説明

粉末形態のUVフィルター

本発明は、UVフィルターを含む分散液を噴霧乾燥または凍結乾燥することにより得ることが可能な、粉末形態のUVフィルター、粉末形態のUVフィルターの調製方法、ならびに粉末形態のUVフィルターを含む組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UVフィルターの分散液を噴霧乾燥または凍結乾燥することにより得ることが可能な、粉末形態のUVフィルター、粉末形態のUVフィルターの調製方法および粉末形態のUVフィルターを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
UVフィルターは、いくつかの用途において、しかし特に化粧品において主要な役割を果している。ここではUVフィルターの皮膚耐性および適用性について要求条件が増大している。例えば、有機UVフィルターの場合、有機物質への皮膚の曝露をできるだけ低く保つために、UVフィルターが皮膚に浸透することを避けるべきである。これを回避するため、例えば欧州特許第1382328号、国際公開第00/09652号、国際公開第00/72806号および国際公開第00/71084号において、有機UVフィルターをカプセル化し、それにより固定化することが提案されている。このようにカプセル化したUVフィルターは、分散液として利用可能である。
【0003】
分散液は、いくつかの用途において不利であることが判明している。実際のUVフィルターは、純粋物質としては添加できないで、代わりに常に添加剤、例えば水、分散補助剤または防腐剤との組合せのみである。防腐剤および水を避けることにより、特に配合物の品質および適応性が向上する。特に化粧品では、化粧品組成物がしばしば、例えばバインダーの形で互いに厳密に調和しているある固相対液相比を有するので、添加剤が存在すると問題があることが判明している。
【0004】
例えば、UV保護性を有するコンパクトパウダー混合物をもたらすために、いくらかのバインダーが通常、液体UVフィルターまたはUVフィルター分散液で置き換えられ、次いでそのパウダーの基材固体に添加される。ここではバインダーの適応性が制約され、このバインダーをパウダーに添加するとき、固体/結合剤混合比に変化が生じる。しかしこれにより、例えば色変化におけるまたは局所適用の場合に皮膚感触を害するなどの適用性に関する不利な影響をもたらす恐れがあり、これは使用者が所望しない。
[発明の概要]
したがって、本目的はUVフィルター、特にカプセル化液体UVフィルターであって、UVフィルターの直接使用を促進する形態における、また同時にUVフィルターの性質、特にその安定性に悪影響を及ぼさないものを提供することであった。後者は特に、カプセル化した形態における液体UVフィルターであり、ここにおいて、カプセル内に存在するUVフィルターが所望されずに放出されることを避けるために、そのカプセルが理想的に保持されているUVフィルターに当てはまる。使用性を向上させるためには、UVフィルターは固体の形態とすべきであり、このことはカプセル化UVフィルターについて特に所望される。こうして、固体の形態におけるカプセル化液体UVフィルターを、化粧品配合物に組み込むことが利用可能となるであろう。驚くべきことに、本発明によりこれらの要求条件が適合されることが見出されている。
【0005】
したがって、本発明は、UVフィルターを含む分散液を噴霧乾燥しまたは凍結乾燥することにより得ることが可能な、粉末形態のUVフィルターに関する。その上、本発明は、UVフィルターを含む分散液を噴霧乾燥しまたは凍結乾燥している、粉末形態のUVフィルターの調製方法に関する。その上、本発明は同様に、粉末形態のUVフィルターを含む組成物に関する。
【0006】
本発明による粉末形態UVフィルターは、分散液よりも良好にそれらを取り扱い、かつ処理することができる利点を有する。したがって、本発明による粉末は、水性相にも、かつまた非水性相にも容易に組み込むことができ、このことは分散液では可能ではない。さらに、粉末形態のUVフィルターの場合、使用性をさらに向上させるために、特定の表面改質、例えば疎水性化したまたは親水性化した形での可能性が得られる。本発明による粉末は乾燥しているので、防腐剤の添加は必要ではなく、このことは分散液の場合には、その分散液の核生成を防止するために最も重要である。分散液の低pHを設定することにより核をなくすることを達成するのもまったく通常のことであるが、特に化粧品の場合、最終使用のpHがそこでは特別な役割を果すので、問題があることが判明している。本発明によるUVフィルターの場合、この粉末を直接使用することができるので、このことが避けられる。本発明による粉末のさらなる利点は、分散液と比較してかなりぎっしり詰っていることであり、それにより特に輸送費がかなり低減される。分散媒、例えば水またはエタノールを除去することにより、輸送されるUVフィルターの体積および重量をかなり減少させ、それが輸送費および貯蔵費にかなり前向きの効果を有する。さらに、粉末形態のUVフィルターを使用する場合には、液体UVフィルターの割合を追加的に考慮しなければならないということなしに、粉末形態のUVフィルターをコンパクトパウダー混合物に添加することができ、同時にバインダーがその皮膚感触に関して最適化される。
【0007】
本発明は、UVフィルターを含む分散液を噴霧乾燥しまたは凍結乾燥することにより得ることが可能な、粉末形態のUVフィルターに関する。ここではUVフィルターは、カプセル化および/または非カプセル化有機UVフィルターとしてよい。微粒子UVフィルターが好ましく、カプセル化UVフィルター、特に、カプセルが無機質であることが好ましいカプセル化有機UVフィルターを使用することが好ましい。この型のUVフィルターは、これまで分散液の形でのみ入手可能であり、それが用途の範囲を制約し、また組成物の調製において分散媒およびその性質を常に考慮しなければならないため、組成物の調製をより困難としている。この不利な点は、本発明による粉末形態UVフィルターの場合には当てはまらない。
【0008】
微粒子形態におけるUVフィルターの大きさは、10nm〜100μmの範囲における、好ましくは10nm〜30μm(d50≦30μm、例えばMalvern Particle Sizerを使用し、水中におけるレーザー回折によって測定する)の範囲における、特に0.1μm〜20μmの範囲のものである。
【0009】
適切な非カプセル化有機UVフィルターは、例えば、4−アミノ−安息香酸、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、3−(4’−メチルベンジリデン)−dl−カンファー、2,4,6−トリアニリノ(p−カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン;あるいはジベンゾイルメタン誘導体または例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノンの群からの化合物である。
【0010】
カプセル化UVフィルター、特にカプセル化有機UVフィルターの使用が好ましい。詳細には、カプセル化により下記の利点が生じる:
UVフィルターの溶解性とは独立に、カプセル壁部の親水性を設定することができる。したがって、例えば純粋な水性組成物中に疎水性UVフィルターを組み込むことも可能である。さらに、疎水性UVフィルターを含む組成物を適用する際、しばしば不快とみなされる油性の印象が抑えられる;
ある種のUVフィルター、特にジベンゾイルメタン誘導体は化粧品組成物中において低い光安定性を示すにとどまる。これらのフィルター、あるいは例えばケイ皮酸誘導体などのこれらのフィルターの光安定性を損なう化合物をカプセル化することにより、組成物全体の光安定性を向上させることが可能になる;
有機UVフィルターによる皮膚浸透性およびヒトの皮膚に直接適用した際の刺激についての関連する可能性は、文献において繰返し考察されている。ここに提示している対応する物質のカプセル化は、この影響を抑制する。
【0011】
一般に、個々のUVフィルターまたは他の成分をカプセル化することにより、その交互作用が抑制されるので、晶出過程、析出および凝集物形成など、個々の組成物成分の相互の交互作用に起因する調製上の問題を避けることが可能になる。
【0012】
したがって、本発明に従い1種または複数の上述のUVフィルターを、カプセル化形態とすることが好ましいであろう。ここではカプセルを非常に小さくして、そのため肉眼では見ることができないものとするのが有利である。上述の効果を達成するため、カプセルが十分に安定であり、またカプセル化有効成分(UVフィルター)が、小さな規模でしか環境に放出されず、またはまったく放出されないことがさらに必要となる。
【0013】
適切なカプセルは、無機または有機ポリマーの壁部を有することができる。例えばUS6242099B1は、キチン、キチン誘導体またはポリヒドロキシル化ポリアミンの壁部を有する適切なカプセルの製造について記述している。本発明に従って特に好ましく用いることができるカプセルは、出願EP1382328、WO00/09652、WO00/72806およびWO00/71084に記載されているゾルゲル法により得ることができる壁部を有する。再びここで、その壁部がシリカゲル(シリカ;無定形ケイ素酸化物水酸化物)または二酸化ケイ素から作製されているカプセルが好ましい。対応するカプセルの製造は、例えば、それらの内容が明白に本出願の主題事項にも属している、引用した特許出願から当分野の技術者に知られている。
【0014】
カプセル化のための適切なUVフィルターは、例えばジベンゾイルメタン誘導体である。
【0015】
本発明に従って使用することができるジベンゾイルメタン誘導体は、特に、下記の式:
【0016】
【化1】

【0017】
(式中、同一または互いに異なるR1、R2、R3およびR4は水素、直鎖もしくは分岐C18−アルキル基または直鎖もしくは分岐C18−アルコキシ基を表す。)のジベンゾイルメタン誘導体から選択できる。本発明に従って、1種のジベンゾイルメタン誘導体または複数のジベンゾイルメタン誘導体を使用することがもちろん可能である。本発明がより具体的に関連するジベンゾイルメタン誘導体については、特に、下記のものを列挙できる:
− 2−メチルジベンゾイルメタン、
− 4−メチルジベンゾイルメタン、
− 4−イソプロピルジベンゾイルメタン、
− 4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、
− 2,4−ジメチルジベンゾイルメタン、
− 2,5−ジメチルジベンゾイルメタン、
− 4,4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン、
− 4,4’−メトキシ−tert−ブチルジベンゾイルメタン、
− 2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、
− 2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、
− 2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン
および
− 2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、
ただし、このリストは限定的なものではない。
【0018】
上述のジベンゾイルメタン誘導体について、本発明に従って4,4’−メトキシ−tert−ブチル−ジベンゾイルメタンおよび特にMerck KGaA社から商標名Eusolex(登録商標)9020のもとに市販されている4,4’−メトキシ−tert−ブチルジベンゾイルメタンが特に好ましく、このフィルターは下記の構造式に一致する:
【0019】
【化2】

【0020】
本発明に従って好ましいさらなるジベンゾイルメタン誘導体は、4−イソプロピルジベンゾイルメタンである。
【0021】
本カプセルは、UV−A領域および/またはUV−B領域、ならびに/またはIRおよび/またはVIS領域で有効である1種または複数のサンスクリーンフィルター(吸収剤)をもちろん含んでもよい。これらのフィルターは、特に、ケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、カンファー誘導体、トリアジン誘導体、アクリル酸β,β−ジフェニル誘導体、p−アミノ安息香酸誘導体、ならびにポリマーフィルターおよびシリコーンフィルターから選択することができ、これらは出願WO93/04665において記述されている。有機フィルターのさらなる例は、特許出願EP−A0487404に示されている。
【0022】
原則として、すべてのUVフィルターがカプセルとするのに適している。その生理学的許容性が既に実証されているUVフィルターが特に好ましい。UVAフィルターおよびUVBフィルターの両方について、専門家文献から知られている多くの立証された物質があり、例えば、3−(4’−メチルベンジリデン)−dl−カンファー(例えばEusolex(登録商標)6300)、3−ベンジリデンカンファー(例えばMexoryl(登録商標)SD)などのベンジリデンカンファー誘導体;N−{(2および4)−[(2−オキソボルン−3−イリデン)メチル]−ベンジル}アクリルアミドのポリマー(例えばMexoryl(登録商標)SW)、N,N,N−トリメチル−4−(2−オキソ−ボルン−3−イリデンメチル)アニリニウムメチル硫酸塩のポリマー(例えばMexoryl(登録商標)SK)または(2−オキソボルン−3−イリデン)トルエン−4−スルホン酸のポリマー(例えばMexoryl(登録商標)SL);メトキシケイ皮酸オクチル(例えばEusolex(登録商標)2292)、例えば異性体の混合物としての4−メトキシケイ皮酸イソペンチル(例えばNeo Heliopan(登録商標)E1000)などのメトキシケイ皮酸エステル;サリチル酸2−エチルヘキシル(例えばEusolex(登録商標)OS)、サリチル酸4−イソプロピルベンジル(例えばMegasol(登録商標))またはサリチル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(例えばEusolex(登録商標)HMS)などのサリチル酸エステル誘導体;4−アミノ安息香酸、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシル(例えばEusolex(登録商標)6007)、エトキシラート化4−アミノ安息香酸エチル(例えばUvinul(登録商標)P25)などの4−アミノ安息香酸および誘導体;2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸とそのカリウム、ナトリウムおよびトリエタノールアミン塩(例えばEusolex(登録商標)232)、2,2−(1,4−フェニレン)ビスベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸およびその塩(例えばNeoheliopan(登録商標)AP)または2,2−(1,4−フェニレン)ビスベンズイミダゾール−6−スルホン酸などのフェニルベンズイミダゾールスルホン酸;ならびに下記のものなどのさらなる物質である:
2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル(例えばEusolex(登録商標)OCR)、
3,3’−(1,4−フェニレンジメチレン)ビス−7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプト−1−イルメタンスルホン酸およびその塩(例えばMexoryl(登録商標)SX)および
2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン(例えばUvinul(登録商標)T150)、
2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシル(例えばUvinul(登録商標)UVA Plus、BASF社)。
【0023】
このリストに挙げた化合物は、例とみなすにとどめるべきである。もちろん他のUVフィルターを使用することも可能である。
【0024】
さらに適切なUVフィルターは、例えば
2−(2H−ベンゾトリアゾル−2−イル)−4−メチル−6−(2−メチル−3−(1,3,3,3−テトラメチル−1−(トリメチルシリルオキシ)ジシロキサニル)プロピル)フェノール(例えばSilatrizole(登録商標))、
4,4’−[(6−[4−((1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)ジイミノ]ビス(安息香酸)2−エチルヘキシル(例えばUvasorb(登録商標)HEB)、
α−(トリメチルシリル)−ω−[トリメチルシリル]オキシ]ポリ[オキシ(ジメチル[および約6%のメチル[2−[p−[2,2−ビス(エトキシカルボニル]ビニル]フェノキシ]−1−メチレンエチル]および約1.5%のメチル[3−[p−[2,2−ビス(エトキシカルボニル)ビニル)フェノキシ]−(プロペニル)および0.1〜0.4%の(メチル水素]シリレン]](n≒60)(CAS No.207574−74−1)、
2,2’−メチレンビス(6−(2H−ベンゾトリアゾル−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール)(CAS No.103597−45−1)、
2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(1H−ベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸、一ナトリウム塩)(CAS No.180898−37−7)および
2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(CAS No.103597−45−、187393−00−6)、
4,4’−[(6−[4−((1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)ジイミノ]ビス(安息香酸)2−エチルヘキシル(例えばUvasorb(登録商標)HEB)
である。
【0025】
UVフィルタリング性を有する好ましい化合物は、3−(4’−メチルベンジリデン)−dl−カンファー、1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、メトキシケイ皮酸オクチル、サリチル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸とそのカリウム、ナトリウムおよびトリエタノールアミン塩である。
【0026】
好ましいカプセルは、式I
【0027】
【化3】

【0028】
(式中、R1およびR2は、
H、
およびOR11から選択され、ただし、OR11は、互いに独立に
OH、
直鎖または分岐C1〜C20−アルコキシ基、
直鎖または分岐C3〜C20−アルケニルオキシ基、
直鎖または分岐C1〜C20−ヒドロキシアルコキシ基であり、ただし、1つまたは複数のヒドロキシ基が分子鎖の第一級もしくは第二級炭素原子と結合でき、かつその上アルキル鎖を酸素により中断してもよいヒドロキシアルコキシ基および/または
3〜C10−シクロアルコキシ基および/もしくはC3〜C12−シクロアルケニルオキシ基であり、ただし、それらの環にそれぞれ、n=1〜3の−(CH2n−基を架橋してもよいシクロアルコキシ基および/もしくはシクロアルケニルオキシ基、ならびに/または
モノ−および/もしくはオリゴグリコシル基
を表し、ただし、R1およびR2からの少なくとも1つの基がOR11を表すことを前提とし、
またR3は基OR11を表し、また
4〜R7およびR10は同一としもしくは異なることができ、かつ互いに独立に、
H、
直鎖または分岐C1〜C20−アルキル基、
直鎖または分岐C3〜C20−アルケニル基、
直鎖または分岐C1〜C20−ヒドロキシアルキル基であり、ただし、ヒドロキシ基が分子鎖の第一級もしくは第二級炭素原子と結合でき、かつその上アルキル鎖を酸素により中断してよいヒドロキシアルキル基、ならびに/または
3〜C10−シクロアルキル基および/もしくはC3〜C12−シクロアルケニル基であり、ただし、それらの環にそれぞれ、n=1〜3の−(CH2n−基を架橋してもよいシクロアルキル基および/もしくはシクロアルケニル基
を表し、また
8およびR9は同一としもしくは異なることができ、かつ互いに独立に、
H、
OR11
直鎖または分岐C1〜C20−アルキル基、
直鎖または分岐C3〜C20−アルケニル基、
直鎖または分岐C1〜C20−ヒドロキシアルキル基であり、ただし、ヒドロキシ基が分子鎖の第一級または第二級炭素原子と結合でき、かつその上アルキル鎖を酸素により中断してよいヒドロキシアルキル基、ならびに/または
3〜C10−シクロアルキル基および/もしくはC3〜C12−シクロアルケニル基であり、ただし、それらの環にそれぞれ、n=1〜3の−(CH2n−基を架橋してもよいシクロアルキル基および/もしくはシクロアルケニル基
を表す。)の化合物を含んでもよい。
【0029】
本発明に従って用いられる式Iのフラボノイドには、広帯域のUVフィルターが含まれ、他の同様に好ましい式Iの化合物は、UV−B線とUV−A線の間の境界領域で吸収極大を示す。したがって、UV−A−IIフィルターとして、それらの化合物は、市販のUV−BおよびUV−A−Iフィルターの吸収スペクトルを有利に補足する。本発明による好ましいカプセルは、少なくとも1種の式Iの化合物(式中、R3は、
OHまたは
直鎖または分岐C1〜C20−アルコキシ基、好ましくはメトキシ、エトキシ、もしくはエチルヘキシルオキシまたは
モノ−および/もしくはオリゴグリコシル基、好ましくはグリコシル基
を表し、また
1および/またはR2は、
OHまたは
直鎖または分岐C1〜C20−アルコキシ基、好ましくはメトキシ、エトキシ、もしくはエチルヘキシルオキシまたは
モノ−および/もしくはオリゴグリコシル基、好ましくはグリコシル基
を表すことが好ましい。)を含む。
【0030】
これらの好ましい化合物は、特に強いUV吸収により特徴付けられる。特に、R3が、直鎖または分岐C1〜C20−アルコキシ基、好ましくはメトキシ、エトキシ、もしくはエチルヘキシルオキシを表し、またR8およびR9が同一であり、Hまたは直鎖もしくは分岐C1〜C20−アルコキシ基、好ましくはメトキシ、エトキシまたはエチルヘキシルオキシを表す場合、UV吸収の強さが大きいことが見出されている。
【0031】
カプセルにおいて上述のUVフィルターが単独で存在することはもちろん可能であるが、言及した複数のUVフィルターの混合物もカプセル内に存在できる。さらに、カプセル内のUVフィルターは、前記UVフィルターの安定性の向上を達成するために、例えば光安定剤、化粧油および/または酸化防止剤などのさらなる物質と組み合わせてもよい。上述のさらなる物質についての例および好ましい化合物は、特に光安定剤については、これらの物質の一般的記述のもとに本出願の残りの部分において見出される。適切な化粧油の例は、鉱油、ミネラルワックス、カプリン酸もしくはカプリル酸のトリグリセリドなどの油、さらに例えばヒマシ油などの天然油;脂肪、ワックスおよび他の天然および合成脂肪体、好ましくは低いC数を有するアルコールとの、例えばイソプロパノール、プロピレングリコールまたはグリセロールとの、脂肪酸エステル、あるいは低いC数を有するアルカン酸とのまたは脂肪酸との、脂肪族アルコールのエステル;例えばジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサンなどのシリコーンオイル、ならびにこれらを混合した形態のものである。
【0032】
カプセル形態におけるUVフィルターが通常分散液としてのみ入手可能であり、その分散液が適用の際上述の不都合な点を有するので、上述のカプセル化UVフィルターについて粉末形態が特に関心のある所である。その上、カプセル化UVフィルターはしばしばエタノール含有分散液の形態であり、エタノールは多くの用途における、特に化粧品における成分として望ましくないため、その形態がさらに使用の範囲を制限している。本発明による粉末形態UVフィルターは、無溶媒であるか、それぞれの使用で邪魔にならず、したがって普遍的に使用することができる割合の溶媒を有することが好ましい。この理由で、本発明による粉末形態UVフィルターが特に有利であることが判明している。
【0033】
本発明のさらなる実施形態において、粉末の個々の粒子表面を改質するため、本発明による粉末は追加的に後処理できる。すなわち、対応する化合物の適用により粒子表面の疎水性化または親水性化を達成することが可能になる。疎水性改質に適しているのは、例えば、有機酸、例えばステアリン酸またはラウリン酸などによる被覆、LCSTポリマー、有機フルオロアルコールリン酸塩による被覆、あるいはシリコーンまたはシランコーティングである。
【0034】
シリコーンは、知られているように、種々の分子量と共に直鎖、環状、分岐、もしくは架橋構造を有する有機ケイ素ポリマーまたはオリゴマーであり、適切に官能基化したシランによる重合および/または重縮合によって得られ、ケイ素原子が酸素原子を介して互いに架橋している主反復単位(シロキサン結合)から本質的に形成され、その場合、場合によって置換された炭化水素基が炭素原子を介してケイ素原子に直接結合している。最も通常的な炭化水素基はアルキル基、特にメチル基、フルオロアルキル基、アリール基、特にフェニル基およびアルケニル基、特にビニル基である。直接にまたは炭化水素基を介してシロキサン鎖に結合することができるさらなる型の基は特に、水素、ハロゲン、特に塩素、臭素またはフッ素、チオール、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基(または、ポリエーテル)、特にポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレン、ヒドロキシル基またはヒドロキシアルキル基、場合によって置換されたアミノ基、アミド基、アシルオキシ基またはアシルオキシアルキル基、ヒドロキシアルキルアミノ基またはアミノアルキル基、第四級アンモニウム基、両性基またはベタイン基、カルボキシラート、チオグリコラート、スルホコハク酸塩、チオ硫酸塩、リン酸塩および硫酸塩などのアニオン基であり、この場合このリストはもちろん決して限定的なものではない(いわゆる「有機改質」シリコーン)。
【0035】
本発明の目的向けに、用語「シリコーン」は、それらを調製するのに必要なシラン、特にアルキルシランを包含し、また網羅することをも意図している。
【0036】
本発明向けに適しているシリコーンであって、本UV保護剤を被覆するのに使用することができるシリコーンは、アルキルシラン、ポリジアルキルシロキサンおよびポリアルキル水素化シロキサンから選択するのが好ましい。このシリコーンは、オクチルトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサンおよびポリメチル水素化シロキサンから選択するのが好ましい。
【0037】
本発明はさらに、粉末形態のUVフィルターの調製方法であって、UVフィルターの分散液を噴霧乾燥または凍結乾燥する方法に関する。記述される噴霧乾燥バリアント(変形例)、凍結乾燥の他に、流動床乾燥を使用することも可能である(流動床造粒)。その上、懸濁液の緩やかな乾燥向けに従来技術に従って記述されるすべての方法を使用することができる。噴霧乾燥を用いることが好ましい。適切な型のUVフィルターは、本発明による粉末に関する記述において、既に言及している。
【0038】
本発明による方法は、粉末形態のUVフィルターを、対応する分散液から緩やかな形で調製することができる利点を有する。特にカプセル化有機UVフィルターの場合、対応する粉末を調製するために噴霧乾燥が特に適した方法であることが判明している。これらのカプセルは機械的かつ強い熱応力に敏感であり、それによりカプセル化の破壊開口をもたらし、かつその中に含まれる物質の放出をもたらす。UVフィルターを局所適用する場合、UVフィルターを皮膚に直接接触させることを厳密に避けるべきであるため、このことは望ましくない。したがって、カプセルを構造的に保持することが基本的に重要であり、これらの系についての主要課題となっている。本発明に使用することが好ましい噴霧乾燥技術によって、これらの系をも、驚くべきことにこの要求条件に適合させており、そのためどんな型のUVフィルターも、このようにして粉末として首尾よく調製され、このことが、特にカプセル化系の場合、基本的利点となっている。
【0039】
それぞれのUVフィルターは、分散液の形態で噴霧乾燥に導入する。ここでは、例えば水または有機溶媒などの基本的にすべての溶媒が分散媒として適している。化粧品において粉末の使用をより困難にしまたはその使用を妨げもする可能性がある、望ましくない溶媒残渣は粉末内に残すことができないので、水性分散液が好ましい。さらに、水性分散液の場合には、例えば引火性または爆発の危険性に関してなどの安全関連の制約がまったく存在しない。
【0040】
当分野の技術者に知られているすべての方法と変法およびそれに適したすべての装置は、噴霧乾燥または凍結乾燥に適しており、噴霧乾燥が好ましい。噴霧乾燥方法には、4つの基本ステップ、すなわち液滴製造、液滴/ガス混合、凝集物の分離および微粉の析出が常に基本的に含まれる。ここから、個々のサブステップにおける方法の変法が生じている。液滴製造は、例えば遠心霧化、一成分ノズル霧化または二成分ノズル霧化により実施することができ、その場合生成物/ガス輸送は、並流または向流で行うことができる。本発明では、並流または向流輸送のいずれかによる遠心霧化および二成分ノズル霧化の使用が好ましい。向流方式での二成分ノズル霧化または並流輸送での遠心霧化の使用が特に好ましい。生成物排出は、当分野の技術者に知られているすべての方法と変法により同様に実施することができ、二点堆積(two−point deposition)、すなわち例えばドライヤコーンまたはサイクロンを使用するのが好ましい。
【0041】
水性分散液についての入口温度は、110℃〜200℃の範囲における、好ましくは130℃〜160℃の範囲における、また特に140℃〜150℃の範囲における、ものとすることができる。粉末についての出口温度は、40〜90℃の範囲における、好ましくは50〜80℃の範囲における、ものとすることができる。溶媒含有分散液を用いる場合、入口および出口温度は、相応じてより低く、したがって個別に溶媒に調和させ選択することができる。噴霧材料処理量の乾燥空気量に対する比は、0.5kg/h:200m3/h〜5kg/h:50m3/hの範囲のものとすることができ、この比は0.8kg/h:70m3/h〜1.5kg/h:75m3/hの間とするのが好ましい。
【0042】
生成物性を調整するため、また噴霧性を調整するため、噴霧乾燥または凍結乾燥の前またはそれらの間に、例えば使用する分散液への添加物として、または工程の間の添加剤として直接、本発明による工程中に対応する添加剤を導入することができる。糖アルコール、多価アルコール、コーンスターチ、シクロデキストリン、乳化剤、界面活性剤、セルロース誘導体、キサンタンガム、PVPなどの、当分野の技術者に知られている非常に広く様々な補助剤を、ここで使用することができる。添加する添加剤の量は、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%とすることができる。
【0043】
さらなる実施形態において、粉末形態のUVフィルターを後処理する。この後処理は、例えば水性もしくは有機媒質中におけるポリマー析出方法による、加溶媒分解方法による、分散方法による、または単純混合によるなどの、当分野の技術者に知られているすべての方法で実施することができる。
【0044】
本発明による粉末形態UVフィルターは、例えば化粧品組成物などの任意の形態の組成物における使用だけでなく、例えばペイントまたは塗料などの工業分野において用いることができる組成物における使用にも、基本的に適している。本発明による粉末形態UVフィルターは、化粧品における、特に装飾化粧品における組成物として用いることが好ましい。本発明による粉末形態UVフィルターは、従来技術から知られている分散液を使用すると、分散媒が組成物の組成を非常に変化させるため、かろうじてしか調製することができない多様な用途バリアントおよび媒質について光保護性を有する組成物の調製を可能にする。したがって、コンパクトパウダーにおいて使用するのに適したUVフィルターは、皮膚感触または組成物可能性を変化させまたは制約することなく、本発明による方法によって調製することができる。これらの組成物中の、粉末形態のUVフィルターの割合は、組成物に対して0.1〜30重量%、また好ましくは0.5〜15重量%とすることができる。本発明による粉末形態UVフィルターは、水性相または油性相のいずれの組成物にも組み込むことができる。
【0045】
光保護性を有する好ましい組成物は、ここで少なくとも1種のさらなる有機UVフィルター、好ましくはジベンゾイルメタン誘導体を追加的に含む。本発明の目的のために使用するジベンゾイルメタン誘導体は、それ自体既によく知られている製品であり、また特に明細書、FR−A−2326405、FR−A−2440933およびEP−A−0114607において記述されている。
【0046】
本発明に従って使用することができるジベンゾイルメタン誘導体は、特に、下記の式:
【0047】
【化4】

【0048】
(式中、同一または互いに異なるR1、R2、R3およびR4は水素、直鎖もしくは分岐C18−アルキル基または直鎖もしくは分岐C18−アルコキシ基を表す。)のジベンゾイルメタン誘導体から選択することができる。本発明に従って、1種のジベンゾイルメタン誘導体または複数のジベンゾイルメタン誘導体を使用することがもちろん可能である。本発明が具体的に関連するジベンゾイルメタン誘導体については、特に、下記のものを列挙できる:
− 2−メチルジベンゾイルメタン、
− 4−メチルジベンゾイルメタン、
− 4−イソプロピルジベンゾイルメタン、
− 4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、
− 2,4−ジメチルジベンゾイルメタン、
− 2,5−ジメチルジベンゾイルメタン、
− 4,4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン、
− 4,4’−メトキシ−tert−ブチルジベンゾイルメタン、
− 2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、
− 2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、
− 2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン
および
− 2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、
ただし、このリストは限定的なものではない。
【0049】
上述のジベンゾイルメタン誘導体について、本発明に従って4,4’−メトキシ−tert−ブチル−ジベンゾイルメタンおよび特にMerck KGaA社から商標名Eusolex(登録商標)9020のもとに市販されている4,4’−メトキシ−tert−ブチル−ジベンゾイルメタンが特に好ましく、このフィルターは下記の構造式に一致する:
【0050】
【化5】

【0051】
本発明に従って好ましいさらなるジベンゾイルメタン誘導体は、4−イソプロピルジベンゾイルメタンである。
【0052】
さらなる好ましい光保護性を有する組成物は、特に好ましくは2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(例えばEusolex(登録商標)4360)または2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸およびそのナトリウム塩(例えばUvinul(登録商標)MS−40)などの、少なくとも1種のベンゾフェノンまたはベンゾフェノン誘導体を含む。
【0053】
ジベンゾイルメタン誘導体またはベンゾフェノン誘導体は、本発明による組成物中に、一般に0.1〜10重量%の範囲にある割合で、また好ましくは0.3〜5重量%の範囲にある割合で存在でき、この場合これらの割合は、本組成物の全重量に対するものである。
【0054】
上述の利点のため、本発明はさらに、他のUVフィルターの不安定化を防止するための粉末形態UVフィルター、特にジベンゾイルメタンおよびジベンゾイルメタン誘導体またはベンゾフェノンおよびベンゾフェノン誘導体の使用にも関する。
【0055】
その上本発明に従って、この組成物がさらに無機UVフィルターを含むことが好ましい。ここで例えば被覆二酸化チタン(例えばEusolex(登録商標)T−2000、Eusolex(登録商標)T−AQUA)などの二酸化チタン、酸化亜鉛(例えばSachtotec(登録商標))、酸化鉄の群のものまたは酸化セリウムも共に好ましい。これらの無機UVフィルターは、一般に0.5〜20重量パーセント、好ましくは2〜10重量%の量で化粧品組成物中に組み込む。特に、ここで本発明による粉末形態UVフィルターを、エマルジョンにおける1相に組み込み、またさらなる無機UVフィルターを他の相に組み込むのが好ましいであろう。
【0056】
本発明に従って、上述のUVフィルターは、親水性もしくは疎水性を増大させる表面処理を行って提供することもできる。この型の表面処理の例については、既に言及している。
【0057】
これらのUV保護剤は、本発明による組成物中に、一般に0.1〜50重量%の範囲にある割合で、また好ましくは0.5〜20重量%の範囲にある割合で存在することができ、この場合これらの割合は、組成物の全重量に対するものである。
【0058】
本発明のさらなる、同様に好ましい実施形態において、本発明による組成物は少なくとも1種のセルフタンニング剤(self−tanning agent)を含む。
【0059】
用いることができる有利なセルフタンニング剤は、とりわけ:
【0060】
【化6】

【0061】
である。
【0062】
新鮮なクルミの殻から抽出される5−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(ジュグロン)
【0063】
【化7】

【0064】
およびヘンナの葉中に存在する2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(ラウソン)
【0065】
【化8】

【0066】
も挙げるべきものである。
【0067】
ヒトの体内に存在する三官能性糖である1,3−ジヒドロキシアセトン(DHA)およびその誘導体が、非常に特に好ましいものである。
【0068】
【化9】

【0069】
その上、本発明は、セルフタンニング剤、特にジヒドロキシアセトンまたはジヒドロキシアセトン誘導体の安定化における本発明による粉末形態UVフィルターの使用に関する。
【0070】
その上、光保護性を有する本発明による組成物は染料および有色顔料を含んでもよい。染料および有色顔料は、ドイツ化粧品規則(German Cosmetics Regulation)の対応する自由化品目表(positive list)または化粧品着色剤のECリストから、選択することができる。大抵の場合、それらは食品向けに承認された染料と同一のものである。有利な有色顔料は、例えば二酸化チタン、雲母、酸化鉄(例えばFe23、Fe34、FeO(OH))および/または酸化スズである。有利な染料は、例えばカルミン、紺青(Berlin Blue)、酸化クロムグリーン、群青(Ultramarine Blue)および/またはマンガンバイオレットである。下記のリストから染料および/または有色顔料を選択するのが特に有利である。カラーインデックス番号(CIN)は、Rowe Colour Index、3rd Edition、Society of Dyers and Colourists、Bradford、England、1971から引用している。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
【表3】

【0074】
【表4】

【0075】
【表5】

【0076】
【表6】

【0077】
【表7】

【0078】
【表8】

【0079】
【表9】

【0080】
【表10】

【0081】
【表11】

【0082】
【表12】

【0083】
その上、染料として、下記の群からの1種または複数の物質を選択するのが有利であろう:
2,4−ジヒドロキシアゾベンゼン、1−(2’−クロロ−4’−ニトロ−1’−フェニルアゾ)−2−ヒドロキシナフタレン、セレスレッド、2−(4−スルホ−1−ナフチルアゾ)−1−ナフトール−4−スルホン酸、2−ヒドロキシ−1,2’−アゾナフタレン−1’−スルホン酸のカルシウム塩、1−(2−スルホ−4−メチル−1−フェニルアゾ)−2−ナフチルカルボン酸のカルシウムおよびバリウム塩、1−(2−スルホ−1−ナフチルアゾ)−2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸のカルシウム塩、1−(4−スルホ−1−フェニルアゾ)−2−ナフトール−6−スルホン酸のアルミニウム塩、1−(4−スルホ−1−ナフチルアゾ)−2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸のアルミニウム塩、1−(4−スルホ−1−ナフチルアゾ)−2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸、4−(4−スルホ−1−フェニルアゾ)−2−(4−スルホフェニル)−5−ヒドロキシピラゾロン−3−カルボン酸のアルミニウム塩、4,5−ジブロモフルオレセインのアルミニウムおよびジルコニウム塩、2,4,5,7−テトラブロモフルオレセインのアルミニウムおよびジルコニウム塩、3’,4’,5’,6’−テトラクロロ−2,4,5,7−テトラブロモフルオレセインおよびそのアルミニウム塩、2,4,5,7−テトラヨードフルオレセインのアルミニウム塩、キノフタロンジスルホン酸のアルミニウム塩、インジゴジスルホン酸のアルミニウム塩、赤色および黒色酸化鉄(CIN:77491(赤色)および77499(黒色))、酸化鉄水和物(CIN:77492)、二リン酸マンガンアンモニウムおよび二酸化チタン。
【0084】
例えばパプリカ抽出物、β−カロテンまたはコチニールなどの油溶性天然染料も有利である。
【0085】
効果顔料を含むゲルクリームも、本発明の目的のために有利である。下記に掲げる型の効果顔料が特に好ましい:
1.天然効果顔料、例えば、
a)「真珠箔」(魚鱗からのグアニン/ヒポキサンチン混晶)および
b)「真珠母」(イガイ貝殻粉砕物)など;
2.例えばオキシ塩化ビスマス(BiOCl)などの単結晶効果顔料;
3.層状基材顔料:例えば雲母/金属酸化物。
【0086】
効果顔料のための基材は、例えば、雲母上のオキシ塩化ビスマスおよび/または二酸化チタンならびにオキシ塩化ビスマスおよび/または二酸化チタンの粉末状顔料またはヒマシ油分散液により形成される。例えば、CIN77163のもとに挙げている光沢(lustre)顔料が特に有利である。
【0087】
例えば雲母/金属酸化物に基づく下記の型の効果顔料も有利である:
【0088】
【表13】

【0089】
例えば商標名Timiron(登録商標)、Colorona(登録商標)またはDichrona(登録商標)のもとにMerck KGaAから入手できる真珠光沢顔料が、特に好ましい。
【0090】
前記効果顔料のリストは、もちろん限定的であることを意図するものではない。本発明の目的のため有利である効果顔料は、それ自体知られている数多くの方法で得ることができる。さらに、例えば雲母を除いた他の基材、例えばシリカなどに、さらなる金属酸化物を被覆することもできる。例えばMerck KGaAから販売され、微細な皺を光学的に薄くするのに特に適しているTiO2−およびFe23−被覆SiO2粒子(「Ronasphere」等級)が有利である。
【0091】
雲母などの基材を完全に省くのもさらに有利であろう。SiO2を使用して調製した効果顔料が特に好ましい。色彩角度依存性(goniochromatic)効果をさらに有することもできるこのような顔料を、例えば商標名Colorstream(登録商標)のもとにMerck KGaAから入手できる。
【0092】
二酸化チタンを被覆したホウケイ酸カルシウムナトリウムに基づくEngelhard顔料を用いるのも有利であろう。これらは、名称Reflecks(登録商標)のもとに入手できる。それらの粒径40〜80μmのために、それらの顔料は色の他に光輝(glitter)効果を有する。
【0093】
種々の色(黄色、赤色、緑色、青色)における、商標名Metasomes(登録商標)Standard/GlitterのもとにFlora Techから入手できる効果顔料も特に好ましい。ここで光輝粒子は、種々の補助剤および染料(例えばカラーインデックス(CI)番号19140、77007、77289、77491を有する染料など)との混合物の形態である。
【0094】
染料および顔料は、個々の形態または混合物の形態のものとすることができ、また互いに相互に被覆することができ、一般に異なったコーティング厚さに起因する異なった色彩効果を有する。染料および有色顔料の全量は、それぞれの場合組成物の全重量に対して例えば0.1重量%〜30重量%、好ましくは0.5重量%〜15重量%、特に1.0重量%〜10重量%の範囲から有利に選択される。
【0095】
光保護性を有する本発明による組成物は、UV−A領域および/またはUV−B領域、ならびに/またはIRおよび/またはVIS領域で有効である1種または複数の追加的な親水性または親油性サンスクリーンフィルター(吸収剤)をもちろん含んでよい。これらの追加的なフィルターは、特に、ケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、カンファー誘導体、トリアジン誘導体、アクリル酸β,β−ジフェニル誘導体、p−アミノ安息香酸誘導体およびポリマーフィルター、ならびにシリコーンフィルターから選択することができ、これらは出願WO93/04665に記載されている。有機フィルターのさらなる例は、特許出願EP−A0487404に示されている。
【0096】
原則として、すべてのUVフィルターが、本発明による粉末中に存在するUV保護剤と組み合わせるのに適している。その生理学的許容性が既に実証されているUVフィルターが特に好ましい。UVAフィルターおよびUVBフィルターの両方について、専門家文献から知られている多くの立証された物質があり、例えば、3−(4’−メチルベンジリデン)−dl−カンファー(例えばEusolex(登録商標)6300)、3−ベンジリデンカンファー(例えばMexoryl(登録商標)SD)などのベンジリデンカンファー誘導体;N−{(2および4)−[(2−オキソボルン−3−イリデン)メチル]−ベンジル}アクリルアミドのポリマー(例えばMexoryl(登録商標)SW)、N,N,N−トリメチル−4−(2−オキソボルン−3−イリデンメチル)アニリニウムメチル硫酸塩のポリマー(例えばMexoryl(登録商標)SK)または(2−オキソボルン−3−イリデン)トルエン−4−スルホン酸のポリマー(例えばMexoryl(登録商標)SL);メトキシケイ皮酸オクチル(例えばEusolex(登録商標)2292)、例えば異性体の混合物としての4−メトキシケイ皮酸イソペンチル(例えばNeo Heliopan(登録商標)E1000)などのメトキシケイ皮酸エステル;サリチル酸2−エチルヘキシル(例えばEusolex(登録商標)OS)、サリチル酸4−イソプロピルベンジル(例えばMegasol(登録商標))またはサリチル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(例えばEusolex(登録商標)HMS)などのサリチル酸エステル誘導体;4−アミノ安息香酸、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシル(例えばEusolex(登録商標)6007)、エトキシラート化4−アミノ安息香酸エチル(例えばUvinul(登録商標)P25)などの4−アミノ安息香酸および誘導体;2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸とそのカリウム、ナトリウムおよびトリエタノールアミン塩(例えばEusolex(登録商標)232)、2,2−(1,4−フェニレン)ビスベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸およびその塩(例えばNeoheliopan(登録商標)AP)または2,2−(1,4−フェニレン)ビスベンズイミダゾール−6−スルホン酸などのフェニルベンズイミダゾールスルホン酸;ならびに下記のものなどのさらなる物質である:
2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル(例えばEusolex(登録商標)OCR)、
3,3’−(1,4−フェニレンジメチレン)ビス−7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプト−1−イルメタンスルホン酸およびその塩(例えばMexoryl(登録商標)SX)および
2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン(例えばUvinul(登録商標)T150)、
2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシル(例えばUvinul(登録商標)UVA Plus、BASF社)。
【0097】
このリストに挙げた化合物は、例とみなすにとどめるべきである。もちろん他のUVフィルターを使用することも可能である。特に、例えば特許出願WO99/66896に記載されている有機微粒子UVフィルターも、本発明により有利に組み合わせ得るものである。
【0098】
これらの有機UVフィルターは、一般に0.5〜20重量パーセント、好ましくは1〜10重量%の量で化粧品配合物中に組み込まれる。
【0099】
さらに適切な有機UVフィルターは、例えば
2−(2H−ベンゾトリアゾル−2−イル)−4−メチル−6−(2−メチル−3−(1,3,3,3−テトラメチル−1−(トリメチルシリルオキシ)ジシロキサニル)プロピル)フェノール(例えばSilatrizole(登録商標))、
4,4’−[(6−[4−((1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)ジイミノ]ビス(安息香酸)2−エチルヘキシル(例えばUvasorb(登録商標)HEB)、
α−(トリメチルシリル)−ω−[トリメチルシリル]オキシ]ポリ[オキシ(ジメチル[および約6%のメチル[2−[p−[2,2−ビス(エトキシカルボニル]ビニル]フェノキシ]−1−メチレンエチル]および約1.5%のメチル[3−[p−[2,2−ビス(エトキシカルボニル)ビニル)フェノキシ]−プロペニル)および0.1〜0.4%の(メチル水素]シリレン]](n≒60)(CAS No.207574−74−1)、
2,2’−メチレンビス(6−(2H−ベンゾトリアゾル−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール)(CAS No.103597−45−1)、
2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(1H−ベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸、一ナトリウム塩)(CAS No.180898−37−7)および
2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(CAS No.103597−45−、187393−00−6)、
4,4’−[(6−[4−((1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)ジイミノ]ビス(安息香酸)2−エチルヘキシル(例えばUvasorb(登録商標)HEB)
である。
【0100】
UVフィルタリング性を有する好ましい化合物は、3−(4’−メチルベンジリデン)−dl−カンファー、1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、メトキシケイ皮酸オクチル、サリチル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸とそのカリウム、ナトリウムおよびトリエタノールアミン塩である。
【0101】
好ましい組成物は、式I
【0102】
【化10】

【0103】
(式中、R1およびR2は、
H、
およびOR11から選択され、ただし、OR11は、互いに独立に
OH、
直鎖または分岐C1〜C20−アルコキシ基、
直鎖または分岐C3〜C20−アルケニルオキシ基、
直鎖または分岐C1〜C20−ヒドロキシアルコキシ基であり、ただし、1つまたは複数のヒドロキシ基が分子鎖の第一級もしくは第二級炭素原子と結合でき、かつその上アルキル鎖を酸素により中断してもよいヒドロキシアルコキシ基、ならびに/または
3〜C10−シクロアルコキシ基および/もしくはC3〜C12−シクロアルケニルオキシ基であり、ただし、それらの環にそれぞれ、n=1〜3の−(CH2n−基を架橋してもよいシクロアルコキシ基および/もしくはシクロアルケニルオキシ基、ならびに/または
モノ−および/もしくはオリゴグリコシル基
を表し、ただし、R1およびR2からの少なくとも1つの基はOR11を表すことを前提とし、
またR3は基OR11を表し、また
4〜R7およびR10は同一としもしくは異なることができ、かつ互いに独立に、
H、
直鎖または分岐C1〜C20−アルキル基、
直鎖または分岐C3〜C20−アルケニル基、
直鎖または分岐C1〜C20−ヒドロキシアルキル基
であり、ただし、ヒドロキシ基が分子鎖の第一級もしくは第二級炭素原子と結合でき、かつその上アルキル鎖を酸素により中断してもよいヒドロキシアルキル基、ならびに/または
3〜C10−シクロアルキル基および/もしくはC3〜C12−シクロアルケニル基であり、ただし、それらの環にそれぞれ、n=1〜3の−(CH2n−基を架橋してもよいシクロアルキル基および/もしくはシクロアルケニル基
を表し、また
8およびR9は同一としもしくは異なることができ、かつ互いに独立に、
H、
OR11
直鎖または分岐C1〜C20−アルキル基、
直鎖または分岐C3〜C20−アルケニル基、
直鎖または分岐C1〜C20−ヒドロキシアルキル基であり、ただし、ヒドロキシ基が分子鎖の第一級もしくは第二級炭素原子と結合でき、かつその上アルキル鎖を酸素により中断してよいヒドロキシアルキル基、ならびに/または
3〜C10−シクロアルキル基および/もしくはC3〜C12−シクロアルケニル基であり、ただし、それらの環にそれぞれ、n=1〜3の−(CH2n−基を架橋してもよいシクロアルキル基および/もしくはシクロアルケニル基
を表す。)の化合物を含んでもよい。
【0104】
本発明による組成物の利点は、特に、UV光フィルタリング作用および良好な、皮膚による耐性である。さらに、ここに記述している式Iの化合物は無色であるか、わずかに弱く着色しているにとどまり、したがって多くの知られている天然産フラボノイドとは異なって、組成物の変色をもたらさない。
【0105】
本発明に従って用いられる式Iのフラボノイドには、広帯域のUVフィルターが含まれ、他の同様に好ましい式Iの化合物は、UV−BとUV−A線の間の境界領域で吸収極大を示す。したがって、UV−A−IIフィルターとして、それらは、市販のUV−BおよびUV−A−Iフィルターの吸収スペクトルを有利に補足する。光保護性を有する本発明による好ましい組成物は、少なくとも1種の式Iの化合物(式中、R3は、
OHまたは
直鎖または分岐C1〜C20−アルコキシ基、好ましくはメトキシ、エトキシ、もしくはエチルヘキシルオキシまたは
モノ−および/もしくはオリゴグリコシル基、好ましくはグルコシル基
を表し、また
1および/またはR2は、
OHまたは
直鎖または分岐C1〜C20−アルコキシ基、好ましくはメトキシ、エトキシ、もしくはエチルヘキシルオキシまたは
モノ−および/もしくはオリゴグリコシル基、好ましくはグルコシル基
を表すことが好ましい。)を含む。
【0106】
これらの好ましい化合物は、特に強いUV吸収を特徴とする。
【0107】
さらに、この型の好ましい化合物は、本組成物中に組み込むと:
モノ−および/もしくはオリゴグリコシル基が、本発明に従って用いられる化合物の水溶性を向上させ、
直鎖または分岐C1〜C20−アルコキシ基、特にエチルヘキシルオキシ基などの長鎖アルコキシ官能基がこの化合物の油溶性を向上させる
利点を有しており、すなわち置換基の適切な選択によって、式Iの化合物の親水性または親油性を制御することができる。ここで好ましいモノ−もしくはオリゴ糖基はヘキソシル基、特にラムノシル基およびグルコシル基である。しかし所望される場合、他のヘキソシル基、例えばアロシル、アルトロシル、ガラクトシル、グロシル、イドシル、マンノシルおよびタロシル、も有利に使用できる。ペントシル基を使用することも有利であろう。グリコシル基は、α−またはβ−グリコシドとして親構造に結合することができる。好ましい二糖は、例えば6−O−(6−デオキシ−α−L−マンノピラノシル)−β−D−グルコピラノシドである。
【0108】
3が、直鎖または分岐C1〜C20−アルコキシ基、好ましくはメトキシ、エトキシ、もしくはエチルヘキシルオキシを表し、またR8およびR9が同一であり、Hまたは直鎖もしくは分岐C1〜C20−アルコキシ基、好ましくはメトキシ、エトキシまたはエチルヘキシルオキシを表す場合、UV吸収の強さが特に大きいことが見出されている。
【0109】
したがって、本発明に従って、光保護性を有する組成物であって、少なくとも1種の式Iの化合物であり、R3が、直鎖または分岐C1〜C20−アルコキシ基、好ましくはメトキシ、エトキシ、もしくはエチルヘキシルオキシを表し、またR8およびR9が同一であり、Hまたは直鎖もしくは分岐C1〜C20−アルコキシ基、好ましくはメトキシ、エトキシ、もしくはエチルヘキシルオキシを表す化合物を含むことを特徴とする組成物が特に好ましい。ここでは、R8およびR9がHを表す場合が、特に好ましい。
【0110】
式Iの化合物は、本発明に従って0.01〜20重量%の量で、好ましくは0.5重量%〜10重量%の量で、また特に好ましくは1〜8重量%の量で、典型的に用いられる。当業者は、本組成物の意図している光保護ファクターに応じた量を相応じて選択するのにまったく何の困難をも及ぼされない。
【0111】
本発明による粉末において1種または複数のナノ粒子UV保護剤をさらなるUVフィルターと組み合わせることにより、UV線の有害な影響に対する保護作用を最適化することが可能になる。最適化した組成物は、例えば、有機UVフィルター4’−メトキシ−6−ヒドロキシフラボンの、1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオンおよび3−(4’−メチルベンジリデン)−dl−カンファーとの組合せを含んでよい。
【0112】
式Iの化合物を含めたすべての前記UVフィルターは、同様にカプセル化形態で用いることもできる。特に、カプセル化形態における有機UVフィルターを用いることが有利である。カプセル化の例は、本発明による粉末形態UVフィルターの記述のもとに、上記において既に言及している。さらに、これらのカプセルは後処理しても、すなわち粒子の表面を疎水性化しまたは親水性化してもよい。この型の後処理の例は、同様に既に知られている。
【0113】
本発明による組成物が、遊離ヒドロキシル基を含有する式Iの化合物を含む場合、それらの化合物は追加的に、記述した性質の他に、酸化防止剤および/または遊離基捕捉剤としての作用を示す。したがってまた、光保護性を有する組成物であって、基R1〜R3の少なくとも1つがOHを表すこと、好ましくは基R1またはR2の少なくとも1つがOHを表すことを特徴とする、少なくとも1種の式Iの化合物を含む組成物も好ましいものである。
【0114】
式Iの化合物が、皮膚上において特に良好に遊離基捕捉剤としてのそれらの積極的な作用を発現することができるためには、皮膚層中に式Iの化合物をより深く浸透させることが好ましいであろう。この目的のためにいくつかの可能性が利用できる。第一に、外側皮膚層を通って表皮層に浸透し得るために式Iの化合物は十分な油溶性を有することができる。さらなる可能性として、外側皮膚層を通り式Iの化合物の輸送を可能にする、対応する輸送用薬剤、例えばリポソームを組成物中に提供することもできる。最後に、式Iの化合物の全身性輸送も考えられる。その場合には、本組成物は、例えばそれが経口投与に適するような形で設計される。
【0115】
式Iの物質は、一般的に、フリーラジカルスカベンジャーとして働く。この種のフリーラジカルは、太陽光によって発生させられるだけでなく、種々の条件下でも形成される。その例は、シトクロムオキシダーゼの電子流の逆流を封鎖し、スーパーオキシドフリーラジカルアニオン形成の原因となる酸素欠乏症や、特に白血球の膜NADPHオキシダーゼによるスーパーオキシドアニオンの形成に伴い、また(鉄(II)イオン存在下での不均化反応による)ヒドロキシフリーラジカルおよび他の普通に食細胞活動現象に関与する反応性種の形成にも伴う炎症、ならびに一般的にヒドロキシフリーラジカルによって開始され脂質のアルコキシフリーラジカルおよびヒドロペルオキシドを生成する脂質の自動酸化である。
【0116】
式Iの好ましい化合物は、酵素阻害剤としても働くと想定されている。これらはヒスチジンデカルボキシラーゼ、プロテインキナーゼ、エラスターゼ、アルドースレダクターゼおよびヒアルロニダーゼを阻害し、それにより、血管鞘の基本物質の無傷性が維持されることを可能にすると考えられている。これらはさらに、カテコールO−メチルトランスフェラーゼを非特異的に阻害して、利用可能なカテコールアミンの量が増え、したがって血管の強度が増す原因になると考えられている。これらはさらに、AMPホスホジエステラーゼを阻害して、血小板の凝集を抑制しうる物質を与える。
【0117】
これらの性質のために、本発明による組成物は、一般に、免疫の保護およびDNAとRNAの保護に適している。特に、本組成物は酸化的攻撃、フリーラジカルおよび放射、特にUV照射による損傷に対するDNAおよびRNAの保護に適している。本発明による組成物のさらなる利点は、特に、上述の影響による損傷に対するランゲルハンス細胞の保護である。本発明は、式Iの化合物の、これらすべての使用および同様に使用することができる組成物の調製のための使用に関する。
【0118】
特に、本発明による好ましい組成物はまた、分化と細胞増殖に影響を及ぼす角質化障害(defect in keratinisation)に伴う皮膚病の治療にも適しており、特に尋常性ざ瘡(acne vulgaris)、アクネコメドニカ(acne comedonica)、ポリモルフィックアクネ(polymorphic acne)、アクネロザセアエ(acne rosaceae)、ノジュラーアクネ(nodular acne)、集族性ざ瘡(acne conglobata)、加齢誘発ざ瘡(age−induced acne)、アクネソラリス(acne solaris)などの副作用として発生するざ瘡、薬剤誘発ざ瘡(medicament−induced acne)、職業性ざ瘡(acne professionalis)の治療に、他の角質化障害、特に魚鱗癬(ichthyosis)、(ichthyosiform)状態、ダリエ病(Darier’s disease)、掌蹠角化症(palmoplantaris)、白板症(leukoplakia)、ロイコプラキフォーム(leukoplakiform)状態、皮膚および粘膜のヘルペス(口腔)(苔癬)の治療に、角質化障害に伴い炎症性および/または免疫アレルギー性の要素を有する角質化障害に伴う他の皮膚病および特に皮膚、粘膜、指、足爪を侵すあらゆる形態の乾癬(psoriasis)、ならびに乾癬性リウマチおよび湿疹または呼吸器官のアトピーなどの皮膚アトピー、あるいは歯肉の肥大(hypertrophy)の治療に適しており、さらにこれらの化合物は、角質化障害に伴わないある種の炎症に、尋常性いぼ(verruca vulgaris)、足底いぼ(verruca plana)、いぼ状表皮発育異常症(epidermodysplasia verruciformis)、口腔の乳頭腫症(papillomatosis)、パピロマトシスフロリダ(papillomatosis florida)などのウイルスに起因する可能性のある良性または悪性の真皮または表皮の突出物およびUV照射に起因する可能性のある突出物、特に基底細胞上皮腫(epithelioma baso−cellulare)および棘細胞上皮腫(epithelioma spinocellulare)の治療に、水疱性皮膚炎(dermatitis bullosa)などの他の皮膚疾患およびコラーゲンを侵す疾患の治療に、ある種の眼の疾患、特に角膜疾患の治療に、加齢に伴う光誘起性の皮膚の老化の克服または抑制に、色素沈着および角化症の軽減、通常の老化または光誘起性老化に伴うあらゆる疾患の治療に、局所的または全身的に投与されたコルチコステロイドに起因する表皮および/または真皮の萎縮(atrophy)およびその他すべての種類の皮膚の萎縮による創傷/傷跡の予防および治癒に、創傷治癒の欠陥の予防または治療に、妊娠によって生じる線条(stretch marks)の予防および除去、または創傷治癒の促進、ざ瘡の脂漏過多症(hyperseborrhoea)または単純性脂漏症などの皮脂(sebum)生成障害の抑制、癌類似状態または前癌状態、特に前骨髄性白血病の抑制または予防に、関節炎などの炎症性疾患の治療に、皮膚または他の身体部位のウイルス誘起性疾患の治療に、脱毛症の予防または治療に、皮膚疾患または他の身体部位の疾患の免疫学的成分を共に用いる治療に、動脈硬化症または高血圧症などの心臓血管疾患の治療におよびインスリン非依存性の糖尿病の治療におよびUV放射に起因する皮膚障害の治療に使用することが可能である。
【0119】
本発明による組成物の、酸化性のストレスまたはフリーラジカルの影響に対する保護作用は、組成物が1つまたは複数の酸化防止剤を含んでいればさらに向上し、当業者なら急速にあるいは遅れて作用する適当な酸化防止剤の選択にはまったく問題がない。
【0120】
したがって、本発明の好ましい一実施形態では、その組成物は、1つまたは複数の式Iの化合物に加えて、1つまたは複数の酸化防止剤を含むことを特徴とする、酸化性ストレスに対して体細胞を保護し、特に皮膚の老化を軽減するための組成物である。
【0121】
酸化防止剤として使用可能と証明された多くの物質が専門家の文献から知られており、例えばアミノ酸(例えばグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびそれらの誘導体、イミダソール(例えばウロカニン酸)およびそれらの誘導体、D,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンなどのペプチドおよびそれらの誘導体(例えばアンセリン)、カロテノイド、カロテン(例えばα−カロテン、β−カロテン、リコピン)およびそれらの誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、リポ酸およびその誘導体(例えばジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンおよびそれらのグリコシル、N−アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリル、パルミトイル、オレイル、γ−リノレイル、コレステリルおよびそれらのグリセリルエステル)およびそれらの塩、ジラウリルチオジプロピオナート、ジステアリルチオジプロピオナート、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、リピド、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)および非常に低い許容投与量(例えばpmol〜μmol/kg)でのスルホキシミン化合物(例えばブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−およびヘプタチオニンスルホキシミン)および(金属)キラート化剤(例えばα−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α−ヒドロキシ酸(例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびその誘導体、不飽和脂肪酸およびその誘導体、ビタミンCおよび誘導体(例えばアスコルビルパルミタート、マグネシウムアスコルビルホスファート、アスコルビルアセタート)、トコフェロールおよび誘導体(例えばビタミンEアセタート)、ビタミンAおよび誘導体(例えばビタミンAパルミタート)およびベンゾイン樹脂のコンフェリルベンゾアート、ルチン酸およびその誘導体、α−グリコシルルチン、フェルリン酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノル−ジヒドログアイアレン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、ケルセチン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、亜鉛およびその誘導体(例えばZnO、ZnSO4)、セレンおよびその誘導体(例えばセレノメチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えばスチルベンオキサイド、トランス−スチルベンオキサイド)である。
【0122】
酸化防止剤の混合物も、同様に、本発明による化粧品組成物中で使用するのに適当である。知られている市販の混合物は、例えば活性成分としてレシチン、L−(+)−アスコルビルパルミタートおよびクエン酸(例えばOxynex(登録商標)AP)、天然トコフェロール、L−(+)−アスコルビルパルミタート、L−(+)−アスコルビン酸およびクエン酸(例えばOxynex(登録商標)K LIQUID)、天然原料からのトコフェロール抽出物、L−(+)−アスコルビルパルミタート、L−(+)−アスコルビン酸およびクエン酸(例えばOxynex(登録商標)L LIQUID)、DL−α−トコフェロール、L−(+)−アスコルビルパルミタート、クエン酸およびレシチン(例えばOxynex(登録商標)LM)またはブチルヒドロキシトルエン(BHT)、L−(+)−アスコルビルパルミタートおよびクエン酸(例えばOxynex(登録商標)2004)を含む混合物である。この種の酸化防止剤は、かかる組成物中で、通常式Iの化合物と共に1000:1〜1:1000の範囲内の比で、好ましくは100:1〜1:100の量で使用する。
【0123】
本発明による組成物は、追加成分としてビタミンを含んでいてもよい。本発明による化粧品組成物は、好ましくは以下のものから選択したビタミンおよびビタミン誘導体を含む。ビタミンA、ビタミンAプロピオナート、ビタミンAパルミタート、ビタミンAアセタート、レチノール、ビタミンB、チアミンクロライドハイドロクロライド(ビタミンB1)、リボフラミン(ビタミンB2)、ニコチンアミド、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、ビタミンE、DL−α−トコフェロール、トコフェロールEアセタート、トコフェロールハイドロジェンスクシナート、ビタミンK1、エスクリン(ビタミンPの活性成分)、チアミン(ビタミンB1)、ニコチン酸(ナイアシン)、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン(ビタミンB6)、パントテン酸、ビオチン、葉酸およびコバラミン(ビタミンB12)、特に好ましくはビタミンAパルミタート、ビタミンCおよびこれらの誘導体、DL−α−トコフェロール、トコフェロールEアセタート、ニコチン酸、パントテン酸およびビオチン。本発明においては、ビタミンは、通常式Iの化合物と共に1000:1〜1:1000の範囲内の比で、好ましくは100:1〜1:100の量で使用する。
【0124】
酸化防止作用を有するフェノールの内で、その一部は天然に存在するポリフェノールは、医薬品、化粧品または栄養物の分野における用途に関して特に興味深い。例えば、フラボノイドまたはバイオフラボノイドは、主として植物色素として知られているが、しばしば酸化防止剤としての能力を有する。K.Lemanska、H.Szymusiak、B.Tyrakowska、R.Zielinski、I.M.C.M.Rietjens;Current Topics in Biophysics 2000、24(2)、101〜108は、モノ−およびジヒドロキシフラボンの置換形態の効果に関わるものである。この論文では、3’,4’−または6,7−または7,8−の位置にあるケト官能基またはOH基に隣接するOH基を含むジヒドロキシフラボンは、酸化防止性を有するが、その他のモノ−およびジヒドロキシフラボンの一部の事例では酸化防止性がないことが観察されている。
【0125】
ケルセチン(シアニダノール、シアニデノロン1522、メレチン、ソホレチン、エリシン、3,3’,4’,5,7−ペンタヒドロキシフラボン)は、しばしば特に有効な酸化防止剤と言われる(例えばC.A.Rice−Evans、N.J.Miller、G.Paganga、Trends in Plant Science 1997、2(4)、152〜159)。K.Lemanska、H.Szymusiak、B.Tyrakowska、R.Zielinski、A.E.M.F.Soffers、I.M.C.M.Rietjens;Free Radical Biology & Medicine 2001、31(7)、869〜881は、ヒドロキシフラボンの酸化防止作用のpH依存性を研究している。ケルセチンは、研究された構造の中では、pHの全範囲にわたって最も高い活性を示した。
【0126】
さらに、式IIの化合物も適当な酸化防止剤である。
【0127】
【化11】

【0128】
上式で、R1〜R10は、同一または異なってよく、以下のものから選択され、
− H、
− OR11
− 直鎖または分岐C1〜C20アルキル基、
− 直鎖または分岐C3〜C20アルケニル基、
− 直鎖または分岐C1〜C20ヒドロキシアルキル基、このヒドロキシ基は鎖中の第一級炭素または第二級炭素に結合していればよく、さらにアルキル鎖は、酸素ならびに/あるいは
− C3〜C10シクロアルキル基および/またはC3〜C12シクロアルケニル基
によって中断されていてもよく、これらの環は、それぞれ−(CH2n−基、n=1〜3、によって架橋されていてもよく、
− すべてのOR11は、他とは独立に、以下のものであり、
− OH、
− 直鎖または分岐C1〜C20アルコキシ基、
− 直鎖または分岐C3〜C20アルケニルオキシ基、
− 直鎖または分岐C1〜C20ヒドロキシアルコキシ基、このヒドロキシ基は鎖中の第一級炭素または第二級炭素に結合していればよく、さらにアルキル鎖は、酸素ならびに/あるいは、
− C3〜C10−シクロアルコキシ基および/またはC3〜C12シクロアルケニルオキシ基、によって中断されていてもよく、これらの環は、それぞれ−(CH2n−基、n=1〜3、ならびに/あるいは
− モノ−および/またはオリゴグリコシル基
によって架橋されていてもよく、ただし、R1〜R7の少なくとも4個の基はOHであり、かつ分子中に少なくとも2組の隣接する−OH基があるという条件が付き、
− あるいはR2、R5およびR6はOHであり、R1、R3、R4およびR710はHであり、
以前のDE10244282.7に記載の通りである。
【0129】
本発明による少なくとも1つの酸化防止剤を含む組成物の利点は、上述の利点の他に、特に抗酸化作用および良好な皮膚による耐性である。加えて、本明細書に記載の好ましい化合物は、無色または薄く着色しているだけであり、したがって組成物を変色させないか、ほんのわずかな程度にしか変色させない。特に好都合なことは、特に式IIの化合物の作用形態であり、DPPH試験においてフリーラジカル捕捉能力(EC50)が高いこと、遅延作用(TEC50>120min)から明らかであり、したがって高い抗フリーラジカル効率(AE)にモレート(morate)する。加えて、式IIの化合物は、分子内に抗酸化性とUV−Aおよび/またはUV−B領域におけるUV吸収とを兼ね備えている。したがって、R1〜R4基の少なくとも2つの隣接基がOHでありかつR5〜R7基の少なくとも2つの隣接基がOHであることを特徴とする、式IIの少なくとも1つの化合物を含む組成物も優先される。特に好ましい組成物は、R1〜R4基の少なくとも3つの隣接基がOHであり、R1〜R3基は好ましくはOHであることを特徴とする式IIの少なくとも1つの化合物を少なくとも1つ含む。
【0130】
本発明によれば、フラボン誘導体は、フラボノイドおよびクマラノンを意味するものとする。本発明によれば、フラボノイドはフラボノンのグリコシド、フラボン、3−ヒドロキシフラボン(=フラボノール)、オーロン、イソフラボンおよびロテノイド[Rompp Chemie Lexikon[Rompp’s Lexicon of Chemistry]、Volume 9、1993]を意味するものとする。しかし、本発明の目的には、この用語はアグリコン、すなわち無糖成分、ならびにフラボノイドおよびアグリコンの誘導体をも意味するものとする。本発明の目的には、フラボノイドという用語は、さらにアントシアニジン(シアニジン)をも意味するものとする。本発明の目的には、クマラノンという用語は、その誘導体をも意味するものとする。
【0131】
好ましいフラボノイドは、フラボノン、フラボン、3−ヒドロキシフラボン、オーロンおよびイソフラボン、特にフラボノン、フラボン、3−ヒドロキシフラボンおよびオーロンから誘導される。
【0132】
フラボノイドは、好ましくは以下の化合物から選択する。4,6,3’,4’−テトラヒドロキシオーロン、ケルセチン、ルチン、イソケルセチン、エリオジクチオール、タキシフォリン、ルテオリン、トリスヒドロキシエチルケルセチン(トロキセケルセチン)、トリスヒドロキシエチルルチン(トロキセルチン)、トリスヒドロキシエチルイソケルセチン(トロキセイソケルセチン)、トリスヒドロキシエチルルテオリン(トロキセルテオリン)、αーグリコシルルチン、チリロシドならびにこれらの硫酸塩およびリン酸塩。フラボノイドの中では、本発明による活性物質としては、特にルチン、チリロシド、α−グリコシルルチンおよびトロキセルチンが優先される。
【0133】
クマラノンの中では、4,6,3’,4’−テトラヒドロキシベンジルクマラン−3が優先される。
【0134】
クロモン誘導体という用語は、老化過程および有害な環境影響に対するヒトの皮膚およびヒトの毛髪の予防的処置のための有効成分として適当な、ある種のクロメン−2−オン誘導体を意味するものと考えることが好ましい。同時に、これらは皮膚に対する刺激性が低く、皮膚中における水の結合に好ましい効果を有し、皮膚の弾性を維持または増進し、したがって皮膚は滑らかになりやすい。これらの化合物は好ましくは式IIIに合致する。
【0135】
【化12】

【0136】
上式で、
1およびR2は、同一または異なってよく、以下のものから選択され、
− H、−C(=O)−R7、−C(=O)−OR7
− 直鎖または分岐C1〜C20アルキル基、
− 直鎖または分岐C3〜C20アルケニル基、
− 直鎖または分岐C1〜C20ヒドロキシアルキル基、このヒドロキシ基は鎖中の第一級炭素または第二級炭素に結合していればよく、さらにアルキル鎖は、酸素ならびに/あるいは
− C3〜C10シクロアルキル基および/またはC3〜C12シクロアルケニル基
によって中断されていてもよく、これらの環は、それぞれ−(CH2n−基、n=1〜3、によって架橋されていてもよく、
3は、Hまたは直鎖もしくは分岐C1〜C20アルキル基であり、
4は、HまたはOR8であり、
5およびR6は、同一または異なってよく、以下のものから選択され、
− −H、−OH、
− 直鎖または分岐C1〜C20アルキル基、
− 直鎖または分岐C3〜C20アルケニル基、
− 直鎖または分岐C1〜C20ヒドロキシアルキル基、このヒドロキシ基は鎖中の第一級炭素または第二級炭素に結合していればよく、さらにアルキル鎖は、酸素によって中断されていてもよく、
7は、H、直鎖もしくは分岐C1〜C20アルキル基、好ましくはアスコルビン酸基またはグリコシド基などのポリヒドロキシ化合物であり、
8は、Hまたは直鎖もしくは分岐C1〜C20アルキル基であり、R1、R2、R4〜R6置換基の少なくとも2つはHではないか、R1およびR2の少なくとも1つの置換基は−C(=O)−R7もしくは−C(=O)−OR7である。
【0137】
フラボノイド、クロモン誘導体およびクマラノンから選択された1つまたは複数の化合物の本発明による組成物中での比率は、組成物全体に対して好ましくは0.001〜5重量%、特に好ましくは0.01〜2重量%である。
【0138】
本発明による光保護性を有する組成物は、さらに他の従来からある皮膚の保護またはスキンケアに有効な成分を含んでいてもよい。これらは、原理的には、当業者に知られているどの有効成分であってもよい。
【0139】
特に好ましい有効成分は、ピリミジンカルボン酸および/またはアリールオキシムである。
【0140】
ピリミジンカルボン酸は、好塩性微生物中に存在し、これらの生物の浸透圧調節においてある役割を果している(E.A.Gallinski et al.、Eur.J.Biochem.、149(1985)pages 135〜139)。ピリミジンカルボン酸の中で、本明細書において特に言及するべきものはエクトイン((S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)およびヒドロキシエクトイン((S,S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)ならびにこれらの誘導体である。これらの化合物は、水溶液および有機溶媒中の酵素および他の生体分子を安定化させる。さらにそれらは、特に塩、極端なpH値、界面活性剤、尿素、塩化グアニジニウムおよび他の化合物などの変性条件に対して酵素を安定化させる。
【0141】
エクトインおよびヒドロキシエクトインなどのエクトイン誘導体は、薬剤中で好都合に使用することができる。特に、ヒドロキシエクトインは、皮膚疾患の治療用薬剤の調製のために使用することができる。ヒドロキシエクトインおよび他のエクトイン誘導体の他の用途分野は、通常は例えばトレハロースが添加物として使用される分野である。したがって、ヒドロキシエクトインなどのエクトイン誘導体は、乾燥酵母および乾燥バクテリア細胞中で保護材として使用することができる。グリコシル化されていない薬剤用の活性ペプチドおよび活性タンパク質、例えばt−PA、などの薬剤製品もエクトインまたはその誘導体を用いて保護することができる。
【0142】
化粧品用途の中では、特に老化皮膚、乾燥皮膚または炎症を起こした皮膚のケアのためのエクトインおよびエクトイン誘導体の使用に言及しなければならない。これについては、EP−A−0671161は、特にエクトインおよびヒドロキシエクトインがパウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング製品、リップスティック、口紅、メイクアップ製品、ケア用クリームおよびサンスクリーン配合物などの化粧品組成物中で使用されることを記載している。
【0143】
本明細書では次式IVのピリミジンカルボン酸の使用が優先される。
【0144】
【化13】

【0145】
上式で、R1は、H基またはC1〜8−アルキル、R2は、H基またはC1〜4−アルキルであり、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ他とは独立に、H、OH、NH2およびC1〜4−アルキルの群からの基である。R2がメチル基またはエチル基であり、かつR1またはR5およびR6はHであるピリミジンカルボン酸の使用が優先される。ピリミジンカルボン酸エクトイン((S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)およびヒドロキシエクトイン((S,S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)の使用が特に優先される。この場合は、本発明による組成物は、好ましくはこの種のピリミジンカルボン酸を15重量%までの量で含む。
【0146】
アリールオキシムの中では、HMLO、LPOまたはF5としても知られている、2−ヒドロキシ−5−メチル−ラウロフェノンオキシムの使用が優先される。化粧品組成物中での使用に対してそれが適当であることは、例えばDE−A−4116123に開示されている。したがって、2−ヒドロキシ−5−メチルラウロフェノンオキシムを含む組成物は、炎症を伴う皮膚疾患の治療に適当である。この種の組成物は、例えば乾癬、種々の形態の湿疹、刺激性皮膚炎および毒性皮膚炎、紫外線皮膚炎ならびにさらに皮膚および外皮付属物のアレルギー性および/または炎症性疾患の治療に使用可能であることが知られている。アリールオキシム、好ましくは2−ヒドロキシ−5−メチルラウロフェノンオキシムを含む本発明による組成物は、意外なほどの消炎適性を示す。本明細書の組成物は、好ましくは0.01〜10重量%のアリールオキシムを含み、0.05〜5重量%のアリールオキシムを含むことが本組成物にとっては特に好ましい。
【0147】
本組成物中で使用可能な本明細書に記載のすべての化合物または成分は、知られており市販されているか、知られている方法によって合成することができる。
【0148】
本明細書に記載した化合物の他に、本発明による組成物は、好ましくは式Vに合致する光安定剤を少なくとも1つ含んでいてもよい。
【0149】
【化14】

【0150】
上式で、
1は、−C(O)CH3、−CO23、−C(O)NH2および−C(O)N(R42から選択され、
Xは、OまたはNHであり、
2は、直鎖または分岐C130−アルキル基であり、
3は、直鎖または分岐C120−アルキル基であり、
すべてのR4は、他とは独立に、Hあるいは直鎖または分岐C18−アルキル基であり、
5は、H、直鎖または分岐C18−アルキル基あるいは直鎖または分岐−O−C18アルキル基であり、
6は、C18−アルキル基であり、
この光安定剤は、特に好ましくはビス(2−エチルヘキシル)2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジリデン)マロナートである。対応する光安定剤およびその調製と使用はWO03/007906に記載されており、その開示内容は、明白に本出願の主題にも属する。
【0151】
本発明による組成物は、当業者に知られている方法、特に水中油型エマルジョンまたは油中水型エマルジョンの調製に使える方法によって調製することができる。
【0152】
本発明は、さらに本発明による粉末形態のUVフィルターおよび1つまたは複数の化粧品としてまたは皮膚病学的に適当な担体を含む光保護性の組成物、少なくとも1つの本発明による粉末が化粧品としてまたは皮膚病学的に適当な担体と混合されていることを特徴とする組成物の調製方法および本発明による粉末状UVフィルターの、光保護性を有する組成物の調製を目的とする使用に関する。
【0153】
これらの組成物は、特に、単純または複雑なエマルジョン(O/W、W/O、O/W/OまたはW/O/W)、例えばクリーム、乳液、ゲルまたはゲルクリーム、粉末および固形スティックの形態にすることが可能であり、所望であれば、エアロゾルとしてまたフォームまたはスプレーの形態に配合してもよい。これらの組成物は、O/Wエマルジョンの形態であることが好ましい。
【0154】
本発明による化粧品組成物は、サンスクリーン組成物またはメイクアップ製品として、ヒトの表皮または毛髪をUV放射から保護するための組成物として使用することができる。
【0155】
水中油エマルジョン型の担体を有する太陽光からの保護のための本発明による配合物では、水相(特に親水性フィルターを含む)は、一般に配合物全体の50〜95重量%、好ましくは70〜90重量%を構成し、油相(特に親油性のフィルターを含む)は、配合物全体の5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%を構成し、(共)乳化剤は、配合物全体の0.5〜20重量%、好ましくは2〜10重量%を構成することは指摘しておくべきである。
【0156】
適当な組成物は外用のもの、例えばクリーム、ローションまたはゲルあるいは皮膚にスプレー可能な溶液の形態である。内用に適当なものは、カプセル、被覆錠剤、粉末、錠剤化溶液または溶液である。
【0157】
本発明による組成物の適用形態の中で言及しておくとよいものの例は、溶液、懸濁液、エマルジョン、PITエマルジョン、ペースト、軟膏、ゲル、クリーム、ローション、粉末、石鹸、界面活性剤含有クレンジング配合物、オイル、エアロゾルおよびスプレーである。他の適用形態の例は、スティック、シャンプーおよびシャワー用品である。いかなる慣用担体、補助剤および、所望であれば、他の有効成分を本組成物に添加してもよい。
【0158】
好ましい補助剤が出てくるのは、保存剤、抗酸化剤、安定剤、可溶化剤、ビタミン、着色料および香り改良剤の群からである。
【0159】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、慣用担体、例えば動物油脂、植物油脂、ワックス、パラフィン、でんぷん、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルクおよび酸化亜鉛、あるいはこれらの物質の混合物を含んでいてもよい。
【0160】
粉末およびスプレーは、慣用担体、例えば乳糖、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、カルシウムッシリケートおよび粉末ポリアミド、あるいはこれらの物質の混合物を含んでいてもよい。
【0161】
スプレーは、さらに慣用噴射剤、例えばクロロフルオロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルを含んでいてもよい。
【0162】
溶液およびエマルジョンは、溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば水、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコール、油、特に綿実油、ピーナッツオイル、コーンオイル、オリーブオイル、キャスターオイルおよびゴマ油、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールおよびソルビタン脂肪酸エステル、あるいはこれらの物質の混合物などの慣用担体を含んでいてもよい。
【0163】
懸濁液は、液体希釈剤、例えば水、エタノールまたはプロピレングリコール、懸濁化剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガー−アガー(寒天)およびトラガカント、またはこれらの物質の混合物などの慣用担体を含んでいてもよい。
【0164】
石鹸は、脂肪酸アルカリ金属塩、脂肪酸モノエステル塩、脂肪酸タンパク質加水分解物、イセチオナート、ラノリン、脂肪アルコール、植物性油脂、植物抽出物、グリセロール、糖類、またはこれらの物質の混合物などの慣用担体を含んでいてもよい。
【0165】
界面活性剤含有クレンジング製品は、脂肪アルコール硫酸エステル塩、脂肪アルコールエーテル硫酸エステル、スルホコハク酸モノエステル、脂肪酸タンパク質加水分解物、イセチオナート、イミダゾリニウム誘導体、タウリン酸メチル、サルコシナート、脂肪酸アミドエーテルスルファート、アルキルアミドベタイン、脂肪アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油脂および合成油、ラノリン誘導体、エトキシル化グリセロール脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物などの慣用担体を含んでいてもよい。
【0166】
フェイスオイルおよびボディーオイルは、脂肪酸エステルなどの合成油、脂肪アルコール、シリコーンオイル、植物性油脂および油性植物抽出物などの天然油、パラフィンオイル、ラノリン油、またはこれらの物質の混合物などの慣用担体を含んでいてもよい。
【0167】
その他の通常の化粧品使用形態には、リップスティック、リップケアスティック、マスカラ、アイライナー、アイシャドウ、口紅、メイクアップパウダー、メイクアップ乳液およびメイクアップワックス、ならびにサンスクリーン、日光浴前および日光浴後用の配合物もある。
【0168】
本発明による好ましい組成物形態は、特にエマルジョンである。
【0169】
本発明によるエマルジョンは好都合であり、かつ例えば、前記の油脂、オイル、ワックスおよび他の油性物、に加えて水および乳化剤を、この種の組成物には通常用いられるように含む。
【0170】
脂質相は、以下の物質群から好都合に選択することができる。
【0171】
− 鉱油、鉱物ワックス、
− カプリン酸またはカプリル酸のトリグリセリドなどの油、さらに例えばキャスターオイル(ヒマシ油)などの天然油、
− 油脂、ワックスおよび他の天然および合成油性物、好ましくは脂肪酸と低いC数を有するアルコール、例えばイソプロパノール、プロピレングリコールまたはグリセロールとのエステル、あるいは脂肪アルコールと低いC数を有するアルカン酸または脂肪酸とのエステル、
− シリコーンオイル、例えばジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサンおよびこれらの混合形態など。
【0172】
本発明の目的には、エマルジョン、油性ゲルまたは水性分散液または油性分散液の油相は、飽和および/または不飽和で、分岐および/または非分岐の、C原子3〜30個の鎖長を有するアルカンカルボン酸と飽和および/または不飽和で、分岐および/または非分岐の、C原始3〜30個の鎖長を有するアルコールとのエステルの群から、あるいは芳香族カルボン酸と飽和および/または不飽和で、分岐および/または非分岐の、C原始3〜30個の鎖長を有するアルコールとのエステルの群から好都合に選択される。したがって、この種のエステル油は、イソプロピルミリスタート、イソプロピルパルミタート、イソプロピルステアラート、イソプロピルオレアート、n−ブチルステアラート、n−ヘキシルラウラート、n−デシルオレアート、イソオクチルステアラート、イソノニルステアラート、イソノニルイソノナノアート、2−エチルヘキシルパルミタート、2−エチルヘキシルラウラート、2−エチルヘキシルステアラート、2−オクチルドデシルパルミタート、オレイルオレアート、オレイルエルカート、エルシルオレアート、エルシルエルカートならびにこの種のエステルの合成、半合成および天然の混合物、例えばホホバオイルの群から好都合に選択される。
【0173】
油相は、さらに、分岐および非分岐の炭化水素およびワックス、シリコーンオイル、ジアルキルエーテルの群、または飽和または不飽和で、分岐または非分岐アルコールおよび脂肪酸トリグリセリド、詳細には飽和および/または不飽和で、分岐および/または非分岐の、C原子8〜24個、特に12〜18個の鎖長を有するアルカンカルボン酸のトリグリセロールエステルの群から好都合に選択することができる。この脂肪酸トリグリセリドは、例えば合成、半合成および天然の油、例えばオリーブオイル、ひまわり油、大豆油、ピーナッツオイル、菜種油、アーモンドオイル、パーム油、ココナッツオイル、パーム核油および類似のものの群から好都合に選択することができる。
【0174】
この種の油およびワックス成分のあらゆる所望の混合物も、本発明の目的に好都合に使用することができる。ワックス、例えば油相の唯一の脂質成分としてのパルミチン酸セチルの使用も好都合でありうる。
【0175】
油相は、2−エチルヘキシルイソステアラート、オクチルドデカノール、イソトリデシルイソノナノアート、イソエイコサン、2−エチルヘキシルココアート、C1215アルキルベンゾアート、カプリル/カプリン酸トリグリセリドおよびジカプリルエーテルの群から好都合に選択される。
【0176】
特に好都合であるのは、C1215アルキルベンゾアートおよび2−エチルヘキシルイソステアラートの混合物、C1215アルキルベンゾアートおよびイソトリデシルイソノナノアートの混合物、同様にC1215アルキルベンゾアート、2−エチルヘキシルイソステアラートおよびイソトリデシルイソノナノアートの混合物である。
【0177】
炭化水素の中では、パラフィン油、スクアランおよびスクアレンが、本発明の目的に好都合に使用することができる。
【0178】
さらに、油相は、ある量の環状または直鎖のシリコーンオイルを含むか、あるいは完全にこの種のオイルからなっていてもよいが、1種または複数のシリコーンオイルに加えて他の油相成分のある量を追加で使用することが好ましい。
【0179】
本発明によって使用するシリコーンオイルで好都合なものはシクロメチコン(オクタメチルシクロテトラシロキサン)である。しかし本発明の目的には、他のシリコーンオイル、例えばヘキサメチルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)を使用することも好都合である。
【0180】
また、特に好都合なものは、シクロメチコンとイソトリデシルイソノナノアートの混合物およびシクロメチコンと2−エチルヘキシルイソステアラートの混合物である。
【0181】
本発明による組成物の水相は、場合によっては好都合に、低いC(原子)数を有するアルコール、ジオールまたはポリオールおよびそれらのエーテル、好ましくはエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルまたはモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチルまたはモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテルおよび類似の製品、さらに低C数を有するアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、1,2−プロパンジオール、グリセロール、ならびに、格別に、1種または複数の増粘剤、好都合には二酸化珪素、ケイ酸アルミニウム、多糖類およびその誘導体、例えばヒアルロン酸、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース群から、特に好都合にはポリアクリラートの群から、好ましくはいわゆるカルボポール(Carbopols)、例えばCarbopol品種980、981、1382、2984、5984のそれぞれの個別または組合せの群のポリアクリラートから選択されうる増粘剤を含む。
【0182】
特に、上述の溶媒の混合物が使用される。アルコ−ルを含む溶媒の場合には、水が追加の成分であってもよい。
【0183】
本発明によるエマルジョンは、好都合なものであり、例えば前記の油脂、油、ワックスおよび他の油性物質に加えて、通常この種の配合物に使用されるように、水および乳化剤を含む。
【0184】
好ましい一実施形態では、本発明による組成物は、親水性の界面活性剤を含む。
【0185】
親水性界面活性剤は、好ましくはアルキルグルコシド、アシルラクチラート、ベタインおよびココナッツ両性酢酸塩の群から選択される。
【0186】
アルキルグルコシドは、それ自体、次の構造式によって識別されるアルキルグルコシド群から好都合に選択される。
【0187】
【化15】

【0188】
上式で、Rは、炭素原子4〜24個を有する分岐または非分岐のアルキル基を表し、
【0189】
【数1】

【0190】
は2までの平均グルコシル化度を意味する。
【0191】
【数2】

【0192】
は、本発明によって使用されるアルキルグルコシドのグルコシド化度を表し、次式のように定義される。
【0193】
【数3】

【0194】
上式で、p1、p2、p3〜piは、モノ−、ジ−、トリ−〜i回グルコシル化された生成物の比率を重量パーセントで表す。本発明によれば、好都合にはグルコシル化度1〜2、特に好都合には1.1〜1.5、非常に特に好都合には1.2〜1.4、格別には1.3を有する生成物が選択される。
【0195】
【数4】

【0196】
値は、アルキルグルコシドが、一般に、調製の結果として、モノ−およびオリゴグルコシドの混合物の形になっていることを考慮に入れるものである。本発明によれば、比較的高いモノグルコシド含有量、通常40〜70重量%程度が好都合である。
【0197】
本発明によって特に好都合に使用されるアルキルグルコシドは、オクチルグルコピラノシド、ノニルグルコピラノシド、デシルグルコピラノシド、ウンデシルグルコピラノシド、ドデシルグルコピラノシド、テトラデシルグルコピラノシドおよびヘキサデシルグルコピラノシドの群から選択される。
【0198】
本発明によって使用される有効成分の有効含有量によって識別される、天然または合成の原料および補助材料または混合物、例えばPlantaren(登録商標)1200(Henkel KGaA)、Oramix(登録商標)NS10(Seppic)を使用することが、同様に好都合である。
【0199】
アシルラクチラートは、それ自体次の構造式によって識別される物質群から好都合に選択される。
【0200】
【化16】

【0201】
上式で、R1は、1〜30個の炭素原子を有する分岐または非分岐アルキル基であり、M+は、アルカリ金属イオンの群ならびに1つもしくは複数のアルキル基および/または1つもしくは複数のヒドロキシアルキル基によって置換されたアンモニウムイオンの群から選択されるか、あるいはアルカリ土類金属イオンの半分に相当する。
【0202】
例えば、ナトリウムイソステアリルラクチラート、例えばAmerican Ingredients Company製品Pathionic(登録商標)ISLが好都合である。
【0203】
ベタインは、次の構造式で識別される物質の群から好都合に選択される。
【0204】
【化17】

【0205】
上式で、R2は、1〜30個の炭素原子を有する分岐または非分岐のアルキル基を表す。
【0206】
2は、特に好都合には、6〜12個の炭素原子を有する分岐または非分岐のアルキル基を表す。
【0207】
例えば、カプラミドプロピルベタイン、例えばTh.Goldschmidt AG製品Tego(登録商標)Betain 810が好都合である。
【0208】
本発明によって好都合に選択されるココナッツ両性酢酸塩は、例えばMiranol Chemical Corp.からMiranol(登録商標)Ultra C32の名前で手に入るココナッツ両性酢酸ナトリウムである。
【0209】
本発明による組成物は、親水性界面活性剤が組成物の全重量に対して0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%の濃度で存在することを好都合に特徴とする。
【0210】
使用に関して、本発明による化粧品および皮膚病薬組成物は、適当量を化粧品の場合の通常の方法で皮膚および/または毛髪に適用する。
【0211】
本発明による化粧品および皮膚病薬組成物は、さまざまな形態を取りうる。したがって、これらは、例えば、溶液、無水組成物、エマルジョンまたは油中水(W/O)型または水中油(O/W)型のマイクロエマルジョン、多重エマルジョン、例えば水中油中水(W/O/W)型、ゲル、固形スティック、軟膏またはエアロゾルにすることができる。エクトインを、カプセル化された形態で投与することも好都合であり、例えばコラーゲンマトリックスおよび他の従来のカプセル化材料中で、例えばセルロースカプセル化物として、ゼラチン、ワックスマトリックス中であるいはリポソーム状にカプセル化する。特に、DE−A4308282に記載されているワックスマトリックスは、良好であることが立証されている。エマルジョンは、優先される。O/Wエマルジョンが、特に優先される。エマルジョン、W/OエマルジョンおよびO/Wエマルジョンは、従来の方法で得られる。
【0212】
使用できる乳化剤は、例えば知られているW/OおよびO/W乳化剤である。本発明による好ましいO/Wエマルジョン中で従来の共乳化剤を追加して使用することは好都合である。
【0213】
本発明によりO/Wエマルジョンに特に好ましいことが判っている乳化剤は、Sasol社から市販されている製品Ceralution Cである。
【0214】
本発明により好都合に選択される共乳化剤は、例えば主としてHLB値11〜16、大いに特に好都合にはHLB値14.5〜15.5を有する物質群からのO/W乳化剤であるが、飽和基RおよびR’を有するものに限る。O/W乳化剤が不飽和基Rおよび/またはR’を有するかあるいはイソアルキル誘導体が存在する場合は、そうした乳化剤の好ましいHLB値はより低いかまたはより高いことがある。
【0215】
エトキシル化されたステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール(セテアリルアルコール(cetearyl alcohols))の群から脂肪族アルコールエトキシラートを選択することは好都合である。特に優先されるものは、ポリエチレングリコール(13)ステアリルエーテル(ステアレス(steareth)−13)、ポリエチレングリコール(14)ステアリルエーテル(ステアレス−14)、ポリエチレングリコール(15)ステアリルエーテル(ステアレス−15)、ポリエチレングリコール(16)ステアリルエーテル(ステアレス−16)、ポリエチレングリコール(17)ステアリルエーテル(ステアレス−17)、ポリエチレングリコール(18)ステアリルエーテル(ステアレス−18)、ポリエチレングリコール(19)ステアリルエーテル(ステアレス−19)、ポリエチレングリコール(20)ステアリルエーテル(ステアレス−20)、ポリエチレングリコール(12)イソステアリルエーテル(イソステアレス(isosteareth)−12)、ポリエチレングリコール(13)イソステアリルエーテル(イソステアレス−13)、ポリエチレングリコール(14)イソステアリルエーテル(イソステアレス−14)、ポリエチレングリコール(15)イソステアリルエーテル(イソステアレス−15)、ポリエチレングリコール(16)イソステアリルエーテル(イソステアレス−16)、ポリエチレングリコール(17)イソステアリルエーテル(イソステアレス−17)、ポリエチレングリコール(18)イソステアリルエーテル(イソステアレス−18)、ポリエチレングリコール(19)イソステアリルエーテル(イソステアレス−19)、ポリエチレングリコール(20)イソステアリルエーテル(イソステアレス−20)、ポリエチレングリコール(13)セチルエーテル(セテス(ceteth)−13)、ポリエチレングリコール(14)セチルエーテル(セテス−14)、ポリエチレングリコール(15)セチルエーテル(セテス−15)、ポリエチレングリコール(16)セチルエーテル(セテス−16)、ポリエチレングリコール(17)セチルエーテル(セテス−17)、ポリエチレングリコール(18)セチルエーテル(セテス−18)、ポリエチレングリコール(19)セチルエーテル(セテス−19)、ポリエチレングリコール(20)、セチルエーテル(セテス−20)、ポリエチレングリコール(13)イソセチルエーテル(イソセテス(isoceteth)−13)、ポリエチレングリコール(14)イソセチルエーテル(イソセテス−14)、ポリエチレングリコール(15)イソセチルエーテル(イソセテス−15)、ポリエチレングリコール(16)イソセチルエーテル(イソセテス−16)、ポリエチレングリコール(17)イソセチルエーテル(イソセテス−17)、ポリエチレングリコール(18)イソセチルエーテル(イソセテス−18)、ポリエチレングリコール(19)イソセチルエーテル(イソセテス−19)、ポリエチレングリコール(20)イソセチルエーテル(イソセテス−20)、ポリエチレングリコール(12)オレイルエーテル(オレス(oleth)−12)、ポリエチレングリコール(13)オレイルエーテル(オレス−13)、ポリエチレングリコール(14)オレイルエーテル(オレス−14)、ポリエチレングリコール(15)オレイルエーテル(オレス−15)、ポリエチレングリコール(12)ラウリルエーテル(ラウレス(laureth)−12)、ポリエチレングリコール(12)イソラウリルエーテル(イソラウレス(isolaureth)−12)、ポリエチレングリコール(13)セチルステアリルエーテル(セテアレス(ceteareth)−13)、ポリエチレングリコール(14)セチルステアリルエーテル(セテアレス−14)、ポリエチレングリコール(15)セチルステアリルエーテル(セテアレス−15)、ポリエチレングリコール(16)セチルステアリルエーテル(セテアレス−16)、ポリエチレングリコール(17)セチルステアリルエーテル(セテアレス−17)、ポリエチレングリコール(18)セチルステアリルエーテル(セテアレス−18)、ポリエチレングリコール(19)セチルステアリルエーテル(セテアレス−19)、ポリエチレングリコール(20)セチルステアリルエーテル(セテアレス−20)である。
【0216】
脂肪酸エトキシラートを次の群から選択することはさらに好都合である。
【0217】
ポリエチレングリコール(20)ステアラート、ポリエチレングリコール(21)ステアラート、ポリエチレングリコール(22)ステアラート、ポリエチレングリコール(23)ステアラート、ポリエチレングリコール(24)ステアラート、ポリエチレングリコール(25)ステアラート、ポリエチレングリコール(12)イソステアラート、ポリエチレングリコール(13)イソステアラート、ポリエチレングリコール(14)イソステアラート、ポリエチレングリコール(15)イソステアラート、ポリエチレングリコール(16)イソステアラート、ポリエチレングリコール(17)イソステアラート、ポリエチレングリコール(18)イソステアラート、ポリエチレングリコール(19)イソステアラート、ポリエチレングリコール(20)イソステアラート、ポリエチレングリコール(21)イソステアラート、ポリエチレングリコール(22)イソステアラート、ポリエチレングリコール(23)イソステアラート、ポリエチレングリコール(24)イソステアラート、ポリエチレングリコール(25)イソステアラート、ポリエチレングリコール(12)オレアート、ポリエチレングリコール(13)オレアート、ポリエチレングリコール(14)オレアート、ポリエチレングリコール(15)オレアート、ポリエチレングリコール(16)オレアート、ポリエチレングリコール(17)オレアート、ポリエチレングリコール(18)オレアート、ポリエチレングリコール(19)オレアート、ポリエチレングリコール(20)オレアート。
【0218】
好都合に使用することができるエトキシル化アルキルエーテルカルボン酸またはその塩は、ラウレス−11カルボン酸ナトリウムである。好都合に使用することができるアルキルエーテルスルホン酸塩はラウレス−14硫酸ナトリウムである。好都合に使用することができるエトキシル化コレステロール誘導体は、ポリエチレングリコール(30)コレステリルエーテルである。ポリエチレングリコール(25)ソーヤステロールは、良好に使用することができることが判っている。好都合に使用することができるエトキシル化トリグリセリドは、ポリエチレングリコール(60)月見草(evening primrose)グリセリドである。
【0219】
ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステルは、ポリエチレングリコール(20)グリセリルラウラート、ポリエチレングリコール(21)グリセリルラウラート、ポリエチレングリコール(22)グリセリルラウラート、ポリエチレングリコール(23)グリセリルラウラート、ポリエチレングリコール(6)グリセリカプラート/カプリナート、ポリエチレングリコール(20)グリセリルオレアート、ポリエチレングリコール(20)グリセリルイソステアラート、ポリエチレングリコール(18)グリセリルオレアート/ココアートの群から選択することがさらに好都合である。
【0220】
ソルビタンエステルは、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノラウラート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノステアラート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノイソステアラート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノパルミタート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノオレアートの群から選択することが同様に好適である。
【0221】
以下のものは場合によりW/O乳化剤として使用することができるが、それでも本発明によれば好都合なものである可能性がある:炭素原子8〜30個を有する脂肪アルコール、C原子8〜24個、特に12〜18個の鎖長を有する飽和および/または不飽和で、分岐または非分岐のアルカンカルボン酸のモノグリセロールエステル、C原子8〜24個、特に12〜18個の鎖長を有する飽和および/または不飽和で、分岐および/または非分岐のアルカンカルボン酸のジグリセロールエステル、C原子8〜24個、特に12〜18個の鎖長を有する飽和および/または不飽和で、分岐および/または非分岐のアルコールのモノグリセロールエーテル、C原子8〜24個、特に12〜18個の鎖長を有する飽和および/または不飽和で、分岐および/または非分岐のアルコールのジグリセロールエーテル、C原子8〜24個、特に12〜18個の鎖長を有する飽和および/または不飽和で、分岐および/または非分岐のアルカンカルボン酸のプロピレングリコールエステルおよびC原子8〜24個、特に12〜18個の鎖長を有する飽和および/または不飽和で、分岐および/または非分岐のアルカンカルボン酸のソルビタンエステル。
【0222】
特に好都合なW/O乳化剤は、グリセリルモノステアラート、グリセリルモノイソステアラート、グリセリルモノミリスタート、グリセリルモノオレアート、ジグリセリルモノステアラート、ジグリセリルモノイソステアラート、プロピレングリコールモノステアラート、プロピレングリコールモノイソステアラート、プロピレングリコールモノカプリラート、プロピレングリコールモノラウラート、ソルビタンモノイソステアラート、ソルビタンモノラウラート、ソルビタンモノカプリラート、ソルビタンモノイソオレアート、スクロースジステアラート、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、イソベヘニルアルコール、セラキルアルコール、キミルアルコール、ポリエチレングリコール(2)ステアリルエーテル(ステアレス−2)、グリセリルモノラウラート、グリセリルモノカプリナート、グリセリルモノカプリラートである。
【0223】
本発明による好ましい組成物は、特にヒトの皮膚をUV誘起老化過程および酸化ストレス、すなわち例えば太陽光、熱または他の影響によって発生するフリーラジカルによる損傷に対して保護するのに適当である。これに関して、これらにはこの用途で通常使用される種々の適用形態がある。例えば、これらは、特に、ローションまたはエマルジョン形態であればよく、例えばクリームまたは乳液(O/W、W/O、O/W/O、W/O/W)形態、油性/アルコール性、油性/水性または水性/アルコール性のゲルまたは溶液の形態、固形スティック形態あるいはエアロゾル形態に配合してもよい。
【0224】
本組成物は、通常この種の組成物に使用される化粧品補助剤を含んでいてもよく、例えば増粘剤、柔軟剤、保湿剤、界面活性剤、乳化剤、保存料、消泡剤、香料、ワックス、ラノリン、噴射剤、組成物自体または皮膚を着色する色素および/または顔料および通常化粧品に使用される他の成分などがある。
【0225】
使用する分散剤または可溶化剤は、油、ワックスまたは他の油性物質、低級モノアルコールまたは低級ポリオールあるいはこれらの混合物でよい。特に好ましいモノアルコールまたはポリオールには、エタノール、i−プロパノール、プロピレングリコール、グリセロールおよびソルビトールなどがある。
【0226】
本発明の好ましい一実施形態は、保護クリームまたは保護乳液の形態のエマルジョンであり、式Iの化合物の他に、例えば、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、特に脂肪酸のトリグリセリド、ラノリン、天然および合成の油またはワックスならびに水が存在する場合は乳化剤を含む。
【0227】
他の好ましい実施形態は、天然または合成の油およびワックス、ラノリン、脂肪酸エステル、特に脂肪酸のトリグリセリドを基材とする油性ローション、あるいはエタノールなどの低級アルコール、またはプロピレングリコールなどのグリセロールおよび/またはグリセロールなどのポリオールおよび油、ワックスおよび脂肪酸のトリグリセリドなどの脂肪酸エステルを基材とする油性−アルコール性ローションである。
【0228】
本発明による組成物は、エタノール、プロピレングリコールまたはグリセロールなどの1つまたは複数の低級アルコールまたはポリオールおよび珪酸含有土などの増粘剤を含むアルコール性ゲルの形態であってもよい。この油性/アルコール性ゲルは、天然または合成の油またはワックスをも含む。
【0229】
固形スティックは、天然または合成のワックスおよび油、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、ラノリンおよび他の油性物質からなる。
【0230】
組成物がエアロゾルとして配合される場合は、アルカン、フルオロアルカンおよびクロロフルオロアルカンなどの慣用の噴射剤が一般に使用される。
【0231】
化粧品組成物は、光化学的損傷から毛髪を保護するために使用して、変色、漂白または力学的性質の低下を防止することもできる。この場合に、適当な配合物は、洗髪シャンプー、ローション、ゲルまたはエマルジョンの形態であり、当該組成物は、シャンプーの前または後、染髪または漂白の前または後あるいはパーマネントウェーブ処理の前または後に適用される。毛髪のスタイリングまたはトリートメント用のゲルやローションの形態、ブラッシングまたは水性ウェーブ付け用のローションやゲルの形態、ヘアラッカー、パーマネントウェーブ組成物、毛髪用の染色剤また漂白剤の形態の組成物を選択することも可能である。光保護性を有する組成物は、この種の組成物に使用される種々の補助剤、例えば界面活性剤、増粘剤、ポリマー、柔軟剤、保存料、泡安定剤、電解質、有機溶媒、シリコーン誘導体、油、ワックス、べたつき防止剤、組成物自体または毛髪を着色する染料および/または顔料、あるいは通常ヘアケア用に使用される他の成分を含んでいてもよい。
【0232】
以下の実施例は、本発明をさらに詳細に説明することを意図するものであるが、それを制限するものではない。
【実施例】
【0233】
実施例1:二成分ノズルを用いるスプレー乾燥
二成分ノズルを有するスプレー乾燥機(Niro社製Mobile Miono 2000 D)を、入口温度150℃、出口温度75℃に加熱する。装置を安定させるために、中へ10分間水をスプレーし、次にEusolex(登録商標)UV−Pearls OMC(Merk KGaA)の水中懸濁液(固形物含有量40重量%)5kgを噴霧する。30分後に、最初に出てくるものを取り除き、3.5時間後にすべての懸濁液を噴霧し終わる。噴霧は、水で約15分間続ける。1640gのスプレー物質を得る。
【0234】
工程パラメーター:
二成分ノズル(噴霧用空気量5kg/h(0.3bar))
向流式
製品排出: 二点沈降(乾燥機コーンおよびサイクロン)
乾燥空気量: 85kg/h
排気温度: 50℃
懸濁液供給量:1.2kg/h(ホースポンプにより輸送)
【0235】
実施例2:回転噴霧器を用いる変形
回転噴霧器を有するスプレー乾燥機(運転圧力4.6bar、25000rpm)を、入口温度150℃、出口温度70℃に加熱する。装置を安定させるために、中へ10分間水をスプレーし、次にEusolex(登録商標)UV−Pearls OMC(Merk KGaA)の水中懸濁液(固形物含有量40重量%)5kgを噴霧する。30分後に、最初に出てくる乾燥物を取り除き、3.5時間後にすべての懸濁液を噴霧し終わる。噴霧は、水で約15分間続ける。1960gのスプレー物質を得る。
【0236】
工程パラメーター:
回転噴霧器
並流式
製品排出: 二点沈降(乾燥機コーンおよびサイクロン)
乾燥空気量: 85kg/h
排気温度: 50℃
懸濁液供給量:1.2kg/h(ホースポンプにより輸送)
フェイスパウダーの配合例:
【0237】
【表14】

【0238】
調製:
パウダー基材構成物質をミキサー(Moulinex社製La Moulinette)に導入し、2×10秒間混合する。混合物をビーカー中に移して、バインダーを滴下し、混合物をスパチュラでかき混ぜる。混合物を再びミキサーに導入し、3×10秒間混合する。パウダーを20barで圧縮する。
【0239】
フェイスパウダーの比較例:
【0240】
【表15】

【0241】
調製:
パウダー基材構成物質をミキサー(Moulinex社製La Moulinette)に導入し、2×10秒間混合する。混合物をビーカー中に移して、バインダーを滴下し、混合物をスパチュラでかき混ぜる。混合物を再びミキサーに導入し、3×10秒間混合する。パウダーを20barで圧縮する。
【0242】
本発明によるパウダーを使用すると、一部のバインダーを液体UVフィルターで置き換えなければならない比較例から得られるものと比較してより自由な配合能力が生じる。このことは、配合の間に、例えば皮膚に与える感触に関して制約を生じる。
【0243】
ヒドロゲルの配合例
【0244】
【表16】

【0245】
調製:
最初にHispagelを導入する。エクトインを水に溶解して、残りの成分を加え、Hispagelに攪拌しながら加える。均質な混合物が形成されるまで攪拌する。
【0246】
注:
pH(25℃)=5.5
粘度(Brookfield RVD II、Helipath spindle C、10rpm、25℃)=45,900cps。
【0247】
O/Wの配合例(水相中への組み込み)
【0248】
【表17】

【0249】
【表18】

【0250】
調製:
Aを80℃に加熱する。
【0251】
攪拌しながらBをAに加える。
【0252】
Cを80℃に温める。
【0253】
中間的W/Oエマルジョンを調製する:
高せん断速度で約2分間攪拌(Ultra Turrax)しながらCをA/Bに加える。
【0254】
冷たい相Dを非常にゆっくり相転換が起こるまで滴下し、冷たいままで少なくとも2時間攪拌する。
【0255】
Eを加え、さらに1時間攪拌する。
【0256】
ホモジナイズする。
【0257】
注:
pH(25℃)=6.0
粘度(Brockfield RVD II、Helipath spindle B、50rpm、25℃)=1.120cps。
【0258】
W/Oの配合例(油相中への組み込み)
【0259】
【表19】

【0260】
【表20】

【0261】
調製:
相Aを80℃に加熱し、攪拌しながら相Bを導入し、3分間ホモジナイズする(Zauberstab 設定1)。
【0262】
相Cを80℃に加熱し、相A/B中にホジナイズする(1分間Zauberstabの設定を1にし、次に30秒間設定2にする)。
【0263】
攪拌しながら40℃に冷却し、相Dを加え、再度ホモジナイズする(MFRスターラー1200rpm、1分間)。
【0264】
注:
粘度(Brookfield RVT−DV II、Hellipath C、10rpm、24℃)=11,700mPas。
【0265】
O/Wの配合例(油相中への組み込み)
【0266】
【表21】

【0267】
【表22】

【0268】
調製:
Eeusolex(登録商標)232を中和するために、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを相Bの水中に溶解し、次に攪拌しながらEusolex(登録商標)232を加える。相Bの残りの成分を均一に混合し、80℃に加熱する。相Aを75℃に加熱する。相Bを相Aに穏やかに攪拌しながらゆっくり加え、ホモジナイズする。攪拌しながら40℃まで冷却し、相Cを加え、pHを7に調節する。
【0269】
注:
pH(25℃)=6.9
粘度(Brockfield RVT−DV II、Hellipath C、10rpm、25℃)=55,000cps。
【0270】
W/Oの配合例(水相中への組み込み)
【0271】
【表23】

【0272】
【表24】

【0273】
調製:
相Aと相Bは、別々に合わせて80℃に加熱する。相Bを相Aに勢いよく攪拌しながらゆっくり加え、ホモジナイズする。攪拌しながら40℃に冷却し、相Cを加える。Eusolex(登録商標)T−Sを均質に分散させた後、相Dを加え、攪拌しながら冷却する。
【0274】
注:
粘度5,000mPa(Brookfield LV、spindle 4、12rpm)。
【0275】
【表25】

【0276】
【表26】

【0277】
調製:
Carbopolを除いて相Aを合わせる。必要ならば、約50℃に温める。Carbopolを組み入れ、攪拌しながらあらかじめ溶解させた相Bを入れて乳化させる。ホモジナイズする。相Cを加えた後、もう一度ごく短時間ホモジナイズし、相Dを加える。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
UVフィルターを含む分散液を噴霧乾燥または凍結乾燥することにより得ることが可能な粉末形態のUVフィルター。
【請求項2】
前記分散液が水性であることを特徴とする、請求項1に記載の粉末形態のUVフィルター。
【請求項3】
カプセル化および/または非カプセル化有機UVフィルターであることを特徴とする、請求項1または2に記載の粉末形態のUVフィルター。
【請求項4】
カプセル化有機UVフィルターであることを特徴とする、請求項1に記載の粉末形態のUVフィルター。
【請求項5】
カプセルの壁部が無機質であることを特徴とする、請求項4に記載の粉末形態のUVフィルター。
【請求項6】
前記カプセルの壁部がシリカゲルまたは二酸化ケイ素から作製されていることを特徴とする、請求項5に記載の粉末形態のUVフィルター。
【請求項7】
カプセルが、さらなる物質を含むことを特徴とする、請求項4に記載のUVフィルター。
【請求項8】
前記物質が、光安定剤、化粧油および/または酸化防止剤であることを特徴とする、請求項7に記載のUVフィルター。
【請求項9】
前記粉末を追加的に後処理することを特徴とする、請求項1から8の一項に記載の粉末形態のUVフィルター。
【請求項10】
UVフィルターの分散液を噴霧乾燥または凍結乾燥することを特徴とする、請求項1に記載の粉末形態のUVフィルターの調製方法。
【請求項11】
前記UVフィルターがカプセル化および/または非カプセル化有機UVフィルターであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記UVフィルターがカプセル化有機UVフィルターであることを特徴とする、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記UVフィルターが微粒子形態であることを特徴とする、請求項10から12の一項に記載の方法。
【請求項14】
微粒子形態である前記UVフィルターの大きさが、10nm〜100μmであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法の前または前記方法の間に添加剤を導入することを特徴とする、請求項10から14の一項に記載の方法。
【請求項16】
粉末形態の前記UVフィルターを後処理することを特徴とする、請求項10から15の一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1に記載の粉末形態のUVフィルターを含む、光保護性を有する組成物。
【請求項18】
局所的に適用することができる組成物であることを特徴とする、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
装飾化粧品のための組成物であることを特徴とする、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
少なくとも1種の有機および/または無機UVフィルターを追加的に含むことを特徴とする、前記請求項の少なくとも一項に記載の光保護性を有する組成物。
【請求項21】
少なくとも1種のセルフタンニング剤を含むことを特徴とする、前記請求項の少なくとも一項に記載の光保護性を有する組成物。
【請求項22】
少なくとも1種の光安定剤を含むことを特徴とする、前記請求項の少なくとも一項に記載の光保護性を有する組成物。
【請求項23】
前記光安定剤が、式V
【化1】

(式中、
1は−C(O)CH3、−CO23、−C(O)NH2および−C(O)N(R42から選択され、
XはOまたはNHであり、
2は直鎖または分岐C130−アルキル基を表し、
3は直鎖または分岐C120−アルキル基を表し、
すべてのR4は、互いに独立に、Hまたは直鎖もしくは分岐C18−アルキル基を表し、
5はH、直鎖もしくは分岐C18−アルキル基または直鎖もしくは分岐−O−C18−アルキル基を表し、また
6はC18−アルキル基を表す。)
に一致する化合物から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
3−(4’−メチルベンジリデン)−dl−カンファー、メトキシケイ皮酸オクチル、サリチル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、ならびにそのカリウム、ナトリウムおよびトリエタノールアミン塩からなる群から選択される1種または複数のさらなるUVフィルターを含むことを特徴とする、前記請求項の少なくとも一項に記載の光保護性を有する組成物。
【請求項25】
好ましくは1種または複数の酸化防止剤を含むことを特徴とする、酸化性ストレスから体細胞を保護するのに適した、前記請求項の少なくとも一項に記載の光保護性を有する組成物。
【請求項26】
乳化剤を含まないエマルジョンであることを特徴とする、前記請求項の少なくとも一項に記載の光保護性を有する組成物。
【請求項27】
請求項1に記載のUVフィルターを、化粧品的にまたは皮膚科学的に適切な担体および場合によってさらなる成分と混合していることを特徴とする、組成物の調製方法。

【公表番号】特表2007−526263(P2007−526263A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501143(P2007−501143)
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001244
【国際公開番号】WO2005/084631
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】