説明

箱形容器

【課題】箱形容器内で収容する詰替袋をフィルム製とし、より簡便な構成で袋の使い勝手を向上させる。
【解決手段】箱形容器1が、粉末状物質が充填されたフィルム製の袋10、該袋10を収容した箱形の容器本体30、容器本体30の開口部を覆う蓋40を備える。袋10は、底部又は側部にマチ11を有し、上部が平袋型で、上端部に対して底部で袋の正味の幅W1が狭い逆テーパー型である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末洗剤等の粉末状物質の容器として好適な箱形容器に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末洗剤等の顆粒ないし粉末の粉末状物質に用いる容器として、板紙、プラスチックシート等の板紙状材料からなる箱形容器が使用されている(特許文献1)。この箱形容器は、内容物の使用後には通常廃棄される。
【0003】
これに対し、省資源化の点から、内容物を詰替袋に充填し、その袋ごと箱形容器に入れることにより、箱形容器を繰り返し利用することが知られており、詰替袋を厚紙製とし、その詰替袋の開封容易性を高めるため、側面上部に外方へ突出する引剥爪とその引剥爪に対応する部分に引剥用ガイドテープを設け、また、廃棄時にはコンパクトに袋を折り畳めるようにするために袋の底部に折曲げ線を設けることが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−1221号公報
【特許文献2】実開平6−32364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、詰替袋として厚紙製のものを使用し、袋体へ折曲げ線の加工をし、開封のための引剥爪や引剥用ガイドテープを設けることは、袋の製造コストが高くなる。そこで、本発明は、箱形容器内で収容する詰替袋をフィルム製とし、より簡便な構成で詰替袋の使い勝手を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題に対し、本発明者は、内容物の詰替用袋として箱形容器にそのまま収容する袋を、フィルムを用いて形成し、かつ、その袋を逆テーパー型に形成することにより上述の目的を達成できることを見出した。
【0007】
即ち、本発明は、粉末状物質が充填されたフィルム製の袋、該袋を収容した箱形の容器本体、容器本体の開口部を覆う蓋を備えた箱形容器であって、袋が、底部又は側部にマチを有し、上部が平袋型で、上端部に対して底部で袋の正味の幅が狭い逆テーパー型であり、袋が幅方向に引裂直進性を有する箱形容器を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の箱形容器によれば、容器本体に収容する袋を1枚のフィルムから製造することができるので、厚紙製の袋に対して低コストに得ることができる。
【0009】
また、この袋はフィルムで形成されていることにより、ノッチの形成、引裂直進性を有するフィルムの使用、引裂誘導シールの形成などの種々の方法で袋の幅方向の引き裂き性を向上させることができる。したがって、本発明の箱形容器によれば、袋を箱内に収容したまま、袋の上端部を手で容易に開封することができる。さらに、開封後には、袋内に充填されている粉末状物質が広がろうとすることにより袋が容器本体の内壁に押しつけられるので、袋が大きく開口する。よって、容器本体内で袋が大きく開口するように袋を容器本体の内壁に掛止させるための切り込み、穴、押さえ部材などを容器本体に設けることが不要となる。
【0010】
さらに、袋の形状が逆テーパー型であるので、袋の詰め替え時に、容易に袋を容器本体に挿入することができる。
【0011】
加えて、容器本体と袋が別体になっているため、容器本体と袋の間に計量用スプーンを収容することができる。したがって、本発明によれば、計量用スプーンが袋内の粉末状物質に埋もれることを防止でき、計量用スプーンに粉末状物質が付着することによる不快感の発生も解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例の箱形容器の斜視図である。
【図2】図2は、図1の箱形容器とその中に収容されている袋とスプーンの斜視図である。
【図3】図3は、粉末状物質が充填されていない袋の(1)正面図、(2)A−A図、(3)B−B図、及び(4)底面図である。
【図4】図4は、図1の箱形容器の容器本体を開けた状態の斜視図である。
【図5】図5は、図1の箱形容器の容器本体から袋の上端を引き出した状態の斜視図である。
【図6】図6は、図1の箱形容器において袋を引き裂くときの斜視図である。
【図7】図7は、図1の箱形容器において袋を引き裂いた後の斜視図である。
【図8】図8は、粉末状物質が充填されていない袋の(1)正面図及び(2)A−A図、(3)B−B図である。
【図9】図9は、粉末状物質が充填されていない袋の(1)正面図及び(2)C−C図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明を具体的に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0014】
図1は、本発明の一実施例の箱形容器1の斜視図である。この箱形容器1は、図2に示す、粉末状物質が充填されたフィルム製の袋10と計量スプーン20を矩形の容器本体30に収容し、蓋40で容器本体30の開口部を閉じたものである。
【0015】
図3は、袋10の説明の便宜上、内容物を入れない状態での袋10の正面図(1)とA−A図(2)、B−B図(3)及び底面図(4)を示したものである。同図に示すように、この袋10は、1枚のフィルムシートを、底部に折り返しのマチ11が形成されるように矩形に折りたたみ、両側部にヒートシール等によりサイドシール12を形成し、上端部にトップシール13を形成し、底部の折り返し部にヘムシール14を形成したものである。この場合、両側部のサイドシール12は、マチ11の領域では底部側にいくほどシール幅が広くなっている。また、トップシール13とサイドシール12により、袋10の上部は平袋型にシールされている。このため、底部において内容物が充填される袋の正味の幅W1 が、袋10の上端部において内容物が充填される袋の正味の幅W2 よりも狭く、袋10に粉末状物質が充填されると、図2に示すように、上端部に対して下端部の幅が狭い逆テーパー型となり、マチ11により形成される底部の面積(図3(4)でハッチングを付した部分に対応する面積S)を容器本体30の底面の面積と同等若しくはそれよりも狭くすることができる。したがって、容器本体30内の袋10を詰め替えるときに、容易に袋10を容器本体30に挿入することができる。また、この袋10には、底部にヘムシール14が形成されているので、内容物である粉末状物質が袋10に充填されると、袋10の底部のマチ11が袋10の厚み方向に広がるため、詰め替え袋単体としての自立性が安定する。
【0016】
さらに、袋10には、図3に示すように、トップシール13の下方に、袋10の表裏のフィルムを袋10の幅方向に帯状にシールした引裂誘導シール15を形成し、引裂誘導シール15の直下のサイドシール12の領域にノッチ16を形成することが好ましい。これにより、図6に示すように、表裏のフィルムが共に引裂誘導シール15に沿って引き裂かれるので、表裏のフィルムの引裂方向が揃い、袋10を容器本体30に入れたまま、容易に袋10を幅方向に開口することができる。特に、袋10が引裂性を有さない汎用的なフィルムである場合に、引裂誘導シール15とノッチ16の形成が袋10を幅方向に直線的に引き裂く引裂直進性の向上に有用である。また、袋10が引裂性を有するフィルムで形成されている場合でも、引裂誘導シール15やノッチ16が形成されていないときにトップシール13の直下以外で袋10を引き裂こうとすると、袋10の表裏のフィルムが揃わず、段違いになったり、片側のフィルムが飛び出したりすることにより、開封後の袋10の使い勝手が低下することがあるが、引裂誘導シール15とノッチ16の形成により、このような不都合をなくすことができ、袋の幅方向の引裂直進性を顕著に高めることができる。なお、引裂誘導シール15の形成方法としては、ヒートシール、超音波シール、高周波シール等によることができる。
【0017】
袋10の上端部で開口したときの開口部の周長は、容器本体30の内寸の周長に対して、略同寸法とすることが好ましい。これにより、図7に示すように、袋10を開封後、袋10内の粉末状物質Pが広がろうとすることにより、袋10の周面の略全面が容器本体30の内壁に押しつけられる。このため、袋10は開口形状が広く安定し、粉末状物質Pを計量スプーン20で取り出しやすくなる。ここで、同寸法程度とは、袋10の上端開口部の周長が容器本体30の内寸の周長に対して過度に短いことにより、袋10の上端開口部が内側に倒れたり、反対に袋10の上端開口部の周長が過度に長いことにより袋10にたるみができない程度に、袋10の上端部開口の周長と容器本体30の内寸の周長が同程度であればよい。これに対し、袋10の上端開口部が内側に倒れたり、たるみができたりしていると、内容物を計量スプーン20で計量し難くなる。
【0018】
この箱形容器1において、袋10を形成するフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ナイロン等のポリアミド;低密度ポリエチレン(LDPE)、リニア低密度ポリエチレン(L−LDPE)、延伸ポリプロピレン(OPP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)等のオレフィン系フィルム等が挙げられ、単層又は積層フィルムとして使用できる。また、上記フィルムを延伸などにより引裂直進性を有するフィルムとしてもよい。これにより袋の開封操作が容易になる。引裂直進性を有するフィルムを使用する場合には、その引裂方向が袋10の幅方向となるように使用する。引裂直進性を有するフィルムとしては、引裂直進性を有するフィルム層単独あるいは、引裂直進性を有するフィルム層と、他のフィルム層との積層フィルムとすることができる。引裂直進性を有するフィルムは、袋に引裂性を付与する袋上部のみに使用してもよい。
【0019】
また、袋10を形成するフィルムの厚さとしては、内容物が無い状態でも袋10が自立する程度にフィルムがコシを有するように、通常40〜200μmとすることが好ましい。これにより、袋10を開封後、袋10内の粉末状物質の使用に伴って粉末状物質が減り、粉末状物質が袋10を容器本体30の内壁に押しつける位置が下がっても、袋10が開口状態を維持し、粉末状物質の取り出しやすさを保つことができる。なお、袋10の自立性は、前述のように、袋10の底部にヘムシール14を形成することによっても向上させることができる。
【0020】
また、袋10を形成するフィルムとしては、袋10に充填する粉末状物質に応じて、酸素、水などに対してバリア性を有するものを使用することが好ましい。これにより、容器本体30自体のバリア性を低下させることができ、容器本体30の製造コストを低減し、箱形容器1全体としての製造コストも低減させることができる。袋10を形成するフィルムにバリア性を持たせるためには、袋10を形成するフィルムに、バリア性を有するフィルム層を積層すればよい。この他、必要に応じて、袋10を形成するフィルムには、印刷適正を向上させる層や、シール性を向上させる層を設けても良い。
【0021】
一方、容器本体30としては、板紙、プラスチックシート等の板紙状材料を用いて形成された直方体型の容器とすることができる。
【0022】
また、蓋40は、容器本体30の上面開口部を覆うものであればよく、例えば、その一縁辺が容器本体30の背面とヒンジ状に結合したものを使用することができる。
【0023】
箱形容器1の使用方法としては、図4に示すように、蓋40を開け、容器本体30内に収容されていた計量スプーン20を取り出し、図5に示すように、袋10の上部を容器本体30から引き出し、図6に示すように、袋10の側部を摘んで袋10をその幅方向に引き裂く。この引裂により、袋10はその全幅にわたってその上端部が除去される。そして、図7に示すように、容器本体30内に残った袋10は、袋10内の粉末状物質Pによって容器本体30の内壁に、矢印で示すように押しつけられ、広く開口する。
【0024】
袋10内の粉末状物質Pの使用により、粉末状物質Pが無くなった場合には、粉末状物質Pが充填された新たな詰め替え用の袋10を用意し、それまでの袋10と取り替える。この取り替え時において、粉末状物質Pが充填された袋10は逆テーパー型をしているので、容易に袋10を容器本体30に挿入することが可能となる。
【0025】
以上、図1に示した箱形容器1について、本発明の一実施例を説明したが、本発明は、種々の態様をとることができる。例えば、袋としては、図8に示すように、袋10Bの底部にマチ11を設けるとともに、袋10Bの底部が舟形になるように、底部の両サイドをシールするとともにカットし、底部の両サイドでは、2筋のサイドシールが重なり合うようにしてもよい。
【0026】
また、トップシール13のシール幅L1を幅広に形成することにより、引裂誘導シール15を省略し、トップシール13の直下のサイドシール12部分にノッチ16を形成してもよく(図示せず)、また、フィルムの引裂性等によりノッチ16を省略してもよい。なお、引裂誘導シール15を省略する場合のトップシール13のシール幅L1としては、トップシール13の直下で袋10Bが引き裂けるように袋10Bの上端を摘む場合の摘み易さの点から、20mm程度以上とすることが好ましい。
【0027】
また、袋としては、図9に示すように、袋10Cの上部をピロー型としてもよく、袋10Cの両サイドにマチ11を設け、袋10Cの底部では、マチ11の折り込み形状のままボトムシール17を形成してもよい。これらの袋10B、10Cも粉末状物質を充填すると逆テーパー型となるので、袋の詰め替え時に容易に容器本体に挿入することができる。
【0028】
また、上述した各袋において、袋の引裂直進性を向上させるために、袋の全幅に亘り、レーザー等で切断線となるハーフカットを形成してもよい。
【0029】
なお、袋10に充填する粉末状物質としては、粉末洗剤、砂糖、塩等の顆粒ないし粉末の粉末状物質をあげることができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の箱形容器は、粉末洗剤等の粉末状物質の容器として有用である。
【符号の説明】
【0031】
1 箱形容器
10 袋
11 マチ
12 サイドシール
13 トップシール
14 ヘムシール
15 引裂誘導シール
16 ノッチ
17 ボトムシール
20 計量スプーン
30 容器本体
40 蓋
P 粉末状物質

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末状物質が充填されたフィルム製の袋、該袋を収容した箱形の容器本体、容器本体の開口部を覆う蓋を備えた箱形容器であって、袋が、底部又は側部にマチを有し、上部が平袋型で、上端部に対して底部で袋の正味の幅が狭い逆テーパー型であり、袋が幅方向に引裂直進性を有する箱形容器。
【請求項2】
袋が、底部に折り返しのマチを有し、マチにより形成される底部の面積が容器本体の底面の面積と同等以下である請求項1又は2記載の箱形容器。
【請求項3】
袋の表裏のフィルムを袋の幅方向に帯状にシールした引裂誘導シールが、袋の上端のトップシールの下方に形成され、該引裂誘導シールの直下にノッチが形成されている請求項1記載の箱形容器。
【請求項4】
袋を形成するフィルムが、袋の幅方向に引裂直進性を有する請求項1〜3のいずれかに記載の箱形容器。
【請求項5】
袋が、内容物の無い状態で自立性を有する請求項1〜4のいずれかに記載の箱形容器。
【請求項6】
容器本体と袋の間に計量スプーンが収容されている請求項1〜5のいずれかに記載の箱形容器。
【請求項7】
袋の開口部の周長が、容器本体の内寸の周長と略同寸法である請求項1〜6のいずれかに記載の箱形容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−105341(P2011−105341A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262208(P2009−262208)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】