説明

粒子線治療施設、粒子線治療施設の粒子線経路の設定方法および装置、粒子線治療施設の信号接続手段

【課題】粒子線治療施設の安全な運転及び粒子線の照射場所へ粒子線を確実に供給を装置を提供する。
【解決手段】粒子を加速し少なくとも2つの照射場所へ粒子を供給するための加速器ユニット3及び粒子線供給ユニット5と、照射に必要なパラメータを設定及び制御する加速器制御ユニット31と、粒子線を要求する照射場所に至る加速器ユニット3及び粒子線供給ユニット5内の粒子線経路に沿った正しい粒子線案内を確保および監視するための割当ユニット35とを備えた粒子線治療施設1において、加速器ユニット3及び粒子線供給ユニット5は、粒子線経路の設定可能な少なくとも1つの要素を有し、この要素は、少なくとも1つの設定パラメータを伝達するために加速器制御ユニット31に接続され、直接的かつ固定的に割当てられた信号接続手段を介して少なくとも1つの活性化信号を受信するために割当ユニット35の信号出力部に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子を加速し少なくとも2つの照射場所へ粒子を供給するための加速器ユニットおよび粒子線供給ユニットと、加速器ユニットおよび粒子線供給ユニットの照射に必要なパラメータを設定および制御するための加速器制御ユニットと、粒子線を要求する照射場所に至る加速器ユニットおよび粒子線供給ユニットにおける粒子線経路に沿った正しい粒子線案内を確保および監視するための割当ユニットとを備えた粒子線治療施設、粒子線治療施設の粒子線経路の設定方法および装置、粒子線治療施設の信号接続手段に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子線治療施設は、一般に粒子加速器ユニット、これに続く粒子線供給ユニットならびに多数の照射場所を有する。例えば光子、中間子、ヘリウム、炭素イオンまたは酸素イオンの如き粒子の加速は例えばシンクロトロンまたはサイクロトロンにより行なわれる。加速された高エネルギー粒子は、粒子加速器ユニットから取出され、高エネルギービーム供給システム(HEBT=high energy beam transport system)とも呼ばれる粒子線供給ユニットに入射させられる。シンクロトロンの場合、粒子線取出し(粒子線分離)が、例えばKOエキサイタ(ノックアウトエキサイタ)を介して行なわれる。HEBTは、常に、ちょうど照射過程が行なわれるべき照射場所に高エネルギー粒子を供給することを可能にする。
【0003】
以下において治療場所とも呼ばれる照射場所では、例えば患者の腫瘍治療が行なわれ、このために患者は粒子線通路内に位置決めされ、高エネルギー粒子を照射される。粒子が固定の方向から治療場所へ当てられる「固定ビーム」の治療場所と、いわゆるガントリを基礎とした治療場所とが区別される。後者の場合には、粒子線を異なる方向からガントリの治療場所へ向けることができる。更に、粒子線の特性の監視が、以下において検査場所と呼ばれる照射場所において行なわれる。そこでは粒子エネルギー、エネルギーは配分、粒子線強度のような粒子線パラメータが特性測定にて監視される。
【0004】
粒子線治療は高い安全性を要求される。例えば、常に、照射過程の準備をさせられていてかつ粒子線を要求した照射場所に対してだけ粒子線が導かれることが保証されなければならない。更に、粒子線が正しい要求されたパラメータを有することが保証されなければならない。更に、緊急時には粒子線の高速遮断が必要である。このために、HEBTは、例えば粒子線の高速遮断を可能にする遮断装置を有する。一般的には、粒子線治療施設の制御および安全システムは、その都度、必要なパラメータにより特徴づけられた粒子線を相応の治療室内に導くことを保証する。
【0005】
必要なパラメータは、いわゆる治療計画において定められる。パラメータは、どのくらいの数の粒子をどの方向からどのくらいのエネルギーで患者に照射すべきかを指定する。粒子エネルギーは患者への粒子の侵入深さ、すなわち粒子線治療時における組織との最大相互作用が行なわれる位置を決定し、換言するならば、最大線量を与える位置を決定する。治療計画によって要求されたパラメータは、一般に、加速器制御ユニットによって、粒子加速器ユニットおよび粒子線供給ユニットのための、例えばマシンパラメータの形での設定パラメータに変換される。更に、どの照射場所に粒子線が導かれるべきかの情報が、粒子線供給ユニットのための設定パラメータに変換される。更に、照射場所の制御ユニットは、例えば、照射すべき患者または照射すべきファントムを粒子線に対して位置決めすることを可能にする位置決め装置を制御する。
【0006】
多数の固定ビーム治療場所およびガントリを有する粒子線治療施設は知られている(例えば、特許文献1参照)。さまざまの照射施設および照射技術が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
治療室の選択方法も知られており(例えば、特許文献2参照)、また粒子線治療施設のための安全システムも知られている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】欧州特許出願公開第0986070号明細書
【特許文献2】米国特許第5260581号明細書
【特許文献3】米国特許第5895926号明細書
【非特許文献1】H.Blattmann,“Beam delivery systems for charged particles”,Radiat.Environ.Biophys.(1992)31:219−231
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、粒子線治療施設の安全運転および特に粒子線を要求する照射場所への粒子線の確実な供給を保証するような、粒子線治療施設、粒子線治療施設の粒子線経路の設定方法および装置、粒子線治療施設の信号接続手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
粒子線治療施設に関する課題は、本発明によれば、粒子を加速し少なくとも2つの照射場所へ粒子を供給するための加速器ユニットおよび粒子線供給ユニットと、加速器ユニットおよび粒子線供給ユニットの照射に必要なパラメータを設定および制御するための加速器制御ユニットと、粒子線を要求する照射場所に至る加速器ユニットおよび粒子線供給ユニット内の粒子線経路に沿った正しい粒子線案内を確保および監視するための割当ユニットとを備えた粒子線治療施設において、加速器ユニットおよび粒子線供給ユニットは、粒子線経路を設定するために設定可能な少なくとも1つの要素を有し、この要素は、少なくとも1つの設定パラメータを伝達するために加速器制御ユニットに接続され、しかも直接的かつ固定的に割当てられた信号接続手段を介して少なくとも1つの活性化信号を受信するために割当ユニットの信号出力部に接続され、活性化信号は要素において設定パラメータの変換をひき起こさせることによって解決される。
【0010】
粒子線治療施設に関する本発明の実施態様は次の通り列記される。
信号接続手段は、直接的なハードウェア接続手段であり、特に個別の信号線である。
加速器ユニットおよび粒子線供給ユニットは複数の要素を有し、これらの要素は、個別にそれぞれ1つの固定的に割当てられた信号接続手段を介して直接的に、特にハードウェアコード化されて、割当ユニットのそれぞれ少なくとも1つの信号出力部に接続されている。
少なくとも1つの要素は、粒子線偏向磁石、特にシンクロトロンリングのノックアウトエキサイタである加速器の粒子線出射装置、または粒子線出射装置の後に配置された偏向磁石である。
少なくとも1つの設定パラメータは、磁場の値、電流値または出射周波数である。
要素は、少なくとも1つの伝達された設定パラメータを処理し、かつ少なくとも1つの活性化信号の存在に応じて該パラメータを変換する。
要素は、少なくとも1つの設定パラメータを記憶するためのメモリを有し、活性化信号の獲得後にメモリから設定パラメータが変換のために読出し可能である。
加速器制御ユニットおよび少なくとも1つの要素は、少なくとも1つの設定パラメータを伝達するために、第1のデータバスシステムに接続されている。
加速器制御ユニットと、少なくとも2つの照射場所のうちの1つの照射場所の少なくとも1つの制御ユニットとは、粒子線の照射に必要なパラメータおよび/または特に治療計画に基づいて決定されている加速器ユニットおよび粒子線供給ユニットの照射に必要なパラメータの交換のために、第1のデータバスシステムまたは第2のデータバスシステムに接続されている。
少なくとも2つの照射場所のうちの少なくとも1つの照射場所は、患者が粒子を照射される治療場所である
少なくとも2つの照射場所のうちの少なくとも1つの照射場所は、粒子照射を特徴づけるパラメータを検査する検査場所である。
割当ユニットが安全指向のメモリプログラム可能な制御ユニットとして構成されている。
【0011】
粒子線治療施設の粒子線経路の設定方法に関する課題は、本発明によれば、粒子線治療施設の加速器ユニットおよび粒子線供給ユニット内の粒子線経路が少なくとも1つの要素により設定可能であり、粒子線経路の正しい設定が割当ユニットにより保証される、粒子線治療施設の少なくとも2つの照射場所のうちの1つの照射場所に至る粒子線経路の設定方法において、少なくとも1つの要素に少なくとも1つの設定パラメータが送信され、割当ユニットから少なくとも1つの活性化信号が、直接的かつ固定的に割当てられた信号接続手段を介して少なくとも1つの要素に送信され、活性化信号の送信後に要素において少なくとも1つの設定パラメータが変換されることによって解決される。
【0012】
粒子線治療施設の粒子線経路の設定方法に関する本発明の実施態様は次のように列記される。
粒子線経路の設定前に、設定すべき粒子線経路を決定するために、要求信号が少なくとも2つの照射場所のうちの1つの照射場所から、特に直接的かつ固定的に割当てられた信号接続手段を介して、割当ユニットに送信され、粒子線の使用可能性が検査され、粒子線が使用可能である場合に、粒子線を要求する照射場所に粒子線が割当てられる。
割当後に、照射に必要なパラメータ、特に要求された粒子線のパラメータおよび粒子線経路のパラメータが、粒子線を要求する照射場所の制御ユニットから、加速器ユニットおよび粒子線供給ユニットの照射に必要なパラメータを設定および制御するための加速器制御ユニットに伝達され、引続いて加速器制御ユニットから少なくとも1つの要素に少なくとも1つの設定パラメータが送信される。
割当後に、確認信号が、粒子線を要求する照射場所に、直接的かつ固定的に割当てられた信号接続手段を介してまたは制御ユニットと割当ユニットとが接続されているデータバスを介して送信される。
確認信号が確認領された後に活性化信号が送信される。
要求信号を送信しなかった照射場所に確認信号が送信されたことに基づいて、粒子加速および/または粒子の更なる案内が、特に割当ユニットおよび/または制御ユニットによって中断される。
【0013】
粒子線治療施設の信号接続手段に関する課題は、本発明によれば、粒子線治療施設における粒子線経路を設定するために設定可能な要素と粒子線治療施設の割当ユニットとの間で、直接的かつ固定的に割当てられた信号接続手段が、活性化信号を伝達するために用いられる。
【0014】
粒子線治療施設の粒子線経路の設定装置に関する課題は、本発明によれば、粒子線治療施設の加速器ユニットおよび粒子線供給ユニット内の粒子線経路が少なくとも1つの要素により設定可能であり、粒子線経路の正しい設定が、正しい粒子線案内を確保および監視するための割当ユニットにより保証される、粒子線治療施設の少なくとも2つの照射場所のうちの1つの照射場所に至る粒子線経路の設定装置において、少なくとも1つの要素に少なくとも1つの設定パラメータを送信する手段と、割当ユニットから活性化信号を、直接的かつ固定的に割当てられた信号接続手段を介して少なくとも1つの要素に送信する手段と、活性化信号の送信後に少なくとも1つの要素において少なくとも1つの設定パラメータを変換する手段とが設けられていることによって解決される。
【0015】
粒子線治療施設の粒子線経路の設定装置に関する本発明の実施態様は次の通りに列記される。
要求信号を受信する手段と、粒子線の使用可能性を検査する手段と、粒子線を要求する照射場所に粒子線を割当てる手段とが存在する。
照射に必要なパラメータ、特に要求された粒子線のパラメータおよび粒子線経路のパラメータを、粒子線を要求する照射場所の制御ユニットから、加速器ユニットおよび粒子線供給ユニットの照射に必要なパラメータを設定および制御するための加速器制御ユニットに伝達する手段が存在する。
確認信号を照射場所へ送信する手段が存在し、確認信号は、特に直接的かつ固定的に割当てられた他の信号接続手段を介してまたは制御ユニットと割当ユニットとが接続されているデータバスを介して送信可能である。
特に割当ユニットおよび/または制御ユニットにより制御されて粒子加速および/または粒子の更なる案内を中断する手段が存在する。
【0016】
直接的かつ固定的に割当てられた信号接続手段は、例えば直接的なハードウェア接続手段、特に個別の信号線、好ましくは安全指向の信号線である。これには一緒に締め付けた多数のケーブル部分も含まれ、この場合に唯一の通しで敷設されたケーブルが好ましい。
【0017】
直接的かつ固定的に割当てられた信号線は、1つの信号出力部への1つの要素の一義的な割当てが存在するという利点を有する。それによって、例えばプロトコルを介する正しい要素の制御を検証するための確認が必要とされることなく、常にこの1つの要素が活性化されることが保証されている。付加的な検証ステップなしに、要素の設定時の確実性が存在する。それゆえ、このようにしてハードウェアをコード化して管理する手法が、要素によって規定された粒子線経路に沿って粒子線を、粒子線を要求する照射場所に確実に供給するための例えばHEBTの要素の設定を可能にする。信号接続手段は、とりわけ一方向においてのみ使用されるので、信号伝達方向の区分のためのノイズ障害を受けやすいロジックが不要となる。
【0018】
ハードウェアコード化に基づいた安全性の考えは、冒頭で挙げた特許文献3における方法に比べて有利である。なぜならば、専用のハードウェア信号線による確実な割当ておよび/または確実な粒子線使用可能性管理および/または粒子線の確実な設定は、可変の信号送信が行なわれる純粋なバスによる解決手段に比べて影響されにくいからである。
【0019】
本発明による粒子線治療施設の一実施態様は、例えば、粒子を加速し加速器からの粒子を少なくとも2つの照射場所に供給するための加速器ユニットおよび粒子線供給ユニットを有する。この種のユニットは、例えば加速器としてサイクロトロンまたはシンクロトロンを含み、サイクロトロンまたはシンクロトロンには場合によっては予め加速された粒子が入射させられる。粒子線供給は、粒子線経路中の少なくとも1つの設定可能な要素により行なわれる。少なくとも1つの設定可能な要素は、加速器制御ユニットにより、その都度必要とされた粒子線経路に応じて設定される。設定のために必要な設定パラメータが伝達され、例えば中間メモリに格納される。
【0020】
更に、粒子線治療施設は、粒子線経路に沿った正しい粒子線案内を確保および監視するための割当ユニットを含む。粒子線経路は、粒子線を要求する照射場所へ向かって加速器ユニットおよび粒子線供給ユニットの内部を延びる。割当ユニットは例えば安全指向のメモリプログラム可能な制御ユニットである。
【0021】
活性化信号を伝達するために、割当ユニットの信号出力部が、直接的かつ固定的に割当てられた信号接続手段を介して、設定可能な少なくとも1つの要素に接続されている。活性化信号との協力のもとでのみ、要素において伝達された設定パラメータの変換が行なわれる。すなわち、例えば変換前および/または変換中に活性化信号が存在する。
【0022】
原理的には、設定可能な要素が優先的には非活性である、すなわち割当ユニットがインターロック機構として働くと好ましい。活性化信号の存在時にのみ相応の電流等が設定される。非活性化は、例えば、磁石コイル中の無電流がデフォルト値として設定されていることを意味する。
【0023】
一般的に、加速器ユニットおよび粒子線供給ユニットは複数の要素を有する。これらの要素は、それぞれ個別に、それぞれ1つの固定的に割当てられた信号接続手段を介して直接的に割当ユニットのそれぞれ1つの信号出力部に接続されている。従って、設定可能な要素は、直接的なハードウェア接続手段、例えば個別の直接的な信号線を通して割当ユニットに接続されている。
【0024】
設定可能な要素の例は、粒子線供給システムから個別の治療室へ粒子線を偏向する粒子線偏向磁石、例えばシンクロトロンリングのノックアウトエキサイタの如き加速器の粒子線出射装置、HEBTにおける遮断装置の双極子磁石である。可能な設定パラメータは、それゆえ、印加されている磁場、そのために必要とされる設定すべき電流値または高周波の出射周波数である。設定可能な要素は、少なくとも1つの伝達された設定パラメータを処理しかつ活性化信号の存在に応じて該設定パラメータを変換するように構成されていると好ましい。このために、設定可能な要素は、例えばバッファメモリを有し、バッファメモリには伝達された設定パラメータが格納され、活性化信号の獲得に基づいて読出される。
【0025】
設定パラメータの伝達は、例えば、加速器制御ユニットおよびそれぞれの要素が接続されているデータバスシステムを介して行なわれる。設定パラメータは照射場所で行なわれる照射過程に関係する。それゆえ、照射場所の1つの制御ユニットも、照射に必要な粒子線パラメータおよび/または加速器ユニットおよび粒子線供給ユニットのパラメータの交換のために、このデータバスシステムまたは専用のデータバスシステムに接続されていると好ましい。
【0026】
照射場所の例は、例えば固定ビーム治療場所またはガントリ治療場所のような粒子線治療のための治療場所、あるいは粒子線照射の基礎をなしているパラメータの検査のための検査場所である。
【0027】
粒子線経路の設定方法によれば、次のプロセスが相前後してまたは場合によって同時に経過する。設定のために少なくとも1つの設定パラメータが要素に送られる。更に、割当ユニットから活性化信号が直接的かつ固定的に割当てられた信号接続手段を介して要素に送られる。この信号は一時的にまたは照射過程全体にわたって存在する。前者の場合、活性化信号は例えば要素の設定を「設定可能」に切り換えさせる。基本的なことは、設定パラメータの設定を変換することができるように、この種の活性化信号が設定期間中に存在するかまたは提供されなければならないということである。設定パラメータと活性化信号とが存在する場合に、設定パラメータは要素において要素の所望の設定および動作モードへ変換される。
【0028】
照射場所での粒子線の要求時における他の可能な経過が次のステップであるとよい。
要求信号は少なくとも2つの照射場所のうちの1つの照射場所から割当ユニットに、特に直接的かつ固定的に割当てられた信号接続手段を介して送られる。
粒子線の使用可能性が検査され、粒子線の使用可能性が存在する場合には、粒子線を要求する照射場所に粒子線が割当てられる。
その割当後に、粒子線を要求する照射場所に確認信号が、例えば同様に直接的かつ固定的に割当てられた信号接続手段を介してまたはデータバスシステムを介して送られる。
更に、エラー発生時には、粒子加速および/または粒子の更なる案内が、例えば割当ユニットおよび/または制御ユニットによって遮断される。このために、例えば要素の設定のために絶えず活性化信号が存在しなければならない場合には、この活性化信号が終了させられる。活性化信号がスイッチとして作用する場合には、要素は「設定不可」に切り換えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下において本発明の多数の視点を図1ないし図3に基づいて説明する。
図1は治療施設の概観を概略的に示し、
図2は安全指向のスイッチユニットを概略的に示し、
図3は安全指向の接続の装置のための略図を示す。
【0030】
図1は治療施設1を概略的に示し、そしてさまざまの包含される制御ユニットの協働を明らかにする。これらの制御ユニットは相応のパラメータを有する粒子線を照射場所に送出するための構成要素の設定を生じさせ、監視する。安全性の理由から、その際に重要な信号はエラーに侵されにくいハードウェア接続手段を介して伝達される。ハードウェア接続手段は、例えば専用の個別の特殊な伝送線からなり、一義的に信号伝送が割当てられている。
【0031】
治療施設1は加速器ユニット3および粒子線供給ユニット5を有する。加速器の模範例として、直線加速器ユニット9を前置されたシンクロトロン7が示されている。粒子線供給ユニット5は複数の照射場所に粒子線を分配する。模範例として概略的に粒子線治療のための3つの治療場所11,13,15と、粒子線の品質保証のための検査場所17とが設けられている。検査場所17では、例えば位置段階、強度段階、粒子エネルギーなどの前もって定められた粒子線パラメータを検証するための規則的な試験を有する品質手順による品質保証が行なわれる。粒子エネルギーを検証するための試験は、例えばライブラリに含まれており、ファントムでの自動化ブラッグピーク測定によって検査される。
【0032】
出射装置18により、例えばシンクロトロンリング7に蓄積された粒子が出射させられ、粒子線供給ユニット5に入射させられる。照射過程の終了または中断に基づく高速の粒子線遮断は、例えば遮断装置19の組み込みによって行なうことができ、遮断装置19は、例えば取出し装置18の後に配置されている3つの小さな双極子磁石からなる。例えば真ん中の双極子の高速遮断によって粒子線がコリメータにおいて消滅させられる。
【0033】
照射場所11,13,15への粒子の供給は、粒子線供給ユニット5内の偏向磁石20,21,23により粒子線を主粒子線方向から偏向させることによって行なわれる。主粒子線方向には検査場所17がある。照射場所では、照射領域25において照射粒子と照射すべき患者またはファントムとの相互作用が起こる。照射領域25の1つは、例えば、(ラスター)走査装置の最大に走査可能な走査範囲、散布装置の最大に照射可能な散布範囲または設定可能なガントリ照射範囲などによって与えられている。
【0034】
直線加速器ユニット9は、例えば1つ又は複数の作動可能なイオン源、低エネルギービームガイド、ラジオ周波数四極子、ドリフト管加速器および注入ビームガイドを有する。注入ユニット9の任務は、1つ又は複数の粒子種類の発生、その粒子種類の望まれない粒子種類による汚染物質からの解放、例えばシンクロトロンのための低エネルギー範囲における粒子線強度の設定、粒子の予備加速、そして、例えばシンクロトロンの要求に応じたパルス長および粒子線パラメータについての粒子線の準備である。
【0035】
治療施設1が走査方法による照射のために使用される場合には、加速された粒子の最適な利用および腫瘍走査中の正しい粒子線監視を可能にする遅い取出しが有利である。この場合、ノックアウトエキサイタが出射装置18を成すいわゆる高周波ノックアウト法による粒子線取出しが有利である。
【0036】
治療施設1の制御および安全システムは、明確に説明するために多数の構成要素に区分されている。監視時に異なる観点が考慮されるかぎり、異なる区分であってもよく、あるいは全く区分されなくてもよい。
【0037】
図1による実施形態において、加速器制御ユニット31は、要求された粒子線がそれの仕様に従って治療室に到着するように配慮する。照射場所11,13,15に配置されている制御ユニット33は、照射過程の経過を制御し、粒子線が照射計画に従って患者に照射されるように配慮する。
【0038】
更に、制御および安全システムは割当ユニット35を含む。割当ユニット35は、粒子線を要求した照射場所11,・・・17のみが粒子線を供給されることを保証する。このために割当ユニット35は、一方では制御ユニット33に、少なくとも要求信号を伝達するために第1の固定的かつ一義的に割当てられた信号線37A,37B,37Cを介して接続されている。更に、第2の固定的に割当てられた信号線39A,39B,39Cが割当ユニット35と制御ユニット33との間に存在する。第2の固定的に割当てられた信号線39A,39B,39Cらは、例えば、次に粒子線を供給されるべき照射場所へ割当ユニット35の確認信号を伝達するために使用される。
【0039】
制御および安全システムは、制御ユニット33および加速器制御ユニット31が接続されている少なくとも1つのデータバスシステム41を有すると好ましい。これは、例えば次に行なうべき照射のために加速器ユニット3および粒子線供給ユニット5の設定パラメータの伝達に用いられる。割当ユニット35は、確認信号を受取った照射場所11,・・・17のみがパラメータを伝達することができるようにデータバスシステム41に作用すると好ましい。
【0040】
場合によってはデータバス41と1つにまとめられる他のデータバスシステム43(破線の接続線)には、加速器制御ユニット31と加速器ユニットおよび粒子線供給ユニットの、他のデータバスシステム43によって設定可能な要素とが接続されている。図1による実施形態において、設定可能な要素は、例えば出射装置18、遮断装置19および偏向磁石20,21,23である。データバス43を介して、現在要求されている粒子線経路を設定するため、および正しいエネルギーを有する粒子の輸送のためなどに必要な設定パラメータがこれらの要素に伝達される。粒子線経路は、決定された照射場所に応じた高エネルギー粒子線経路における要素の設定を必要とする。
【0041】
もちろん、設定パラメータの変換は、付加的に割当ユニット35の活性化信号がその都度設定すべき要素に存在するときにのみ行なうことができる。このため、設定可能な要素は、信号割当ユニット35の信号出力部45に、直接的かつ固定的に割当てられた信号線47を介して接続されている。
【0042】
要求信号および/または活性化信号が固有の明確なハードウェア接続手段を介して送信および受信される事実は、要求信号がある特定の既知の照射場所から送信されたこと、および/または明確に活性化された要素のみが粒子線経路の決定のために設定されることを保証するに十分である。信号が間違って他の照射場所から受信されたり、または他の要素へ伝達されたりすることはない。
【0043】
以下において、患者照射のより安全な経過が、例えば図1による施設を使用してどのように行なわれるかを説明する。治療計画51においては、照射が、粒子線入射方向、粒子線強度、粒子種類、粒子エネルギーなどのような照射に必要なあらゆるパラメータでもって決定される。
【0044】
照射場所11,13,15において患者のための照射計画が読込まれ、安全技術上の全ての必要条件が満たされ、そして患者が相応に位置決めされた後、治療制御システム、例えば照射場所11,・・・15の制御ユニット33が、現在の照射場所のための計画されたパラメータを有する粒子線を要求する。試験されて解放されかつ加速器制御システム31において記憶されて存在するパラメータデータセットだけが使用され、かつ要求されると好ましい。
【0045】
粒子線要求のために、操作者は、例えば照射場所11の制御ユニット33から要求信号を、直接的かつ固定的に割当てられた信号線37Aに沿って割当ユニット35へ送出させる。割当ユニット35は粒子線の使用可能性をチェックする。隣接照射場所においてなおも照射過程が行なわれる場合には、割当ユニット35は、この照射過程の終了時にはじめて、要求された照射室に粒子線を割当てる。割当ユニット33は、例えばこの時点ではじめて、次の照射過程のために所望されたパラメータを伝達するために、データバスシステム41において加速器制御ユニット31への治療室11の制御ユニット33の接続を可能にする。
【0046】
付加的に割当ユニット35は、要求する照射場所へ粒子線を供給するために必要な設定可能な要素、すなわちこの場合には出射装置18、遮断装置19および偏向磁石20に、固定的に割当てられた信号線47を介して活性化信号を送出する。更に、加速器制御ユニット31が設定パラメータをこれらの要素へ伝達する。活性化信号の仲介のもとでのみ、加速器制御ユニット31から伝達された設定パラメータが要素において変換され、必要な粒子線経路を決定する。設定可能な要素は優先的に非活性化されていると好ましい。活性化信号の存在時にのみ相応の電流等が設定される。非活性化は、例えば「電流を零に」というデフォルト値が設定されることを意味する。
【0047】
設定が行なわれた後に、割当ユニット35は接続線39Aに沿って確認信号を伝達する。この信号の治療場所11によって確認された後、照射範囲25に照射するために粒子の供給が行なわれる。
【0048】
設定過程および信号伝達の順序は、(物理的な設定の実際に変換のための活性化信号の存在を除いて)自由に構成可能である。例えば、代替経過において、治療室11への粒子線の割当直後に確認信号が治療室11に接続線39Aに沿って伝達されてもよい。確認信号に基づいて治療室の制御ユニット33側から能動的に生じさせられる「粒子線オン」信号は、割当ユニットからの活性化信号ならびに加速器制御ユニット31から関連要素への設定パラメータの伝達をひき起こさせる。引き続いて要素において設定パラメータの物理的変換が行なわれ、粒子線が照射場所に供給される。この経過は、変換が確認信号発生後にはじめて行なわれ、従って万一の誤設定を早期に防止することができるという利点を有する。例えば、要求していない制御ユニットが確認信号を得た場合には、自動的に相応の非活性化が行なわれる。
【0049】
最後に述べた手法は、準備、設定および活性化の3つの段階に細分される。準備のための第1の段階では、制御ユニットおよび割当ユニットのみが通信する(粒子線照会信号、粒子線割当の確認信号ならびに「粒子線オン」信号)。設定のための第2の段階では、割当てられた制御ユニットおよび加速器制御ユニットが通信する。すなわち、相応の粒子線パラメータが要求され、かつ相応のパラメータが要素および加速器ユニットに伝達される。活性化のための第3の段階では、割当ユニットが直接に要素と通信し、その都度必要な要素を設定可能にするので、加速器制御ユニットから伝達されたパラメータを変換することができる。第3の段階は設定を物理的に可能にし、設定を変換する。設定は既に第2の段階と同時に行なわれてもよい。
【0050】
照射過程中に治療施設は完全に自立して働く。例えば制御ユニット33がスキャナー磁石および粒子線特性を監視するための粒子線診断ユニットを制御する。運転者のための唯一の介入は照射過程の中断である。粒子線中断がひき起こされた場合またはシステムにおいて他のエラーが認識された場合、割当ユニット35は、設定可能な要素に直接的かつ固定的に割当てられた信号線を介して、活性化の許可を取消す。この種のエラーの発生時に、例えば双極子磁場の下降により遮断装置内部で粒子線消滅が行なわれる。付加的に、例えば偏向磁石20,21,23が無電流に切り換えられ、ノックアウトエキサイタが遮断される。
【0051】
照射過程の終了後に、設定可能な要素は再びデフォルト値に設定されるとよい。例えば偏向磁場および/または遮断装置磁場は零にセットされ、ノックアウト周波数は遮断される。発生した照射過程を制御するために治療施設の利用率を最適化する運転システムとの相互作用において、デフォルト値が、場合によっては次に行なわれる照射過程を考慮して、割当ユニットの相応の制御によって飛び移され得るので、粒子線経路が速やかに次の照射過程のために使用可能になる。
【0052】
粒子線要求および粒子線経路決定のための制御および安全システムの種々の構成要素の任務は次のように要約される。
(1) 加速器制御ユニット31は、加速器ユニットおよび粒子線供給ユニットにおける設定可能な要素のための設定パラメータの正しい値を制御する。
(2) 割当ユニット35は、粒子線経路に必要な要素のみが的確に活性化される活性化プロセスにより、これらのパラメータの設定可能性を選択する。このために割当ユニットは、とりわけ、例えばルックアップテーブル内に、可能な粒子線経路を有するテーブルを記憶している。付加的に、特に安全指向のメモリプログラム可能なコントローラとして構成された割当ユニット35内において粒子線の使用可能性の検査が行なわれる。粒子線の割当てはこれが使用可能であるときにだけ行なわれる。
(3) 照射場所内の制御ユニット33は、照射計画からのデータを供給し、粒子線供給に関して最終的に決定する。すなわち、制御ユニットは相応の照射場所への粒子線供給を開始させる。
【0053】
直接的かつ固定的に割当てられた接続手段の使用は、図に概略的に示された実施形態に限定されない。例えば設定可能な要素の1つと割当ユニットとの間の接続のみがそのように構成される。
【0054】
この区分は模範例であると見るべきである。例えば機能を1つのユニット内に統合することもでき、例えば治療計画のためのパラメータを直接に、治療室の制御ユニットを介さないで、加速器制御ユニットに供給することができる。
【0055】
図2および図3には、安全指向の直接接続の観点が明確に示されている。図2は、安全指向のスイッチユニット61について、例えば制御ユニットおよび/または割当ユニットにおいて、例えば要求信号、確認信号および/または活性化信号の伝達のためにスイッチユニット61がどのように使用可能であるかを概略的に示す。2つの並列接続された線路63が、強制開路または強制閉路されるスイッチ65を介して信号出力部67と接続可能である。スイッチ65は両線路63を共通に開閉し、エラー時に安全状態を取る。信号出力部67はユニット69に接続されている。すなわち、図1に移すならば、ユニット69は、例えば制御ユニット33の1つまたは割当ユニット35であり、あるいは出射装置18、遮断装置19または偏向磁石20,21,23のような活性化可能な要素の1つである。
【0056】
図3は、分離ユニット18’、遮断装置19’および偏向磁石20’,21’,23’のような設定すべき要素71へ活性化信号を伝達するための安全指向の二重線路の使用を明確に示す。これらは、相応の安全指向のスイッチユニットから、図1によれば割当ユニットの部分である信号出力部45’に配設される。場合によっては、固定装置73の使用は治療施設の大きさにより避け得ない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】治療施設の概観を示す概略図
【図2】安全指向のスイッチユニットの概略図
【図3】安全指向の接続装置の概略図
【符号の説明】
【0058】
1 治療施設
3 加速器ユニット
5 粒子線供給ユニット
7 シンクロトロン
9 直線加速器ユニット
11 治療場所
13 治療場所
15 治療場所
17 検査場所
18 出射装置
19 遮断装置
20 偏向磁石
21 偏向磁石
23 偏向磁石
25 照射領域
31 加速器制御ユニット
33 制御ユニット
35 割当ユニット
37A〜C 信号線
39A〜C 信号線
41 データバスシステム
43 データバスシステム
45 信号出力部
47 信号線
51 治療計画
61 スイッチユニット
63 線路
65 スイッチ
67 信号出力部
69 ユニット
71 設定すべき要素
73 固定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を加速し少なくとも2つの照射場所へ粒子を供給するための加速器ユニットおよび粒子線供給ユニットと、
加速器ユニットおよび粒子線供給ユニットの照射に必要なパラメータを設定および制御するための加速器制御ユニットと、
粒子線を要求する照射場所に至る加速器ユニットおよび粒子線供給ユニット内の粒子線経路に沿った正しい粒子線案内を確保および監視するための割当ユニットと
を備えた粒子線治療施設において、
加速器ユニットおよび粒子線供給ユニットは、粒子線経路を設定するために設定可能な少なくとも1つの要素を有し、この要素は、少なくとも1つの設定パラメータを伝達するために加速器制御ユニットに接続され、しかも直接的かつ固定的に割当てられた信号接続手段を介して少なくとも1つの活性化信号を受信するために割当ユニットの信号出力部に接続され、活性化信号は要素において設定パラメータの変換をひき起こさせることを特徴とする粒子線治療施設。
【請求項2】
信号接続手段は、直接的なハードウェア接続手段であり、特に個別の信号線であることを特徴とする請求項1記載の粒子線治療施設。
【請求項3】
加速器ユニットおよび粒子線供給ユニットは複数の要素を有し、これらの要素は、個別にそれぞれ1つの固定的に割当てられた信号接続手段を介して直接的に、特にハードウェアコード化されて、割当ユニットのそれぞれ少なくとも1つの信号出力部に接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の粒子線治療施設。
【請求項4】
少なくとも1つの要素は、粒子線偏向磁石、特にシンクロトロンリングのノックアウトエキサイタである加速器の粒子線出射装置、または粒子線出射装置の後に配置された偏向磁石であることを特徴とする請求項1乃至3の1つに記載の粒子線治療施設。
【請求項5】
少なくとも1つの設定パラメータは、磁場の値、電流値または出射周波数であることを特徴とする請求項1乃至4の1つに記載の粒子線治療施設。
【請求項6】
要素は、少なくとも1つの伝達された設定パラメータを処理し、かつ少なくとも1つの活性化信号の存在に応じて該パラメータを変換することを特徴とする請求項1乃至5の1つに記載の粒子線治療施設。
【請求項7】
要素は、少なくとも1つの設定パラメータを記憶するためのメモリを有し、活性化信号の獲得後にメモリから設定パラメータが変換のために読出し可能であることを特徴とする請求項1乃至6の1つに記載の粒子線治療施設。
【請求項8】
加速器制御ユニットおよび少なくとも1つの要素は、少なくとも1つの設定パラメータを伝達するために、第1のデータバスシステムに接続されていることを特徴とする請求項1乃至7の1つに記載の粒子線治療施設。
【請求項9】
加速器制御ユニットと、少なくとも2つの照射場所のうちの1つの照射場所の少なくとも1つの制御ユニットとは、粒子線の照射に必要なパラメータおよび/または特に治療計画に基づいて決定されている加速器ユニットおよび粒子線供給ユニットの照射に必要なパラメータの交換のために、第1のデータバスシステムまたは第2のデータバスシステムに接続されていることを特徴とする請求項1乃至8の1つに記載の粒子線治療施設。
【請求項10】
少なくとも2つの照射場所のうちの少なくとも1つの照射場所は、患者が粒子を照射される治療場所であることを特徴とする請求項1乃至9の1つに記載の粒子線治療施設。
【請求項11】
少なくとも2つの照射場所のうちの少なくとも1つの照射場所は、粒子照射を特徴づけるパラメータを検査する検査場所であることを特徴とする請求項1乃至10の1つに記載の粒子線治療施設。
【請求項12】
割当ユニットが安全指向のメモリプログラム可能な制御ユニットとして構成されていることを特徴とする請求項1乃至11の1つに記載の粒子線治療施設。
【請求項13】
粒子線治療施設の加速器ユニットおよび粒子線供給ユニット内の粒子線経路が少なくとも1つの要素により設定可能であり、粒子線経路の正しい設定が割当ユニットにより保証される、粒子線治療施設の少なくとも2つの照射場所のうちの1つの照射場所に至る粒子線経路の設定方法において、
少なくとも1つの要素に少なくとも1つの設定パラメータが送信され、
割当ユニットから少なくとも1つの活性化信号が、直接的かつ固定的に割当てられた信号接続手段を介して少なくとも1つの要素に送信され、
活性化信号の送信後に要素において少なくとも1つの設定パラメータが変換される
ことを特徴とする粒子線治療施設の粒子線経路の設定方法。
【請求項14】
粒子線経路の設定前に、設定すべき粒子線経路を決定するために、要求信号が少なくとも2つの照射場所のうちの1つの照射場所から、特に直接的かつ固定的に割当てられた信号接続手段を介して、割当ユニットに送信され、粒子線の使用可能性が検査され、粒子線が使用可能である場合に、粒子線を要求する照射場所に粒子線が割当てられることを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
割当後に、照射に必要なパラメータ、特に要求された粒子線のパラメータおよび粒子線経路のパラメータが、粒子線を要求する照射場所の制御ユニットから、加速器ユニットおよび粒子線供給ユニットの照射に必要なパラメータを設定および制御するための加速器制御ユニットに伝達され、引続いて加速器制御ユニットから少なくとも1つの要素に少なくとも1つの設定パラメータが送信されることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
割当後に、確認信号が、粒子線を要求する照射場所に、直接的かつ固定的に割当てられた信号接続手段を介してまたは制御ユニットと割当ユニットとが接続されているデータバスを介して送信されることを特徴とする請求項14又は15記載の方法。
【請求項17】
確認信号が確認された後に活性化信号が送信されることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
要求信号を送信しなかった照射場所に確認信号が送信されたことに基づいて、粒子加速および/または粒子の更なる案内が、特に割当ユニットおよび/または制御ユニットによって中断されることを特徴とする請求項13乃至17の1つに記載の方法。
【請求項19】
粒子線治療施設における粒子線経路を設定するために設定可能な要素と粒子線治療施設の割当ユニットとの間で、直接的かつ固定的に割当てられた信号接続手段が、活性化信号を伝達するために用いられることを特徴とする粒子線治療施設の信号接続手段。
【請求項20】
粒子線治療施設の加速器ユニットおよび粒子線供給ユニット内の粒子線経路が少なくとも1つの要素により設定可能であり、粒子線経路の正しい設定が、正しい粒子線案内を確保および監視するための割当ユニットにより保証される、粒子線治療施設の少なくとも2つの照射場所のうちの1つの照射場所に至る粒子線経路の設定装置において、
少なくとも1つの要素に少なくとも1つの設定パラメータを送信する手段と、
割当ユニットから活性化信号を、直接的かつ固定的に割当てられた信号接続手段を介して少なくとも1つの要素に送信する手段と、
活性化信号の送信後に少なくとも1つの要素において少なくとも1つの設定パラメータを変換する手段と
が設けられていることを特徴とする粒子線治療施設の粒子線経路の設定装置。
【請求項21】
要求信号を受信する手段と、粒子線の使用可能性を検査する手段と、粒子線を要求する照射場所に粒子線を割当てる手段とが存在することを特徴とする請求項20記載の装置。
【請求項22】
照射に必要なパラメータ、特に要求された粒子線のパラメータおよび粒子線経路のパラメータを、粒子線を要求する照射場所の制御ユニットから、加速器ユニットおよび粒子線供給ユニットの照射に必要なパラメータを設定および制御するための加速器制御ユニットに伝達する手段が存在することを特徴とする請求項20又は21記載の装置。
【請求項23】
確認信号を照射場所へ送信する手段が存在し、確認信号は、特に直接的かつ固定的に割当てられた他の信号接続手段を介してまたは制御ユニットと割当ユニットとが接続されているデータバスを介して送信可能であることを特徴とする請求項20乃至22記載の装置。
【請求項24】
特に割当ユニットおよび/または制御ユニットにより制御されて粒子加速および/または粒子の更なる案内を中断する手段が存在することを特徴とする請求項20乃至23記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−83036(P2007−83036A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−250581(P2006−250581)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】