説明

籠体及び籠体の製造方法

【課題】帯筋とストランドとの交差部における回転可能な結合手段を小型かつ簡易なものとし、帯筋と結合手段との接合を溶接以外の方法とし、縮小率に優れ、強度の高い伸縮可能な籠体および籠体の製造方法を提供する。
【解決手段】ストランド5の内周に強固な構造の補強リング7を所定の間隔で配置し、籠体1の伸縮時に発生するストランド5の曲げ変形、ねじり変形を拘束する。帯筋結合手段は、ストランド5の曲げ変形、ねじり変形を拘束する必要が無いため、簡易かつ溶接以外の方法による結合とする。また、籠体1の伸縮時に、帯筋3のピッチを一定に保つため、帯筋連結部材により、補強リング7と帯筋3を所定の間隔ですだれ状に連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縮小率に優れる伸縮可能な籠体および籠体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
場所打ち杭等の鉄筋コンクリート部材において、上空の空間に制限がある場所での施工性を向上させる目的で、軸方向鋼材にPC鋼より線等を用い、伸縮可能な鉄筋籠が用いられている。図1は、伸縮式の籠体1を示す概念図である。
【0003】
図1の(a)は、籠体1が完全に伸びた状態を表し、(c)は、完全に縮小させた状態、(b)はその中間の状態を示した図である。籠体1は、軸筋であるストランド5と、ストランド5を囲むように所定の間隔で配置された帯筋3からなり、ストランド5と帯筋3との交差部は、後述する回転結合部材で回転可能に結合される。
【0004】
図10(a)は回転結合部材120の斜視図、(b)はストランド133、帯筋135の結合状態を示す分解斜視図である。回転結合部材120は、筒状の鋼製スリーブ121、スタッドボルト123、ワッシャ125、L字の鋼製アングル127、ナット129、131からなる。
【0005】
ストランド133は、スリーブ121に通され、樹脂により固定される。スリーブ121にはスタッドボルト123が溶接され、ワッシャ125を挟んでアングル127がナット129、131で止められる。帯筋135は、アングル127に溶接される。また、アングル127は、スリーブ121に対して図中A方向に回転可能であり、ストランド121と帯筋135は回転可能に結合される。
【0006】
このような回転結合部材120を用いて、図1(a)のA方向にストランド5を円弧上に曲げることで、帯筋3の配筋間隔を縮めることが可能であり(図1(b)、(c))、籠体1の全長Lを縮小する事ができ、ストランド5を直線状に伸ばすことで、帯筋3の配筋間隔を元に戻す(図1(a))ことが可能である。
【0007】
従来、このような伸縮式鉄筋籠として、(1)ストランドを保持する第1の筒状部材に固定したアングルと、帯筋を保持する第2の筒状部材に固定したアングルを結合した結束治具を使用した籠体(特許文献1)、(2)前述のような、筒状部材に溶接したスタットボルトとアングルを結合した結合治具を使用した籠体がある(特許文献2)。
【特許文献1】特開2005−48519号公報
【特許文献2】特開2006−89960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、(1)、(2)の籠体ともに、以下のような問題がある。
【0009】
図11は、前述の回転結合部材120を使用した際の、帯筋135の配置を示した図であり、(a)は籠体が伸びた状態(図1(a)の状態)、(b)は籠体が縮小した状態(図1(c)の状態)を示す図である。籠体が伸びた状態では、帯筋135a、135bは、所定の間隔pで配置されている。籠体を縮小すると、帯筋135a、135bは、間隔hまで縮小する。
【0010】
所定の間隔pは、設計基準等によっても定められており、籠体の部位によっては変更する事ができない。間隔hは、ほぼ結合治具のアングル127の高さにより決定される。すなわち、籠体の縮小率は、h/pで表す事ができるが、縮小効率を高めるためには、結合治具を小さくする必要がある。しかし、結合部のストランドの曲げ変形、ねじり変形を拘束するため、結合治具は大型で頑強な構造を要し、小型で簡易なものは使用できないという問題がある。
【0011】
また、従来のように、溶接等により、確実にストランドと帯筋が固定されていないと、籠体の伸縮時に帯筋のピッチがずれてしまう恐れがあるという問題がある。
【0012】
更に、帯筋とストランドを強固に固定するため、帯筋と結合部材との結合に溶接を使用すれば、溶接部の帯筋の強度低下を招くとともに溶接箇所の検査に相当の工数を要するという問題がある。また、溶接ができない高強度の帯筋を使用する事ができないという問題がある。
【0013】
図12は帯筋加工時の溶接方法を示した図で、(a)は2本のC字の帯筋を重ねるようにフレア溶接したものであり、(b)は突合せ溶接により加工された溶接閉鎖型の帯筋を示したものである。
【0014】
伸縮式の籠体では、帯筋の真円度が悪いと、その部位におけるストランドの曲げ変形およびねじり変形の拘束により、帯筋とストランドとの交差部に局所的に大きな応力が発生する恐れがあるため、より真円度の高い溶接閉鎖型の帯筋を使用する必要がある。しかし、溶接閉鎖型の帯筋加工には高度な技術が求められ、コストが高いという問題がある。
【0015】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、帯筋とストランドとの交差部における回転可能な結合手段を小型かつ簡易なものとし、帯筋と結合手段との接合を溶接以外の方法とし、縮小率に優れ、強度の高い伸縮可能な籠体および籠体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前述した目的を達成するため、第1の発明は、軸筋であるストランドと、前記ストランドの周囲に設けられた帯筋と、前記ストランドの内面及び外面の少なくとも一方に設けられた補強リングと、前記ストランドと前記補強リングとを、交差角が変化可能なように結合する補強リング結合手段と、を具備し、前記ストランドを円弧上に曲げることで、前記帯筋の配筋間隔を縮めることが可能であり、前記ストランドを直線状に伸ばすことで、前記帯筋の配筋間隔を元に戻すことが可能であることを特徴とする籠体である。
【0017】
前記補強リングは、前記補強リング結合手段との結合部である複数のU溝を具備してもよく、また、円環の少なくとも1箇所に設けられた切断部を具備してもよい。
【0018】
前記補強リング結合手段は、前記ストランドを保持する筒状部材と、端部が前記筒状部材に固定され、前記補強リングを貫通する棒材と、前記補強リングが前記棒材から抜け落ちることを防ぐために前記棒材に設置される接合部材と、を具備してもよい。
【0019】
前記ストランドと前記帯筋とを、交差角が変化可能なように結合する帯筋結合手段を更に有してもよい。
【0020】
この場合、前記帯筋結合手段は、前記ストランドを保持するストランド結合部材と、前記帯筋を保持する帯筋結合部材と、からなり、前記帯筋結合部材は、前記帯筋を挟持する一箇所以上の挟持部と、前記帯筋結合部材と前記ストランド結合部材とを回転可能に接合する接合部材と、を具備し、前記帯筋が前記挟持部に挿嵌され、前記挟持部と前記帯筋が固定されてもよく、また、前記帯筋結合手段は、前記ストランドを保持するストランド結合部材と、前記帯筋を保持する帯筋結合部材と、からなり、前記帯筋結合部材は、前記帯筋と接する締結部と、前記帯筋結合部材と前記ストランド結合部材とを回転可能に接合する接合部材と、を具備し、前記締結部が締結部材で前記帯筋に固定されてもよい。
【0021】
前記帯筋を一定間隔に連結する帯筋連結部材を更に有してもよい。
【0022】
第1の発明によれば、帯筋とストランドとの交差部における回転可能な結合手段を小型かつ簡易なものとすることができ、また、帯筋と結合手段との接合を溶接以外の方法とすることができるため、縮小率に優れ、強度の高い伸縮可能な籠体を提供することができる。
【0023】
第2の発明は、複数の前記帯筋を所定の間隔で配置する工程(a)と、前記帯筋の内側に所定の中心角度間隔で、予め所定の間隔で筒状部材が取り付けられたストランドを配置する工程(b)と、前記帯筋と前記ストランドの交差部を前記帯筋結合手段で結合する工程(c)と、前記補強リングの切断部が重なりあうように外径を縮小する工程(d)と、外径が縮小した状態の前記補強リングを、前記ストランドの内側へ挿入する工程(e)と、前記筒状部材取り付け位置で、外径が縮小した状態の前記補強リングの外径を戻す工程(f)と、前記補強リングの切断部を連結版で連結する工程(g)と、前記補強リングと前記筒状部材を結合する工程(h)と、を具備することを特徴とする籠体製造方法である。
【0024】
前記工程(h)の後に、前記帯筋連結部材にて前記補強リングと前記帯筋を所定の間隔で連結する工程(i)を、更に具備してもよい。
【0025】
第2の発明によれば、帯筋とストランドとの交差部における回転可能な結合手段を小型かつ簡易なものとすることができ、帯筋と結合手段との接合を溶接以外の方法とすることができるため、縮小率に優れ、強度の高い伸縮可能な籠体の製造方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、帯筋とストランドとの交差部における回転可能な結合手段を小型かつ簡易なものとし、帯筋と結合手段との接合を溶接以外の方法とし、縮小率に優れ、強度の高い伸縮可能な籠体および籠体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、伸縮式の籠体1を示す概念図であり、図1の(a)は、籠体1が完全に伸びた状態を表し、(c)は、完全に縮小させた状態、(b)はその中間の状態を示した図である。図1(a)のA方向にストランド5を円弧上に曲げることで、帯筋3の配筋間隔を縮めることが可能であり、籠体1の全長Lを縮小する事ができる。また、ストランド5を直線状に伸ばすことで、帯筋3の配筋間隔を元に戻すことが可能である。
【0028】
前述の通り、籠体1は、軸筋であるストランド5と、ストランド5を囲むように所定の間隔で配置された帯筋3とからなり、ストランド5と帯筋3との交差部は、後述する帯筋結合手段による、回転可能に結合される。また、ストランド5内部には、所定の間隔で補強リングが設置され、ストランド5と補強リングは補強リング結合部材により回転可能に結合される。補強リング及び補強リング結合部材の詳細については、後述する。
【0029】
図2は、籠体1の製造方法を示すフローチャートである。籠体1の製造方法は、まず、リング状の帯筋3を所定の間隔で配置する(ステップ201)。帯筋3の配置間隔は、籠体径をDとすると、杭頭から2Dの範囲では150mm間隔としなければならいが、それ以外の部位については、必要な強度に応じて計算により求められる。
【0030】
なお、帯筋3には高い真円度は要求されない。すなわち、図12で示したように、2本のC字の帯筋を重ねるようにフレア溶接したものであっても、突合せ溶接により加工された溶接閉鎖型であってもよい。また、帯筋3の材質は特定しないが、鉄筋等でよい。
【0031】
次に、帯筋3の内側に所定の中心角度間隔でストランド5を配置する(ステップ202)。ストランド5の径、本数及び間隔については、必要な強度に応じて計算により求められる。ストランド5は、可撓性を有する材料であり、例えばPC鋼より線、ワイヤロープの他、炭素繊維、グラスファイバー、アラミド繊維等をより合わせたものが用いられる。
【0032】
次に、帯筋3とストランド5の交差部を帯筋結合手段で結合する(ステップ203)。図3は帯筋結合手段30を示す図である。帯筋結合手段30は、帯筋結合部材31とストランド結合部材33とから構成される。
【0033】
帯筋結部材31は、コの字状の板状部材であり、対面する2つの面(以後、コの字状部材において「側面」と呼ぶ)には、ボルト39を挿入する穴が各2箇所設けられる。2つの側面の間に位置する面(以後、コの字状部材において「底面」と呼ぶ)には、ストランド結合部材33と、回転可能に結合を行うためのボルト35を挿入する穴が設けられる。2つの側面と底面に囲まれる部分は、挟持部32であり、帯筋3が挿嵌される。
【0034】
コの字状の板状部材であるストランド結合部材33は、帯筋結合部材31と同様の構造を有する。すなわち、2つの側面にはボルト37を挿入する穴が各2箇所設けられ、底面には、帯筋結合部材31と、回転可能に結合を行うためのボルト35を挿入する穴が設けられる。2つの側面と底面に囲まれる部分は、挟持部34であり、ストランド5が挿嵌される。
【0035】
帯筋結合部材31とストランド結合部材33は、ボルト35とナット45とで回転可能に結合される。帯筋3は挟持部32に挿嵌され、ボルト39、ナット43により抜け落ちが防止される。同様に、ストランド5は挟持部34に挿嵌され、ボルト37、ナット41により抜け落ちが防止される。
【0036】
帯筋結合部材31、ストランド結合部材33は、材質は特定しないが、例えば鉄鋼製、アルミ製、樹脂製等で良い。また、挟持部32、挟持部34の大きさは、それぞれ帯筋3、ストランド5の径に対して厳密に同一でなくてもよく、取り付け時に遊びがあっても構わない。また、帯筋結合部材31とストランド結合部材33が回転可能に結合できれば、ボルト35、ナット45に替えて、リベット等を用いても良い。
【0037】
次に、補強リング7を取り付ける。(ステップ204〜208)。図4は、補強リング7の構造及び、補強リング7とストランド5との結合状態を示す図である。補強リング7は、補強リング本体9と、補強リング本体9の切断部13を連結する板状の連結板15及びボルト17とから構成される。補強リング本体9は、断面がL字である板状部材を環状にしたものであり、補強リング7の中心軸方向と平行な外周面と、補強リング7の中心方向に向かい外周面と垂直な方向の面を有する。
【0038】
補強リング本体9の外周面の端部には、ストランド5の本数に対応する複数のU溝11を有する。また、補強リング本体9は、円周方向の一部に切断部13を有する。切断部13が、板状の連結板15及びボルト17により連結されることで、補強リング本体9は、完全な環状となる。
【0039】
ストランド5の補強リング7取り付け位置には、予め回転結合部材19が取り付けられる。回転結合部材19は、筒状のスリーブ21とスタッドボルト23とから構成される。スリーブ21とスタッドボルト23は溶接で接合される。ストランド5はスリーブ21に挿入され、所定の位置で樹脂で固定される。なお、スリーブ21の材質は特定しないが、鉄鋼製、ステンレス製等でよい。
【0040】
スタッドボルト23は、ワッシャ25及び補強リング本体9のU溝11に挿入され、ボルト27、29により補強リング7と結合される。すなわち、補強リング7とストランド5は回転可能に結合される。
【0041】
図5は、補強リング7の取り付け方法を示した図である。まず、補強リング本体9の切断部13が重なりあうように外径を縮小する(ステップ204)。
【0042】
次に、外径を縮小した状態のまま、補強リング本体9を、ストランド5の内側へ挿入する(ステップ205)。図5(a)は、切断部13が重なり合うように外径を縮小した状態の補強リング本体9が、ストランド5の内側に挿入された状態を示す図である。
【0043】
次に、予めストランド5に回転結合部材19が取り付けられた補強リング7の取り付け位置で、外径を縮小した状態の補強リング本体9の外径を、元の外径に戻す(ステップ206)。回転結合部材19のスタッドボルト23には、予めワッシャ25が挿入されており、外径の戻った補強リング本体9のU溝11をスタッドボルト23へ被せるように挿嵌する。
【0044】
次に、補強リング本体9の切断部13を連結板15及びボルト17で連結する(ステップ207)。
【0045】
次に、補強リング本体9と回転結合部材19のスタッドボルト23をナット27、29で結合する(ステップ208)。図5(b)は、ストランド5と補強リング7が結合された状態を示す図である。
【0046】
補強リング7の配置ピッチは、ストランド5の径などに応じて決める必要がある。すなわち、籠体1の伸縮時にストランド5の曲げ変形、ねじり変形を拘束し、鉄筋籠の精度を維持するために必要なピッチで配置する必要があり、例えば、籠体径をDとすると、Dから3Dのピッチとするのが望ましい。
【0047】
なお、補強リング7は、L字断面でなくても、強度要件に応じて、フラットバーやH鋼を用いても良い。また、補強リング本体9及び連結板15の材質は特定しないが、鉄鋼製、ステンレス製等でよい。
【0048】
また、補強リング7の取り付け位置と帯筋3の取り付け位置が同じである場合には、前述した帯筋結合手段30において、ストランド結合部材33の代わりに、回転結合部材19を用いることもできる。すなわち、回転結合部材19のスリーブ21の外面方向に新たにスタッドボルトを溶接し、当該新たに設けられたスタッドボルトを帯筋結合部材31の底面の穴へ挿入しナットで止めても構わない。この場合、一つの回転結合部材19に、内面に補強リング7、外面に帯筋3が取り付けられる。
【0049】
このように、本実施の形態によれば、従来、帯筋結合手段が有していた機能である、籠体1伸縮時におけるストランド5の曲げ変形、ねじり変形を拘束する機能を、補強リング7に持たせるため、帯筋結合手段30は、帯筋3とストランド5を簡易に回転可能に結合するのみで良く、小型かつ簡易な帯筋結合手段30を使用する事ができる。
【0050】
従来は、補強リング7は、主に籠体1の上下端の補強にのみ使用されていたが、従来の補強リングに対して、一体形状かつL字断面とすることで、補強リング7の強度が向上し、これを所定の間隔でストランド5に取り付けることで、籠体1伸縮時のストランド5の曲げ変形、ねじり変形を確実に拘束し、籠体1の伸縮時においても籠体1の精度を保つ事ができる。このため、より曲げ剛性、ねじり剛性の大きい、太径のストランド5を使用することもできる。
【0051】
また、補強リング7は、1箇所の切断部13を有することから、ストランド5への内部への挿入時は、切断部13が重なるように外形を縮小できるため、籠体1への挿入が容易である。更に、補強リング7を回転結合部材19のスタッドボルト23に挿入する際も、取り付け部がU溝11であるため、上部から補強リングを被せるのみで取り付ける事ができるため、補強リング7をストランド5の内面へ取り付ける作業が簡便である。
【0052】
帯筋結合手段30が小型であるため、籠体1の縮小率を向上する事ができる。すなわち、前述の通り、籠体1の縮小率は、配筋時の帯筋ピッチをp、縮小時の帯筋間隔をhとすると、h/pで表される。hは主に帯筋結合部材の高さで決まるため、帯筋結合部材31の高さが小さくなることで、籠体1の縮小率をより高めることができる。
【0053】
また、帯筋結合手段30は、ストランド5の曲げ変形および、ねじり変形を拘束する必要が無く、自重を支える事ができる以上の強度を必要としないため、溶接による接合も必要がない。すなわち、帯筋3と帯筋結合部材31との接合に、溶接を使用しないため、帯筋3の溶接による強度低下の恐れがなくなり、溶接部の検査も不要となる。また、溶接のできない高強度の帯筋を使用することも可能となる。
【0054】
更に、帯筋結合手段30は、取り付け時に多少の遊びが生じていてもよいため、帯筋3には、高い真円度を必要としない。このため、従来、突合せ溶接により加工された溶接閉鎖型の帯筋を必要としていたが、真円度はやや劣るものの、より安価かつ簡易なフレア溶接による帯筋も使用できる。
【0055】
また、帯筋結合手段30の小型化は、杭の強度を向上させる効果も期待できる。図6(a)は、本発明の実施の形態にかかる帯筋結合手段30により、帯筋3とストランド5とを結合した状態を示し、(b)は、従来から使用されている鞍形の帯筋結合手段により、帯筋3とストランド5とを結合した状態を示す図である。
【0056】
本実施の形態にかかる帯筋結合手段30は、前述したとおり、帯筋結合部材31とストランド結合部材33とからなり、それらがボルト35、ナット45で結合される。この状態における、帯筋3とストランド5の中心間隔はa1である。
【0057】
従来の鞍形の帯筋結合手段は、回転結合部材19と同様の構造を有する。すなわち、筒型のスリーブ49にスタッドボルト53が溶接される。スタッドボルト53には、ワッシャ51及び鞍形の板状部材である帯筋結合部材53が挿入される。スリーブ49と帯筋結合部材53は、ナット57で回転可能に結合される。ストランド5は、スリーブ49と樹脂で固定され、帯筋3と帯筋結合部材53は溶接により固定される。
【0058】
従来の帯筋結合手段は、前述の通り、ストランド5の曲げ変形、ねじり変形を拘束する必要があるため、頑強な構造を要し、このため、帯筋3とストランド5の中心間隔は、a1よりも大きなa2となる。
【0059】
図6(c)、(d)は、帯筋結合手段の図示を省略した、帯筋3とストランド5との位置関係を示した図であり、(c)は、本発明の実施の形態にかかる帯筋結合手段30を用いた場合で、帯筋3とストランド5の中心間隔がa1の場合を示す図であり、(d)は、従来の帯筋結合手段を用いた場合で、帯筋3とストランド5の中心間隔がa2の場合を示した図である。
【0060】
杭の円形断面における鉄筋の配置においては、地盤に設けられた孔の内面から所定の距離を保つように、まず帯筋の外径が決定される。よって、ストランド5の配置径は、帯筋3とストランド5の中心間隔がa1、a2の場合、それぞれ、図6(c)、(d)に示す、d1、d2となる。ここで、杭の曲げモーメントは、軸方向に配置されたストランド5が、杭断面の外縁に近いほど向上する。すなわち、ストランド5の配置径が大きいほど、杭の強度が大きくなる。
【0061】
本実施の形態にかかる帯筋結合手段30は小型であるため、帯筋3とストランド5の中心間隔が小さくなり、このため、ストランド5の配置径が大きくなる。よって、杭の強度を向上することができる。
【0062】
次に、第2の実施の形態について説明する。以下の実施の形態において、籠体1と同一の機能を有する構成要素については、図3から図6と同一の番号を付し、図2に示す籠体1の製造方法と同一の工程については、重複した説明を避ける。
【0063】
第2の実施の形態にかかる籠体は、ステップ201〜202及びステップ204〜208により籠体1と同様に製造される。すなわち、第2の実施の形態にかかる籠体は、図2のステップ203の工程を要せず、ストランド5と帯筋3との交差部において、帯筋結合手段を有さない。
【0064】
ステップ208の後、帯筋連結部材47にて補強リング7と帯筋3を所定の間隔で連結する。図7(a)は、ひも状の帯筋連結部材47の上下端を補強リング7に結合し、補強リング7の間に設けられた帯筋3を帯筋連結部材47にて連結した状態を示す図である。
【0065】
補強リング7の配置ピッチは、ストランド5の径などに応じて決める必要がある。すなわち、籠体1の伸縮時にストランド5の曲げ変形、ねじり変形を拘束し、鉄筋籠の精度を維持するために必要なピッチで配置する必要があり、例えば、籠体径をDとすると、Dから3Dのピッチとするのが望ましい。
【0066】
なお、必要に応じて、ストランド5と帯筋3との交差部の一部に、帯筋結合手段30を更に設けても良い。この場合、帯筋連結部材47の連結方法を変える事ができる。
【0067】
図7(b)は、帯筋3同士のみが帯筋連結部材47にて連結した状態を示す図である。帯筋連結部材47の上下端は、帯筋結合手段30によりストランド5に結合された帯筋3aに連結される。帯筋連結部材47の上下端以外で連結される帯筋3bは、帯筋結合手段30によりストランド5に結合されていても、結合されていなくても良い。
【0068】
なお、連結部材47の材質は特定しないが、籠体1の縮小時に、帯筋3の配置が縮まり、籠体1が伸長する際に、帯筋3のピッチが一定に保たれればよく、例えば針金や布製の紐で良い。
【0069】
このように、第2の実施形態によれば、籠体1と同様の効果を奏する。特に、帯筋連結部材47により、帯筋結合手段30を使用しなくとも、籠体1の伸縮時においても帯筋3のピッチを保つ事ができる。すなわち、帯筋連結部材47によれば、帯筋3及び補強リング7をすだれ状に連結し、籠体の伸縮時においても、帯筋3を所定のピッチに維持することができる。
【0070】
また、帯筋結合手段30の使用を省略する事ができるため、部品点数を削減する事ができる。更に、帯筋結合手段30を使用しないため、帯筋結合治具31の高さを考慮する必要がない。よって、図11におけるhを、帯筋径と同等とする事ができるため、極めて高い縮小率の籠体を得る事ができる。
【0071】
更に、帯筋結合手段30の使用を省略する事ができるため、帯筋3とストランド5との距離が、図6(a)における帯筋3とストランド5の中心間隔であるa1よりも更に小さくする事ができる。このため、図6(c)におけるストランド5の配置径d1よりも、大きな配置径を得る事ができ、杭の強度を向上することができる。
【0072】
次に、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態にかかる籠体は、ステップ201〜208により籠体1と同様に製造される。ここで、第2の実施の形態と同様に、ステップ203であるストランド5と帯筋3との交差部における帯筋結合手段については省略しても良い。この場合は、帯筋連結部材47により帯筋3を連結する。
【0073】
第3の実施の形態にかかる籠体は、ステップ208の後、更にストランド5の外面に補強リングが設けられる。図8は、ストランド5の外面に、更に補強リング本体10を設ける場合の、補強リング本体10の取り付け状態を示す図である。外面に設けられる補強リングは、補強リング本体10a、10bと連結板16とから構成される。
【0074】
補強リング本体10a、10bは、リング状の平板からなる環状部材を2つに分割した形状である。補強リング本体10には、取り付けられるストランド5の本数に応じた数の穴12が一定間隔で設けられる。
【0075】
回転結合部材19には、外面方向にもスタッドボルト24が溶接により接合される。スタッドボルト24は、ワッシャ26と補強リング本体10の穴12に挿入され、ナット28により結合される。補強リング本体10a、10bは、板状の連結部材16により連結され環状となる。
【0076】
なお、補強リング本体10の穴12に替えて、補強リング7と同様に、U溝形状としても構わない。また、補強リング本体10及び連結板16の材質は特定しないが、鉄鋼製、ステンレス製等でよい。
【0077】
このように、第3の実施形態によれば、籠体1と同様の効果を奏する。特に、ストランド5の内外面に補強リングを設ければ、ストランド5の曲げ変形及びねじり変形を拘束する強度が極めて大きくなるため、より太径のストランド5を使用する事が可能となる。
【0078】
次に、第4の実施の形態について説明する。図9(a)は、第4の実施の形態に係る帯筋結合部材60を示す図である。ここで、以下の実施の形態は、籠体1で使用される帯筋結合手段にかかるものである。前述の通り、帯筋結合手段は、帯筋結合部材とストランド結合部材とからなるが、以下の実施の形態においては、ストランド結合部材の図示は省略する。
【0079】
なお、ストランド結合部材は、図3に示す帯筋結合手段と同様に、当該実施の形態にかかる帯筋結合部材と同様な構造として、回転可能に結合してもよく、また、他の実施の形態にかかる帯筋結合部材と同様な構造として、それらを組み合わせて、回転可能に結合しても良い。また、帯筋結合部材とストランド結合部材は、ボルト及びナットにて回転可能に結合されてもよく、リベット等で回転可能に結合されても良い。
【0080】
帯筋結合部材60は、板状部材からなり、同一方向へ開いた2箇所のU字状の挟持部61a、61bと、その間に設けられた凸部63による一体構造である。U字の挟持部61を囲む対面する2つの面には、ボルト67が挿入される穴が設けられる。2つのU字部に挟まれた凸部63は、挟持部61とは逆方向に凸形状となる。凸部63の頂上面には、ストランド結合部材と結合するための穴部65が設けられる。
【0081】
帯筋3は挟持部61へ挿嵌され、ボルト67及びナット69で抜け落ちが防止される。なお、帯筋結合部材60は、材質は特定しないが、例えば鉄鋼製、アルミ製、樹脂製等で良い。
【0082】
第4の実施の形態によれば、ストランド結合部材との取り付け部である穴部65と、帯筋3との間に隙間ができ、また、帯筋3の上方よりボルト等の締結作業が可能となるため、ストランド結合部材との結合の際、ボルトの挿入や締結作業が容易となる。
【0083】
次に第5の実施の形態にかかる帯筋結合部材70について説明する。図9(b)は、帯筋結合部材70を示した図である。帯筋結合部材70は、板状部材からなり、C字状の挟持部71と、C字の開放部に帯筋3の挿入口72を有し、開放部とは反対側に、凸部73が設けられる。挿入口72は、帯筋3の軸径よりも狭小な幅である。凸部73は、C字形状の外方に凸形状となっており、頂上面には、ストランド結合部材との結合部である穴部75を有する。
【0084】
帯筋3は、挿入口72より挟持部71へ挿嵌される。この際、帯筋3は、帯筋結合部材70の弾性変形により保持され、抜け落ちが防止される。なお、帯筋結合部材70の材質は特定しないが、例えば鉄鋼製、アルミ製、樹脂製等で良い。
【0085】
第5の実施の形態によれば、帯筋3と帯筋結合部材70との結合時に、抜け落ち防止のためのボルト及びナットを要しないので、結合が容易であり、部品点数を減らす事ができる。
【0086】
次に第6の実施の形態にかかる帯筋結合部材80について説明する。図9(c)は、帯筋結合部材80を示した図である。帯筋結合部材80は、鞍形の板状部材からなる。帯筋結合部材80の両端は、帯筋3と締結される締結部87a、87bであり、その間には凸部81が設けられる。凸部81の頂上面には、ストランド結合部材との結合部である穴部83が設けられる。
【0087】
2箇所の締結部87a、87bを帯筋3に接触させ、締結部材85により、帯筋3と締結部87a、87bを締結する。締結部材85は特定しないが、針金等の結束線やホースバンド、樹脂製の結束バンド等が使用できる。また、帯筋結合部材80の材質は特定しないが、例えば鉄鋼製、アルミ製、樹脂製等で良い。また、締結部87は、平板形状でもよく、帯筋3との接触面形状に合わせて半円形状としても良い。また、締結部87を一箇所として、一箇所のみを締結部材85で締結しても構わない。
【0088】
第6の実施の形態によれば、帯筋結合部材80の形状が簡易でよく、帯筋3との結合方法も、簡便な結合部材85により結合できるため、取り付けも容易である。
【0089】
次に第7の実施の形態にかかる帯筋結合部材90について説明する。図9(d)は、帯筋結合部材90を示した図である。帯筋結合部材90は、台形形状の板状部材からなる。台形形状の斜面部には、挟持部91a、91bが設けられ、挟持部91a、91bの1辺に、台形頂上面と平行に一体的に外方へ折り曲げられた帯筋保持部93a、93bが設けられる。帯筋保持部93には、帯筋3との結合を行うボルト97がねじ込まれる、タップ穴99が設けられる。台形頂上面には、ストランド結合部材との結合部である、穴部95が設けられる。
【0090】
挟持部91a、91bに帯筋3を挿嵌し、ボルト97をタップ穴99にねじ込み、ボルト97が帯筋3に押し付けられ、帯筋3の抜け落ちが防止される。なお、帯筋結合部材90の材質は特定しないが、例えば鉄鋼製、アルミ製、樹脂製等で良い。また、帯筋保持部93を一箇所として、一箇所のみでボルト97による締結を行っても良い。
【0091】
第7の実施の形態によれば、帯筋結合部材90の形状が簡易でよく、タップ穴99を有するため、取り付けも容易である。
【0092】
次に第8の実施の形態にかかる帯筋結合部材100について説明する。図9(e)は、帯筋結合部材100を示した図である。帯筋結合部材100は、台形の板状部材からなる。台形形状の斜面部には、挟持部101a、101bが設けられ、挟持部101a、101bの1辺に、台形頂上面と略平行に一体的に外方へ折り曲げられた帯筋保持部103a、103bが設けられる。台形頂上面には、ストランド結合部材との結合部である、穴部105が設けられる。
【0093】
挟持部101a、101bに帯筋3を挿嵌すると、帯筋保持部103a、103bは弾性変形し、帯筋3に押し付けられ、帯筋3の抜け落ちが防止される。なお、帯筋結合部材100の材質は特定しないが、例えば鉄鋼製、アルミ製、樹脂製等で良い。
【0094】
第8の実施の形態によれば、帯筋結合部材100の形状が簡易でよく、帯筋3との結合にボルト等を有しないため、取り付けも容易で、部品点数を減らす事ができる。
【0095】
次に第9の実施の形態にかかる帯筋結合部材110について説明する。図9(f)は、帯筋結合部材110を示した図である。帯筋結合部材110は、略コの字状の板状部材からなる。コの字状部材の側面に該当する帯筋保持部113a、113bには挟持部115a、115bが設けられる。挟持部115a、115bの帯筋3挿入部は、帯筋3の軸径よりも狭小な挿入口116a、116bが設けられる。コの字状部材の底面に該当する面には、帯筋結合部材110の外方に凸形状をなす凸部117が設けられ、凸部117頂上面にはストランド結合部材との結合部である穴部119が設けられる。
【0096】
帯筋3を、挿入口116より挟持部115へ叩き込むと、挿入口116は帯筋3の軸径よりも狭小であるため、帯筋3挿入時に挿入口116が塑性変形し、帯筋3は挟持部115へ勘合され、抜け落ちが防止される。なお、帯筋結合部材110の材質は特定しないが、例えば鉄鋼製、アルミ製等で良い。また、挿入口116の挿入方向は、帯筋3の上下方向からであっても構わない。
【0097】
第9の実施の形態によれば、帯筋結合部材110の形状が簡易でよく、帯筋3との結合にボルト等を有しないため、取り付けも容易で、部品点数を減らす事ができる。
【0098】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0099】
例えば、帯筋結合部材と帯筋の結合において、ボルトに替えて、別途くさび状の部材を圧入してもよく、また、帯筋結合手段として、帯筋の重量が作用しても損傷しないような紐で結束してもよい。また、補強リングは、必要な強度に応じて、ストランド5の外面のみに設置することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】伸縮式の籠体1を示す概念図。
【図2】籠体1の製造方法を示すフローチャート。
【図3】第1の実施の形態にかかる帯筋結合手段を示す図
【図4】補強リング7の構造及び、補強リング7とストランド5との結合状態を示す図。
【図5】補強リング7の取り付け方法を示した図で(a)は外径を縮小した状態の補強リング本体9が、ストランド5の内側に挿入された状態を示す図、(b)はストランド5と補強リング7が結合された状態を示す図。
【図6】(a)は第1の実施の形態にかかる帯筋結合手段により、帯筋3とストランド5とを結合した状態を示す図、(b)は従来から使用されている鞍形の回転結合手段により、帯筋3とストランド5とを結合した状態を示す図、(c)は第1の実施の形態にかかる帯筋結合手段を使用した場合の帯筋3とストランド5との位置関係を示した図、(d)は従来から使用されている鞍形の回転結合手段を使用した場合の帯筋3とストランド5との位置関係を示した図。
【図7】(a)は補強リング7と帯筋3とを帯筋連結部材47にて連結した状態を示す図、(b)は帯筋3同士を帯筋連結部材47にて連結した状態を示す図。
【図8】ストランド5の外面に補強リングを設けた場合の、取り付け状態を示す図。
【図9(a)】第4の実施の形態に係る帯筋結合部材60を示す図。
【図9(b)】第5の実施の形態に係る帯筋結合部材70を示す図。
【図9(c)】第6の実施の形態に係る帯筋結合部材80を示す図。
【図9(d)】第7の実施の形態に係る帯筋結合部材90を示す図。
【図9(e)】第8の実施の形態に係る帯筋結合部材100を示す図。
【図9(f)】第9の実施の形態に係る帯筋結合部材110を示す図。
【図10】(a)は回転結合治具120の斜視図、(b)はストランド133、帯筋135の結合状態を示す斜視図。
【図11】帯筋135の配置を示した図であり、(a)は籠体が伸びた状態を示す図、(b)は籠体が縮小した状態を示す図。
【図12】帯筋加工時の溶接方法を示した図で、(a)は2本のC字の帯筋を重ねるようにフレア溶接した帯筋を示す図、(b)は突合せ溶接により加工された溶接閉鎖型の帯筋を示す図。
【符号の説明】
【0101】
1………籠体
3………帯筋
5………ストランド
7………補強リング
9、10a、10b………補強リング本体
11………U溝
12………穴
13………切断部
15、16………連結板
17、18………ボルト
19………回転結合部材
21………スリーブ
23、24………スタッドボルト
25、26………ワッシャ
27、28、29………ナット
30………帯筋結合手段
31………帯筋結合部材
32………挟持部
33………ストランド結合部材
34………挟持部
35、37、39………ボルト
41、43、45………ナット
47………帯筋連結部材
49………スリーブ
50………帯筋結合手段
51………ワッシャ
53………帯筋結合部材
55………スタッドボルト
57………ナット
60、70、80、90、100、110………帯筋結合部材
61………挟持部
63………凸部
65………穴部
67………ボルト
69………ナット
71………挟持部
72………挿入口
73………凸部
75………穴部
81………凸部
83………穴部
85………締結部材
91………挟持部
93………帯筋保持部
95………穴部
97………ボルト
99………タップ穴
101………挟持部
103………帯筋保持部
105………穴部
113………帯筋保持部
115………挟持部
116………挿入口
117………凸部
119………穴部
120………回転結合部材
121………スリーブ
123………スタッドボルト
125………ワッシャ
127………アングル
129、131………ナット
133………ストランド
135………帯筋
137………溶接部
140、143………帯筋
141、145………溶接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸筋であるストランドと、
前記ストランドの周囲に設けられた帯筋と、
前記ストランドの内面及び外面の少なくとも一方に設けられた補強リングと、
前記ストランドと前記補強リングとを、交差角が変化可能なように結合する補強リング結合手段と、
を具備し、
前記ストランドを円弧上に曲げることで、前記帯筋の配筋間隔を縮めることが可能であり、前記ストランドを直線状に伸ばすことで、前記帯筋の配筋間隔を元に戻すことが可能であることを特徴とする籠体。
【請求項2】
前記補強リングは、
前記補強リング結合手段との結合部である複数のU溝を具備することを特徴とする請求項1記載の籠体。
【請求項3】
前記補強リングは、
円環の少なくとも1箇所に設けられた切断部を具備することを特徴とする請求項1記載の籠体。
【請求項4】
前記補強リング結合手段は、
前記ストランドを保持する筒状部材と、
端部が前記筒状部材に固定され、前記補強リングを貫通する棒材と、
前記補強リングが前記棒材から抜け落ちることを防ぐために前記棒材に設置される接合部材と、
を具備することを特徴とする請求項1記載の籠体。
【請求項5】
前記ストランドと前記帯筋とを、交差角が変化可能なように結合する帯筋結合手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の籠体。
【請求項6】
前記帯筋結合手段は、
前記ストランドを保持するストランド結合部材と、
前記帯筋を保持する帯筋結合部材と、からなり
前記帯筋結合部材は、
前記帯筋を挟持する一箇所以上の挟持部と、
前記帯筋結合部材と前記ストランド結合部材とを回転可能に接合する接合部材と、
を具備し、前記帯筋が前記挟持部に挿嵌され、前記挟持部と前記帯筋が固定されることを特徴とする請求項5記載の籠体。
【請求項7】
前記帯筋結合手段は、
前記ストランドを保持するストランド結合部材と、
前記帯筋を保持する帯筋結合部材と、からなり
前記帯筋結合部材は、
前記帯筋と接する締結部と、
前記帯筋結合部材と前記ストランド結合部材とを回転可能に接合する接合部材と、
を具備し、前記締結部が締結部材で前記帯筋に固定されることを特徴とする請求項5記載の籠体。
【請求項8】
前記帯筋を一定間隔に連結する帯筋連結部材を更に有することを特徴とする請求項1記載の籠体。
【請求項9】
複数の前記帯筋を所定の間隔で配置する工程(a)と、
前記帯筋の内側に所定の中心角度間隔で、予め所定の間隔で筒状部材が取り付けられたストランドを配置する工程(b)と、
前記帯筋と前記ストランドの交差部を前記帯筋結合手段で結合する工程(c)と、
前記補強リングの切断部が重なりあうように外径を縮小する工程(d)と、
外径が縮小した状態の前記補強リングを、前記ストランドの内側へ挿入する工程(e)と、
前記筒状部材取り付け位置で、外径が縮小した状態の前記補強リングの外径を戻す工程(f)と、
前記補強リングの切断部を連結版で連結する工程(g)と、
前記補強リングと前記筒状部材を結合する工程(h)と、
を具備することを特徴とする籠体製造方法。
【請求項10】
前記工程(h)の後に、
前記帯筋連結部材にて前記補強リングと前記帯筋を所定の間隔で連結する工程(i)を、更に具備することを特徴とする請求項9記載の籠体製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図9(c)】
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【図9(d)】
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【図9(e)】
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【図9(f)】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−214990(P2008−214990A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−55163(P2007−55163)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【出願人】(390029012)株式会社エスイー (28)
【Fターム(参考)】