説明

粉体吹付装置

【課題】粉体を吹き付け面に均一に吹き付けることができると共に、吹付け装置のノズルの目詰まり等を防止するガスボンベカートリッジを用いた粉体吹付け装置を提供する。
【解決手段】蓋体22により封止され圧縮ガスが充填されたボンベ13と、蓋体22の穿孔22aに突き立てられることにより蓋体22を閉塞する尖鋭体14と、蓋体22と対向して尖鋭体14を保持する保持体15と、保持体15をボンベ13の蓋体22側に付勢する付勢部材15と、保持体15を蓋体22と離間する方向に操作し、ボンベ13を開放する操作部材17と、ボンベ13及び保持体15を収納するとともに、ボンベ13より噴出した圧縮ガスを外方へ流すガス流路42が形成されたハウジング18とを有するガスボンベカートリッジ10と、粉体が充填されたタンク部81と、一端がタンク部81内に臨み他端が外方に臨まされ粉体をタンク部81外に吹き出す導管82とを有する粉体タンク80とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮ガスが充填されたガスボンベを用いて粉体を噴出させる粉体吹付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物は、塩害、中性化、凍結融解、化学的腐蝕等の作用により劣化が進行し、表面にひび割れ等が発生する。このようなひび割れ等の劣化部に対する補修方法としては、電動ピックやドリル等で劣化部に孔をあけ、モルタルコンクリートを充填する工事が行われている。このモルタルによる補修方法には、モルタルをコテで塗りつける方法がある。しかし、このコテによる補修は、練り混ぜたモルタルを補修断面に塗りつける施工となるめ、劣化部がある程度平滑な断面でないと作業性が悪く、またモルタルの付着性も悪くなる。また、コンクリートの劣化が激しい場合は、コンクリート構造物の鉄筋裏側まで補修用のモルタルコンクリートを充填させる必要がある。この場合、コテによる塗り付けでは鉄筋裏側までモルタルコンクリートを充填させることは困難である。
【0003】
このような劣化部に対するモルタルコンクリートによる補修方法としては、セメントをポンプ等で圧送することにより水や急結材と混合させながら圧縮ガスにより補修断面に吹き付けるモルタル吹き付けによる工法や、劣化部位に形成された孔にやクラックに対して、可塑性にするのに十分な量の水を散布した後、セメント及び骨材が混合された粉体を吹き付ける粉体吹きつけによる工法が採用されている。これらモルタルやセメント及び骨材からなる粉体を吹き付ける補修方法によれば、モルタルコンクリートの補修断面への密着性に優れ、また、鉄筋裏側へのモルタルコンクリートの充填も容易で、さらに施工スピードも速いという利点がある。
【0004】
【特許文献1】特開2003−129670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このうち、粉体吹き付けによる工法に使用される粉体吹付け装置には、小規模の補修に適した携帯可能なサイズのガンタイプの吹付け装置がある。このガンタイプの吹付け装置は、セメントが貯蔵されるホッパーと、セメントが吹き出る吹出しノズルにセメントを送るフィーダーと、セメントを吹出しノズルから吹き出させる圧縮ガスを供給するガスボンベ等を備える。
【0006】
ガスボンベには、充填されるセメントを吹き出す圧縮ガスとして液化石油ガス(LPG)が充填されるエアゾールタイプのものが多く用いられている。しかし、LPGと共にセメントを吹き付けると、補修断面がLPGによって冷却されモルタルコンクリートの付着性が悪くなる場合がある。また、セメントがLPGと共に吹き出される吹出しノズルが目詰まりを起こし、吹付け装置の使用の度にノズルの洗浄が必要となる。
【0007】
さらに、エアゾールタイプのガスボンベにおいては、簡便に液体を噴霧することができるが、液化ガス又は液体のいずれかを使い切ると再利用することができず、使い捨てとなり無駄が多くなってしまう。
【0008】
また、カートリッジとして交換可能に形成されたガスボンベを用いるタイプにおいては、ガスボンベは、単体で取り扱われるものであるため、使用前に開口部が閉塞され、カートリッジアダプタ装着されると、開口針等で開詮される。このため、ガスボンベは、一旦カートリッジアダプタに装着されると、充填されたガスを使い切るまで取り外すことはできない。また、誤ってカートリッジアダプタより取り外した場合は、高圧のガスが一気に開口部より吹き出し、ボンベが飛び出すなどして大変危険である。さらに、開詮された開口部に指先等が触れると、ボンベ内に充填された圧縮ガスが気化する際の気化熱により凍傷になる危険がある。
【0009】
また、ガスボンベは、一端カートリッジアダプタに装着した後にカートリッジアダプタより取り外してしまうと、充填されていた圧縮ガスがすべて放出されてしまうため、残存していたガスを再利用することはできなかった。さらに、ガスボンベは、カートリッジアダプタに装着する前であっても、誤って落下等させることにより開口部が損傷した場合に充填されたガスが開口部より噴出し、ボンベの飛び出しや凍傷の危険があるほか、ガスボンベの再利用は不可能となる。
【0010】
ところで、料理の分野においては、粉砂糖やきなこ等の粉体を食材に均一に素早く吹き付けることができれば便利である。
【0011】
そこで、本発明は、粉体を吹き付け面に均一に吹き付けることができると共に、吹付け装置のノズルの目詰まり等もなく、さらに、いったん装置本体に装着されても安全に取り外しができ、再利用することができるカートリッジとして交換可能に形成されたガスボンベカートリッジを用いた粉体吹付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するめ、本発明にかかる粉体吹付け装置は、装置本体と、蓋体により開口部が封止され圧縮ガスが充填されたボンベと、上記蓋体に穿孔を形成するとともに該穿孔に突き立てられることにより上記蓋体を閉塞する尖鋭体と、上記ボンベの蓋体と対向する端部に上記尖鋭体を上記蓋体と接離可能に保持する保持体と、上記保持体を上記ボンベの蓋体側に付勢する付勢部材と、上記保持体を上記蓋体と離間する方向に操作し、上記ボンベを開放する操作部材と、上記ボンベ及び保持体を収納するとともに、上記蓋体の穿孔より噴出した上記圧縮ガスを外方へ流すガス流路が形成されたハウジングとを有するガスボンベカートリッジが装填される把持部と、上記操作部材と連動され、上記把持部を把持した手の指が掛けられるトリガーと、上記トリガーよりも粉体の吹付け方向の先端側に設けられ、粉体が充填されたタンク部と、一端が上記タンク部内に臨み他端が外方に臨まされることにより上記タンク部内に充填された粉体をタンク部外に吹き出す導管と、上記ガスボンベカートリッジと連続されることにより上記ガス流路から噴出されたガスを上記タンク部内に導くアダプタ部とを有する粉体タンクと、上記装置本体内に設けられ、上記ガスボンベカートリッジのハウジングと上記粉体タンクのアダプタ部とを連接するガス導入路と、上記導管の外方に臨まされる一端部と連続され、上記粉体を吹き出す吹出しノズルとを備え、上記圧縮ガスとともに上記粉体を吹き出すものである。
【0013】
また、本発明にかかる粉体吹付け装置は、蓋体により開口部が封止され圧縮ガスが充填されたボンベと、上記蓋体に穿孔を形成するとともに該穿孔に突き立てられることにより上記蓋体を閉塞する尖鋭体と、上記ボンベの蓋体と対向する端部に上記尖鋭体を上記蓋体と接離可能に保持する保持体と、上記保持体を上記ボンベの蓋体側に付勢する付勢部材と、上記保持体を上記蓋体と離間する方向に操作し、上記ボンベを開放する操作部材と、上記ボンベ及び保持体を収納するとともに、上記蓋体の穿孔より噴出した上記圧縮ガスを外方へ流すガス流路が形成された結合部が設けられたハウジングとを有するガスボンベカートリッジと、上記装置本体内に設けられ、上記結合部を介して上記ガス流路と連結されるガス導入路と、粉体が充填されたタンク部と、一端が上記タンク部内に臨み他端が外方に臨まされることにより上記タンク部内に充填された粉体をタンク部外に吹き出す導管と、上記ハウジングの結合部に接続されることにより上記ガスボンベカートリッジと着脱自在に係合するとともに上記ガス流路から噴出されたガスを上記タンク部内に導くアダプタ部とを有する粉体タンクとを備え、上記圧縮ガスとともに上記粉体を吹き出すものである。
【0014】
また、本発明にかかる粉体吹付装置は、粉体が充填されたタンク部と、一端が上記タンク部内に臨み他端が外方に臨まされることにより上記タンク部内に充填された粉体をタンク部外に吹き出す導管と、蓋体により開口部が封止され圧縮ガスが充填されたボンベと、上記蓋体に穿孔を形成するとともに該穿孔に突き立てられることにより上記開口部を閉塞する尖鋭体と、一端に上記ボンベの蓋体と対向して上記尖鋭体を上記蓋体と接離可能に保持する保持体と、上記保持体を上記ボンベの蓋体側に付勢する付勢部材と、上記保持体を上記蓋体と離間する方向に操作し、上記ボンベを開放する操作部材と、上記ボンベの蓋体に穿設された穿孔より噴出した上記圧縮ガスを上記タンク内に導くガス流路が設けられ、上記ボンベ及び操作部材を収納する収納体とを備え、上記圧縮ガスとともに上記粉体を吹き出すものである。
【発明の効果】
【0015】
上述した粉体吹付け装置によれば、粉体の吹き出しが停止されている状態においては、保持体がボンベ側に付勢されて尖鋭体がボンベの蓋体を閉塞し、圧縮ガスの噴出が防止されている。このため、粉体吹付け装置は、一旦ガスボンベカートリッジが装着された後でも、圧縮ガスの噴出や気化熱による凍傷等の危険を伴うことなく、ガスボンベカートリッジを安全に取り外すことができる。
【0016】
また、かかる粉体吹付け装置は、ボンベ内に圧縮ガスが残っている場合に、他の装置に付け替えることができ、再度ボンベを利用することができる。さらに、粉体吹付け装置によれば、保持体が付勢部材によりボンベ側に付勢されることにより、蓋体が尖鋭体により穿孔、閉塞されているため、装置内に装着される前にガスボンベカートリッジを落下等させた場合でも、ボンベ内の炭酸ガスの噴出や気化熱による凍傷等の危険がなく、安全に取り扱うことができる。
【0017】
さらに、かかる粉体吹付け装置は、圧縮ガスとして炭酸ガスを用いた場合には、炭酸ガスと共にセメントを吹き出すため、導管や吹出しノズルの目詰まりを起こさず、導管や吹出しノズルの洗浄等の手間を省くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明が適用された粉体吹付け装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。この粉体吹付け装置1は、セメント等のコンクリート構造物の補修に用いられる補修部材の補修部位への吹き付けや、粉砂糖やきなこといった粉体を各種食材に均一に吹き付ける場合等、各種粉体を吹き付けるために用いることができる。
【0019】
以下では、コンクリート構造物の補修用のセメントを補修部位に吹き付ける粉体吹付け装置1について説明する。この粉体吹付け装置1は、図1及び図2に示すように、小規模の補修に適した形態可能なサイズのガンタイプの吹き付け装置であり、片手で把持、操作可能な大きさに形成された装置本体2を備える。装置本体2には、把持部3と、セメントの吹き出し操作を行うトリガー4と、セメントが充填されたカートリッジタイプのタンクが取り付けられるカートリッジ装着部5と、装置本体2の前面2aに設けられ粉体の吹き出し口となる吹き出しノズル6とが設けられている。
【0020】
図2に示すように、装置本体2の把持部3には、炭酸ガスが充填されたガスボンベカートリッジ10と、後述する振動子90に駆動電力を供給する一次電池や二次電池等の電源11とが内蔵されている。これらガスボンベカートリッジ10及び電源11は、いずれも把持部3より着脱自在に設けられており、炭酸ガスカートリッジボンベ13内の炭酸ガスや電源11の電気エネルギーを消費した場合には交換可能とされている。
【0021】
装置本体2の把持部3は、ユーザによって片手で把持されたとき、人差し指がトリガー4に掛かる。したがって、粉体吹付け装置1は、トリガー4によるセメントの吹き付け操作を容易に行うことができる。
【0022】
ガスボンベカートリッジ10は、図3及び図4に示すように、炭酸ガスが充填されている炭酸ガスカートリッジボンベ13と、炭酸ガスカートリッジボンベ13を開詮する尖鋭体14を保持する保持体15と、保持体15を炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22側に付勢する付勢部材16と、保持体15を炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22と離間する方向に操作して炭酸ガスを放出させる操作部材17と、炭酸ガスカートリッジボンベ13及び保持体15を収納するハウジング18とを有する。
【0023】
炭酸ガスカートリッジボンベ13は、略筒状の金属筐体内に液化炭酸ガスが充填されている。また、炭酸ガスカートリッジボンベ13は、金属筐体の一端側に開口部21が形成されている。開口部21は蓋体22で覆われており、金属筐体内の炭酸ガスの噴出を防止している。また、開口部21は、蓋体22が後述する保持体15に保持されている尖鋭体14により穿孔22aが形成されるとともに、尖鋭体14が穿孔22aに突き立てられることにより閉塞される。
【0024】
このような炭酸ガスカートリッジボンベ13は、蓋体22に突き立てられている尖鋭体14が引き上げられることにより、蓋体22の穿孔22aから炭酸ガスが噴出する。また、炭酸ガスカートリッジボンベ13は、尖鋭体14が穿孔22a内に突き立てられることにより開口部21が閉塞され、炭酸ガスの噴出が防止される。
【0025】
尖鋭体14を保持し、炭酸ガスカートリッジボンベ13の開閉を行う保持体15は、図5に示すように、断面略凸字状に形成され、炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22に突き立てられる尖鋭体14が挿通、保持される突部24と、保持体15を炭酸ガスカートリッジボンベ13側に付勢する付勢部材16が係止される係止溝25が形成されたフランジ部26を有する。
【0026】
尖鋭体14を挿通、保持する突部24は、後述するハウジング18に形成されたガイド壁51に摺動自在に支持され、炭酸ガスカートリッジボンベ13と近接又は離間する方向への移動がガイドされている。また保持体15は、後述する操作部材17と当接されることにより付勢部材16の付勢力に対抗して突部24が炭酸ガスカートリッジボンベ13より離間する方向へ操作可能とされている。
【0027】
炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22を閉塞する尖鋭体14は、尖端部14aが保持体15の底面部15aより突出され、炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22に突き立てられている。これにより、尖鋭体14は、蓋体22に穿孔22aを開けるとともに、この穿孔22aを閉塞することにより炭酸ガスカートリッジボンベ13内に充填された炭酸ガスの流出を防止する。
【0028】
保持体15の炭酸ガスカートリッジボンベ13と対向する端部に形成されているフランジ部26は、保持体15を付勢する圧縮バネ等の付勢部材16が係合される。この付勢部材16は、保持体15に係合された状態で保持体15が後述するハウジング18内に収納されることにより、一端をハウジング18の内壁に当接され、他端をフランジ部26に当接される。これにより、付勢部材16は、保持体15を炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22側に付勢している。
【0029】
以上のような構成を有する保持体15は、ハウジング18に収納されると、炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22と尖鋭体14が形成された底面部15aとが対向される。そして、保持体15は、付勢部材16により炭酸ガスカートリッジボンベ13側に付勢されるため、尖鋭体14が蓋体22を穿孔するとともに尖端部14aが穿孔22aに突き立てられ炭酸ガスカートリッジボンベ13を閉塞する。
【0030】
そして、保持体15は、操作部材17により、付勢部材16の付勢力に対抗して炭酸ガスカートリッジボンベ13と反対側に移動されると、蓋体22より尖鋭体14の尖端部14aが引き上げられるため、炭酸ガスを噴出させることができる。噴出した炭酸ガスは、ハウジング18内に立設されたガス流路43を通り後述する粉体タンク80側に導かれる。また、保持体15は、操作部材17の付勢力が解かれると、付勢部材16の付勢力により炭酸ガスカートリッジボンベ13側に付勢され、尖鋭体14の尖端部14aが炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22に形成された穿孔22a内に突き立てられ、炭酸ガスの噴出を止める。
【0031】
なお、保持体15を炭酸ガスカートリッジボンベ13側に付勢する付勢部材16は、蓋体22の穿孔22aより炭酸ガスカートリッジボンベ13内に挿通された尖鋭体14の尖端部14aがボンベ内に充填された炭酸ガスにより押圧される圧力よりも大きな圧力で、保持体15を付勢する。すなわち、保持体15に保持された尖鋭体14は、蓋体22の穿孔22aより炭酸ガスカートリッジボンベ13内に突き立てられたときでも、ボンベ内のガス圧力により穿孔22aより押し出されることはない。したがって、ガスボンベカートリッジ10は、操作部材17により保持体15が操作される前において、炭酸ガスカートリッジボンベ13内に充填された炭酸ガスの漏出が防止されている。
【0032】
保持体15を操作することにより炭酸ガスカートリッジボンベ13内の炭酸ガスを噴出させる操作部材17は、保持体15の突部24と当接されハウジング18に回動可能に支持されるレバー部材30と、レバー部材30の一端30aを押圧操作する操作釦31とを有する。
【0033】
レバー部材30は、図6に示すように、板状体の他端30bをハウジング18のガイド壁51の形状に応じて略円弧状に切り欠かれた切欠部32が形成されている。この切欠部32の相対向する側縁部32a,32aは、上記保持体15のフランジ部26の下方に位置され、レバー部材30の他端30bが上方に回動されると、フランジ部26より突出された押下突起40に当設し、保持体15を上方に押し上げる。また、レバー部材30の一対の外側面30c,30cには、それぞれハウジング18に形成された回動支持部52に支持される回動突部34が突設されている。回動突部34は円柱状の突起からなり、後述する回動支持部52の支持凹部52aに回動自在に支持されている。さらに、レバー部材30は、他端側の主面部に操作釦31の一端が係合されるとともに、後述するガス流路43が挿通される係合孔35が貫通されている。
【0034】
このレバー部材30の係合孔35と係合される操作釦31は、ハウジング18の上面部に設けられ後述するトリガー4と係合することにより押圧操作される操作部37と、ハウジング18内を上下方向に移動可能に支持されるとともに一端38aがレバー部材30の係合孔35に当接される押圧軸38とを有する。押圧軸38は、他端38bがハウジング18の上面部に突出されて操作部37と連結されている。また、押圧軸38は、軸方向に亘って中空状に形成され、ハウジング18の上側収納42の下面部42aより立設されているガス流路43が挿通されている。押圧軸38内を流れる炭酸ガスは、操作部37を経て後述する粉体タンク80内に供給される。
【0035】
また、操作部37も中空状に形成され、ガス流路43が挿通されている。操作部37は、上面部にトリガー4によって回動操作される回動レバー44が当接されている。そして操作部37は、トリガー4がユーザに操作されることにより回動レバー44が回動されることにより、操作釦31を押し下げる方向へ押圧される。
【0036】
操作部材17は、レバー部材30の回動突部34よりも他端30b側が、付勢部材16によって常時炭酸ガスカートリッジボンベ13側に付勢されている保持体15のフランジ部26に突設されている押下突起40に押下されることにより、図7に示すように、回動突部34を支点に他端30bが下方に回動され、また、一端30a側が上方に回動されている。したがって、レバー部材30の一端30a側と当接している操作釦31は、常時、操作部37が上方に押し上げられている。
【0037】
そして、操作部材17は、ユーザによってトリガー4が操作され、このトリガー4と係合する操作部37が押し下げられると、図8に示すように、押圧軸38に押圧されたレバー部材30の一端30aが回動突部34を支点に下方に回動され、また、他端30bが上方に回動される。したがって、保持体15は、レバー部材30の他端30bに形成された一対の側縁部32aがフランジ部26の押下突起40に下方より当設するため、付勢部材16の付勢力に対向して上昇され、炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22より離間される。これにより、保持体15に支持されている尖鋭体14の尖端部14aが炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22より引き上げられるため、炭酸ガスを噴出させることができる。
【0038】
炭酸ガスカートリッジボンベ13及び保持体15を収納するハウジング18は、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂により、炭酸ガスカートリッジボンベ13が収納される下側収納41と保持体15が収納される上側収納42が形成された略筒状体からなる。また、ハウジング18は、ユーザによって片手で把持できる程度の大きさで形成されている。
【0039】
このハウジング18は、下側収納41から上側収納42を貫通するようにガス流路43が立設されている。ガス流路43は炭酸ガスカートリッジボンベ13内に充填された炭酸ガスの流路であり、上述した押圧軸38及び操作部37内を挿通して、後述する粉体タンク80と炭酸ガスカートリッジボンベ13とを連結するガス導入路79と連結されている。そして、ガス流路43は、一端側がこのガス導入路79内に挿入され、他端側が下側収納41内の炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22上に臨まされ、蓋体22の穿孔22より噴出された炭酸ガスをガス導入路79内へ導く。
【0040】
下側収納41は、炭酸ガスカートリッジボンベ13と略同一の高さ及び経を有し、炭酸ガスカートリッジボンベ13を収納する。また、下側収納41は、下面側に炭酸ガスカートリッジボンベ13の開口部21近傍をネジ止めするためのネジ穴45が内側に形成されている。これにより炭酸ガスカートリッジボンベ13は、ハウジング18内に収納されると、ネジ穴45に開口部21が支持され、ガタつくことなく収まる。また、このとき炭酸ガスカートリッジボンベ13は、蓋体22と上側収納42の下面部42aとの間に炭酸ガスが流れるクリアランス46が設けられる。これにより炭酸ガスカートリッジボンベ13より噴出された炭酸ガスは、クリアランス46を通って蓋体22上に臨まされているガス流路43内に導かれる。なお、炭酸ガスカートリッジボンベ13は開口部21の全周に亘ってネジ穴45に係止されるとともに、ネジ孔45の上部がガス流路43と連続されているため、炭酸ガスは下側収納41内に漏れることなく確実にガス流路43へ導かれる。
【0041】
保持体15を収納する上側収納42は、下側収納41と着脱可能に形成され、上述したように、一端が下側収納41内に臨まされたガス流路43が上方に貫通されている。上側収納42は、内部に保持体15の突部24の移動をガイドするガイド壁51と、レバー部材30の回転突部34,34を支持する一対の回動支持部52,52と、付勢部材16の一端が係止される係止部53とが形成されている。
【0042】
ガイド壁51は、上側収納42の下面部42aより突設され、保持体15の突部24を摺動自在に支持している。このガイド壁51に囲まれ、保持体15の突部24が挿通される凹部51aには、保持体15に保持されている尖鋭体14が貫通する貫通孔54が穿設されている。貫通孔54は、予め尖鋭体14により炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22を穿孔する際に、同時に尖鋭体14によって下面部42aが貫通されることによって形成される。したがって、貫通孔54は、尖鋭体14の経と同一の経で形成され、また下面部42aを滑りがよく、反発性があるポリエチレン等の材料を使用することによって、尖鋭体14の移動をガイドするとともに、蓋体22の穿孔14aから尖鋭体14を引き抜いたときにも貫通孔54と尖鋭体14との間に間隙が形成されることなく炭酸ガスが上側収納42内に流れることを防止することができる。
【0043】
なお、凹部51aには、尖鋭体14の尖端部14aが炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22の穿孔22aに挿通する際のブレを防止するためのガイド板55を配設してもよい。ガイド板55は、凹部51aと略同一の大きさに形成され、略中央に尖鋭体14が挿通する挿通孔が設けられている。ガイド板55を配設することにより、ガスボンベカートリッジ10は、尖鋭体14がガイド板55にガイドされて常に蓋体22に垂直に突き立てられ、外部からの衝撃により尖鋭体14にブレを生じ、蓋体22に垂直に対峙せずに蓋体22の穿孔22aより炭酸ガスがもれることを防止することができる。
【0044】
回動支持部52,52は、上側収納42の下面部42aより突設され、レバー部材30の回転突部34,34を回動自在に支持する支持凹部52aが形成されている。
【0045】
係止部53は、上側収納42の上面部42bに形成され、一端部が保持体15のフランジ部26に形成された係止溝25に係止されている付勢部材16の他端部が当接されている。これにより、保持体15は、付勢部材16により炭酸ガスカートリッジボンベ13側に付勢される。
【0046】
上側収納42の上面部42bには、操作部材17の押圧軸38が挿通されている挿通孔57が設けられている。挿通孔57は、押圧軸38を支持するとともに上下方向の移動をガイドしている。
【0047】
また、上側収納42の上面部42bには、保持体15の上昇を規制することにより尖鋭体14の蓋体22からの抜き出し量を規制し、炭酸ガスの噴出を制御する規制部材59が挿通係合されている挿通孔60が設けられている。この挿通孔60に挿通される規制部材59は、上側収納42内に挿入され保持体15の上面部15bと当接される軸部59aと、上側収納42の上面部42bより外方に設けられ、軸部59aの挿入深さを調節する調節部59bからなる。また、挿通孔60は内周面にネジ溝が切られ、同様にネジ溝が切られている規制部材59の軸部59aが嵌合されている。
【0048】
そして、規制部材59は、上側収納42の上面部42bの外部に配設されている調節部59bを回転させることにより軸部59aの挿入深さを調節し、軸部59aの先端と保持体15の上面部15bとの当接位置を調節できる。これにより、規制部材59は、調節部59bを回転操作することにより、操作部材17によって保持体15が上昇されたときにも、規制部材59の軸部59aが保持体15の上面部15bに当接され、保持体15の上昇が規制されるため、炭酸ガスの流量を調節することができ、炭酸ガスが必要以上に噴出される事態を防止することができる。
【0049】
把持部3に配設されている電源11は、粉体タンク80に振動を加える振動子90に駆動電力を供給するものであり、一次電池や二次電池を用いることができる。電源11には振動子90に送電するための電線65が接続されている。
【0050】
次いで、粉体タンク80内に充填されたセメントの吹き出し操作を行うトリガー4について説明する。トリガー4は、装置本体2の内腔2aに回動自在に支持されるとともに、回動レバー44を介してガスボンベカートリッジ10の操作部材17と係合されており、ユーザによって回動操作されることによりガスボンベカートリッジ10より炭酸ガスを噴出させるものである。
【0051】
トリガー4は、装置本体2の内腔2a内に支持される支持部71と、支持部71より装置本体2の外方に延設されユーザの指が掛けられる指掛け部72と、支持部71より内腔2a内に延設され回動レバー44と係合する係合凸部73と、上述した電源11と後述する振動子90との導通を制御する制御突部74とを有する。支持部71は、装置本体2の内腔2aに支持されることにより、トリガー4全体を図2中矢印R方向及び反矢印R方向へ回動自在とされる。指掛け部72は、略円弧状に湾曲され指が掛けやすくされている。また、係合凸部73は、上側縁73aに回動レバー44が当接されるとともに、一端が装置本体2の内腔2aに係止されているコイルバネ75の他端が係止される係止孔76が形成されている。
【0052】
このようなトリガー4は、係合凸部73に係止されているコイルバネ75により、支持部71を中心に常時図2中矢印反R方向へ回動付勢されている。そして、トリガー4は、ユーザによって指掛け部72が図2中矢印R方向へ引かれると、コイルバネ75の付勢力に対抗して同方向へ回動される。図2中矢印R方向へ回動されることにより、トリガー4は、係合凸部73の上側縁73aが回動レバー44に当設して回動させる。
【0053】
回動レバー44は、トリガー4の回動動作をガスボンベカートリッジ10に伝達するものであり、装置本体2の内腔2aに回動自在に支持され、長手方向の一端44a側が上記トリガー4の係合凸部73と当接されるとともに、他端44b側に後述するガス導入路79が挿通され、さらに上記ガスボンベカートリッジ10の操作部材17と当接されている。この回動レバー44は、装置本体2に回動自在に支持される支持部77と、ガス導入路79が挿通される挿通孔78が設けられている。
【0054】
そして回動レバー44は、トリガー4がユーザによって図2中矢印R方向へ回動されると、一端44aが係合凸部73の上側縁73aに押圧され、支持部77を中心に図2中矢印S方向へ回動される。これにより回動レバー44は、他端44b側でガスボンベカートリッジ10に設けられた操作部材17の操作部37を押圧する。操作部37は、回動レバー44に押圧されることにより、付勢部材16の付勢力に対抗してレバー部材30の一端30aを押圧、回動させ、保持体15の尖鋭体14を炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22より離間させて炭酸ガスを噴出させる。
【0055】
また、ユーザによってトリガー4の指掛け部72から指が離されると、トリガー4はコイルバネ75の付勢力によって図2中反矢印R方向へ回動される。したがって回動レバー44は、係合凸部73からの付勢力が解かれるため、レバー部材20を介してガスボンベカートリッジ10の付勢部材16の付勢力を受けた操作部材17に押し上げられ、図2中反矢印S方向へ回動される。またこのとき保持部材15は、付勢部材16の付勢力を受けて尖鋭体14を炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22に突き立てられるため、炭酸ガスの噴出を止める。
【0056】
電源11と振動子90との導通を制御する制御突部74は、トリガー4の回動に応じて電線65を導通又は遮断させることにより炭酸ガスの噴出と振動子90の振動との同期を図るものであり、先端部に電線65と接続された端子74aが設けられている。端子74aは、指掛け部74が操作されず、図2中反矢印R方向へ回動されている状態においては、振動子90側の端子と離間され電源11と振動子90との導通が遮断されている。そしてユーザによって指掛け部72が図2中矢印R方向へ回動されると、制御突部74は、端子74aが振動子90側の端子と接触される。これにより電源11と振動子90とが導通され、振動子90が駆動される。ユーザによる指掛け部72の操作が解かれると、コイルバネ75の付勢力によってトリガー4が図2中反矢印R方向へ回動されるため、制御突部74は、端子74aが振動子90側の端子と離間され振動子90の駆動が停止される。
【0057】
トリガー4の操作に応じて噴出された炭酸ガスを粉体タンク80内へ導くガス導入路79は、装置本体2の内腔2aに配設され、一端79aを上記回動レバー44の挿通孔78及びガスボンベカートリッジ10の操作部材17の内部を挿通してガス流路43と連結され、他端79bを後述する粉体タンク80内へ臨まされている。このガス導入路79は、回動レバー44の挿通孔78内において、ガス流路43と連続されることにより、ハウジング18の下側収納41と連続され、炭酸ガスカートリッジボンベ13から噴出される炭酸ガスの流路を構成する。
【0058】
ガス導入路79によって炭酸ガスが導入される粉体タンク80は、セメント吹き付ける粉体が充填されているタンク本体81と、タンク本体81内に配設されセメントを装置本体2の前面2aに形成された吹き出しノズル6まで導く導管82とを有する。そして粉体タンク80は、粉体タンクカートリッジ83内に配設されこの粉体タンクカートリッジ83が装置本体2のカートリッジ装着部5に装着されることにより、装置本体2に着脱自在に取り付けられている。
【0059】
粉体タンク80のタンク本体81には、ガス導入路79及び吹き出しノズル6の各先端が挿通されている蓋体85が取り付けられている。蓋体85には、ガス導入路79の他端79bが挿入されるアダプタ86が内蔵され、このアダプタ86を介して炭酸ガスをタンク本体81内へ導く。また蓋体85は、吹き出しノズル6の一端6aが挿通される挿通孔87が形成されている。挿通孔87は、タンク本体81内に設けられた導管82の一端と結合され、吹き出しノズル6の一端6aが挿入されると吹き出しノズルと導管82とを連続させる。
【0060】
タンク本体81内に配設された導管82は、タンク本体81の底部81aより蓋体85の挿通孔87内へかけて配設されている。そして、タンク本体81にはセメントが充填され、ガス導入路79より炭酸ガスが導入されると、ガス圧力によって炭酸ガスと共に導管82を経て吹き出しノズル6よりセメントが吹き出される。なおセメントは、用途に応じて各種使い分けることができ、例えば平均粒径3μmのポルトランドセメントが用いられる。また、セメントは、炭酸ガスとともに吹き出されることにより、補修箇所に対して均一に満遍なく吹き付けることができる。
【0061】
また、タンク本体81には、タンク本体81に充填されたセメントを振動させる振動子90が装着されている。振動子90は、タンク本体81内に沈殿したセメントに振動を加えることにより、炭酸ガスと共にセメントを吹き出しやすくするものであり、装置本体3の把持部3に配設された電源11より電線65を介して駆動電力を得て駆動される。
【0062】
これら粉体タンク80及び振動子90は、粉体タンクカートリッジ83内に配設され、この粉体タンクカートリッジ83が装置本体2のカートリッジ装着部5に取り付けられることにより装置本体2に装着される。この粉体タンクカートリッジ83は、長手方向の一端側が開放された略中空円筒形をなし、粉体タンク80と略同一の大きさを有するタンク装着部92と、振動子90が配設される振動子配設部93とを有する。また粉体タンクカートリッジ83は、開放端側の外周面にカートリッジ装着部5と着脱自在に係合される係合部94が形成されている。
【0063】
このような粉体タンクカートリッジ83は、カートリッジ装着部5と着脱自在とされることにより、例えば粉体タンク80内のセメントが消費されたときに、セメントが充填された新たな粉体タンク80に交換して作業を続けたり、作業に応じて異なる種類のセメントが充填された粉体タンク80を複数用意し、補修現場によって粉体タンク80を交換するように用いることができる。
【0064】
この他、粉体タンク80の導管82に連結され装置本体2の前面2aよりセメントを吹き出す吹き出しノズル6は、装置本体2の前面2aより突出されている吹出口6aが着脱自在とされ、セメントの吹き出し角度や吹き出すセメントの種類等に応じて最適な吹出口6aが交換可能とされている。
【0065】
次いで、以上のような構成を有する粉体吹付け装置1の実使用時における動作を説明する。粉体吹付け装置1は、コンクリート構造物のひび割れ等の補修箇所にセメントを充填させるために用いられるものであり、補修箇所には予め水が吹き付けられ、その後、粉体吹付け装置1によりセメントが吹き付けられる。
【0066】
使用時において粉体吹付け装置1は、粉体タンクカートリッジ83内にセメントが充填された粉体タンク80を振動子90とともに入れ、この粉体タンクカートリッジ83を装置本体2のカートリッジ装着部5に装着する。これにより、粉体タンク80の蓋体85に設けられたアダプタ86にガス導入路79が挿入され、また吹き出しノズル6と導管82とが接続される。
【0067】
このとき図7に示すように、ガスボンベカートリッジ10の下側収納41に収納されている炭酸ガスカートリッジボンベ13は、保持体15が付勢部材16によって下方に付勢されていることにより、保持体15に保持されている尖鋭体14の先端部14aが蓋体22に突き立てられて予め開口され、この尖鋭体14の先端部14aによって穿孔22aが閉塞されて炭酸ガスの噴出が防止されている。
【0068】
また、このとき操作部材17は、レバー部材30が、付勢部材8によって炭酸ガスカートリッジボンベ13側に付勢されている保持体15の押下突起40に押下されることにより、図7に示すように、回動突部34を支点に他端30b側が下方に回動され、また一端30a側が上方に回動されている。したがって、レバー部材30の一端30a側と係合している操作釦31は、常時、操作部37が上方に押し上げられている。また、回動レバー44も操作部37に押圧されることにより図2中反矢印S方向へ回動されている。
【0069】
また、トリガー4は、係合凸部73に係止されたコイルバネ75によって支持部71を支点に図2中反矢印R方向へ回動されている。したがって、制御突部74に設けられた電線65の端子74aは、振動子90側の端子と離間され、振動子90と電源11との導通が遮断されている。
【0070】
次いで、ユーザによって装置本体2の吹き出しノズル6を補修箇所に向けられ、トリガー4の指掛け部72を図2中矢印R方向へ引かれると、係合凸部73の上側縁73aが回動レバー44と当設し、回動レバー44が図2中矢印S方向へ回動される。したがって、回動レバー44に押圧されてガスボンベカートリッジ10の操作部37が下方に押圧される。これにより押圧軸38の一端38aが下方に下降し、この押圧軸38と係合するレバー部材30の一端30aが回動突部34を支点に下方に回動され、また、他端30bが上方に回動される。これにより保持体15は、レバー部材30の他端30bに形成された一対の側縁部32aが、フランジ部26の押下突起40に下方より当接するため、付勢部材16の付勢力に対抗して上昇され、炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22より離間される。これに伴い、保持体15に支持されている尖鋭体14の先端部14aが炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22の穿孔22aより引き上げられるため、ボンベ内に圧縮されている炭酸ガスが噴出される。
【0071】
噴出された炭酸ガスは、ハウジング18の下側収納41と上側収納42との間に設けられたクリアランス46を介して、蓋体22上に一端が臨まされているガス流路43に導かれる。そして、ガス流路37と連続されているガス導入路79を経て粉体タンク80内に噴出される。これにより粉体タンク80の内圧が高まり、粉体タンク80内に充填されているセメントが炭酸ガスと共に導管82を経て吹き出しノズル6の吹き出し口6aより吹き出される。
【0072】
このとき、トリガー4が図2中矢印R方向へ回動されていることから、トリガー4の制御突部74の先端に設けられた電線65の端子74aが、振動子90側の端子と接触され、振動子90と電源11との導通が図られる。したがって、電源11より駆動電力を得た振動子90が振動することにより、粉体タンク80に振動が加えられ、タンク本体81内に沈殿したセメントに振動を加えることにより、炭酸ガスと共にセメントを吹き出しやすくされている。
【0073】
なお、予め規制部材59の調節部59bを回転させ、軸部59aのハウジング18内への挿入深さを調節し、軸部59bの先端と保持体15の上面部15bとの当接位置を調節しておくことにより、操作部材17によって保持体15が上昇されたときにも、規制部材59の軸部59aが保持体15の上面部15bに当接され、保持体15の上昇が規制されるため、炭酸ガスの流量を調整することができ、炭酸ガスが必要以上に噴出される事態を防止することができる。
【0074】
ユーザによるトリガー4の操作が解除されると、回動レバー44による操作部材17への押圧力が解かれるため、保持体15は、付勢部材16の付勢力により炭酸ガスカートリッジボンベ13側に付勢される。したがって、保持体15に保持されている尖鋭体14は先端部14aが炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22の穿孔22aに突き立てられ、炭酸ガスカートリッジボンベ13を閉塞する。これにより、粉体タンク80内への炭酸ガスの供給が停止されるため、吹き出しノズル6からのセメントの吹き出しが停止される。
【0075】
またレバー部材30は、他端30bが炭酸ガスカートリッジボンベ13側に付勢された保持体15の押下突起40に押圧され、回動突部34を支点に一端30a側が上方に回動される。したがって、レバー部材30の一端30a側と係合している操作釦31は、押圧軸38が上方に移動し、操作部37が上側収納42の上面部42bの上方に押し上げられる。
【0076】
またトリガー4は、ユーザによってトリガー4の指掛け部72から指が離されると、コイルバネ75の付勢力によって図2中反矢印R方向へ回動される。したがってトリガー4の制御突部74は、端子74aが振動子90側の端子と離間され、振動子90の振動が停止される。
【0077】
このように、粉体吹付け装置1は、粉体の吹き出しが停止されている状態においては、保持体15が炭酸ガスカートリッジボンベ13側に付勢されて尖鋭体14の先端部14aが炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22を閉塞し、炭酸ガスの噴出が防止されている。このため、粉体吹付け装置1は、一端ガスボンベカートリッジ10が装置本体2に装着された後でも、炭酸ガスの噴出や噴出に伴う気化熱による凍傷等の危険を伴うことなく、ガスボンベカートリッジ10を装置本体2の把持部から安全に取り外すことができる。
【0078】
また、粉体吹付け装置1は、炭酸ガスカートリッジボンベ13内に炭酸ガスが残っている場合でも安全に装置本体2への着脱が行えることから、他の装置本体に付け替えることができ、ガスボンベカートリッジ10を再利用することができる。
【0079】
さらに粉体吹付け装置1によれば、保持体15が付勢部材8により炭酸ガスカートリッジボンベ13側に付勢されることにより、蓋体22が尖鋭体14に穿孔、閉塞されているため、装置本体2の把持部3に装着される際等にガスボンベカートリッジ10を落下等させた場合でも、炭酸ガスカートリッジボンベ13内の炭酸ガスの噴出や気化熱による凍傷等の危険がなく、ガスボンベカートリッジ10を安全に取り扱うことができる。
【0080】
また、粉体吹付け装置1は、粉体タンクカートリッジ83内に配設された粉体タンク80を交換可能に設けられているため、セメントが消費された場合や、異なる種類のセメントを用いる場合等にも、粉体タンク80を交換し、またセメントを補充する等することにより、一つの装置本体2で繰り返し吹き付け作業を行い、また複数種のセメントを吹き付けることができる。
【0081】
また、粉体吹付け装置1は、吹き出しノズル6を交換可能に設けられているため、セメントの吹き出し角度や吹き付け範囲の広狭や強度等に応じて、適した吹き出しノズル6を用いることができる。
【0082】
さらに、粉体吹付け装置1は、炭酸ガスと共にセメントを吹き出すため、吹き出しノズル6や導管82の目詰まりを起こさず、ノズルの洗浄等の手間を省くことができる。
【0083】
次いで、本発明を小麦粉やきな粉、粉砂糖といった粉体を各種食材に吹き付ける粉体吹付け装置に適用した場合について説明する。なお、以下の説明において、上述した粉体吹付け装置1と同一の部材、構成については同一の符号を付してその詳細を省略する。
【0084】
この粉体吹付け装置100は、炭酸ガスが充填された炭酸ガスカートリッジボンベ13が収納されたガスボンベカートリッジ101と、小麦粉や粉砂糖等の粉体が充填された粉体タンク102とを備える。なお、図9(a)は、ガスボンベカートリッジ101と粉体タンク102とが外れた状態を示し、図9(b)は、ガスボンベカートリッジ101と粉体タンク102とが接続された状態を示す。
【0085】
このガスボンベカートリッジ101は、上述したガスボンベカートリッジ10とほぼ同一の部材からなり、図10に示すように、炭酸ガスが充填されている炭酸ガスカートリッジボンベ13と、炭酸ガスカートリッジボンベ13を開詮する尖鋭体14を保持する保持体15と、保持体15を炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22側に付勢する付勢部材16と、保持体7を炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22と離間する方向に操作して炭酸ガスを噴出させる操作部材103と、炭酸ガスカートリッジボンベ13及び保持体15を収納するとともに、粉体タンク102と接続されるハウジング104とを備える。このうち、炭酸ガスカートリッジボンベ13、尖鋭体14を保持する保持体15及び付勢部材16については上記粉体吹付け装置1と同一であるため詳細は省略する。
【0086】
粉体吹付け装置100の操作部材103は、保持体15を操作することにより炭酸ガスカートリッジボンベ13内の炭酸ガスを噴出させるものであり、保持体15の突部24と当接されハウジング18に回動可能に支持されるレバー部材110と、レバー部材30の一端110aを押圧操作する操作釦111とを有する。
【0087】
レバー部材110は、上記レバー部材30と同様に、略円弧状に切り欠かれた切欠部112を備え、この切欠部112の相対向する側縁部112a,112aは、保持体15のフランジ部26の下方に位置され、レバー部材110が上方に回動されると、フランジ部26より突出された押下突起40に当設し、保持体15を上方に押し上げる。また、レバー部材110の一対の外側面112c,112cにはそれぞれハウジング104に形成された回動支持部127に支持される回動突部114が突設されている。さらに、レバー部材110は、他端側の主面部に操作釦111の一端が係合される係合孔115が穿設されている。
【0088】
このレバー部材110の係合孔115と係合される操作釦111は、ハウジング104の上面部に設けられユーザにより押圧操作される操作部117と、ハウジング104内を上下方向に移動可能に支持されるとともに一端118aをレバー部材110の係合孔115に係合された押圧軸118とを有する。押圧軸118は、他端118bがハウジング104の上面部に突出されて操作部117と連結されている。また、押圧軸118は、一端118aに係合突起119が形成され、この係合突起119が上述したレバー部材110の主面部に穿設された係合孔115に係合されることによりレバー部材110と連結されている。
【0089】
このような操作部材103は、レバー部材110の回動突部114よりも他端110b側が、付勢部材16によって常時炭酸ガスカートリッジボンベ13側に付勢されている保持体15のフランジ部26に突設されている押下突起40に押下されることにより、図11に示すように、回動突部114を支点に他端110bが下方に回動され、また、一端110a側が上方に回動されている。したがって、レバー部材110の一端110a側と係合している操作釦111は、常時、操作部117が上方に押し上げられている。
【0090】
そして、操作部材103は、ユーザによって操作部117が押し下げられると、図12に示すように、押圧軸118に押圧されたレバー部材110の一端110aが回動突部114を支点に下方に回動され、また、他端110bが上方に回動される。したがって、保持体15は、レバー部材110の他端110bに形成された一対の側縁部112aがフランジ部26の押下突起40に下方より当設するため、付勢部材16の付勢力に対向して上昇され、炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22より離間される。これにより、保持体15に支持されている尖鋭体14の尖端部14aが炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22より引き上げられるため、炭酸ガスを噴出させることができる。
【0091】
炭酸ガスカートリッジボンベ13及び保持体15を収納するハウジング104は、図10〜図13に示すように、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂により、炭酸ガスカートリッジボンベ13が収納される下側収納121と、保持体15が収納される上側収納122とが分離自在に結合された略筒状体からなる。また、ハウジング104は、ユーザによって片手で持って操作できる程度の大きさで形成されている。このハウジング104は、下側収納121と上側収納122との間に、炭酸ガスの流路が形成されると共に後述する粉体タンク102の係合孔142が挿入される凸状の係合部132が設けられている。
【0092】
下側収納121は、炭酸ガスカートリッジボンベ13と略同一の高さ及び経を有し、炭酸ガスカートリッジボンベ13をガタつかせることなく収納する。また、下側収納121には、粉体タンク102内に充填された粉体に振動を加える振動子に駆動電力を供給する一次電池や二次電池等が配設された電源部124が設けられている。電源部124から上側収納122にかけては、上側収納122に設けられた結合部132を介して粉体タンク102に取り付けられた振動子と電源とを接続させる電線が配設される配線部125が形成されている。
【0093】
保持体15を収納する上側収納122は、下側収納121と着脱可能に形成されている。上側収納122は、内部に保持体15の突部24の移動をガイドするガイド壁126と、レバー部材110の回動突部114を支持する一対の回動支持部127,127と、付勢部材16の一端が係止される係止部128とが形成されている。これらガイド壁126、回動支持部127及び係止部128は、それぞれ上記粉体吹き出し装置1の上側収納42に形成されたガイド壁51、回動支持部52及び係止部53に相当するものである。
【0094】
また、このガイド壁126に囲まれ、保持体15の突部24が挿通される凹部126aには、保持体15に保持されている尖鋭体14が貫通する貫通孔129が穿設されている。貫通孔129は、上記粉体吹き出し装置1の上側収納42に形成された貫通孔54に相当するものである。なお、凹部126aには上記粉体吹き出し装置1の凹部51aに配設されているガイド板45を配設するようにしてもよい。
【0095】
また、上側収納122は、下面側に炭酸ガスカートリッジボンベ13の開口部21近傍をネジ止めし炭酸ガスカートリッジボンベ13をガタつかせることなく収納するためのネジ穴130が内側に形成されている。また、このとき炭酸ガスカートリッジボンベ13は、蓋体22と上側収納122の下面部122aとの間に炭酸ガスが流れるクリアランス131が設けられる。このクリアランスは後述する粉体タンク102との結合部132に形成されたガス流路133と連続されている。したがって、炭酸ガスカートリッジボンベ13より噴出された炭酸ガスは、クリアランス131を通って結合部132内のガス流路133を経て粉体タンク102内へ導かれる。
【0096】
上側収納122の上面部122bには、操作部材103の押圧軸118が挿通され、この押圧軸118の上下移動をガイドする挿通孔135が設けられている。
【0097】
また、上側収納122の上面部122bには、保持体15の上昇を規制することにより尖鋭体14の蓋体22からの抜き出し量を規制し、炭酸ガスの噴出を制御する規制部材136が挿通係合されている挿通孔137が設けられている。この挿通孔137に挿通される規制部材136は、上側収納122内に挿入され保持体15の上面部15bと当接される軸部136aと、上側収納122の上面部122bより外方に設けられ、軸部136aの挿入深さを調節する調節部136bからなる。また、挿通孔137は内周面にネジ溝が切られ、同様にネジ溝が切られている規制部材136の軸部136aが嵌合されている。
【0098】
そして、規制部材136は、上側収納122の上面部122bの外部に配設されている調節部136bを回転させることにより軸部136aの挿入深さを調節し、軸部136aの先端と保持体15の上面部15bとの当接位置を調節できる。これにより、規制部材136は、調節部136bを回転操作することにより、操作部材103によって保持体15が上昇されたときにも、規制部材136の軸部136aが保持体15の上面部15bに当接され、保持体15の上昇が規制されるため、炭酸ガスの流量を調節することができ、炭酸ガスが必要以上に噴出される事態を防止することができる。
【0099】
この上側収納122の下方には、粉体タンク102が着脱される結合部132が形成されている。結合部132は、上側収納122の下部側面より突設された中空円筒状をなし、内部に上記クリアランス131と連続されたガス流路133が形成されている。この結合部132は、粉体タンク102に形成された係合孔142に挿通係合することにより、ガスボンベカートリッジ101と粉体タンク102とを結合するとともに、ガス流路133から噴出される炭酸ガスを粉体タンク102側へ導くものである。
【0100】
この結合部132に結合される粉体タンク102は、図10に示すように、噴出する粉体が充填された容器本体140と、容器本体140内に充填された粉体を容器本体140外へ送る導管141と、ガスボンベカートリッジ101の結合部132が挿通される係合孔142と、係合孔142内に設けられ、結合部132を介してガス流路133と連続されるガス導入路143と、導管141と連続され、炭酸ガスと共に粉体を吹き出す吹き出しノズル144とを有する。
【0101】
粉体が充填される容器本体140は、例えば円筒形の容器からなり、粉砂糖やきなこ等、各種食材に吹き付ける粉体が充填されている。また容器本体140は、粉体が充填されるタンク部140aと、タンク部140a上に着脱可能に設けられ炭酸ガスが供給される係合孔142や吹き出しノズル144等が形成されたガス流路部140bとからなる。
【0102】
タンク部140aは、内部に充填された粉体に振動を加える振動子146が取り付けられるとともに、この振動子146と電源部124とを接続する電線が配線された配線部147が形成されている。この振動子146が振動することにより、タンク部140aに充填された粉体に振動が加えられるため、炭酸ガスと共に粉体が噴出されやすくなる。
【0103】
ガス流路部140bは、タンク部140aと着脱可能に設けられている。したがってタンク部140aに充填された粉体が消費された場合には、再度粉体を充填することができる。このガス流路部140bは、タンク部140aと同径の円筒体をなし、外周面にガスボンベカートリッジ101より突設された結合部132が挿通される係合孔142が形成されるとともに、タンク部140aに充填された粉体を容器本体外へ導く導管141がタンク部140aの底部よりガス流路部140b上部にかけて延設されている。
【0104】
係合孔142は、結合部132と略同径の円形開口部であり、結合部132が隙間なく挿通されることによりガスボンベカートリッジ101と粉体タンク102とを連結する。また係合孔142はタンク部140a側に延設されたガス導入路143の一端と連続され、ガスボンベカートリッジ101の結合部132と連結されることにより、このガス導入路143と結合部132内に形成されたガス流路133とを連続させる。これにより、炭酸ガスカートリッジボンベ13より噴出された炭酸ガスは、ガス流路133を及びガス導入路143を経てタンク部140a内に導かれる。
【0105】
また、導管141は、タンク部140aの底部より上面部にかけて設けられ、上側の先端が吹き出しノズル144と接続されている。したがって、タンク部140aに充填された粉体は、炭酸ガスがガス導入路143より流入することにより、導管141を介して炭酸ガスと共に上昇し、吹き出しノズル144から吹き出される。吹き出しノズル144より吹き出される粉砂糖やきな粉といった粉体は、炭酸ガスと共に噴出されることにより、食材に対して均一に吹き付けることができる。また、炭酸ガスは、これら粉体や食材との相性もよく、粉体がタンク部140a内に充填され、また食材に吹き付けられた場合にも、粉体や食材の劣化等を引き起こす虞がない。
【0106】
このような粉体吹付け装置100は、粉体タンク102との挿脱が自在とされているため、一の粉体のみならず他の種類の粉体が充填された他の粉体タンクに付け替えることにより、ガスボンベカートリッジ101に炭酸ガスが残っている場合等に異なる粉体の吹きつけに用いることができる。また、一のガスボンベカートリッジ101に複数種の粉体タンク102を交互に取り付けることができ、食材に応じた粉体を用いることができる。
【0107】
次いで、以上のような構成を有する粉体吹付け装置100の実使用時における動作を説明する。使用時において粉体吹付け装置100は、図9(b)に示すように、ガスボンベカートリッジ101の結合部132が、タンク部140aに粉砂糖等の粉体が充填された粉体タンク102の係合孔142に装着される。これにより、係合孔142内に一端が臨まされているガス導入路143とガスボンベカートリッジ101に形成されているガス流路133とが連続されている。
【0108】
このとき図13に示すように、ガスボンベカートリッジ101の下側収納121に収納されている炭酸ガスカートリッジボンベ13は、保持体15が付勢部材16によって下方に付勢されていることにより、保持体15に保持されている尖鋭体14の先端部14aが蓋体22に突き立てられて予め開口され、この尖鋭体14の先端部14aによって穿孔22aが閉塞されて炭酸ガスの噴出が防止されている。
【0109】
また、振動子146は電源部124内に電池と導通が図られるとともに、駆動スイッチが切られている。そして、ユーザによって振動子146の駆動スイッチが入れられると共に、操作部117が下方に押されると、押圧軸118の一端118aが下方に下降し、この押圧軸118の他端118と係合するレバー部材110の一端110aが回動突部114を支点に下方に回動され、また、他端110bが上方に回動される。これにより保持体15は、レバー部材110の他端110bに形成された一対の側縁部112aが、フランジ部26の押下突起40に下方より当接するため、付勢部材16の付勢力に対抗して上昇され、炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22より離間される。これに伴い、保持体15に支持されている尖鋭体14の先端部14aが炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22の穿孔22aより引き上げられるため、ボンベ内に圧縮されている炭酸ガスが噴出される。
【0110】
噴出された炭酸ガスは、蓋体22上に設けられたクリアランス131を経てガス流路133に導かれ、係合孔142内においてガス流路133と連続されているガス導入路143よりタンク部140a内に噴出される。これによりタンク部140aの内圧が高まり、容器本体140内に充填されている粉体が炭酸ガスと共に導管141を経て吹き出しノズル144より吹き出される。
【0111】
このとき、容器本体140に取り付けられている振動子146が振動することにより、タンク部140aに充填された粉体に振動が加えられているため、粉体が沈殿することなく炭酸ガスと共に吹き出しやすくされている。
【0112】
ユーザによる操作部117の押圧操作が解かれると、保持体15は、付勢部材16の付勢力により炭酸ガスカートリッジボンベ13側に付勢される。したがって、保持体15に保持されている尖鋭体14は、先端部14aが炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22の穿孔22aに突き立てられ、炭酸ガスカートリッジボンベ13を閉塞する。これにより、粉体タンク102内への炭酸ガスの供給が停止されるため、吹き出しノズル144からの粉体の吹き出しが停止される。
【0113】
またレバー部材110は、他端110b側が炭酸ガスカートリッジボンベ13側に付勢された保持体15の押下突起40に押圧され、回動突部114を支点に一端110a側が上方に回動される。したがって、レバー部材110の一端110a側と係合突起119が係合している押圧軸118が上方に移動し、操作部117が上側収納122の上面部122b上に押し上げられる。
【0114】
このように、粉体吹付け装置100も上述した粉体吹き付け装置1と同様に、粉体の吹き出しが停止されている状態においては、保持体15が炭酸ガスカートリッジボンベ13側に付勢されて尖鋭体14の先端部14aが炭酸ガスカートリッジボンベ13の蓋体22を閉塞し、炭酸ガスの噴出が防止されている。このため、粉体吹付け装置100は、一旦ガスボンベカートリッジ101と粉体タンク102とが接続された後でも、炭酸ガスの噴出や噴出に伴う気化熱による凍傷等の危険を伴うことなく、ガスボンベカートリッジ101を粉体タンク102から安全に取り外すことができる。
【0115】
また、粉体吹付け装置100は、炭酸ガスカートリッジボンベ13内に炭酸ガスが残っている場合でも安全に粉体タンク102への着脱が行えることから、他の粉体タンク102に付け替えることができ、ガスボンベカートリッジ101を再利用することができる。
【0116】
さらに粉体吹付け装置100によれば、保持体15が付勢部材16により炭酸ガスカートリッジボンベ13側に付勢されることにより、蓋体22が尖鋭体14に穿孔、閉塞されているため、粉体タンク102に装着される際等にガスボンベカートリッジ101を落下等させた場合でも、炭酸ガスカートリッジボンベ13内の炭酸ガスの噴出や気化熱による凍傷等の危険がなく、ガスボンベカートリッジ101を安全に取り扱うことができる。
【0117】
また、粉体吹付け装置100は、粉体タンク102と着脱自在に設けられているため、粉体タンク102内の粉体が消費された場合や、異なる種類の粉体を用いる場合等にも、粉体タンク102を交換し、また粉体を補充する等することにより、一つのガスボンベカートリッジ101で繰り返し吹き付け作業を行い、また複数種の粉体を吹き付けることができる。
【0118】
また、粉体吹付け装置100においても、吹き出しノズル144を交換可能に形成すれば、粉体の吹き出し角度や吹き付け範囲の広狭や強度等に応じて、適した吹き出しノズル144を用いることができる。
【0119】
さらに、粉体吹付け装置100は、炭酸ガスと共に粉体を吹き出すため、吹き出しノズル144や導管141の目詰まりを起こさず、ノズルの洗浄等の手間を省くことができる。
【0120】
なお上述した粉体吹き付け装置100は、ガスボンベカートリッジ101と粉体タンクを着脱可能に形成したが、本発明が適用された粉体吹き付け装置においては、ガスボンベカートリッジと粉体タンクとを一体にして形成してもよい。
【0121】
また、ハウジング104や粉体タンク102の容器本体140を、一体的に形成することにより炭酸ガスや粉体の補充ができない使い捨てタイプとして形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明が適用された粉体吹付け装置を示す平面図である。
【図2】本発明が適用された粉体吹付け装置の断面図である。
【図3】粉体吹付け装置のガスボンベカートリッジを示す斜視図である。
【図4】粉体吹付け装置のガスボンベカートリッジを示す分解斜視図である。
【図5】粉体吹付け装置のガスボンベカートリッジを示す断面図である。
【図6】粉体吹付け装置のガスボンベカートリッジを上面から見た断面図である。
【図7】粉体の吹き出しが停止された状態のガスボンベカートリッジを示す斜視図である。
【図8】粉体が吹き出されている状態のガスボンベカートリッジを示す斜視図である。
【図9】本発明が適用された他の粉体吹付け装置を示す斜視図である。
【図10】本発明が適用された他の粉体吹付け装置を示す分解斜視図である。
【図11】本発明が適用された他の粉体吹付け装置において粉体の吹き出しが停止された状態のガスボンベカートリッジを示す斜視図である。
【図12】本発明が適用された他の粉体吹付け装置において粉体が吹き出されている状態のガスボンベカートリッジを示す斜視図である。
【図13】本発明が適用された他の粉体吹付け装置のガスボンベカートリッジを示す断面図である。
【符号の説明】
【0123】
1 粉体吹付け装置、2 装置本体、3 把持部、4 トリガー、5 カートリッジ装着部、6 吹き出しノズル、10 ガスボンベカートリッジ、13 炭酸ガスカートリッジボンベ、14 尖鋭体、15 保持体、16 付勢部材、17 操作部材、18 ハウジング、22 蓋体、24 突部、25 係止溝、26 フランジ部、30 レバー部材、46 クリアランス、80 粉体タンク、82 導管、 83 粉体タンクカートリッジ、90 振動子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
蓋体により開口部が封止され圧縮ガスが充填されたボンベと、上記蓋体に穿孔を形成するとともに該穿孔に突き立てられることにより上記蓋体を閉塞する尖鋭体と、上記ボンベの蓋体と対向する端部に上記尖鋭体を上記蓋体と接離可能に保持する保持体と、上記保持体を上記ボンベの蓋体側に付勢する付勢部材と、上記保持体を上記蓋体と離間する方向に操作し、上記ボンベを開放する操作部材と、上記ボンベ及び保持体を収納するとともに、上記蓋体の穿孔より噴出した上記圧縮ガスを外方へ流すガス流路が形成されたハウジングとを有するガスボンベカートリッジが装填される把持部と、
上記操作部材と連動され、上記把持部を把持した手の指が掛けられるトリガーと、
上記トリガーよりも粉体の吹付け方向の先端側に設けられ、粉体が充填されたタンク部と、一端が上記タンク部内に臨み他端が外方に臨まされることにより上記タンク部内に充填された粉体をタンク部外に吹き出す導管と、上記ガスボンベカートリッジと連続されることにより上記ガス流路から噴出されたガスを上記タンク部内に導くアダプタ部とを有する粉体タンクと、
上記装置本体内に設けられ、上記ガスボンベカートリッジのハウジングと上記粉体タンクのアダプタ部とを連接するガス導入路と、
上記導管の外方に臨まされる一端部と連続され、上記粉体を吹き出す吹出しノズルとを備え、
上記圧縮ガスとともに上記粉体を吹き出す粉体吹付装置。
【請求項2】
上記粉体タンクは、上記アダプタ部と上記ガス導入路とが着脱可能とされ、上記導管と上記吹出しノズルとが着脱自在とされ、上記装置本体と着脱自在とされた粉体タンクカートリッジ内に配設されていることを特徴とする請求項1記載の粉体吹付装置。
【請求項3】
上記吹出しノズルは、交換可能とされたノズルカートリッジからなることを特徴とする請求項1記載の粉体吹付装置。
【請求項4】
上記保持体の他端側に当接して上記ボンベの蓋体から離間する方向への移動を規制する規制部材を有し、該規制部剤は、上記操作部材による上記ボンベの開閉を規制することにより上記粉体の噴出量を規制することを特徴とする請求項1記載の粉体吹付装置。
【請求項5】
上記圧縮ガスは炭酸ガスであることを特徴とする請求項1記載の粉体吹付装置。
【請求項6】
上記粉体タンクには、上記タンク部内に充填された粉体を振動する振動子が設けられていることを特徴とする請求項1記載の粉体吹付装置。
【請求項7】
上記振動子は、上記トリガーに連動した操作部材による上記圧縮ガスの噴出操作と同期して駆動されることを特徴とする請求項6記載の粉体吹付装置。
【請求項8】
蓋体により開口部が封止され圧縮ガスが充填されたボンベと、上記蓋体に穿孔を形成するとともに該穿孔に突き立てられることにより上記蓋体を閉塞する尖鋭体と、上記ボンベの蓋体と対向する端部に上記尖鋭体を上記蓋体と接離可能に保持する保持体と、上記保持体を上記ボンベの蓋体側に付勢する付勢部材と、上記保持体を上記蓋体と離間する方向に操作し、上記ボンベを開放する操作部材と、上記ボンベ及び保持体を収納するとともに、上記蓋体の穿孔より噴出した上記圧縮ガスを外方へ流すガス流路が形成された結合部が設けられたハウジングとを有するガスボンベカートリッジと、
上記装置本体内に設けられ、上記結合部を介して上記ガス流路と連結されるガス導入路と、
粉体が充填されたタンク部と、一端が上記タンク部内に臨み他端が外方に臨まされることにより上記タンク部内に充填された粉体をタンク部外に吹き出す導管と、上記ハウジングの結合部に接続されることにより上記ガスボンベカートリッジと着脱自在に係合するとともに上記ガス流路から噴出されたガスを上記タンク部内に導くアダプタ部とを有する粉体タンクとを備え、
上記圧縮ガスとともに上記粉体を吹き出す粉体吹付装置。
【請求項9】
上記保持体の他端側に当接して上記ボンベの蓋体から離間する方向への移動を規制する規制部材を有し、該規制部剤は、上記操作部材による上記ボンベの開閉を規制することにより上記粉体の噴出量を規制することを特徴とする請求項8記載の粉体吹付装置。
【請求項10】
上記圧縮ガスは炭酸ガスであることを特徴とする請求項8記載の粉体吹付装置。
【請求項11】
上記粉体タンクには、上記タンク部内に充填された粉体を振動する振動子が設けられていることを特徴とする請求項8記載の粉体吹付装置。
【請求項12】
上記振動子は、上記操作部材による上記圧縮ガスの噴出操作と同期して駆動されることを特徴とする請求項11記載の粉体吹付装置。
【請求項13】
粉体が充填されたタンク部と、
一端が上記タンク部内に臨み他端が外方に臨まされることにより上記タンク部内に充填された粉体をタンク部外に吹き出す導管と、
蓋体により開口部が封止され圧縮ガスが充填されたボンベと、
上記蓋体に穿孔を形成するとともに該穿孔に突き立てられることにより上記開口部を閉塞する尖鋭体と、
一端に上記ボンベの蓋体と対向して上記尖鋭体を上記蓋体と接離可能に保持する保持体と、
上記保持体を上記ボンベの蓋体側に付勢する付勢部材と、
上記保持体を上記蓋体と離間する方向に操作し、上記ボンベを開放する操作部材と、
上記ボンベの蓋体に穿設された穿孔より噴出した上記圧縮ガスを上記タンク内に導くガス流路が設けられ、上記ボンベ及び操作部材を収納する収納体とを備え、
上記圧縮ガスとともに上記粉体を吹き出す粉体吹付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−116510(P2006−116510A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−309967(P2004−309967)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【出願人】(501435129)株式会社メジャー通信 (9)
【Fターム(参考)】