説明

粒状物等の計数装置及びこれを備えた包装装置

【課題】計数ロータの周面上に盛り上った粒状物を、損傷することなく前進を阻止するようにした粒状物等の計数装置及びこれを備えた包装装置を提供する。
【解決手段】粒状物等が装入されるホッパー17と、周方向に所定の間隔でかつ軸方向に複数の計数穴2が設けられホッパー17からの粒状物等を計数する円筒状の計数ロータ1とを有し、計数ロータ1の下降側の上方に、計数ロータ1の中心部を通る垂線と計数ロータ1の周面とが変わる位置a又はその近傍に向って空気を噴射するエアノズル20を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば丸薬の如き粒状物や錠剤等を自動的に計数する計数装置及びこの計数装置を備えた粒状物等の包装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の粒状物等の計数装置に、ホッパーと、周面上に近接して設けた複数個の計数穴とこの計数穴のほぼ中心を通って周面上に設けられた複数個の溝とを備えた計数ロータとを有し、この計数ロータをその周面がホッパーの開口部と僅かな間隙を隔てて配置すると共に、ホッパー内に上下に調節可能な仕切板を配設し、計数ロータの回転によりその一部は計数穴に入るが大部分は周面上に盛り上がるが、その一部は仕切板で阻止され、さらに周面上に残った丸薬は、ホッパーの側板の先端部で阻止されて、計数穴に残った丸薬だけがシュート内に落下するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開昭58−3261号公報(第1−2頁、第1−第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の計数装置は、計数ロータの回転によりその周面上に盛上がった丸薬の一部を仕切板により前進を阻止し、さらに周面上に残った丸薬を、側板の先端部で阻止して、計数穴に入った丸薬だけをシュートに送り出すようになっているため、計数ロータの周面上に盛上がった多量の丸薬が仕切板の面や下端部に当り、さらに残った丸薬が側板の先端部に当って阻止されるので、丸薬がこれら仕切板や側板に当って、表面に傷がついたり割れたりして損傷することがある。
【0005】
また、このように損傷した丸薬はホッパー内で良品の丸薬中に混入しているが、ホッパー内では検出できず、計数穴に入ってシュートに送られ、一定量ごとに包装されたのち検査によって発見されるため、製品の歩留りが悪いという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、計数ロータの周面上に盛上がった粒状物を、損傷することなく前進を阻止するようにした粒状物等の計数装置及びこれおを備えた包装装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る粒状物等の計数装置は、粒状物等が装入されるホッパーと、周方向に所定の間隔でかつ軸方向に複数の計数穴が設けられ前記ホッパーからの粒状物等を計数する円筒状の計数ロータとを有し、前記計数ロータの下降側の上方に、前記計数ロータの中心部を通る垂線と該計数ロータの周面とが交わる位置又はその近傍に向って空気を噴射するエアノズルを設けたものである。
【0008】
また、本発明に係る粒状物等の包装装置は、上記の粒状物等の計数装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、計数ロータ上に盛上がった粒状物等を、エアノズルから噴出した空気により除去するようにしたので、粒状物等が割れたり表面に傷がついたりすることがなく、このため商品の歩留りが大幅に向上し、信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[実施の形態1]
図1は本発明の一実施の形態に係る粒状物の計数装置の説明図、図2は一部を断面でしめした図1の側面説明図である。
図においては、1は軸4に連結されたモータ(図示せず)により矢印方向に回転駆動される有底円筒状の計数ロータで、その外周面上には、図3,図4に示すように、周方向に所定の間隔で、軸方向に設けた複数個を一群(以下、計数穴群Aという)とする計数穴2が設けられている。
【0011】
この計数穴2の外径及び深さは、計数する粒状物等(以下、単に粒状物と記す)の外径とほぼ等しいか、又はこれより若干大きく形成されている。なお、図には計数穴3を計数ロータ1の軸方向に直線状に設けて計数穴群Aを形成した場合を示したが、例えば軸方向に千鳥状に設けてもよい。また、この計数穴群Aは、通常計数ロータ1の軸方向に複数群(図2には4群設けた場合が示してある)設けられている。
3は各計数穴2を連通して周方向に設けられた溝で、その深さは計数穴2の深さより浅く、断面形状が計数する粒状物の外径に対応した円弧状に形成されている。なお、この溝3は粒状物が計数穴2に入り易くするためのものであるが、省略してもよい。
【0012】
5は計数ロータ1と粒状物が装入されるホッパー17との間に設けられて、ホッパー17から流下した粒状物を一時的に滞留させる滞留室で、側板6と、側板6の下端部に取付けられ、計数ロータ1側に向って下方に傾斜して配設された底板7と、仕切板8と、仕切板8から底板7に向って下方に傾斜して設けられたガイド板9とからなっており、ガイド板9上にはホッパー17の出口18が開口している。そして、底板7の先端部は、計数ロータ1の外周面に近接して位置し、仕切板8の下端部は底板7と所定のすき間g1(このすき間g1は、計数する粒状物の外径より若干大きい)を隔てて位置し、ガイド板9の先端部と底板7との間には、すき間g1より若干大きいすき間g2が設けられている。なお、図示してないが、滞留室5の前後(図面の垂直方向)は閉塞されている。
【0013】
10は計数ロータ1の下降側(以下の説明では、計数ロータ1が矢印方向に回転したときの計数穴群Aが上昇する側を上昇側、下降する側を下降側という)の軸方向に、計数ロータ1の外周面と僅かなすき間を隔てて配設された断面円弧状のガイド板で、その下部にはシュート11が設けられている。
12a,12bは周面上に凹部13を有し、シュート11の下部両側には配設された一対の加熱ローラ、14a,14bは矢印方向に送られて粒状物を包装するフィルム(包装材)である。
【0014】
20は計数ロータ1の下流側においては、斜め上方に設置されたエアノズルで、その噴射口は計数ロータ1の軸方向に長い幅広に形成されており、噴射口が計数ロータ1の中心を通る垂線と外周面とが変わる点a又はその近傍に向って開口している。
21はエアノズル20の後方に配設された照明装置で、計数ロータ1のa点とガイド板10との間において、計数ロータ1の外周面の軸方向に投光する。また、22は照明装置の後方において、計数ロータ1の軸方向の各計数穴群Aごとに設置された複数台のカメラで、その焦点を照明装置21の計数ロータ1の外周面の投光部に合わせてある。
【0015】
次に、上記のように構成した本発明の作用について説明する。
ホッパー17に装入された粒状物は、図5に示すように、自重によりその出口18から滞留室5内に落下し、その一部は底板7とガイド板9との間のすき間g2、底板7と仕切板8との間のすき間g1を通って計数ロータ1の上昇側の外周面上に移動する。そして、一部は計数穴2内に入り、一部は溝3内に入り、さらのその上に盛り上る。
【0016】
ついで、モータに通電して計数ロータ1を矢印方向に回転させると共に、図示してない空気圧源からエアノズル20に圧縮空気を送り、噴射口からa点又はその近傍に向って噴射させる。
これにより、計数ロータ1の周面上に盛上がった粒状物19及び溝3内の粒状物19は、エアノズル20から噴出した空気によって除去され、a点を過ぎた段階では、計数穴2に入った粒状物19のみが残置する。
【0017】
粒状物19が入った計数穴群Aが、照明装置21の照明位置に至ると、各カメラ21が対応する計数穴群Aの状態をそれぞれ撮影する。カメラ22による撮影によって、当該計数穴群Aに、欠粒や粒状物19の損傷の有無などが検出される。
【0018】
さらに計数ロータ1が回転すると、下降する計数穴群A内の粒状物19は、ガイド板10によって落下が阻止され、下方に達するとシュート11を通って加熱ローラ12a,12b上のフィルム14a,14bの間に落下する。落下した粒状物19は、矢印方向に回転する加熱ローラ12a,12bの凹部13においてフィルム14a,14bの間に収容され、その周囲が加熱ローラ12a,12bにより熱溶着されて内部に封止され、連続した製品15として送り出される。
【0019】
このようにして粒状物19が包装された連続した製品15は、図示しない以下の工程においてカッタにより切断された1包ごとの商品とされ、ついで、カメラ22で撮影した結果に基いて、若し欠粒があったり損傷した粒状物19を含んだ商品がある場合は、検査工程において自動的に排出され、次の工程において、良品のみが所定数ごとに積み重ねられて結束され、送り出される。なお、上記の連続した製品15が製造されたのちの工程は、その一例を示すもので、これに限定するものではない。
【0020】
上記のように構成した本発明において、包装する粒状物の大きさや形状が変った場合、あるいは包装する粒状物19の数、したがって各計数穴群Aの計数穴2の数などが変更された場合は、これに対応した計数穴2を有する計数ロータ1に換えると共に、粒状物19の滞留室5の底板7と仕切板8とのすき間g1を変えればよい。この場合、仕切板8を上下に移動可能に構成すれば、便利である。なお、上記の説明では、ホッパー17と計数ロータ1との間に滞留室5を設けた場合を示したが、滞留室5を省略し、ホッパー17の下部にこれに相当する機構を設けてもよい。
【0021】
上記のように構成した本発明によれば、計数ロータ1の溝4内の粒状物や計数ロータ1の周面上に盛上がった粒状物19を、エアノズル20から噴出した空気により除去するようにしたので、粒状物19が割れたり表面に傷が付いたりすることがほとんどなく、このため、商品の歩留りが大幅に向上し、信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態に係る粒状物等の計数装置の説明図である。
【図2】一部を断面で示した図1の側面説明図である。
【図3】図1の計数ロータの斜視図である。
【図4】図3のX−X断面図である。
【図5】本発明の作用説明図である。
【符号の説明】
【0023】
1 計数ロータ、2 計数穴、5 粒状物の滞留室、7 底板、8 仕切板、9,10 ガイド板、11 シュート、12a,12b 加熱ローラ、14a,14b フィルム、17 ホッパー、19 粒状物、20 エアノズル、21 照明装置、22 カメラ、A 計数穴群。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状物等が装入されるホッパーと、周方向に所定の間隔でかつ軸方向に複数の計数穴が設けられ前記ホッパーからの粒状物等を計数する円筒状の計数ロータとを有し、
前記計数ロータの下降側の上方に、前記計数ロータの中心部を通る垂線と該計数ロータの周面とが交わる位置又はその近傍に向って空気を噴射するエアノズルを設けたことを特徴とする粒状物等の計数装置。
【請求項2】
請求項1の粒状物等の計数装置を備えたことを特徴とする粒状物等の包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−253990(P2007−253990A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79998(P2006−79998)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000141370)株式会社岩黒製作所 (8)
【Fターム(参考)】