説明

算出装置、撮像装置、算出方法、方法、及びプログラム

【課題】偏光イメージングの精度を向上させる算出装置、撮像装置、算出方法、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】偏光状態が異なる光をそれぞれ透過する複数の偏光フィルタをそれぞれ含む複数の偏光フィルタユニットを有する偏光パタニング素子と、前記偏光パタニング素子の前記複数の偏光フィルタを透過した光をそれぞれ受光する複数の画素を有する撮像素子とが重ね合わされた受光部に、所定の偏光状態の光を照射する照射工程と、前記所定の偏光状態の光が照射された場合の前記撮像素子の画素の画素値から、前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレ量を示すズレ量情報を算出するズレ量算出工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、算出装置、撮像装置、算出方法、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、受光素子アレイと、異なる偏光方向の光を透過する偏光子領域を有する偏光素子アレイとを重ね合わせた受光モジュールで被写体を撮像する技術が知られている。
【特許文献1】特開2007−086720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1によれば、それぞれの画素と、それぞれの該画素に割り当てる偏光子とが一致するように、受光素子アレイと偏光素子アレイとを重ね合わせることは難しく、重ね合わせに誤差がある場合は、偏光イメージングの精度が落ちてしまう。また、近年、画素数の増大により、受光素子アレイと偏光素子アレイの重ね合わせの誤差が生じる可能性は大きい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、算出方法であって、偏光状態が異なる光をそれぞれ透過する複数の偏光フィルタをそれぞれ含む複数の偏光フィルタユニットを有する偏光パタニング素子と、前記偏光パタニング素子の前記複数の偏光フィルタを透過した光をそれぞれ受光する複数の画素を有する撮像素子とが重ね合わされた受光部に、所定の偏光状態の光を照射する照射工程と、前記所定の偏光状態の光が照射された場合の前記撮像素子の画素の画素値から、前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレ量を示すズレ量情報を算出するズレ量算出工程とを備える。
【0005】
前記撮像素子の画素の画素値から前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレがない場合の画素値を計算するための補正情報を、前記ズレ量情報を用いて算出する補正情報算出工程をさらに備えてよい。
【0006】
前記補正情報を用いて、前記撮像素子の画素の画素値から前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレがない場合の画素値を計算する画素値計算工程をさらに備えてよい。
【0007】
前記画素値計算工程は、前記補正情報を用いて、偏光状態がそれぞれ異なる偏光フィルタを透過した光をそれぞれ受光する前記複数の画素の画素値から、該複数の画素の画素値をそれぞれ計算してよい。
【0008】
前記補正情報算出工程は、
前記ズレ量情報から、それぞれの前記画素に入射する異なる偏光状態の光の面積を算出する面積算出工程を含んでよく、算出された前記面積を用いて、前記補正情報を算出してもよい。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第2の態様においては、算出装置であって、偏光状態が異なる光をそれぞれ透過する複数の偏光フィルタをそれぞれ含む複数の偏光フィルタユニットを有する偏光パタニング素子と、前記偏光パタニング素子の前記複数の偏光フィルタを透過した光をそれぞれ受光する複数の画素を有する撮像素子とが重ね合わされた受光部に、所定の偏光状態の光を照射する照射部と、前記所定の偏光状態の光が照射された場合の前記撮像素子の画素の画素値から、前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレ量を示すズレ量情報を算出するズレ量算出部とを備える。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第3の態様においては、プログラムであって、コンピュータを、偏光状態が異なる光をそれぞれ透過する複数の偏光フィルタをそれぞれ含む複数の偏光フィルタユニットを有する偏光パタニング素子と、前記偏光パタニング素子の前記複数の偏光フィルタを透過した光をそれぞれ受光する複数の画素を有する撮像素子とが重ね合わされた受光部に、所定の偏光状態の光を照射する照射部と、前記所定の偏光状態の光が照射された場合の前記撮像素子の画素の画素値から、前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレ量を示すズレ量情報を算出するズレ量算出部として機能させる。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第4の態様においては、撮像装置であって、偏光状態が異なる光をそれぞれ透過する複数の偏光フィルタをそれぞれ含む複数の偏光フィルタユニットを有する偏光パタニング素子と、前記偏光パタニング素子の前記複数の偏光フィルタを透過した光をそれぞれ受光する複数の画素を有する撮像素子と、前記撮像素子の画素値から、前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレがない場合の画素値を計算するための補正情報を記録する記録部と、前記記録部に記録された補正情報を用いて、前記撮像素子の画素の画素値から前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレがない場合の画素値を計算する画素値計算部とを備える。
【0012】
前記偏光パタニング素子に所定の偏光状態の光を照射された場合の前記撮像素子の画素の画素値から、前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレ量情報を算出するズレ量算出部と、前記ズレ量情報を用いて、前記補正情報を算出する補正情報算出部とを備えてよく、前記補正情報算出部が算出した前記補正情報を記録してよい。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第5の態様においては、プログラムであって、偏光状態が異なる光をそれぞれ透過する複数の偏光フィルタをそれぞれ含む複数の偏光フィルタユニットを有する偏光パタニング素子と、前記偏光パタニング素子の前記複数の偏光フィルタを透過した光をそれぞれ受光する複数の画素を有する撮像素子とを備えたコンピュータを、前記撮像素子の画素値から、前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレがない場合の画素値を計算するための補正情報を記録する記録部と、前記記録部に記録された補正情報を用いて、前記撮像素子の画素の画素値から前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレがない場合の画素値を計算する画素値計算部として機能させる。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の第6の態様においては、偏光状態が異なる光をそれぞれ透過する複数の偏光フィルタをそれぞれ含む複数の偏光フィルタユニットを有する偏光パタニング素子と、前記偏光パタニング素子の前記複数の偏光フィルタを透過した光をそれぞれ受光する複数の画素を有する撮像素子とを備えたコンピュータが画素値を計算する方法であって、前記撮像素子の画素値から、前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレがない場合の画素値を計算するための補正情報を記録する記録工程と、前記記録工程に記録された補正情報を用いて、前記撮像素子の画素の画素値から前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレがない場合の画素値を計算する画素値計算工程とを備える。
【0015】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
図1は、第1の実施の形態の算出システムを示す。算出システムは、算出装置100と、撮像装置200とを有する。算出装置100は、照射部101、照射制御部102、画像取得部103、ズレ量算出部104、補正情報算出部105、及び画素値計算部106を備える。撮像装置200は、受光部201と画像格納部202を備える。
【0018】
照射部101は、光源と偏光フィルタ部とを有する。照射部101は、撮像装置200の受光部201に所定の偏光状態の光を照射する。偏光フィルタ部は、1つの偏光状態の光を透過する偏光フィルタを1つ有してもよい。また、偏光フィルタ部は、複数の偏光状態の光をそれぞれ透過する複数の偏光フィルタを有してもよい。偏光フィルタ部は、例えば、縦方向の直線偏光の光を透過する偏光フィルタ、横方向の直線偏光の光を透過する偏光フィルタ、斜め右方向の直線偏光の光を透過する偏光フィルタ、及び斜め左方向の直線偏光の光を透過する偏光フィルタを有してもよい。また、偏光フィルタ部は、複数の偏光フィルタを有する場合は、回転可能な構造を有しており、複数の偏光フィルタが同一円周上に配設される。そして、この偏光フィルタ部を回転させることにより光源からの光の光路上に何れかの偏光フィルタをセットすることができる。また、偏光フィルタ部は、1つの偏光状態の光を透過する偏光フィルタと波長板を有してよい。この波長板は回転可能な構造を有しており、波長板を回転させることにより、偏光フィルタを透過した光源の光の偏光状態が波長板を介して変わる。
【0019】
照射制御部102は、照射部101を制御する。照射部101の偏光フィルタ部が複数の偏光フィルタを有する場合は、照射制御部102は、偏光フィルタ部を回転させることにより、何れかの偏光状態の偏光フィルタを光源の光路上にセットする。これにより、光路上にセットされた偏光フィルタの偏光状態の光を照射することができる。また、照射部101の偏光フィルタ部が1つの偏光状態の光を透過する偏光フィルタと波長板とを有する場合は、照射制御部102は、波長板を回転させることにより、偏光フィルタを透過した光の偏光状態を変えるようにしてもよい。照射制御部102は、照射部101が照射する光の偏光状態を示す情報をズレ量算出部104に出力する。照射制御部102は、情報処理装置によって実現してもよく、電子回路によって実現してもよい。
【0020】
受光部201は、偏光パタニング素子203と撮像素子204を少なくとも備える。偏光パタニング素子203は、偏光状態が異なる光をそれぞれ透過する複数の偏光フィルタをそれぞれ含む複数の偏光フィルタユニットを有する。撮像素子204は、照射部101から照射された所定の偏光状態の光のうち、偏光パタニング素子203を透過した光を撮像する。画像格納部202は、撮像素子が撮像した画像データを格納する。撮像装置200は、撮像素子204を駆動させる撮像素子駆動ドライバ、AD変換器等も含んでもよい。つまり、撮像素子204が撮像した画像データを撮像素子駆動ドライバが読み出して、AD変換器によってデジタル信号に変換してもよい。この変換されたデジタル信号の画像データを、画像格納部202が格納してもよい。また、撮像装置200は、撮像素子204が撮像した画像データに対して画像処理を施す画像処理部を備えてよく、該画像処理部が画像処理を施した画像データを、画像格納部202が格納してもよい。撮像素子駆動ドライバ、AD変換器、CPU等の情報処理装置によって制御される。また、画像処理部は情報処理装置によって実現してもよい。
【0021】
画像取得部103は、照射部101から所定の偏光状態の光が照射された場合の撮像装置200の撮像素子204が撮像した画像データを取得する。つまり、画像取得部103は、画像格納部202が格納した画像データを取得する。画像取得部103は、取得した画像データをズレ量算出部104又は画素値計算部106に出力する。また、画像取得部103は、それぞれ偏光状態が異なる光をそれぞれ受光した画素の画素値を照射制御部102に出力してよい。
【0022】
ズレ量算出部104は、所定の偏光状態の光が照射された場合の撮像素子204の画素の画素値から、偏光パタニング素子203と撮像素子204との重ね合わせのズレ量を示すズレ量情報を算出する。つまり、画像取得部103が取得した画像データの画素値から偏光パタニング素子203と撮像素子204との重ね合わせのズレ量を示すズレ量情報を算出する。また、この所定の偏光状態は、照射制御部102から送られてきた偏光状態の情報に基づいて定まる。ズレ量算出部104は、算出したズレ量を補正情報算出部105に出力する。ズレ量算出部104は、CPU等の情報処理装置によって実現してもよく、電子回路によって実現してもよい。
【0023】
補正情報算出部105は、撮像素子204の画素の画素値から偏光パタニング素子203と撮像素子204との重ね合わせのずれがない場合の画素値を計算するための補正情報を、ズレ量算出部104が算出したズレ量情報を用いて算出する。つまり、画像取得部103が取得した画像データの画素値から偏光パタニング素子203と撮像素子204との重ね合わせのずれがない場合の画素値を計算するための補正情報を、ズレ量算出部104が算出したズレ量情報を用いて算出する。偏光パタニング素子203と撮像素子204の重ね合わせにズレが生じると、入射するはずの偏光状態以外の光も画素に入射するので、実際の画素の画素値から重ね合わせのズレがない場合の画素の画素値を算出するための補正情報を算出する。補正情報算出部105は、情報処理装置によって実現してもよく、電子回路によって実現してもよい。
【0024】
画素値計算部106は、補正情報を用いて、撮像素子の画素の画素値から偏光パタニング素子203と撮像素子204との重ね合わせのズレがない場合の画素値を計算する。つまり、画像取得部103が取得した画像データの画素値から、重ね合わせのズレがない場合の画素値を計算する。また、画素値計算部106は、補正情報を用いて、撮像素子204のそれぞれの画素の画素値から重ね合わせのズレがない場合のそれぞれの画素値を計算してもよい。また、画素値計算部106は、補正情報を用いて、偏光状態がそれぞれ異なる偏光フィルタを透過した光をそれぞれ受光する複数の画素の画素値から、該複数の画素の画素値をそれぞれ計算してよい。画素値計算部106は、情報処理装置によって実現してもよく、電子回路によって実現してもよい。
【0025】
図2は、偏光パタニング素子203と撮像素子204の画素の重ね合わせのズレ量を示す。偏光パタニング素子203は、異なる偏光状態の光をそれぞれ透過する複数の偏光フィルタを有する。図2では、偏光パタニング素子203は、A方向の直線偏光の光を透過する第1偏光フィルタ251、B方向の直線偏光の光を透過する第2偏光フィルタ252、C方向の直線偏光の光を透過する第3偏光フィルタ253、及びD方向の直線偏光の光を透過する第4偏光フィルタ254をそれぞれ複数有する。また、偏光パタニング素子203は、偏光状態が異なる光をそれぞれ透過する複数の偏光フィルタをそれぞれ含む偏光フィルタユニットを複数有する。図2では、この第1偏光フィルタ251、第2偏光フィルタ252、第3偏光フィルタ253、及び第4偏光フィルタ254を1つの偏光フィルタユニット250とする。
【0026】
また、重ね合わせにズレがなければ、撮像素子204の画素は、対応する偏光フィルタを透過した光のみを受光するが、偏光パタニング素子203と撮像素子204との重ね合わせにズレがある場合は、図2を見るとわかるように、撮像素子204の画素261は、第1偏光フィルタ251を透過した光、第2偏光フィルタ252を透過した光、第3偏光フィルタ253を透過した光、及び第4偏光フィルタ254とを透過した光をそれぞれ受光してしまう。例えば、画素261が第1偏光フィルタ251を透過した光のみを受光する場合を、重ね合わせのズレがない場合とすると、図2では、偏光パタニング素子203は撮像素子204に対して左方向にxずれ、上方向にyだけずれている。このx及びyがズレ量となる。ここで、画素261が、第1偏光フィルタ251を透過した光を受光する面積をαとする。また、画素261が、第2偏光フィルタ252を透過した光を受光する面積をβとする。また、画素261が、第3偏光フィルタ253を透過した光を受光する面積をγとする。また、画素261が、第4偏光フィルタ254を透過した光を受光する面積をδとする。この面積α、面積β、面積γ、及び面積δは、以下の関係式で表すことができる。
【0027】
【数1】

【0028】
図3は、図2で示したズレ量で、偏光パタニング素子203と撮像素子204とが重ね合わせられたときの、それぞれの偏光フィルタとそれぞれの画素の様子を示す。画素262、画素263、及び画素264は、重ね合わせのズレがない場合は第2偏光フィルタ252、第3偏光フィルタ253、及び第4偏光フィルタ254を透過した光のみをそれぞれ受光するが、ズレがあるので、第2偏光フィルタ252〜第4偏光フィルタ254も、第1偏光フィルタ251〜第4偏光フィルタ254の光を透過した光を全て受光してしまう。なお、画素261については、図2で説明した通りである。
【0029】
図3を見ると、画素262では、第1偏光フィルタ251を透過した光の受光面積がβとなり、第2偏光フィルタ252を透過した光の受光面積がαとなり、第3偏光フィルタを透過した光の受光面積がδとなり、第4偏光フィルタを透過した光の受光面積がγとなる。また、画素263では、第1偏光フィルタ251を透過した光の受光面積がγとなり、第2偏光フィルタ252を透過した光の受光面積がδとなり、第3偏光フィルタを透過した光の受光面積がαとなり、第4偏光フィルタを透過した光の受光面積がβとなる。また、画素264では、第1偏光フィルタ251を透過した光の受光面積がδとなり、第2偏光フィルタ252を透過した光の受光面積がγとなり、第3偏光フィルタを透過した光の受光面積がβとなり、第4偏光フィルタを透過した光の受光面積がαとなる。
【0030】
ここで、偏光パタニング素子203と撮像素子204とのズレがない場合に、A方向の直線偏光の光、つまり、第1偏光フィルタ251を透過した光が画素261に入射したときの画素値をIA、B方向の直線偏光の光、つまり、第2偏光フィルタ252を透過した光が画素262に入射したときの画素値をIBとする。同様に、偏光パタニング素子203と撮像素子204とのズレがない場合に、C方向の直線偏光の光、つまり、第3偏光フィルタ253を透過した光が画素263に入射したときの画素値をIC、D方向の直線偏光の光、つまり、第4偏光フィルタ254を透過した光が画素264に入射したときの画素値をIDとする。この画素値IA、画素値IB、画素値IC、及び画素値IDが最終的に求めたい値となる。
【0031】
また、偏光パタニング素子203と撮像素子204とのズレがある場合の画素261、画素262、画素263、及び画素264のそれぞれの画素値をIA´、IB´、IC´、及びID´とする。この画素値IA´、画素値IB´、画素値IC´、及び画素値ID´は以下の関係式で表すことができる。
【0032】
【数2】

【0033】
ここで、ズレ量算出部104が、照射制御部102から取得した所定の偏光状態が、偏光パタニング素子203の第1偏光フィルタ251が透過する偏光状態と同じである場合を例にとって説明する。なお、照射制御部102は、偏光パタニング素子の何れかの偏光フィルタの偏光状態と同じ偏光状態の光を所定の偏光状態として照射することが好ましい。ズレ量算出部104は、所定の偏光状態を取得すると、偏光パタニング素子203と撮像素子204との重ね合わせのズレがない場合に該取得した偏光状態の光を照射した場合の画素値IA、画素値IB、画素値IC、及び画素値IDをそれぞれ算出する。照射した光の偏光状態がわかれば、偏光パタニング素子のそれぞれの偏光フィルタの偏光特性から画素値がわかる。ここでは、A方向の直線偏光を所定の偏光状態とした場合を例にとって説明する。偏光パタニング素子203と撮像素子204との重ね合わせのズレがない場合にA方向の直線偏光の光を照射した場合の画素値IA(↑)を1とすると、画素値IB(↑)は0.5となり、画素値IC(↑)は0となり、画素値ID(↑)は0.5となる。数1と数2とを組み合わせて、この画素値IA(↑)、画素値IB(↑)、画素値IC(↑)、及び画素値ID(↑)を代入すると、以下の関係式をズレ量算出部104は導き出すことができる。なお、画素値IA(↑)、画素値IB(↑)、画素値IC(↑)、及び画素値ID(↑)は、A方向の直線偏光の光が入射したときの画素値IA、画素値IB、画素値IC、及び画素値IDのそれぞれの値を示す。
【0034】
【数3】

【0035】
数3において、IA´(↑)及びIB´(↑)は、A方向の直線偏光の光が入射したときの画素261の画素値及び画素262の画素値をそれぞれ示している。そして、ズレ量算出部104は、数3から以下の関係式を導き出すことができる。
【0036】
【数4】

【0037】
そして、照射部101が、所定の偏光状態である偏光パタニング素子のA方向の偏光方向と同じ偏光状態の光を受光部201に実際に照射した光を撮像素子204が撮像したときの画像データから画素値IA´(↑)、及び、画素値IB´(↑)の値を得ることができる。そして、ズレ量算出部104は、撮像素子204により撮像された画素値IA´(↑)と画素値IB´(↑)とを上記数4に代入することにより、ズレ量であるx、yを算出することができる。そして、補正情報算出部105は、ズレ量算出部104が算出したズレ量と、数1と数2を組み合わせることで、重ね合わせのズレがない場合の画素値IA、画素値IB、画素値IC、及び画素値IDのそれぞれを、画素値IA´、画素値IB´、画素値IC´、及び画素値ID´で表した式を導出することができる。画素値IA、画素値IB、画素値IC、及び画素値IDのそれぞれを、画素値IA´、画素値IB´、画素値IC´、及び画素値ID´で表した式を補正情報という。
【0038】
なお、補正情報算出部105は、ズレ量から数1を用いて、それぞれの画素に入射する異なる偏光状態の光の面積α、面積β、面積γ、及び面積δを求める面積算出部を備えるようにしてもよい。そして、算出された面積α、面積β、面積γ、及び面積δと、数2とを用いて、重ね合わせのズレがない場合の画素値IA、画素値IB、画素値IC、及び画素値IDのそれぞれを、画素値IA´、画素値IB´、画素値IC´、及び画素値ID´で表した式を導出してもよい。
【0039】
そして、画素値計算部106は、該算出した補正情報を用いて、画像取得部103が取得した画像データのそれぞれの画素値から、偏光パタニング素子203と撮像素子204とのズレがない場合の画素値を計算することができる。このとき、照射部101から所定の偏光状態の光を受光部201に照射したときに撮像した画像データは、補正情報を算出するために用いられるので、画素値計算部106は、補正情報を算出した後は、照射部101から照射された所定の偏光状態の光を受光部201に照射したときに撮像された画像データに限らず、受光部201が撮像したすべての画像データのそれぞれの画素値から、偏光パタニング素子203と撮像素子204とのズレがない場合の画素値を計算することができる。
【0040】
また、画素値計算部106は、偏光フィルタユニット毎に、第1偏光フィルタ251、第2偏光フィルタ252、第3偏光フィルタ253、第4偏光フィルタ254に対応するそれぞれの画素の画素値から、補正情報を用いて重ね合わせのズレがない場合の該それぞれの画素の画素値をそれぞれ算出してもよい。この偏光フィルタに対応する画素とは、重ね合わせのズレがない場合に、偏光フィルタを透過した光を受光する画素のことをいう。図3で言うならば、第1偏光フィルタ251に対応する画素は画素261となり、第2偏光フィルタ252に対応する画素は画素262となり、第3偏光フィルタ253に対応する画素は画素263となり、第4偏光フィルタ254に対応する画素は画素264となる。したがって、偏光フィルタユニット毎に、偏光フィルタユニットの画素261の画素値IA´、画素262の画素値IB´、画素263の画素値IC´、及び画素264の画素値ID´から、重ね合わせのズレがない場合の該偏光フィルタユニットの画素261の画素値IA、画素262の画素値IB、画素263の画素値IC、及び画素264の画素値IDをそれぞれ算出してもよい。
【0041】
また、画素値計算部106は、それぞれの画素に入射した偏光状態がそれぞれ異なる光を、ズレがない場合に受光すべき画素の画素値から、補正情報を用いて該それぞれの画素の画素値を算出してもよい。例えば、画素261に入射する光は、画素261に入射すべきA方向の偏光方向の光と、画素262に入射すべきC方向の偏光方向の光と、画素263に入射すべきC方向の偏光方向の光と、画素264に入射すべきD方向の偏光方向の光が入射しているので、画素261の画素値IAは、補正情報を用いて、画素261の画素値IA´、画素262の画素値IB´、画素263の画素値IC´、及び画素264の画素値ID´から算出してよい。また、例えば、画素262に入射する光は、画素262に入射すべきB方向の偏光方向の光と、画素262の真下にある画素に入射すべきA方向の偏光方向の光と、画素264に入射すべきD方向の偏光方向の光と、画素262の斜め真下にある画素に入射すべきC方向の偏光方向の光が入射しているので、補正情報を用いて、画素262の画素値IB´、画素262の真下にある画素の画素値IA´、画素264の画素値ID´、画素262の斜め真下にある画素の画素値IC´から画素262の画素値IBを算出してよい。
【0042】
このように、偏光パタニング素子203と撮像素子204との重ね合わせのズレ量を算出するので、重ね合わせのズレがない場合の画素の画素値を計算することができる。また、ズレ量に基づいて補正情報を算出するので、重ね合わせのズレがない場合の画素の画素値を計算することができる。また、偏光イメージングの精度を上げることができる。なお、算出装置100は、プログラムを読み込んだCPU等の情報処理装置によって実現してもよい。また、撮像装置200は、プログラムを読み込んだCPU等の情報処理装置によって実現してもよい。
【0043】
ここで、偏光パタニング素子203の何れかの偏光フィルタの偏光状態と同じ偏光状態の光を所定の偏光状態の光として照射する方法について説明する。ここでは、A方向の直線偏光の光を所定の偏光状態として照射する場合を例にして説明する。照射制御部102は、それぞれ異なる偏光状態の光を照射部101が順次照射するように制御して、受光部201により撮像された画像データに基づいて、照射した偏光状態が異なる複数の光のうち、どの偏光状態の光が偏光パタニング素子のA方向の直線偏光の光であるかを検出する。具体的には、異なる偏光状態の光を照射部101に順次照射させ、A方向の直線偏光の光を受光する画素値が最も高くなるときに照射した偏光状態の光を、A方向の直線偏光と同じ偏光状態の光であるとして検出する。そして、該検出した偏光状態の光を所定の偏光状態とする。偏光パタニング素子のA方向の直線偏光と同じ偏光方向の光を、所定の偏光状態の光としたが、A方向以外の直線偏光、例えば、B方向、C方向、又はD方向の直線偏光と同じ偏光方向の光を所定の偏光状態として照射してもよい。この場合は、数3及び数4に示す関係式は、所定の偏光状態の種類によって変わるが、数1、数2を用いて適宜変更することができる。また、所定の偏光状態は予め決まっていなくてもよく、照射部101が異なる偏光状態の光を順次照射して、異なる偏光方向の光を受光するそれぞれの画素のうち、最初に最も画素値が大きくなる画素が受光する光の偏光状態を所定の偏光状態としてもよい。このとき、最初に最も画素値が大きくなるときに照射した光の偏光状態と、最初に最も画素値が大きくなる画素が受光する光の偏光状態とは同じ偏光状態となる。
【0044】
ここで、照射部101の偏光フィルタ部が、複数の偏光状態の光をそれぞれ透過する複数の偏光フィルタを有する場合は、照射制御部102は、偏光フィルタ部を回転させることにより、照射部101から偏光状態が異なる光を順次照射させるようにしてもよい。また、照射部101の偏光フィルタ部が、1つの偏光状態の光を透過する偏光フィルタと波長板を有する場合は、照射制御部102は、波長板を回転させることにより、照射部101から偏光状態が異なる光を順次照射させるようにしてもよい。なお、照射部101が1つの偏光状態の光を透過する偏光フィルタを有している場合は、例えば、照射部101から照射された光がA方向の偏光方向となるような位置に、算出装置100と撮像装置200とをセットしておけばよい。
【0045】
図4は、第2の実施の形態の算出システムを示す。算出システムは、撮像装置300と、照射装置400とを有する。撮像装置300は、受光部301、照射情報取得部302、ズレ量算出部303、補正情報算出部304、記録部305、画素値計算部306、及び画像格納部307を備える。照射装置400は、照射部401、照射制御部402、及び照射情報制御部403を備える。
【0046】
照射部401は、光源と偏光フィルタ部を有する。照射部401は、撮像装置300の受光部301に所定の偏光状態の光を照射する。偏光フィルタ部は、1つの偏光状態の光を透過する偏光フィルタを有してもよい。また、偏光フィルタ部は、複数の偏光状態の光をそれぞれ透過する複数の偏光フィルタを1つ有してもよい。偏光フィルタ部は、例えば、縦方向の直線偏光の光を透過する偏光フィルタ、横方向の直線偏光の光を透過する偏光フィルタ、斜め右方向の直線偏光の光を透過する偏光フィルタ、及び斜め左方向の直線偏光の光を透過する偏光フィルタを有してもよい。また、偏光フィルタ部は、複数の偏光フィルタを有する場合は、回転可能な構造を有しており、複数の偏光フィルタが同一円周上に配設される。そして、この偏光フィルタ部を回転させることにより光源からの光が通る光路上に何れかの偏光フィルタをセットすることができる。また、偏光フィルタ部は、1つの偏光状態の光を透過する偏光フィルタと回転可能な波長板を有してもよい。この波長板は回転可能な構造を有しており、波長板を回転させることにより、偏光フィルタを透過した光源の光の偏光状態が波長板を介して変わる。なお、照射部401は、第1の実施の形態の照射部101と同じ構成であってもよい。
【0047】
照射制御部402は、照射部401を制御する。照射部401の偏光フィルタ部が複数の偏光フィルタを有する場合は、照射制御部102は、偏光フィルタ部を回転させることにより、何れかの偏光状態の偏光フィルタを光源の光路上にセットする。これにより、光路上にセットされた偏光フィルタの偏光状態の光を照射することができる。また、照射部401の偏光フィルタ部が1つの偏光状態の光を透過する偏光フィルタと波長板とを有する場合は、照射制御部402は、波長板を回転させることにより、照射部401が照射する光の偏光状態を変えるようにしてもよい。なお、照射部101が照射した光の偏光状態を所定の偏光状態という。照射制御部402は、情報処理装置によって実現してもよく、電子回路によって実現してもよい。
【0048】
照射情報制御部403は、照射する光の偏光状態を制御する。照射制御部402は、照射情報制御部403の制御にしたがって、照射部101が照射する光の偏光状態を変える。また、照射情報制御部403は、照射する光の偏光状態の情報を照射情報取得部302に出力する。照射情報制御部403は、情報処理装置によって実現してもよく、電子回路によって実現してもよい。
【0049】
受光部301は、偏光パタニング素子311と撮像素子312を少なくとも備える。偏光パタニング素子311は、偏光状態が異なる光をそれぞれ透過する複数の偏光フィルタをそれぞれ含む複数の偏光フィルタユニットを有する。撮像素子312は、照射部401から照射された所定の偏光状態の光のうち、偏光パタニング素子311を透過した光を撮像する。撮像装置300は、撮像素子を駆動させる撮像素子駆動ドライバ、AD変換器等も含んでもよい。つまり、撮像素子312が撮像した画像データを撮像素子駆動ドライバが読み出して、AD変換器によってデジタル信号に変換してもよい。この撮像素子312が撮像した画像データはズレ量算出部303又は画素値計算部306に出力される。また、撮像装置300は、撮像素子が撮像した画像データに対して画像処理を施す画像処理部を備えてよく、該画像処理部が画像処理を施した画像データを、ズレ量算出部303又は画素値計算部306に出力してもよい。また、それぞれ偏光状態が異なる光をそれぞれ受光した画素の画素値を照射情報取得部302に出力してよい。なお、受光部301は、第1の実施の形態で説明した受光部201と同じ構成であってよい。撮像素子駆動ドライバ、AD変換器は情報処理装置によって制御される。また、画像処理部は、情報処理装置によって実現してもよく、電子回路によって実現してもよい。
【0050】
ズレ量算出部303は、所定の偏光状態の光が照射された場合の撮像素子312の画素の画素値から、偏光パタニング素子311と撮像素子312との重ね合わせのズレ量を示すズレ量情報を算出する。また、この所定の偏光状態は、照射情報取得部302が取得した照射した光の偏光状態の情報に基づいて定まる。ズレ量算出部104は、算出したズレ量を補正情報算出部304に出力する。このズレ量算出部303は、第1の実施の形態で説明したズレ量算出部104と同じ構成であってよい。ズレ量算出部303は、情報処理装置によって実現してもよく、電子回路によって実現してもよい。
【0051】
補正情報算出部304は、撮像素子312の画素の画素値から偏光パタニング素子311と撮像素子312との重ね合わせのずれがない場合の画素値を計算するための補正情報を、ズレ量算出部303が算出したズレ量情報を用いて算出する。つまり、偏光パタニング素子203と撮像素子204の重ね合わせにズレが生じると、入射するはずの偏光状態以外の光も画素に入射するので、実際の画素の画素値から、重ね合わせのズレがない場合の画素の画素値を算出するための補正情報を算出する。この補正情報算出部304は、第1の実施の形態で説明した補正情報算出部105と同じ構成であってよい。記録部305は、補正情報算出部304が算出した補正情報を記録する。補正情報算出部304は、情報処理装置によって実現してもよく、電子回路によって実現してもよい。
【0052】
画素値計算部306は、補正情報を用いて、撮像素子の画素の画素値から偏光パタニング素子311と撮像素子312との重ね合わせのズレがない場合の画素値を計算する。また、画素値計算部306は、補正情報を用いて、撮像素子312のそれぞれの画素の画素値から重ね合わせのズレがない場合のそれぞれの画素値を計算してもよい。また、画素値計算部306は、補正情報を用いて、偏光状態がそれぞれ異なる偏光フィルタを透過した光をそれぞれ受光する複数の画素の画素値から、複数の画素の画素値をそれぞれ計算してよい。画素値計算部306は、情報処理装置によって実現してもよく、電子回路によって実現してもよい。
【0053】
このとき、照射部401から所定の偏光状態の光を受光部301に照射したときの画像データは、補正情報を算出するために用いられるので、画素値計算部306は、照射部401から照射された所定の偏光状態の光を受光部301に照射したときの画像データに限らず、受光部301が撮像した他の画像データのそれぞれの画素値から、偏光パタニング素子203と撮像素子204とのズレがない場合の画素値を計算することができる。つまり、撮像装置300は、記録部305に記録した補正情報を用いて、撮像した画像データから、偏光パタニング素子311と撮像素子312との重ね合わせのズレがない画像データを得ることができる。画像格納部307は、画素値計算部306が計算した画素の画素値からなる画像データを格納する。これにより、偏光パタニング素子311と撮像素子312との重ね合わせのズレがない場合の画素値を算出することができ、偏光イメージングの精度を上げることができる。なお、画素値計算部306は、上記第1の実施の形態で説明した画素値計算部106と同じ構成であってよい。
【0054】
このように、撮像装置300は、補正情報を算出して記録するので、撮像した画像データから、偏光パタニング素子311と撮像素子312との重ね合わせのズレがない画像データを得ることができ、偏光イメージングの精度を上げることができる。なお、第2の実施の形態においては、撮像装置300が、ズレ量情報を算出するのではなく、計算装置などの他の装置がズレ量情報を算出してもよい。この場合は、撮像装置300は、算出されたズレ量情報を格納してもよい。そして、補正情報算出部304は、格納したズレ量情報に基づいて補正情報を算出してもよい。また、撮像装置300がズレ量情報及び補正情報を算出するのではなく、計算装置などの他の装置が、ズレ量情報と補正情報を算出してもよい。この場合は、撮像装置300の記録部305は、算出された補正情報を記録する。なお、撮像装置300は、プログラムを読み込んだCPU等の情報処理装置によって実現してもよい。また、照射装置400は、プログラムを読み込んだCPU等の情報処理装置によって実現してもよい。
【0055】
ここで、偏光パタニング素子311の何れかの偏光フィルタの偏光状態と同じ偏光状態の光を所定の偏光状態の光として照射する方法について説明する。ここでは、A方向の直線偏光の光を所定の偏光状態として照射する場合を例にして説明する。照射情報制御部403は、それぞれ異なる偏光状態の光を照射部401が順次照射するように照射制御部402を制御する。そして、受光部301により順次撮像された画像データを照射情報取得部302は照射情報制御部403に順次出力する。そして、照射情報制御部403は、送られてきた画像データに基づいて、照射した偏光状態が異なる複数の光のうち、どの偏光状態の光が偏光パタニング素子のA方向の直線偏光の光であるかを検出する。具体的にはA方向の直線偏光の光を受光する画素値が最も高くなるときに照射した偏光状態の光を、A方向の直線偏光と同じ偏光状態の光であるとして検出する。そして、該検出した偏光状態の光を所定の偏光状態とする。偏光パタニング素子のA方向の直線偏光と同じ偏光方向の光を、所定の偏光状態の光としたが、A方向以外の直線偏光、例えば、B方向、C方向、又はD方向の直線偏光と同じ偏光方向の光を所定の偏光状態として照射してもよい。この場合は、数3及び数4に示す関係式は、所定の偏光状態の種類によって変わるが、数1、数2を用いて適宜変更することができる。また、所定の偏光状態は予め決まっていなくてもよく、照射部401が異なる偏光状態の光を順次照射して、異なる偏光方向の光を受光するそれぞれの画素のうち、最初に最も画素値が大きくなる画素が受光する光の偏光状態を所定の偏光状態としてもよい。このとき、最初に最も画素値が大きくなるときに照射した光の偏光状態と、最初に最も画素値が大きくなる画素が受光する光の偏光状態とは同じ偏光状態となる。
【0056】
ここで、照射部401の偏光フィルタ部が、複数の偏光状態の光をそれぞれ透過する複数の偏光フィルタを有する場合は、照射制御部402は、偏光フィルタ部を回転させることにより、照射部401から偏光状態が異なる光を順次照射させるようにしてもよい。また、照射部401の偏光フィルタ部が、1つの偏光状態の光を透過する偏光フィルタと波長板を有する場合は、照射制御部402は、波長板を回転させることにより、照射部401から偏光状態が異なる光を順次照射させるようにしてもよい。なお、照射部401が1つの偏光状態の光を透過する偏光フィルタを有している場合は、照射部401から照射された光がA方向の偏光方向となるような位置に、撮像装置300と照射装置400とをセットしておけばよい。
【0057】
なお、上記各実施の形態では、偏光パタニング素子の何れかの偏光フィルタの偏光状態と同じ偏光状態の光を所定の偏光状態として、該所定の偏光状態の光を照射したときに撮像された画像データの画素値に基づいてズレ量情報を算出するようにしたが、所定の偏光状態の光が、偏光パタニング素子を基準とした場合に、どの方向に偏光している光であるかの情報がわかれば、偏光パタニング素子の偏光フィルタの偏光状態と異なる偏光状態の光を所定の偏光状態としてもよい。偏光パタニング素子を基準とした場合に、どの方向に偏光している光であるかの情報がわかれば、偏光パタニング素子と撮像素子との重ね合わせのズレがない場合の画素値IA、画素値IB、画素値IC、画素値IDを第1偏光フィルタ251〜第4偏光フィルタ254の偏光状態に応じて求めることができるからである。
【0058】
また、上記各実施の形態では、偏向パタニング素子のそれぞれの偏光フィルタは直線偏光の光を透過するようにしたが、円偏光を透過する偏光フィルタ、楕円偏光の光を透過する偏光フィルタを用いてもよい。また、偏向パタニング素子のそれぞれの偏光フィルタを用いて偏光した光を透過するようにしたが、偏光フィルタと波長板とを組み合わせて、偏光した光を透過してもよい。また、上記実施の形態では、偏光方向の変調のみのケースであったが、任意の偏光パラメータが変調しているケースであってもよい。例えば、偏光方向と位相差の両者が変調しているケースであってもよい。
【0059】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0060】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1の実施の形態の算出システムを示す。
【図2】偏光パタニング素子203と撮像素子204の画素の重ね合わせのズレ量を示す。
【図3】図2で示したズレ量で、偏光パタニング素子203と撮像素子204とが重ね合わせられたときの、それぞれの偏光フィルタとそれぞれの画素の様子を示す。
【図4】第2の実施の形態の算出システムを示す。
【符号の説明】
【0062】
100 算出装置
101 照射部
102 照射制御部
103 画像取得部
104 ズレ量算出部
105 補正情報算出部
106 画素値計算部
200 撮像装置
201 受光部
202 画像格納部
203 偏光パタニング素子
204 撮像素子
250 偏光フィルタユニット
251 第1偏光フィルタ
252 第2偏光フィルタ
253 第3偏光フィルタ
254 第4偏光フィルタ
261 画素
262 画素
263 画素
264 画素
300 撮像装置
301 受光部
302 照射情報取得部
303 ズレ量算出部
304 補正情報算出部
305 記録部
306 画素値計算部
307 画像格納部
311 偏光パタニング素子
312 撮像素子
400 照射装置
401 照射部
402 照射制御部
403 照射情報制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光状態が異なる光をそれぞれ透過する複数の偏光フィルタをそれぞれ含む複数の偏光フィルタユニットを有する偏光パタニング素子と、前記偏光パタニング素子の前記複数の偏光フィルタを透過した光をそれぞれ受光する複数の画素を有する撮像素子とが重ね合わされた受光部に、所定の偏光状態の光を照射する照射工程と、
前記所定の偏光状態の光が照射された場合の前記撮像素子の画素の画素値から、前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレ量を示すズレ量情報を算出するズレ量算出工程と
を備える算出方法。
【請求項2】
前記撮像素子の画素の画素値から前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレがない場合の画素値を計算するための補正情報を、前記ズレ量情報を用いて算出する補正情報算出工程
をさらに備える請求項1に記載の算出方法。
【請求項3】
前記補正情報を用いて、前記撮像素子の画素の画素値から前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレがない場合の画素値を計算する画素値計算工程
をさらに備える請求項2に記載の算出方法。
【請求項4】
前記画素値計算工程は、
前記補正情報を用いて、偏光状態がそれぞれ異なる偏光フィルタを透過した光をそれぞれ受光する前記複数の画素の画素値から、該複数の画素の画素値をそれぞれ計算する
請求項3に記載の算出方法。
【請求項5】
前記補正情報算出工程は、
前記ズレ量情報から、それぞれの前記画素に入射する異なる偏光状態の光の面積を算出する面積算出工程を含み、算出された前記面積を用いて、前記補正情報を算出する
請求項2から4の何れかに記載の算出方法。
【請求項6】
偏光状態が異なる光をそれぞれ透過する複数の偏光フィルタをそれぞれ含む複数の偏光フィルタユニットを有する偏光パタニング素子と、前記偏光パタニング素子の前記複数の偏光フィルタを透過した光をそれぞれ受光する複数の画素を有する撮像素子とが重ね合わされた受光部に、所定の偏光状態の光を照射する照射部と、
前記所定の偏光状態の光が照射された場合の前記撮像素子の画素の画素値から、前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレ量を示すズレ量情報を算出するズレ量算出部と
を備える算出装置。
【請求項7】
コンピュータを、
偏光状態が異なる光をそれぞれ透過する複数の偏光フィルタをそれぞれ含む複数の偏光フィルタユニットを有する偏光パタニング素子と、前記偏光パタニング素子の前記複数の偏光フィルタを透過した光をそれぞれ受光する複数の画素を有する撮像素子とが重ね合わされた受光部に、所定の偏光状態の光を照射する照射部と、
前記所定の偏光状態の光が照射された場合の前記撮像素子の画素の画素値から、前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレ量を示すズレ量情報を算出するズレ量算出部
として機能させるプログラム。
【請求項8】
偏光状態が異なる光をそれぞれ透過する複数の偏光フィルタをそれぞれ含む複数の偏光フィルタユニットを有する偏光パタニング素子と、
前記偏光パタニング素子の前記複数の偏光フィルタを透過した光をそれぞれ受光する複数の画素を有する撮像素子と、
前記撮像素子の画素値から、前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレがない場合の画素値を計算するための補正情報を記録する記録部と、
前記記録部に記録された補正情報を用いて、前記撮像素子の画素の画素値から前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレがない場合の画素値を計算する画素値計算部と
を備える撮像装置。
【請求項9】
前記偏光パタニング素子に所定の偏光状態の光を照射した場合の前記撮像素子の画素の画素値から、前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレ量情報を算出するズレ量算出部と、
前記ズレ量情報を用いて、前記補正情報を算出する補正情報算出部と
を備え、
前記補正情報算出部が算出した前記補正情報を記録する
請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
偏光状態が異なる光をそれぞれ透過する複数の偏光フィルタをそれぞれ含む複数の偏光フィルタユニットを有する偏光パタニング素子と、
前記偏光パタニング素子の前記複数の偏光フィルタを透過した光をそれぞれ受光する複数の画素を有する撮像素子と
を備えたコンピュータを、
前記撮像素子の画素値から、前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレがない場合の画素値を計算するための補正情報を記録する記録部と、
前記記録部に記録された補正情報を用いて、前記撮像素子の画素の画素値から前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレがない場合の画素値を計算する画素値計算部
として機能させるプログラム。
【請求項11】
偏光状態が異なる光をそれぞれ透過する複数の偏光フィルタをそれぞれ含む複数の偏光フィルタユニットを有する偏光パタニング素子と、
前記偏光パタニング素子の前記複数の偏光フィルタを透過した光をそれぞれ受光する複数の画素を有する撮像素子と
を備えたコンピュータが画素値を計算する方法であって、
前記撮像素子の画素値から、前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレがない場合の画素値を計算するための補正情報を記録する記録工程と、
前記記録工程に記録された補正情報を用いて、前記撮像素子の画素の画素値から前記偏光パタニング素子と前記撮像素子との重ね合わせのズレがない場合の画素値を計算する画素値計算工程と
を備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−109763(P2010−109763A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280393(P2008−280393)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】