説明

管継手

【課題】外部配管を接続する継手部の位置(角度)を変化させることが可能な管継手を提供する。
【解決手段】本体2の一端側に、継手部4を備え、他端側に、取付用ネジ部3を備える管継手1であって、前記本体2は、内部に流体が通過する管路20を有し、前記継手部4は、先端部に外部配管60が挿入される開口部42を有すると共に、内部に流体が通過する管路40を有して、該開口部42の中心軸と前記取付用ネジ部3の中心軸とのなす角度が変化する方向に回動可能なように、本体2の側面部に設けられる連結部24に連結され、前記継手部4の管路40は、一端が前記開口部42に連通し、他端が前記連結部24を介して前記本体2の管路20に連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手に関し、さらに詳細には、外部配管を接続する継手部の角度を変化させることが可能な管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
外部配管を接続するための管継手は、様々な装置・機器等において用いられており、中には外部配管を接続する継手部の角度が可変のものがある。
【0003】
例えば、継手部の角度が可変である管継手に関する従来技術として、特許文献1で提案されている管継手100がある(図10参照)。
この管継手100は、適宜の施錠機構114を備え着脱自在に接続できるソケット101とプラグ102とからなり、前記ソケット101に略へ字状に屈曲されたホースエンド128がその向きを可変し得るように回転自在に取付けられた管継手であって、前記ソケット101を構成する主筒体110に、その軸線に対して傾斜した向きで接続孔127を形成し、該接続孔127内に前記ホースエンド128の基部128aを回転自在に嵌合支持させ、更に、前記主筒体110内には内筒体111を形成し、該内筒体111の先端に弁押体112を分割形成する構成を備え、スリーブの全長の短縮化、および流体の流通を支障なく行わせることを目的とするものである。
【0004】
また、他の従来技術として、特許文献2で提案されている管継手がある。この管継手は、角度可変の可動管継手部を備えることによって、特に、ホースを水道の蛇口に設けたニップル部材に着脱自在、且つ取付角度可変に取り付けることを可能として、ホースの捩れ・折れ曲がりを防止することを目的とするものである。
【0005】
【特許文献1】特開2001−241585号公報
【特許文献2】特開平11−336967号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の例に示されるように、継手部の角度が可変である管継手として様々な技術が提案されているが、特に継手部が複数設けられる場合等において、継手部の角度を自在に変化させることができ、製造コスト・設置コストに優れ、また取り付けを容易に行うことができる管継手が求められている。
なお、特許文献1、特許文献2に記載される管継手においては、継手部が複数設けられる場合への適用が想定されておらず、当然にそのような場合の構成、および取付時に生じ得る課題の解決に関して、何らの示唆も与えてはいない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、特に、複数の継手部を有する構成への適用が好適であって、外部配管を接続する継手部の位置(角度)を変化させることが可能な管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0009】
この管継手は、本体の一端側に、継手部を備え、他端側に、取付用ネジ部を備える管継手であって、前記本体は、内部に流体が通過する管路を有し、前記継手部は、先端部に外部配管が挿入される開口部を有すると共に、内部に流体が通過する管路を有して、該開口部の中心軸と前記取付用ネジ部の中心軸とのなす角度が変化する方向に回動可能なように、本体の側面部に設けられる連結部に連結され、前記継手部の管路は、一端が前記開口部に連通し、他端が前記連結部を介して前記本体の管路に連通することを要件とする。
【0010】
これによれば、本体に対する継手部の回動位置(角度)を変化させることが可能となり、外部配管の接続方向を変化させることが可能となる。
【0011】
また、前記継手部は、複数設けられることを要件とする。特に、前記継手部は、前記本体を挟んで対向する位置に二箇所設けられて、それぞれが独立に回動可能である構成が好適である。
【0012】
これによれば、複数の継手部を独立に回動させることにより、多様な形状に変化させて外部配管を接続させることが可能となる。
【0013】
また、前記取付用ネジ部は、外周にネジ山を有し、内部に該取付用ネジ部を回動させる回動工具を連結する工具連結部および流体が通過する管路を有することを要件とする。
【0014】
これによれば、回動工具を、取付用ネジ部の内部に挿入して連結および回動が可能となるため、本体に対して回動可能に設けられる継手部の位置に影響されることなく、また、狭い取り付け場所であっても、取付用ネジ部を回動させて、管継手を取り付けることが可能となる。
【0015】
また、前記本体と前記取付用ネジ部とが相互に同軸で回動可能に連結されることを要件とする。
【0016】
これによれば、継手部の向きを固定したまま、取付用ネジ部のみを回動させることが可能となる。
【0017】
また、前記取付用ネジ部の管路の一部もしくは全部が、該取付用ネジ部を回動させる回動工具の連結が可能な形状に形成されて、前記工具連結部を兼用することを要件とする。
【0018】
これによれば、取付用ネジ部の内部に工具連結部を設けることが可能となり、管路と兼用することによって、取付用ネジ部の小型化が可能となる。
【0019】
また、前記取付用ネジ部の管路における前記工具連結部を兼用する箇所は、断面が多角形もしくは楕円形の貫通孔形状に形成されることを要件とする。
【0020】
これによれば、工具連結部を兼用する貫通孔に工具を連結して取付用ネジ部を回動させることが可能となる。
【0021】
また、前記本体に前記回動工具を挿入し回動させることが可能な大きさの工具挿入口が設けられ、該工具挿入口の密閉および開放が可能な蓋部が設けられることを要件とする。
【0022】
これによれば、工具挿入口から回動工具を挿入して取付用ネジ部を回動させることが可能となる。また、蓋部を備えて、流体通過時に工具挿入口の密閉が可能である。
【0023】
また、前記継手部と前記取付用ネジ部との間に、通過流体の流量を調整する流量調整機構を備えることを要件とする。
【0024】
これによれば、通過流体の流量を調整することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、本体に対する継手部の回動位置(角度)を変化させることが可能となり、外部配管の接続方向を変化させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳しく説明する。図1は、本発明の第一の実施の形態に係る管継手1の例を示す概略図である。図2は、その管継手1の継手部4の構成を示す概略図であり、図2(a)は正面断面図、図2(b)はは側面図である。図3は、その管継手1の本体2の構成を示す概略図であり、図3(a)は正面断面図、図3(b)は側面図である。図4は、その管継手1の取付用ネジ部3の構成を示す概略図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は正面断面図、図4(c)は正面図である。図5(a)〜(d)は、その管継手1の継手部4を回動させた状態の例を示す斜視図である。図6は、その管継手1の蓋部8を取り外した状態を示す概略図である。図7は、その管継手1の蓋部8の構成を示す概略図であり、図7(a)は平面図、図7(b)は正面図である。図8は、その管継手1の変形例を示す概略図である。図9は、本発明の第二の実施の形態に係る管継手1の例を示す概略図である。
【0027】
図1に示すように、本発明の第一の実施の形態に係る管継手1は、本体2の後端部2bに、外部配管60を接続・固定する継手部4を二箇所備え、先端部2aに、取付用ネジ部3を備えて、内部を流体が通過する構造である。
さらに、管継手1は、取付用ネジ部3によって外部流体機器(不図示)における流体が出入する接続孔に接続されることにより、管継手1を介して外部配管60と外部流体機器とを結ぶ流体の流路が構成される。
【0028】
継手部4は、図2に示すように、後端部4bにおいて、筒状部41の中心軸に対して中心軸が平行(ここでは、一致)となる開口部42が設けられ、外部配管60は継手部4の開口部42から軸線方向に挿入される。
一方、先端部4aには、開口部43を備える第1の連結部44が設けられる。本実施形態では、第1の連結部44の中心軸(ここでは、開口部43の中心軸と一致)が、筒状部41の中心軸に対して直交するように構成される。
ここで、外部配管60を接続・固定するために継手部4に設けられる接続機構5(図1参照)は、当該接続・固定機能を発揮する構成であれば足り、特にその構成は限定されるものではない。また、符号7は、開口部42に設けられるゴム製のパッキンであり、本体2および挿入される外部配管60に隙間なく密着することにより、通過させる流体が漏れないようにシールを行う。また、開口部42には、接続機構5およびパッキン7を継手部4の内部に保持するためのリング状のキャップ部50が設けられる。なお、符号40は管路である。
【0029】
本体2は、図3に示すように、後端部2bにおいて、筒上部21の中心軸を挟んで対向する位置(軸対象の位置)に、継手部4を連結するための第2の連結部24が二箇所設けられる。
第2の連結部24はそれぞれ、筒状部21の中心軸に対して径方向の外方に向かって開口する開口部22を有すると共に、先端部には係合突起26が設けられて、継手部4の第1の連結部44の係合部45に対して回動可能(回動方向は後述)に係合されることによって、本体2と継手部4との連結が行われる。また、これにより、本体2の開口部22と、継手部4の開口部42とが接続されて流体の流路が形成される。
【0030】
上記の連結構造によって、二つの継手部4は本体2に対してそれぞれ独立に回動可能となる。回動の方向は、継手部4の筒状部41の中心軸(ここでは、開口部42の中心軸と一致)と、本体2の筒状部21の中心軸(ここでは、開口部23の中心軸と一致)とのなす角度が変化する方向、すなわち、本体2の第2の連結部24の中心軸(ここでは、開口部22の中心軸と一致)を回動の中心として、継手部4の後端部4b(開口部42)の軌跡が円弧を描くように回動する。
このときの回動角度の範囲は特に限定されるものではない。したがって、360[°]回動可能としてもよく、また、任意の範囲内(例えば、−90[°]〜90[°]等)で回動可能としてもよい。
なお、Oリング62によって連結箇所のシール性を保っている。
【0031】
また、上記構成を備える管継手1は、例えば、図5(a)〜(d)に示すように、多様な外部配管接続方向に対応させることが可能となる。すなわち、従来は、全体がY字状(図5(a)に対応)、全体がT字状(図5(b)に対応)、継手部同士がL字状(図5(c)に対応)、継手部同士がU字状(図5(d)に対応)等のように、それぞれ別の種類の管継手として、金型形成および製造が行われていたのに対し、本実施形態に係る管継手1は一種類のみで、継手部4を回動させることにより、図5(a)〜(d)に例示される形状等のように、多様な形状に変化させて外部配管を接続させることが可能となる効果を奏する。また、金型の形成を含めた製造コスト、および設置コストの大幅な低減が可能になる。
【0032】
さらに、従来の管継手は継手部の配置が固定された構成であったため、外部流体機器の仕様変更等に伴い、流体の流れる方向を変える場合、別の形状の管継手に取り替えなければならないといった不具合もあった。
しかし、本実施の形態にかかる管継手1は、流体の流れる方向に応じて継手部4を回動させることにより自由に変更できるため、仕様変更等で流れる方向を変更する際にも、そのまま使用することが可能となる。
【0033】
一方、本体2の先端部2aには、取付用ネジ部3を連結するための第3の連結部25が設けられて、取付用ネジ部3の第4の連結部35との間で連結が行われる。
なお本体2は、一例として、熱安定性や寸法精度、電気特性に優れるPBT(ポリブチレンテレフタレート)を用いて構成される。
【0034】
ここで、取付用ネジ部3は、図4に示すように、後端部3bにおいて、本体2を連結するための第4の連結部35が設けられる。
第4の連結部35の先端部には係合突起36が設けられて、本体2の第3の連結部25の係合部27に対して回動可能(回動方向は後述)に係合されることによって、本体2と取付用ネジ部3との連結が行われる。これにより、本体2の開口部23と、取付用ネジ部3の開口部33とが接続されて流体の流路が形成される。
なお、第4の連結部35は、別体で形成して後端部3bに接続してもよく、本実施形態のように、インサート芯31に連続して一体で形成し、後端部3bから本体2の方向へ延出するように構成してもよい。
【0035】
上記の連結構造によって、取付用ネジ部3は本体2に対して回動可能となる。回動の方向は、取付用ネジ部3のインサート芯31の中心軸(ここでは、開口部33および34の中心軸と一致)と、本体2の筒状部21の中心軸(ここでは、開口部23の中心軸と一致)とが同軸で回動する。なお、Oリング63によって連結箇所のシール性を保っている。
【0036】
この構成によれば、例えば、狭い場所における取り付け時等、継手部4を回動させることが出来ない場合であっても、継手部4の向きを固定したまま、取付用ネジ部3のみを回動させることが可能となるため、管継手1の取り付けを行うことが可能となる。
さらに、取付用ネジ部3を共通部品化して量産化できるため、本体2に設けられる継手部4の多品種化に対応しつつ、製造コストの低減が可能となる。
【0037】
なお、変形例として、本体2の筒状部21と取付用ネジ部3のネジ山32とを一体に形成する構成も考えられる(図8参照)。この構成によれば、部品点数の削減および製造工程数の削減が可能となるため、製造コストをより低く抑えることが可能となる。
【0038】
また、図4に示すように、取付用ネジ部3は、外周にネジ山32を有すると共に、その内部には当該取付用ネジ部3を回動させるための回動工具を連結する工具連結部37と、流体が通過する管路30とを有する。
より詳しくは、取付用ネジ部3は、インサート芯31の外周に、ネジ山32が密着して形成されて、雄ネジとして構成される。また、ネジ山32の先端部と後端部とを軸線方向において挟み込むように、インサート芯31には先端部3aの位置に大径部41が設けられ、後端部3b(後端部3bよりも先端部3a寄りの中間部でもよい)に大径部42が設けられる。
【0039】
一方、ネジ山32は、インサート芯31よりも軟らかい材料で構成する。これにより、特に、ネジ山32をテーパネジ形状に形成する場合に顕著な効果が生じる。より具体的には、締結する際、径方向の圧縮力が作用して、軟らかい材料からなるネジ山32が螺合相手のネジ部(ここでは雌ネジ)の形状に対応して隙間を埋めるように変形して密着するため、シール性が格段に向上する。なお、軟らかい材料は、径方向の圧縮力によって、軸線方向のねじ込む方向およびそれと逆の方向の両方向に、いわば流出するように変形が生じてしまうが、本実施形態では、インサート芯31において先端部3aおよび後端部3bに設けられる大径部41および42によって、ネジ山32の両端部が挟み込まれて形成されているため、そのような変形が抑止されて、変形に起因した締結の緩みが長期にわたって防止される。
【0040】
上記変形を抑止するために、変形が生じる位置、すなわちネジ山32の山部32aおよび谷部32bの外径位置において、大径部41および42によって挟み込むように構成することが好適である。しかし、大径部41および42の外径は、ネジ山32の山部32aの外径よりも大きく形成すれば、挟み込みは十分となるが、先端部3aの大径部41がネジ山32よりも大径になると、雌ネジとの螺合が不可能となる。したがって、大径部42はネジ山32の山部32aよりも大径で、且つ大径部41はネジ山32の山部32aと同径である構成が、ネジ山32の両端部全体に接して抑止を行うために最適であるといえる。当該構成を実現するため、本実施形態では、特に、インサート芯31における先端部3aの大径部41の外周に、ネジ山32に連続するネジ山43が形成されている。すなわち、ネジ山32の山部32aおよび谷部32bと、ネジ山43の山部43aおよび谷部43bとが、それぞれ連続するように形成されて、一つのネジとして一体で機能させると共に、大径部41の外径を、許容範囲内で最適化(最大化)している。
【0041】
ここで、使用材料の例として、インサート芯31は、ポリアミドMXD6樹脂もしくはポリフェニレンサルファイド樹脂等が好適である。ポリアミドMXD6樹脂は、強度、耐熱性、弾性強度、耐薬品性、寸法安定性に優れ、工具の連結・使用が可能であり、ネジ部材として用いられる場合の高荷重にも耐えられる材料で、ガラス繊維を50%含ませることにより、さらに性能を向上させることができる。最適材料はReny(三菱瓦斯化学株式会社登録商標)である。また、ポリフェニレンスルファイド樹脂は、強度や剛性がきわめて高く、耐磨耗性にも優れる。ポリアミドMXD6樹脂よりも靭性が低いものの、食品安全性が高く、アメリカ食品医薬品局および米国科学財団では食品機器厨房用品や水道飲用水に接触する部分への使用を認可しているため、ネジの使用用途によっては最適材料となる。
一方、ネジ山32は、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が好適である。熱安定性や寸法精度、電気特性に優れるため、外周のネジ部分の材料として適している。
【0042】
上記構成を備えることによって、従来の管継手では金属材料を用いて形成していた取付用ネジ部を、樹脂材料で形成することが可能となり、取り付け時の高トルクに耐えられる構成を実現しつつ、製造コストを低下させることが可能となる。
また、本実施形態に係る取付用ネジ部3は、高いシール性と長期にわたる緩み防止が達成可能であるため、管用ネジとして好適である。さらに、取付用ネジ部3を管用テーパ雄ネジとしてJISB203等の規格を適用して形成することで、汎用性を高めることが可能となる。
【0043】
ところで、従来、管継手を外部流体機器に接続するための取付用ネジ部に関して、内部に管路を備えるため、回動用の工具を連結するための工具連結部は外周部に設けられるのが通常であった。
しかし、本実施形態に係る管継手1では、継手部4が回動可能に設けられているため、仮に外周部に工具連結部を設けてしまうと、外部配管の取付位置すなわち継手部4の回動位置(角度)によっては、当該工具連結部が継手部4の筒状部41と干渉して、工具の連結・回動が不可能あるいは困難になることが課題として想定される。
【0044】
さらに、本実施形態のように、取付用ネジ部3の外周部すなわちネジ山32が軟らかい材料からなる場合、工具連結部を形成するには不適である。その一方で、インサート芯31をネジ山32の延出部22よりも、後端部3bの方向に長く延出させて、その延出部に工具連結部を形成しようとすると、コンパクト性に欠けることとなる。
【0045】
そこで、本実施形態においては、管路と工具連結部とを兼用することが可能な構造を取付用ネジ部3の内部に設けることによって、上記の課題の解決を可能とした。
より具体的には、取付用ネジ部3のインサート芯31の内部に、管路30と取付用ネジ部3を回転させる回動工具を連結(嵌入)するための工具連結部37とを兼用する断面が多角形の貫通孔6を、当該インサート芯31の径の中心を通って軸線方向に貫通するように設けている。すなわち、工具連結部37となる貫通孔6が管路30の一部を成す構成である。ここで、貫通孔6の中心軸と、ネジ山32の中心軸とが一致するように構成する。
【0046】
一例として、貫通孔6は、軸線方向の一部もしくは全部を断面が正六角形に形成する。それによって、汎用六角レンチ61を使用して締結することが可能となる(図6参照)。ただし、貫通孔6の断面形状は正六角形には限定されず、他の多角形(例えば星型のような形状も含む)、もしくは楕円等のように正円以外の曲線からなる形状であってもよい。
【0047】
上記構成を備えることによって、六角レンチのような回動工具を取付用ネジ部3の内部に軸線方向に挿入して、工具連結部37に連結(嵌入)し、当該取付用ネジ部3を回動させることが可能となるため、本体2に対して回動可能に設けられる継手部4の位置(角度)に全く影響されることなく、取付用ネジ部3を回動させて管継手1を取り付けることが可能となる。
また、狭い場所においても、従来のように回動工具が回動できないことによる取り付け不能を回避でき、容易に取り付けることが可能となる。
さらに、電動回転工具等の使用も可能となるため、短時間に且つ容易に取り付けることが可能となる。
【0048】
加えて、本実施形態に特徴的な構成として、回動工具を挿入して回動させることが可能な大きさの工具挿入口28が本体2に設けられる。一例として、図1、図6、図7に示すように、工具挿入口28は、その中心軸が、本体2に連結される取付用ネジ部3の貫通孔6の中心軸と一致するように本体2に設けられる。さらに、貫通孔6の中心軸と一致するように本体2の内部に設けられる管路20および取付用ネジ部3に設けられる管路30は、回動工具の挿入路を兼用することとなる。このようにして、工具挿入口28から管路20、管路30を経て貫通孔6に至る、回動工具の挿入路が構成される。
なお、回動工具を挿入して回動させることが可能でさえあれば、工具挿入口28、管路20および管路30は、貫通孔6に対して中心軸を一致させることは必須ではなく、形状についても特に限定されるものではない。
【0049】
一方、工具挿入口28は、流体を通過させる際に、シールする必要があることから、当該工具挿入口28を密閉および開放することが可能な蓋部8が設けられる。本実施形態では、工具挿入口28と蓋部8との間にOリング64を設けて流体が漏れないようにシールを行っている。ここで、図1は蓋部8が取り付けられた状態の図であり、図6は蓋部8が取り外された状態の図である。
なお、蓋部8と工具挿入口28との締結方法は、ネジによる螺合方式としたが、これに限定されるものではない。また、締結に使用する工具もドライバー、レンチ等、どのようなものであってもよく、蓋部8の上面を該工具に対応した工具連結用形状とすればよい。
一例として、図7に示すように、本実施形態においては、汎用マイナスドライバーにより回動可能なように、蓋部8の上面の工具連結用形状をマイナス形状の溝(符号10)としている。他の例として、マイナス形状に代えて、貫通孔6の断面(正六角形)の大きさと同一の正六角形の溝とすれば、共通の回動工具(六角レンチ)によっていずれも回動させることが可能となるため、非常に効率的である。
【0050】
続いて、第二の実施の形態に係る管継手1について説明する。
本実施形態の管継手1は、前記第一の実施の形態を基本構成とし、各継手部4と本体2との間に、通過流体の流量を調整する流量調整機構9が設けられる構成である。
流量調整機構9については、様々な構成が考えられるが、例えば、図9に示すように、先端部にV字状の切欠部56が設けられたニードル55を、調整ダイヤル57を用いて軸方向に移動させて、当該切欠部56とチェック弁58とによって形成される流路の面積を拡大もしくは縮小することによって、通過流体の流量を調整する機構である。なお、図中、矢印Aが制御流、矢印Bが自由流の流れ方向を示す。この構成によれば、前記第一の実施の形態と同様の効果が得られることに加えて、各継手部4において流量調整を行うことが可能となる。
【0051】
以上説明したように、本発明によれば、本体に対する継手部の回動位置(角度)を変化させることが可能となり、外部配管の接続方向を変化させることが可能となる。特に、複数の継手部を独立に回動させることにより、多様な形状に変化させて外部配管を接続させることが可能となる。
さらに、回動工具を取付用ネジ部の内部に軸線方向に挿入して、工具連結部に連結し、当該取付用ネジ部を回動させることが可能となるため、本体に対して回動可能に設けられる継手部の位置(角度)に全く影響されることなく、取付用ネジ部を回動させて管継手を取り付けることが可能となる。また、狭い場所においても、従来のように回動工具が回動できないことによる取り付け不能を回避でき、容易に取り付けることが可能となる。
【0052】
なお、継手部が二つである構成を例にとり説明をしたが、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る管継手の例を示す概略図である。
【図2】図1の管継手の継手部の構成を示す概略図である。
【図3】図1の管継手の本体の構成を示す概略図である。
【図4】図1の管継手の取付用ネジ部の構成を示す概略図である。
【図5】図1の管継手の継手部を回動させた状態の例を示す斜視図である。
【図6】図1の蓋部を取り外した状態を示す概略図である。
【図7】図1の管継手の蓋部の構成を示す概略図である。
【図8】図1の管継手の変形例を示す概略図である。
【図9】本発明の第二の実施の形態に係る管継手の例を示す概略図である。
【図10】従来の実施の形態に係る管継手の例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0054】
1 管継手
2 本体
3 取付用ネジ部
4 継手部
5 接続機構
6 貫通孔
7 パッキン
8 蓋部
9 流量調整機構
12 開口部
28 工具挿入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の一端側に、継手部を備え、他端側に、取付用ネジ部を備える管継手であって、
前記本体は、内部に流体が通過する管路を有し、
前記継手部は、先端部に外部配管が挿入される開口部を有すると共に、内部に流体が通過する管路を有して、該開口部の中心軸と前記取付用ネジ部の中心軸とのなす角度が変化する方向に回動可能なように、本体の側面部に設けられる連結部に連結され、
前記継手部の管路は、一端が前記開口部に連通し、他端が前記連結部を介して前記本体の管路に連通すること
を特徴とする管継手。
【請求項2】
前記継手部は、複数設けられること
を特徴とする請求項1記載の管継手。
【請求項3】
前記継手部は、前記本体を挟んで対向する位置に二箇所設けられて、それぞれが独立に回動可能であること
を特徴とする請求項1または請求項2記載の管継手。
【請求項4】
前記取付用ネジ部は、外周にネジ山を有し、内部に該取付用ネジ部を回動させる回動工具を連結する工具連結部および流体が通過する管路を有すること
を特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の管継手。
【請求項5】
前記本体と前記取付用ネジ部とが相互に同軸で回動可能に連結されること
を特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の管継手。
【請求項6】
前記取付用ネジ部の管路の一部もしくは全部が、該取付用ネジ部を回動させる回動工具の連結が可能な形状に形成されて、前記工具連結部を兼用すること
を特徴とする請求項4または請求項5記載の管継手。
【請求項7】
前記取付用ネジ部の管路における前記工具連結部を兼用する箇所は、断面が多角形もしくは楕円形の貫通孔形状に形成されること
を特徴とする請求項6記載の管継手。
【請求項8】
前記本体に前記回動工具を挿入し回動させることが可能な大きさの工具挿入口が設けられ、
該工具挿入口の密閉および開放が可能な蓋部が設けられること
を特徴とする請求項4〜7のいずれか一項記載の管継手。
【請求項9】
前記継手部と前記取付用ネジ部との間に、通過流体の流量を調整する流量調整機構を備えること
を特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の管継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−101432(P2010−101432A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273538(P2008−273538)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【特許番号】特許第4355020号(P4355020)
【特許公報発行日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(302012822)有限会社浜インターナショナル (12)
【Fターム(参考)】