pearlstein, R. A. et al.、Bioorg Med. Chem. Lett. 13:1829 (2003)を参照されたい。
【0012】
hERGカリウムチャンネルは、ヒト心臓に発現されるヒト・エーテル-ア-ゴー-ゴー(ether-a-go-go)関連遺伝子であり、心臓再分極の重要なエフェクターであり、ECGによって測定されるQT間隔に寄与する。hERGカリウムチャンネルの阻害により、倒錯型心室頻拍(TdP)不整脈の重要な危険因子と広く考えられるQT間隔の延長を生じ得ることが示されている。従って、hERG結合は、現在の薬剤開発において主要なハードルになっていた。幸いにも、化合物がhERGチャンネルを阻害する能力を測定する前臨床ハイスループット・インビトロ・アッセイ法には、医薬化学者が直接SAR情報を獲得するための、および創薬の初期におけるこれらの潜在的副作用を評価するための強力なスクリーニングツールとなった。Haverkamp, W. et al. Cardiovasc. Res. 47:219 (2000). Finlayson, K. et al.、European Journal of Pharmacology 430:147 (2001)を参照されたい。
【0013】
hERGチャンネルの電気生理学の理解、薬物で誘導されるQT延長のメカニズム、hERGチャンネルに対する薬物結合の構造的な理解、hERG結合能力の前臨床インビボQT延長研究との関係において、有意な進歩が過去数年の間になされた(Redfern, W. S. et al.、Cardiovasc. Res. 58:32 (2003))。従って、ほとんどまたは全くhERG結合を伴わずに、非常に有益な抗血栓性活性をもたらす新たな化合物を見いだすことが望ましい。
【0014】
止血の制御のための、並びに再狭窄および炎症などのトロンビンによって誘導される脈管構造の血栓形成およびその他の病理学的プロセスの予防および治療のための、有効な治療薬の必要が存在する。特に、選択的に第Xa因子またはその前駆体を阻害する化合物の必要が存在し続けている。以前に発見された化合物とは異なった架橋基および官能基の組み合わせを有する化合物、特に選択的に、または優先して第Xa因子と結合する化合物が必要である。トロンビンよりも第Xa因子に対して高度に結合する化合物、特に優れた生物学的利用能および/または溶解度を有する化合物が望まれる。
【発明の開示】
【0015】
発明の簡単な概要
一つの局面において、本発明は、式(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。

式Iにおいて、記号R1aは、H、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、(C1-6アルキル)0-2アミノ、またはC1-6アルキルカルボニルを表し;記号R1bおよびR1cは、独立してHもしくはC1-6アルキルを表すか、または任意に、R1bおよびR1cは、それぞれが結合している窒素原子と連結して、0〜1個のさらなるヘテロ原子環メンバーを有する5員、6員、もしくは7員の単環式環か、または0〜2個のさらなるヘテロ原子環メンバーを有する8員、9員、10員、もしくは11員の二環式環を形成し、ヘテロ原子環メンバーは、O、N、S、S(O)、およびS(O)2から選択され、環は、独立してC1-6アルキル、(C1-6アルキル)0-2アミノ、オキソ、およびアミン保護基からなる群より選択される0〜2個の置換基でさらに置換されている。記号R1dおよびR1eは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-6アルキル,C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、(C1-6アルキル)0-2アミノ、もしくはアミノC1-6アルキルを表すか;または、R1dおよびR1eは、連結して、N、O、およびSから選択される0〜2環ヘテロ原子を有する融合された5〜6員環を形成することができる。
【0016】
式Iの文字Xは、OもしくはSか、またはこれが結合される炭素原子と共にCH2を表す。式Iにおける文字Yは、CHまたはNを表し;および文字Zは、以下の式を有する基を表す。

式中、
R2a、R2b、およびR2cは、それぞれ独立してH、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-6アルコキシおよび(C1-6アルキル)0-2アミノであるか;または任意に、R2a、R2b、およびR2cの任意の2つは、これらの介在原子と一緒になり、O、N、S、S(O)、およびS(O)2から選択される0〜1個のさらなるヘテロ原子環メンバーを有する3員、4員、5員、6員、もしくは7員環を形成し、環は、独立してC1-6アルキル、ヒドロキシ、C1-6アルコキシ、CO2H、オキソ、および(C1-6アルキル)0-2アミノからなる群より選択される0〜2個の置換基でさらに置換されている。
【0017】
本発明の化合物に加えて、以下などの望まれない血栓症によって特徴づけられる症状の治療のための方法と共に、薬学的組成物が提供される:急性冠動脈症候群、心筋梗塞、不安定狭心症、不応性口峡炎、血栓溶解療法後または冠動脈再建術後に生じる閉塞性冠状動脈血栓、血栓性に媒介される脳血管症候群、塞栓性脳卒中、血栓性脳卒中、一過性虚血性発作、静脈血栓症、深部静脈血栓症、肺塞栓、凝固障害、播種性血管内血液凝固、血栓性血小板減少性紫斑病、閉塞性血栓性血管炎、ヘパリンで誘導される血小板減少症と関連した血栓性疾患、体外循環と関連した血栓性合併症、心臓もしくはその他の血管内カテーテル法、大動脈内バルーンポンプ、冠動脈ステント、または心臓弁などの器具使用と関連した血栓性合併症、および補綴装置のフィッティングを必要とする症状。
【0018】
発明の詳細な説明
定義
「アルキル」という用語は、それ自体によって、もしくは別の置換基の一部として、特に明記しない限り、示した炭素原子数を有する直鎖状または分枝鎖炭化水素ラジカルを意味する(すなわち、C1-8は、1〜8炭素を意味する)。アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、およびn-オクチル等を含む。「アルケニル」という用語は、1つまたは複数の二重結合を有する不飽和のアルキル基をいう。同様に、「アルキニル」という用語は、1つまたは複数の三重結合を有する不飽和のアルキル基をいう。このような不飽和のアルキル基の例は、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-プロピニルおよび3-プロピニル、3-ブチニル、並びにより高い同族体および異性体を含む。「シクロアルキル」という用語は、示された数の環原子を有し(たとえば、C3-6シクロアルキル)、かつ完全に飽和しているか、または環頂点間に1つ以下の二重結合だけを有する炭化水素環をいう。「シクロアルキル」が、C3-5シクロアルキル-アルキルとして「アルキル」と併せて使用される場合は、シクロアルキル部分は、3〜5炭素原子を有することを意味し、一方アルキル部分は、1〜3炭素原子を有するアルキレン部分(たとえば、-CH2-、-CH2CH2-、または-CH2CH2CH2-)である。
【0019】
「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、および「アルキルチオ」(またはチオアルコキシ)という用語は、これらの従来の意味で使用され、それぞれ酸素原子、アミノ基、または硫黄原子を介して残りの分子に結合されたアルキル基をいう。簡潔のために、C1-6アルキルアミノという用語は、メチル、エチル、2-メチルプロピル、シクロブチル、およびシクロプロピルメチルなどの直鎖状、分枝の、もしくは環状のアルキル基、またはその組み合わせを含むことが意味される。
【0020】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、これら自体によって、もしくは別の置換基の一部として、特に明記しない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。さらに、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを含むことが意味される。たとえば、「C1-4ハロアルキル」という用語は、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、および3-ブロモプロピル等を含むことが意味される。
【0021】
「アリール」という用語は、特に明記しない限り、ポリ不飽和の、典型的には芳香族炭化水素基を意味し、これは、共に融合されるか、もしくは共有結合により結合された単一の環または複数の環(3つまでの環)であることができる。例示的なアリール基は、フェニル、ナフチル、ビフェニルなどである。「ヘテロアリール」という用語は、基(または環)がN、O、およびSから選択される1〜5ヘテロ原子を含むアリール基であって、窒素および硫黄原子が任意に酸化されており、かつ窒素原子が任意に四級になっているアリール基をいう。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して残りの分子に結合することができる。ヘテロアリール基の非限定の例は、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-オキサゾリル、4-イソキサゾリル、5-イソキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンズイミダゾリル、ベンゾピラゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル、および6-キノリルを含む。上述のアリールおよびヘテロアリール環系のための置換基は、下記に記載されている許容される置換基の群から選択される。
【0022】
本明細書に使用される「ヘテロ原子」という用語は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)およびシリコン(Si)を含むことが意味される。
【0023】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書に記載されている化合物で見いだされる特定の置換基に応じて、比較的無毒の酸または塩基で調製される活性化合物の塩を含むことが意味される。本発明の化合物が比較的酸性官能性を含む場合は、塩基付加塩は、純粋な、または適切な不活性溶媒中のいずれかで、所望の塩基の十分な量とこのような化合物の中性形態を接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩の例は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、もしくはマグネシウム塩、または同様の塩を含む。本発明の化合物が比較的塩基性の官能性を含む場合は、酸付加塩は、純粋な、または適切な不活性溶媒中のいずれかで、所望の酸の十分な量とこのような化合物の中性形態を接触させることによって得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸一水素、リン酸、リン酸一水素、リン酸二水素、硫酸、硫酸一水素、ヨウ化水素酸、または亜リン酸等のような無機酸に由来するもの、並びに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、およびメタンスルホン酸等のような比較的無毒の有機酸に由来する塩を含む。また、アルギン酸等などのアミノ酸の塩、およびグルクロン酸またはガラクツロン酸等のような有機酸の塩も含まれる(たとえば、Berge, S.M. et al、「Pharmaceutical Salts」、Journal of Pharmaceutical Science、1977、66、1-19を参照されたい)。本発明の一定の特異的な化合物は、化合物が塩基または酸の添加塩に変換することができる、塩基性および酸性の官能性の両方を含む。
【0024】
化合物の中性形態は、塩基または酸と塩を接触させて、従来の様式で親化合物を単離することによって再生してもよい。化合物の親形態は、極性溶媒における溶解度などの一定の物性が種々の塩形態とは異なるが、さもなければ、塩は、本発明の目的の化合物の親形態と同等である。
【0025】
塩形態に加えて、本発明は、プロドラッグ形態である化合物も提供する。本明細書に記載されている化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で容易に化学変化を受けて本発明の化合物を提供する化合物である。さらに、プロドラッグは、エキソビボ環境における化学的または生化学的方法により、本発明の化合物に変換することができる。たとえば、プロドラッグは、適切な酵素または化学試薬で経皮パッチ貯蔵器中に配置した場合に、本発明の化合物へゆっくりと変換することができる。
【0026】
本発明の一定の化合物は、溶媒和されていない形態で、並びに水和形態を含む溶媒和させた形態で存在することができる。一般に、溶媒和させた形態は、溶媒和されていない形態と同等であり、本発明の範囲内で包含されることが意図される。本発明の一定の化合物は、複数の結晶または非晶質の形態で存在してもよい。一般に、全ての物理的形態が、本発明によって想定される使用に関して同等であり、本発明の範囲内であることが意図される。
【0027】
本発明の一定の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を有し;ラセミ化合物、ジアステレオマー、幾何異性体、および個々の異性体(たとえば、別々の鏡像異性体)は、全て本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0028】
また、本発明の化合物は、このような化合物を構成する原子の1つまたは複数において、非天然の比率の原子同位元素を含んでいてもよい。たとえば、化合物は、たとえばトリチウム(3H)、ヨウ素125(l25I)、または炭素14(14C)などの放射性同位元素で放射標識してもよい。本発明の化合物の全ての同位体変異は、放射性であるか否かにかかわらず、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0029】
一般
本発明は、式Iの化合物が第Xa因子の強力な阻害を示すが、それにもかかわらず弱いhERG結合だけを示すという驚くべき発見に由来する。hERGの阻害を減少させる化合物は、一定のタイプの不整脈と関連するQT間隔の延長を生じさせる可能性が少ない。従って、本化合物は、望まれない血栓症の治療または予防のために有用であると共に、QTに関連した副作用のリスクをより低くすることができる。
【0030】
実施例の記載
化合物
一つの局面において、本発明は、式(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。

式Iにおいて、記号R1aは、H、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、(C1-6アルキル)0-2アミノ、またはC1-6アルキルカルボニルを表す。好ましくは、R1aは、Hまたはハロゲンである。記号R1bおよびR1cは、独立してHもしくはC1-6アルキルを表すか、または任意に、R1bおよびR1cは、それぞれが結合している窒素原子と連結して、0〜1個のさらなるヘテロ原子環メンバーを有する5員、6員、もしくは7員の単環式環か、または0〜2個のさらなるヘテロ原子環メンバーを有する8員、9員、10員、もしくは11員の二環式環を形成し、ヘテロ原子環メンバーは、O、N、S、S(O)、およびS(O)2から選択され、環は、独立してC1-6アルキル、(C1-6アルキル)0-2アミノ、オキソ、およびアミン保護基からなる群より選択される0〜2個の置換基でさらに置換されている。好ましい態様の1つの群において、R1bおよびR1cは、独立してHおよびC1-4アルキルから選択される。記号R1dおよびR1eは、それぞれ独立してH、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、(C1-6アルキル)0-2アミノ、もしくはアミノC1-6アルキルを表すか;またはR1dおよびR1eは、連結して、N、O、およびSから選択される0〜2環ヘテロ原子を有する融合された5〜6員環を形成することができる。一定の好ましい態様において、R1dは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ、およびアミノC1-3アルキルから選択される。その他の好ましい態様において、R1eは、水素である。
【0031】
式Iの文字Xは、OもしくはSを表すか、またはこれが結合される炭素原子と共にCH2である。好ましくは、Xは、Oであるか、またはこれが結合される炭素原子と共にCH2である。式Iの文字Yは、CHまたはN、好ましくはNを表す。
【0032】
文字Zは、以下の式を有する基であり:

式中、記号R2a、R2b、およびR2cは、それぞれ独立してH、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-6アルコキシおよび(C1-6アルキル)0-2アミノを表すか;または任意に、R2a、R2b、およびR2cの任意の2つは、これらの介在原子と一緒になり、O、N、S、S(O)、およびS(O)2から選択される0〜1個のさらなるヘテロ原子環メンバーを有する3員、4員、5員、6員、もしくは7員環を形成し、環は、独立してC1-6アルキル、ヒドロキシ、C1-6アルコキシ、CO2H、オキソ、および(C1-6アルキル)0-2アミノからなる群より選択される0〜2個の置換基でさらに置換されている。好ましい態様において、Zは、

から選択される。
【0033】
X、Y、Z、およびR1a〜R1eの一定の組み合わせが、好ましい態様として記載される。
【0034】
好ましい態様の第1の群においてXはOであり、かつZは、

から選択される。
【0035】
好ましい態様の第1の群の範囲内において、R1bおよびR1cは、好ましくはHもしくはC1-3アルキルであるか、またはそれぞれが結合している窒素原子と連結して、O、N、およびSから選択される0〜1個のさらなるヘテロ原子環メンバーを有する5員、6員、もしくは7員環であり、環は、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ホモピペリジン、ホモピペラジン、およびチオモルホリンからなる群より選択される。より詳細には、部分-N(R1b)(R1c)は、好ましくは

から選択される。
【0036】
なおさらなる好ましい態様において、R1aは、好ましくはH、F、Cl、およびBrから選択され;R1dは、好ましくは-F、-Cl、-Br、-OCH3、-OH、-CH3、-CF3、または-CH2NH2であり;およびYは、好ましくはNである。
【0037】
第1の群のその他の好ましい組み合わせにおいて、Zは、好ましくは

から選択され、部分-N(R1b)(R1c)は、好ましくは

から選択される。
【0038】
好ましい態様の第2の群において、Xおよびこれが結合される炭素原子は、CH2である。さらに好ましくは、Zが

から選択される態様であり、より好ましくは、Zは、

から選択される。
【0039】
なおさらなる好ましい態様において、部分-N(R1b)(R1c)、R1a、R1d、およびR1eは、好ましい態様の第1の群に関して、または上記の式Iに関して提供される好ましい群から選択される。
【0040】
下記の実施例に提供した化合物は、本発明の最も好ましい態様の一つである。
【0041】
合成法
スキーム1および2は、化合物viiiおよびxiiによって例示される、式Iの化合物の調製のための方法を図示する。当業者であれば、単に本発明者の種々の反応物種を置換して多くの関連した誘導体を調製するために、同様の経路を採用することができることを認識すると考えられる。たとえば、その他の最適に置換された2-アミノピリジンでの2-アミノ-5-クロロピリジンの置換により、R1dおよびR1eがアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルアミノなどの部分である式Iの化合物を形成する。さらに、その他の置換された4-シアノ塩化ベンゾイルでの4-シアノベンゾイルクロライドの置換により、R1aがハロゲン、アルキル、ハロアルキル、およびアルコキシ等である式Iの化合物を形成する。
【0042】
スキーム1に関して、POCl3の存在下での5-フルオロ-2-ニトロ安息香酸(i)と2-アミノ-5-クロロピリジンとの間のアミド形成により、iiを形成する。炭酸セシウムの存在下においてメチルチオグリコレートでiiを処理することにより、チオエーテル誘導体iiiを形成する。iiiに存在するニトロ基の還元は、塩化スズ(II)二水和物で効率的に達成して、アミンivを生成させることができ、これを4-シアノベンゾイルクロライドで処理した場合に、トリアリール足場vを形成する。vに存在するニトリルのN,N-ジメチルアミジンへの3段階の転換は、ピリジンの硫化水素、続いてヨウ化メチルのアセトン溶液、最後にジメチルアミンのメタノールおよび酢酸溶液を使用し行いviを形成することができる。メチルエステルviの酸viiへのけん化は、水酸化リチウム水溶液のメタノール溶液を使用して容易に達成される。カルボン酸viiのN,N-ジメチルアミド(化合物viiiとして示した)または一般的アミド(ixとして示した)のいずれかへの転換は、適切なアミンまたは環状アミン(たとえば、ピペリジン、モルホリンなど)および標準的カップリング条件を使用して順調に進行する。
【0043】
スキーム1

スキーム1に提供される方法のわずかな変異を使用して、環状アミジン(たとえば、x、xi、xii、およびxiii)は、スキーム2に概説したとおりに調製することができる。
【0044】
スキーム2

本発明のその他の化合物を調製するために、当業者は上記スキームを容易に適応することができるが、請求した化合物の調製のための、溶媒、試薬の量および比率、並びにその他の反応条件のより完全な議論については、下記の実施例に参照を提供してある。
【0045】
組成物
本発明のもう一つの局面において、式Iの化合物を単独で、または共に、薬学的に許容されるキャリアと併せた薬学的組成物が提供される。
【0046】
本発明の薬学的組成物は、溶液または懸濁液の形態であってもよい。血栓性障害の管理において、また、本発明の化合物または薬学的組成物は、たとえば、経口投与のための錠剤、カプセル、またはエリキシル、坐薬、無菌液もしくは懸濁液または注射用の投与等などの形態であるか、または造形品に組み込んでもよい。
【0047】
錠剤、およびカプセル等に組み込んでもよい典型的なアジュバントは、アカシアなどの結合剤、コーンスターチまたはゼラチン、および微結晶性セルロースなどの賦形剤、コーンスターチもしくはアルギン酸のような崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、ショ糖もしくは乳糖などの甘味料、または香料を含むが、これらに限定されるわけではない。剤形がカプセルである場合は、上記の物質に加えて、水、塩類溶液、または脂肪油などの液体キャリアを含んでもよい。種々のタイプのその他の物質をコーティングとして、または用量単位の物理的形態の修飾因子として使用してもよい。注射のための無菌組成物は、従来の薬務に従って製剤化することができる。たとえば、オレイン酸エチルのような油もしくは合成脂肪媒体などの媒体中の、またはリポソーム内の活性化合物の溶解もしくは懸濁液が望ましい場合がある。緩衝液、防腐剤、および抗酸化剤等は、承認された薬務に組み込むことができる。
【0048】
さらに、治療的な投与のために使用するための、式Iの化合物の用量製剤、または本発明の化合物を含む薬学的組成物は、無菌でなければならない。無菌は、0.2μm膜などの無菌膜を通して濾過することによって、またはその他の従来法によって容易に達成することができる。製剤は、典型的には固体形態で、好ましくは凍結乾燥された形態で貯蔵される。好ましい投与の経路は、経口的であるが、式Iの化合物の用量製剤、または本発明の薬学的組成物はまた、注射によって、静脈内に(大量瞬時投与および/または輸液)、皮下に、筋肉内に、結腸に、直腸に、鼻に、経皮的に、または腹腔内に投与してもよい。坐薬、移植されたペレットまたは小さなシリンダー、エアロゾル、軟膏などの経口投薬製剤および局所製剤、ドロップ、並びに皮膚用パッチを含む(しかし、これらに限定されるわけではない)、種々の用量形態を同様に使用してもよい。式Iの化合物、および本発明の薬学的組成物は、インプラントなどの(生分解性高分子または合成シリコーン、たとえばSILASTIC、シリコーンゴム、または市販のその他の重合体などの不活性材料を使用してもよい)形状および物品に組み込んでもよい。また、本発明の化合物および薬学的組成物は、小さな単層小胞、大きな単層小胞、および多層状小胞などのリポソーム送達系の形態で提供してもよい。リポソームは、当業者に周知の方法を使用した、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどの種々の脂質から形成することができる。
【0049】
治療/投与の方法
さらにもう一つの局面において、本発明は、哺乳類に対して式Iの化合物の治療上有効な量を、単独でもしくは上記の通りの本発明の薬学的組成物の一部として投与することによって哺乳類における血栓症の危険度を治療または減少させるための方法を提供する。本発明の式Iの化合物、および式Iの化合物を含む本発明の薬学的組成物は、単独で、もしくは心臓血管疾患、特に血栓症に関連したものの予防または治療のための多成分治療処方計画の一部として使用するために適している。たとえば、本発明の化合物または薬学的組成物は、任意の血栓症、特に以下を含むが、これらに限定されるわけではない血小板依存的血栓性適応症のための薬物または治療薬として使用してもよい:急性心筋梗塞、不安定狭心症、慢性安定狭心症、一過性虚血性発作、脳卒中、末梢血管疾患、子癇前症/子癇、深部静脈血栓症、塞栓症、播種性血管内血液凝固および血栓性血球減少紫斑病、侵襲的技法、たとえば血管形成術、頸動脈血管内膜切除術、CABG(冠状動脈バイパス移植片)手術後、血管移植手術、ステント設置、並びに血管内装置および義眼の挿入。
【0050】
また、本発明の化合物および薬学的組成物は、哺乳類の血栓症の予防または治療におけるその他の治療または診断薬と併せて多成分治療処方計画の一部として使用してもよい。一定の好ましい態様において、本発明の化合物または薬学的組成物は、血小板凝集阻害薬、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ヘパリン、アスピリン、またはワルファリンを含む抗血液凝固剤、血小板溶解薬、またはその他の抗血栓薬などの一般に認められた医事に従って、これらの症状について典型的に処方されるその他の化合物と共に同時投与してもよい。また、同時投与により、血小板溶解薬の服用量を減少した適用が可能になり、従って、潜在的出血性副作用を最小化し得る。本発明の化合物および薬学的組成物は、相乗的な様式で作用して、再閉塞を防止し、続いて良好な血栓溶解療法および/または再灌流の時間を減少し得る。
【0051】
本発明の化合物および薬学的組成物は、通常は、霊長類(たとえば、ヒト)、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ラット、およびマウスなどの哺乳類においてインビボで、またはインビトロで使用してもよい。本発明の化合物または薬学的組成物の、上記記載の通りの生物学的性質は、たとえば抗血栓有効性、並びに止血および血液学的なパラメーターに対する効果を評価するためのインビボでの研究によるなど、当技術分野において周知の方法によって容易に特徴づけることができる。
【0052】
本発明の化合物または薬学的組成物を使用する治療を必要とする被検者(典型的には、哺乳類)は、最適な有効性を提供すると考えられる用量を投与してもよい。服用量および投与の方法は、被検者間で変化し、治療される哺乳類のタイプ、その性、重量、食餌、併用薬物療法、全体的臨床状態、式Iの特定の化合物、使用した、化合物または薬学的組成物が使用される具体的用途、および医学分野の当業者が認識すると考えられるその他の因子などの因子に依存的である。
【0053】
治療的に有効な用量は、インビトロまたはインビボでのいずれの方法によって決定してもよい。本発明のそれぞれの特定の化合物または薬学的組成物のためには、必要とされる最適用量を決定するために、個々に決定を行ってもよい。治療的に有効な用量の範囲は、投与の経路、治療目的、および患者の症状による影響を受ける。皮下針による注射のためには、用量を体液内に送達することが想定され得る。その他の投与の経路のためには、吸収効率を、薬理学において周知の方法によって、それぞれの化合物について個々に決定しなければならない。従って、療法士が用量を滴定することが必要な場合があり、必要に応じて、最適な治療効果を得るために投与の経路を修飾してもよい。
【0054】
有効な用量レベルの決定、すなわち所望の結果、すなわち第Xa因子の阻害を達成するために必要な用量レベルは、当業者によって容易に決定されると考えられる。典型的には本発明の化合物または薬学的組成物の適用は、より低い用量レベルで開始して、所望の効果が達成されるまで、用量レベルを増大する。本発明の化合物および組成物は、一回または数回に分けた1日量の処方計画で、約0.01〜1000mg/kgの用量範囲内の有効量で経口投与してもよい。薬学的に許容されるキャリアを本発明の薬学的組成物に使用する場合、典型的には、約5〜500mgの式Iの化合物は、生理的に許容される媒体、キャリア、賦形剤、結合剤、保存剤、安定剤、色素、香味、その他を含む(しかし、これらに限定されるわけではない)承認された薬務によって必要とされる薬学的に許容されるキャリアと共に配合される。これらの組成物中の活性成分の量は、示した範囲における適切な用量が得られるような量である。
【0055】
以下の調製および実施例は、当業者がより明らかに理解すること、および本発明を実施することができるように示してある。これらは、本発明の範囲を限定するものではないが、単に例示であり、これらの典型を示すとみなされるべきである。
【0056】
実施例
実施例1
本実施例は、N-(5-クロロ-2-ピリジニル)-2-(4-N,N-ジメチルアミジノフェニルカルボニル)アミノ-5-酢酸ジメチルアミドスルファニル-フェニルカルボキサミドの調製を例示する

【0057】
工程1:
5-フルオロ-2-ニトロ安息香酸(10.0g、54mmol、1.0当量)、2-アミノ-5-クロロピリジン(9.02g、1.3当量)の80mLのピリジン溶液を亜リン酸オキシクロライド(25.3g,3.0当量)で30分間処理した。揮発性物質を蒸発させて、残渣をEtOAcに再溶解し、1N HCl、飽和NaHCO3水溶液、および飽和NaCl水溶液で洗浄した。有機層をNa2SO4を通して乾燥し、濾過して、蒸発させた。生成物をジエチルエーテルで粉砕して、N-(5-クロロ-2-ピリジニル)-(2-ニトロ)-5-フルオロフェニルカルボキサミド(11.5g、72%)を得た。MSにより、C12H7ClFN3O3(M+H)+:296、(M+2+H):298と分かった。
【0058】
工程2:
N-(5-クロロ-2-ピリジニル)-(2-ニトロ)-5-フルオロフェニルカルボキサミド(0.60g、2.03mmol、1.0当量)の10mLのDMF溶液をメチルチオグリコラート(0.24g、1.1当量)およびセシウムカルボナート(1.65g、2.5当量)で50℃にて30分間処理した。反応を40mLの水に添加した。次いで、生成物をEtOAcに抽出し、1N HClおよび飽和NaCl水溶液で洗浄した。有機層をNa2SO4を通して乾燥し、濾過して、蒸発させて、N-(5-クロロ-2-ピリジニル)-(2-ニトロ)-5-酢酸メチルエステルスルファニル-フェニルカルボキサミドを得た(0.65g、84%)。MSにより、C15H12ClN3O5S1 (M+H)+:382、(M+2+H):384と分かった。
【0059】
工程3:
N-(5-クロロ-2-ピリジニル)-(2-ニトロ)-5-酢酸メチルエステルスルファニル-フェニルカルボキサミド(0.62g、1.63 mmol、1.0当量)の10mLの酢酸エチル溶液をスズ(II)クロライド-二水和物(1.83g、5.0当量)で30分間還流にて処理した。溶液を室温に冷却して、40mLの飽和炭酸ナトリウム水溶液/飽和硫酸ナトリウム水溶液の1:1混合物を添加した。生じる沈殿物を分離して濾過した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、Na2SO4を通して乾燥し、濾過して、蒸発させて、(2-アミノ-5-酢酸メチルエステルスルファニル-フェニル)-N-(5-クロロ(2-ピリジル))カルボキサミドを得た(0.51g、90%)。MSにより、C15H14ClN3O3S1(M+H)+:352、(M+2+H):354と分かった。
【0060】
工程4:
(2-アミノ-5-酢酸メチルエステルスルファニル-フェニル)-N-(5-クロロ(2-ピリジル))カルボキサミド(0.50g、1.42mmol、1.0当量)の10mLのテトラヒドロフラン無水物溶液に、4-シアノベンゾイルクロライド(0.28g、1.2当量)を室温で添加した。30分後に、生じる沈殿(precipitous)スラリーを10mLのヘキサンで希釈し、濾過して、N-(5-クロロ(2-ピリジル)){5-酢酸メチルエステルスファニル-2-[(4-シアノフェニル)カルボニルアミノ]フェニル}カルボキサミドを得た(0.52g、75%)。MSにより、C21H15ClN4O2S1(M+H)+:481、(M+2+H)+:483と分かった。
【0061】
工程5:
N-(5-クロロ(2-ピリジル)){5-酢酸メチルエステルスルファニル-2-[(4-シアノフェニル)カルボニルアミノ]フェニル}カルボキサミド(500mg、1.04mmol、1.0当量)の12mLの5:1ピリジン/トリエチルアミンの懸濁液を室温で攪拌し、一方で混合物中に硫化水素を10分間にわたって泡立たせた。3時間後、揮発性物質を蒸発させて、固体を4mLのアセトンに再懸濁した。この混合物をヨードメタン(0.12mL、8.0当量)に添加した。懸濁液を1.5時間還流して、揮発性物質を蒸発させて、N-(5-クロロ(2-ピリジル)){5-酢酸メチルエステルスルファニル-2-[(4-(イミノメチルチオメチル)フェニル)カルボニルアミノ]フェニル}カルボキサミドを得た。粗製物質を直ちに次に進めた。
【0062】
工程6:
N-(5-クロロ(2-ピリジル)){5-酢酸メチルエステルスルファニル-2-[(4-(イミノメチルチオメチル)フェニル)カルボニルアミノ]フェニル}カルボキサミド(前の工程に基づく;0. 52mmol、1.0当量)の6mLのメタノールの懸濁液に、氷酢酸(0.37mL、12.0当量)およびジメチルアミン(2NのTHF溶液)(1.56mL、6.0当量)の4mLのメタノール溶液を添加した。反応を還流にて40分間撹拌し、次いで揮発性物質を蒸発させた。粗製混合物を0.1% TFAのH2O/CH3CN溶液で溶出するHPLC(C18逆相)によって精製し、N-(5-クロロ-2-ピリジニル)-2-(4-N,N-ジメチルアミジノフェニルカルボニル)アミノ-5-酢酸メチルエステルスルファニル-フェニルカルボキサミド(140 mg、51%)を得た。MSにより、C23H22Cl1N5O2S1(M+H)+:526、(M+2+H)+:528と分かった。
【0063】
工程7:
N-(5-クロロ-2-ピリジニル)-2-(4-N,N-ジメチルアミジノフェニルカルボニル)アミノ-5-酢酸メチルエステルスルファニル-フェニルカルボキサミド(95mg、0.181 mmol、1.0当量)の5mLの水およびメタノールの1:1混合物溶液を水酸化リチウム-一水和物(19mg、2.5当量)で室温にて30分間処理した。揮発性物質を蒸発させた。水溶液を1N HClで処理して、生じる沈殿物を濾過し、乾燥し、収集して、N-(5-クロロ-2-ピリジニル)-2-(4-N,N-ジメチルアミジノフェニルカルボニル)アミノ-5-酢酸スルファニル-フェニルカルボキサミドを得た(55mg、59%)。MSにより、C24H22ClN5O4S1(M+H)+:512、(M+2+H):514と分かった。
【0064】
工程8:
N-(5-クロロ-2-ピリジニル)-2-(4-N,N ジメチルアミジノフェニルカルボニル)アミノ-5-酢酸スルファニル-フェニルカルボキサミド(40mg、0.078 mmol、1.0当量)の5mL アセトニトリルおよび1mL DMFの懸濁液をEDC(45mg、3.0当量)、HOAT(16mg、1.5当量)、ジメチルアミン-HCl(32mg、5.0当量)、およびN-メチルモルホリン(79mg、10当量)で60℃において2時間処理した。揮発性物質を蒸発させて、粗製混合物を0.1% TFAのH2O/CH3CN溶液で溶出するHPLC(C18逆相)によって精製し、N-(5-クロロ-2-ピリジニル)-2-(4-N,N-ジメチルアミジノフェニルカルボニル)アミノ-5-酢酸ジメチルアミドスルファニル-フェニルカルボキサミドを得た(20mg、47%)。MSにより、C26H27ClN6O3S1(M+H)+:539、(M+2+H):541と分かった。
【0065】
実施例2〜9
以下の化合物は、上に記載した全手順に従って調製した。

【0066】
実施例10
本実施例は、本発明の代表的な化合物についての生物活性を提供する。化合物を、これらが第Xa因子を阻害する、並びにhERGを阻害する能力について評価した。下記の表において、活性は、以下の通りに表してあり;(Ki、第Xa因子について)、+++は、10nM未満の値を示し;(Ki、hERGについて)、活性は、>10μMまたは<10μMとして示してある。
【0067】
(表1)実施例1〜9についての第Xa因子KiおよびhERG Kiデータ

【0068】
上記表1の実施例は、本化合物が第Xa因子の強力な阻害剤であるが、比較的弱いhERG結合を有することを示す。hERG結合アッセイ法では、試験した化合物のほぼ全てが、1.0μMよりも高いKiを提供し、多くが10μMよりも高かった。この望ましい選択性は、関連した化学構造を有するその他の第Xa因子阻害剤の選択性以上の改善である。式Iの化合物の中間の環に結合された-SCH2C(=X)N(R1b)(R1e)部分は、選択性を改善するための重要な特徴であることが判明した。-SCH2C(=X)N(R1b)(R1c)部分を欠いた試験した大部分の第Xa因子化合物は、1.0μM以下のhERG結合を与えた。本化合物については、Ki(hERG)/Ki(第Xa因子)の比は、約4000〜約80,000超える値までの範囲である。好ましくは、比は、約10,000を超える値である。
【0069】
上記のアッセイ法は、下記のとおりに行った。
【0070】
第Xa因子阻害剤のアッセイ法のためのプロトコル
IC50およびKi決定:
基質
基質S-2765(Z-D-Arg-Gly-Arg-pNA HCl)は、Diapharma(West Chester, OH)から得た。
【0071】
酵素
ヒト血漿タンパク質第Xa因子は、Haematologic Technologies(Essex Junction, VT)から購入した。
【0072】
方法
IC50決定
全てのアッセイ法は、96ウェルマイクロタイタープレートで行い、酵素(第Xa因子)のタンパク質分解活性、続いてパラニトロアニリド基質の切断を測定する。タンパク質分解アッセイ法のために使用されるアッセイ緩衝液は、Tris緩衝食塩水(20mM Tris、150mM NaCl、5mM CaCl2、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)、5%ジメチルスルホキシド(DMSO)pH 7.4)であった。96ウェルマイクロタイタープレートにおいて、阻害剤を段階希釈して、0.01nM〜10μM(最終)の濃度範囲を得た。2つのウェルセットをアッセイし、阻害剤のない対照ウェルも含めた。酵素をそれぞれのウェルに添加し(fXa濃度=1nM)、プレートを5秒間振盪し、次いで室温で5分間インキュベートした。S2765を添加し(100μM最終)、プレートを5秒間振盪した(それぞれのウェルの最終液体体積は、200μl)。基質加水分解の程度をThermomaxプレートリーダー(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)で405nmにて2分間測定した。Softmaxデータ分析ソフトウェアを使用して、初速度(mOD/分)を阻害剤濃度のそれぞれの範囲について、4パラメーター方程式にあてはめた。生じる曲線フィットに由来するパラメーターCは、半分最大阻害(IC50)の濃度に対応する。
【0073】
Ki決定
この一連のアッセイ法のためのアッセイ緩衝液は、Hepes緩衝食塩水(20mM Hepes、150mM NaCl、5mM CaCl2、0.1% PEG-8000(pH 7.4))であった。96ウェルマイクロタイタープレートにおいて、阻害剤をウェルの2セットに段階希釈し、5pM〜3μM最終濃度範囲を得た。阻害剤のない対照も含めた(8ウェル)。酵素fXa(1nM最終)をウェルに添加した。基質S-2765(200μM最終)を添加し、基質加水分解の程度をSoftmaxソフトウェアを使用してThermomaxプレートリーダーで405nmにて5分間測定した。初速度(mOD/分)は、Plate Kiソフトウェア(BioKin Ltd, Pullman, WA)(文献参照: Kusmic P et al.、「High-throughput screening of enzyme inhibitors: Automatic determination of tight-binding inhibition constants」 Anal. Biochemistry 2000、281:62-67)での非線形最小二乗法回帰によって解析した。阻害剤用量反応曲線をフィットするために使用したモデルは、モリソン方程式であった。見かけ上のKi(Ki*)を決定した。全体のKiは、以下の方程式を使用して算出した。

式中、[S]は、基質濃度(200μM)であり、Kmは、S2765に関するミカエリス定数である。
【0074】
hERG(ヒト・エーテル-ア-ゴー-ゴー関連遺伝子タンパク質)膜結合アッセイ法
hERG cDNAを安定にトランスフェクトしたヒト胚腎臓(HEK293)細胞を膜の調製のために使用した(文献参照:Zhou, Z. et al.、「Properties of HERG stably expressed in HEK293 cells studied at physiological temperature.」 Biophys. J、1998、74:230-241)。アッセイ緩衝液は、50mM Tris、10mM KCl、1mM MgCl2、pH 7.4で構成された。hERG結合に関する競争アッセイ法は、96ウェルのプレートにおいて、50μL 3H-ドフェチリドで、3.5nMの濃度にて(0.01%エタノールの終濃度)で行った。試験化合物は、100μM、33.33μM、11.11μM、3.70μM、1.23μM、0.41μM、0.14μM、0.046μM、0.015μM、および0.005μM(1.0% DMSO)の終濃度で添加した。それぞれの化合物を、それぞれ2枚のプレートで2通りで行った。総結合は、化合物の代わりに50μLのアッセイ緩衝液を添加することによって決定した。非特異的結合は、試験化合物の代わりに50μLの50μMテルフェナジンを添加することによって決定した。全てのアッセイ法は、ウェル(総容積= 1ウェルにつき250μL)に150μLの膜ホモジネート(終濃度として15μgタンパク質/ウェル)を添加することによって開始し、プレートを振盪プラットフォーム上で室温にて80分間インキュベートした。全てのアッセイ法は、グラスファイバーフィルターに対して減圧濾過し、続いて冷却アッセイ緩衝液で2回洗浄することによって終了させた。濾板を55℃において90分間乾燥させて、その後、Microscint 0(50μL)を乾燥濾板のそれぞれのウェルに添加した。プレートを1分プロトコルを使用して、Packard Topcount(Perkin Elmer, Boston, MA)で計数した。Packard Topcountによって作製されたシンチレーション読み込み(カウント毎分、CPM)データを使用し、それぞれの濃度のそれぞれの化合物について、非特異的結合に対して補正した総結合対照を使用して3H-ドフェチリド結合のパーセント阻害を算出した。IC50値は、Excel XL Fitソフトウェア(マイクロソフト)を使用して作製したパーセント阻害曲線から算出した。平衡解離定数(Ki)は、ChengおよびPrusoffの方程式を使用して算出した。
Ki= IC50/[1+([L]/KD)。
【0075】
(文献参照:Cheng Y、Prusoff WH.、「Relationship between the inhibition constant (Ki) and the concentration of inhibitor which causes 50 per cent inhibition (I50) of an enzymatic reaction」、Biochem Pharmacol.、1973、22 (23)、3099-108。)
【0076】
以下の化合物は、前述した手順に従って調製することができる。
【0077】

【0078】
前述の考察、態様、および実施例は、単にある一定の好ましい態様の詳細な説明を提示するだけであることが理解されるはずである。本発明の精神と範囲から逸脱することなく種々の修飾および等価物を行うことができることが当業者には明らかであると思われる。上記で考察または引用した全ての特許、論文、およびその他の文書は、参照として本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式を有する化合物またはその薬学的に許容される塩:

式中、
R1aが、H、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、(C1-6アルキル)0-2アミノ、およびC1-6アルキルカルボニルからなる群より選択されるメンバーであり;
R1bおよびR1cが、独立してHおよびC1-6アルキルからなる群より選択されるそれぞれのメンバーであるか、または任意に、R1bおよびR1cが、それぞれが結合している窒素原子と連結して、0〜1個のさらなるヘテロ原子環メンバーを有する5員、6員、もしくは7員の単環式環か、または0〜2個のさらなるヘテロ原子環メンバーを有する8員、9員、10員、もしくは11員の二環式環を形成し、該ヘテロ原子環メンバーが、O、N、S、S(O)、およびS(O)2から選択され、該環が、独立してC1-6アルキル、(C1-6アルキル)0-2アミノ、オキソ、およびアミン保護基からなる群より選択される0〜2個の置換基でさらに置換されており;
R1dおよびR1eが、それぞれ独立してH、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、(C1-6アルキル)0-2アミノ、およびアミノC1-6アルキルからなる群より選択されるメンバーであるか;または、R1dおよびR1eが、連結して、N、O、およびSから選択される0〜2環ヘテロ原子を有する融合された5〜6員環を形成し;
Xが、O、S、またはこれが結合される炭素原子と共にCH2であり;
Yが、CHまたはNであり;並びに、
Zが、以下の式を有する基であり:

式中、
R2a、R2b、およびR2cが、それぞれ独立してH、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、C1-6アルコキシおよび(C1-6アルキル)0-2アミノからなる群より選択されるメンバーであるか;または任意に、R2a、R2b、およびR2cの任意の2つが、これらの介在原子と一緒になり、O、N、S、S(O)、およびS(O)2から選択される0〜1個のさらなるヘテロ原子環メンバーを有する3員、4員、5員、6員、もしくは7員環を形成し、該環が、独立してC1-6アルキル、ヒドロキシ、C1-6アルコキシ、CO2H、オキソ、および(C1-6アルキル)0-2アミノからなる群より選択される0〜2個の置換基でさらに置換されている。
【請求項2】
XがOである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
YがNである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R1aがHまたはハロゲンである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
R1bおよびR1cがそれぞれ独立してHおよびC1-4アルキルからなる群より選択されるメンバーである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
R1dがハロゲン、ヒドロキシ、C1-3アルキル、C1-3ハロアルキル、C1-3アルコキシ、およびアミノC1-3アルキルからなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
XがOであり;およびZが

からなる群より選択されるメンバーである、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
部分-N(R1b)(R1c)が

からなる群より選択されるメンバーである、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
Zが

からなる群より選択されるメンバーである、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
R1aがH、F、Cl、およびBrからなる群より選択される、請求項7記載の化合物。
【請求項11】
YがNであり;R1aがH、F、Cl、およびBrからなる群より選択され;並びにR1dが-F、-Cl,-Br,-OCH3、-OH、-CH3、-CF3、および-CH2NH2からなる群より選択される、請求項7記載の化合物。
【請求項12】
R1bおよびR1cが、それぞれ独立してHおよびC1-3アルキルからなる群より選択される、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
R1bおよびR1cが、それぞれが結合している窒素原子と連結して、O、N、およびSから選択される0〜1個のさらなるヘテロ原子環メンバーを有する5員、6員、もしくは7員環を形成し、該環が、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ホモピペリジン、ホモピペラジン、およびチオモルホリンからなる群より選択される、請求項11記載の化合物。
【請求項14】
Xおよびこれが結合される炭素原子がCH2である、請求項1記載の化合物。
【請求項15】
Zが、

からなる群より選択されるメンバーである、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
部分-N(R1b)(R1c)が

からなる群より選択されるメンバーである、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
Zが

からなる群より選択されるメンバーである、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
R1aがH、F、ClおよびBrからなる群より選択される、請求項15記載の化合物。
【請求項19】
YがNであり;R1aがH、F、ClおよびBrからなる群より選択され;並びにR1dが-F、-Cl、-Br、-OCH3、-OH、-CH3、-CF3および-CH2NH2からなる群より選択される、請求項15記載の化合物。
【請求項20】
R1bおよびR1cが、それぞれ独立してHおよびC1-3アルキルからなる群より選択される、請求項19記載の化合物。
【請求項21】
R1bおよびR1cが、それぞれが結合している窒素原子と連結して、O、N、およびSから選択される0〜1個のさらなるヘテロ原子環メンバーを有する5員、6員、もしくは7員環を形成し、該環が、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ホモピペリジン、ホモピペラジン、およびチオモルホリンからなる群より選択される、請求項19記載の化合物。
【請求項22】

からなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項23】

からなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項24】
薬学的に許容される賦形剤と請求項1〜23のいずれか一項記載の化合物とを含む組成物。
【請求項25】
哺乳類に対して請求項1記載の化合物の治療上有効な量を投与する工程を含む、哺乳類における症状を治療するか、またはそのリスクを減少させる方法であって、該症状が、望まれない血栓症によって特徴づけられる方法。
【請求項26】
症状が、急性冠動脈症候群、心筋梗塞、不安定狭心症、不応性口峡炎、血栓溶解療法後または冠動脈再建術後に生じる閉塞性冠状動脈血栓、血栓性に媒介される脳血管症候群、塞栓性脳卒中、血栓性脳卒中、一過性虚血性発作、静脈血栓症、深部静脈血栓症、肺塞栓、凝固障害、播種性血管内血液凝固、血栓性血小板減少性紫斑病、閉塞性血栓性血管炎、ヘパリンで誘導される血小板減少症と関連した血栓性疾患、体外循環と関連した血栓性合併症、心臓もしくはその他の血管内カテーテル法、大動脈内バルーンポンプ、冠動脈ステント、または心臓弁などの器具使用と関連した血栓性合併症、および補綴装置のフィッティングを必要とする症状からなる群より選択される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
請求項1記載の化合物と生体試料を接触させる工程を含む、該試料の凝固を阻害するための方法。
【請求項28】
化合物が経口的にまたは静脈内に投与される、請求項25記載の方法。
【請求項29】
化合物がステントと併せて投与される、請求項25記載の方法。
【請求項30】
化合物が第2の治療薬と併せて投与される、請求項25記載の方法。

【公表番号】特表2007−508308(P2007−508308A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534291(P2006−534291)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/032924
【国際公開番号】WO2005/034867
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(399052800)ミレニアム ファーマシューティカルズ インク. (4)
【Fターム(参考)】