説明

管継手

【課題】プラグとソケットの接続を確実に行うことができる管継手を提供する。
【解決手段】スリーブ21が基端側位置に引き上げられた状態で、プラグ2をソケット1の挿入孔に挿入する際に、ボール32がプラグ2の外周面上を転動して突起部23に当接した場合に、ボール32全体をプラグ2の外周よりもソケット1側に収納する収納空間Sが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、液体タンク内の液体を外部へと供出するための液体タンク用コネクタ等の管継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体高純度薬品や一般化学薬品等の液体は、生産工場にてポリエチレンタンク等の液体タンクに充填され、この液体タンクに形成された充填・取出用の口栓部に蓋を取り付けた状態で出荷される。このような液体タンク中に収容された液体を取り出す手法としては、容器内部に空気等の気体を導入することにより、その気体圧力により液体を容器外へ送り出すサイフォン管方式が知られている。
このサイフォン管方式では、液体タンクの口栓部に取り付けられていた蓋を取り外した後、口栓部に液体流路となるサイフォン管及び気体供給路を備えたプラグが取り付けられる。そして、液体を液体タンク外部へ取り出すためのチューブと、気体を導入するためのチューブとをそれぞれ連結可能とされたソケットをプラグに接続することにより、液体を取り出すための液体流路及び気体を導入するための気体流路を形成する。このような液体タンク用コネクタは、たとえば、特許文献1に開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−192099号公報
【0004】
特許文献1には、図5(特許文献1の図4に対応)に示されているように、容器104の上面に、ソケット101とプラグ102とを備えたコネクタが設けられた構成が示されている。容器104内には、薬液等の液体を収容する中袋103が配置されている。中袋103内にはサイフォン管118が配置されている。中袋103の外側に気体を導入することによって、サイフォン管118の下端から液体が外部へと供出される。
【0005】
図6(特許文献1の図5に対応)には、ソケット101とプラグ102の接続工程が順に示されている。まず、図6(a)に示すようにソケット101の先端にプラグ102の先端を挿入する。更に深く挿入すると、図6(b)に示すように膨出部108がボール132を径方向外側へ押す。このときボール132がスリーブ用スプリング125の付勢力に対向してリング124を上方に押し、これにより形成されたリング124と突起部123との隙間に、ボール132が入り込むことにより、プラグ102の更なる挿入が許可される。挿入を続けると、図6(c)に示すようにボール132がボール係合溝107に嵌合すると共に、スリーブ用スプリング125がリング124を付勢してリング124と突起部123とが当接し、挿入が完了する。この状態ではボール132がプラグ102のボール係合溝107に嵌合しているため、ソケット101を引き上げようとしても、ボール132によりソケット101の抜出が阻止されている。
【0006】
ソケット101を引き抜く際は、図7(特許文献1の図6に対応)に示すように、スリーブ121を上昇させる。スリーブ121の上昇と共に突起部123も上昇する。これにより、突起部123とストップリング122との間に隙間が生じ、この隙間にボール132が移動可能となるため、ボール係合溝107からボール132が脱してプラグ102とソケット101とのロックが解除され、ソケット101をプラグ102から引き抜くことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような特許文献1の構成では、図6に示したように、スリーブ121を引き上げずに下方に位置させたままで接続する場合には円滑に接続することができるが、ユーザによってはスリーブ121を引き上げた状態で接続する場合もあり、このような場合には以下の問題が生じる。
スリーブ121を引き上げると、図7に示したように、ボール132は突起部123の下方に位置することとなる。一方、ボール132は、ソケット本体120に形成したボール挿通穴131(図8参照)内で拘束されずに移動自由とされているので、内周側に移動してボール挿通孔131から内側に出っ張る傾向にある。この状態で、プラグ102をソケット101内に挿入すると、図8に示すように、ボール132は、内周側に出っ張っているためプラグ102の外周面上を転動する(図8中の二点鎖線から実線へと移動する)ことになり、スリーブ121の上方へと相対的に移動し、突起部123に当接する。このようにボール132が突起部123に当接すると、突起部123とプラグ102との間でボール132を噛み込んでしまい、これ以上ソケット101内にプラグ102を挿入することができなくなる。このようなボールの噛み込み現象は、特に、図8に示したようにボール132が膨出部108を乗り上げる際に顕著となる。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、プラグとソケットの接続を確実に行うことができる管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の管継手は、流体が流れるプラグ側流路が形成されるとともに、ボールが係合するボール係合溝が外周に形成されたプラグと、該プラグの先端を包囲するように嵌合し、前記プラグ側流路と共に前記流体の流路を形成するソケット側流路が形成されたソケットとを備え、前記ソケットは、前記プラグの先端部が挿入される挿入孔が形成されるとともに、前記ボールが挿通可能とされたボール挿通孔が形成された筒状のソケット本体と、該ソケット本体の外周側に設けられ、該ソケット本体に対して基端側位置と先端側位置との間で軸線方向に往復動可能とされ、内周側に突出する突起部が設けられたスリーブとを有し、前記プラグと前記ソケットとの嵌合時に前記スリーブが前記先端側位置に位置した場合に、前記突起部により、前記ボール挿通孔内に位置する前記ボールを前記プラグの前記ボール係合溝に係合させることで、前記プラグと前記ソケットとの軸線方向の相対移動を規制して固定する管継手において、前記スリーブが前記基端側位置に位置した状態で、前記プラグを前記ソケットの前記挿入孔に挿入する際に、前記ボールが前記プラグの外周面上を転動して前記ボール挿通孔を形成する壁部および/または前記突起部に当接した場合に、該ボール全体を前記プラグの外周よりも前記ソケット側に収納する収納空間が設けられていることを特徴とする。
【0010】
スリーブが基端側位置に位置した状態で、プラグをソケットの挿入孔に挿入すると、ボール挿通孔内に位置するボールは、プラグの外周面に当接しながら転動する。このように転動したボールは、ボール挿通孔内を転動しながらボール挿通孔を形成する壁部まで移動して停止するか、或いは、スリーブの突起部に当接して停止する。本発明では、このときに、ボール全体をプラグの外周よりもソケット側に収納する収納空間を設けることとしたので、スリーブの突起部とプラグとの間でボールが噛み込まれてしまうことがない。したがって、スリーブが基端側位置にある状態であっても、プラグとソケットを結合することができる。
【0011】
さらに、本発明の管継手では、前記ソケット本体の先端側外周には、前記スリーブの前記突起部に当接することによって該スリーブの前記先端側位置を規定するストップリングが設けられ、該ストップリングは、前記ボールと当接した際に該ボールを内周側へと導くボール当接部を備えていることを特徴とする。
【0012】
スリーブの突起部とストップリングとが当接することによってスリーブの先端側位置が規定される。好ましくは、バネ等の弾性部材によってスリーブを先端側に付勢することで、突起部をストップリングに当接させ、常態において、スリーブを先端側位置に位置させるようになっている。
スリーブを基端側位置に位置させた状態でソケットとプラグを接続する場合には、スリーブが基端側位置に移動するに伴い突起部がストップリングから離間されるので、前記収納空間内に収納されるボールは、突起部とストップリングとの間に位置することになる。この状態でソケットにプラグを差し込み、差し込みが完了した後は、スリーブを基端側位置から先端側位置に戻すことになる。この場合に、突起部とストップリングとの間、或いは、突起部とボール挿通孔を形成する壁部との間でボールを噛み込んでしまうおそれがある。ボールが噛み込まれると、スリーブが先端側位置まで戻ることができないので、突起部によってボールをプラグのボール係合溝に係合させることができず、ソケットとプラグとを固定することができない。
そこで、本発明では、ボールと当接した際にボールを内周側へと導くボール当接部をストップリングに設けることとした。これにより、ボールは、ボール当接部によって内周側へと導かれ、突起部から離間することになるので、突起部によって噛み込まれることがない。したがって、スリーブを基端側位置に位置させてソケットにプラグを差し込んだ場合であっても、差し込み終了後にスリーブを先端側位置に戻すことができるので、ソケットとプラグとの固定を確実に行うことができる。
【0013】
さらに、本発明の管継手では、前記ボール当接部は、前記ボールの中心よりも外周側に当接する内周縁部とされていることを特徴とする。
【0014】
ボールの中心よりも外周側にストップリングの内周縁部を当接させると、ボールの重心は内周縁部よりも内周側に位置することになるので、ボールは内周側に向かって転がることになる。このような内周縁部は、例えば、ストップリングの軸線方向の高さを高くし、かつ径方向の大きさを大きくしてボールの中心よりも外周側に位置させることによって得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の管継手によれば、以下の効果を奏する。
スリーブが基端側位置にある状態であっても、プラグとソケットを確実に結合することができる。
また、スリーブを基端側位置にある状態でソケットにプラグを差し込んだ後に、スリーブを先端側位置に確実に戻すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明にかかる管継手の一実施形態である液体タンク用コネクタについて、図1乃至図4を参照して説明する。
本実施形態にかかる管継手は、背景技術にて図5乃至図8を用いて説明したコネクタと同様の用途に用いられ、スリーブを先端側位置に位置させたままでソケットにプラグを差し込むことができるように突起部やボールを備える点は同様である。したがって、共通する構成要素については図5乃至図8の符号番号から100を引いた数字で示してある。ただし、本実施形態のコネクタは、スリーブを基端側位置に引き上げた状態であってもソケットにプラグを差し込むことができる点で大きく異なる。よって、以下では、この点について具体的に説明する。
【0017】
図1及び図2には、液体タンク用コネクタ(管継手)の縦断面が示されており、図1はソケット1とプラグ2とが分離した状態を示し、図2はソケット1とプラグ2とが接続された状態を示している。また、図1では、ソケット1の右半分がスリーブ21を基端側位置まで引き上げた状態を示し、左半分がスリーブ21を先端側位置まで復帰させた状態を示す。
【0018】
プラグ2は、略円筒形状とされており、その中心軸線に沿って液体供出用のプラグ側流路5が形成されたプラグ本体10を備えている。プラグ本体10の下端には、例えば図5の符号118で示したようなサイフォン管(図示せず)が接続され、プラグ側流路5と連通される。プラグ本体10は、図において下方の基端部が図示しない容器に接続される。プラグ本体10の先端側(図において上端側)の端面には、液体流出口12が形成されている。
プラグ側流路5の先端側には、プラグ側弁体6が配置されている。プラグ側弁体6の先端の端面中央には上方に突出する凸部6aが設けられている。プラグ側弁体6の先端形状は、先端側が小径とされたテーパ形状となっており、このテーパ面が液体流出口12に嵌合することによって、液体流路が閉じられる。プラグ側弁体6の基端部には、圧縮バネ14の上端が接続されている。圧縮バネ14の下端はバネ止め部材16によってプラグ本体10に固定されている。この圧縮バネ14によって、プラグ側弁体6はプラグ本体10の先端側へと付勢され、これにより、常態において、プラグ側弁体6によって液体流出口12は閉塞されることになる。
プラグ本体10の外周面には、拡径された膨出部8と、この膨出部8の基端部側に位置するボール係合溝7とが設けられている。
【0019】
ソケット1は、略円筒形状とされたソケット本体35と、このソケット本体35の外周側に設けられたスリーブ21とを備えている。
【0020】
ソケット本体35には、軸線方向に貫通する孔部が形成されており、この孔部内には、軸線方向に伸縮可能とされたベローズ部材37が設けられている。このベローズ部材37内には、ソケット側弁体39が収納されている。ソケット側弁体39の基端部(図において上端部)は、固定具41によってソケット本体35に固定されている。この固定具41は、ベローズ部材37の基端部(図において上端)をもソケット本体35に固定する。ソケット側弁体39とベローズ部材37との間には、圧縮バネ43が設けられている。この圧縮バネ43によって、ベローズ部材37は、常態において、伸張状態とされている。これにより、ソケット側弁体39とベローズ部材37とが係合することによって、液体流路が閉じられる。
【0021】
ソケット本体35の先端側(図において下方)には、プラグ2の先端部が挿入される挿入孔36が形成されている。この挿入孔36を形成する壁部には、ボール挿通孔31が形成されている。ボール挿通孔31は、軸線方向に長軸を有する長円形状とされており、円周方向に所定間隔をおいて複数形成されている。このボール挿通孔31は、内周側から外周側へ向かって拡径するようにテーパとされた壁部によって形成されている。各ボール挿通孔31内には、ボール32がそれぞれ配置されている。ボール32は、ボール挿通孔31の内周側に出っ張る程度まで移動するようになっている(図1の左側のボール32の位置を参照)。ただし、ボール32は、ボール挿通孔31から内周側に離脱しない程度の径とされている。
【0022】
ソケット本体35の下端外周には、ストップリング22が固定されている。このストップリング22によって、スリーブ21の先端側位置が規定される。
【0023】
スリーブ21は、上方に引き上げた基端側位置(図1の右側の状態)と、下方に位置する先端側位置(図1の左側の状態)との間で軸線方向に往復動する。スリーブ21の先端側には、内周側に突出する突起部23が設けられている。この突起部23は、先端側位置では、ストップリング22に下面(先端側の面)が当接した状態で、内周面でボール32を外周側から内周側に押し込む位置となる。
【0024】
スリーブ21の基端側位置では、突起部23は、ストップリング22から離間し、ボール32を下方に収納する位置となる。図1の右側に示されているように、ストップリング22は、その内周縁部22a(図4参照)とボール32とが当接した際に、ボール32の中心よりも外周側でかつ下側に当接するように、高さ(軸線方向寸法)が設定されている。すなわち、ボール挿通孔31の先端側部分に一部が軸線方向に重なる程度の高さとされている。
【0025】
ソケット本体35とスリーブ21との間には、軸線方向に移動可能とされたリング24が配置されている。このリング24は、スリーブ用スプリング25によって下方(先端側)に付勢されている。これにより、突起部23の上面には、スリーブ用スプリング25によって押し下げられたリング24が当接することとなる。このようにスリーブ用スプリング25によってリング24を介して突起部23が先端側に押し下げられることにより、スリーブ21は、無負荷状態では、常態において先端側位置に位置することとなる。
【0026】
ソケット1の基端側(図において上端側)には、エルボ50が接続されており、エルボ50の他端には薬液供給用チューブ52が接続可能となっている。
【0027】
次に、図2を用いて、ソケット1とプラグ2とを嵌合した接続状態について説明する。この接続状態では、液体流路が連通し、タンク内の薬液を外部へと供出できる液体供出状態となっている。
同図に示されているように、プラグ2の先端部に対してソケット1の挿入孔36が合致するようにプラグ2の先端部を包囲した状態でソケット1が差し込まれている。
【0028】
スリーブ21は、スリーブ用スプリング25の付勢力によって先端側位置に位置されており、これにより、スリーブ21の突起部23はストップリング22の上端に当接して位置決めされている。
この接続状態では、プラグ本体10の先端とベローズ部材37の先端とが当接し、ベローズ部材37が上方へと押し上げられるようになる。これにより、ソケット側弁体39がベローズ部材37から離間し、開弁される。また、プラグ側弁体6は、ソケット側弁体39によって下方へと押し込まれて、液体流出口12が開口される。この様にして、同図に示した接続状態では、液体流路が形成され、タンク内の薬液が外部へと供出される。
【0029】
図2に示されているように、ボール32の一部が、プラグ2の外周に形成されたボール係合溝7内に入り込んでいる。そして、ボール32の背面(外周側)には、スリーブ21の突起部23が位置しており、ボール32がボール係合溝7から外れることを防止している。このときに、突起部23の内周面を、ボール32中心の高さ位置を含むように位置させて押さえ込むことにより、ボール32の抜出防止が効果的に実現される。
【0030】
図3には、スリーブ21を基端側位置に位置させたままプラグ2をソケット1に差し込んだ場合であっても、ボール32が噛み込まない様子が示されている。同図では、中心線の右半分(以下「右図」という。)がスリーブ21を基端側位置に位置させた状態を示し、中心線の左半分(以下「左図」という。)がスリーブ21を先端側位置に戻した状態を示している。
右図に、ボール32が実線で示されているように、ボール挿通孔31を形成する上壁部、突起部23の下端およびスリーブ21の下端内周面に当接した場合に、ボール32全体が収納される収納空間Sが形成されている。この収納空間にボール32全体が収納されることにより、プラグ2の外周面よりも外周側にボール32が位置されるようになる。これにより、スリーブ21の突起部23とプラグ2との間でボール32が噛み込まれることがない。収納空間Sは、ボール係合溝7を形成する上方壁部と、突起部23の下端面と、突起部23の下方(先端側)のスリーブ内周壁とによって形成される。したがって、ボール32を噛み込まずにボール32全体を収納するためには、ボール係合溝7を形成する上方壁部または突起部23下端面の高さ(軸線方向位置)が下方(先端側)となっている方にボール32が当接して噛み込むおそれがあるので、これら壁部の高さ位置は、下方となる壁部にボール32が当接しても噛み込まないように決定される。なお、本実施形態では、これら壁部の高さ位置は同等となっている。また、ボール32を噛み込まずにボール32全体を収納するためには、突起部23の下方のスリーブ内周壁とソケット本体35の内周面との距離は、ボール32の直径以上とする必要がある。
【0031】
また、左図に示されているように、プラグ2をソケット1に差し込んだ後に、スリーブ21を先端側位置に戻しても、ボール32が内周側へと円滑に移動してボール係合溝7内へ入り込む。図4には、ボール32がボール係合溝7内へと円滑に移動することができる構成がさらに詳しく示されている。
ストップリング22は、その内周縁部(ボール当接部)22aとボール32とが当接した際に、ボール32の中心よりも外周側でかつ下側に当接するように、高さ(軸線方向寸法)が設定されている。すなわち、ボール挿通孔31の先端側部分に一部が軸線方向に重なる程度の高さとされている。このように、ストップリング22の内周縁部22aがボール32に当接した場合に、ボール32の中心よりも外周側でかつ下側に当接するようになっているので、ボール32は内周側下方(図において矢印で示すように左下方向)へと転がる。これにより、ボール32はボール挿通孔31から一部が内周側に突出することとなり、プラグ2に形成されたボール係合溝7に対して確実に係合する。
【0032】
以上の通り、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
ボール32全体をプラグ1の外周よりもソケット2側に収納する収納空間Sを設けることとしたので、スリーブ21の突起部23とプラグ2との間でボール32が噛み込まれてしまうことがない。したがって、スリーブ21が基端側位置にある状態であっても、プラグ2とソケット1を結合することができる。
【0033】
ボール32と当接した際にボール32を内周側へと導く内周縁部22aをストップリング22に設けることとしたので、ボール32を内周側へと導き、突起部23からボール32を離間させることができ、突起部23によってボール32が噛み込まれることがない。したがって、スリーブ21を基端側位置に位置させてソケット1にプラグ2を差し込んだ場合であっても、差し込み終了後にスリーブ21を先端側位置に戻すことができるので、ソケット1とプラグ2との固定を確実に行うことができる。
ボール32の中心よりも外周側でかつ下側にストップリング22の内周縁部22aを当接させることとしたので、ボール32を円滑に内周側へと転がすことができる。
【0034】
なお、上述した本実施形態は、薬液を供出する流路のみを形成するコネクタについて説明したが、本発明は、背景技術において説明したコネクタのように、液体流路に加えて気体流路を備えたコネクタについても同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態にかかるコネクタであり、プラグとソケットを接続する前の状態を示した縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるコネクタであり、プラグとソケットを接続した後の状態を示した縦断面図である。
【図3】プラグに対してソケットを接続する際の縦断面図であり、中心線よりも右側がスリーブを基端側位置に引き上げた状態を示し、中心線よりも左側がスリーブを先端側位置に戻した状態を示す。
【図4】ストップリングの内周縁部によってボールが内周側に転がる状態を示した部分縦断面図である。
【図5】ソケットおよびプラグを備えたコネクタが取り付けられた容器を示した部分断面正面図である。
【図6】ソケットとプラグを接続する際の動きを順に示した縦断面図である。
【図7】スリーブを引き上げてソケットをプラグから取り外す状態を示した縦断面図である。
【図8】スリーブを引き上げた状態でソケットとプラグを接続する際にボールが噛み込む状態を示した部分拡大縦断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 ソケット
2 プラグ
5 プラグ側流路
6 プラグ側弁体
7 ボール係合溝
10 プラグ本体
12 液体流出口
21 スリーブ
22 ストップリング
22a 内周縁部(ボール当接部)
23 突起部
24 リング
25 スリーブ用スプリング
31 ボール挿通孔
32 ボール
35 ソケット本体
36 挿入孔
37 ベローズ部材
39 ソケット側弁体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れるプラグ側流路が形成されるとともに、ボールが係合するボール係合溝が外周に形成されたプラグと、
該プラグの先端を包囲するように嵌合し、前記プラグ側流路と共に前記流体の流路を形成するソケット側流路が形成されたソケットと、を備え、
前記ソケットは、前記プラグの先端部が挿入される挿入孔が形成されるとともに、前記ボールが挿通可能とされたボール挿通孔が形成された筒状のソケット本体と、該ソケット本体の外周側に設けられ、該ソケット本体に対して基端側位置と先端側位置との間で軸線方向に往復動可能とされ、内周側に突出する突起部が設けられたスリーブとを有し、
前記プラグと前記ソケットとの嵌合時に前記スリーブが前記先端側位置に位置した場合に、前記突起部により、前記ボール挿通孔内に位置する前記ボールを前記プラグの前記ボール係合溝に係合させることで、前記プラグと前記ソケットとの軸線方向の相対移動を規制して固定する管継手において、
前記スリーブが前記基端側位置に位置した状態で、前記プラグを前記ソケットの前記挿入孔に挿入する際に、前記ボールが前記プラグの外周面上を転動して前記ボール挿通孔を形成する壁部および/または前記突起部に当接した場合に、該ボール全体を前記プラグの外周よりも前記ソケット側に収納する収納空間が設けられていることを特徴とする管継手。
【請求項2】
前記ソケット本体の先端側外周には、前記スリーブの前記突起部に当接することによって該スリーブの前記先端側位置を規定するストップリングが設けられ、
該ストップリングは、前記ボールと当接した際に該ボールを内周側へと導くボール当接部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記ボール当接部は、前記ボールの中心よりも外周側に当接する内周縁部とされていることを特徴とする請求項2に記載の管継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−281539(P2009−281539A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135566(P2008−135566)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(591257111)サーパス工業株式会社 (60)
【Fターム(参考)】