説明

粉体収納容器、粉体補給装置及び画像形成装置

【課題】粉体補給装置へ粉体収納容器を装着した後、粉体収納容器から粉体補給装置への安定した粉体排出を速やかに開始することができる粉体収納容器、粉体補給装置、及び、その粉体補給装置を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナーボトル3をトナー補給装置300などの粉体補給装置へ装着するときに、排出口32近傍に存在するトナー200をほぐすようにトナー200に外力を加える粉体ほぐし手段を備える。粉体ほぐし手段は、トナー排出経路部の少なくとも一部を可撓性部材101で構成し、且つ、トナーボトル3のトナー補給装置300への装着動作に連動して可撓性部材101を変形させるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体を収納する粉体収納容器、粉体補給装置、及び、その粉体補給装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスを利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置では、感光体上に形成された潜像を現像装置のトナーで可視像化することが行われるが、潜像を現像することによりトナーが消費されるため、現像装置内にトナー補給を行う必要がある。そのため、装置本体内に設けられた粉体補給装置としてのトナー補給装置から現像装置にトナーを搬送して、現像装置内にトナー補給が行われる。このようにトナーの補給が行われる現像装置により、連続して現像を行うことが可能になる。
【0003】
従来、上記トナー補給装置として、内周面に螺旋状の突起が形成され、軸方向の一端側にトナーの出口が形成された粉体収納容器としての円筒形状のトナー収納容器を脱着可能なものが知られている。このトナー収納容器は、軸回りに回転されて、トナーが内周面の突起に倣って軸方向の一端側へ搬送され、排出口から送出される。しかしながら、このトナー補給装置では、トナー収納容器内の内壁にトナーが付着したり、排出口近傍でトナーが凝集して排出口近傍を塞いだりすることがある。そのため、トナー収納容器内の排出口近傍におけるトナーの搬送力が低下し、トナー収納容器からトナー補給装置本体へのトナー排出が不安定になったり、トナー収納容器からトナーが排出されなかったりするという問題が発生する。
【0004】
特許文献1、2には、上記トナーの凝集やトナー収容器の内壁へのトナー付着を防止することができる現像剤補給装置(トナー補給装置)が開示されている。
例えば、特許文献1の現像剤補給装置では、トナーボックス(トナー収納容器)の外周面に段差部を設け、外周面に圧接された板バネにより、トナーボックスの回転に伴い振動が与えられるようになっている。段差部の高さや周方向の間隔は、トナーボックスの軸方向に並んだ複数の領域毎に異なっている。また、板バネはトナーボックス内のトナー量に応じてトナー排出口側に移動される構成となっており、トナーボックス内のトナー量に応じた適当な大きさの振動が適当な周期でトナーボックスに与えられる。
また、特許文献2のトナー補給装置では、トナー収納容器の外周面に螺旋状の凹凸を設け、この凹凸部に弾性的に当接するように設けた弾性部材により、トナー収納容器の回転に伴い振動を与えている。また、ユーザ操作の運動をトナー収納容器に伝達する運動伝達機構を有し、給紙カセットの着脱動作、画像形成装置のスタート釦のオンオフ操作、画像形成に際して原稿を覆う圧板の開閉操作、等に連動してトナー収納容器に振動を与えている。
【0005】
また、特許文献3には、トナー収容器の内部に、トナー収容器の内壁面に付着するトナーを掻き取るための掻き取り部材を設け、トナー収容器の回転により掻き取り部材が内壁面を摺擦し、内壁面に付着するトナーを掻き落とすことができるトナー収納容器が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の現像剤補給装置(トナー補給装置)やトナー収納容器では、現像剤補給装置へ装着される前のトナー収納容器内の排出口近傍でトナーが凝集している場合がある。このように排出口近傍でトナーが凝集しているトナー収納容器を現像剤補給装置へ装着すると、その凝集したトナーが排出口近傍を塞いでトナー詰まりが生じてしまう。そのため、トナー収納容器を装着した後、そのトナー収納容器から現像剤補給装置への安定したトナー排出を速やかに開始することができないおそれがある。
例えば、上記特許文献1、2に開示されている現像剤補給装置(トナー補給装置)では、トナー収納容器を現像剤補給装置へ装着した後、トナー収納容器に振動を与えるためのトナー収納容器の回転駆動を所定時間継続して行う必要がある。そのため、トナー収納容器を装着した後、そのトナー収納容器から現像剤補給装置への安定したトナー排出を速やかに開始することができないおそれがある。
また、上記特許文献3に開示されているトナー収納容器では、トナー補給装置へ装着した後で、掻き取り部材がトナー収容器の内壁面に付着するトナーを掻き落とすためのトナー収納容器の回転駆動を所定時間継続して行う必要がある。そのため、トナー収納容器を装着した後、そのトナー収納容器から現像剤補給装置への安定したトナー排出を速やかに開始することができないおそれがある。
【0007】
なお、以上の課題は、トナー収納容器及び現像剤補給装置(トナー補給装置)の場合だけでなく、トナー以外の粉体を収容する粉体収納容器及びその粉体収納容器を着脱可能な粉体補給装置の場合にも、同様に発生し得るものである。
【0008】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、粉体補給装置へ粉体収納容器を装着した後、粉体収納容器から粉体補給装置への安定した粉体排出を速やかに開始することができる粉体収納容器、粉体補給装置、及び、その粉体補給装置を備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、画像形成用の粉体を収納する収納本体部と、前記収納本体部に収納された前記粉体を外部に排出する排出口と、を備えた粉体収納容器であって、当該粉体収納容器を粉体補給装置へ装着するときに、前記排出口近傍に存在する粉体をほぐすように該粉体に外力を加える粉体ほぐし手段を、更に備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、粉体収納容器を粉体補給装置へ装着するとき、粉体収納容器内の排出口近傍に存在する粉体をほぐすように粉体に外力を加えるので、排出口近傍に存在する粉体が凝集している場合、外力によって粉体の凝集を崩して粉体をほぐすことができる。これにより、粉体収納容器を粉体補給装置に装着した後、粉体収納容器から粉体補給装置への安定した粉体排出を速やかに開始することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図2】トナーボトルの着脱方向を示す斜視図。
【図3】トナーボトル側面の部分断面図。
【図4】トナーボトル背面の断面図。
【図5】トナーボトルから現像装置までのトナー搬送路を示す断面図。
【図6】(a)はトナーボトルのトナー排出口付近の平面断面図、(b)は正面断面図(出口部材に外力がかかっていない状態)。
【図7】(a)はトナーボトルのトナー排出口付近の平面断面図、(b)は正面断面図(出口部材に外力がかかっている状態)。
【図8】(a)はトナーボトルトレイの正面図、(b)は平面図。
【図9】(a)〜(e)はトナーボトルが装着されるときのトナー排出口近傍の状態変化を示す平面断面図、(f)〜(j)はそれらの正面図。
【図10】(a)は変形例に係るトナーボトルのトナー排出口付近の正面断面図、(b)は平面断面図(出口部材に外力がかかっていない状態)。
【図11】(a)はトナーボトルのトナー排出口付近の正面断面図、(b)は平面断面図(出口部材に外力がかかっている状態)。
【図12】(a)はさらに他の変形例に係るトナーボトルトレイの正面図、(b)は平面図。
【図13】(a)〜(i)はトナーボトルが装着されるときのトナー排出口近傍の状態変化を示す平面断面図。
【図14】(a)はさらに他の変形例に係る可撓性部材の平面断面図、(b)は正面断面図(出口部材に外力がかかっていない状態)。
【図15】(a)は可撓性部材の平面断面図、(b)は正面断面図(出口部材に外力がかかっている状態)。
【図16】(a)〜(c)はさらに他の変形例に係るトナーボトルを装着するときのトナー排出口近傍の状態変化を示す平面断面図。
【図17】(a)〜(c)はトナーボトルを離脱するときのトナー排出口近傍の状態変化を示す平面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る粉体補給装置としてのトナー補給装置を備えた画像形成装置の概略構成を示す図である。
画像形成装置1は、原稿の画像データを読み取る画像読取装置2と、画像読取装置2が読み取った画像データの各色の画像を形成する4つの潜像担持体としての感光体10Y、10C、10M、及び10Kとを備え、イエロー(以下、Y)、シアン(以下、C)、マゼンダ(以下、M)、及びブラック(以下、K)の4色のトナーからカラー画像を形成する。なお、以下の説明においては、Y、C、M、及びKの符号を適宜省略する場合がある。
【0013】
中間転写体としての中間転写ベルト5は、画像形成装置1内部の略中央に設け、各感光体10Y、10C、10M、及び10Kは、中間転写ベルト5に沿って配置される。中間転写ベルト5は、ポリイミドやポリアミド等の耐熱性材料からなり、中抵抗に調整された基体からなる無端状ベルトである。
【0014】
各感光体10Y、10C、10M、及び10Kは、各々の外周面に電荷を与える帯電装置、感光体10表面に形成された潜像を各色トナーで現像してトナー像とする現像装置11Y、11C、11M、及び11K、及びトナー像転写後の感光体10表面のクリーニングするクリーニング装置、感光体10表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置を備える。4つの作像ユニットの下方には、帯電した各感光体の表面に各色の画像データに基づいて露光をし、潜像を形成するポリゴンミラー13等を有する露光装置14を備える。
【0015】
また、中間転写ベルト5を挟んで、各感光体10と対向する位置には、感光体10上に形成されたトナー像を中間転写ベルト5上に転写する一次転写ローラ4がそれぞれ配置されている。一次転写ローラ4は、図示しない電源に接続されており、所定の電圧が印加される。
【0016】
中間転写ベルト5の外側には、二次転写ローラ9が圧接されている。二次転写ローラ9は、図示しない電源に接続されており、所定の電圧が印加される。二次転写ローラ9と中間転写ベルト5との接触部が二次転写部であり、中間転写ベルト5上のトナー像が記録媒体としての転写紙に転写される。中間転写ベルト5の外側には、二次転写後の中間転写ベルト5の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーニング装置15を設ける。
【0017】
二次転写部の上方には、転写紙上のトナー像を転写紙に半永久的に定着させる定着装置6を備える。定着装置6は、内部にハロゲンヒータを有する加熱ローラ及び定着ローラに巻き掛けられた無端の定着ベルトと、定着ベルトを介して定着ローラに対向、圧接して配置される加圧ローラとから構成されている。
【0018】
画像形成装置の下部には、転写紙を載置し、二次転写部に向けて転写紙を送り出す給紙装置12と、ピックアップローラとを備える。
【0019】
図2は、上記構成の画像形成装置1に着脱可能な粉体収納容器としてのトナーボトル3の着脱方向を示す斜視図である。また、図3は、トナーボトル側面の部分断面図である。
図2に示すように、トナーボトル3はトナーボトルトレイ16の凹部によってガイドされ、画像形成装置1の内部に装着する。トナーボトル3は、図3に示すように、トナーボトル本体30と、トナーの垂直搬送路28などの粉体排出経路部やシャッター29を備えたヘッドカバー31とから主に構成されており、トナーボトル本体30はヘッドカバー31に対して回転可能になっている。そして、トナーボトル3が画像形成装置1に装着される直前にトナーボトル3に備えたシャッター29が開放し、トナーボトル3内のトナーは垂直搬送路28を通過して吐出可能な状態となる。
【0020】
図4は、トナーボトル背面の断面図である。また、図5は、トナーボトルから現像装置までのトナー搬送路を示す断面図である。
図5において、画像形成装置1の図示しない制御部からトナーの補給要求があると、トナー補給モータ21が駆動され、トナー補給モータ21の軸に設けたウォーム22からアイドラ23、さらにトナーボトルの外周に形成したギヤ(図示せず)に駆動力が伝わり、トナーボトル本体30などの収納本体部は矢印A2の向きに回転する。このとき、トナーボトル本体30の内壁に螺旋状に形成した突起が回転することによってトナーボトル本体内のトナーはトナーボトル本体30の端部に順次搬送される。トナーボトル本体30の端部に達したトナーは垂直の搬送路28を経由してホッパー24に落下し(矢印A3参照)、搬送部材25が矢印A4の向きに回転することによってトナー搬送路26に送られ、コイル27の回転によって現像装置11に搬送される。
【0021】
上記トナー補給モータ21、ウォーム22、アイドラ23、ホッパー24、搬送部材25、トナー搬送路26、及び、コイル27等は、粉体補給装置としてのトナー補給装置300を構成する。
【0022】
図6(a)は垂直搬送路28に可撓性部材101を設けた構成を示す正面断面図、(b)は平面断面図である。図7(a)は出口部材111に外力がかかって可撓性部材101が変形してねじれた状態を示す平面断面図、(b)は平面断面図である。また、図8(a)はトナーボトルトレイ16を部分的に拡大した正面図、(b)は平面図である。
【0023】
図8(a)、(b)に示すように、トナーボトルトレイ16の凹部16bの図中左端部には長手方向に沿って突起16aなどの作動突起を数か所に設けている。一方、図6(a)に示すように、トナーボトル3の垂直搬送路28の先端部分には可撓性部材101を介して出口部材111を設けている。垂直搬送路28と可撓性部材101、及び可撓性部材101と出口部材111は一定の外力が加わっても移動しないように可撓性部材111の収縮性を利用して可撓性部材101を垂直搬送路28、出口部材111に圧着させるか、または接着剤などで固定してもよい。出口部材111は、シャッター29、トナーボトルトレイ16の複数の突起16aと当接する突起111aを備えており、図7(a)、(b)に示すように、外力が加わって可撓性部材101がねじれることによって、垂直搬送路28の軸心を中心に一定の角度まで回動できるようになっている。トナーボトル3をトナーボトルトレイ16に沿って着脱するときは以下に述べる外力が加わっても直線状の軌跡から外れないようにガイド構成(図示せず)を設けてもよい。
【0024】
なお、上記垂直搬送路28と、可撓性部材101と、出口部材111とは、粉体排出経路部としてのトナー排出経路部を形成する。また、粉体ほぐし手段は、これらの垂直搬送路28と、可撓性部材101と、出口部材111と、後述するトナーボトルトレイ16とから主に構成されている。
【0025】
図9はトナーボトル3をトナーボトルトレイ16に装着する時の可撓性部材101及び出口部材111の動作説明図であり、(a)〜(e)は平面断面図、(f)〜(j)は正面断面図である。
図9(a)に示すように、トナーボトル3の装着時は、トナーボトルトレイ16の凹部16bをガイドとして長手方向(矢印A6の方向)にスライドさせる。すると、図9(b)、(c)に示すように、出口部材111の突起111aがトナーボトルトレイ16の突起16aに当接して出口部材111に外力が加わり、可撓性部材101に支持されている出口部材111は垂直搬送路28の軸心を中心として図の反時計方向に回動する。
【0026】
図9(g)、(h)に示すように、出口部材111に外力が加わることによって、可撓性部材101は、ねじれて変形し、その内部に滞留しているトナー200が凝集している場合は、トナー200の粒子間に剪断力が発生することによって凝集が崩れる。また可撓性部材101とトナー200との境界面がずれることによって、可撓性部材101の内壁に付着しているトナー200が剥がれる。
トナーボトル3がさらに移動し突起111aが突起16aを乗り越えると、図9(i)、(j)に示すように、可撓性部材101は自己の復元力によって原形に戻る。これらの一連の動作をトナーボトル3の装着動作中に複数回繰り返し、装着完了直前にはトナーボトル3の動きと連動した開閉機構(図示せず)によってシャッター29が開き、トナー200がホッパー24に供給できる状態になる。
【0027】
上述したように簡易な構成で、画像形成装置1のトナー補給装置300へトナーボトル3の装着が完了したときに、トナー排出経路部の一部を形成する可撓性部材101の内部に存在するトナー200のパッキングと呼ばれる凝集をより効果的に崩して詰まりを抑制し、トナーボトル3の保管状態によらずに装着直後から、トナーボトル3からトナー補給装置300へ安定したトナー排出(トナー補充)及び画像形成を行うことができる。また、トナーボトル3の装着後の画像形成時に、トナーボトル本体30を攪拌してトナー排出経路部の詰まりを解消するための余剰な攪拌動作を行わなくてもよく、生産性を維持することができる。
【0028】
なお、上記垂直搬送路28及び出口部材111の断面形状は、外形、内周とも例示した円形以外に矩形、多角形等でもよい。また、可撓性部材101の材質は外力を解放したときの自己復元力がある加硫ゴム、エラストマーなどが好ましい。また、可撓性部材101をシリコーンを主成分とするゴムで形成し、可撓性部材101にトナー200が付着しづらい構成として、可撓性部材101の内周面へのトナー200の付着を防止してもよい。
【0029】
〔変形例1〕
上記実施形態では、可撓性部材101を垂直搬送路28と出口部材111との外周に設けた構成について説明したが、可撓性部材101を垂直搬送路28と出口部材111との内周に設けてもよい。
図10(a)は可撓性部材101を垂直搬送路28と出口部材111との内側に設けた構成を示す正面断面図、(b)は平面断面図である。また、図11(a)は出口部材111に外力が加わって可撓性部材101が変形してねじれた状態を示す正面断面図、(b)は平面断面図である。
図10(a)に示すように、垂直搬送路28の内壁と出口部材111の内壁とに可撓性部材101の両端をそれぞれ接着し、かつ、垂直搬送路28と出口部材111との間を少なくともオペレータの指が入らない程度の隙間をもって設けるか、あるいは密着させて設ける。トナーボトル3の着脱時における出口部材111の動作は、上記実施形態の場合と同様であり、可撓性部材101は両端の接着部102以外の部分がねじられる。
【0030】
本変形例1によれば、オペレータが可撓性部材101に触れない構成とすることにより、可撓性部材101の損傷を防止することができる。
【0031】
〔変形例2〕
上記実施形態では、出口部材111を垂直搬送路28の軸心に対して一方向に回動させる外力を与える構成について説明したが、さらに反対方向に回動させる外力を与えるように構成してもよい。
図12(a)はトナーボトルトレイ16を部分的に拡大した正面図、(b)は平面図である。また、図13(a)〜(i)は、トナーボトル3をトナーボトルトレイ16に装着する時の可撓性部材101及び出口部材111の状態変化を示す平面断面図である。
【0032】
図12(b)に示すように、トナーボトルトレイ16の凹部16bには、複数の突起16aを長手方向の左右端部に互い違いに設けている。また、図13(a)に示すように、出口部材111には突起111aを対向した位置に2か所設けている。
トナーボトル3の装着時は、図13(b)、(c)に示すように、出口部材111の左側の突起111aがトナーボトルトレイ16の左側の突起16aと当接して出口部材111に外力が加えられて、可撓性部材101がねじられて変形し、出口部材111を反時計回り方向に回動させる。そして、突起111aが突起16aとの当接から解除されると、図13(d)、(e)に示すように、可撓性部材101の復元力により出口部材111は元の状態に戻る。更にトナーボトル3が奥側に移動すると、出口部材111の右側の突起111aがトナーボトルトレイ16の右側の突起16aと当接して出口部材111に外力が加えられ、可撓性部材101がねじられて変形し、出口部材111を時計回り方向に回動させる。その後、突起111aが突起16aとの当接から解除されると、図13(h)、(i)に示すように、可撓性部材101の復元力により出口部材111は元の状態に戻る。このように、出口部材111は外力が加わっていない元の状態から図の反時計方向に回動後、元の状態に戻り、次に図の時計方向に回動後、元の状態に戻る動作を繰り返す。そして、トナーボトル3はトナーボトルトレイ16に完全に装着される。
【0033】
本変形例2によれば、出口部材111の回動角度が上記実施形態の場合に比べて約2倍となるため、可撓性部材101のねじれも大きくなり、可撓性部材101の内部に滞留しているトナー200が凝集している場合は、トナー200の粒子間により大きな剪断力が発生することによって凝集が崩れる。また、可撓性部材101とトナー200の境界面がより大きくずれることによって可撓性部材101の内壁に付着しているトナー200が剥がれやすくなる。
【0034】
〔変形例3〕
可撓性部材101の内壁に軸心と平行に複数の突起を設けてもよい。図14(a)は可撓性部材101の内壁に軸心と平行に複数の突起101aを設けた構成の平面断面図、(b)は正面断面図である。また、図15(a)は可撓性部材101をねじって変形させた状態を示す平面断面図、(b)は正面断面図である。
図14(b)に示すように、可撓性部材101の内壁に軸心と平行に複数の突起101aを設け、内壁を凹凸形状に形成する。突起101aは、可撓性部材101が変形するときに一体的に変形し、図15(b)に示すように、直線状の形状から螺旋状の形状に変化する。可撓性部材101がねじれて変形すると、内周面に付着したトナー200は突起101aの部分から剥離されていき、他の内周面(凹部)の剥離を促進させる。このように、突起101aが形成されていない場合に比べて、可撓性部材101の内周面に付着したトナー200をより剥がれやすくすることができる。
【0035】
〔変形例4〕
トナーボトル3の垂直搬送路28近傍のトナー詰まりの抑制は、トナーボトル3をトナーボトルトレイ16へ装着する時に行えばよく、離脱する時には行わなくてもよい。
図16(a)〜(c)は、トナーボトル3を装着するときの出口部材111等のトナー排出口近傍の状態変化を示す平面断面図である。また、図17(a)〜(c)は、トナーボトル3を脱離するときの出口部材111等のトナー排出口近傍の状態変化を示す平面断面図である。
【0036】
図16(a)に示すように、トナーボトルトレイ16の凹部16bには、上記突起16aに代えて、トナーボトル3の脱離時に退避する板バネ112を略同じ位置に設けている。トナーボトル3をトナーボトルトレイ16に装着するときは、図16(a)〜(c)に示すように、出口部材111の突起111aが板バネ112に当接しても板バネ112は変形せず、出口部材111が回動する。出口部材111の回動によって可撓性部材101がねじれて変形し、内部のトナー200の詰まりを抑制する。
これに対して、トナーボトル3をトナーボトルトレイ16から離脱するときは、図17(a)〜(c)に示すように、出口部材111の突起111aが板バネ112に当接すると板バネ112は弾性変形して外側に退避し、この結果、出口部材111は回動しない。
このように、出口部材111はトナーボトル3が装着されるときのみ回動し、離脱するときは回動しないので、トナーボトル3の離脱がスムーズになり、操作性に優れた画像形成装置1を提供することができる。
【0037】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
画像形成用の粉体としてのトナー200を収納する収納本体部としてのトナーボトル本体30と、トナーボトル本体30に収納されたトナーを外部に排出する排出口32と、を備えた粉体収納容器としてのトナーボトル3であって、トナーボトル3をトナー補給装置300などの粉体補給装置へ装着するときに、排出口32近傍に存在するトナー200をほぐすようにトナー200に外力を加える粉体ほぐし手段を、更に備えている。これによれば、上記実施形態について説明したように、粉体ほぐし手段が、トナーボトル3をトナー補給装置300へ装着するときに、排出口32近傍に存在するトナー200をほぐすようにトナー200に外力を加えるので、排出口32近傍に存在するトナー200が凝集している場合、外力によってトナー200の凝集を崩してトナー200をほぐすことができる。よって、トナーボトル3の保管状態によらずに、トナーボトル3をトナー補給装置300に装着した後、トナーボトル3からトナー補給装置300への安定したトナー排出(トナー補充)及び画像形成を速やかに開始することができるようになる。また、トナーボトル3の装着後に、トナーボトル本体30を攪拌して排出口32近傍のトナー詰まりを解消するための余剰な攪拌動作を行わなくてもよく、生産性を維持することができる。
(態様B)
上記態様Aにおいて、トナーボトル本体30から吐出したトナー200を排出口32に導くトナー搬送路28などで形成される粉体排出経路部としてのトナー排出経路部と、トナー補給装置300への装着によって排出口32を開くシャッターと、を備え、前記粉体ほぐし手段は、前記トナー排出経路部の内部に存在するトナー200に前記外力を加える。これによれば、上記実施形態について説明したように、トナー排出経路部の内部に存在するトナー200が凝集している場合に、トナーボトル3をトナー補給装置300へ装着するときに、外力によりトナー排出経路部の内部に存在するトナー200の凝集を崩してほぐすことができる。よって、トナーボトル3をトナー補給装置300へ装着する前に発生するパッキングと呼ばれるトナー排出経路部のトナーの詰まりを解消することができる。
(態様C)
上記態様Bにおいて、前記粉体ほぐし手段は、前記トナー排出経路部の少なくとも一部を可撓性部材101で構成し、且つ、トナーボトル3のトナー補給装置300への装着動作に連動して可撓性部材101を変形させるように構成した。これによれば、上記実施形態について説明したように、可撓性部材101が変形し、その内部に滞留しているトナー200が凝集している場合は、トナー200に外力を加え凝集を崩してほぐすことができる。これにより、簡易な構成でトナー詰まりを抑制することができる。
(態様D)
上記態様B又は態様Cにおいて、可撓性部材101を前記トナー排出経路部の内側に設けた。これによれば、上記実施形態の変形例1について説明したように、オペレータが可撓性部材101に触れない構成とすることにより、可撓性部材101の損傷を防止することができる。
(態様E)
上記態様B、態様C又は態様Dにおいて、可撓性部材101は、軸心を中心にねじり変形可能な部材で形成されている。これによれば、上記実施形態について説明したように、可撓性部材101は、ねじれて変形し、その内部に滞留しているトナー200が凝集している場合は、トナー200の粒子間に剪断力が発生することによって凝集が崩れる。また、可撓性部材101とトナー200との境界面がずれることによって、可撓性部材101の内壁に付着しているトナー200が剥がれる。これにより、トナー200のパッキングをより効果的に崩して詰まりを抑制することができる。
(態様F)
上記形態B、態様C、態様D又は態様Eにおいて、可撓性部材101はシリコーンゴムで形成されている。これによれば、上記実施形態について説明したように、可撓性部材101の内周面にトナー200が付着しづらい構成として、可撓性部材101の内周面へのトナー200の付着を防止することができる。
(態様G)
上記形態B、態様C、態様D、態様E又は態様Fにおいて、可撓性部材101の内壁に突起101aなどの凹凸形状が形成されている。これによれば、上記実施形態の変形例3について説明したように、可撓性部材101がねじれて変形すると、内周面に付着したトナー200は突起101aの近傍部分から剥離されやすく、他の内周面(凹部)の剥離を促進させることができる。
(態様H)
上記形態A、態様B、態様C、態様D、態様E、態様F又は態様Gにおいて、トナーボトル3をトナー補給装置300に装着するときに前記粉体ほぐし手段が作動し、トナーボトル3をトナー補給装置300から脱離させるときは粉体ほぐし手段が作動しないように構成した。これによれば、上記実施形態の変形例4について説明したように、トナーボトル3をトナーボトルトレイ16へ装着するときにトナー詰まりの抑制を行い、離脱する時には行わないので、トナーボトル3の離脱がスムーズになり、操作性に優れた画像形成装置1を提供することができる。
【0038】
なお、上記実施形態では、粉体としてのトナーを収納するトナーボトル3及びそのトナーボトル3を着脱可能なトナー補給装置300について説明したが、本発明は、トナー以外の粉体を収納する粉体収納容器及びその粉体収納容器を着脱可能な粉体補給装置にも適用することができ、同様な作用効果を奏するものである。
【符号の説明】
【0039】
1 画像形成装置
2 読取装置
3Y,M,C,K トナーボトル
4Y,M,C,K 1次転写ローラ
5 中間転写ベルト
6 定着装置
7 自動両面装置
8 濃度センサー
9 2次転写ローラ
10Y,M,C,K 感光体
11Y,M,C,K 現像装置
12 給紙装置
13 ポリゴンミラー
14 露光装置
15 クリーニング装置
16 トナーボトルトレイ
16a トナーボトルトレイの突起
21 トナー補給モータ
22 ウォーム
23 ギヤ
24 ホッパー
25 トナー搬送部材
26 トナー搬送路
27 コイル
28 トナー搬送路
29 シャッター
30 トナーボトル本体
31 トナーボトルのヘッドカバー
32 排出口
101 可撓性部材
101a 可撓性部材の突起
102 接着部
111 出口部材
111a 出口部材の突起
112 板バネ
200 トナー
300 トナー補給装置
A1 トナーボトル着脱方向
A2 トナーボトル回転方向
A3 トナー搬送方向
A4 トナー搬送部材回転方向
A5 トナー搬送方向
A6 トナーボトル装着方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】
【特許文献1】特開2006−258997号公報
【特許文献2】特開平8−314258号公報
【特許文献3】特開平8−179612号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成用の粉体を収納する収納本体部と、
前記収納本体部に収納された前記粉体を外部に排出する排出口と、を備えた粉体収納容器であって、
当該粉体収納容器を粉体補給装置へ装着するときに、前記排出口近傍に存在する粉体をほぐすように該粉体に外力を加える粉体ほぐし手段を、更に備えたことを特徴とする粉体収納容器。
【請求項2】
請求項1の粉体収納容器において、
前記収納本体部から吐出した前記粉体を前記排出口に導く粉体排出経路部と、
前記粉体補給装置への装着によって前記排出口を開くシャッターと、を備え、
前記粉体ほぐし手段は、前記粉体排出経路部の内部に存在する粉体に前記外力を加えることを特徴とする粉体収納容器。
【請求項3】
請求項2の粉体収納容器において、
前記粉体ほぐし手段は、
前記粉体排出経路部の少なくとも一部を可撓性部材で構成し、且つ、当該粉体収納容器の前記粉体補給装置への装着動作に連動して前記可撓性部材を変形させるように構成したことを特徴とする粉体収納容器。
【請求項4】
請求項2又は3の粉体収納容器において、
前記可撓性部材を前記粉体排出経路部の内側に設けたことを特徴とする粉体収納容器。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれかの粉体収納容器において、
前記可撓性部材は、軸心を中心にねじり変形可能な部材で形成されていることを特徴とする粉体収納容器。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれかの粉体収納容器において、
前記可撓性部材はシリコーンゴムで形成されていることを特徴とする粉体収納容器。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれかの粉体収納容器において、
前記可撓性部材の内壁に凹凸形状が形成されていることを特徴とする粉体収納容器。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかの粉体収納容器において、
当該粉体収納容器を前記粉体補給装置に装着するときに前記粉体ほぐし手段が作動し、当該粉体収納容器を該粉体補給装置から脱離させるときは該粉体ほぐし手段が作動しないように構成したことを特徴とする粉体収納容器。
【請求項9】
画像形成用の粉体を収納した粉体収納容器を脱着可能に保持し、
該粉体収納容器を装着している時に内部の粉体を排出させる粉体補給装置であって、
前記粉体収納容器として、請求項1乃至8のいずれかの粉体収納容器を用いたことを特徴とする粉体補給装置。
【請求項10】
潜像担持体と、
現像剤を用いて前記潜像担持体上の潜像を現像する現像装置と、
前記現像装置にトナーを補給するトナー補給装置と、を備えた画像形成装置であって、
前記トナー補給装置として、請求項9の粉体補給装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−37310(P2013−37310A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175525(P2011−175525)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】