説明

粉末状の材料を製造しかつ/または状態調節するための方法および装置

本発明は、粉末状の材料を製造しかつ/または状態調節するための方法および装置に関する。本発明の課題は、不活性粒子を備えた噴流層で粉末状の材料を製造しかつ/または状態調節するための方法および所属の装置を改良して、1回の連続的な装置通過で、極めて小さな粒子直径を備えた乾燥した微細な粉末が、廉価にかつ相応に大きな量で生成されるようにすることである。本発明による方法は、不活性粒子を備えた噴流層での材料の多段階の処理によって特徴付けられている。この場合、第1の噴流層で前処理された、組み込まれた粉塵分離装置でより粗い材料粒子から分離された粉末状の材料が、第1の噴流層から流出する材料ガス流れとしてのガス流れによって、第1の噴流層の上方に位置する、更なる粉砕および状態調節のための第2の噴流層に供給される。第2の段に組み込まれた粉塵分離装置でのより粗い材料粒子からの微粒子の分離後、この微粒子が、極めて小さな粒子直径を備えた粉末状の材料としてガス流れによって二段階の噴流層処理装置から搬出される。分離されたより粗い材料粒子は、再び第2の噴流チャンバの噴流層に供給される。本発明による装置は噴流層装置から成っている。この噴流層装置内には、組み込まれた粉塵分離装置を備えた第1の噴流チャンバと、組み込まれた別の粉塵分離装置を備えた、第1の噴流チャンバの上方に位置する第2の噴流チャンバとが配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、獲得したい粒子サイズを、噴流層内で互いに運動し合う材料粒子と、不活性層粒子との摩耗によって生成し、最終生成物を分離器で分離して、不活性層粒子を備えた噴流層で粉末状の材料を製造しかつ/または状態調節するための方法に関する。
【0002】
さらに、本発明は、噴流層装置によって粉末状の材料を製造しかつ/または状態調節するための装置であって、噴流層装置が、噴流チャンバから成っており、該噴流チャンバが、下方から供給されるガス流れの流れ方向で外方に傾けられた側壁を有しており、噴流層装置の上側の領域が、分離室として形成されている形式のものに関する。
【0003】
ガス流を、流動化された材料層の維持のために供給して、粉末状の材料を、流動化された材料層で製造することが知られている。この場合、造粒された材料または粉末状の材料を製造することができる流動化された材料層を運転するための以下の基本的な方法が知られている。
【0004】
1.噴霧乾燥器
たとえばドイツ民主共和国特許出願公開第285724号明細書に基づき公知であるような噴霧乾燥器では、材料負荷された高温のガス流内に、固体含有の液体が噴霧される。ガス流内での乾燥によって、中空球形状またはその数分の一を有する材料粒子が形成される。この形成された材料粒子は比較的大きな粒度を有していて、たいてい好ましくない再分散特性を有している。公知先行技術による噴霧乾燥器は、取り囲まれたスペースに課せられる大きな要求と、大きなエネルギ要求とを伴った極めて大きなひいては高価な装置である。公知の噴霧乾燥器は、極めて小さな固体粒子を製造するために適していない。噴霧乾燥器内での、製造された粒子の付加的な熱処理が不可能となる。
【0005】
2.不活性層を備えた流動層装置
たとえば米国特許第6187238号明細書に基づき公知であるような、不活性層を備えた流動層装置は、ガス透過性の流動層底部を有している。下方から供給されたガスによって、流動層底部の上方に、流動化された材料層が形成される。この材料層には、相応の不活性体も存在している。しかし、公知の流動層装置によっても、約100μm未満の極めて微細な粒子を製造することができない。なぜならば、不活性粒子に作用する衝撃が、流動層の存在範囲での不活性粒子の主に鉛直方向の昇降運動によってしか規定されていない、すなわち、流動点と搬出点との間でしか規定されておらず、これによって、蒸発可能な/揮発可能な液体から微細な固体粒子を製造するための要求に対して不十分となるからである。不活性体表面での、内部にもたらされた液体に含有された固体の乾燥のほかに、所定の流動層段では、更なる熱処理が不可能となる。
【0006】
3.流動層を備えた噴霧塔
たとえばドイツ民主共和国特許出願公開第272576号明細書に基づき、噴霧塔も公知である。この公知の噴霧塔はその下側の端部で流動層によって運転される。この場合、この流動層は不活性体を備えて運転することができるかまたは不活性体なしに運転することができる。ここでは、熱的なまたは機械的な後処理に起因して、相応の摩耗によって、噴霧塔から落下させられる粒子が可能となる。この場合、熱的な後処理時に種々異なるガス流の混合が生ぜしめられることが不利である。この組合せでも、微細な粒子の製造が、上述した原因から制限されている。
【0007】
4.噴流層装置
不活性層・噴流層段では、不活性粒子に加えられ得る衝撃が、同じ不活性体を備えた流動層よりも著しく大きい。なぜならば、噴流領域で粒子速度が粒子の搬出速度よりも著しく大きく(たとえば10倍大きい)、にもかかわらず、噴流装置典型的な構成のため、粒子が搬出されないからである。(ドイツ民主共和国特許出願公開第225630号明細書、ドイツ民主共和国特許出願公開第224233号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公告第10303836号明細書)に基づき、粉末状の材料を製造するための噴流層装置が公知である。この場合、鉛直方向に回転する噴流層を発生させるために、噴流層装置に下方からガス流が高い速度で供給される。固体含有の液体は、たとえば一成分ノズル、二成分ノズルまたは多成分ノズルによって下方、上方または側方から噴流チャンバ内に噴射され、これによって、液体が可能な限り常に不活性粒子表面を湿潤する、すなわち、オーバフローが存在しない。固体含有の液体、たとえばスラリは、適切な圧送装置、たとえばウォームおよび/またはスラリ分配器、たとえば回転するホイールによって、運動させられる不活性層に装入されてもよい。不活性粒子として、適切な粒度、形状、表面性状および密度の、噴流層内に位置する噴流球、セラミックス球またはテフロン粒子が使用される。高温のガス流によって、液体が蒸発させられ、これによって、1つには、乾燥した材料粒子と、不活性粒子で接触乾燥させられた材料とが形成される。材料粒子と、接触乾燥させられた固体とは、噴流円筒形状で運動させられる不活性粒子によって摩耗され、粉塵の形状(たとえば<50μm)で噴流チャンバから搬出される。粉塵は、通常、生成物として、同じタイプまたは種々異なるタイプ(サイクロン、フィルタ)の、外部に位置する個々のまたは多重に直列接続された種々異なる固体分離器で分離される。噴流層装置の後方での粉塵分離器の多重直列接続によって、ますます小さな粒子寸法の粉塵状の生成物を、1つの不活性層・噴流層段の性能に相応して得ることができる。所望の小さな粒度が、著しく僅かな量でしか生ぜしめられないことが不利である。さらに、粉塵分離器の直列接続がエネルギ消費的ひいては高価である。
【0008】
本発明の課題は、不活性粒子を備えた噴流層で粉末状の材料を製造しかつ/または状態調節するための方法および所属の装置を改良して、1回の連続的な装置通過で、極めて小さな粒子直径を備えた乾燥した微細な粉末が、廉価にかつ相応に大きな量で生成され、かつ/または状態調節されるようにすることである。
【0009】
この課題を解決するために本発明の方法では、材料の二段階のまたは多段階の処理時に、第1の噴流層で前処理された、組み込まれた粉塵分離装置でより粗い材料粒子から分離された粉末状の材料を、第1の噴流層から流出する材料ガス流れとしてのガス流れによって、第1の噴流層の上方に位置する、更なる粉砕および状態調節のための第2の噴流層に供給し、より粗い材料粒子からの、組み込まれた粉塵分離装置での分離後、より粗い材料粒子を再び第2の噴流チャンバの噴流層に供給する間、ガス流れによって、極めて小さな粒径を備えた粉末状の材料として、二段階の噴流層処理装置から搬出するようにした。
【0010】
本発明の方法の有利な実施態様によれば、噴流チャンバにガス流れまたは材料ガス流れをかつ噴流チャンバに材料ガス流れをほぼ中心で供給し、噴流層装置の外側の側壁の方向に変向させ、これによって、噴流チャンバの軸方向に位置する、外側の側壁で上方に向けられた円筒状の流れを生ぜしめる。
【0011】
本発明の方法の有利な実施態様によれば、粉塵分離装置で分離されたより粗い材料粒子を再び第1の噴流チャンバの噴流層に供給する。
【0012】
本発明の方法の有利な実施態様によれば、噴流チャンバおよび/または噴流チャンバにノズルを介して液体または固体含有の液体、たとえば懸濁液、溶液、融液またはスラリを供給する。
【0013】
本発明の方法の有利な実施態様によれば、噴流チャンバの噴流層を材料の熱処理のために間接的にかつ調整可能に、たとえば高周波電流によって加熱する。
【0014】
本発明の方法の有利な実施態様によれば、噴流チャンバおよび/または噴流チャンバに供給される液体が、該液体に溶解された塩を含有している。
【0015】
本発明の方法の有利な実施態様によれば、噴流チャンバの噴流層(4)内に位置する不活性層粒子および/または不活性層粒子の被覆層が、高周波電流で加熱可能な材料から成っている。
【0016】
本発明の方法の有利な実施態様によれば、二段階の噴流層処理装置から搬出された乾燥した粉末状の材料を、所望の目的サイズを備えた最終生成物を分離するための最終分離器に供給する。
【0017】
さらに、前述した課題を解決するために本発明の装置では、組み込まれた粉塵分離装置を備えた第1の噴流チャンバに、該第1の噴流チャンバの上方に位置する、組み込まれた粉塵分離装置を備えた第2の噴流チャンバが配置されており、両噴流チャンバが、一緒に噴流層装置を形成しているようにした。
【0018】
本発明の装置の有利な構成によれば、噴流チャンバが、下側の領域に、ほぼ中心に配置された開口を有しており、該開口が、側壁の方向に向けられた通路に両側で開口している。
【0019】
本発明の装置の有利な構成によれば、噴流チャンバの上方に配置された粉塵分離装置が、たとえばジグザグ型シータであるかまたは横断面拡大によって形成されるようになっている。
【0020】
本発明の装置の有利な構成によれば、噴流チャンバの開口の上方に、楔状に形成された組込み部材が配置されており、該組込み部材の下側の壁が、通路のそれぞれ1つの側壁を形成している。
【0021】
本発明の装置の有利な構成によれば、噴流層装置が、両側で対称的な方形の横断面を有している。
【0022】
本発明の装置の有利な構成によれば、中空に形成された組込み部材内に、材料の熱処理のための調整可能な加熱装置、たとえば高周波加熱素子が配置されている。
【0023】
本発明の装置の有利な構成によれば、楔状の組込み部材の側壁が、真っ直ぐな輪郭または内方に湾曲させられた輪郭を有しており、組込み部材の側壁と底面との間の角度(A)が、約45°〜60°の間にある。
【0024】
本発明の装置の有利な構成によれば、噴流チャンバおよび/または噴流チャンバに、液体または固体含有の液体、たとえば懸濁液、溶液、融液またはスラリに対するノズルが配置されている。
【0025】
本発明の装置の有利な構成によれば、粉塵分離装置が、粉塵分離装置よりも高い分離度を有している。
【0026】
本発明の装置の有利な構成によれば、噴流層装置に分離器が後置されている。
【0027】
本発明による方法は、不活性粒子を備えた噴流層での材料の少なくとも二段階の処理によって特徴付けられている。この場合、第1の噴流層に基づき前処理された、組み込まれた粉塵分離装置でより粗い材料粒子から分離された粉末状の材料が、第1の噴流層から流出する材料ガス流れとしてのガス流れによって、第1の噴流層の上方に位置する、更なる粉砕および状態調節のための第2の噴流層に供給される。第2の段に組み込まれた粉塵分離装置でのより粗い材料粒子からの微粒子の分離後、この微粒子が、極めて小さな粒子直径を備えた粉末状の材料としてガス流れによって二段階のまたは多段階の噴流層処理装置から搬出される。分離されたより粗い材料粒子は、再び第2の噴流チャンバの噴流層に供給される。
【0028】
本発明による装置は噴流層装置から成っている。この噴流層装置内には、組み込まれた粉塵分離装置を備えた第1の噴流チャンバと、組み込まれた別の粉塵分離装置を備えた、第1の噴流チャンバの上方に位置する第2の噴流チャンバとが配置されている。
【0029】
液体または固体含有の液体の加熱装置および/または冷却装置および/または供給装置のアッセンブリによって、製造したい材料を付加的に規定して熱処理することができると共に状態調節、たとえば重合、固化または被覆することができる。
【0030】
本発明による方法および装置の利点は、1回の連続的な装置通過で、極めて小さな粒子直径を備えた一貫した微細な粉塵状の生成物が効果的に製造されることにある。さらに、製造したい材料を、必要な場合に、噴流層で穏やかに熱処理(状態調節)することができ、したがって、既知の生成物形態学の特性だけでなく、新規の生成物形態学の特性も備えた粉末が得られる。
【0031】
更なる利点は、極めて小さな粒子直径を備えた粉末状の材料の製造がただ1つの装置で実施され、これによって、もはや付加的な外部の熱伝達器、ミルまたはスクリーンが不要となることにある。噴流層の初期圧力損失を克服し、その後、運転状態において、知られているような著しく僅かな層圧力損失で引き続き作業することができるようにするために、吐出し運転または吸込み運転(または組合せ)における市販の高性能のただ1つのブロワしか必要とならない。
【0032】
更なる有利な実施態様および構成は従属請求項に記載してある。これらの実施態様および構成はその作用と一緒に明細書に説明してある。
【0033】
以下に、本発明を1つの実施例につき詳しく説明する。
【0034】
図1には、本発明による噴流層装置1が示してある。この噴流層装置1は、有利には、両側で対称的な方形の横断面を有している。しかし、噴流層装置1を円形の横断面を備えて形成することも可能である。噴流層装置1は、組み込まれた粉塵分離装置7を備えた第1の噴流チャンバ6と、この第1の噴流チャンバ6の上方に位置する、組み込まれた粉塵分離装置9を備えた第2の噴流チャンバ8とから成っている。噴流チャンバ6および/または噴流チャンバ8には、液体または固体含有の液体、たとえば懸濁液、溶液、融液またはスラリに対するノズル10が配置されている。噴流層装置1には、一貫した目的サイズ生成物を最終分離するための分離器(図示せず)が後置されている。
【0035】
噴流チャンバ6;8の上方に配置された粉塵分離装置7;9は、たとえばジグザグ型シフタである。この粉塵分離装置7,9は、噴流層装置1の外壁の横断面拡大によって形成されてもよい。粉塵分離装置9は、粉塵分離装置7よりも高い分離度を有しており、これによって、所望の粒子サイズを備えた材料しか粉塵分離装置9を介して噴流層装置1から搬出されない。
【0036】
噴流チャンバ6,8は、下側の領域に、ほぼ中心に配置された開口2を有している。この開口2は、側壁3の方向に向けられた通路16に両側で開口している。この場合、側壁3は鉛直方向に対して外向きに傾けられていて、真っ直ぐであるかまたは内側の湾曲を備えている。噴流チャンバ6,8の開口2の上方には、楔状に形成された組込み部材5が配置されている。この場合、この組込み部材5の下側の壁は、通路16のそれぞれ1つの側壁を形成している。噴流チャンバ6,8内に位置する組込み部材5は中空に形成されている。この場合、中空に形成された組込み部材5内には、材料を熱処理するための調整可能な加熱装置11、たとえば高周波加熱素子が配置されている。楔状の組込み部材5の側壁は、真っ直ぐな輪郭または内方に湾曲させられた輪郭を有している。この場合、組込み部材5の側壁と底面との間の角度Aは、約45゜〜60°の間にある。
【0037】
図2には、組込み部材5の相応の構成が示してある。
【0038】
図3aおよび図3cでは、組込み部材5の外壁が真っ直ぐに形成されている。この場合、図3cに示した外壁は、図3aに示した外壁よりも高く引き上げられている。図3bには、内方に湾曲させられた輪郭を備えた外壁が示してある。図3dでは、湾曲させられた外壁がより高く引き上げられている。図3eでは、湾曲させられた外壁がそれほど高く引き上げられておらず、傾けられた外壁が後案内されている。
【0039】
本発明による方法に相応して、噴流チャンバ6にガス流れまたは材料ガス流れ12がかつ噴流チャンバ8に材料ガス流れ15がほぼ中心で供給され、噴流層装置1の外側の側壁3の方向に変向させられ、これによって、噴流チャンバ6,8の軸方向に位置する、外側の側壁3で上方に向けられた円筒状の流れ13が生ぜしめられる。この噴流案内時には、傾けられた外側の側壁3に沿って円筒状に上方に運動させられる不活性層の摩耗作用が、外方から内方への噴流案内時よりも著しく大きいことが分かった。噴流チャンバ6,8内には、ガス流れによって噴流層4が形成される。この噴流層4は、材料粒子と、不活性体と、この不活性体に付着する湿った材料粒子と、乾いた材料粒子とから成っている。上方に向けられた流れ13によって、材料粒子と不活性体とが、傾けられた外側の側壁3に沿って迅速に高く投げ飛ばされ、組込み部材5の、傾けられた内側の側壁に沿って、矢印方向14に相応して再びガス供給部に戻し案内され、再び投げ上げられ、これによって、不活性粒子流れの円筒形状が形成される。円筒の上方には、場合により、迅速に往復運動させられる粒子層が生ぜしめられ得る。この粒子循環は極めて迅速にかつ安定的に行われる。
【0040】
噴流チャンバ6内のかつ/または噴流チャンバ8内の噴流層4に、ノズル10を介して液体または固体含有の液体、たとえば懸濁液、溶液、融液またはスラリが供給され得る。
【0041】
噴流チャンバ6の上方では、粉塵分離装置7によって材料分離が行われ、これによって、噴流チャンバ6の第1の噴流層4からの著しく過度に大きな粉塵粒子の搬出が阻止され、この粉塵粒子が再び下方に第1の噴流層4に戻し案内される。粉塵分離器7は、所望の寸法の粉塵粒子だけでなく、まだ幾分大きな寸法を備えた粉塵粒子も通過させることができるものの、もはや著しく過度に大きな粒子を通過させることができないように寸法設定されている。著しく過度に大きな粉塵粒子は、再び噴流チャンバ6の第1の噴流層4に逆戻りし、そこで引き続き粉砕され、再び上方に搬出される。
【0042】
粉塵分離器7を通過した材料粒子は、材料ガス流れ15としてのガス流によって、上方に位置する噴流チャンバ8に供給される。この噴流チャンバ8にも、同じく噴流層4が形成される。しかし、この噴流層4は、変化させられた条件に適合されている。噴流層4は不活性体を備えている。この不活性体は、たとえば粗い表面を備えたより小さなかつ/またはより軽量の不活性粒子を類似の層質量で有している。噴流チャンバ8の円筒状の噴流層4で、まだ過度に大きな粒子が引き続き微粉砕され、その後、すでに目的サイズを有する粉塵粒子と一緒に、噴流チャンバ8の上方に配置された粉塵分離装置9を通過する。この粉塵分離装置9は、もはや目的サイズ粒子の通過に対してしか設計されていない。相変わらず過度に大きな粉塵粒子は、粉塵分離装置9から噴流チャンバ8に逆戻りし、再びより小さく擦り砕かれる。
【0043】
噴流チャンバ6,8内の、場合により材料の熱処理のための、装置内部の正確な温度調整は、本発明によれば、主として、30kHz〜300MHzの周波数範囲を備えた慣用の高周波ヒータ11によって無段式に行われる。加熱装置11は組込み部材5内に配置されている。この組込み部材5の外側の側壁では、材料と不活性体とが密な状態で下方に僅かな速度で滑動させられ、これによって、ここでは、1つには、組込み部材5の、誘導加熱された金属薄板表面から、誘電加熱される含湿被覆された不活性粒子への熱伝導、特に誘導的に高周波ヒータ11から直接、含湿被覆された不活性粒子への熱伝導による良好な熱移行に対する特に有利な条件が付与されている。
【0044】
高周波加熱手段11の使用に対する特に有利な前提条件は、加熱を電界でのイオン伝導によって生ぜしめることができるように、不活性体表面に設けられた含湿生成物(湿った粉塵、ノズル供給された液体または添加されたスラリ)が十分な抵抗伝導性を有している場合に付与されている。たとえば含水の固体に、溶解された塩が含有されている場合には、導電性が十分に高くなる。このような固体自体における導電性は湿分含有量に依存しているので、湿った領域が、すでに乾いた領域よりも集中的に加熱される。このことは、生ぜしめられる問題の解決に極端に応じている。すなわち、不活性体が、高周波伝送のために適した材料から成っていて、多かれ少なかれ湿った摩耗し得る固体粒子で被覆されている場合に、高周波ヒータ11が、穏やかに温度上昇するかまたは安定化して、組込み部材5の、場合により含湿被覆された側面だけでなく、特に集中的に運動させられる完全混合された噴流層にも作用する。こうして、被覆された不活性体または被覆されていない不活性体ひいては処理したい生成物への迅速で効果的なかつ正確な熱伝達が保証される。
【0045】
低い温度範囲内での温度調整のためには、高周波ヒータの代わりに、第2の噴流層段8以後、中空に形成された組込み部材5を通して冷却ガスまたは冷却液が直接案内されてよい。
【0046】
さらに、同じ目的のためには、第2の噴流層段8に冷却ガスがガス供給部17を通して添加されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による噴流層装置の断面図である。
【図2】噴流層装置の個別部分の断面図である。
【図3】噴流層装置に設けられた組込み部材の構成の断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 噴流層装置、 2 開口、 3 側壁、 4 噴流層、 5 組込み部材、 6 噴流チャンバ、 7 粉塵分離装置、 8 噴流チャンバ、 9 粉塵分離装置、 10 ノズル、 11 加熱装置、 12 材料ガス流れ、 13 流れ、 14 矢印方向、 15 材料ガス流れ、 16 通路、 17 ガス供給部、 A 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
獲得したい粒子サイズを、噴流層内で互いに運動し合う材料粒子と、不活性層粒子との摩耗によって生成し、最終生成物を分離器で分離して、不活性層粒子を備えた噴流層で粉末状の材料を製造しかつ/または状態調節するための方法において、材料の二段階のまたは多段階の処理時に、第1の噴流層(4)で前処理された、組み込まれた粉塵分離装置(7)でより粗い材料粒子から分離された粉末状の材料を、第1の噴流層(4)から流出する材料ガス流れ(15)としてのガス流れによって、第1の噴流層(4)の上方に位置する、更なる粉砕および状態調節のための第2の噴流層(4)に供給し、より粗い材料粒子からの、組み込まれた粉塵分離装置(9)での分離後、より粗い材料粒子を再び第2の噴流チャンバ(8)の噴流層(4)に供給する間、ガス流れによって、極めて小さな粒径を備えた粉末状の材料として、二段階の噴流層処理装置から搬出することを特徴とする、不活性層粒子を備えた噴流層内で粉末状の材料を製造しかつ/または状態調節するための方法。
【請求項2】
噴流チャンバ(6)にガス流れまたは材料ガス流れ(12)をかつ噴流チャンバ(8)に材料ガス流れ(15)をほぼ中心で供給し、噴流層装置(1)の外側の側壁(3)の方向に変向させ、これによって、噴流チャンバ(6,8)の軸方向に位置する、外側の側壁(3)で上方に向けられた円筒状の流れ(13)を生ぜしめる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
粉塵分離装置(7)で分離されたより粗い材料粒子を再び第1の噴流チャンバ(6)の噴流層(4)に供給する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
噴流チャンバ(6)および/または噴流チャンバ(8)にノズル(10)を介して液体または固体含有の液体、たとえば懸濁液、溶液、融液またはスラリを供給する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
噴流チャンバ(6,8)の噴流層(4)を材料の熱処理のために間接的にかつ調整可能に、たとえば高周波電流によって加熱する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
噴流チャンバ(6)および/または噴流チャンバ(8)に供給される液体が、該液体に溶解された塩を含有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
噴流チャンバ(6,8)の噴流層(4)内に位置する不活性層粒子および/または不活性層粒子の被覆層が、高周波電流で加熱可能な材料から成っている、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
二段階の噴流層処理装置から搬出された乾燥した粉末状の材料を、所望の目的サイズを備えた最終生成物を分離するための最終分離器に供給する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
噴流層装置によって粉末状の材料を製造しかつ/または状態調節するための装置であって、噴流層装置が、噴流チャンバから成っており、該噴流チャンバが、下方から供給されるガス流れの流れ方向で外方に傾けられた側壁を有しており、噴流層装置の上側の領域が、分離室として形成されている形式のものにおいて、組み込まれた粉塵分離装置(7)を備えた第1の噴流チャンバ(6)に、該第1の噴流チャンバ(6)の上方に位置する、組み込まれた粉塵分離装置(9)を備えた第2の噴流チャンバ(8)が配置されており、両噴流チャンバ(6,8)が、一緒に噴流層装置(1)を形成していることを特徴とする、噴流層装置によって粉末状の材料を製造しかつ/または状態調節するための装置。
【請求項10】
噴流チャンバ(6,8)が、下側の領域に、ほぼ中心に配置された開口(2)を有しており、該開口(2)が、側壁(3)の方向に向けられた通路(16)に両側で開口している、請求項9記載の装置。
【請求項11】
噴流チャンバ(6;8)の上方に配置された粉塵分離装置(7;9)が、たとえばジグザグ型シータであるかまたは横断面拡大によって形成されるようになっている、請求項9または10記載の装置。
【請求項12】
噴流チャンバ(6,8)の開口(2)の上方に、楔状に形成された組込み部材(5)が配置されており、該組込み部材(5)の下側の壁が、通路(16)のそれぞれ1つの側壁を形成している、請求項9から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
噴流層装置(1)が、両側で対称的な方形の横断面を有している、請求項9から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
中空に形成された組込み部材(5)内に、材料の熱処理のための調整可能な加熱装置(11)、たとえば高周波加熱素子が配置されている、請求項9から13までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
楔状の組込み部材(5)の側壁が、真っ直ぐな輪郭または内方に湾曲させられた輪郭を有しており、組込み部材(5)の側壁と底面との間の角度(A)が、約45°〜60°の間にある、請求項9から14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
噴流チャンバ(6)および/または噴流チャンバ(8)に、液体または固体含有の液体、たとえば懸濁液、溶液、融液またはスラリに対するノズル(10)が配置されている、請求項9から15までのいずれか1項記載の装置。
【請求項17】
粉塵分離装置(9)が、粉塵分離装置(7)よりも高い分離度を有している、請求項9から16までのいずれか1項記載の装置。
【請求項18】
噴流層装置(1)に分離器が後置されている、請求項9から17までのいずれか1項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−510054(P2010−510054A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537490(P2009−537490)
【出願日】平成19年9月1日(2007.9.1)
【国際出願番号】PCT/EP2007/007647
【国際公開番号】WO2008/061579
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(505334835)グラット インジェニェーアテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (5)
【氏名又は名称原語表記】Glatt Ingenieurtechnik GmbH
【住所又は居所原語表記】Nordstrasse 12, D−99427 Weimar, Germany
【Fターム(参考)】